ブリッジレポート
(2435:JASDAQ) シダー 企業HP
山崎 嘉忠 社長
山崎 嘉忠 社長

【ブリッジレポート vol.30】2015年3月期業績レポート
取材概要「入居率が想定を下回ったことが主因で下方修正、赤字となった。今後の課題はデイサービス事業では登録利用者数(稼働率)の増加となるだろう・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年9月29日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シダー
社長
山崎 嘉忠
所在地
北九州市小倉北区大畠 1-7-19
事業内容
九州・山口を地盤に介護施設及び有料老人ホームの運営を全国展開。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 10,791 -26 -245 -368
2014年3月 10,415 325 132 77
2013年3月 10,097 198 1 -13
2012年3月 9,614 421 430 224
2011年3月 8,746 225 295 158
2010年3月 8,332 408 419 237
2009年3月 7,075 149 100 46
2008年3月 5,921 56 42 16
2007年3月 4,519 -403 -406 -247
2006年3月 4,251 309 297 166
2005年3月 3,649 352 288 164
2004年3月 3,125 122 97 41
2003年3月 2,352 111 104 30
2002年3月 1,594 17 21 11
2001年3月 281 -20 -21 -14
株式情報(6/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
214円 11,475,914株 2,455百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 - 3.57 59.9倍 88.73円 2.4倍
※株価は6/19終値。発行済株式数は、直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除し株式分割を反映。ROEは前期末実績。
 
シダーの2015年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針としており、総勢110名を数えるリハビリ職員の規模は介護サービス事業者の中では出色。
 
 
同社の介護事業の考え方
週1回のデイサービストレーニング(リハビリ)のみの活動だけでは、体を維持する又は改善するには足りないと考えている。日常生活の中で活動量を上げる為、仲間作りや趣味作り、自身で運動習慣を身につけてもらうためのサービスを提供する。
 
【事業セグメント】
事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。15/3期の売上構成比は、それぞれ31.1%、61.7%、7.2%。2015年3月31日現在の拠点状況は次の通り。
 
 
 
【沿革】
前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現社長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の、施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。介護業界は、先行投資が必要な事業のうえ、業績は政策の影響を大きくうける。そこで、今後の持続的な事業拡大と企業価値の向上のために12年9月に高齢社会戦略1号投資事業有限責任組合(出資者99.25%株式会社損害保険ジャパン)による公開買付けに賛同し、同組合(実質損保ジャパン)はシダーの34%を保有する筆頭株主となり、損保ジャパンと資本業務提携を結んだ。損保ジャパンの数多くある支店や代理店を活用し、入居者や利用者を紹介するというメリットが生じることとなる。施策を重ねながらも、14/3期は、その影響を解消する1年であった。
 
【事業戦略 −地域のリハビリセンターを目指して−】
同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。

デイサービス施設では80人規模施設の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっておりリハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。
 
デイサービス施設では80人規模施設の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっておりリハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。
 
 
施設サービスでは、1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションによるサービスを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。3月31日現在の総居室数は2,050室、入居者数は1,702人。
 
 
【業界を取り巻く今後の動向と対応】
介護報酬改定
○ 地域包括ケアシステムの実現に向け、介護を必要とする高齢者の増加に伴い、在宅サービス、施設サービス等の増加に必要な経費を確保する。
○ また、2015年度介護報酬改定においては、介護職員の処遇改善、物価の動向、介護事業者の経営状況、地域包括ケアの推進等を踏まえ、▲2.27%の改定率とする。
(処遇改善:+1.65%、介護サービスの充実:+0.56%、その他:▲4.48%)
うち、在宅▲1.42%、施設▲0.85%
(改定の方向)
・中重度の要介護者や認知症高齢者になったとしても、「住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるようにする」という地域包括ケアシステムの基本的な考え方を実現するため、引き続き、在宅生活を支援するためのサービス充実を図る。
・今後も増大する介護ニーズへの対応や質の高い介護サービスを確保する観点から、介護職員の安定的な確保を図るとともに、更なる資質向上への取組を推進する。
・介護保険制度の持続可能性を高め、より効果的かつ効率的なサービスを提供するため、必要なサービス評価の適正化や規制緩和等を進める。
 
介護報酬改定への取組
高齢者ができる限り住み慣れた地域で尊厳を持って自分らしい生活を送ることができるよう、「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取組を進める。
1.中重度の要介護者や認知高齢者への対応の更なる強化
 ① 中重度の要介護者等を支援するための重点的な対応
 
 
 ② 活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの推進
 
 
 ③ 看取り期における対応の充実
 
 
 ④ 口腔・栄養管理に係る取組の充実
 
 
2.介護人材確保対策の推進
・介護職員処遇改善加算の更なる充実
介護職員処遇改善加算は、現行の仕組みを維持しつつ、更なる資質向上の取組、雇用管理の改善、労働環境の改善の仕組を進める事業所を対象とし、更なる上乗せ評価を実施。
 
 
≪新設の加算(更なる上乗せ評価)の算定要件≫
(1)キャリアパス要件
① 職位・職責職務内容に応じた任用要件と賃金体制を整備すること。
② 資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること。
(2)定量的要件
 2005年4月以降、賃金改善以外の処遇改善への取組を新たに実施すること。
・サービス提供体制強化加算(介護福祉士の評価)の拡大
介護福祉士の配置が一層促進されるよう、新たに介護福祉士の配置割合がより高い状況を評価。なお、当該加算については、区分支給制度基準額の算定には含めない。
<介護老人福祉施設、介護老人保健施設等>
介護福祉士5割以上:12単位/日
介護福祉士6割以上:18単位/日(新設)
介護福祉士5割以上:12単位/日
 
3.サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築
・「骨太の方針」を踏まえたサービスに係る評価の適正化について、各サービスの運営実態や1.及び2.も勘案しつつ実施
・集合住宅へのサービス提供の適正化(事業所と同一建物に居住する減算の適用範囲を拡大)
・看護職員の効率的な活用の観点等から、人材配置の見直し等を実施(通所介護、小規模多機能型居宅介護等)
 
 
施設サービス事業の取組
手厚い介護体制の確保を推進する観点から、サービス提供体制強化加算を創設
○ 介護福祉士による強化①(機縫ぁ18単位(新設)
・介護職員総数のうち、介護福祉士の占める割合が60%以上であること
○ 介護福祉士による強化②(機縫蹇12単位(新設)
・介護職員総数のうち、介護福祉士の占める割合が50%以上であること
○ 常勤職員による強化(供縫ぁ6単位(新設)
・看護・介護職員の総数のうち、常勤職員の占める割合が75%以上であること
○ 長期勤続職員による強化(掘法6単位(新設)
・特定施設入居者生活介護を入居者に直接提供する職員総数のうち、勤続年数3年以上の者の占める割合が30%以上であること
加算対象事業所数
(I)ロ…2事業所
(II)…32事業所
(III)…19事業所
新規加算の取得を推進する。
 
 
2015年3月期決算
 
 
前期比3.6%の増収、2億45百万円の経常損失
売上高は前期比3.6%増の107億91百万円。既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努め、いずれのセグメントも増収となった。しかしながら利益面では、景気の回復傾向に伴い求人費用及び人件費が上昇したことに加え、消費増税に係る控除対象外消費税の負担増などにより売上原価が大きく増加、売上総利益率が前期の9.5%から6.5%に低下した。販管費率の上昇により、営業損益は前期3億25百万円の利益から26百万円の損失となった。助成金収入は前期21百万円から8百万円に減少、支払利息は前期2億35百万円から2億54百万円に増加したことにより営業外収支が悪化、経常損失は2億45百万円(前期は1億32百万円の利益)となった。繰延税金資産の取り崩しがあったため、純損失は3億68百万円(前期は77百万円の利益)。11月に業績予想を修正したが、予想比で、売上高が1億61百万円、営業利益は1億87百万円、経常利益は2億82百万円、純利益は4億32百万円それぞれ下回った。
 
 
デイサービス事業
売上高は前期比1.9%増の33億58百万円、セグメント利益は同12.0%減の3億46百万円。8月には栃木県宇都宮市にデイサービスを新規開設したこともあり増収となった。既存デイサービス施設の施設稼働率の向上に努めたもののセグメント利益は前期実績を下回った。
 
施設サービス事業
売上高は前期比4.4%増の66億60百万円、セグメント利益は同45.3%減の3億5百万円。10月に長野県松本市に「ラ・ナシカまつもと弐番館」、11月に静岡市に「ラ・ナシカ三保の松原」、3月に静岡県島田市に「ラ・ナシカしまだ」を新規開設した。既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、施設稼働率の向上に努めた結果、新規施設を含む全ての居室数に対しての入居率は83.8%となった。
 
在宅サービス事業
売上高は前期比4.7%増の7億72百万円、セグメント損失は20百万円(前期は28万円の損失)。2月に愛媛県松山市に「あおぞらの里 森松ケアプランセンター」を新規開設した。利益率改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力し損失幅が縮小した。
 
 
15/3期末総資産は前期末比9億円増の148億64百万円となった。借方のおもな要因は、施設の増加により固定資産が8億86百万円増加したもの。貸方のおもな要因は、長短借入金とリース債務の増加により負債が同12億79百万円増加したが、利益剰余金が減少した為、純資産は同3億78百万円減少した。自己資本比率は前期末比3.1ポイント減少し6.9%となった。
 
 
15/3期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比1億29百万円減少し、9億53百万円となった。
営業CFは前期比3億49百万円(57.1%)減の2億62百万円の収入となった。その主な内訳は、収入要因として、減価償却費5億3百万円、仕入債務の増加額22百万円。支出要因として税金等調整前当期純損失2億45百万円、売上債権の増加額1億43百万円があった。
投資CFは前年同期比1億37百万円(21.2%)減、7億89万円の支出となった。その主な内訳は、支出要因として有形固定資産の取得による支出6億60百万円、敷金及び保証金の差入による支出1億27百万円、預り保証金の返還に伴う支出64百万円があり、収入要因としては預り保証金の預りに伴う収入77百万円があった。
これらによりフリーCFは前期比4億87百万円支出が増加し、5億27百万円の支出となった。
財務CFは前年同期比3億98百万円(0.1%)減の3億98百万円の収入となった。その主な内訳は、収入要因として短期借入金による収入19億80百万円、長期借入金による収入7億円、支出要因として短期借入金の返済による支出15億30百万円、長期借入金の返済による支出6億13百万円、リース債務の返済による支出91百万円があった。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比10.3%の増収、経常利益は66百万円の予想
16/3期は売上高が前期比10.3%増の119億1百万円、経常利益66百万円(前期は2億45百万円の損失)を計画する。デイサービス事業においては、4月からの介護報酬の改定を踏まえ、利用者のニーズと状況に合わせた適切なサービスを提供する。これにより利用単価の向上に取組み利益率の改善を図る。施設サービス事業においては、引き続き既存施設の向上を第一に注力する。さらに、次期の有料老人ホームの新規出店については、出店に係る初期費用が多額に発生することから、大阪市住之江区に1施設の出店に抑える計画。福岡市ではグループホーム1施設、デイサービス1施設を事業譲渡の予定。また、コンプライアンスを重視した施設運営と内部管理体制の整備・強化を進めるとともに、社員の教育・研修に注力し、顧客満足度向上に努める。
 
 
今後の注目点
入居率が想定を下回ったことが主因で下方修正、赤字となった。今後の課題はデイサービス事業では登録利用者数(稼働率)の増加となるだろう。09年3月に23施設で登録利用者数が4,000人を突破した後、31施設となった15年3月まで登録利用者数は概ね横ばいの推移となっており、増加基調を取り戻すことが待たれる。施設サービス事業は入居率が課題となるが、既存施設の入居率は3月31日の83.0%から6月1日には86.3%まで向上しており、克服しつつある。同社としては早急に90%に伸ばしたいとしている。また、管理費用、食費等の値上げ、新規加算の取得もあり、利益は改善に向かいそうだ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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