ブリッジレポート
(3034:東証1部) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.27】2015年3月期業績レポート
取材概要「15/3期は調剤事業と関連事業共に取り組みが成果をあげ、最高益を更新した。17/3期から実質3年連続の薬価改定となるが、調剤事業とCSO事業を中心・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年6月9日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階
事業内容
調剤薬局チェーン大手。首都圏中心に全国に店舗展開。
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 114,363 4,243 4,262 2,155
2014年3月 100,966 2,105 2,208 777
2013年3月 76,783 2,812 2,829 1,349
2012年3月 66,201 3,308 3,238 1,560
2011年3月 60,915 2,804 2,807 1,137
2010年3月 56,305 2,031 2,032 828
2009年3月 49,010 1,526 1,506 653
2008年3月 38,002 1,314 1,298 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(5/26現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,188円 34,359,100株 40,818百万円 11.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 1.7% 73.45円 16.2倍 557.42円 2.1倍
※株価は5/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
クオールの2015年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
首都圏を中心に全国展開を進める業界3位の調剤薬局チェーン。従来、調剤薬局と言えば、大病院の近くに出店し顧客獲得を競う門前薬局が主流だったが、同社は医療機関とのマンツーマン体制による出店戦略を推進し独自の勝ちパターンを確立。近年では、異業種との提携等による人々が集まる導線上への出店に力を入れており、(株)ローソンとの資本業務提携による「コンビニエンスストア(以下、CVS:Convenience Store)併設型調剤薬局」(調剤薬局とCVSの融合)の街ナカ展開、家電量販店大手の(株)ビックカメラとの連携による駅チカ展開、更にはJR西日本グループとの業務提携による「駅クオール薬局」のといった駅ナカ展開が進行中である。また、子会社を通してCSO事業、治験事業等も手掛けている。
 
企業理念    わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。
 
【沿革】
1992年10月   中村 勝氏(現社長)が50歳の時に医薬品卸の営業本部長から転身して創業 兜町に1号店を出店
2006年 4月   大阪証券取引所「ヘラクレス」(現JASDAQ)上場
2008年12月   ローソンと業務提携
2010年 6月   CVS併設店舗1号店(東京都港区城山トラストタワー)
2011年12月   東証2部上場
2012年 8月   JR西日本デイリーサービスネットと業務提携
2012年 8月   ローソンと資本提携
2012年10月   アポプラスステーションを子会社化
2012年12月   東証1部上場
2013年 4月   会社分割(新設分割)により関連事業を統括する中間持株会社クオールSDホールディングスを設立
2014年 7月   ココカラファインと業務提携
 
【事業概要と調剤事業の特徴】
事業セグメントは、調剤事業と関連事業に分かれ、15/3期は調剤事業の売上が全体の90.3%を占めた。調剤事業はクオール(株)等が手掛ける調剤薬局の経営が中心だが、CVS併設型調剤薬局(「LAWSON」の法人オーナーとして37店舗を展開)における物販の収益も含まれている。期末店舗数はフランチャイズ店2店舗を含む538店舗。
一方、中間持株会社クオールSDホールディングス(株)が統括する関連事業は、アポプラスステーション(株)によるCSO事業や薬剤師の派遣事業、クオールRD(株)の治験支援事業、メディカルクオール(株)の出版関連事業からなる。MRの派遣は製薬会社のコスト削減(MRの削減)に対応したもので、薬剤師の派遣は薬剤師の就学期間の長期化(薬学部が4年制から6年制へ)や薬剤師国家試験の合格率低下による薬剤師不足に対応したもの。
 
調剤事業の特徴
クオール薬局
「処方箋は病院の近くで処理するもの」と言う固定観念が強いため、処方箋を受け取った患者が自ら薬局を選ぶ事は稀で、病院等の近くの薬局(門前薬局)を利用するケースが一般的であった。このため、調剤薬局は大病院など大手医療機関の門前に店舗を構え、好立地を活かした店舗運営を志向してきた。これに対して、同社は多くの医療機関と1対1の密接な関係(処方元医療機関の医師との強固な信頼関係)を構築するマンツーマン薬局を志向すると共に、1店舗で複数の医療機関が発行した処方箋を応需する面対応の店舗展開を進めてきた。
 
クオール薬局は既存店の新患率が約8%、売上高は2ケタ成長が続いている。
同社独自の認定薬剤師制度により、がん、認知症、在宅、糖尿病等、専門知識を持った薬剤師を育成する事で処方提案レベルを高めている他、過誤防止、全自動調剤、スピーチプライバシーシステム、エコ、災害対策、在宅、テレビ電話等、機能面での充実にも力を入れている。
加えて、異業種とのコラボレーションやクオールカード、処方せん送信アプリ、クオール薬局アプリと言ったIT化により、近隣の大病院に頼らない面対応の取り組みも継続的に進めている。
 
面対応強化の一環として異業種と連携  −広範囲な市場をカバー−
2010年以降は異業種と連携により多様なチャンネル展開にも力を入れており、ローソンとの提携による調剤薬局併設のCVS(コンビニ)運営(2014年4月以降は、調剤、コンビニ、ドラッグストアのヘルスケア融合型にシフト)、駅前の好立地に店舗展開し、高い集客力を誇るビックカメラ店舗でのインストア展開、JR西日本グループとの提携による駅構内での店舗展開を進めている。現在、患者の20%超は能動的に調剤薬局を選択していると言われており、こうした患者の取り込みを図るための差別化戦略であり、患者との接点を点から面に広げる事で広く処方箋を獲得しようとするもの。将来的には宅配サービスも視野に入れており、薬だけでなく、介護用品や弁当等を届ける体制を整備したい考え。
 
 
流通改革
2014年3月、調剤薬局・ドラッグストア16社と共に、医薬品卸会社へ医薬品の競争入札を行う医薬品調達機構を立ち上げた。医薬品調達機構は、医薬品を5つのカテゴリーに分け、このうち新薬創出加算品、特許品、及び長期収載品の3カテゴリーについて、カテゴリー別に事前に各社へ購入予定価格を通知、その価格に対して一般競争入札を行う。残りの後発医薬品、エッセンシャルドラッグ(その国の保険医療に最低限必要な医薬品)は従来通り、各々が仕入先と交渉する。これまで同社はすべての医薬品を一括購入していたため、値引き率には限界があったが、15/3期より、先述の入札制度により、適正かつ公正な価格での交渉・妥結が可能となり、利益率の改善につながっている。
 
 
尚、一般的には調剤薬局が処方箋を1枚処理した場合、処方箋単価が調剤薬局の収入となり、処方箋単価の約25%が技術料で残り約75%が薬剤料として売上計上される。技術料は100%粗利となるが、薬剤料は医薬品の仕入原価を差し引いた残り(薬価差益)が粗利となる(値引き率を大きくする事によって超過収益を得る事ができる)。
 
調剤売上高 = 処方箋単価 × 処方箋枚数
調剤利益 = 技術料 + (薬剤料×値引き率)
 
【調剤市場と業界順位(連結)】
 
調剤薬局は全国に約5万7千件あり、CVSとほぼ同数。同社が創業した1992年には14%程度だった医薬分業比率は、現在、約70%にまで高まっている。院外処方箋の増加と高齢化で調剤市場は年率3%〜8%の成長が続いており、現在の市場は約7兆円。
しかし、業界トップのアインファーマシーズでもシェアは約2.5%に過ぎず(クオールが約1.5%)、大手チェーン薬局10社(売上高約7,000億円)でも約10%にとどまり(CVSはセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3社で約75%)、マーケットリーダーが存在しない。

しかし、医療費の抑制に取り組む国策の下、薬価・調剤報酬の改定や消費税率の引き上げ(調剤薬局は消費税を患者に転嫁できない)で中小薬局の経営は圧迫され、M&Aが活発化している。このため、今後、大手チェーン薬局による寡占が進んでいくとみられている(分業率が100%に達した場合の市場規模は推定で約10兆円超。寡占化が進み大手チェーン薬局のシェアが過半を超えるとみられている)。
 
 
調剤市場変化のトリガー及び業界イベントとインパクト
10%への消費税率の引き上げが予定されているため、消費税が転嫁できない事による調剤の収益性の悪化を嫌った医療機関が医薬分業を進めるとみられており、分業比率の上昇も見込まれている。これらを含めて、同社は「調剤市場が変化するトリガー」として5項目を挙げると共に、業界イベントとインパクトを説明している。
 
調剤市場変化のトリガー
・消費税増税       患者から徴収不可、院外処方箋増加(分業率アップ)
・ジェネリック医薬品拡大 医療費削減(売上減少)
・国の財政問題      厳しい調剤報酬・薬価改定(M&Aの増加)
・薬剤師不足       出店抑制(成長鈍化・M&Aの増加)
・IT化促進        処方箋電子化・電子版お薬手帳等
 
 
2016年、2018年には薬価改定があり、2017年には消費税率の引き上げ(8%→10%)が予定されている。消費税を転嫁できない調剤薬局にとっては3年連続の逆風となるが、2014年の消費税率引き上げの際は、分業率が前年の67.0%から70.0%へ3ポイント上昇した。このため、2017年は同社にとってチャンスでもある。
 
【派遣事業(MR・薬剤師)の事業環境】
MR認定センター「MR白書」によると、2013年の国内のMRは65,752人。このうち派遣MR(CMR)は3,957人、全体の約6%(2012年は5.0%)に過ぎないが、2013年のCMR数は前年比23.2%増と高い伸びを示した。

製薬会社へのアウトソーシングの拡大やジェネリック医薬品(後発医薬品)の市場拡大による販売単価の低下に加え、多くのMRを必要としないアンメットメディカルニーズ(需要はあるが有効な治療法がない)領域の強化等で、製薬会社はMRのコストを固定費から変動費へとシフトさせつつある。また、市場が拡大しているジェネリック医薬品を専門とする製薬会社でも、派遣MRの利用が増えている。大型新薬の特許切れがあると、多くのMRが必要になるが、大型新薬の特許切れが毎年継続的に有る訳ではないので必要な人員に波がある事に加え、ジェネリック医薬品は、新薬とは異なり、医薬品の説明よりも営業が中心となるからだ。製薬会社はMRを派遣に切り替える事で人件費を1/3〜1/2に抑える事ができるため、将来的には、2万人超がCMRに置き換えられると言う予想もある。同社にとっては大きなビジネスチャンスであり、引き続き積極的に経営資源を投入していく考え。

尚、現在、医療用薬品市場の53〜54%を調剤が占めていると言われており、製薬会社の販売上、調剤薬局は無視できない存在になりつつある。このため、製薬会社にとって、調剤薬局の大手であるクオールグループのMR派遣サービスを利用する事は、固定費の変動化やコストダウン効果に加え、販売面での関係強化と言うメリットがある。

薬剤師の派遣も根強いニーズがある。薬剤師の就学期間の長期化(薬学部が4年制から6年制へ)や薬剤師国家試験の合格率低下により薬剤師不足は深刻化している。また、国内の薬剤師は約280,000人で、このうち薬局勤務は約153,000人だが、大都市圏に集中しており、地域格差の問題も大きい。
 
【この他の取り組み】
高度先進医療への対応等、質の高い薬剤師の育成  −クオール認定薬剤師制度−
高度先進医療の進展によって、外来での抗がん剤治療等も年々増加しており、調剤薬局にも高い専門性を持った薬剤師が求められている。このため、同社は、疾患別に病態から治療までを学ぶ「QOL(クオール)認定薬剤師制度」を設け、高度な専門知識を持った薬剤師の育成に力を入れている。2013年度にはがん認定薬剤師制度を開始し、2014年度からは「認知症認定薬剤師」も新設された。求められる医療ニーズに応じて専門性の高い薬剤師を育成する事で競合他社との差別化を図っていく考え。
 
一般的疾患  2,324名取得済み    高度がん  50名取得済み
一般的がん   218名取得済み    認知症   46名受講中
 
社会貢献活動
収益拡大(経済的価値の追求)とバランスを取りつつ、社会的価値も追及していく。この一環として、スチューデント・シティやメイク・ア・ウィシュ オブ ジャパンへの賛同、更には薬物乱用防止教室の実施といった取り組みなどを積極的に進めている。
 
 
 
成長戦略
 
3年前からMRや薬剤師の派遣、医療用医薬品や特定保健用食品等の治験といった新規事業の育成に取り組んでいる。中村社長の方針として、新規事業は調剤事業の営業利益率(2年に一度の薬価改定等、国が管理しているマーケットのため5%程度)を上回る事を条件としているため、育成中の事業はいずれも利益率が高い事が特徴。現在、新規事業で最も期待されているのが、アポプラスステーション(株)が手掛ける派遣事業である。同事業は一般的に営業利益率が15〜20%と高い。派遣事業を中心にした関連事業で利益を下支えしつつ、調剤事業でトップラインを伸ばしていく収益モデルが中期的なイメージだ。

当面の数値目標として、売上高3,000億円、営業利益240億円を掲げており、売上高3,000億円の内訳は、調剤事業が2,400億円、関連事業が600億円。調剤事業では、1,000店舗体制の構築を念頭にクオール薬局の新規出店に加え、M&Aや異業種との連携を積極的に進めていく。一方、関連事業の中核を担うのはCSO事業を中心とした派遣事業である。利益率の想定は、調剤事業5%、関連事業20%を想定しており、営業利益240億円の内訳は、それぞれ120億円ずつ。
 
 
(1)調剤事業
異業種との連携
LAWSON(街ナカ市場)、ビッグカメラ(駅チカ市場)、JR西日本G(駅ナカ市場)の新業態は、認知度向上により、処方箋が堅調な伸びを示している。
 
LAWSON
街ナカ市場の攻略に向けた戦略業態であるLAWSON店舗(期末37店舗)はスクラップ&ビルドによりヘルスケアCVSへのシフトを進めており(15/3期は出店3店舗、閉店3店舗)、15/3期の処方箋は2ケタ増となった(「処方せんアプリ」経由の患者が全体の10%を占めている)。また、ドラッグストア機能を付加した事で物販も好調に推移しており、平均日販は通常のLAWSON店舗の約53万円を大きく上回る70〜80万円台(業界最大手のセブンイレブンの平均日販が65〜66万円)。
15/3期は売上高が前期比22.3%増加し、このうち、CVS売上が同20.4%増、薬局売上が同36.1%増。薬局受付回数は同34.2%増。
 
 
ビックカメラ
駅チカ市場攻略の役割を担うビックカメラへの出店(4店舗)は、1日数万人の集客力を背景に調剤報酬の2ケタ増が続いている。ある程度の時間を要するが、認知度向上効果が顕著である。特に新宿東口(ビックロ)店は人通りの多い地下に移転した事で、受付枚数・調剤報酬が大幅に増加した。また、名古屋店は、訪日外国人のまとめ買いもあり、OTC売上が40.6%増と大きく伸びた。
 
 
JR西日本グループ
駅ナカ市場に展開するJR西日本グループ(以下、JR西日本G)との提携店舗(3店舗)も、コンビニの駅ナカ展開とは住み分けができている。認知度向上により、広範囲から処方箋を応需する結果となり、調剤報酬の2ケタ増が続いている。OTCを服薬する花粉症患者も増えており、今春は花粉症関連のOTCが好調だった。1号店である大阪店は調剤報酬が前期比83.7%増、受付枚数が同87.6%増、OTCが同21.6%増。
 
 
IT化の推進
処方箋と一緒に提示する事で患者の過去の処方情報等が照会できるクオールカード(情報は東京・大阪のセンターに蓄積され、カードは照会機能のみ)が会員の囲い込みに一役買っている他(会員数は2015年4月末現在124.2万人)、スマートフォン用の「処方せん送信アプリ」も好評だ。「処方せん送信アプリ」とは、患者が処方箋をスマートフォンのカメラで撮影し、同社の薬局にメール送信できるアプリケーション。患者は会社帰りや買物の途中等、都合のよい時間に薬を受け取る事ができるため、薬局での待ち時間の短縮が可能(患者の利便性向上)。門前から面への流れを後押しする効果やクオールカードとの相乗効果も期待されている。
「処方せん送信アプリ」への対応は、2013年10月のビックカメラ内のクオール薬局4店舗(有楽町店、新宿東口店、名古屋駅西店、札幌店)を皮切りに、同年11月にはナチュラルローソンクオール薬局4店舗、駅クオール薬局JR大阪店等へ広がり、その後、クオール薬局全店CVS併設型調剤薬局やクオール薬局の一部店舗にも拡大している。また、2015年5月からは処方箋送信機能に加え、電子お薬手帳や自己健康管理チェックなどを始めとするさまざま機能を搭載した「クオール薬局アプリ」の配布も開始されている。
 
(2)関連事業
中間持株会社「クオールSDホールディングス(株)」の下で進めている関連事業では新たな収益源の確保に向けた取り組みを進めており、現在、アポプラスステーション(株)によるMR派遣(CSO事業)及び薬剤師・看護師派遣(MJ事業)、クオールRD(株)による治験支援事業に力を入れている。

アポプラスステーション(株)は2012年10月の買収時は赤字だったが、社内改革が進み14/3期に黒字転換。15/3期は7億円の営業利益を計上し、16/3期は15億円に増加する見込み。現在、CMRの稼働がフル稼働に近い状態にあり、2017年のCMR1,000名体制を目指して積極的な採用を続けている。また、海外関連事業を並行して進めていく考えで、グローバル営業統括部を創設した。ジェネリック医薬品メーカーも含め、国内中小メーカーのアジアを中心にした海外進出のサポートや、外資系新規参入メーカーの日本での営業機能の受託等を手掛けていく考え。この他、医療機関とかかわりのある(医療上必要な)新たな事業を模索していく。
 
 
2015年3月期決算
 
 
前期比13.3%の増収、同101.6%の営業増益
売上高は前期比13.3%増の1,143億63百万円。既存店の好調とM&A効果で調剤事業の売上が同13.1%増加した他、MR派遣(CSO事業)等の人材サービスを手掛けるアポプラスステーション(株)をけん引役に関連事業の売上も同15.2%増加した。

利益面では、入札制度の導入、ジェネリックの販売強化(22点加算店舗の増加)、不採算店の閉店、更には経費削減等で調剤事業の営業利益が同45.5%増加。CMRが高い稼働率を維持した事で関連事業の営業利益も同8.4倍に拡大した。

設備投資は17億52百万円(前期21億77百万円)、減価償却費16億11百万円(同15億74百万円)、のれん償却費14億97百万円(同11億72百万円)。
期末配当は、1株当たり2円増配の12円を予定しており、第2四半期末配当と合わせて年20円となる。
 
 
調剤事業
売上高1,032億42百万円(前期比13.1%増)、営業利益44億20百万円(同45.5%増)。期末店舗数はフランチャイズ店2店舗を含む538店舗(前期末520店舗)。収益重視の出店方針の下、新規16店舗、M&A16店舗の計32店舗を出店する一方(前期は新規104店舗、M&A66店舗)、売店9店舗、LAWSON3店舗、クオール薬局2店舗の計14店舗(同22店舗)を閉店した。新規出店の減少で新店の売上が減少したものの、既存店の売上が同13.0%増加した他、M&A等による売上も同16.9%増加。処方箋応需枚数も既存店、M&A店舗が高い伸びを示した。一方、処方箋単価は薬価改定の影響で既存店の処方箋単価が低下した。
 
 
 
 
同社はジェネリック医薬品への変更を積極的に進めており、2015年3月末の加算店(18点加算店舗と22点加算店舗の合計)は全体の75.8%。22点加算店舗が全体の40%を超えた。
 
関連事業
CSO事業等を手掛けるアポプラスステーション(株)の寄与で、売上高が111億21百万円と前期比15.2%増加し、営業利益が7億72百万円と同8.4倍に拡大した。CSO事業ではCMRの稼働がフル稼働に近い状態が続いている。
 
 
期末総資産は前期末に比べて56億68百万円増の595億73百万円。事業の拡大で売上債権、仕入債務が増加した他、M&Aで無形固定資産も増加した。一方、入札制度の導入等で仕入原価を抑える事ができたためたな卸資産は減少。資金需要に対応するべく、長期借入金を中心に有利子負債を積み増した。純資産も増加し、自己資本比率は32.1%と0.5ポイント上昇。ROICは前期の3.9%から7.2%に上昇した。

事業拡大と共に大きく残高を伸ばしてきたのれんと有利子負債への対応が同社の財務的な課題だが、入札制度の導入による安定した収益環境の実現でキャッシュ・フロー(CF)が増加し、15/3期のネットD/Eレシオ〈有利子負債−現預金)/自己資本〉は0.54倍と14/3期の0.65倍から改善した(現預金の増加による改善)。
また、これまでのM&Aでは完全子会社化(出資比率100%)にこだわってきたが、今後はマジョリティ獲得(出資比率:30〜40%、多くても50%)に重きを置く事で、のれんの発生を抑制する(利益体質の定着を見て、適宜、出資比率を引き上げていく考え)。
 
 
利益の増加と、たな卸資産の減少等による資金効率の改善で前期は23億50百万円だった営業CFが78億41百万円に増加。一方、M&A関連の支出が減少したため投資CFのマイナス幅が縮小し、前期は60億32百万円のマイナスだったフリーCFが27億75百万円の黒字となった。14年3月に自己株式の取得(14億13百万円)を実施する一方、前期のように株式や社債の発行が無かったため、財務CFの黒字は減少したが、現金及び現金同等物期末残高は前期末の49億57百万円から80億11百万円に増加した。
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
調剤事業、関連事業共に利益が大幅に増加した事で売上高当期純利益率が本来の姿に戻り、前期は5.17%にとどまったROEが11.91%に回復した。16/3期はさらなる売上高当期純利益の改善が見込まれている。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比10.0%の増収、同18.1%の営業増益
売上高は前期比10.0%増の1,258億円。調剤事業はクオールグループ47店舗、LAWSON(ローソンクオール薬局)8店舗の出店を計画しており、期末店舗数が593店舗と前期末に比べて55店舗増加する見込み。LAWSON店舗については、スクラップ&ビルドによりヘルスケアCVSへのシフトを進め、期末40店舗体制を目指している。一方、関連事業は、MR派遣市場の拡大(2ケタ成長が見込まれている)を背景にアポプラスステーション(株)の業績が拡大する見込み。2017年のCMR1,000名体制を目指して積極的な採用を継続する。また、国内中小メーカーの海外進出や外資系新規参入メーカーの日本での展開を支援する海外関連事業を立ち上げた。

利益面では、入札制度による安定した収益の確保と積極的なジェネリック医薬品への変更で原価率が1.1ポイント改善する見込み。薬剤師とCMRを中心にした人員の拡充で販管費の伸びも大きくなるが、売上総利益の増加で吸収して営業利益が50億10百万円と同18.1%増加する見込み。

設備投資は16億27百万円(前期17億52百万円)を計画しており、減価償却費16億99百万円(同16億11百万円)、のれん償却費17億60百万円(同14億97百万円)を織り込んだ。

配当は、1株当たり上期末10円、期末10円の年20円を予定している(配当性向27.2%)。
 
 
2015年4月1日、社会医療法人石川記念会 HITO病院(病床数257床)の駐車場内に、四国における旗艦薬局「クオール薬局 四国中央店」をオープンした。同店の出店は、病院との連携強化をポイントとするクオールの提案が受け入れられた事によるもの。処方箋に臨床検査値を記載する事によるクオール薬局での服薬指導強化や、抗がん剤服用中の患者における、クオール薬局による副作用発生状況の確認と病院へフィードバック等で患者の生活の質向上に貢献していく。
 
 
今後の注目点
15/3期は調剤事業と関連事業共に取り組みが成果をあげ、最高益を更新した。17/3期から実質3年連続の薬価改定となるが、調剤事業とCSO事業を中心とする関連事業を両輪に逆風下でも収益拡大が可能な体制が整いつつある。加えて、消費税率の引き上げは、2014年(消費税率5%→8%)の例に従えば、医薬分業の促進契機という点でビジネスチャンスにもなる。
また、厚生労働省は5月21日の規制改革会議の作業部会において、大病院の目の前に集まる薬局(門前薬局)が受け取る報酬を一段と減らす一方、複数の病院の処方箋をまとめて扱い、飲み合わせの確認等に力を入れる「かかりつけ薬局」の報酬を積み増す方針を示したと言う。特定の大病院によらず、面展開で成果をあげている同社にとって良いニュースだ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2017 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(4301)アミューズ vol.47 | ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.29»

ブリッジレポート(バックナンバー)
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE