ブリッジレポート
(6826:東証2部) 本多通信工業 企業HP
佐谷 紳一郎 社長
佐谷 紳一郎 社長

【ブリッジレポート vol.7】2016年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「対前年同期比で2桁の増収・増益を達成し、上期予想および通期予想に対する進捗率も、売上、利益共に順調であり、会社側が言うように、DD15の・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年8月18日掲載
企業基本情報
企業名
本多通信工業株式会社
社長
佐谷 紳一郎
所在地
東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル
事業内容
コネクタ中心。通信やFAなどの産業機器向けで長年培ったコア技術を自動車や医療機器向けなどに展開。パナソニックと提携、生産の半分は中国
決算期
3月末日
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 16,639 1,415 1,565 1,439
2014年3月 14,824 932 975 1,479
株式情報(7/30現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,095円 12,053,705株 13,198百万円 18.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.00円 2.3% 116.33円 9.4倍 734.34.円 1.5倍
※株価は7/30終値。発行済株式数、BPSは直近期決算短信より。ROE前期実績。
 
本多通信工業の2016年3月期第1四半期決算概要などをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
通信インフラ、FA機器、民生機器、車載用途向けの電気コネクタおよび光コネクタの製造販売を行う。「Segments No.1」を掲げ、特定分野での高い競争力を追求している。長い歴史の中で培われた幅広い設計技術力、産業用機器向けで培った長期信頼性と堅牢性に関するノウハウ、多品種少量生産体制などが特長。子会社ではソフトウエア開発なども手掛けている。グループ認知度の向上に向けて、複数存在していたブランドを「HTK」に統一。グループは同社と連結子会社7社(国内2社、海外5社)の計8社で構成されている。(2015年3月末現在)
 
【沿革】
1932年5月に精密ねじ加工業として現在の東京都目黒区で創業。第二次大戦後は、日本電信電話公社(現NTT)の電話交換機用プラグ・ジャック、防衛庁向けプラグ・ジャックを始め、その発展形となるコネクタの製造販売を手掛け、業容を拡大。2001年に東証2部に上場した。だが、ITバブル崩壊で売上が急減。数度のリストラクチャリングを経て、成長路線への復帰と拡大発展をめざし、2008年に松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)と資本業務提携契約を締結。2014年2月、約80年に亘って本社を置いていた目黒から品川区へ本社を移転した。
 
【経営理念など】
特定分野で特徴あるソリューションを提供することで顧客に「この分野なら本多通信グループに限る」と高く評価される事をめざし、「Segments No.1」を掲げている。
 
【佐谷 紳一郎社長プロフィール】
佐谷紳一郎社長は1957年11月生まれの現在57才。松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)では事業戦略企画部門に在籍し、M&Aや他社とのアライアンス締結等に長年に亘り携わってきた。そうした中、コネクタ事業のアライアンス先として幅広い技術力・製品ラインアップを有する企業を調査している中、本多通信工業の実力に着目し、アライアンスを推進、2008年資本業務提携を実現させた。同年、取締役就任。2009年にはパナソニック電工を退社し、同社副社長に就任。2010年4月に同社社長に就任した。社長就任後は中期経営計画「Plan 80」を策定・実行。基本戦略として「Segments No.1」を設定し、複数のニッチ分野でNo.1となることを目指すと共に、様々な構造改革を断行し、黒字体質の確立、財務基盤の安定化を実現した。現在は次の中期経営計画「DD15」を推進中で、成長分野への投資による更なる事業拡大と企業体質の一層の強化に取り組んでいる。
 
【事業内容】
事業セグメントはコネクタ事業と情報システム事業の2つ。
 
◎コネクタ事業
「2015年3月期 売上高 14,484百万円、営業利益 1,322百万円、営業利益率 9.1%、売上構成比 87%」
 
<コネクタとは?>
電子回路や光通信において配線基板同士を接続し、電気や信号を繋ぐために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。
 
<利用分野>
長年の経験で培われた高い技術力により、以下の6分野を中心に付加価値の高く、顧客志向のコネクタを始めとした製品をラインアップしている。
 
 
 
2015年3月期の分野別売上構成比率(全売上高に対する構成比)は、FA分野22%、通信分野25%、民生分野12%、車載分野27%となっている。
安全性や運転性能向上の観点から車載カメラやセンサの搭載台数が増加しているカーエレクトロニクス分野の成長に対応して投資や製品開発を進めてきたが、車載分野の構成比が通信分野を逆転し、最大の事業分野となった。
 
◎情報システム事業
「2015年3月期 売上高 2,155百万円、営業利益 92百万円、営業利益率 4.3%、売上構成比13%」
 
通信分野でのソフトウエアの重要性が高まる中、1983年に事業をスタート。
システム開発から保守運用まで幅広いソリューションを展開している。なかでも仮想化(*)サーバの構築では業界屈指の技術を有し、クラウドコンピューティングの広がりに貢献している。
世界的ベンダーとの連携により、上流工程からの受注に力を入れている。
 
*仮想化とは?:1台のサーバ(物理サーバ)を複数台の仮想的なサーバ(仮想化サーバ)に分割して利用する仕組み。それぞれの仮想化サーバではOSやアプリケーションを実行させることができ、あたかも独立したコンピュータのように使用することが可能となる。
サーバ台数の適正化や消費電力を含めた運用管理コストの低減など、企業のITコスト見直しニーズに対応し、注目が集まっている。
また、仮想化環境下ではハードウェア等を新たに購入しなくても新サーバを容易に追加することができるため、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応するというITシステムニーズに対する有効なソリューションの一つとなっている。
 
【特徴と強み】
 
① 幅広い設計技術力
前述のように、同社のコネクタは、様々な分野で用いられている。
同社は、日本電信電話公社(現NTT)を始めとした多くの顧客からの様々なニーズに対応したカスタマイズによる製品作りに長年取り組んできた。この「顧客密着度の高さ」が、同社の幅広い設計技術力の源泉である。
 
② 長期信頼性と堅牢性
制御装置に用いられる「1.27mmピッチコネクタ」、FTTH(Fiber To The Home:光通信のための光ファイバーを家屋内に引き込むこと)に用いられる「シャッター付きSC形プラグ」、プロジェクタに用いられる「高耐圧電源用コネクタ」などで強みを持っている。
これらは、顧客から長期信頼性や堅牢性が求められる分野であり、長年に亘って培ってきた同社の技術力や製造能力が顧客に高く評価されている証となっている。こうした強みを活かし、安全性という面でハードルの高い車載分野での売上を大きく伸ばしている。
 
③ 多品種少量生産
同社は現在約4,000品目のコネクタを生産しているが、このうちの月間生産個数が1万個未満の品目数は94%を占める。また生産金額ベースでも1万個未満の生産が62%、1万個以上が38%と、多品種少量生産が同社の特長となっている。
こうした状況に対応し、国内工場、海外工場の2つの車輪で最適なものづくりを行っている。

国内工場(安曇野工場:旧松本工場)は1万個未満の多品種少量生産の拠点。今後も同社の得意技を磨き、迅速な納入を行うため国内で稼動を続ける。
海外工場(深圳工場)は1万個以上の中量品の一気通貫生産を行い、機動力を高め世界で戦うための拠点とする。
 
 
2015年3月期のROEは前期を下回ったが18.4%と高水準。
後でも触れるが、同社は従来、資本効率性を示す指標としては「自己資本がある程度蓄積されるまではROEではなく、ROAが適切」としてきたが、前期で自己資本比率を67%まで引き上げる事ができたことから、2020年に向けた目標とする経営指標に「ROE 13%以上」を掲げることとした。
新製品の開発によるマージンの向上に加え、在庫水準のコントロールによる総資産回転率の向上にも取組んでいく考えだ。
 
 
2016年3月期第1四半期決算概要
 
 
車載分野、情報システムが好調で2桁の増収増益
売上高は前年同期比11.8%増の43億円。車載分野、情報システム分野が2桁増と好調だった。粗利率は同1.1ポイント上昇した。
人件費増50百万円、その他固定費増40百万円を、増収効果79百万円、合理化効果35百万円、円安効果50百万円で吸収し、営業利益は同23.6%増の3億85百万円となった。受取配当金増加に加え前年同期に有った為替差損が無くなり経常利益は同36.8%増の4億9百万円となった。

同社では四半期ごとに、「売上高40億円、営業利益率8%」をベースラインとしているが、前第2四半期から4四半期連続でこれをクリアした。
 
(2)分野別売り上げ動向
北米自動車市場の好調を受け車載分野が大きく伸びた。仮想化ソリューション需要が堅調で情報システムも2桁の増。FA分野は、スマホ向け設備の特需もあり堅調で、民生分野もデジカメ向けが底を打ったのに加え、監視カメラ向けが拡大した。
一方、基幹系の生産終了に加え、アクセス系で新商品の立ち上がりが遅れた通信分野は減収であった。
 
 
 
現預金、売上債権が減少し、流動資産は前期末比77百万円減少した。固定資産はほぼ同水準だったため、資産合計は同78百万円減少した。仕入債務および賞与引当金の減少等で負債合計は同2億12百万円減少した。
純資産は、利益剰余金の増加などで同1億35百万円増加し、自己資本比率は前期末比1.5%上昇し、68.8%となった。
 
(4)トピックス
◎株主総会を開催
2015年6月22日、定時株主総会を開催した。142名の株主が出席。
IR活動に積極的に取組んでいる同社は、株主総会は最も重要な対話の場と位置付けており、より意義のある株主総会への発展を目指している。
 
参加者に対して実施したアンケートでは、9割の株主が「良い株主総会だった。」と評価。 「初めて参加したが、経営方針がよく理解できて長期投資したいと思った。」、「意見に対して社長の真摯に答える態度に深く感銘を受けた。」といった評価の声があった一方、「質問に対して、社長以外の役員から回答があっても良いのでは?」、「懇談会で応対された役員や従業員が遠慮気味、折角なので話しかけてはどうか?」、「株主への対応次第では会社のイメージが下がるので、従業員教育をしっかりして欲しい。」といった意見もあり、次回以降の改善につなげていく考えだ。
また、株主がより参加しやすい環境作りも重要と考え、基準日変更による株主総会の7月開催についての意見を募ったところ、半数の株主が賛成という意見であった。今後の検討課題としている。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
業績予想の変更無し。増収・営業増益。
業績予想に変更は無い。5月、6月の受注は前月比・前年同月比マイナスではあったが、年度を通じては堅調と見込んでおり、売上高は前期比6.4%増の177億円を計画。引き続き、車載、情報システム分野が堅調に推移する。
戦略的投資を継続するが増収効果で吸収し、営業利益は同6.0%増の15億円の予想。
為替レートを115円/USDと想定。経常利益、当期純利益ともに、それぞれ同2.3%減、6.2%減を予想しているが、為替による影響や税制改正による税負担(繰越欠損金控除の減額)を考慮すれば、実質10%程度の増益になるという。
自己資本の充実に伴い配当性向を22%に引き上げ、5円増配の25.00円/株を予定。7年連続増配となる。
 
(2)各分野の第2四半期動向
車載分野は車載カメラ用コネクタの顧客が増加し引き続き堅調だが、中国景気が懸念材料。
情報システムもインフラ構築、受託開発が堅調。好調だったFA分野は、5−6月の受注が在庫調整のため低調で第2四半期は反動減を見込んでいる。
 
 
(3)今期の基本方針:「Touch&Go」の進捗
◎今期の位置付け
今期の位置付けを「DD15」の目標にTouch、新中期経営計画に向けて Go」としている。

中期経営計画「DD15」の最終年度に当たる今期は、「売上高180億円、営業利益8%、ROA10%」の完遂を目指しており、営業利益率8%、ROA10%は2014年度で既に達成している。今期の売上高は現時点では177億円と見込んでおり、180億の目標完遂に向けて、あと一歩を全社挙げて取組む。

一方、「DD15」の完遂と同時に、目線をもう一段上げ、2020年までに過去最高の売上・利益を更新するための基盤整備を推進する年と位置付けている。
「DD15」で事業拡大と体質強化を図った後、持続的成長が可能な「よい会社」へと飛躍し、「売上高250億円、営業利益率10%、ROE13%+α」という目標達成を掲げる新中期経営計画は「GC20」と命名して現在詳細を策定中。今年10月29日に説明会開催を予定している。
前期までは資本効率の目標指標としてROAを掲げていたが、内部留保の積み上がりにより自己資本も充実してきたため、「ROE」を目標とする経営指標に掲げる事とした。

「GC20」は2016年3月期から2018年3月期までの「Season1」と、2019年3月期から2021年3月期までの「Season2」からなり、今期は「DD15」の最終年度であると同時に、「GC20」 Season1の初年度という重要な年となる。
Season1は最終年度(2018年3月期)「売上高200億円、営業利益18億円」を掲げているが、売上高200億円の壁を破るのはそう簡単ではないと考えており、その仕込みを今期より開始する。
 
◎主な基盤整備
「GC20」の目標達成に向け、以下のような基盤整備を進めてゆく。今第1四半期は、戦略投資を着実に実行する中、下記のような具体的な形が見え始めている。
 
 
 
今後の注目点
対前年同期比で2桁の増収・増益を達成し、上期予想および通期予想に対する進捗率も、売上、利益共に順調であり、会社側が言うように、DD15の最終年度は好スタートを切ることができたようだ。
ただ同社の現在の目標は、今期の数値はもちろんだが、Good Companyへ成長するとともに、過去最高の売上・利益を達成する事であり、佐谷社長の言う200億円の壁への挑戦はここからが本番となる。
整備が進む各種基盤からどのようなスピード感で具体的成果が産み出されてくるのかが注目される。10月29日に予定されている新中期計画「GC20」の発表にも期待したい。
 
 
 
<参考:中期経営計画「DD15」>
 
同社は2014年3月期から2016年3月期までの3年間の中期経営計画「DD15」を掲げている。
 
(1)基本コンセプト
DD15は「Double-Digits by 2015」の略で、2015年度に向け3つの2桁(double digits)で成長性・収益性・効率性をワンランクアップさせ、特長と魅力ある「Segments No.1プロバイダ」となることを目指している。
また、DD15には「どんどん 行こう!」という意味も含めている。
早い・軽い・上手いが特長の、業界No.1のフットワークを武器に、以下の数値目標の達成に挑戦する。
 
 
① 基幹分野での2桁利益率
一般的に少品種大量生産は生産性・効率性が高く、多品種少量生産となるほど生産性や効率性が低くなるというトレードオフが働いてしまうが、同社は、FA分野、通信分野といった基幹事業分野においてこのトレードオフ関係の解消を目指しており、営業利益率を現在の8%台から10%超へと引き上げることを目指している。
 
 
このためには、短納期、在庫の極小化、スピード開発、生産自動化、ROI向上などを実現しなければならないが、具体的な施策としては、以下の様な、「コンビニ3兄弟」という取り組みを進めている。
 
 
このコンビニ3兄弟を核に、以下の様な施策を推進し「製造力の強化」を図る。
 
「1week デリバリー」
多品種少量生産ながらも短納期を実現させ、顧客満足度を向上させるべく2013年から積極的に取組んでいるのが、「1weekデリバリーサービス」だ。
これは、顧客から発注を受けたら1週間以内での製品配送を確約するもの。

同社は多品種少量生産を特徴としてきたが、一方で多品種少量生産は一般的には納期が遅くなりがちで、同社もそれは仕方のない事という認識があった。
佐谷社長は、こうした多品種少量生産のデメリットを克服し、進化したものづくり実現のためにこの「1week デリバリー」というアイデアを導入した。

コンビニ3兄弟の取り組みの結果、同社製品約4,000品目のうち「1week デリバリー」の対象品目数は、2013年10月の150品目から、2014年4月には500品目へ大幅に拡充され、今後も対象品目を拡大していく。

サービスの拡充と品目数の拡充により「1week デリバリー」を同社の看板サービスとすることを目指している。
 
「ECサイト:HTK AZショップ」
4月1日より会員制ネット販売サイト「HTK AZショップ」をオープンし、顧客の拡大を進めている。同サイトは、直接的な売上の拡大を目的とするというよりは、現在は取引のない潜在顧客からの試作品の注文などを同サイト経由で受け付ける事で、顧客の窓口を拡大することを狙いとしている。

この他、4月14日には24時間フルタイムの組み立て工場が稼働を開始した。

同社の特長である多品種少量生産を鍛え、国内においては「ものづくりの強化」を、海外においては「地産地消化」を進める。
 
② 新・旬分野での2桁成長
新たな事業分野や旬の市場分野を年率10%超のスピードで拡大させ、2016年3月期には現在の倍 60億円の売上、売上構成比30%を目指す。
 
<新事業分野での取り組み>
*コネクタ事業
大きな成長が見込まれるカーエレクトロニクス市場で、同社の特長を生かした製品開発、販売を進める。

自動車メーカーは各社とも、「環境、安全、快適」を高めるためにカーエレクトロニクスの進化に取り組んでいる。
中でも、自動走行を含めた走行制御、ドライバーの負荷を減らす運転アシスト、危険警告の進化などの機能強化に伴い、車体周辺の状況を常に監視・感知するアラウンドビューカメラ、バックカメラ、路面センサ、衝突探知センサなど、搭載するカメラやセンサの台数が増加している。
また、自動車メーカーは、快適な運転をサポートするためのナビゲーションやエンタテインメント機能の充実にも力を入れており、カーナビ、リアモニター、スピーカー、スマートデバイスとの接続など、車内・車外の通信機能の進化が著しい。

こうした状況下、同社では「車載カメラ用コネクタ」や「車載高速伝送コネクタ」などにフォーカスし販売を拡大する。
車載カメラ用コネクタに関しては、前期、電機メーカー3社目への納入が決まり、売上は前期比5割増となったが、今後も4社目、5社目の納入先を開拓し、水平展開を進める。
また両コネクタとも、同時並行で、収益性向上のための合理化および次世代製品に向けた投資・開発を行っていく。

車載関連分野は高い安全性や信頼性が求められる分野である。同社は特長・強みであげたように、長年にわたる製品開発で培ってきた長期信頼性・堅牢性に関するノウハウを活用し、上記2つのコネクタにとどまらず、カーエレクトロニクスの新しい部位へも進出していく考えだ。
 
 
車載分野以外では、GI-POF(高速大容量プラスチック光ファイバー)の開発にも着手している。これは、伝送速度、伝送容量共に従来の光ファイバーを大きく上回るもの。FA用や現在のフルハイビジョンモニターの4倍の高解像度を有する4K映像用など、産学連携で新たな市場を創出しようと考えている。
実用化に向け先行したポジションにあり、今後は使い易さの向上に注力していく。
 
*情報システム事業
同社の強みの一つである機器制御技術を活かして、スマートメーター等の通信・制御機能を活用して停電防止や送電調整のほか多様な電力契約の実現や人件費削減等を可能にした電力網「スマートグリッド」、家電や設備機器を情報化配線等で接続し最適制御を行うことで、生活者のニーズに応じた様々なサービスを提供する「スマートハウス」といった、コンピュータネットワークに繋がれた機械同士が人間を介在せずに相互に情報交換し、自動的に最適な制御が行われるシステムである「M2M:Machine to Machine System」におけるビジネス拡大を目指す。初期の設計段階である上流工程からいかにして参画するかが課題と認識している。
 
<旬市場分野>
*コネクタ事業
コアとする技術、製品、ソリューションを以下の旬市場で応用展開。業種別営業体制による顧客開拓に取り組む。
 
◎医療
多品種少量対応、高信頼性という強みを武器に活躍できる分野と考えており、カスタム対応で市場に参入する。
 
◎セキュリティ
監視カメラ世界No.1メーカーに採用されている実績を武器に、グローバルマーケットでの水平展開を目指す。
 
◎環境エネルギー
通信技術資産をフルに活用し、スマートグリッドや蓄電池、パワーコンディショナー(*)などでの応用展開を図る。
 
*パワーコンディショナー(パワコン):太陽光発電システムや家庭用燃料電池を利用する上で、発電された電気を家庭などの環境で使用できるように変換する機器であり、インバータの一種。ソーラーパネルなどから流れる電気は通常「直流」であり、これを日本の一般家庭で用いられている「交流」に変換することで、通常利用可能な電気にすることができる。
 
旬市場での期待製品の一つが、SDメモリカードソケットの最新規格「UHS-II」。
同社には、従来規格の「UHS-I」がある。これはソケットの両面を金属シェルで構成し、堅牢性と耐ノイズ性で業務用・産業用途に浸透し高い信頼性を得ている製品で、「UHS-II」は、この特徴を継承した上で更に進化させたもの。
今後搭載が始まるプロ用ハイエンド機種への採用を狙う。
既に国内外で高評価を得ており、レンズ交換式カメラ・PCから引き合いが入っている。

このほか、「Segments No.1」製品を中国や新興国市場で拡販し、海外売上高比率を現在の35%から40%まで引き上げる。
 
*情報システム事業
得意とする仮想化技術を更に深めてクラウドコンピューティングのインテグレーターを目指す。
 
③ 経営効率を高め、2桁のROA(総資産利益率)実現
同社は前中期経営計画「Plan 80」において過剰資産の売却、在庫削減、有利子負債の返済でバランス・シートをスリム化し、総資産回転率を引き上げるとともにROAを8%まで引き上げてきたが、総資産回転率1.5回を堅持しつつ、高回転ビジネスモデルを確立し、ROA10%を目指す。
 
(3)成長戦略のためのインフラ投資
今回の数値目標を達成するためには風土改革も必須と佐谷社長は考え、様々な基盤強化への投資も行っている。
 
◎本社移転と最新設備への投資
2014年2月24日、創業以来約80年間本社を置いていた東京・目黒から品川のオフィスビルへ移転した。
旧本社は、面積は広いが部門間が分断される構造であり、社員間のコミュニケーションが取りづらい状況だった。

新本社は、「Close Communication」というコンセプトに基づいて設計された。
顧客に対しては、什器備品を一新し、新しい「HTK」で迎えるほか、3Dプリンター備えた試験室を設置し、顧客に対する提案のスピードアップを図っている。
従業員に関しては、営業と設計と本社部門が1フロアに集結。広々とした様々なエリアで部署・部門を超えてのコミュニケーションを加速させ、生産性の向上を目指している。
また、ITの活用により業務、テレビ会議、打合せなどがいつでもどこでも可能になったほか、整理整頓から服装までの5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を佐谷社長自らの徹底で進めている。例えば、社員は毎日終業し帰宅する際は、机の上に何も置いてはならず、全て自分のロッカーにしまわなければならない。また、移転に当たり多くの書類や資料をデジタル化し、不要な紙の資料を廃棄した。

こうして、本社移転を契機とした「風土改革」により、『早い・軽い・上手い』という業界No.1のフットワークを実現させ、生産性を一気に高めることを狙っている。
実際に社員の声として、「企業風土や仕事の仕方を大きく“CHANGE”するきっかけになる本社移転であった。企業に変革を促す有効な手法の一つだと認識した。」との声も上がっている。
 
◎組織と人材の強化
組織力及び人材の強化は今後の経営における大きなポイントと認識しており、人材育成、増員、処遇アップにより事業活動のベースを固めていく。
 
グループ新卒採用は2014年度17名に拡大
中堅リーダーの育成
管理職の指導力強化
執行役員への若手起用
 
新卒社員の採用を拡大し、同社DNAの継承を図ると共に、中堅や管理職ではキャリア採用を拡大する。
これは、同社の「変えなければならない古い部分」を壊すためには外部の風や力が必要との考えからきている。
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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