ブリッジレポート
(3778:東証マザーズ) さくらインターネット 企業HP
田中 邦裕 社長
田中 邦裕 社長

【ブリッジレポート vol.7】2015年3月期業績レポート
取材概要「15/3期は、売上高が過去最高を更新し、営業利益と経常利益が過去最高に次ぐ水準に回復した。成長のけん引役であるVPS・クラウドサービスは、申込・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年6月23日掲載
企業基本情報
企業名
さくらインターネット株式会社
社長
田中 邦裕
所在地
大阪市中央区南本町1-8-14 堺筋本町ビル
事業内容
東京、大阪、北海道の3エリアでデータセンターを運営。業界大手。08年に双日(2768)の傘下に(連結子会社)。上場は維持方針。
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 10,576 964 857 516
2014年3月 10,045 736 633 353
2013年3月 9,482 867 812 479
2012年3月 9,164 873 808 556
2011年3月 8,584 1,225 1,194 572
2010年3月 7,812 748 723 567
2009年3月 7,106 392 349 374
2008年3月 6,478 85 -25 -632
2007年3月 4,703 -271 -346 -493
2006年3月 2,758 210 197 105
2005年3月 1,930 133 132 70
株式情報(6/19現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
940円 8,677,489株 8,156百万円 13.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 1.1% 67.99円 13.8倍 456.05円 2.1倍
※株価は6/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
さくらインターネットの2015年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
東京(西新宿、東新宿、代官山:いずれもフロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアでデータセンターを運営し、サーバの設置スペースと電源やネットワーク回線等を提供するハウジングサービスとサーバ環境(コンピュータリソース)をインターネット上で提供するホスティングサービスを手掛けている。多くのホスティングサービス事業者がインフラ(データセンター施設)を外部に依存するのに対して、同社はインフラを自社で保有する事で高収益を追求しており(価格競争力の源泉となる)、このインフラをハウジングサービスの提供にも活用する事で稼働率を上げ固定費リスク(インフラ保有リスク)を軽減している。
 
【企業理念】
同社は、下記のミッション、ビジョン、バリューを企業理念として定め、これを実現することによって、全てのステークホルダーから価値ある企業として支持される事を目指している。
 
コーポレート・ミッション  使命
私たちは、人々とビジネスの可能性を広げるデータセンターサービスの提供を通じ、インターネットによってひらかれる創造性と驚きに満ちた未来の実現に貢献します。
 
コーポレート・ビジョン  目指す姿
サービス    高品質で低価格なITプラットフォームと革新的で面白いインターネットサービスの提供
インフラストラクチャー スケールメリットと柔軟性を兼ね備えたコスト競争力の高いITインフラの実現
テクノロジー  価値あるサービスの実現とインターネットの発展に寄与する先進的な技術の探究
 
コーポレート・バリュー  重視する価値観
・質の高いサービスを生みだす絶えざるイノベーション
・コストパフォーマンスを支える卓越したオペレーション
・すべての活動のベースとなる良質なコミュニケーション
 
【沿革】
1999年8月、レンタルサーバサービスと専用サーバサービスの提供を目的とした、さくらインターネット(株)として設立、同年10月に大阪(大阪市中央区)と東京(京都豊島区)にデータセンターを開設し、ハウジングサービスを開始した。2005年10月に東証マザーズに株式を上場した。2008年2月に双日(株)と資本提携し(持分法適用会社となる)、2011年2月には双日(株)のTOBに賛同し資本関係を強化すると共に(連結子会社となる)、改めて業務提携契約を締結。同年11月にはクラウドコンピューティングに最適化した日本最大級の郊外型大規模データセンターを北海道石狩市に建設。2015年4月にレンタルサーバをメインとするホスティング事業、SSL サーバ証明書発行、ドメイン取得等のサービスを提供している(株)Joe's クラウドコンピューティングを子会社化した。
 
【事業内容】
事業は、ハウジングサービス、ホスティングサービス、及びドメイン取得サービスや回線・ネットワーク関連サービス等のその他サービスに分かれ、15/3期の売上構成比は、それぞれ25.4%、66.0%、8.6%(従来、その他に分類していた機器販売について、15/3期より、主たるサービスとの関連性が高い一部のサービスを「ハウジング」または「専用サーバ」として分類する事とした。このため、14/3期の売上高については、変更後の分類に組み替えて開示している)。
 
ハウジングサービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するサービス。ラック単位で設置スペースを貸し出す「ラック貸し(回線、電源等も提供)」が中心だったが、自社で土地建物を保有する石狩データセンターの稼働に伴い「スペース貸し」(大規模ハウジング)を開始した
 
ホスティングサービス
専用サーバサービス、レンタルサーバサービスの物理ホスティングと、VPSサービス、クラウドサービスの仮想ホスティングに分かれる。
 
専用サーバサービス
同社が所有する物理サーバを、専用で利用できるサービス(さくらの専用サーバ等)。独自にサーバの設定が可能である事や、ソフトウェアのインストールに制約が無い事等、レンタルサーバサービスと比べて自由度の高い点が特徴。
レンタルサーバサービス
同社が所有する物理サーバを、複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)と、専用で利用できるサービス(「さくらのマネージドサーバ」)を提供。サーバの設定やソフトウェアのインストールに一定の制約があるものの、専門知識を要するサーバのメンテナンス等は同社が代行するため、利用者は作業負担を大幅に軽減する事ができる。
VPS・クラウドサービス
仮想化技術により、物理サーバ上に複数の仮想サーバを構築し、そのひとつひとつが専用サーバのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバ1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバお申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)を提供。物理サーバ(専用サーバサービスやレンタルサーバサービス)よりも自由度が高く、かつコストパフォーマンスに優れる。
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
12/3期は石狩データセンター1号棟が稼働した事で、レバレッジが拡大したものの、売上高当期純利益率及び総資産回転率が低下したため、ROEも低下した。続く13/3期、14/3期も、同センター2号棟への投資も含めて、積極的な設備投資が続いたため、売上高当期純利益率及び総資産回転率の低下が続いたが、15/3期は売上高当期純利益率が回復に転じると共に総資産回転率が底打ちした事でROEが改善した。石狩データセンターの稼働率が向上し一定の売上規模に達したため、先行投資を吸収して利益を増やせる体制が整ってきたためだ。有利子負債の返済やリース債務の支払いが進み、今後もレバレッジの低下が予想されるが、売上高当期純利益率と総資産回転率の改善を通してROEが向上していくものと考える。
もっとも、同社はこれまでのトレンド以上の成長を目指し、M&Aを含めて積極的に先行投資を実施していく考え。このため、更なる成長に向け、一時的にROEが低下する事もあるだろう。
 
 
2015年3月期決算
 
 
前期比5.3%の増収、同35.3%の経常増益
売上高は前期比5.3%増の105億76百万円。ハウジングサービス(以下、サービスを省略)の売上が26億87百万円と同13.8%減少したものの、VPS・クラウドが19億19百万円と同56.5%増加した他、レンタルサーバの売上も23億66百万円と同9.1%増加。専用サーバの売上も増収基調に転じ、26億97百万円と同0.6%増加した。

営業利益は同30.9%増の9億64百万円。サービス機材の増加や石狩データセンター拡張に伴う減価償却費・リース料の増加に加え、石狩データセンターの稼働スペースの拡大による修繕費(保守コスト)の増加やエンジニアの増員(エンジニアの強化策に基づく)に伴う労務費の増加もあったが、こうした先行投資を売上の伸びで吸収して原価率が1.7ポイント低下。販管費も、採用・教育費用、決済手数料が増加した他、営業人員も増員(営業の強化策に基づく)したが、全体としては同4.8%増と小幅な伸びにとどまった。

予想との比較では、売上面で、全サービスの売上が期初及び修正予想を達成。売上が上振れする中、運用改善による電力費の効率化、投資時期の見直し、及び機材の共通化等、コストの増加抑制策が成果をあげ、営業利益以下の各利益が期初予想及び修正予想を上回った。期初予想は、売上高104億50百万円、営業利益6億90百万円、経常利益5億50百万円、当期純利益3億30百万円。
 
 
 
15/3期は、営業強化が成果をあげ、第3四半期、第4四半期の売上が顕著に増加した。サービス別では、VPS・クラウドが前四半期比で10%前後の成長を続け、専用サーバ、レンタルサーバも増収基調を維持した。一方、新規参入による需給悪化(単価下落や解約の要因となる)とクラウドへの移行でハウジングは減収傾向が続いた(ハウジングの第3四半期は機材販売の寄与で第2四半期比増収)。

第4四半期は、ハウジングの売上が減少したものの、VPS・クラウドの売上が前四半期比10.1%増と伸び、専用サーバ(同2.4%増収)、レンタルサーバ(同3.1%増収)も堅調に推移した。ホスティングの3サービスは、平均単価が安定して推移する中、利用中件数が増加している。利益面では、データセンター設備・サービス用機器の投資に対応する賃料及び減価償却費・リース料が増加したものの、稼働率が向上したため、これら科目の売上比率を抑える事ができた。ハード面での投資に加え、エンジニアや営業人員の増員や契約社員の直接雇用化に伴う人材獲得費用といった人材投資に伴うコストの増加で営業利益は前四半期比で減少したものの、高い水準を維持した。
 
 
 
 
2015年3月末現在、月額料金10万円未満の顧客売上が全体の53.3%を占めており、小口顧客の売上構成比が高い。また、特定の業種に依存しない顧客構成となっている。四半期毎の推移をみると、月額料金1,000万円以上の大口顧客を安定的に確保する一方、小口顧客の取り込みが進んだ事がわかる。
顧客の小口分散に寄与しているのが、月額顧客単価が500円程度のレンタルサーバである。もっとも、レンタルサーバは単月売上高が2億円を超えているため、全体に及ぼす影響は少なくない。ハウジングサービスは大口顧客が多いため、解約によって売上が大きく減少するが、リスク分散されたレンタルサーバは安定収益源として貢献しおり(解約率も1.1%程度と低い)、ポートフォリオの充実度という点で重要な分野である。
 
 
期末総資産は前期末に比べて2億32百万円増の140億97百万円。借方では、CFの改善で現預金が増加する一方、設備投資を継続したものの石狩データセンターを中心に減価償却が進み有形固定資産が、ソフトウェアの償却が進み無形固定資産が、それぞれ減少した。貸方では、サービスの申込みに伴い前受金が、好調な業績を反映して未払消費税・未払法人税が、それぞれ増加する一方、借入金返済やリース債務の支払いにより有利子負債が減少した。自己資本比率は28.1%と前期末の25.1%から3ポイント改善。調達した資金でどれだけ効率的に利益を稼いだかを示す投下資本利益率(ROIC)は6.5%と前期の4.9%から1.6ポイント改善した。
 
 
利益の増加に加え、サービスの申込みに伴う前受金の増加等もあり、営業CFが29億10百万円と前期に比べて12億円弱増加(前期67.2%増)。一方、設備投資関連の支払いの減少で投資CFはマイナス幅が縮小し、前期は17億30百万円のマイナスだったフリーCFが23億69百万円の黒字に転じた。フリーCFの改善で新たな借り入れが抑制される一方、借入金の返済やリース債務の支払い等が進み財務CFは13億17百万円のマイナスとなった。
 
 
事業トピックと中期経営計画レビュー
 
【事業トピック】
(1)(株)Joe’sクラウドコンピューティングを子会社化
データセンター業界は2013年問題による需給の悪化で業界再編の機運が高まっている。同社は、自身の売上を伸ばす事を第1としつつも、これまでのトレンド以上の成長を目指して業績再編によるビジネスチャンスに積極的に対応していく。この一環として、4月1日に(株)Joe’sクラウドコンピューティング(大阪市北区)を子会社化した(81百万円で全株式を取得)。成長が鈍化し合従連衡が進むレンタルサーバ市場においてシェア拡大を図ると共に、SSLサーバ証明書等のノウハウ・技術の取り込みを図る考え。
 
(株)Joe’sクラウドコンピューティング(以下Joe’s社)の概要
14/6期  売上高3億33百万円、営業利益△26百万円、経常利益△26百万円、
     当期純利益△26百万円
     純資産26百万円、総資産86百万円

Joe’s社は、主にレンタルサーバをメインとするホスティング事業(共用・専用・VPS)、SSLサーバ証明書(注1)発行、及びドメイン取得等のサービスを提供しており、累計で、レンタルサーバ35,000 社以上、SSLサーバ証明書15,000件以上の取引実績を有する。SSLサーバ証明書は、さくらインターネット(株)がオプションサービスとして強化しているサービスであり、SSLサーバ証明書において有力な調達先を多数保有しているJoe's 社は強い味方となる。また、昨今注目されている仮想化技術の1つであるLinux Containers(LXC)(注2)や、チャットによる24 時間365 日のサポート体制等、さくらインターネット(株)が今後の拡充を検討している分野においても実績を有する。
 
 
(注1)SSLとは、Secure Sockets Layer の略称で、インターネット上で入力する個人情報やクレジットカード情報などを暗号化し、安全に送受信する技術。SSLサーバ証明書とは、ウェブサイト所有者の情報、送信情報の暗号化に必要な鍵、証明書発行者等の署名データを持った電子証明書。
(注2)Linux Containers(LXC) とは、一つのコントロールホスト上で、複数の隔離された Linux システム(コンテナ)を構築する、OS レベル仮想化のソフトウェア。
 
(2)パートナーシップの強化の進捗状況
パートナーは、同社のサービスを仕入れて販売するセールスパートナー、同社にない機能やサービスを持ち相互補完で販売できるソリューションパートナー、及び同社に商材を提供するプロダクトパートナー、の3タイプに分かれる。各パートナーの獲得が順調に進んだ事で、パートナーシップ戦略は準備段階から売上貢献段階に移行する。
 
 
(3)専用サーバサービスの増加及びクラウドとの併用ケースの増加
専用サーバは、クラウド・VPS等の仮想サーバの普及により売上が減少していたが、新サービス投入後は順調に推移し、直近5四半期連続で売上が増加した。また、パフォーマンスの安定性や高性能なDB・ストレージの活用といった機能面でのメリットやクラウドに比べ規模拡大に伴い料金が増加しにくいコスト面での優位性から専用サーバが見直されつつあり、クラウド(仮想サーバ)と専用サーバ(物理サーバ)を併用する顧客が増加している。
 
 
(4)付加価値の高いホスティングの強化
付加価値の高いホスティングの売上増で価格競争等によるハウジングの売上の落ち込みをカバーできる体制が整ってきた。
 
 
(5)石狩データセンター近況
1号棟(収容能力500ラック相当)は、引き続き高い稼働率を維持(15年3月末現在93.0%)している。1号棟比で収容能力を20%改善させた2号棟(同600ラック相当)はサービスを開始している120ラック相当の稼働率が順調に向上しており(同51.6%)、次ゾーン(120ラック)が5月に稼動を開始する予定。
 
 
(6)ホスティングサービスの強化
顧客ニーズの変化に対応するべく、機能強化とプラン改定を継続的に実施ており、15/3期はストレージサービスの強化とSSLサービスの拡充に加え、VPSサービスのWindows版の提供を開始した。
 
 
【中期経営計画(13/3期〜15/3期)レビュー】
コアとなるデータセンター事業のみで堅実に事業を拡大させ、一定の成果をあげたものの、目標値である「売上高成長率10%以上」、「売上総利益率30%以上」、「売上高経常利益率10%以上」には届かなかった。それぞれの重点課題については進捗しているものの、3ヶ年の最終年度において実行に移されたものも多く、実行スピード・推進力において課題を残した。
 
 
重点課題と進捗状況
「ITインフラ」、「テクノロジー」、「サービス」、「セールス」という4つの重点課題に対して下記の施策を講じた。

「ITインフラ」では、石狩データセンターにおいてトラフィックの増加に伴う回線コストの増加抑制策の実施や、異なるメリットのあるマルチリージョンでのサービスを開始した。「テクノロジー」では、直流給電による省電力システムの商用利用実験を実施した他、「高温超電導直流送電システム」構築(経済産業省の委託案件)にも協力した。また、運用コストの低減を図るべく運用の自動化も推進した。「サービス」では、プラットフォーム化によるクラウドと物理サーバの併用化、継続的な新プラン・新サービスの投入、サービスの機能強化の実施やコントロールパネルの改善、更にはパートナーシップによるサービスラインナップの拡充と言った施策を講じ、一定の成果をあげた。また、「セールス」では、イベント等による見込み顧客獲得の強化、既存顧客のフォローアップによる売上増加、パートナー制度の実施と売上貢献、及びスタートアップ支援による売上貢献策に取り組んでいる。
 
 
今後の展望と2016年3月期業績予想
 
(1)今後の展望
市場環境(国内データセンター市場)
調査会社によると、2013年から2018年にかけての国内データセンター市場の年平均成長率は6.6%。自社運用からデータセンターの利用にシフトする動きが更に進むと見ており、中でも、クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、東京オリンピック、IoT(Internet of Things)、4Kテレビ等が市場の成長を牽引するとしている。
 
 
今後の重点課題と施策
同社は、成長市場において競争優位を確保するための重点課題として、「売上高の成長」、「サービス・技術・運用の強化」、「コストの最適化」、及び「組織力・人材力の強化」、の4項目を挙げている。前期に成果を挙げた施策群を中心に、PDCAをショートサイクルで回転させ課題の解決に取り組んでいく考え。

「売上高の成長」では、施策として、営業強化、M&A・アライアンス等、グローバル展開を挙げており、このうち営業強化では、具体的な取り組みとして、パートナーシップの強化、新規顧客・既存顧客向け各施策の推進、及びエンタープライズ・大口顧客向けの強化を挙げている。「サービス・技術・運用の強化」では、開発ライン・開発スピードの強化、顧客が求める十分なサービスラインアップ・機能の提供、プラットフォーム化・サービス間連携、中長期的な競争優位性を確保するための研究開発、及びバリューチェーンの相互連携強化に取り組んでいく。「コストの最適化」では、省エネ、省力化・自動化、スケールメリットによるコスト低減を推進すると共に、機材の集約化による管理コスト低減及び購買力向上にも取り組んでいく。「組織力・人材力の強化」では、優秀な人材の採用、人材育成の強化、適切な報奨による適正な動機づけ、就業環境の整備、及び組織間の連携強化に取り組んでいく。

上記の課題を克服する事で、成長を加速させ、数年内に売上規模を15/3期比で倍増させたい考え。また、その過程で、「売上高成長率10%以上」、「売上総利益率30%以上」、「売上高経常利益率10%以上」の達成も目指す。
 
 
16/3期より連結に移行。前期の非連結決算との比較で、13.5%の増収、2.6%の経常増益
売上高は前期の非連結決算との比較で13.5%増の120億円。引き続きVPS・クラウド(現在主流の仮想ホスティング)の好調な推移が見込まれる中、新たなサービスの提供等による専用サーバ及びレンタルサーバ(従来型の物理ホスティング)の売上増やパートナーシップと営業施策の強化による新規受注も見込まれる。

利益面では、前期及び当期のデータセンター設備・サービス用機器の投資に対応して、電力費、保守コスト、回線コスト、減価償却費・リース料が増加する他、エンジニア人件費も増加するため、売上原価が同11〜12%増加する見込みだが、売上総利益率は1ポイント強改善する見込み。営業・販促スタッフ人件費や減価償却費を中心に販管費も同24%弱増加する見込みだが、売上総利益の増加で吸収して営業利益は10億50百万円と同8.9%増加する見込み。

前期に貸倒引当金戻入や助成金収入を計上していることから経常利益は8億80百万円と同2.6%の増加にとどまるものの、実効税率の低下等により当期純利益は5億90百万円と同14.2%増加する見込み。
配当は1株当たり10円の期末配当を予定している。同社は持続的な成長と安定した収益体質の実現による株式価値の向上及び安定配当の継続を両立する事を配当に関する基本方針としている。
 
 
今後の注目点
15/3期は、売上高が過去最高を更新し、営業利益と経常利益が過去最高に次ぐ水準に回復した。成長のけん引役であるVPS・クラウドサービスは、申込みから数分で納品するためあらかじめサーバを用意する必要があり、先行投資負担が大きい。加えてデータセンターの増設も続いたため、前14/3期までは減価償却の負担が重かった。15/3期も事業拡大のための先行投資が続いたが、VPS・クラウドサービスを開始するに当たって初期に投資した部分の減価償却が終了する事で同サービスの損益が大幅に改善した。また、専用サーバサービスが底打ちから増収に転じた事で、サービスの限界利益も増加したものと思われる。
同社は、M&Aも含めて、事業拡大に向けた投資を続けていく考えだが、よほどの大きな投資が無い限り、今後は先行投資負担を吸収して増益基調を維持できるものと考える。15/3期は1株当たり配当を5円から10円に増配したが、増配は今後の経営に対する会社側の自信の表れではないだろうか。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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