ブリッジレポート
(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.23】2015年6月期第3四半期業績レポート
取材概要「カード系の受注は堅調だが、非カード系の受注が足踏みしているようだ。このため、他社製パッケージの販売強化による需要の掘り起こしに取り組・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年5月26日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
代表取締役社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
事業内容
クレジットカード決済システム首位。大日本印刷グループ入りで営業力強化が進展
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年6月 6,558 145 183 86
2013年6月 5,870 -677 -587 -349
2012年6月 5,241 131 154 270
2011年6月 4,762 321 341 129
2010年6月 4,956 358 387 211
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(5/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
377円 26,340,000株 9,930百万円 1.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.00円 1.3% 14.43円 26.1倍 169.00円 2.2倍
※株価は5/15終値。ROE、BPSは前期末実績。
 
インテリジェント ウェイブの2015年6月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムで国内シェアNo.1のソフトウエア開発会社。“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“システムを止めないためのノンストップ技術”、及び“高度なセキュリティ技術”を技術基盤とし、カード不正利用検知システムや証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する。営業面では、筆頭株主として議決権の50.61%を保有する大日本印刷(株)及びそのグループ企業との連携が強みとなっている。グループは、同社の他、韓国で開発・販売を手掛ける連結子会社INTELLIGENT WAVE KOREA INC.及び持分法適用関連会社(株)ODNソリューションの2社。
 
【事業セグメント】
事業は、クレジットカードや証券等の金融業界やシステム開発会社を主な顧客として、ソフトウエア開発、自社製・他社製パッケージ及びハードウエアの販売、更には保守等を手掛ける「金融システムソリューション事業」と、業種・業界にとらわれず幅広く自社製・他社製パッケージを中心にしたソリューションを提供している「プロダクトソリューション事業」に分かれる。
 
 
金融システムソリューション事業
カード系と証券等の非カード系のビジネスに分かれ、カード系では、クレジットカード会社や銀行等の対外ネットワークへの接続で国内トップシェアを誇る「NET+1」(24時間無停止対応ソフトウエア)を用いたシステム構築を中心に、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」及び不正口座取引検知システム「ACE Plus for Bank」を用いた不正検知システム等を手掛けている。

「NET+1」を用いたシステムは、クレジットカードやデビットカード等の商品購入時の与信に応じた代金決済やキャッシュカードカードの残高確認等、24時間365日、いつでもカードが利用できるネットワーク環境を提供するもので、付加価値の高い専用ハードと自社開発のパッケージソフトからなり、大手クレジットカード会社のネットワークへの接続で70%のシェアを有する。また、「NET+1」は、銀行の店外CD/ATMや海外ATM等の外部ネットワーク接続や消費者金融の外部ネットワーク接続等でも使われている。
一方、不正検知システムは、偽造カード・盗難カード利用などクレジットカードの不正使用による被害の極小化や金融機関の振り込め詐欺・マネーロンダリングなど口座不正利用の検知を目的としており、こちらも豊富な実績を有する。

上記のビジネス(カードビジネスのフロント業務)は同社の強みの象徴であり、安定した経営基盤となっているが、高シェアゆえに成長余地が限られる。このため、同社はサービス(開発)領域の拡大に取り組んでおり、売上計上、仕訳、取引精算、ブランド管理、加盟店管理、帳票出力、業務運用管理、システムログ、更にはバックアップといったバックオフィス業務の受注を強化している。

非カード系では、“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“ノンストップ技術”、及ぶ“セキュリティ技術”を活かして、クレジットカード業界、証券業界(オンライン証券会社・機関投資家)、及び大日本印刷のグループ企業等のシステム開発を手掛けており、証券業界向けでは高速情報基盤システム(証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信するシステム)等で豊富な実績を有する。
 
プロダクトソリューション事業
カードや証券等の業界に捉われず、全ての業界・企業を顧客対象としている。「NET+1」や「ACE Plus」等で培ったネットワーク技術やセキュリティ技術をベースとした情報漏えい対策システム「CWAT(シーワット)」を中心に、イスラエルCHECKMARX社製Webアプリ脆弱性対策(ソースコード解析ツール)「CxSuite(シーエックススイート)」、ネットワークの脆弱性対策の米Nexantis社製「Secure Scout NX(セキュアスカウト)」及び米Sourcefire社製「RAPID7(ラピッドセブン)」、更にはゼロディ攻撃を防御するエンドポイント(端末)のセキュリティ対策ソリューション「Traps」をラインナップする事で、内からの情報漏えいと外からの攻撃の両面に対応したセキュリティソリューションを提供。この他、米国Citrix Systems製の仮想環境下での端末操作管理ツール「VeTracer(ヴィー・トレーサー)」、企業ウェブサイトの付加価値を高めると共にユーザーサポートのコスト低減に寄与する「Face(フェイス)コンシェル」等のソリューションも提供している。

当事業は早期に一定の事業規模(年商10億円規模)に拡大させ、安定的に利益計上できる体制を構築する事が課題だが、売上や利益の数字に表れないメリットも大きい。優れたセキュリティ関連製品を扱う事で得られる最新の情報や蓄積される技術・ノウハウ、海外の有力ベンダーとの提携により広がるワールドワイドのネットワーク、更には全ての業界・企業を顧客対象とする事による顧客層の広がりとビジネスチャンスの拡大等、目に見えない部分での貢献も大きい事業である。
 
 
12/6期から14/6期にかけては売上高が増加したものの、必ずしも利益の増加を伴わなかった。売上高の増加は、ハードウエア販売の増加や大型開発プロジェクトの寄与によるものだが、ハードウエア販売は廉価なエントリー製品が多かったため利益面での貢献は大きくなかった。また、大型開発プロジェクトでは、業務領域の拡大に向けた取り組みとして、得意とするフロント業務と共にバックオフィス業務のシステム開発も受注したが、大型プロジェクトの管理ノウハウの不足で不採算化し、その影響が12/6期から14/6期にかけての3期に及んだ。

もっとも、ハードウエア販売の増加は、決済業務に新規参入する事業者の取り込みが進んだ事の表れであり、不採算プロジェクトも、バックオフィス業務でのシステム開発のノウハウが取得できた事に加え、その後のプロジェクトの管理体制見直し(プロジェクト管理を行う業務推進室を新設)のきっかけになる等、得るものも多かった。15/6期は大型プロジェクトがなかったが、各プロジェクトで開発が順調に進み、金融システムソリューション事業の収益性改善に寄与した。
 
 
2015年6月期第3四半期決算
 
 
前年同期比14.6%の減収、同295.7%の経常増益
売上高前年同期比14.6%減の43億02百万円。セキュリティ関連の他社製パッケージを中心にプロダクトソリューション事業の売上が増加したものの、ハードウエア販売やソフトウエア開発の減少による金融システムソリューション事業の売上減少が響いた。

一方、営業利益は同435.4%増の2億83百万円。ソフトウエア開発の減少が不採算となった大型開発プロジェクトの反動によるものだった事に加え、両事業で収益性の高い自社開発パッケージの売上が増加した事や前年同期の売上を押し上げたハードウエア販売の利益貢献が少なかった事もあり、売上総利益が12億69百万円と同28.0%増加。一方、販管費は小幅な増加にとどまった。
四半期純利益が経常利益と同水準となったのは税効果会計の影響による。
 
 
 
金融システムソリューション事業
売上高39億30百万円(前年同期比17.1%減)、営業利益10億30百万円(同25.9%増)。売上面では、ハードウエア販売が前年同期に比べて7億41百万円減少した他、前年同期は大型開発プロジェクト関連で売上が増加したソフトウエア開発も同2億86百万円減少した。一方、利益面では、大型開発プロジェクトにかかる損失計上で前年同期の利益水準が低かった事もあるが、収益性の高い「NET+1」を中心にした自社開発パッケージの増加や保守の増加、及び各開発プロジェクトが順調に推移した事等で利益率が改善した。尚、ソフトウエア開発は件数ベースでは20%弱増加したものの、大型案件がなかったため売上が減少した。
 
 
プロダクトソリューション事業
売上高3億72 百万円(前年同期比24.8%増)、営業損失1億40百万円(前年同期は営業損失2億51百万円)。企業Webサイトの付加価値を高めると共にユーザーサポートのコスト低減にも寄与する自社開発のナビゲーションツール「Face(フェイス)コンシェル」の商談が進まずソフトウエア開発の売上が減少したものの、第2四半期(10-12月)に販売を開始した米Palo Alto Networks製「Traps」(後述)をけん引役に他社製パッケージの売上が前年同期の51百万円から1億38百万円に増加した。
売上高をセキュリティ関連と「Faceコンシェル」と中心にしたその他に分けると、セキュリティ関連の売上が2億27百万円から3億54百万円に増加する一方、その他の売上が71百万円から18百万円に減少した。
尚、「Faceコンシェル」は料金体系をサブスクリプション(subscription)方式に切り替えた。システムを買い取るのではなく、利用量に応じて料金を支払う方式に変更する事で導入の敷居を低くする。

「Traps」はマルウエアの活動を阻止して、ゼロディ攻撃からエンドポイント(端末)を守るキュリティ対策ソリューション。ウイルス対策ソフトはウイルスのパターンファイルを更新する事で新しいウイルスに対応するが、パターンファイルが更新される前に感染してしまうリスクがある(ゼロディ攻撃)。しかし、「Traps」をインストールしておけば、感染してもウイルスの活動が阻止されるため、ウイルスに対応したパターンファイルの更新前に感染しても被害を防ぐ事ができる(パターンファイルを更新した後にウイルスソフトがウイルスを駆除する)。「Traps」の日本語版の発売は15年4月だが、同社は14年10月のグローバル販売の開始と共に英語版の販売を開始した(代理店契約は大日本印刷が締結)。
 
 
 
14/6期の第2四半期及び同第3四半期はハードウエアの売上が5〜6億円あり、連結売上高を押し上げた。15/6期はプロジェクト管理を行う業務推進室の設置や30周年記念の祝賀行事等で共通経費が増加した。
 
 
15/6期第3四半期は締結を予定していたハードウエアの商談が第4四半期以降に先延ばしになったため、受注高及び受注残高が減少した。
 
 
季節要因による売上債権及び仕入債務の増加等で第3四半期末の総資産は58億08百万円と前期末に比べて1億68百万円増加した。流動比率407.7%(前期末399.9%)、固定比率48.5%(同47.5%)、自己資本比率80.1%(同78.9%)。
 
 
2015年6月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比2.4%の減収、同118.6%の経常増益
通期業績に変更はなかったものの、売上高には下振れ懸念がある。要因は、金融システムソリューション事業におけるソフトウエア開発の受注の苦戦とプロダクトソリューション事業における「Faceコンシェル」の料金体系変更及び契約締結の遅れである。ただ、利益面では両事業共に上振れが見込まれ、営業利益はほぼ予想に沿った着地となる見込み。金融システムソリューション事業ではプロジェクト管理の強化と自社パッケージの好調で想定以上に収益性が改善しており、プロダクトソリューション事業では下期に入り実施した固定費削減効果が顕在化してくる。

配当は1株当たり5円の期末配当を予定している。
 
 
金融システムソリューション事業
クレジットカード会社の資本関係の変化による設備投資案件の取り込み、海外カード対応海外カード対応システムの開発、カード決済業務の新製品(「NET+1」や「ACE Plus」のLinux版)開発、更にはネットワークやアプリケーションのパフォーマンスを評価する「Corvil Net Engine」(他社製パッケージ)の販売に注力している。

クレジットカード会社の資本関係の変化による設備投資案件では、Yahoo! JAPANのカードビジネス(YJカード)参入に伴う開発プロジェクトの受注に成功しており、海外カード対応システムの開発ではコンビニATMの海外カード対応プロジェクト等を受注している。

カード決済業務の新製品では、「NET+1」や「ACE Plus」の廉価版とも言えるLinuxベースの「OnCore(オンコア)」の開発を進めている。「NET+1」や「ACE Plus」が導入に際してカスタマイズを行い顧客毎の個別業務に対応できるのに対して、「OnCore」はLinuxをベースとしたアプライアンス製品のためカスタマイズはできないが、導入に手間がかからず、導入コストも抑える事ができる。国内では、新規決済業務参入会社、決済代行会社、中小カード会社、大規模加盟店等で需要が見込めるロングテール製品との位置付けだが(「NET+1」、「ACE Plus」は大手カード会社の向けのショートヘッド製品)、海外ではカード発行会社の需要も期待できる。16/6期の発売を予定している。

一方、アイルランドCorvil(コービル)社製「Corvil Net Engine」はコンピュータを駆使した超高速取引(HFT)システムの売買注文の処理スピードをナノセカンド(10億分の1秒)単位で評価し、システムの劣化をいち早くユーザーに伝える。現在、証券会社の評価を受けており、評価が終わり次第導入となる(アプライアンス製品のため導入に時間を要しない)。
 
プロダクトソリューション事業
昨年10月に販売を開始し、順調に立ち上がった「Traps」の販売を強化する。既に説明した通り、「Traps」はマルウエアの活動を阻止するエンドポイント(端末)のセキュリティ対策製品。複雑な設定でユーザーの手を煩わせる事がない上、水際でウイルス感染を阻止するアンチウィルスソフトと異なりパターンファイルの更新が不要なためCPU等への負荷が小さい。

「Traps」の投入により、エンドポイント(端末)のセキュリティ対策、ネットワークのセキュリティ対策、そしてサイバー攻撃への対応、とラインナップが揃った。今後、セキュリティソリューションの強化により国内需要の掘り起こしを図ると共に、アジアへの展開を念頭にローカライズを進めていく考え。
インテリジェント ウェイブのセキュリティソリューション
エンドポイント(端末)のセキュリティ対策
CWAT(情報漏えい)、CxSuite(ウェブアプリの脆弱性、侵入検知)
ネットワークのセキュリティ対策
Secure Scout、RAPID 7(共にパッチの確認、ハッキングチェック機能)
サイバー攻撃
Traps(マルウエアの活動を阻止)
 
 
今後の注目点
カード系の受注は堅調だが、非カード系の受注が足踏みしているようだ。このため、他社製パッケージの販売強化による需要の掘り起こしに取り組んでいる他、導入の敷居を低くするべく「Faceコンシェル」の料金体系をサブスクリプション(利用量に応じて料金を支払う)方式に切り替えた。他社製パッケージでは、ネットワークのパフォーマンス監視システム「Corvil Net Engine」やマルウエアの活動を阻止するエンドポイント(端末)のセキュリティ対策製品「Traps」に期待がかかる。第4四半期は来期につながる成果を残したいところだ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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