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(3667:東証1部) enish 企業HP
安徳 孝平 社長
安徳 孝平 社長

【ブリッジレポート vol.12】2015年12月期第3四半期業績レポート
取材概要「ブラウザゲームが健闘しているが、新規タイトルの開発コストを吸収して利益を確保するためには、少なくとも四半期ベースで15〜16億円の売上が・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年11月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社enish
社長
安徳 孝平
所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
事業内容
ソーシャルゲームの企画・開発・運営会社。ゲーム運営能力に優れ、主力の経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストラン供廚筺屮ルショ☆」はロングランのヒット作品
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年12月 6,452 149 151 22
2013年12月 6,624 1,109 1,078 653
2012年12月 4,430 666 654 373
2011年12月 2,590 526 523 298
2010年12月 415 64 71 55
2010年1月 22 -40 -41 -41
株式情報(10/30現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
749円 6,992,680株 5,238百万円 0.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - - - 241.91円 3.1倍
※株価は10/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
enishの2015年12月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランII」やアパレルショップの経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」、カードバトルゲーム「ドラゴンタクティクス」等の人気作品を有するソーシャルゲームの企画・開発・運営会社。14年3月には実質的創業者である安徳孝平(アントク コウヘイ)氏が代表取締役社長に就任。ブラウザアプリの収益性を維持しつつ、ネイティブアプリでヒットを創出し、国内とアジアを中心にしたグローバル配信で業容拡大を図っていく考え。社名の「enish(エニッシュ)」は、人と人との縁(えん、えにし)に由来している。
尚、ネイティブアプリとは端末にダウンロードして楽しむアプリで、主にスマートフォン向けに提供されている。一方、ブラウザアプリはダウンロードせず、GREE、mixi、Mobage等のプラットフォームにアクセスしてブラウザ上で楽しむ。いずれも無料で楽しむ事ができるが、アプリを進める上で有効なアイテム等を購入した場合、課金が発生する。ブラウザアプリでは、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。
 
【コーポレートビジョン  − 世界中にenishファンを作り出す −】
Link with Funというスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げている。
 
 
【事業内容】
事業はソーシャルアプリ事業の単一セグメント(ゲームはアプリのカテゴリーの一つ)。ブラウザゲームを収益基盤にネイティブゲームを育成している。ゲームは無料だが、ゲームを展開する上で有効なアイテム等を購入すると課金が発生する。ブラウザアプリの場合、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。また、ゲーム内で提携企業の広告を展開するO2O(Online to Offline)事業を育成中である(提携先企業は販売促進の一環として同社のゲームを活用)。

ソーシャルゲームは、①ゲームを通してプレイヤー同士がコミュニケーションを図る、②基本的には無料でゲームを進めながらアイテム等で課金、③原則無料のためスマートフォンさえあれば気軽に遊べる、④ゲームにゴールがない、⑤リリース後ゲーム進行に合わせて新機能の追加実装、⑥キャラクターやアイテムを追加して運営していくスタイル、といった特徴を有し、パッケージで提供されるゲームと異なり、「リリース」よりもリリース後の「運営」が事業成否のポイントとなる。
「運営」とはゲーム内イベントの運営であり、そのゲームの育成対象となるアイテムやキャラクター等を獲得できる収集イベント、キャラクターを成長させるための育成イベント(育成専用のアイテムの配布等を実施)、及び育成したアイテムやキャラの力を試す活用イベントの3つ。中でも、他のユーザとの戦いや協力でゲームが進行し、リアルタイムでのランキング表示もある活用イベントは、ユーザの注目度も高く、最も売上が大きくなる。
 
【ソーシャルゲームの市場環境】
調査会社によると、2012年に2,610億円だった国内モバイルゲームの市場規模は2015年に8,270億円に拡大する見込み。市場拡大のけん引役となるネイティブゲームの構成品が2012年の44%から2015年には71%に高まると見られている。
 
 
また、グローバル展開が可能な事もネイティブゲームの特徴である。2015年の世界の主要市場の合計額は前年比22%増と高い伸びが見込まれ、2.1兆円を超える見込み(2014年は1.7兆円)。特にアジア市場は規模が大きく、世界の65%(1.3兆円)を占めると見られている。
 
 
【基本方針】
新規ネイティブタイトルの投入、グローバル展開、及び安定した収益基盤の維持、を基本方針として事業を進めている。新規ネイティブタイトルは、男性向け、女性向けを問わず、多様なゲームジャンルへの展開を図ると共に、開発計画遵守を徹底する。また、グローバル展開は日本でのリリース後の結果いかんだが、リスク軽減を図るべく現地パートナーと連携して進めていく。一方、安定した収益基盤の維持では、運営力を活かし、既存ブラウザタイトルの収益維持を図る考えで、新機能の追加やコンテンツの投入に継続的に取り組んでいく。
 
【主要タイトル】
「ぼくのレストランII」、「ガルショ☆」等の経営シミュレーションゲームは女性に人気があり、いずれもロングセラー。ブラウザゲームベースの男女比率は、女性60.9%、男性39.1%。女性ユーザは長期継続型のユーザが多い。
 
 
 
2015年12月期第3四半期決算
 
 
ネイティブゲームが苦戦したものの、ブラウザゲームが健闘
第3四半期(7-9月)の売上高は第2四半期比3.5%減の13億12百万円。ネイティブゲームが苦戦したものの、「ガルショ☆」、「プラチナ☆ガール」、「魁!!男塾が好調」といったブラウザゲームが健闘した事でわずかな売上の減少にとどまった。損益面では、コスト構造の見直し効果で売上原価及び販管費が第2四半期比で大きく減少。第2四半期は4億76百万円だった営業損失が1億65百万円に減少した。
 
「MIRA MIRA(ミラミラ)」(パブリッシングタイトル)を8月27日にリリース
新規のネイティブゲームについては、シミュレーションゲーム「MIRA MIRA(ミラミラ)」(パブリッシングタイトル)を8月27日にリリースした他、第4四半期の10月9日にスクウェア・エニックス社開発のゲームを同社が拡張した女性向け「ゆるかみ!」をリリースした。一方、第3四半期のリリースを予定していた王道ロールプレイングゲーム(RPG)「12オーディンズ」(オリジナルタイトル)は事前登録者数が12万人突破する等で注目度は高かったが、競合他社のRPGの発売同行や「MIRA MIRA(ミラミラ)」のKPI(重要業績評価指標)が下振れしている事を踏まえて一段の品質向上に取り組むべくリリースを延期した。
 
既存のネイティブアプリは、適宜、外部への運営委託に
苦戦している既存のネイティブゲームについては、人的リソースの有効活用の観点から、適宜、外部パートナーへの運営委託に切り替えていく考えで、この第3四半期は「千年の巨神」の移管が完了。「ぼくのレストラン3」もKPIを踏まえて運営委託に切り替える事とした。
 
 
売上原価では、売上の減少で支払手数料が、人員の適正化で労務費が、それぞれ減少。同社は開発費を資産計上せず、発生期に費用計上しており、第3四半期の労務費の計上で15/12期の新規タイトル分の開発費計上がほぼ終了した(第4四半期の労務費は16/12期にリリースされるタイトルの開発分が中心となる)。
販管費では、新規タイトル分で若干使用した広告宣伝費が増加したものの、役員報酬の減額や人員の適正化に伴い人件費が、採用の絞込みにより採用費が、海外拠点の整理・縮小で支払手数料が、それぞれ減少した。
 
 
前年同期比13.1%の減収、営業損失7億93百万円(前年同期は営業利益2億94百万円)
売上高は前年同期比13.1%減の41億92百万円。売上の大半はブラウザゲームによるもので、漸減傾向ながら想定に沿った着地。一方、苦戦しているネイティブゲームでは、リニューアルを実施した「千年の巨神」を5月にリリースした他、8月に「MIRA MIRA」をリリースした。

損益面では、リニューアルを実施した「千年の巨神」の苦戦や品質向上を目的に新規タイトルのリリースを当初の予定から延期した事等で売上が減少したため、新規タイトルの開発にかかる外注費や人員増に伴う労務費の増加で原価率が悪化。コスト構造の見直しにより販管費を前年同期並みに抑えたものの、営業損益は7億93百万円の損失(前年同期は2億94百万円の利益)。enish Thailandの撤退に伴う整理損やenish chinaの縮小に伴う整理損等で特別損失1億58百万円を計上したため、四半期純損益は12億21百万円の損失となった(前年同期は1億67百万円の利益)。
 
 
第3四半期末の総資産は前期末に比べて11億08百万円減の23億46百万円。売上・利益の減少で、現預金、売上債権、純資産が減少。来期のアプリ開発及びマーケティング活動資金を確保するべく、2015年9月24日に第三者割当方式により新株予約権(後述)を発行した。流動比率305.6%(前期末519.6%)、固定比率33.8%(同25.5%)、自己資本比率72.1%(同82.9%)。
 
第三者割当による行使価額修正条項付第7回新株予約権の発行
2015年9月24日、人気IP(後述)の獲得を含めたネイティブアプリの開発及びマーケティング活動のための資金確保を目的に、大和証券(株)を割当先とする第三者割当方式により新株予約権を発行した。同社は、今後提供するネイティブアプリにおいて人気IPを積極的に活用していく考えで、既に複数の企業と人気IP獲得に向けた契約交渉が進んでいる。
ユーザ層に広く認知されている人気IPを利用したタイトルはストーリー等がユーザに浸透しやすく(このため、マーケティング効率も高まる)、新規ユーザの獲得や既存ユーザの満足度向上にも寄与する(高い継続率を示す傾向がある事が確認されている)。

尚、IPとはIntellectual Propertyの略で、著作権等の知的財産の事。原著作権に限らず、原著作権を利用して開発された二次的著作物に関わる著作権もIPに含まれ、同社が主に利用しようとする知的財産は、映画、アニメ、漫画及びそのキャラクター等。
 
資金調達の概要
新株予約権割当日2015年9月24日
新株予約権数8,500個
発行価額本新株予約権1個当たり930円(払込総額7,905,000円)
当該発行による潜在株式数850,000株(本新株予約権1個当たり100株)
当初行使価額(修正条件あり)1,045円
(行使価格は権利行使に伴い、行使時の時価を基に修正されるが、上限行使価額はなく、下限行使価額のみ627円と設定されている)
資金調達額(差引手取概算額)891,155,000円
 
上記差引手取概算額891百万円については、①7億円を2015年9月から2016年12月末迄に同社が提供するネイティブアプリの新規開発3〜4タイトルに係る開発費用に、②1億91百万円を2016年1月から2016年12月末迄にネイティブアプリケーションゲームに係るマーケティング活動費用に、それぞれ充当する予定(調達額が予定金額を超過した場合には、その他の人件費、経費等の運転資金に充当する予定)。
尚、2015年10月28日現在、1,400個(1,400千株)の新株予約権が行使されており、同時点における未行使の新株予約権の数(株数)は7,100個(7,100千株)。
 
 
2015年12月期業績予想
 
 
第4四半期は新規タイトルの売上寄与を見込むが利益面では慎重
8月にリリースした女性向けセレブシュミレーションゲーム「MIRA MIRA(ミラミラ)」に続き、10月には(株)スクウェア・エニックスとの共同開発タイトル「ゆるかみ!」をリリースしており、更に第4四半期は農園シミュレーションゲーム「クルトン」とロールプレイングゲーム「12オーディンズ」のリリースを予定している。

上記ネイティブゲームの寄与に加え、ブラウザゲームが健闘している事もあり、第4四半期は第3四半期比で売上が大きく伸びるものの、広告宣伝費の積極的な投下を前提に損益の見通しについては慎重。営業損失が第3四半期の1億65百万円から2億55百万円に増加する見込み。
 
 
通期業績予想に変更はなく、売上高58億円(前期比10.1%減)、営業・経常損失10億50百万円、当期純損失16億円。
 
(2)業績予想の達成に向けた取り組み
業績予想の達成に向け、第2四半期以降、売上高の拡大、進捗管理体制の強化、海外拠点の整理・縮小、及びコスト管理の徹底、の4つの課題に取り組んでいる。
このうち、海外拠点の整理・縮小については、海外配信を現地パートナーと連携する方針に変更し、中国拠点を整理・縮小した他、タイのCS拠点を国内に移管して固定費の変動費化を図った(取り組みが完了)。また、コスト管理の徹底では、人員数の最適化や役員報酬減額等、全ての科目においてコスト圧縮を実施した(管理体制を強化して、引き続きコスト削減を推進していく考えだが、大枠では取り組みが完了した)。

一方、売上高の拡大と進捗管理体制の強化については、取り組みが途上にある。売上高の拡大では、ブラウザゲームにおいて収益基盤を強化するべく機能追加及び運営品質の改善に取り組んでおり、ネイティブゲームについては、開発中のタイトルの開発の早期化と開発計画厳守の徹底に取り組んでいる。また、進捗管理体制の強化では、タスクフォースである社内委員会主導で、マイルストーン管理、進捗モニタリング、及びプロトタイピングによる早い段階での品質確認、の徹底を図っている。
 
売上高の拡大に向けた取り組み
収益源であるブラウザゲームについては、機能追加及び運営品質の改善に継続的に取り組んでおり、第3四半期の売上高が第2四半期比で3.3%の減少にとどまったのは、その成果と言える。一方、運営品質の改善では、運営委託の一部を内製化に切り替え、重要な機能を同社のコントロール下に置いた他、クオリティチェックや委託先による毎月のレビューをルーティン化した。

ネイティブゲームは、既に説明した通り、4本の新規タイトルをリリースする予定。既に「MIRA MIRA」及び「ゆるかみ!」をリリースしており、第4四半期の半ばから後半にかけて、「クルトン」及び「12オーディンズ」をリリースする(「クルトン」と「12オーディンズ」は、現在、開発の最終段階にある)。また、16/12期の新規タイトルとして、人気IPを利用したタイトルの開発も進行中である。
 
 
8月27日にリリースした「MIRA MIRA」は、女優やモデル、歌手といった魅力的な世界でシンデレラストーリーを経験できるセレブシミュレーションゲーム。当初はKPIが想定を下回っていたが、バグ修正も含めて一連の改修が完了した。具体的には、Ver1.2 へのバージョンアップで、難易度設定の変更、New NPC motionの追加(ゲームマスターが操作するキャラクターの動作に新しい動作を追加)、お知らせの改善等を行い、更に、現在提供中のVer1.3において、イベントを改善した他、Sレア(ガチャ)やチュートリアル(解説)を加えた。
 
 
10月9日にリリースした「ゆるかみ!」は、日本各地の名産・名所を由来とした「ゆるかみ」を探して育てる「全国!神さま育成RPG」。スクウェア・エニックス社開発のゲームを同社が拡張したもので、スクウェア・エニックス社のファンの取り込みを念頭に置いている。リリース後にバランス改善を実施し、現在、効果確認中である。ソロイベントやランキング変動報酬等を加えたVer1.0.5へのバージョンアップが予定されている。
 
 
第4四半期(11月中旬)にリリースを予定しているオリジナルタイトル「クルトン」は、ボトルの中の小さな世界で、ちょっと不思議で、とっても可愛い「クルトン」と菜園ライフを楽しむシミュレーションゲーム。iPhone版をリリースし、その後の状況を見てAndroid版をリリースする考え。
 
 
オリジナルタイトル「12オーディンズ」は、みんなで×つながる”をコンセプトにした王道ロールプレイングゲーム。リアルタイム共闘や自由度の高いキャラメイク等、ヤリ込み要素が満載(課金率も高い)。第3四半期のリリースを予定していたが、競合他社のRPGの発売同行等を踏まえて、一段の品質向上に取り組むべくリリースを延期した。事前登録数が12万人を突破する等、注目度の高いタイトルである。
 
 
今後の注目点
ブラウザゲームが健闘しているが、新規タイトルの開発コストを吸収して利益を確保するためには、少なくとも四半期ベースで15〜16億円の売上が必要と思われ、ブラウザゲームだけでは厳しい。過当競争でゲーム会社を取り巻く環境は厳しく、ヒット作に恵まれず苦戦しているゲーム会社は同社に限った事ではないが、1本のヒットで状況が一変するのもゲーム会社である。ネイティブゲームの早期の軌道化に期待したい。
尚、15/12期業績については、ネイティブゲームの動向いかんで売上高が振れる可能性はあるが、損益は保守的な予想のため、損失が予想以上に膨らむ可能性は少ないと考える。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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