ブリッジレポート
(3189:JASDAQ) ANAP 企業HP
家 利康 社長
家 利康 社長

【ブリッジレポート vol.6】2015年8月期第3四半期業績レポート
取材概要「前回レポート報告時は「第3四半期(3-5月)期間中9店の退店予定で、その後、来期第1四半期(2015年9−11月)までには収益改善の見込めない店舗10店・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年8月4日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ANAP
社長
家 利康
所在地
東京都渋谷区神宮前2-31-16
事業内容
主に10代−20代をターゲットとしたレディースファッション企業。基幹ブランド「ANAP」を中心に全国展開。EC比率が30%超であり、ANAPオンラインショッピングサイトの販売力が強み。
決算期
8月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年8月 8,844 -480 -459 -386
2013年8月 8,590 402 621 261
株式情報(7/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
630円 2,130,366株 1,342百万円 -17.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - -373.71円 -倍 693.12円 0.9倍
※株価は7/10終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROEは前期末実績。BPSは直近四半期末。
 
株式会社ANAPの2015年8月期第3四半期決算概要などについてご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
10〜20代の女性を主要顧客層とし、「ANAP」ブランドを中心としたリーズナブルなカジュアルファッションを提供。顧客が「ファッション」を「オンタイム」で楽しめることが何より重要との企業理念を掲げる。「ANAP」を始め18の主要ブランドで1万を超える豊富なアイテムを少ロットで供給。これにより年間を通して安定した売上を確保できるビジネスモデルが大きな特徴。「ブランド認知度の高さ」、「オンラインショッピングサイトの販売力」も大きな強み。大手ショッピングモールを中心とした店舗販売と、自社サイト「ANAPオンラインショップ」を通じたインターネット販売が収益の柱。
 
 
1992年、現代表取締役会長の中島 篤三氏が「株式会社エイ・エヌアートプランニング」を設立し、小売業をベースとしたマーケット・イン型企業として店舗を展開。個性的でリーズナブルな普段使いの衣料品を展開する「ANAP」は、ファッションに敏感な10代〜20代の女性から高い支持を得る。
一方、当初より同社専務取締役であった現 代表取締役社長の家 利康氏が運営する「株式会社ヤタカ・インコーポレーテッド」は、製造・卸によるプロダクト・アウト型企業として自社ブランドを展開していたが、フランチャイズとして「ANAP」ブランドの販売にも参画し、フランチャイズ11店舗を出店。両社は緊密な協力関係を構築していった。
両氏ともにファッション業界を取り巻く時代の変化を感じる中、お互いの強みを融合させることにより強力なシナジー効果を追求することができ、それが今まで以上に顧客目線を重視した経営に繋がると判断し、2006年8月、両社は合併。翌2007年、社名を現在の「株式会社ANAP」に変更した。
「ANAP」をメインブランドとしながら、コンセプトの異なる多種多彩なサブブランドを展開して、幅広い顧客ニーズをとらえると共に、原宿、渋谷など首都圏を起点としつつ、イオンモールなど大型ショッピングモールへの出店も進めて全国へ店舗を展開。
2002年1月には独自の自社ブランド販売サイト「ANAPオンラインショップ」を開設するなど、業界の中でもインターネット販売にいち早く着手し、2013年9月には、(株)スタートトゥデイ(東証1部、3092)が運営するアパレル専門ネット通販「ZOZOTOWN」への出店も開始。2013年11月、東京証券取引所JASDAQ市場に上場した。
 
【企業理念など】
企業理念として以下のコンセプトを掲げている。『「ファッション」とは、その時楽しいことが何より重要』
『お客様が「ファッション」を「オンタイム」で楽しめることが何より大事』
『現在(いま)であることにこだわり、欲しいものが手頃な価格でいつでも手に入る「リアルクロージング」のお店』
 
この企業理念に基づき、「たくさんある品物の中から自分の好きなものを探したい」、「同じ洋服を着た人に会いたくない」という消費者の気持ちに対応するべく、「多品種・少ロット」販売にこだわりを持っている。
 
【市場環境】
同社の主要顧客層は10代〜20代の女性。同社の調べによれば、アパレル業界においては市場全体の約6割強を占める婦人服市場に属している。
また、婦人服の販売チャネルでは、百貨店が下降傾向にあるのに対し、専門店、ネット販売等が上昇傾向にあり、今後もインターネットを通じた販売の比率(EC化率)も上昇が予想されている。

こうしたことから、同社では後述するように、インターネット販売の売上構成比の拡大を目指して様々な取り組みを進めている。
 
【事業内容】
メインブランド「ANAP」を中心に、リーズナブルにおしゃれを楽しみたいという、多様なニーズをとらえるため、幅広い年齢層から支持されている全国ブランド、定番もの、流行もの、個性的アイテムまでコンセプトの異なるサブブランドを数多く展開している。豊富なアイテム数とリーズナブルな価格設定が特長となっている。
近年は新しい年齢層のKIDSやGIRLに注力しながら、アクセサリーやバック、小物類についてもブランドとして扱っている。2015年5月末現在、ANAPを始めとした20の主要ブランドを展開。これを店舗、インターネット、卸の3形態で販売している。
 
 
(1)店舗販売事業
「2014年8月期 売上高 5,423百万円(売上構成比 61.3%)、セグメント利益 289百万円」
「ANAP」とそのサブブランド等からなるANAPブランドの主要な販売チャネルとして原宿や渋谷等に位置する路面の旗艦店舗、各地のファッションビルおよび郊外に位置する大型ショッピングモールへの出店など、全国に76店舗を展開している。(路面店 14、ファッションビル 8、ショッピングモール 54。2015年5月末現在)
「顧客にANAPブランドの魅力を実感してもらうためのチャネル」として重視すると同時に、「市場動向、流行、顧客ニーズを掴むためのアンテナ」、「インターネット販売への導線」として位置づけている。
 
 
店舗展開に関しては、ショッピングモールへの出店を戦略の中心としている。
その理由の一つが効率の高さ。オーナーに支払う売上歩合の一般的な比率は、ファッションビルに対し、ショッピングモールは約半分となっており、ショッピングモールへの出店は効率性の点で大きく上回る。
2000年に入りショッピングモールの建設が地方を中心に増加していった当初、繁華街や一等地への出店を志向するファッション業界の同業他社はモールへの出店には消極的であったが、米国型のフロア効率の良いビジネスを目指した同社は積極的に出店を進めていった。
こうした姿勢がショッピングモール側からも評価され、中でもイオンモールとは2004年に第1号店として「イオンモールりんくう泉南店(大阪府)」を出店して以来長期間にわたる信頼関係を構築しており、円滑な新規出店戦略遂行の大きな支えとなっている。
また多数のアイテムを有する同社にとっては1店舗当たりの面積が広いショッピングモールの方が、効果的なディスプレイを行う上で適しているという側面もある。
出店を検討するに際しては投資回収期間を個別案件ごとに判断し、役員会での承認を絶対条件としている。
 
 
(2)インターネット販売事業
「2014年8月期 売上高 2,832百万円(売上構成比 32.0%)、セグメント利益 529百万円」
業界に先駆けて2002年1月より「ANAPオンラインショップ」としてANAPブランドのショッピングサイトの運営を開始した。2015年2月末の会員数は72.6万人。うち、過去1年以内に購入実績のあるアクティブ会員数は13.5万人となっている。

常時1万アイテム以上の自社商品を品揃えしながら、ANAPカラーを全面に押し出したPOPなデザインのサイトで、ターゲットとする年代層が興味を持つ音楽や映画等の海外エンターテイメント情報を提供している。
ファッション雑誌を見ているかのような感覚や、ウィンドウショッピングを楽しんでいるかのような感覚になれることを意識して、掲載商品をコーディネートし、顧客が自ら着用した姿をイメージしやすくするといったサイト作りに力を入れている。
 
 
同サイトはいわゆるセレクト型のインターネットショッピングサイトとは異なり、システムに詳しい家蘯卍梗らが深く関わり自社開発したシステムによって構築されたサイトである点が大きな特徴となっている。
受注管理、売上管理、在庫管理、購入分析などを自社で一元的に管理している他、自社開発であるため、新たな機能の追加や従来機能の改善が容易であるというメリットがある。例えば、オンラインショップ担当スタッフが発案した顧客に楽しんでもらうためのアイディアや、顧客からのリクエスト等を即座にサイト上に反映して表現することができる。同社の商品戦略を機動的に実現する重要な仕組みとなっている。

同サイトにアクセスしてみると、例えば、「期間限定の950円均一セール」、「会員限定の送料無料キャンペーン」といったイベントが行われていることが分かるが、その内容は随時、極論すればアクセスの度に異なっており、その動的コンテンツのためにユーザーにとって魅力的なWebsiteとなっている。
こうした仕組みも自社開発したシステムによる自動プログラミングで実行されているため、極めて効率的にキャンペーンを展開することが出来るようになっている。

また、消費者のユーザビリティーを常に考慮し、使用デバイスとしてもPC、携帯を経ていち早くスマートフォン、タブレットへの対応も進めてきた。スマートフォンではデータ量の大きい画像への対応が必須だが、クラウドの利用などでこの課題をクリア。この結果、スマホ・タブレット受注割合は2015年5月で83.1%と極めて高い。

同社では中期的な経営目標として「インターネット販売事業の売上構成比50%超」を掲げている。
そのためには自社サイトのみでなく様々なサイトに多くのアイテムを出品する必要があるとの考えから、2013年9月には、(株)スタートトゥデイが運営するアパレル専門ネット通販「ZOZOTOWN」への出店も開始した。同様な理由で、卸売販売としてネット通販大手「Amazon」にも出店している。
加えて、2014年5月28日からは、クルーズ株式会社が運営するファストファッションサイト「SHOPLIST.com by CROOZ」における販売を開始している。
 
(3)卸売販売事業
「2014年8月期 売上高 588百万円(売上構成比 6.7%)、セグメント利益18百万円」
全国のセレクトショップ向けに卸売販売を行っている。「ANAP」の各ブランドは他社バイヤーに対しセレクト商品を納品し、「Factor =」、「AULI」、「Romeo y JuLieta」のブランドについては展示会受注によって商品を納品している。
売上規模は大きくないが、業界のトレンドに加え、大手アパレルやバイヤー動向などの情報を収集するための重要な機会と捉えている。
 
【特長と強み】
安定性を生み出すビジネスモデル
同社では、専属バイヤーがアジアを中心とした現地に出向いて日本のユーザーのニーズを捉えると判断した衣料品等のサンプル品を仕入れ、同社独自のデザインを施し、中国や香港の専門業者に生産を依頼というスタイルが中心となっている。(一部、為替リスク回避のため商社仕入も実施。)
このため、大きなコストを掛けることなく多品種・少ロットでの生産および商品展開が可能になっており、一つの商品の好不調が売り上げ全体に大きく影響しにくい構造となっている。

また、前述のように多彩な独自ブランドを並行して展開しているため、各ブランドのシーズン毎の好不調を全体としてカバーすることができる。

このように、「多彩なブランド展開」と「多品種・少ロットでの豊富な品揃え」により年間を通して安定した売上を確保できる点が同社のビジネスモデルの大きな特長・強みとなっている。
 
①ブランド力・ブランド認知度
創業時から変わらない「個性的でリーズナブルな普段使いの衣料品」というコンセプトやブランドカラーを継続している一方、商品の入れ替わりが早く、消費者にとっては常に新鮮な品揃えとなっている。また、テレビや雑誌などメディアへの露出度も高い。
こうしたことからブランドの魅力が向上し、直営店舗における販売力の向上と、オンラインショップにおける集客力の向上に結び付いている。
イオンモール、ZOZOTOWNおよびネット通販大手「Amazon」に出店が可能なのは、同社商品が低価格ではあるが「ブランド」として認知されているためといえるだろう。
 
②多彩な商品バリエーションとスピーディーな供給力
同社では多彩な商品をスピーディーに取り揃えるために、仕入(直接買付)の場において現場主義を取り入れている。これは、仕入を行う際、経験豊富な本部のバイヤーに、店舗の店長スタッフが帯同するというもので、市場動向、流行、顧客ニーズを素早く仕入に反映させることにより、販売機会のロス低減につなげている。
加えて、次世代バイヤー育成の意図も含んでいる。

また、同社の海外仕入れに関するリードタイム(発注から仕入れまでの期間)は大変短く、特に売れ筋商品に関するリピートオーダーがあった際に大きなメリットをもたらしている。
 
③魅力ある店舗づくり
同社の店舗では、「幅広いターゲット層」を対象に、「個性的な商品」を「ポップなオリジナルカラー」で取り揃えている。加えて、スタッフはそれぞれがANAP商品を着こなしており、店舗内でANAPブランドの世界観を構築している。
こうした演出により顧客に対し楽しいショッピングの機会と商品を選ぶ楽しみを提供している。
 
④オンラインショッピングサイトの販売力
業界に先駆けてインターネット販売に取り組んできた同社だが、業界紙「繊研新聞社」の調査によれば、2013年度のアパレル通販専業を除くアパレル専門店を対象としたネット通販売上高ランキングにおいて、同社はまだ小規模な企業ながらも、第19位にランキングされている。
同社の有するブランド力と、前述したように自社開発システムによる高い機動性を活かした独自のインターネット販売への取り組みが、こうした実績に結び着いていると言えるだろう。
 
 
 
2015年8月期第3四半期決算概要
 
 
既存店売上の減少や店舗リストラクチャリングによる退店で減収
売上高は前年同期比7.9%減の58億円。インターネット販売は2桁の増収と引き続き好調だったが、店舗販売事業において既存店売上高の減少や店舗リストラクチャリングによる退店の影響で減収だった。第3四半期(3-5月)期間中に、たな卸資産評価損72百万円を売上原価に計上した。評価損を計上した商品は6-8月にセール品として販売する予定。粗利益の減少に加え、他社サイトにおける販売増加に伴い販売代行手数料を含む業務委託費増などにより、営業損失幅は前年同期よりも若干増加した。
第2四半期までに役員退職慰労引当金の全額取り崩し377百万円、業績下方修正を踏まえた繰延税金資産415百万円の全額取り崩しを行ったことに加え、第3四半期(3-5月)期間中に事業用資産の収益性低下による減損損失85百万を新たに計上したため累計の減損損失は214百万円となり、四半期純利益は701百万円の損失となった。
 
 
◎店舗販売事業
ショッピングモールへ今期累計5店舗新規出店した一方、同24店舗退店し、第3四半期末店舗数は76店舗となった。第3四半期(3-5月)は出店0、退店12。今期累計の店舗改装は2店舗、店舗ブランド変更は4店舗だった。
減収に伴い営業利益も大幅に減少した。
 
◎インターネット販売事業
積極的な商品供給を継続した。「ZOZOTOWN」、「SHOPLIST.com by CROOZ」、「LINE@」など他社サイトや他社媒体を通じ売上高は堅調に増加。ネット販売の売上高構成比は第3四半期累計で41.1%、第3四半期(3-5月)期間では41.3%となった。他社サイト売上の増加に伴い支払手数料は増加したものの増収効果で吸収し、セグメント利益は増加した。
 
 
引き続き、他社ECモールでの売上を今後も増加させるとともに、自社ショッピングサイトの集客力向上にも注力する。今期第4四半期(6−8月)にはインターネット販売事業売上高が店舗販売事業売上高を上回ると会社側は考えている。
 
◎卸売販売事業
既存取引先への販売が減少し減収となった。
 
 
現預金や売上債権が減少したが、たな卸資産が前期末比414百万円増加し、流動資産は同118百万円増加した。退店・閉店による建物、敷金および保証金の減少等で固定資産は同657百万円減少し、資産合計は同539百万円減少した。
仕入債務や短期借入金の増加により流動負債は同743百万円増加した一方、固定負債は役員退職慰労引当金の全額取崩しなどにより同582百万円減少した結果、負債合計は同161百万円増加した。
損失計上に伴い利益剰余金が減少し純資産は同701百万円減少。この結果、自己資本比率は33.7%と、前期末より10.5%低下した。
前回レポートでも触れたように、春夏ものに強みを持つ同社として販売機会を逃さないよう、早目に商品確保を行った結果、今第2四半期末のたな卸資産は前年同期比113百万円増加したが、今第3四半期末は同70百万円増となっており、計画通りほぼ前年並みに抑制できた。
 
 
2015年8月期業績予想
 
 
減収で損失幅は前期並み。
業績予想に変更は無い。営業損失はほぼ前期並みだが、減損損失の計上、繰延税金資産取崩しにより当期純損失は前期を上回る予想。
 
 
今後の注目点
前回レポート報告時は「第3四半期(3-5月)期間中9店の退店予定で、その後、来期第1四半期(2015年9−11月)までには収益改善の見込めない店舗10店舗以上の退店を計画」ということだったが、今第3四半期(3-5月)期間の実際の退店は12店舗となり、不採算店舗の整理は順調に進んでいるようだ。
また、今期はセール販売よりも利益確保を重視して粗利率の改善を目指しているが、これも第3四半期期間、第3四半期累計ともに前年同期を上回っており、事業基盤の整理は確実に進んでいるようだ。
もう一つの注目点であるインターネット販売事業について、同社は、第4四半期(6-8月)期間には売上構成比が50%超えると予想しているが、その結果を注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2017 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.33 | ブリッジレポート:(4317)レイ vol.32»

ブリッジレポート(バックナンバー)
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE