ブリッジレポート
(3031:東証マザーズ) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

【ブリッジレポート vol.33】2016年4月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期の売上高、営業利益の対通期進捗率は、それぞれ23.5%、21.0%となっているが、売上高はほぼ例年並み、営業利益は過去5年よりも高・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年9月15日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目 14 番 14 号
事業内容
「企業活動を効率化し便利にする」を企業理念に、インターネット上でB to B(企業間電子商取引)市場「スーパーデリバリー」を運営。「売掛債権保証事業も手掛ける。
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年4月 2,056 336 327 201
2014年4月 1,932 247 248 123
2013年4月 1,806 181 176 133
2012年4月 1,613 140 133 109
2011年4月 1,381 125 116 160
株式情報(9/7現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
344円 17,314,962株 5,956百万円 13.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 15.05円 22.9倍 90.93円 3.8倍
※株価は9/7終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。
2015年8月1日付で1:3の株式分割を実施。
 
株式会社ラクーンの2016年4月期第1四半期決算概要などについて、ご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でBtoB(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というWebサイトを運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等の出展企業の取扱う商品を、全国の中小規模小売店に販売している。
2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化。これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組を開始し、更に2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。2014年3月からは、第4番目のサービスとして、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始した。
また、「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」を2015年8 月よりスタートした。
 
【経営理念】
経営理念を「企業活動を効率化し便利にする」に刷新した。企業間取引に関し、これまで培ってきた情報と決済に関するノウハウを活かし、企業活動を効率化し便利にする仕組みを今後も提案していくというビジョンを表している。

小方社長は創業後、企業としての方向性をしっかり定め、経営者としてやっていく決意を固めるまでは安易に人を増やすべきではないという考えから従業員を一人も雇用せず、自分一人で同社を運営してきたが、方向性と決意が定まった2000年に初めて正社員30名を採用した。
当時の日本のEC業界は、米国に先例がある訳でもなく、自らがゼロから作り上げていかなければならない黎明期であったが、この最初のメンバーが中心となって、日本のBtoB ECを作り上げてきた。
同社においては、EC専門家の彼らが最大の経営資源であると小方社長は考えている。
今後、新しいビジネスモデルを創造していくにあたり、企業領域を明確にしていく必要性があると考え、経営理念を刷新することとした。
重要なポイントは以下の2点。
 
①事業領域の明確化の必要性
既存事業とのシナジーは特に意識しないが、同社のコア・コンピタンスであるノウハウを活用しながら、「中小企業向けBtoBインフラ」であること、「ECと決済の専門知識」を活かすものであること、に事業領域を絞りこむ。
 
②企業間取引のインフラサービス企業としての総合サービス化への転換
存在して当たり前のインフラとなるべく、今回の新サービス「COREC」に続き、第5、第6、第7と制限を設けず、新サービスを提供し続け、これまで以上に、よりインフラサービス業へと進化していく。
 
【事業内容】
「EC事業」、「Paid事業」、「売掛債権保証事業」の3セグメントで構成されている。
 
(1)「EC事業」
「スーパーデリバリー」はファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が出会い、継続して取引を行うことができるBtoB(企業間取引)サイトである。サイトを利用することで、これまで取引のできなかったメーカーと小売店に新たな取引機会が生まれ、さらに新商品の紹介や受発注のやりとりも効率化される。また、代金はスーパーデリバリーが小売店から回収し、メーカーへまとめて支払うことから、未回収リスクのない取引の実現が可能となる。

スーパーデリバリーに参加するためには、同社の審査をパスする必要がある。
この点、同業他社の中には「数=取引量の拡大」を最優先とし、ネット小売店を中心に緩い審査基準で加盟店を数多く集める事に注力しているところもあるが、同社の場合は、「質」と「数」のバランスを重視するため小売店に関しては、ネット小売店ではなく、実際に店舗を運営している小売店であるか?などを中心に審査を行っている。
また、サプライヤーに関しても、質の高さを重視している。スーパーデリバリーの立ち上げ当初は質の高い、ブランドを確立したサプライヤーは、他のそうでないサプライヤーと共に並べられるのを嫌がり、参加を拒むケースもあったが、現在では他のサプライヤーの質も高い事が理解され、そうしたことは無くなっている。小売店にとっても、質の高いサプライヤーと取引出来る点が大きなメリットとなっている。
B to C取引と異なり、BtoB取引は、取引量を拡大させるためには、リピート取引を如何にして拡大させるかがカギとなるため、マーケットのクオリティ向上が最も重要であると同社は考えており、この点が同業他社との大きな違いの一つとなっている。

また、同社はEC企業ではあるが、他社が、ECのマーケットプレイスを開設・運営するシステム会社という側面が極めて強いのに対し、同社はただ単にそれにとどまらず、アパレル・雑貨を中心とした商品知識、業界知識がきわめて豊富な点も、他社との違いとなっている。
「スーパーデリバリー」の収益は、出展企業から得る出展基本料(月額4万円)、会員小売店から得る小売店月会費(月額2千円)、出展企業からのシステム利用料(会員小売店に卸した商品代金の10%)の3つから成っている。

商品は出展企業が会員小売店に直接配送するが、代金に関しては同社が出展企業の代わりに会員小売店から代金を回収し、出展企業に支払うため、売上高として商品代金を計上し、システム利用料を控除した額を売上原価として計上する総額計上を行っていたが、2015年4月期第1四半期より、売上表示を従来の総額表示から純額表示に変更した。純額表示における売上高は、出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。
サービスの種類も増加しておりインフラサービス提供企業としてのポジショニングを明確にすることが目的。またマーケットプレイス事業を手掛ける同業他社との比較も容易になり投資家のメリットも大きいと判断した。

2015年7月末での各種経営指標は、会員小売店数 45,164店舗(前期末比794店舗増)、出展企業数1,058社(同7社減)、商材掲載数473,702点(同17,353点増)となっている。

2014年3月には、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツールサービス「COREC(コレック)」を同事業内でスタートさせた。2015年7月末のユーザー数は3,035社となっている。
 
(2)Paid事業
「Paid」は企業間取引の非効率な管理プロセスや内在する信用リスクを解消する決済サービス。
Paidを利用することで、バイヤーはすべての加盟企業と締め支払いで取引が可能となり、効率的にかつ運転資金にゆとりを持った取引が実現できる。サプライヤーは登録するバイヤーと代金未回収のリスクや請求督促の手間なく決済ができ、効率的かつ安全で顧客に喜ばれる取引が可能となる。
2016年4月期第1四半期の取引高は、前年同期比28.7%増加の2,993百万円(うち、グループ内取引高 1,637百万円)となった。
 
(3)「売掛債権保証事業」
「売掛債権保証事業」は、11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「T&G売掛保証サービス」は、取引先が倒産した場合に、あらかじめ保証を掛けておけば、保証の枠の中で同社が損害分を代わって支払いするサービス。審査に際して、取引先に対する直接的なヒアリングや取引先からの申し込みなどは一切必要がない。独自の与信判断により90%以上の高い承認率を実現し、審査依頼から2営業日程度で回答も得られる。更に、顧客の商習慣に合わせた保証内容のカスタマイズが可能と利便性も高い。
2015年7月末の保証残高は68億52百万円(前期末比5.9%増)となっている。
 
 
「目標とする経営指標」にROEを掲げてはいないものの、ROEを意識した経営を行っている。
Paidの収益化、「COREC」の立ち上がり、またその後の新サービスなど、ITを駆使したサービス拡大の過程でROEはさらに上昇する余地が大きいと会社側は考えている。
 
 
2016年4月期第1四半期決算概要
 
 
3事業とも増収。一時的な先行費用が発生したがコストコントロールが奏功し大幅増益。
売上高は前期比8.8%増加の5億33百万円。3事業共に増収だった。新サービス「SD export」の開始に伴う一時的な立ち上げ費用やプロモーション費用が先行的に発生したが、その他の費用をコントロールしたため、販管費は前年同期を下回り、営業利益は同52.2%増と大きく伸長した。
 
 
◎EC事業
売上高は前年同期比1.9%増の3億82百万円。営業利益は同65.6%増の57百万円。
スーパーデリバリーの流通額は同1.4%減少の22億74百万円。
購入小売店数は増加したが、個人消費の落ち込みを受け客単価は減少した。
一方、会員小売店数、出展企業数の増加により小売店月会費、出展基本料が増加し増収に貢献した。
また、前期に見直しを行ったポイント制度にかかるコストや送料などの削減効果により変動費が減少し、増益に寄与した。

2014年3月よりサービス提供を始めた「COREC(コレック)」のユーザー数(サプライヤーとバイヤーの合計)は3,035社となった。
サプライヤーによるバイヤーの積極的な誘致が増加している。
 
◎Paid事業
売上高は前年同期比33.3%増の79百万円。営業損失は954千円、前年同期の7百万円の損失から大幅に縮小した。
加盟企業の獲得増加と獲得した加盟企業の稼働率の向上をテーマとしているが、マーケティング業務強化による「Paid」の認知度、知名度の向上に取り組んだ結果、取引高は29億93百万円と前年同期に比べ28.7%増加した。

引き続き業務提携にも注力している。
前回レポートでも紹介したように、2015年6月からは、株式会社ロックオン(3690、東証マザーズ)が提供するECサイト構築支援サービス「EC-CUBE」にPaidが標準装備された。これにより「EC-CUBE」でBtoBサイトを構築する企業に対し、掛売り決済をスムーズに導入する事が可能となった。
 
◎売掛債権保証事業
売上高は前年同期比20.6%増加の1億60百万円。営業利益は同20.3%増の23百万円。
引き続き営業力強化に取り組んだ結果、保証残高は前期末比5.9%増加の68億52百万円となった。
2014年4月に開始した事業用家賃保証サービスも伸長しており、保証残高は同87.9%増と急増している。
 
 
現預金は増加したが、売掛金の減少により流動資産は前期末に比べ1億59百万円減少。資産合計も同1億59百万円減少し41億67百万円となった。
買掛金が減少し、流動負債は同1億81百万円減少した。長期借入金の減少で固定負債は同11百万円減少し、負債合計は同1億92百万円減少の25億90百万円となった。
利益剰余金の増加で純資産は同33百万円増加の15億77百万円。
この結果自己資本比率は前期末の35.6%から2.2%上昇し37.8%となった。
 
(4)トピックス
◎「スーパーデリバリー」における越境ECサービス「SD export」がスタート
2015年8月25日、「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」がスタートした。
 
<概況>
「SD export」は、煩雑な輸出手続きから販売後の代金回収まで同社が代行する輸出販売サービス。
メーカーは日本国内にあるスーパーデリバリー倉庫に商品を発送するだけで、世界134カ国の小売店・企業と手軽で安全に取引することができる。
 
 
サービス開始に先立ち、6月1日より事前に販売側メーカー約500社、仕入側の海外小売店・企業約1,000社の集客を行い、取扱い商品数約70,000点でスタートした。
 
 
アジア圏の中ではインドからの登録が最も多く、次に香港・台湾となっている。
商品ジャンルとしては、アクセサリー、ジュエリーが最も多く、次いで、レディースアパレルジャンルが多い。
また、日本の伝統的な工芸品についてもメーカーの集客に力を入れており、今後も小売店・企業からのニーズを見ながら取扱商品や数を増やしていく予定。
 
<サイトの仕様>
「SD export」では、海外からスーパーデリバリーのサイトにアクセスした場合、自動で海外版へ切り替えを行い、英語表示となる。スーパーデリバリーでは、英語の自動翻訳機能を備えているため、商品情報を入力するメーカー側の手間を抑えることもできる。
 
 
<今後の展開>
今後は、随時取引状況に応じた商品構成を行う。また、SD exportのプロモーションを通じて、スーパーデリバリー全体の認知度向上や取引額拡大への相乗効果を狙っていく予定。スーパーデリバリーは、日本国内だけでなく世界中の企業取引における新しいインフラとなることを目指している。
 
 
2016年4月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。2ケタの増収増益を見込む
業績予想に変更は無い。売上高は前期比10.4%増の22億70百万円の予想。前期やや伸び悩んだスーパーデリバリーの梃入れなどにより、3事業とも拡大を目指す。営業利益は同23.5%増の4億15百万円の予想。売掛債権保証事業の成長で利益率は更に向上する。ただ、「SD export」に関しては、売上は一部織り込みつつプロモーション費用は余裕を見て予算を作成しており、やや堅めの計画となっているという。
配当は現時点では未定。配当性向20%程度を目途に、期間収益の動向を見ながら決定する。
 
(2)各事業の取組み
◎EC事業
「スーパーデリバリー」に関しては、前期、出展企業数、小売店数は着実に拡大させることはできたものの、客単価は伸び悩んだ。
その要因としては、商品数・バリエーションを含めた品揃えが不足しているためと分析しており、現在商品バリュエーション拡大のための様々な取り組みを進めている。
前述の様に8月から「SD export」が始まるが、これを機に今まではスーパーデリバリーに関心を持っていなかった出展企業が参加することも予想され、これも商品バリエーション拡大に繋がるのではないかと会社側は期待している。
こうした施策を通じ、7−8%程度の安定的な成長を目指してゆく。

「COREC」に関しては、知名度の向上とユーザーの獲得に注力する。ビジネスの初期段階であるため、早急な利益追求は行わず長期的な視点で事業運営を行うことで、将来的な収益事業へ成長するための基盤を構築する。

◎Paid事業
通期黒字化を見込んでいる。引き続き知名度の向上、加盟企業とPaidメンバーの獲得に注力するとともに、獲得した加盟企業やPaidメンバーの利便性向上のためのシステム投資も進め、取扱高の増加を図る。

◎売掛債権保証事業
積極的に保証残高を拡大することで、保証料収入を増加させ事業拡大に努める一方で、審査精度の向上に努める。また、グループのシナジー効果を活かしたビジネスモデルのEC化を積極的に推進することで収益性の向上を図る。
 
 
今後の注目点
第1四半期の売上高、営業利益の対通期進捗率は、それぞれ23.5%、21.0%となっているが、売上高はほぼ例年並み、営業利益は過去5年よりも高い水準である。主力のスーパーデリバリーの流通額、販売額、客単価がスローな伸びとなっている点がやや気にかかるが、概ね順調な今期スタートとなったようだ。
加えて、Paidの損失は第1四半期3か月間で100万円弱と完全に黒字化が見えてきた点、売掛債権保証事業は引き続き高い伸びを見せている点は、明るい材料だ。
越境ECサービス「SD export」の立ち上がりがどのようなものか?も注目したい。
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
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