ブリッジレポート
(3034:東証1部) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.29】2016年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「既存店が2ケタ成長を続ける中、入札制度等の施策が成果を上げており、この上期は大幅な増益となった。上期の業績が上振れしたにもかかわらず通期・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年12月8日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階
事業内容
調剤薬局チェーン大手。首都圏中心に全国に店舗展開。
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 114,363 4,243 4,262 2,155
2014年3月 100,966 2,105 2,208 777
2013年3月 76,783 2,812 2,829 1,349
2012年3月 66,201 3,308 3,238 1,560
2011年3月 60,915 2,804 2,807 1,137
2010年3月 56,305 2,031 2,032 828
2009年3月 49,010 1,526 1,506 653
2008年3月 38,002 1,314 1,298 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(11/27現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,777円 34,413,100株 61,152 百万円 11.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 1.1% 72.71円 24.4倍 557.42円 3.2倍
※株価は11/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
クオールの2016年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
首都圏を中心に全国展開を進める業界3位の調剤薬局チェーン。従来、調剤薬局と言えば、大病院の近くに出店し顧客獲得を競う門前薬局が主流だったが、同社は医療機関とのマンツーマン体制による出店戦略を推進し独自の勝ちパターンを確立。近年では、異業種との提携等による人々が集まる導線上への出店に力を入れており、(株)ローソンとの資本業務提携による「コンビニエンスストア(以下、CVS:Convenience Store)併設型調剤薬局」(調剤薬局とCVSの融合)の街ナカ展開、家電量販店大手の(株)ビックカメラとの連携による駅チカ展開、更にはJR西日本グループとの業務提携による「駅クオール薬局」といった駅ナカ展開が進行中である。また、子会社を通してCSO事業、治験事業等も手掛けている。
 
企業理念    わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。
 
【沿革】
1992年10月   中村 勝氏(現社長)が50歳の時に医薬品卸の営業本部長から転身して創業 兜町に1号店を出店
2006年 4月   大阪証券取引所「ヘラクレス」(現JASDAQ)上場
2008年12月   ローソンと業務提携
2010年 6月   CVS併設店舗1号店(東京都港区城山トラストタワー)
2011年12月   東証2部上場
2012年 8月   JR西日本デイリーサービスネットと業務提携
2012年 8月   ローソンと資本提携
2012年10月   アポプラスステーションを子会社化
2012年12月   東証1部上場
2013年 4月   会社分割(新設分割)により関連事業を統括する中間持株会社クオールSDホールディングスを設立
2014年 7月   ココカラファインと業務提携
 
【事業概要と調剤事業の特徴】
事業セグメントは、調剤事業とBPO受託事業(関連事業から名称変更)に分かれ、15/3期は調剤事業の売上が全体の90.3%を占めた。調剤事業はクオール(株)等が手掛ける調剤薬局の経営が中心だが、CVS併設型調剤薬局(「LAWSON」の法人オーナーとして展開)における物販の収益も含まれている。
一方、中間持株会社クオールSDホールディングス(株)が統括するBPO受託事業は、アポプラスステーション(株)によるCSO事業や薬剤師の派遣事業、クオールRD(株)の治験支援事業、メディカルクオール(株)の出版関連事業からなる。MRの派遣は製薬会社のコスト削減(MRの削減)に対応したもので、薬剤師の派遣は薬剤師の就学期間の長期化(薬学部が4年制から6年制へ)や薬剤師国家試験の合格率低下による薬剤師不足に対応したもの。
 
調剤事業の特徴
クオール薬局
「処方箋は病院の近くで処理するもの」と言う固定観念が強いため、処方箋を受け取った患者が自ら薬局を選ぶ事は稀で、病院等の近くの薬局(門前薬局)を利用するケースが一般的であった。このため、調剤薬局は大病院など大手医療機関の門前に店舗を構え、好立地を活かした店舗運営を志向してきた。これに対して、同社は多くの医療機関と1対1の密接な関係(処方元医療機関の医師との強固な信頼関係)を構築するマンツーマン薬局を志向すると共に、1店舗で複数の医療機関が発行した処方箋を応需する面対応の店舗展開を進めてきた。
 
クオール薬局は既存店の新患率が約8%、売上高は2ケタ成長が続いている。
同社独自の認定薬剤師制度により、がん、認知症、在宅、糖尿病等、専門知識を持った薬剤師を育成する事で処方提案レベルを高めている他、過誤防止、全自動調剤、スピーチプライバシーシステム、エコ、災害対策、在宅、テレビ電話等、機能面での充実にも力を入れている。
加えて、異業種とのコラボレーションやクオールカード、処方せん送信アプリ、クオール薬局アプリと言ったIT化により、近隣の大病院に頼らない面対応の取り組みも継続的に進めている。
 
面対応強化の一環として異業種と連携   −広範囲な市場をカバー−
2010年以降は異業種と連携により多様なチャンネル展開にも力を入れており、ローソンとの提携による調剤薬局併設のCVS(コンビニ)運営(2014年4月以降は、調剤、コンビニ、ドラッグストアのヘルスケア融合型にシフト)、駅前の好立地に店舗展開し、高い集客力を誇るビックカメラ店舗でのインストア展開、JR西日本グループとの提携による駅構内での店舗展開を進めている。現在、患者の20%超は能動的に調剤薬局を選択していると言われており、こうした患者の取り込みを図るための差別化戦略であり、患者との接点を点から面に広げる事で広く処方箋を獲得しようとするもの。将来的には宅配サービスも視野に入れており、薬だけでなく、介護用品や弁当等を届ける体制を整備したい考え。
 
流通改革
2014年3月、調剤薬局・ドラッグストア16社と共に、医薬品卸会社へ医薬品の競争入札を行う医薬品調達機構を立ち上げた。医薬品調達機構は、医薬品を5つのカテゴリーに分け、このうち新薬創出加算品、特許品、及び長期収載品の3カテゴリーについて、カテゴリー別に事前に各社へ購入予定価格を通知、その価格に対して一般競争入札を行う。残りの後発医薬品、エッセンシャルドラッグ(その国の保険医療に最低限必要な医薬品)は従来通り、各々が仕入先と交渉する。これまで同社はすべての医薬品を一括購入していたため、値引き率には限界があったが、15/3期より、先述の入札制度により、適正かつ公正な価格での交渉・妥結が可能となり、利益率の改善につながっている。

これまで同社の通期業績は、第4四半期(1-3月)に実施される医薬品の仕入価格交渉の結果いかんで大きく変動する事があった。特に13/3期、14/3期は影響が大きかったが、仕入価格(仕入原価)を確定した上で仕入れを行うと言う本来の商習慣への回帰を目指す医薬品入札制度を導入した事で15/3期は大きな波乱なく着地できた。

尚、一般的には調剤薬局が処方箋を1枚処理した場合、処方箋単価が調剤薬局の収入となり、処方箋単価の約25%が技術料で残り約75%が薬剤料として売上計上される。技術料は100%粗利となるが、薬剤料は医薬品の仕入原価を差し引いた残り(薬価差益)が粗利となる(値引き率を大きくする事によって超過収益を得る事ができる)。
 
調剤売上高 = 処方箋単価 × 処方箋枚数
調剤利益 = 技術料 +(薬剤料 × 値引き率)
 
 
2016年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比5.7%の増収、同75.6%の営業増益
売上高は前年同期比5.7%増の587億90百万円。子会社売却や不採算事業の整理等、収益性重視の観点から選択と集中を進めたBPO受託事業の売上が46億07百万円と同16.5%減少したものの、既存店の好調やM&A効果で調剤事業の売上が541億82百万円と同8.1%増加した。

利益面では、医療品調達コストの削減やジェネリック医薬品の拡大に加え、不動在庫削減に向けた取り組みの成果もあり、売上総利益率が12.2%と1.9ポイント改善。人件費を中心にした販管費の増加を吸収して営業利益が27億24百万円と同75.6%増加した。販管費には、のれん償却費7億62百万円(同52百万円増)が含まれており、実質的な営業利益は35億円弱と考える事もできる(営業キャッシュ・フローは40億円弱の黒字)。役員退職慰労引当金戻入額3億17百万円を特別利益に計上した事や実効税率の低下で最終利益は18億75百万円と同2.8倍弱に増加した。
 
 
調剤事業
売上高は前年同期比8.1%増の541億82百万円。既存店の売上が同17.0%(26億79百万円)増加した他、M&A効果も同7.8%(21億33百万円)増加。また、ギリアド・サイエンシズ社から発売されたC型肝炎新薬の寄与で処方箋単価も9,981円と417円上昇した(既存店の処方箋単価は10,000円を超えた)。営業利益は同63.0%増の26億95百万円。医薬品調達コストの削減、ジェネリック医薬品の推進、人件費コントロール、不採算店舗の閉店(主に売店)、及び処方箋OCRシステムの導入等による店舗の生産性向上(入力時間30%短縮、インシデントほぼゼロ)等で収益性が大幅に改善した。
上期末の店舗数はLAWSON33店舗を含む540店舗。21店舗(M&A14店舗、クオール6店舗、LAWSON1店舗)の出店を行う一方、 19店舗(うち12店舗が売店)を閉店。540店舗のうち、236店舗は在宅に対応しており、21店舗はクリーンルームが設置されている。
 
BPO受託事業
売上高は前年同期比16.5%(9億10百万円)減の46億07百万円。薬剤師等の派遣事業及び治験事業が堅調に推移したものの、医療用医薬品の広告やプロモーション等を手掛けていた(株)シナジーメディカルコミュニケーションズの(株)電通への売却やアポプラスステーション(株)の不採算事業の整理に伴う18億円の減収要因を吸収できなかった。ただ、選択と集中及び各事業での徹底した損益管理が成果をあげ営業利益は5億24百万円と同27.2%増加した。
 
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末に比べて6億49百万円減の589億23百万円。積極的に長期借入金の返済を進めた事で有利子負債が減少した他、償却でのれんが減少した。ネットDEレシオ〔=(有利子負債-現預金)/自己資本)〕は0.45倍と、前期末は0.54倍から低下した。
CFの面では、利益の増加と売上債権の回収が進んだ事で、前年同期は10億63百万円だった営業CF(A)が39億69百万円に増加。M&A価格の精査で投資CF(B)のマイナス幅も縮小し、フリーCF(A+B)が23億62百万円のマイナスから21億48百万円の黒字に転換した。
 
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比10.0%の増収、同18.1%の営業増益予想
調剤事業はクオールグループ47店舗、LAWSON 8店舗の出店を計画しており、期末店舗数が593店舗と前期末に比べて55店舗増加する見込み。LAWSONについては、スクラップ&ビルドによりヘルスケアCVSへのシフトを進め、期末40店舗体制を目指している。入札制度による安定した収益と積極的なジェネリック医薬品への変更で収益性の改善も進む見込み。一方、BPO受託事業は、子会社売却やアポプラスステーション(株)の不採算事業整理等の影響で売上が減少するものの、アポプラスステーション(株)の大幅な増益やクオールRD(株)の黒字転換等で利益は増加する。
設備投資は16億27百万円(前期17億52百万円)を計画しており、減価償却費16億99百万円(同16億11百万円)、のれん償却費17億60百万円(同14億97百万円)を織り込んだ。

期末配当は、1株当たり10円を予定しており、上期末配当と合わせて年20円となる見込み(予想配当性向27.5%)。
 
(2)無担保転換社債型新株予約権付社債の発行で100億円を調達
野村證券(株)を第三者割当先とする第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(以下、新株予約権付社債)の発行により、向こう3年間に必要な投資資金を調達した。この新株予約権付社債には行使価額修正条項が付されているが、下限行使価額(当初行使価額の1,799円)と潜在株式数(5,558,700株)が固定されているため、過度な希薄化や株価への影響を抑えながら、資金を調達する事が可能。同社は調達した資金を向こう3年間の調剤事業におけるクオール薬局や新業態店舗の新規出店と既存店舗の改修、及び借入金の返済に充当していく考え。尚、払込期日の翌取引日以降、2018年9月28日までの間に所定の手続きを踏む事で残存する新株予約権付社債の全部を繰上償還する事もできる。
 
 
調剤事業における新業態展開及びBPO受託事業の動向と見通し
 
当面の数値目標として、売上高3,000億円(調剤事業2,400億円、BPO受託事業600億円)、営業利益240億円(共に120億円)を掲げている。クオールSDホールディングス(株)(以下、クオールSDHD)が手掛けるBPO受託事業で利益を下支えしつつ、調剤事業でトップラインを伸ばしていく考え。調剤事業では、1,000店舗体制の構築を念頭にクオール薬局の新規出店に加え、M&Aや異業種との連携を積極的に進めていく。一方、BPO受託事業は、アポプラスステーション(株)が手掛ける派遣事業をけん引役に収益の拡大を図る。
 
【調剤事業における新業態展開   −LAWSON、ビックカメラ、JR西日本グループ−】
LAWSON事業(街ナカ市場)では、ヘルスケアCVSの集客効果が大きく、クオール薬局との相乗効果が顕在化しており、ビックカメラとの連携(駅チカ市場)では面応需薬局としての存在感を確立する事ができた。また、JR西日本グループとの提携(駅ナカ市場)では駅ナカの魅力を活かして薬局+セルフメディケーションを確立した。

LAWSON事業では上期末現在33店舗の店舗ネットワークを有し、特に、調剤、コンビニ、ドラッグストアを融合したヘルスケアCVSが好調だ。ヘルスケアCVSは日販が70万円〜80万円と高く、新横浜店の日販は100万円を超えている。
16/3期上期のLAWSON事業は売上高が前年同期比15.3%増加。CVS売上が同15.9%増、調剤売上が同12.0%増、調剤受付回数0.7%増。ヘルスケアCVS1店舗を出店する一方、不採算店舗5店舗を閉店した。
 
 
有楽町、新宿、名古屋、札幌のビックカメラ店内に4店舗を展開しているビックカメラとの連携では、ビックカメラのバックアップもあり、面応需薬局としてのステータスの確立に成功している。16/3期上期は処方箋受付枚数が前年同期比22.0%増、調剤報酬が同27.1%増。店舗別では、有楽町店が受付枚数同11.8%増、調剤報酬同15.5%増、新宿(ビックロ)店が26.1%増、34.5%増、名古屋店が24.9%増、19.2%増、札幌店が35.2%増、59.4%増。有楽町店は処方箋応需医療機関が約4,800に達し、新宿(ビックロ)店は地下に移転した効果が大きく、処方箋受付枚数の増加が続いている。名古屋店はOTCが堅調に推移しており、上期の売上が29.0%増加した。札幌店は2階に移転した効果で、受付枚数・調剤報酬が共に大幅に増加した。

JR大阪駅店、JR新大阪駅店、及びJR尼崎駅店の3店舗を展開するJR西日本グループとの提携では、調剤+ドラッグストアの集客力に加え、健康フェアなど同グループの積極的なバックアップによる認知度向上で処方箋応需枚数の増加が続いている(処方箋応需医療機関は2,200超)。
16/3期上期は処方箋受付枚数が前年同期比108.8%増、調剤報酬が同129.6%増。OTCが同232.9%増。提携第1号店のJR大阪駅店は、それぞれ13.6%増、31.8%増、25.2%増。
 
 
国内の製薬大手5社は海外売上比率が40〜70%を占める等、国内制度依存からの脱却が進んでいるが、準大手以下の製薬企業は国内への依存度が82〜100%と高く、長期収載品の比率も50〜60%と高い。後者の多くは、長期収載品のジェネリック化、新薬研究開発費の増高、新薬導入コストの増高等で厳しい経営を強いられており、製薬企業として生き残るべく、真の研究開発以外の業務についてBPO化を進めている。BPO化の具体例として、「自社MRからCSOへ切り替え」、「自社開発からCROへ切り替え」、「フェーズ4を臨床委託」、「製造の外部委託」等を挙げる事ができるが、同社グループではクオールSDHD傘下のアポプラスステーション(株)が「自社MRからCSOへ切り替え(コントラクトMR)」に対応したサービスを提供しており、「自社開発からCROへ切り替え」に対してはクオールRD(株)がサービスを提供している。

尚、同社の資料によると、国内のMRは2013年の65,752人をピークに減少しているが、その一方でコントラクトMR(CMR、派遣型MR)数は増加傾向が続いている。このため、2017年にはCMRのシェアがMR全体の8〜10%に達すると見られている。
 
 
 
16/3期通期のクオールSDHDの売上高は97億53百万円と15/3期に比べて15億68百万円減少する見込み。クオールRD(株)の売上が増加するものの、(株)シナジーメディカルコミュニケーションズの売却やアポプラスステーション(株)の不採算事業整理の影響に加え、ペーパレス(紙媒体から電子媒体への需要シフト)の影響でメディカルクオール(株)の売上も減少する見込み(足元では、売上の減少に底打ち感が出てきた)。
ただ、15/3期の売上高は売却した子会社の売上や不採算事業にかかる売上を除くと96億01百万円となり、これをベースにすると、16/3期予想は1億52百万円(1%程度)の増収となる。

一方、クオールSDHDの営業利益は、12億37百万円と15/3期に比べて2億83百万円増加する見込み。(株)シナジーメディカルコミュニケーションズの99百万円の利益がなくなる他、売上の減少でメディカルクオール(株)の利益も減少する見込みだが、アポプラスステーション(株)の営業利益が大幅に増加する他、クオールRD(株)の営業損益が44百万円の損失から55百万円の利益に転じる。
 
クオールSDHDの中核をなすアポプラスステーション(株)の課題
アポプラスステーション(株)の16/3期は不採算事業の整理で減収が避けられないが、収益事業に限定すれば(不採算事業を除くと)、15/3期の売上高は75億47百万円となり、16/3期は79億48百万円が見込まれ、4億01百万円(5%)の増加。一方、営業利益は不採算事業の整理で前期の8億20百万円から11億59百万円へ3億39百万円(41%強)増加する見込みで、実質的には売上・利益共に順調だ。
 
 
ただ、今後の事業拡大を考える上で、CMRの確保が課題となってきた。理由は、MR派遣先である製薬企業による直雇用化と求人市場の需給ひっ迫による採用難である。前期末のCMRは510名だったが、このうち派遣期間が2年に達した120名が派遣先の製薬企業に直雇用化(社員化)されたため16/3期は410名でスタートし、上期中にも80名が直雇用化された。一方、足元のオーダーは順調で、これをこなすために来17/3期は530名でスタートする必要がある。更に18/3期以降を考えると、来期末の17年3月までに600名体制を構築しておく必要があるが、求人市場の需給ひっ迫で人材の確保のために越えなければならないハードルの高さが上がっている(同社は異業種で経験を積んだ人材を採用・教育してMRとして派遣している)。
 
 
今後の注目点
既存店が2ケタ成長を続ける中、入札制度等の施策が成果を上げており、この上期は大幅な増益となった。上期の業績が上振れしたにもかかわらず通期の業績予想が据え置かれたが、下期に特段の不安材料があるわけではなく、通期業績は、少なくとも、上期の上振れ分が上乗せされると考えていいようだ。事業が急拡大しているアポプラスステーション(株)における人材確保等、国内企業に共通する悩みはあるものの、アポプラスステーション(株)を含めたBPO受託事業全体で収益力の強化も進んでいる。
また、この上期は、来年度の調剤報酬改定に向けた、かかりつけ薬局・薬剤師に必要な機能の整備が完了した他、ジェネリック医薬品等の増加で顕在化してきた不動在庫の増加に対応した社内物流改革(期限切れ薬剤の管理強化や医療用医薬品の有効活用)も実施した。加えて、下期に入り、向こう3年間に必要な成長資金の調達にも目処を付けた。今期の好業績は言うに及ばず、来年度の調剤報酬改定や2017年4月の消費税率引き上げ等、来期以降の厳しい環境下でも売上・利益を伸ばせる体制も整ってきたようだ。
 
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