ブリッジレポート
(6050:東証マザーズ) イー・ガーディアン 企業HP
高谷 康久 社長
高谷 康久 社長

【ブリッジレポート vol.17】2015年9月期上期業績レポート
取材概要「HASHコンサルティング(株)を子会社化した事で、ネット上のリスク対策をワンストップで請け負う体制が整った。HASHコンサルティング(株)の代表・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年6月30日掲載
企業基本情報
企業名
イー・ガーディアン株式会社
社長
高谷 康久
所在地
東京都港区麻布十番1-2-3
事業内容
「Build Happy Internet Life」を経営理念に、ソーシャルメディアやソーシャルゲームの投稿監視やカスタマーサポートを展開。
決算期
9月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年9月 2,471 200 235 132
2013年9月 2,487 188 228 129
2012年9月 2,232 83 110 51
2011年9月 1,907 176 161 88
2010年9月 1,340 204 212 119
2009年9月 858 123 123 116
2008年9月 461 0 0 -5
2007年9月 362 15 15 -6
2006年9月 606 -9 -17 0
2005年9月 684 6 3 -133
2005年3月 1,425 79 77 43
株式情報(6/11現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,780円 1,613,853株 4,487百万円 12.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% 88.61円 31.4倍 715.22円 3.9倍
※株価は6/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
イー・ガーディアンの2015年9月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ソーシャルWebサービス(SNSやブログ等のソーシャルメディアや、ソーシャルゲーム、ソーシャルコマース等の双方向のコミュニケーションが介在する全てのインターネットメディア)の健全な運営や活性化に寄与するべく、メディアの監視やカスタマーサービス、更には広告審査業務や広告枠管理等のアド・プロセスサービスを提供している。実際のサービスは、厳格に設定された基準の下、厳選されたオペレーターによる高品質な目視による監視と投稿監視システム「E-Trident」等を駆使したシステムによる監視のハイブリッドで提供されており、社会通念上不適切と考えられるコメントや犯罪を誘引するようなコメントに目を光らせている。
 
 
【連結子会社4社を含め東京・大阪・宮崎・宮城の4都市に7拠点を展開(24時間365日の監視センターは6拠点)】
グループは、同社の他、ローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れるイーオペ(株)、人材派遣・紹介サービスのリンクスタイル(株)、デバッグ業務等を手掛けるトラネル(株)、及び2015年4月に子会社化した脆弱性診断サービスのHASHコンサルティング(株)の5社。尚、2015年5月、(株)パワーブレインはリンクスタイル(株)に商号を変更した。
 
 
【沿革】
1997年11月、コンテンツプロバイダー(株)ホットポットとして創業し、無料レンタル掲示板事業やレンタルサーバー事業を開始した。1998年5月に株式会社に改組し、同年7月に携帯電話向けコンテンツ配信事業を開始。現在の収益基盤である投稿監視事業は自社コンテンツの品質管理の一環として行っていた監視業務が発展したもので、コンテンツプロバイダーに対してサイトの健全運営を望む通信キャリアの要請が需要拡大の背景にあった。

2003年4月には掲示板投稿監視事業として営業を本格化し、2005年10月にはイー・ガーディアン(株)に商号を変更すると共にコンテンツ配信部門を会社分割して(株)エディア(東京都千代田区)に承継。サイト管理や運営支援のアウトソーシングサービスに経営資源を集中させる事で業容を拡大し、2010年12月に東証マザーズ市場に株式を上場した。

2012年6月にローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れるイーオペ(株)を子会社化。以後、グループとしての業容拡大を推進し、2014年9月に人材派遣・紹介サービスを手掛ける(株)パワーブレインを子会社化し(2015年5月にリンクスタイル(株)に社名変更)、2014年10月には社内で手掛けていたデバッグ業務の強化拡大を目的にトラネル(株)を設立。2015年4月には脆弱性診断サービスを提供するHASHコンサルティング(株)を子会社化した。
 
 
GREE(3632)との取引縮小(ピーク時は売上の約40%を依存)の影響や宮崎監視センターへの先行投資負担で11/9期、12/9期と減益が続いたが、13/9期以降は先行投資負担を吸収して利益を増やせる体制が整ってきた。
 
【事業区分と成長戦略】
事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセスの3業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。
 
 
ソーシャルサポート 14/9期売上高12億83百万円(売上構成比52%)
ソーシャルネットワークサービス(SNS)等のソーシャルメディアに対して、投稿監視やCS(ヘルプデスク等)に加え、多言語対応、運用、分析等の関連サービスを提供。人による目視監視(ヒューマンリソース)と、投稿監視システム「E-Trident」や自動識別型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」(14/9期第4四半期にリリース)といったITシステムの活用による高付加価値化と幅広いニーズの取り込みに力を入れている。
 
自動識別型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」
既にサービスを提供している投稿監視システム「E-Trident」は言語の監視を行うシステムだが、近年、動画や静止画のWebでの利用が一般化しており、これらの投稿に対する監視の必要性が高まっている(言い換えると、動画・画像解析によるフィルタリングシステムのニーズが増えている)。自動識別型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」は、こうしたニーズに応えたもので、東京大学原田研究室との共同開発の成果である。同研究室の画像認識技術、アノテーション技術(※)、及び追加学習機能と、国内NO.1の監視ノウハウを有する同社の大量かつ正確な教師データ(※)を融合する事で低コストかつ高品質なシステムを実現した。このシステムをベースにビッグデータ解析や児童ポルノ取り締まり等、サイト毎に最適なフィルタリングシステムを構築する事ができる(将来的には、ウェアラブルデバイスのツール、グーグルグラスのコンテンツ技術、更には自動運転の技術への応用も期待されている)。

※アノテーション技術とは、データに注釈となる情報をメタデータとして追加する技術
※教師データとは、機械学習の仕組みを構築する際の初期学習のデータの事。(いずれも同社資料より)
 
ゲームサポート  14/9期売上高8億87百万円(売上構成比36%)
ソーシャルゲームの運営に不可欠な監視、CS、アクティブサポートに加え、多言語対応等のサービスも提供している。新規顧客の開拓と既存顧客の深耕によるシェアアップと新たなサービスの育成で多様化するニーズを取り込んでいく考え。新規顧客の開拓と既存顧客の深耕で順調に売上を伸ばしており、新たなサービスの育成では、14年10月1日付けでデバッグ(プログラムの「バグ」と呼ばれる「誤り」を探し、取り除く事)業務を手掛ける戦略子会社トラネル(株)を設立した。脆弱性診断サービスを提供する連結子会社HASHコンサルティング(株)や資本業務提携先である日本マルチメディアサービス(株)との連携も含めて事業拡大を図る考え。
 
日本マルチメディアサービス(株)との資本業務提携
セガサミーホールディングス(株)傘下で10年を超える大規模コールセンター運営の実績を有する。Web投稿監視やCSサポート業務の経験と国内6拠点で24時間365日稼働する監視センターを有するイー・ガーディアン(株)と日本マルチメディアサービス(株)のインフラとノウハウを融合して相互活用する事で、新規顧客開拓や既存顧客での販路拡大に取り組むと共にコールセンター及び監視センターのコスト低減につなげていく。また、日本マルチメディアサービス(株)が強みを持つ遊戯機器系のデバッグ業務への展開も模索していく考え。この業務提携を促進するために、日本マルチメディアサービス(株)は、イー・ガーディアンの発行済普通株式の3%程度を市場買付等により取得した。
 
アド・プロセス  14/9期売上高2億99百万円(売上構成比12%)
広告審査業務、広告枠管理、入稿管理、及び広告ライティング等のサービスを手掛けており、広告入稿管理業務を円滑に実施するためのシステム開発とのセット販売等で競合他社との差別化に成功している。また、ネット広告市場の成長に合わせた新商材の開発や顧客へ常駐し業務を実施する常駐型案件の獲得にも注力している。
 
新規事業の育成
上記の他、新規事業として、人財分野とサイバーセキュリティ分野での事業育成に取り組んでいる。

人財分野はリンクスタイル(株)が核となる。具体的には、リンクスタイル(株)がイー・ガーディアンに代わり人材を採用・育成し、グループ内企業に人財を供給すると共に、顧客先常駐(派遣型)ニーズに応えていく。

サイバーセキュリティ分野は、2015年4月に子会社化したHASHコンサルティング(株)が核になる。監視、サポート、デバッグといった既存サービスとHASHコンサルティング(株)が提供する脆弱性診断サービスをセットで提供する事でサイトの安心安全を総合的に提供すると共にグループシナジーを追及していく。
 
【優れた財務体質と上場企業の平均を大きく上回るROE】
(1)財政状態
投稿監視におけるパイオニアとしての実績や、投稿監視システム「E-Trident」及び自動識別型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」によるIT化での差別化に加え、流動性に富み、かつ長期的な安定性にも優れた財務体質も同社の強みの一つである。15/9期上期末実績で、短期的な支払い能力を示す流動比率は290.5%、長期的な財務の安全性を示す固定比率は19.1%、自己資本比率は59.8%。また、調達した資金でどれだけ効率的に利益を稼いだかを示す投下資本利益率は14/9期通期実績で18.2%。
 
 
*ROE =売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ(自己資本比率の逆数)
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記レバレッジは必ずしも一致しない)。
 
14/9期のROEは12.3%。資本の充実が進む中、依存度の高かった大口顧客との取引縮小の影響を吸収して高い水準を維持した。

デバッグ・検証とネット監視の大手であるポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス(3657)のROEと同水準だ。ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングスの15/1期の売上高は147.5億円。ネット監視の事業規模は互角以上だが、デバッグ・検証で差を付けられている(ソニー・プレイステーションやパチスロ等のデバッグに強みを持つようだ)。子会社を設立して強化するデバッグ業務の今後の展開にも期待がかかる。

また、デバッグを主力とし、システム開発やゲーム系の開発も手掛けるハーツユナイテッドグループ(3676)とは、レバレッジの差がROEの差になっている。売上高当期純利益率や総資産回転率については、売上高が130億円を超えるハーツユナイテッドグループと遜色がない。
 
 
 
2015年9月期上期決算
 
 
前年同期比14.6%の増収、同16.6%の経常増益
売上高は前期比14.6%増の14億04百万円。コンシューマー向けゲーム大手の新規案件獲得やソーシャルゲーム関連の増加に加え、子会社を設立して取り組みを本格化したデバッグ業務の寄与もあり、ゲームサポートが同13.6%増と増収をけん引。国内インターネット広告市場の拡大を追い風にアド・プロセスが同31.9%増と高い伸びを示した他、システム化によるサービスの高付加価値化に取り組んでいるソーシャルサポートも同2.3%増と堅調に推移。この他、人材派遣・紹介を手掛けるリンクスタイル(株)の寄与も大きかった。
利益面では、人工知能型画像フィルタリングシステム「ROKA SOLUTION」の機能強化(対応分野拡大)に加え、リンクスタイル(株)の体制整備やデバッグ業務等を手掛けるトラネル(株)の立ち上げ等もあり、営業費用が同13.9%増加したものの、売上の増加と監視体制の再編効果等による売上総利益率の改善(28.3%→29.9%)で吸収。営業利益は1億19百万円と同23.5%増加した。四半期純利益が減少したのは、税効果会計の影響による。
 
 
2014年9月に人材派遣・紹介サービスを手掛ける(株)パワーブレインを子会社化した(2015年5月にリンクスタイル(株)に商号変更)。同社のノウハウや人財データベースを活用してグループ各社にスムーズな人財供給を行うと共に、顧客に人材派遣・紹介のサービスを提供していく考え。また、2014年10月にトラネル(株)を設立してデバッグ事業に本格参入した。これにより、拡大が続くソーシャルゲーム市場において、リリース前(トラネル(株)によるデバッグ業務)からリリース後(イー・ガーディアン(株)によるサポート対応)まで、ワンストップでサービスを提供できる体制が整った。
この他、人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」に3種類の機能(2014年11月:コンテンツ連動型広告対策用フィルタ、不適切コンテンツ判定フィルタ、2015年1月:模倣品検知システム)を追加した。既に大手ブログサービスや画像共有サービス等のユーザー投稿型メディア4社へ提供を開始している。
 
 
第1四半期、第2四半期共に二桁の増収となり、特に第2四半期は四半期ベースで過去最高の売上を記録。利益面では、先行投資負担を吸収して高い水準の営業利益を維持した。
 
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて2億30百万円増の16億54百万円。フリーCFの黒字化や借り入れを行った事等で現預金が増加した。
 
 
営業CFは、税引前利益の増加に加え、資金効率の改善により1億34百万円の黒字。有形固定資産の取得や保証金の差し入れ等による資金を賄いフリーCFは1億15百万円の黒字を確保した。HASHコンサルティング(株)の株式取得を控えている事もあり、1億円の短期借り入れを行ったため、財務CFも黒字となった。

尚、2015年3月11日開催の取締役会において、サイバーセキュリティを専門とするHASHコンサルティング(株)の全発行済株式を取得する事を決議し、同年4月1日に同社の全発行済株式を取得した。監視、サポート、デバッグといった既存サービスとHASHコンサルティング(株)が提供する脆弱性診断サービスをセットで提供する事で、クライアントが抱える多くの課題解決に貢献していきたい考え。
 
HASHコンサルティング(株)
代表者   :徳丸 浩
本店所在地 :東京都港区麻布十番
       1丁目2番3
設立    :2008年4月
資本金   :5百万円
代表者の徳丸 浩氏は1985年に京セラ(株)に入社し、ソフトウェアの開発、企画に従事。2008年に独立した。現在、京セラコミュニケーションシステム(株)技術顧問や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)非常勤研究員も務める。
 
 
2015年9月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比13.7%の増収、同6.1%の経常増益予想
通期業績予想を据え置いたが、同社グループの関連市場である掲示板やブログ・SNS等のコミュニティサイトを含むインターネットメディアは引き続き市場の成長が予想され、同社の下期の業績も堅調な推移が見込まれる。
 
(2)配当は未定
現状では今期の配当は未定だが、財政状態及び経営成績、設備投資計画等を勘案しつつ前向きに検討していくものと思われる(1株当たり配当金の実績は、13/9期:10円、14/9期:12円)。同社は、利益配分について、「企業価値の継続的な拡大を念頭に株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、業績と市場動向に応じて、継続的かつ安定的に実施していく」としている。
 
(3)下期のセグメント別取り組み
ソーシャルサポート
市場の拡大や変化に適合したサービスの提供と人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」の機能強化に取り組む。「ROKA SOLUTION」の機能強化では、フリマアプリ等C to Cサービス向けにレコメンドフィルタ機能を追加する。尚、「ROKA SOLUTION」は既存機能として、児童ポルノ撲滅フィルタ、コンテンツ連動型広告対策用フィルタ、不適切コンテンツ判定フィルタ、模倣品検知システムを搭載している。
 
 
ゲームサポート
引き続き既存大手顧客の深堀りに取り組むと共に、トラネル(株)のデバッグ業務とHASHコンサルティング(株)の脆弱性診断新サービスの拡販に取り組む。
 
 
アド・プロセス
スマートフォン向けを中心にネット広告市場の拡大が見込まれ、既存顧客へのクロスセル強化やリンクスタイル(株)による人財強化に取り組む。
 
 
新分野(サイバーセキュリティ分野)
Webサイト改ざんやインターネット不正送金事件等、インターネット・セキュリティに対する脅威は年々増加している。監視、サポート、デバッグといった既存サービスとHASHコンサルティング(株)が提供する脆弱性診断サービスをセットで提供する事でサイトの安心安全を総合的に提供すると共にグループシナジーを追及していく。
 
 
 
今後の注目点
HASHコンサルティング(株)を子会社化した事で、ネット上のリスク対策をワンストップで請け負う体制が整った。HASHコンサルティング(株)の代表を務める徳丸浩氏はサイバーセキュリティの第一人者であり、イー・ガーディアン(株)の高谷社長の京セラ時代の同僚でもある。これまで外注先として取引があったが、今後は一体となってシナジーを追及していく事になる。「インターネットのセコム」を目指す同社にとって、ビジネスチャンスの拡大に加え、ブランド力を高める上でも、脆弱性診断をサービスラインナップに加える事の意義は大きい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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