ブリッジレポート
(2146:JASDAQ) UTホールディングス 企業HP
若山 陽一 社長
若山 陽一 社長

【ブリッジレポート vol.21】2015年3月期業績レポート
取材概要「業績は順調に拡大しているものの、ここ数年は期初予想に届かない決算が続いているため、16/3期の業績予想は保守的なものとなった。15/3期第4四半期・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年6月16日掲載
企業基本情報
企業名
UTホールディングス株式会社
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田1-11-15 電波ビル
事業内容
製造・建設・設計開発分野の正社員派遣事業を中心に雇用需給調整サービスも展開。待遇向上とキャリアアップの諸制度により、業界No.1の従業員定着率を誇る。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 36,478 2,232 2,157 1,168
2014年3月 30,779 1,824 1,754 934
2013年3月 27,854 1,473 1,388 922
2012年3月 24,106 1,453 1,379 880
2011年3月 20,227 1,442 1,309 766
2010年3月 18,056 290 182 -1,401
2009年3月 40,694 1,793 603 -10,861
2008年3月 51,787 4,200 3,473 1,203
株式情報(6/12現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
604円 38,592,700株 23,309百万円 35.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 34.22円 17.7倍 91.20円 6.6倍
※株価は6/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
UTホールディングスの2015年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
製造・建設・設計開発分野の正社員派遣事業を中心に雇用需給調整サービスも展開。新規の顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みに、順調に稼動数を伸ばしている。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社6社が担う。
 
 
【ステークホルダーに対する「約束」(ミッション)と行動指針】
ミッション  UTグループの利益を超えた普遍的目的
「はたらく力で、イキイキをつくる」
UTグループは、全てのはたらく人にチャレンジする機会を与えます。
一人ひとりが高い目標を掲げ、果敢に挑戦することが、個々人の成長につながり、喜びになると考えています。
私たちは、そのイキイキとした姿が、あらゆるお客様の期待に応え、日本の未来に貢献する力だと信じています。
 
行動指針
1. 私たちは、常に正直であります。
2. 私たちは、ルール・約束を守ります。
3. 私たちは、感謝と思いやりを大切にします。
4. 私たちは、笑顔で挨拶します。
5. 私たちは、スピードを重視します。
6. 私たちは、自ら考え行動します。
7. 私たちは、学び、教える姿勢を忘れません。
8. 私たちは、チームワークを重視します。
9. 私たちは、数字で考えます。
10. 私たちは、成長をコミットメントします。
 
【事業内容】
事業セグメントは、アウトソーシング事業の単一セグメント。製造派遣・請負を中心に、設計開発技術者派遣及び建設技術者派遣を手掛け、15/3期の売上構成比は製造派遣・請負91.3%(14/3期94.0%)、設計開発技術者派遣5.6%(同3.7%)、建設技術者派遣3.1%(同2.3%)。15/3期の製造派遣・請負の業種別構成比は、半導体・電子部品分野44.8%(同42.4%)、環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)25.3%(同25.8%)、自動車関連分野16.0%(同14.1%)、住宅分野6.7%(同9.4%)、その他7.2%(同8.3%)。
中期的な目標として、電池を中心に環境・エネルギー30%以上、自動車関連20%程度としており、半導体向けについては、現在の売上水準を維持しつつ40%以下への引き下げを目指している。
 
主な製造派遣分野と取引先
半導体・電子分野   ソニーグループ、パナソニックグループ、東芝グループ
自動車関連分野    アイシン精機、オムロン、ダイハツ工業
環境・エネルギー分野 パナソニックグループ、日立マクセル
住宅関連       LIXIL、YKKAP
 
【従業員の定着率No.1】
同社は、取引先と従業員を2大カスタマーとして位置付けており、従業員に対しては、福利厚生に加え、教育訓練制度、評価制度、エントリー制度(幹部社員への登用制度、立候補)、更にはESOP(Employee Stock Ownership Plan:株式給付信託)の導入等で従業員と会社の一体感を醸成する事で定着率を高め、業界で最も低い離職率を実現している。
 
社員持株会型ESOPとは、社員持株会のメリットに追加して「株価上昇による分配金を受け取る 事ができる制度」。
従来社員持株会が株式市場から株式を直接買い付けていたものを、信託が事前に5年分一括購入し、社員持株会は信託から時価で買い付ける事で従来の配当金以外に信託から株価上昇による分配金を受け取る事ができる。
 
尚、同社の離職率は4%程度。契約期間が総じて短い自動車等へ客層を広げたため(顧客との契約終了時に離職してしまうケースが多い)、半導体に特化していた頃の2%程度からは上昇しているが、業界平均の8%を大きく下回り、顧客から高く評価されている。
 
【20周年を迎えて】
同社は、1995年に「志」を意味する「AIM(エイム)」を社名に冠するエイムシーアイシー有限会社として設立された。1996年には株式会社に改組すると共に、「日本のモノづくり」への思いを込めて社名を「日本エイム」に変更。以来、「はたらく力でイキイキをつくる」というミッション経営のもと、市場環境の変化を踏まえ、戦略転換を図りつつ成長を続けてきた。2015年に創業20周年を迎える。
 
同社は、創業期、第一成長期(半導体に特化したニッチ戦略)、経営基盤の確立と業界で一定の存在感を得た事を踏まえての第二成長期(マーケットリーダー戦略)と、戦略転換を図りつつ業容を拡大させてきた。
マーケットリーダー戦略が実りつつある事から、同社は16/3期を第二成長期の総括の期と位置付けている。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE =売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
同社は、過去5年間、30%以上のROEを維持している。人材サービス業界の特徴でもある高い総資産回転率とレバレッジに加え、独自の取り組みにより従業員と会社の一体感を醸成し業界No.1の定着率を実現する等で売上高当期純利益率も高い水準を維持している。14/3期、15/3期とレバレッジの拡大が目立つが、15/3期であれば、派遣社員への給与である未払費用や未払法人税・消費税等が大きく増加しており、業容拡大がその要因である事がわかる。流動比率159.3%、固定比率91.3%。財政状態は、流動性、長期的な財務の安全性共にまずまず。
 
 
 
採用力が年々向上しており、年間の技術社員の純増数は、13/3期739人、14/3期947人、15/3期1,531人。半導体に特化したニッチ戦略からマーケットリーダー戦略へ戦略転換を図りつつ業容を拡大させてきた同社であり、20周年を迎えるに当たり、マーケットリーダー戦略も実を結びつつあるが、営業力と共に採用力の向上がその原動力となっている。
 
 
2015年3月期決算
 
 
前期比18.5%の増収、同23.0%の経常増益
売上高は前期比18.5%増の364億78百万円。旺盛な人材需要の取り込みと月間500人採用体制の基盤構築で技術職社員数が前期末(7,768人)比19.7%増の9,299人と過去最高を更新。工場数が438工場と前期末に比べて25工場増加した事に加え、既存顧客シェアも上昇した。15/3期末現在、稼働技術社員数の10%強に当たる1,018人のバックオーダー(受注残。3ヵ月以内に技術社員を確保して埋めるべきオーダー)を抱えている。

また、顧客業種売上構成比で、自動車関連分野の売上構成比が16.0%と1.9ポイント上昇する等、取引業種の分散が進んだ事、事業別の売上構成比で、第2の収益の柱として育成中の設計開発技術者派遣(3.7%→5.6%)及び建設技術者派遣(2.3%→3.1%)の売上構成比が、それぞれ上昇した事も15/3期の特徴(製造派遣・請負の売上構成は94.0%から91.3%に低下)。

営業利益は同22.4%増の22億32百万円。売上の増加と赤字事業所の撤退やコスト管理の徹底で原価率が0.9ポイント改善し売上総利益率が同24.5%増加。積極的な採用活動に伴う採用費や人件費を中心にした販管費の増加を吸収した。

利益配分については、2015年に同社グループの創業20周年を迎える事を記念すると共に、同社株式の価値向上によって効率的な資本政策の遂行を可能とするべく総額10億円の自己株式の取得を実施。期末配当は実施しなかったが、総還元性向は85.6%となり、コミットメントしている50%を大きく上回った。総還元性向とは純利益のうち株主に配分した額がどの程度の割合かを示す指標であり、同社は総還元性向50%以上をコミットメントしている

総還元性向 = (配当総額+自社株買い総額) ÷ 税引後当期純利益
 
 
 
15/3期は技術職社員数が1,531人増加した(前期末比19.7%増)。特に第1四半期に採用体制を強化し採用活動の量的拡大を図った成果で第2四半期は3か月間で技術職社員が747人増加した。15/3期を通して採用強化に取り組んだ事で、月間500人(従来300人程度)の大量採用体制が定着した。また、採用拠点を全国に展開していたため、これまでは必ずしも各拠点の効率が良くなかったが、ここにきてスケールメリットも出てきた。
 
 
期末総資産は前期末に比べて43億69百万円増の164億27百万円。フリーCFの大幅な増加と借入金の積み増しで現預金が増えた他、業容拡大で売上債権・未払費用も増加。(株)システム・リボルーションの100%子会社化(15年3月)に伴い、のれんも増加した(44百万円→8億17百万円)。
流動比率159.3%(前期末169.7%)、固定比率91.3%(同91.3%)、自己資本比率21.4%(同25.7%)。
(株)システム・リボルーション
事業内容ソフトウエア及びハードウエアの開発・運用管理
14/3期(13/3期)売上高12億24百万円(12億35百万円)、営業利益71百万円(69百万円)、経常利益72百万円(70百万円)、当期純利益44百万円(41百万円)
純資産3億09百万円(2億64百万円)、総資産5億75百万円(5億92百万円)
 
利益の増加と資金効率の改善で前期は3億58百万円にとどまった営業CFが31億31百万円に増加。(株)システム・リボルーションの買収で投資CFのマイナス幅が拡大したものの、24億51百万円のフリーCFを確保した。社債の発行がなかった事や自己株式の取得と配当による利益配分が増加した(5億05百万円→7億49百万円)事で財務CFの黒字が減少したものの、現金及び現金同等物期末残高は前期末の41億51百万円から71億17百万円に増加した。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比9.7%の増収、同3.8%の経常増益予想
売上高は前期比9.7%増の400億円。製造派遣・請負は期初から月間500人の採用体制で臨み、1,018人のバックオーダーの補充を急ぐ。一方、第2の収益の柱とするべく育成中の設計及び建設技術者派遣(エンジニア派遣)については、1,400人体制の早期確立に向け、社内育成、外国人エンジニア採用、未経験者を含めた中途採用により増員を図る。

営業利益は同7.5%増の24億円。売上総利益率が18.9%と0.4ポイント改善し売上総利益が75億60百万円と同11.8%増加する見込みだが、人員増による人件費の増加や積極的な採用活動に伴う採用関連費用の増加(11億円→15億円)で販管費が51億60百万円と同14.0%増加する見込み。原価管理については、原価管理ユニットを設置して徹底を図る。

具体的な利益配分は未定だが、「利益配分に関する基本方針」に則り、会社の業績及び株式市場の動向を鑑みて配当及び自己株式の取得の組み合わせによる総還元性向50%以上を実施する予定。
 
(2)設計及び建設技術者派遣(エンジニア派遣)の増員計画
設計技術者派遣及び建設技術者派遣において、1,400人体制の早期確立に向け育成及び採用を強化する。具体的には、前期末702人の技術社員に4月入社の新卒社員132人を加えた800人体制が既に確立されているが、製造派遣・請負の技術職社員から希望を募り教育する(「One UT」戦略)事で配置転換を行うと共に、外国人エンジニアの採用(既にベトナムからエンジニアを受け入れている)、中途採用による経験者及び未経験者の採用で計300人の増員を図る。さらに2016年4月に新卒300人を見込み、これにより、売上高100億円、営業利益10億円規模の収益が見込め、業界で一定の存在感を示す事ができると言う。
 
 
今後の注目点
業績は順調に拡大しているものの、ここ数年は期初予想に届かない決算が続いているため、16/3期の業績予想は保守的なものとなった。15/3期第4四半期が売上高95億円、営業利益7億円強だった事を考えると、16/3期は通期で売上高380億円、営業利益28億円が下限と考える事ができる。加えて、収益性改善の余地もあり、例えば、15/3期は新卒採用等で先行投資的な経費も大かったようだが、16/3期以降は経験値を活かす事で採用効率が高まる見込み(16/3期の新卒採用費用は2.5億円と15/3期の3億円を下回る)。また、製造派遣・請負では技術社員の稼働数が1万人規模に拡大した事で、中途採用においてスケールメリットが享受できるようになってきた。16/3期は期初から月間500人採用体制で臨むため、中途採用の費用自体は前期の8億円から12.5億円に増加するが、一人当たりの採用費用が減少する見込み。17/3期を初年度とする中期経営計画が6月下旬に発表される予定だ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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