ブリッジレポート
(4319) TAC株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(4319)TAC vol.18

(4319:東証1部) TAC 企業HP
斎藤 博明 社長
斎藤 博明 社長

【ブリッジレポート vol.18】2016年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「前年同期に消費税増税の駆け込み申込みの反動減があったこともあるが、大幅な増収増益となった。表の様に、上期及び通期予想に対する進捗・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年8月25日掲載
企業基本情報
企業名
TAC株式会社
社長
斎藤 博明
所在地
東京都千代田区三崎町3-2-18
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 19,537 140 404 208
2014年3月 20,526 1,034 1,299 816
2013年3月 20,999 136 377 977
2012年3月 22,578 -606 -530 -799
2011年3月 24,575 465 283 -244
2010年3月 23,991 623 442 40
2009年3月 21,092 1,330 1,352 669
2008年3月 20,741 1,069 1,230 443
2007年3月 20,553 1,173 1,333 742
2006年3月 19,828 421 631 249
2005年3月 19,669 459 558 81
2004年3月 19,542 988 943 470
株式情報(8/6現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
290円 18,503,932株 5,366百万円 4.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2.00円 0.7% 20.27円 14.3倍 236.95円 1.2倍
※株価は8/6終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。BPSは直近決算短信より。
 
TACの2016年3月期第1四半期決算概要等についてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。
 
 
【沿革】
1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員Ⅰ種・外務専門職等の資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。2013年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。2014年6月には医療事務分野への進出を狙いM&Aを実施。
 
【強み】
(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み高い生産性を実現していることも強みとなっている)。
 
(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員講座は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。
 
(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。
 
 
ROEは、マージンの低下に加え総資産回転率も低下したため前々期に比べ大きく下落した。
先ずは今期以降、本格的な収益力回復を遂げることが出来るのか?がカギとなる。
2002年以降の平均ROEは10.5%と比較的高水準で推移している。
 
 
2016年3月期第1四半期決算概要
 
売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大きく異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。
 
季節的特徴について
同社が扱う主な資格講座の本試験は、第2四半期(7月~9月)及び第3四半期(10月~12月)に集中しており、特に公認会計士・税理士講座等の主力講座においては、第2・第3四半期は試験が終了した直後で、翌年受験のための新規申し込みの時期となり、一方、第4四半期(1月~3月)及び第1四半期(4月~6月)は全コースが出揃う時期にあたる。
第2・第3四半期は、現金売上及び売掛金売上は多いものの受講期間に応じて前受金に振り替えられる一方、経費は毎月一定額計上されるため売上総利益率は減少する傾向がある。これに対して第4・第1四半期はこれらの前受金が各月に売上高に振り替えられる期になるため売上総利益率は増加する傾向がある。
 
 
前年減の反動もあり、増収大幅増益
現金ベース売上高は前期比15.2%増の46億85百万円。発生ベース売上高は同3.5%増の55億92百万円。前期第1四半期は消費税増税による駆け込み申込みの反動減があったため、現金ベース売上高は2桁の増収となった。
売上原価、販管費における賃借料、人件費が、前年並み若しくは微減であったため、営業利益は同40.5%増の8億8百万円と大きく増加した。
営業外収益において投資有価証券運用益同17百万円増、営業外費用において支払利息同11百万円増、持分法による投資損失同2百万円増等があった結果、経常利益は同41.9%増の8億6百万円、四半期当期純利益は同40.9%増の4億96百万円となった。
 
 
【個人教育事業】
現金ベース売上高は前期比13.1%増加の28億37百万円。
消費税増税による駆け込み申込みの反動減の影響が大きかった昨年との比較になるため大幅な増収だった。
多くの講座で前年同期を上回ったが、特に増加額が大きかったのは公認会計士講座、税理士講座、公務員講座等だった。
引き続きコスト削減を進めており、講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用は同3.1%減の31億76百万円となり、この結果、現金ベースの営業損失は3億38百万円と、前年同期の7億69百万円の損失からは大きく減少した。
発生ベースの売上高は同1.6%減少の36億81百万円、営業利益は同9.5%増加の5億4百万円だった。
 
【法人研修事業】
現金ベース売上高は前年同期比11.1%増加の11億93百万円。営業利益は同39.7%増の3億41百万円と2桁の増収増益だった。
法人研修事業セグメント売上高の約6割を占める企業研修売上は、景気回復による企業の採用人員増や、既存社員の人材育成に注力する企業の増加を背景に、内定者研修、新人研修や職階別研修等の受注が好調に推移した。
講座別では、簿記が前年同期比6.3%増、宅建が同24.0%増、ビジネススクールが42.9%増、CompTIAが19.3%増だった一方、FPは同16.7%減、情報処理が同3.5%減等となっている。
提携校事業は、会計士、宅建、公務員等で消費税増税による駆け込み申込みの反動減の影響が大きかった昨年を上回り同7.7%増となり、同様の理由で地方専門学校に対するコンテンツ提供も増加した。
大学内セミナーは、簿記が同4.5%減、司法試験が同21.8%減となったが、会計士(同22.2%増)、公務員(同19.7%増)などが好調で、全体では同7.6%増と堅調だった。
一方で、自治体からの委託訓練は、景気回復によって失業率が改善傾向にあることで需要が低迷し同18.4%の減少となったほか、昨年消費税のバージョンアップ特需があった税務申告ソフト「魔法陣」の売上は同16.7%の減少となった。
発生ベースの売上高は同6.3%増の12億57百万円、営業利益は同15.2%増の4億5百万円となった。
 
【出版事業】
売上高は前年同期比24.6%増加の5億22百万円、営業利益は同80.3%増の1億55百万円。(同事業では、前受金調整がないため現金ベースと発生ベースの売上高は一致する。)
TAC出版では、簿記・宅建士・FP等の分野でフルカラー書籍を初めて刊行した。従来型の「読んで理解する」スタイルよりも、「見て理解する」スタイルを重視して図解を多く採用した。これにより、以前より定評のあった受験対策書籍としての「分かりやすさ」に、「見やすさ」、「使い勝手の良さ」が新たな商品価値として加わった。
講座別では、全体的に好調な講座が多く、特に簿記、宅建士、FPが大きく増加した。
W出版では、会社法や商業登記法の改正関連書籍の貢献もあり、司法試験・司法書士が売上を伸ばした。
また、販売促進の面では、「TAC定期便」を通じた書店の売上サポートや、「TACグループ資格祭り」の開催等による書店との連携強化、直販サイト(サイバーブックストア)やアマゾン、独学道場(独学者向けのオリジナル講座)を通じた売上強化に継続して取り組んだ。
 
【人材事業】
売上高は前年同期比100.2%増加の1億41百万円。営業損失は前年同期の9百万円から5百万円に損失幅が縮小した。
子会社の(株)TACプロフェッションバンクが手掛ける人材事業は、監査法人をはじめとする会計業界の人材ニーズが旺盛で、会計士・税理士向けの就職説明会が好評で、求人広告売上が増加した。
一方、景気回復に伴う正社員志向の高まりで就業形態としての「派遣」を選択する人が減少してきていることから、人材派遣売上は減少した。医療系人材サービスは、(株)医療事務スタッフ関西において中規模の病院を新たに獲得した。また(株)TAC医療事務スタッフは、2015年4月に一般労働者派遣事業および有料職業紹介事業の許可を取得し本格稼働が始まった。
 
 
【マーケット概要】
同社が取り扱う各種資格試験の2014年の本試験申込者は2,510千人(前年比-8.3%)と、2010年の3,086千人をピークに4年連続して減少している。
主な資格マーケットは以下の様な概況となっている。

<会計系>
簿記検定は各級とも受験者数が減少し、全体では前年比9.1%減少した。
会計士も同17.8%減と受験者数の減少が続くが、監査法人をはじめ会計士業界は人手不足の状況となっており、今後の受験者数の増加が期待される。
税理士試験は長期低落中で、2014年の受験者数は同9.9%減少した。

<法律系>
司法試験予備試験の受験申込者数は前年比12.1%増となっており、2011年の試験開始以来、3年連続で増加した。

<公務員系>
リーマンショック後の2009年度より公務員の志望者が急増してきたが、2014年度はアベノミクスによる景気回復傾向を受けて申込者数は前年度に引き続き減少した。国家総合職・一般職の2014年度申込者数が同2.7%の減少なのに対し、地方上級は同4.6%減と景気回復に伴う申込者数の減少は地方公務員に色濃い。教員採用試験の申込者数は15万人前後で安定的に推移している。
(以下、同社動向。)
 
財務・会計分野
発生ベース売上高は前年同期比5.9%増加の7億51百万円。
公認会計士について、大手監査法人は一昨年からの積極採用姿勢が続いており、本試験合格者はほぼ全員が採用される良好な状況となっている。年2回の短答式試験の受験者数(名寄せした合計ベース)は、平成27年度は10,180人と前年から690人減少したが、数千人規模で受験者数の減少が続いていた近年の状況からはだいぶ落ち着きを取り戻してきた。同社の新規学習者向け入門コースの受講申込みも好調に推移しており、同講座の現金ベース売上高は同19.6%増となった。
簿記検定講座は、学習期間を従来よりも長く設定する受講生ニーズに対応して講座運営に反映したことに加え、初めて実施したWeb通信3級キャンペーンを始めとした各種キャンペーンによる集客効果や、前年は駆け込み申込みの反動減があったこと等により、発生ベース売上高は同5.9%増となった。
 
経営・税務分野
発生ベース売上高は前年同期比4.4%減の11億85百万円。
平成27年度の税理士試験受験申込者数は47,145名(前年比5.5%減、国税庁発表速報値)と依然として減少傾向が続いているが、同社の税理士講座は、消費税増税に伴う駆け込み申込みの反動減の影響があった昨年と比較すると受講者数が増加しており、現金ベース売上高は同31.5%増となった。
中小企業診断士講座は、新規学習見込み者が減少し本科生の集客状況は低調だったが、受験対策書籍の販売が好調に推移した結果、現金ベース売上高は同2.1%増となった。ただ、前受金調整額が同17.9%減と現金ベース売上高の増加を上回る減少となったため、上記の様に発生ベース売上高は減収だった。
 
金融・不動産分野
発生ベース売上高は前年同期比15.3%増の8億40百万円。
景気回復や不動産市場の活発化の恩恵を受け現金ベース売上高は、宅建講座が同34.5%増、不動産鑑定士講座同44.0%増、マンション管理士講座同2.5%増、建築士講座同118.6%増と、不動産系講座は好調に推移した。
加えて、証券アナリスト講座、ビジネススクール講座もそれぞれ同17.6%増、同40.5%増と順調だった。一方、FP講座は同3.7%減と減収だった。
 
法律分野
発生ベース売上高は前期比5.6%減の4億72百万円。
司法試験講座は、平成27年の司法試験予備試験出願者数が12,543人(前年12,622人)と依然として高水準を維持しており、同社の「4A基礎講座」も初心者から受験経験者まで幅広く支持を集めている。また、新たに投入した予備試験の直前対策講座などのオプション商品も好評で順調に受講者数を伸ばしている。
司法書士及び行政書士講座は、昨年の消費税増税による駆け込み申込みの反動減が大きかったため、現金ベース売上高はそれぞれ同15.3%増、同13.0%増となっている。弁理士講座は、一昨年からの難化傾向を受けて受験者数が大きく減少する中、各種キャンペーンやオプション講座の投入により受講生の確保に努めた結果、現金ベース売上高は同4.7%の増収だった。
ただ、前受金調整額が同22.7%減と現金ベース売上高の増加を上回る減少となったため、上記の様に発生ベース売上高は減収だった。
 
公務員・労務分野
発生ベース売上高は前年同期比4.6%増の16億43百万円。
社会保険労務士講座は、受験者数の減少に加え平成26年度の本試験合格者数が4,156名と前年の2,666人から大幅増となったことで集客が厳しい状況となっているが、受講生から好評の「総合本科生Wide」及び新コース「総合本科生Wide+Plus」を中心に販促を進めた結果、ほぼ前年並みの現金ベース売上高を獲得することが出来た。
公務員講座は、平成27年度の国家総合職試験申込者数が増加に転じたことを受けて、同社の国家総合職・外務専門職講座も好調に推移した。また、国家一般職・地方上級講座も、苦手とする受講生の多い数的処理の講義を手厚くした商品の申込みが好調だったこと等により、現金ベース売上高は同16.6%増となった。
 
情報・国際分野
発生ベース売上高は前年同期比5.4%増の3億51百万円。
情報処理講座は、個人向けでは試験要綱が改定され秋期試験から従来よりも受験しやすくなる応用情報コースの集客が好調だった一方、ITパスポート及び基本情報コースは前年を下回った。法人向けの企業研修は、景気回復や新入社員の増加傾向を受け、前年並みの売上を確保した。このため講座全体の現金ベース売上高は、同2.1%増となった。
また、CompTIA講座はメインの企業研修が好調だった。米国公認会計士、米国税理士(EA)、米国公認管理会計士(USCMA)TOEIC等の国際資格の現金ベース売上高は同10.9%増となった。
 
医療・福祉分野
発生ベース売上高は52百万円。
2015年3月期第1四半期末に、医療事務スタッフの派遣を行う(株)医療事務スタッフ関西及び診療報酬明細書(レセプト)のチェックを行う(株)クボ医療を買収しており、医療分野に進出している。医療系人材サービスでは、(株)医療事務スタッフ関西において中規模の病院を新たに獲得した。また、(株)TAC医療事務スタッフは2015年4月に一般労働者派遣事業および有料職業紹介事業の許可を取得し本格稼働を開始した。医療事務スタッフを養成する医療事務講座も2015年1月の開講以来、着実に受講者数を伸ばしている。
 
その他
売上高(現金ベース売上高=発生ベース売上高)は前年同期比7.9%減少の2億95百万円。
昨年は消費税増税に伴うバージョンアップ需要があったため税務申告ソフト「魔法陣」の売上は同16.7%減少した。また講座に帰属しないTACBOOKは同54.0%減となった。一方、人材子会社TACプロフェッションバンクが行う人材ビジネスについては、夏の会計業界向け就職説明会を含む広告売上高が前年を上回ったが、景気回復に伴う正社員志向の高まりで派遣売上が低迷した。
 
 
2016年3月期第1四半期の受講者数は前年同期比14.3%増の74,658名となり、消費増税に対応した駆け込み申込みの反動で受講者数が減少した前年同期を大幅に上回った。個人受講者は同8.9%増の49,187名、法人受講者は同26.4%増の25,471名となった。個人・法人を合わせた講座別では、公務員講座(国家一般職・地方上級コース)が同33.1%増、税理士講座が同21.1%増、宅地建物取引士講座が同12.3%増と大きく増加したほか、FP講座、マンション管理士講座、司法試験講座、公務員講座(国家総合職・外務専門職コース)、情報処理講座、CompTIA講座など、多くの講座で受講者が増加した。一方、公認会計士講座(同15.0%減)、社会保険労務士講座(同7.4%減)等は受講者数が減少した。
法人受講者は、景気回復に伴う失業者数の減少で委託訓練が同22.5%減となったが、通信型研修が同34.2%増、大学内セミナーが同33.3%増、提携校が同14.1%増となるなど、法人受講者全体としては同26.4%増加した。
 
 
現預金の減少等で流動資産は前期末比10億96百万円減少した。投資有価証券の増加など固定資産は同3億16百万円増加し、資産合計は同7億80百万円減少の205億24百万円となった。
前受金が同8億54百万円減少、有利子負債残高が同4億8百万円減少の74億10百万円となり、負債合計も同12億52百万円減少の156億64百万円となった。純資産は利益剰余金の増加等で同4億72百万円増加の48億60百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より3.1%上昇の23.7%となった。
 
(6)トピックス
◎病院経営・業務改善コンサルサービスを提供する(株)TMMCと資本・業務提携
2015年7月31日、株式会社TMMCとの間において、資本・業務提携契約を締結した。
 
<アライアンスの背景>
(株)TMMCは、診療報酬の未請求に係る病院経営・業務改善コンサルテーションサービスおよび病院コンサルティング事業で培った診療報酬に関するノウハウと ICT力を融合し開発した、クラウド型の電子レセプト解析システム「fineRezept」(ファインレセプト)(※)を用いたレセプトチェックサービスの提供を行っている。
(※)「fine Rezept」は株式会社アイ・エス・ビーの登録商標です。

TACは2014年6月に関西エリアにおいて診療報酬請求明細書(レセプト)の点検事業および医療系人材サービスを提供する株式会社クボ医療および株式会社医療事務スタッフ関西を買収し、2014年12月には関東エリアにおいて医療系人材サービスを提供する株式会社TAC医療事務スタッフを設立し営業を開始した。また、同時期に医療事務講座を新たに立ち上げ、TACグループにおいて自ら育成した医療系人材を医科・歯科クリニック等へ提供する取り組みを進める等、医療事務サービス分野での事業拡大に注力している。

今回の資本・業務提携により、TACグループは、病院向けには医療事務サービスとコンサルテーションサービスを、診療所向けには医療事務サービスとレセプトチェックサービスをセットで提供することが可能となるため、医療事務サービス業界において、差別化したサービスを提供することで収益の拡大を図っていく。 また、(株)TMMCとのより強固な関係を構築するために(株)TMMCに資本参加することとした。
 
<資本・業務提携の内容>
(1)資本・業務提携の内容
TACグループが展開する医療事務人材サービスと(株)TMMCが展開するコンサルテーションサービスおよびレセプトチェックサービスを融合し、両社が協力して病院・診療所・クリニック等の販路拡大に努めていくことで、両社の企業価値の向上を図る。
また、業務提携にあたり、TACが(株)TMMCの株式 500株(持分割合12.5%)を同社代表取締役である宮城達夫氏より取得する。

(2)取得する相手方の株式の取得価額
株式の取得価額は非開示としているが、外部専門家によるデュー・デリジェンスの結果等を踏まえ、公正妥当な金額で取得している。
 
 
今期業績に与える影響は軽微であります。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。微増収ながらも大幅増益
業績予想に変更は無い。現金ベース売上高は前期比8.0%増の203億61百万円を予想。事業の性格上、一定規模の拠点ネットワーク維持のためには売上高の維持・拡大が不可欠であり、金融・不動産分野、教職員対策講座など堅調な講座を拡大させると共に、新規講座の開発やアライアンス強化で売上拡大を目指す。また、成長のための投資(新規事業の開拓)を行うとともに、コスト削減にも継続的に取組む。
営業利益は同348.8%増の630百万円。本社ビル取得に要した一時的な諸費用がなくなること及び賃借料の削減などで、販管費が前期より減少し大幅増益を見込む。
配当は前期より1円増配の2.00円/株を予定。予想配当性向は9.9%。
 
 
今後の注目点
前年同期に消費税増税の駆け込み申込みの反動減があったこともあるが、大幅な増収増益となった。表の様に、上期及び通期予想に対する進捗率は売上、利益共に順調で、(株)TMMCとのアライアンスとともに、投資家は好感を持って受け止めた。
先行きを慎重にみているため、上期業績予想を据え置いたが、短期的には第2四半期の着地を、中期的には増進会出版社とのアライアンスを含めた各種取組の進捗や実績に注目したい。