ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.33

(4829:東証1部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート vol.33】2015年5月期業績レポート
取材概要「新たに設立した山口再エネ・ファクトリー(株)を通して参入するスマートコミュニティ事業は興味深い。太陽光エネルギーによる電力事業を安定・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年8月4日掲載
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年5月 4,508 335 340 437
2013年5月 4,134 372 391 354
2012年5月 2,790 304 318 170
2011年5月 2,370 266 283 168
2010年5月 2,147 150 173 77
2009年5月 2,475 292 317 175
2008年5月 3,123 572 578 272
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(7/14現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
331円 40,516,700株 13,411百万円 3.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3.00円 0.9% 4.69円 70.6倍 126.65円 2.6倍
※株価は7/14終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
日本エンタープライズの2015年5月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
モバイルソリューションカンパニーを標榜。生活実用系や交通情報等のコンテンツを制作しスマートフォン等に配信するコンテンツサービス事業と、企業のコンテンツ制作・運営、システム構築、広告(店頭アフィリエイト)、リバースオークションやIP電話といった業務支援サービス(コスト削減ソリューション)等のソリューション事業が2本柱。また、日本のコンテンツを世界へ広げるべく海外展開にも力を入れており、中国とインドに事業基盤を有する。
2001年2月16日に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)へ株式上場。2007年7月10日の東京証券取引所市場第二部への市場変更を経て、2014年2月28日に同市場第一部の指定を受けた。
 
【経営理念】
同社の経営理念は「綱領・信条・五精神」及び「日エン経営原則」に刻まれており、「これを繰り返し学ぶ事で基本理念を永遠に堅持していく」事が同社社員の責務。こうした正しい考えと正しい行動の下にこそ、長い目で見た「株主価値の極大化」、すなわち「資本という大切な“お預かりもの”を1円もムダにせず、最大化していくことが可能である」と言うのが同社を率いる植田社長の考えである。
そもそも同社は、「社業を通じて社会のお役に立ちたい」という強い一念から植田社長が興した会社であり、様々なIT機器を通して便利で面白い多種多様なコンテンツを制作し提供する事でユーザーの満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している。
こうした植田社長の経営哲学の下、創業初年度の経常利益は、ほぼ全額が日本赤十字社・各地社会福祉協議会・児童養護施設等に寄付され、東日本大震災の折には、被災した方々の支援と東北地方の復興に寄与するべく日本赤十字社に寄付が行われた。
 
綱領
我々は商人たるの本分に徹しその活動を通じ社会に貢献し、文化の進展に寄与することを我々の真の目的とします。
 
信条
我々は以下に掲げる五精神をもって一致団結し力強く職に奉じることを誓います。
 
日本エンタープライズ株式会社の遵奉する精神
一、商業報国の精神
一、忘私奉職の精神
一、収益浄財の精神
一、力闘挑戦の精神
一、感謝報恩の精神
日エン経営原則

1. 心を高める経営を行う
2. 衆知を集めた全員経営を行う
3. 公明正大に利益を追求する
4. 原理原則にしたがう
5. お客様第一主義を貫く
6. 経営家族主義で経営する
7. 実力主義に徹する
8.「協力し、信頼する仲間」をベースに
  仕事を進める
 
 
【企業グループ 連結子会社8社、非連結子会社4社】
グループは、広告事業を手掛ける(株)ダイブ、音楽事業等を手掛けるアットザラウンジ(株)、交通情報を中心にした情報提供の交通情報サービス(株)、Web・Mobileサイト開発・保守及びコンテンツ開発等の(株)フォー・クオリア、ネイティブアプリを主としたモバイルコンテンツ事業を手掛ける(株)HighLab、中国事業の統括に加え、携帯電話販売店を手掛ける因特瑞思(北京)信息科技有限公司、モバイルコンテンツの企画・開発・配信の北京業主行網絡科技有限公司、IT系の教育事業を手掛ける瑞思創智(北京)信息科技有限公司の連結子会社8社、及び音声通信関連ソリューションを手掛ける(株)and One、スマートフォン向けアプリケーション企画・開発等の(株)会津ラボ、モバイル向けコンテンツ配信やキャラクタライセンス事業の瑞思放送(北京)数字信息科技有限公司、インド現地法人NE Mobile Services(India)Private Limitedの非連結子会社4社。
※16/5期より、「(株)and One」「(株)会津ラボ」は、連結化。
※また、2015年6月に設立した、スマートコミュニティ事業を手掛ける山口再エネ・ファクトリー(株)、同年7月に第三者割当増資を引き受け子会社化した、スマホの自動キッティングツール事業等の(株)プロモートは、16/5期に、非連結子会社2社として追加。(直近:連結子会社10社、非連結子会社4社)
 
【特徴・強み】
同社の特徴であり、強みにもなっているのが “自社開発へのこだわり”である。配信するコンテンツを自社開発する事で「提供するコンテンツの権利を自社で保有(高い収益性を実現できる)」する同社独自のビジネスモデルをベースとしている。そして携帯電話販売会社との協業による成功報酬型コンテンツ販売(独自に開発した店頭アフィリエイト)システムと連動させる事でコンテンツの拡販を図っている。加えて、この経験値が企業のモバイル活用ソリューションに活かされている。
 
コンテンツの一例
『女性のリズム手帳』 女性にとって大切な生理日管理に特化したアプリです。生理サイクルの記録・管理をはじめ、妊娠しやすい期間・生理日・排卵日の予測など様々な情報やアドバイスを提供。
『ATIS交通情報』 高速道路及び一般道路の独自の交通情報や、乗換案内、運行・遅延情報の鉄道情報やその他、駐車場・フェリー・お天気等の便利な情報が満載。
 
 
成長戦略
 
コンテンツサービス事業では、キャリアの公式サイトや定額制コンテンツ等で収益基盤の拡充を図る一方、メッセンジャーアプリとの相互連携による「ネイティブアプリ」(注)の「コンテンツプラットフォーム」をグローバルに展開していく。一方、ソリューション事業は、スマートデバイス関連の受託開発、業務支援サービス、広告(店頭アフィリエイト)、及び協業(アライアンス型)を成長ドライバーとして事業を拡大させていく。

(注)ネイティブアプリとは、スマートフォン等の端末にダウンロードして端末上で動作させるアプリ。フィーチャーフォン(FP)では、端末の性能上、ダウンロードせずにブラウザー上(サービスプロバイダーのサーバ上)で動作させるブラウザアプリが利用されていた。
 
 
足元、キャリア定額制サービス向けやキャリア公式サイトでの月額課金によるアプリの提供といったスマートフォン(以下、SP)向けサービスが堅調に推移しており、第4四半期(3-5月)はSP向けの売上高がセグメント売上高の71%(第3四半期:69%)を占めた。
 
キャリア定額制サービスの拡大
アプリを提供しているキャリア定額制サービスは、「auスマートパス」(KDDI)、「スゴ得コンテンツ」(NTTドコモ)、「App Pass」(ソフトバンクモバイル)、「アプリ超ホーダイ」(ソースネクスト)等。コンテンツの追加投入や新たな定額制サービスに提供する事で、引き続き増収基調を維持していく考え。15/5期第4四半期は、「熱血!ヤンキー体育祭」、「弱虫ペダルスゴロク」(共にauスマートパス)、「なでしこFan!!」(スゴ得コンテンツ)、「夏目友人帳ニャンコ先生と遊ぼう」(App Pass)の提供を開始した。
 
アプリを提供している主なキャリア定額制サービスと提供コンテンツ
 
提供するコンテンツ数は定額サービスで先行した「auスマートパス」向けが最も多いが、「auスマートパス」で人気の高いコンテンツを、「スゴ得コンテンツ」や「App Pass」等に順次展開していく考え。
 
 
ネイティブアプリのラインナップ拡充 -キャリア公式サイトを離れた同社のプロパービジネスの育成-
ゲーム(ネイティブゲーム)、ツール(他のアプリと連動するツールアプリ)、ヘルスケア(女性の心と体の健康サポートアプリ)、コミュニティ(スケジュールの共有や掲示板形式のコミュニティアプリ)等のジャンルを強化すると共に、これらのアプリとメッセンジャー(無料チャットアプリ「Fivetalk」)との連携を図る事でシナジーを追及していく(スマートフォン向け「コンテンツプラットフォーム」の展開)。
 
 
16/5期の施策
15/5期は第4四半期に、「ハニープラス」(Android版、iOS版)、「PasteLius」(Android版)、「ウチの旦那はイケてない」(Android版、iOS版)の3アプリを投入する等、ゲームを中心にネイティブアプリの拡充を進めた。16/5期はヘルスケアアプリ、メッセンジャーアプリを中心にネイティブアプリを強化して収益化を進める。

ヘルスケアアプリでは、300万ダウンロードを誇り、一部のサービスで課金も開始した「女性のリズム手帳」と連携する3アプリを新たに投入し、女性のライフステージに合った新たなコンテンツ展開を進める。具体的には、「女性のリズム手帳」は婚活期の女性を対象にしたアプリだが(生理日予測、体重管理、基礎体温管理)、新たに妊活期(仲良し記録、レポ、診断、コラム)、妊娠期(検診記録、妊娠時記録、エコーアルバム)、育児期(家族情報共有、アルバム、ゲーム等の知育)を対象にしたアプリを投入する。

一方、メッセンジャーアプリでは、様々な企業との提携を含めて無料チャットアプリ「Fivetalk」に様々なアプリを連携させていく。この一環として、2015 年6 月に、トヨタ自動車(株)の次世代テレマティクスサービス(通信機器やGPS等を利用して、カーナビに様々な情報等を提供するサービス)「T-Connect」の主要サービスであるアプリストア「Apps(アップス)」にて、車載用チャットアプリ「Fivetalk」を公開した。ゲームアプリとの連携によるプレイヤー間でのメッセンジャー通話や、新たな提携を基にしたツール系アプリと「Fivetalk」の連携に向けた取り組みが進められている。
 
 
(2)ソリューション事業における取り組み
企業や自治体のサイトやアプリの開発サービスにおける領域拡大、企業向け業務支援サービスの拡販、更には少子化対策やマイナンバー関連での自治体向けサービス等によるソリューション(アプリ・システムの開発や運用等の受託)の拡大や、タッチポイント(店舗数)の拡大と退会率改善による広告価値の向上による店頭アフィリエイトの強化に取り組んでいく。
 
ソリューションの拡大
景気回復に伴うシステム投資の増加でソリューションの事業環境は良好だ。加えて、スマートデバイス時代を迎えて、業務領域が広がると共に高度化している。例えば、近年、IP電話、スマートグリッド、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)等の案件が増えており、15/5期以降は、地方創生、東京オリンピック関連、マイナンバー関連等へのニーズの広がりも顕著である。
 
スマートコミュニティ事業への参入
再生可能エネルギーを活用して、家庭や学校、交通システム等を情報通信技術(ICT)で繋ぎ、地域全体でエネルギーの有効活用を図る環境配慮型の街づくり(スマートコミュニティ)への取組みが世界規模で進んでいる。日本においても、スマートコミュニティの実現に向けて、国・自治体・民間により、太陽光発電や風力発電等の事業が行われ、再生エネルギー活用による地域振興を目指す動きが広がっている。

こうした中、連結子会社でWeb・Mobileサイト開発・保守及びコンテンツ開発等を手掛ける(株)フォー・クオリアの取引先である(株)NTTネオメイト等が経済産業省による「スマートコミュニティ構想普及支援事業」の採択を受けて、山口県宇部市で「太陽光発電実証事業」を開始する事となった。日本エンタープライズ(株)は、山口県にオフィスを置き同県に事業基盤・人脈・開発実績を持つ(株)フォー・クオリアの強みや、グループのアプリケーション及びシステムの開発力を活かすべく「スマートコミュニティ構想普及支援事業」に参画しており、この一環として、2015年6月に太陽光発電・電気販売を行う合弁会社(子会社)「山口再エネ・ファクトリー(株)」を設立した。合弁会社を通して、IT活用によるスマートコミュニティの実現やスマートコミュニティ事業の推進による地方創生に取り組んでいく考えだ。
名称 山口再エネ・ファクトリー株式会社
所在地 山口県宇部市
代表者 代表取締役社長 植田勝典(日本エンタープライズ(株)代表取締役社長)
事業内容 自然エネルギー等による発電事業及びその管理・運営並びに電気の販売等に関する事業
資本金 40百万円
設立年月日 2015年6月4日
決算日 5月31日
出資比率 日本エンタープライズ(株) 38.27%、(株)フオー・クオリア 12.35%、その他49.38%
 
受託開発事業の領域拡大と業務支援事業の強化
受託開発事業では、従来であれば、システムの一部の機能の開発にとどまっていたが、近年、システム全体の開発を依頼されるケースが増えており、引き合い案件の規模が総じて大型化している。また、自治体向け開発やFEMS・HEMS(注)関連の引き合いが増えている事も昨今の特徴だ。このため、技術力を向上させ、サービスの領域を広げていく考え。
一方、業務支援事業では、リバースオークション(購買支援システム)「Profair」、ソフトフォン(スマートフォン専用内線電話網構築アプリ)「Aplos Oneソフトフォン」、メッセンジャー(セキュアな企業内コミュニケーションアプリ)「BizTalk」の拡販に加え、新たな業務支援アプリの開発でラインアップを拡充していく。

(注)FEMS・HEMS
FEMS(フェムス)とは、Factory Energy Management Systemの略で、工場のエネルギー管理システムの事。また、HEMS(ヘムス)とは、Home Energy Management Systemの略で、家庭内のエネルギー管理システムの事。EMSは、電力使用量の可視化(モニター)と機器制御(コントロール)に加え、ソーラー発電機等の再生可能エネルギーや蓄電器の制御等を行うシステムであり、上記の他、商業ビル向けのBEMS(ベムス)、地域全体向けのCEMS(セムス)がある。
 
自治体向けソリューションの拡大
地域少子化対策強化交付金の実施やマイナンバー制度の開始で、足元、自治体向けのソリューション需要が拡大しており、千葉県での実績(後述)を踏まえて他の自治体へもソリューション展開して行く考え。
千葉県での実績とは、15/5期に千葉県から受託した少子化対策強化事業の実証実験の実績である。この案件では、同社が開発したスマートフォン専用アプリ「Chiba Woman Diary」をサービスプラットフォームとして、結婚から、妊娠・出産、子育てまで切れ目なく支援した。具体的には、千葉県の10 市町に在住する結婚・妊娠・出産・育児のライフステージにある女性から参加モニターを募り、「Chiba Woman Diary」を通して、「支援情報」、「医療とヘルスケアの専門家による健康・育児相談窓口」、「カレンダーや便利な健康管理ツール」等を提供し、千葉県と連携して支援サービスの有用性を検証した(実証実験の結果を踏まえて、16/5期に本運用への移行を目論む)。
 
 
店頭アフィリエイトの強化
同社は地方での販売に強みを持つ携帯電話販売会社と連携して九州と東北で店頭アフィリエイトを開始し、その後、中国・四国へと展開。現在、競争の最も激しい大都市圏での事業拡大に取り組んでいる。
携帯電話販売会社は、端末の販売が頭打ちとなる中でプラスアルファの収益獲得に力を入れており、店頭アフィリエイトでの協業に前向きな姿勢を見せている。同社は新規協業先の開拓によるタッチポイント(店舗数)の拡大と共に、既存協業先での取扱店舗の拡大と低稼働率店舗のパフォーマンス改善、及び退会率の改善による広告価値の向上に取り組んでいく。また、スマートフォンほど競争が激しくないフィーチャーフォン向けの広告販売も強化する考えだ。
 
 
 
2015年5月期決算
 
 
前期比13.5%の増収、同39.9%の経常減益
売上高は前期比13.5%増の51億16百万円。内訳は、キャリア定額サービスを中心に売上が倍増したゲームや月額課金・キャリア定額サービス共に堅調に推移した交通情報をけん引役にコンテンツサービス事業が同1.5%増の25億06百万円、広告(店頭アフィリエイト)が大きく伸び、ソリューションも過去最高の売上を上げたソリューション事業が同28.0%増の26億09百万円。

一方、営業利益は同43.4%減の1億89百万円。広告の売上構成比の上昇やゲームの開発費等で原価率が52.9%と1.5ポイント上昇する中、戦略的な広告宣伝費の投下や人件費及び子会社の事務所移転費用等で販管費が同19.6%増加した。支払手数料の減少で営業外損益が改善したものの、投資有価証券売却益が減少したため(5億16百万円→3億41百万円)、当期純利益は1億77百万円と同59.4%減少した。

配当は1株当たり3円の期末配当を予定。記念配1円を落とし、普通配を1円増配する。
 
 
※広告宣伝費の主な増加要因は、キャリア定額サービスの利用促進90百万円、ネイティブアプリの利用者獲得1億10百万円等。
 
 
15/5期第4四半期(3-5月)は、ソリューションの大型案件が売上計上された事でソリューション事業の売上が7億80百万円と伸長。一方、コンテンツサービス事業は、新コンテンツ(定額制サービス向け4、ネイティブアプリ3)の投入効果と上期の積極的な広告宣伝効果でゲームが伸びたものの、スマートフォンの普及一巡でキャリアのビジネスが過渡期を迎えている事もあり、その他のコンテンツが力強さを欠いた。
コスト面では、コンテンツサービス事業が会員獲得から運営にフェイズが進み、広告宣伝費が減少した。
 
 
 
 
第3四半期に実施した新株式発行(8億53百万円)及び第三者割当増資(1億53百万円)で10億円強の資金を調達した事で、期末総資産は62億88百万円と前期末に比べて7億46百万円増加した。また、併せて連結子会社の資本増強も行った(ネイティブアプリ等の開発を手掛ける(株)HighLab 2億円、Web・Mobileサイト開発・保守及びコンテンツ開発等の(株)フォー・クオリア 1億円、音声通信関連のソリューションを手掛ける(株)and One 40百万円)。
流動比率621.3%(14/5期451.7%)、固定比率25.5%(同36.5%)、自己資本比率81.6%(同75.7%)。
 
 
税引前利益の減少、税金費用の増加(3億81百万円→4億21百万円)、更には投資有価証券の売却による収入の減少等でフリーCFが2億円のマイナスとなったが、増資よる資金調達で現金及び現金同等物期末残高は35億57百万円と前期末に比べて7億49百万円増加した。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE =売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
15/5期は先行投資の期との位置付けだった事に加え、投資有価証券の売却益が減少した事もあり、売上当期純利益率が低下した。増資に伴う財務内容の良化でレバレッジが低下した事もROE低下の一因となった。
 
 
2016年5月期業績予想
 
 
前期比19.2%の増収、同129.7%の経常増益予想
売上高は前期比19.2%増の61億円。ソリューションや広告を中心にソリューション事業が伸びる他、キャリア向けコンテンツの提供と独自のネイティブアプリ展開でコンテンツサービス事業も堅調な推移が見込まれる。ソリューション事業では、スマートフォンやタブレット向けの受託開発が伸びる他、既存の携帯電話販売会社との連携強化や新規取引先の開拓で広告の売上も増加する見込み。一方、コンテンツサービス事業では、キャリア定額サービス向けコンテンツの拡充と、「ネイティブアプリ」における、ゲームアプリやヘルスケアアプリ等とメッセンジャーアプリとの連携による「コンテンツプラットフォーム」の推進で売上増を図る。

利益面では、ヘルスケアアプリやメッセンジャーアプリ関連で販促を強化するものの、会員獲得フェイズから運用による収益向上フェイズに移行するため広告宣伝費が減少。増収効果もあり、営業利益率の大幅な改善が見込まれ、営業利益が4億50百万円と同2.4倍に拡大する見込み。投資有価証券売却益の計上を見込んでいないものの、当期純利益も1億90百万円と同7.0%の増加が見込まれる。

配当は前期と同額の1株当たり3円の期末配当を予定。同社は、株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして捉えており、業績の推移、キャッシュ・フロー、自己資本利益率、自己資本比率、今後の設備投資計画等を勘案の上、株主還元策を実施していく考え。また、利益配分については、将来の積極的な事業展開と経営環境の変化に備えた資金を確保すると共に、業績に応じ、かつ安定性も配慮した配当政策に取り組む方針。
 
 
今後の注目点
新たに設立した山口再エネ・ファクトリー(株)を通して参入するスマートコミュニティ事業は興味深い。太陽光エネルギーによる電力事業を安定収益源に、電気の販売先である各家庭へITを活用した生活支援サービスを提供していく。本社を置く山口県宇部市では、一人暮らしの高齢者が多いため、安心・安全な生活と生活の質の向上が喫緊の課題となっており、見守り用アプリや医療・買い物等でのソリューションが求められている。社会的な意義の大きさは言うまでもないが、日本全国に同様の悩みを抱えている自治体が多いだけに、事業としてのポテンシャルも魅力である。尚、電力事業では、山口県宇部市に太陽光パネル4,700枚程度のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設する計画で16/5期は3億5千万円程度の投資を予定している。
15/5期はネイティブゲームを中心に積極的に広告宣伝費を投下したため減益となったが、14/5期並みの広告宣伝費であれば増益を維持できた。このため、16/5期は先行投資の成果が問われる事になる。また、ソリューション事業のソリューションでは案件の大型化を伴って件数が増加しておりビジネスチャンスが拡大している。ネイティブアプリにおける収益基盤の確立とソリューションにおける大型案件での実績の積み上げにより17/5期以降の事業拡大への道筋をつける事ができるか、スマートコミュニティ事業の進捗と共に注目していきたい。