ブリッジレポート
(6498:東証1部) キッツ 企業HP
堀田 康之 社長
堀田 康之 社長

【ブリッジレポート vol.22】2016年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期は減収・減益となったが、現状では、売上高、営業利益共に増加を見込む上期及び通期の業績に不安はないようだ。国内の建築設備市場・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年8月25日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キッツ
社長
堀田 康之
所在地
千葉市美浜区中瀬1-10-1
事業内容
バルブ国内首位。特に建築設備や石油化学向け強い。海外開拓に積極姿勢。伸銅品も国内上位
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 117,036 6,886 7,581 6,881
2014年3月 117,355 6,470 6,501 3,564
2013年3月 111,275 6,558 6,521 4,039
2012年3月 108,446 4,638 4,388 2,480
2011年3月 106,059 6,341 5,929 3,063
2010年3月 96,592 6,976 6,248 3,079
2009年3月 127,095 7,188 6,475 3,396
2008年3月 149,274 11,615 10,525 6,290
2007年3月 149,512 11,342 10,652 9,973
2006年3月 107,631 9,673 9,132 8,070
2005年3月 95,705 9,627 8,513 5,804
2004年3月 73,802 4,181 2,962 1,598
株式情報(8/13現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
562円 108,216,522株 60,818百万円 9.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.00円 2.3% 47.12円 11.9倍 686.47円 0.8倍
※株価は8/13終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
キッツの2016年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
バルブを中心とした流体制御機器の総合メーカー。バルブでは、国内トップ、世界でもトップ10に入り、ベスト3入りが目標。バルブの素材は、青銅、黄銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等、用途に応じて様々な素材が使われ、同社は素材からの一貫生産(鋳造から加工、組立、検査、梱包、出荷)を基本とする。国内外の子会社29社とグループを形成し、子会社を通して、バルブや水栓金具、ガス機器などの材料となる伸銅品の生産・販売(伸銅品でも国内上位のポジションにある)の他、ホテル事業等も手掛けている。
 
【企業理念 −キッツは、創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指します−】
「企業価値」とは「中長期的な株主価値」であり、「中長期的な株主価値」の向上には、顧客の信頼を得る事によって利益ある成長を持続していく必要がある、と言うのが同社の考え。そして、企業価値を向上させる事により、株主をはじめとして、顧客、社員、ビジネスパートナー、社会に対して様々な形で寄与し、豊かな社会づくりに貢献していきたいと考えている。
同社は、これらの思いを「キッツ宣言」に込め、更なる飛躍を目指している。
 
キッツ宣言
キッツは、
創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指し、ゆたかな社会づくりに貢献します。
KITZ’ Statement of Corporate Mission
To contribute to the global prosperity,
KITZ is dedicated to continually enriching its corporate value
by offering originality and quality
in all products and services.
 
行動指針(Action Guide)
Do it KITZ Way
・ Do it True(誠実・真実)
・ Do it Now(スピード・タイムリー)
・ Do it New(創造力・チャレンジ)
 
Do it True
人と人との関係で忘れてならないのが誠実に対応する心。また、表面的なものでなく物事の本質を追い求める心も必要。この基本を忘れる事なく企業活動を進めるための合言葉。
Do it Now
情報をいち早くキャッチし、迅速な意思決定と確実に実践していく躍動的な社員像を表現した言葉。
Do it New
変化に対応するために従来の発想から抜け出して秘められた創造力を発揮し、新しい事にチャレンジする社員像を表現した言葉。
 
【事業セグメントの概要】
事業は、バルブ事業、伸銅品事業及びホテル・レストランの経営(ホテル事業)等のその他に分かれ、15/3期の売上構成比は、それぞれ77%、18%、5%(利益ベースでは、95.2%、2.5%、2.3%)。
 
バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「流す」、「止める」、「流量を調整する」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。
特に、住宅・ビル設備等の建築設備分野に使用される、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブ等の工業用ステンレス鋼製バルブは、国内で高いシェアを持つ主力商品である。販売先は、建築設備、各種工業設備・プラント、環境、エネルギー、半導体等多岐にわたる。鋳物からの一貫生産を特徴とし(日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得した)、グローバルコストの実現に向けて海外生産拠点の強化にも取り組んでいる。
 
 
 
伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークスの事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」を製造・販売している(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)。
 
その他
子会社(株)ホテル紅やが手掛けるリゾートホテルの運営(長野県諏訪市)が事業の中心。同ホテルは、諏訪湖畔の好立地を特徴とし、夕日に輝く展望風呂や大小の宴会場に加え、国際会議も開かれる大コンベンションホールを有する。尚、バルブ事業への更なる特化と経営資源の再配分を目的に、フィットネス事業を手掛けていた100%子会社(株)キッツウェルネスの全株式を、14年10月1日付けでダンロップスポーツ(株)に売却した。
 
【キッツグループ(バルブ事業)】
総合バルブメーカーとして、国内では、主要都市に展開する販売拠点ときめ細かい代理店網によって全国をカバーしており、海外では、インド、U.A.E.、韓国に駐在員事務所を置く他、中国、シンガポール、タイ、アメリカ、ドイツ、スペインに販売拠点を設置し、グローバルな販売ネットワークを構築している。生産では、国内7拠点の他、海外に11拠点(中国、台湾、タイ、インド、ドイツ、スペイン)を展開し、最適地生産を目指した生産ネットワークを構築している。
 
 
国内バルブ事業では、建築設備向けが43%を占め、水関連(上下水道等、14%)、半導体関連(12%)や機械装置(9%)等の比率も高いが、石油精製・石油化学、一般化学、食品・製紙、ガス、電力等、幅広い分野に製品を供給している(15/3期実績)。
 
 
海外バルブ事業のエリア別売上構成比は、アジア54%(アセアン・その他36%、中国13%、中東4%)、北米31%、欧州・その他15%(15/3期実績)。
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE=売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
15/3期は(株)キッツウェルネス株式の売却益21億56百万円を特別利益に計上した事もあり、ROEが前期の5.70%から9.83%に上昇した。一時的な利益である株式売却益を排除して試算すると8.3%程度になる(株式売却益にかかる税率を50%と想定)。値上げ効果と原価低減による主力のバルブ事業の利益率改善がROE向上の原動力となった。
 
 
第2期中期経営計画(14/3期〜16/3期)は、アベノミクス効果や円安による国内設備投資の増加と復興需要を含めた建築設備市場の拡大を前提としたが、国内設備投資が盛り上がりを欠き、建築設備市場も人手不足による工事遅延で需要の顕在化が遅れた。このため、計画を下回る推移となっているが、増収基調が維持され、利益率も期を追う毎に改善している。
 
 
2016年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比0.1%の減収、同18.9%の経常減益
売上高は前年同期比0.1%減の290億03百万円。(株)キッツウェルネスの連結離脱(2014年10月に売却)が13億65百万円の減収要因となったため、実質的には同4.4%の増収。半導体市場向け・水市場向け製品を手掛ける国内子会社や対ドルでの円安も追い風となった北米子会社を中心にバルブ事業の売上が228億37百万円と同5.9%増加。材料相場の上昇で伸銅品事業の売上も54億30百万円と同0.3%増加した。

営業利益は同18.8%減の14億98百万円。研究開発用のIT投資を含めた(株)キッツの費用増、円安による海外子会社の円建て経費の増加、更にはM&A関連費用の発生等もあり、販管費が56億35百万円と同11.3%増加し利益を圧迫した。受取配当金や為替差益が増加したものの、海外の商流変更に伴う支払補償費を計上した事等で経常利益が同18.9%減少した。(株)キッツジーアンドアイの保険代理業務売却に伴う事業譲渡益1億70百万円を特別利益に計上した事等で四半期純利益は9億62百万円と同18.0%の減少にとどまった。
 
 
バルブ事業
売上高は前年同期比5.9%増の228億37百万円。このうち国内は同2.2%増の137億59百万円。耐震型の好調が続く水市場向けが同14%増と伸びた他、フィルター製品や半導体関連市場向けも前期からの好調を持続。ステンレス鋼製バルブが多く使用される工業用バルブ市場(機械装置、石油精製・石油化学、一般化学、食品・製紙等)は、維持・更新需要を中心に前期並みを維持。一方、主力の建築設備市場向けは、想定したほどの回復には至らず、ほぼ前年同期並みの売上にとどまった。人手不足による工期の遅れが続いており、物件納入が遅れているため、代理店の実販が伸びず、昨年12月に一巡した代理店在庫が再び増加傾向に転じた。
海外は、対ドルでの円安も追い風となり、同12.0%増の90億77百万円。前期からの好調が続いた北米が同26%増と伸びた他、アジアも、中国の落ち込み(同21%減)をカバーして同18%の増収。一方、ヨーロッパ・その他は市場の低迷により同35%減少した。

営業利益は同8.6%減の22億63百万円。原価低減効果があったものの、建築設備市場向けの伸び悩みもあり、研究開発面でのIT投資等による費用増や為替の影響(円安による子会社販管費の円換算時の増加)をカバーできなかった。
 
伸銅品事業
売上高54億30百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益26百万円(前年同期は7百万円の利益)。2015年4-6月の国内黄銅棒市場は、消費税率改定に伴う仮需の受注残があった前年同期と比べると10.2%減の14,914トン/月となった。同社の伸銅品事業では、販売重量が7.9%減少したものの、材料相場(5.5%上昇)に連動して製品価格が推移した事で、わずかだが前年同期を上回る売上を確保した。一方、利益面では、新規導入した生産設備の立ち上げに時間を要したため利益が落ち込んだ前年同期と比べると増加したが、販売重量の減少が響き計画を下回った。
 
その他
売上高7億35百万円(前年同期比64.3%減)、営業利益5百万円(前年同期は51百万円の利益)。2014年10月に(株)キッツウェルネスを売却した影響で売上・利益が減少したものの、(株)ホテル紅やが手掛けるリゾートホテルの運営事業に限れば、売上が同2.5%増加し、損益も改善した(第1四半期は季節要因で例年損失を計上)。
 
 
第1四半期末の総資産は前期末に比べて25億79百万円減の1,132億11百万円。設備投資や配当金及び法人税等の支払いに加え、有利子負債の削減を進めた事で現預金が減少。自己資本比率は65.9%(同64.2%)となった。
 
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
足元、子会社の好調が続く中、建築設備市場に動き
第1四半期(4-6月)の利益が計画を下回ったものの、上期の業績予想を据え置いた。第2四半期(7-9月)も子会社の好調な業績が続いている上(海外子会社は12月決算のため既に終了)、6月に動き始めた建築設備市場が7月は引き続き改善している模様。加えて、第2四半期に計上を予定していたM&A関連費用を第1四半期に一部前倒し計上したため、第2四半期は当初計画に比べて販管費負担も軽くなる見込み。
 
 
前期比2.5%の増収、同23.4%の営業増益予想
主力のバルブ事業が海外中心に946億円と同4.9%、国内黄銅棒市場の回復と材料相場(銅価上昇)の上昇で伸銅品事業が222億円と同5.6%、それぞれ増加する見込み。
利益面では、国内市場の回復による数量増効果と原価低減効果でバルブ事業の収益性改善が進む見込み。伸銅品事業も、市況の安定を前提に本来の収益性を目指す。

設備投資は、コストダウン投資や開発投資の強化で設備投資が前期の35億円弱から69億円に増加する。また、M&Aにも機動的に対応していく考え。

配当は、1株当たり中間6円、期末7円の年13円を予定している。
 
 
(3)トピックス グループ力強化に向けた取り組み
伸銅品事業の強化に向け、切削加工メーカーを買収した他、バルブ事業において、茅野工場、キッツメタルワークス、キッツタイに分散していた黄銅棒鍛造品の製造工程を再編した。
 
伸銅品事業の強化に向けた切削加工メーカー北東技研工業(株)の買収
キッツグループの伸銅品事業を担う(株)キッツメタルワークスが、2015年7月1日付けで、金属加工品の製造・販売を行う北東技研工業(株)の発行済み全株式を取得し子会社化した。
(株)キッツメタルワークスは国内での黄銅棒事業を主力とするが、国内の黄銅棒市場は市場縮小で供給過多の状態にあり、黄銅棒の素材事業は収益の確保が難しくなっている。一方、黄銅棒の加工品事業は素材事業に比べて利益率が高く、顧客開拓の余地もあるため、キッツグループでは第2期中期経営計画において加工品事業の強化を掲げ取り組みを進めてきた。

今回、完全子会社化した北東技研工業(株)は、(株)キッツメタルワークスが生産する黄銅棒ユーザーであり、切削加工やロウ付け加工(部品と部品の間に溶解した「ロウ」を流し込み部品と部品を固定する加工)の他、水栓金具や空調機器関連製品の組み立ても一部手掛けている。2014/12期の売上高は14億16百万円を計上している。
(株)キッツメタルワークスは北東技研工業(株)の子会社化を加工品事業の強化・拡大につなげていく考え。
 
北東技研工業(株)の概要
所在地本社:東京都八王子市  工場:山梨県北杜市、長野県上伊那郡
設立1966年4月
資本金52百万円
事業内容金属加工品(切削加工、ロウ付け加工品製造)
 
黄銅棒鍛造品の製造工程を再編
製造工程と人材育成の効率化を図るべく、キッツ茅野工場の黄銅棒鍛造品の製造工程を(株)キッツメタルワークスに統合し、更にキッツタイで行っている日本市場向け黄銅ボールバルブの製造を(株)キッツメタルワークスに移管した(最新鋭鍛造機を移設)。
人材育成(黄銅棒加工品及び黄銅棒鍛造の技術伝承)の効率化に加え、端材の再利用も含めた歩留まりの向上も見込む。また、国内外の市場動向を考慮した供給体制の構築による競争力向上も期待できる。
 
 
今後の注目点
第1四半期は減収・減益となったが、現状では、売上高、営業利益共に増加を見込む上期及び通期の業績に不安はないようだ。国内の建築設備市場では、6月に入り、都内の商業ビルへ製品の納入が始まっており、秋以降、納入が本格化する見込み。年明け以降は、数量ベースでの一段の増加が見込まれる。実需の増加に伴い、代理店の在庫も動き始めるとみられている。また、半導体製造装置向けを手掛ける(株)キッツエスシーティーも、引き続き好調を維持しており、少なくとも第3四半期頃までは不安はない見込み。
一方、海外販売子会社では、北米子会社において、原油価格の下落で落ち込んだ石油精製関連の需要が代理店の在庫調整の一巡で回復基調。欧州の子会社も、中国でのプロジェクトの停止で収益が悪化していた独Perrinが北中南米や日本・アジアへの展開の成果があがりつつあり、スペイン子会社も厳しい事業環境が続く中で健闘しているようだ。中国の販売子会社は、工業用バルブの落ち込みで苦戦しているが、工業用バルブから汎用バルブへのシフトへの成果が現れつつある。一方、シンガポールの子会社はインドネシアの回復などに不透明感が残る状態である。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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