ブリッジレポート
(6890:JASDAQ) フェローテック 企業HP
山村 章 社長
山村 章 社長

【ブリッジレポート vol.47】2016年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「中国でのソーラーパワー投資の回復とコスト競争力の強い銀川工場への生産移管により太陽電池関連事業が回復から拡大に向いつつあり、電子デバイ・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年12月15日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フェローテック
社長
山村 章
所在地
東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル
事業内容
半導体・FPD製造装置部品、太陽電池関連製品等の製造・販売及び各種技術サービス
決算期
3月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 59,078 1,671 2,030 -2,132
2014年3月 44,745 798 1,262 1,391
2013年3月 38,424 -3,608 -3,465 -6,532
2012年3月 60,088 4,124 3,287 1,715
2011年3月 57,880 6,931 6,290 4,483
2010年3月 31,541 703 524 156
2009年3月 36,653 2,790 2,097 743
2008年3月 36,625 3,057 2,414 1,903
2007年3月 32,517 2,288 2,081 1,703
2006年3月 23,946 1,210 1,040 708
2005年3月 21,105 1,762 1,456 633
2004年3月 15,000 615 -177 -645
2003年3月 12,845 111 -626 -899
2002年3月 14,775 916 984 -357
2001年3月 16,435 2,665 2,561 1,644
株式情報(12/7現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,334円 30,810,278株 41,101百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
8.00円 0.6% 61.66円 21.6倍 1,307.94円 1.0倍
※株価は12/7終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
フェローテックの2016年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
消耗品を含めた半導体・FPD製造装置部品、冷熱素子「サーモモジュール」を核とする電子デバイス、太陽電池関連製品等の製造・販売、及び関連する各種技術サービスを手掛けている。グループは、連結子会社24社、非連結子会社2社、持分法適用会社5社。
1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生。創業から30年余りにわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営も同社の特徴だ。
 
【経営理念と行動規範】
経営理念
 顧客に満足を
 地球にやさしさを
 社会に夢と活力を
 
行動規範
私たちは、グローバルな視点のもと、常に国際社会と調和を図り、地域社会その他私たちに関係する世界の人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として、各国の法令を遵守することはもちろん、確固とした企業倫理と社会的良識を持って、誠実に行動します。

フェローテックグループは、新エネルギー産業およびエレクトロニクス産業を中心に高品質な製品やサービスを提案し、コスト競争力のある製品やサービスを提供することにより、お客様から信頼されて、満足を頂くことを掲げます。

フェローテックグループは、地球環境に配慮した活動を積極的に推進することを経営上の重要課題の一つとしており、最新の環境規制要求への適応を順次進めます。また、新エネルギー産業で活用できる素材・製品などを開発し、地球環境問題の解決に貢献することを掲げます。

フェローテックグループは、コア技術を活用したものづくりを通して社会に貢献し、顧客、株主、社員、取引先、地球社会などステークホルダーの方々が成長する楽しみを持てる企業であり続けます。また、企業活動に当たり法令遵守、社会秩序、国際ルールなど社会的良識をもって行動することを掲げます。
 
【事業セグメント】
事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶やPVウエーハ、結晶製造装置に使われる坩堝等の太陽電池関連事業に分かれ、15/3期の売上構成比は、それぞれ45.0%、16.4%、30.4%、及びソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれないその他8.3%。
 
 
装置関連事業
エンジニアリング・サービスをトータルに提供しており、半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置部品、製造の際に使われる消耗品、スペアパーツ等の生産に加え、製造装置の洗浄(中国でシェア50%)も手掛ける。主力製品で世界シェアNo.1の真空シールは、製造装置内部へのガスやチリ等の侵入を防ぎつつ回転運動を装置内部に伝える機能部品で、上記の製造装置に不可欠。真空シールの内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただ、いずれの分野も設備投資の波が大きいため、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野での営業を強化しており、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。
一方、石英製品とセラミックス製品は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品。石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品。同社はLEDメーカー向けで高いシェアを有する。太陽電池の製造プロセスで使われる石英製品である石英坩堝(太陽電池関連事業に区分)でも高いシェアを有し、この技術を活かして半導体向け高純度坩堝を育成中である。また、材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを主な顧客とし、半導体検査治具用マシナブルセラッミックスと半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスが二本柱。
この他、6インチのディスクリート半導体向けが中心の小口径ウエーハ加工(インゴットのスライス)も月産30万枚規模に達しており、小口径ウエーハの加工分野で一定の存在感を有する。
 
電子デバイス事業
事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、遺伝子検査装置、光通信、家電製品等、利用範囲は広い。高性能材料を使用した新製品の開発や自動化ラインの導入によるコスト削減と品質向上により新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。また、釣り具のリール(リール内部の防水用途)や4Kテレビのスピーカー向け等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体の販売も当セグメントに含まれる。
 
太陽電池関連事業
2005年に太陽電池関連事業に参入し、シリコン結晶製造装置、石英坩堝等の消耗品、及び太陽電池用シリコン製品等の製造販売を手掛けてきた。現在は市場ニーズを踏まえて、太陽電池用シリコン製品(シリコンインゴットとウエーハ)の受託生産や、インゴットの製造時に使用される単結晶シリコン用坩堝や多結晶シリコン用角層坩堝(共に石英の加工技術がベースになっている)の製造・販売が中心。消耗品である坩堝については、多様なラインナップを揃えると共にカスタマイズにも対応し、高い市場シェアを有する。
 
 
2016年3月期上期決算
 
 
前年同期比15.0%の増収、同62.0%の営業増益
売上高は前年同期比15.0%増の336億15百万円。シリコン結晶製造装置、消耗品共に需要が低迷した太陽電池関連事業の売上が同13.9%減少したものの、主力の自動車温調シート向けに加え、民生向けや産業向け等、サーモモジュールの需要が幅広く増加した電子デバイス事業の売上が同55.3%増と伸びた他、真空シールや半導体の製造工程で使用されるマテリアル製品を中心に装置関連事業の売上も同19.6%増加した。

利益面では、稼働率の向上による装置関連事業、電子デバイス事業の収益性改善と円安で売上総利益が同28.0%増加。円安に伴う海外子会社の円建て経費の増加に加え、貸倒引当金引当金(3億22百万円)の計上もあり、販管費の伸びも大きくなったが、営業利益は19億42百万円と同62.0%増加した。本社工場改築に伴う処分損など特別損失54百万円を計上したものの、為替差損益の改善や(△1億06百万円→2億43百万円)や実効税率の低下で最終利益は12億02百万円と同3.3倍に拡大した。為替レートの期中平均レートは、1USドル=120.48(前年同期102.23円)、1人民元=19.36円(同16.56円)。
 
 
装置関連事業では、スマートフォンやタブレットPCに使用される半導体及びフラッシュメモリー等の生産が堅調に推移した事で石英製品やセラミックス製品の売上が伸びた。この他、EBガン・LED蒸着装置の売上が増加した他、(株)アドマップを子会社化した事で7月からCVD-SiC(化学蒸着法炭化ケイ素)の出荷も始まった。
電子デバイス事業では、主力の自動車温調シート向けに加え、医療検査装置やバイオ関連機器、家電分野や食品ケース、更には半導体向けチラーや中国の光通信機器等、幅広い分野で売上が増加した。また、磁性流体も、車載用スピーカー、4Kテレビ用スピーカー等幅広く採用され、売上が増加した。
一方、太陽電池関連事業では、シリコン結晶製造装置、消耗品である坩堝・角槽共に需要が低迷。多結晶ウエーハ加工から撤退した影響もあり、全ての製品で売上が減少した。損益面では、前期に生産拠点の銀川移管、不採算事業からの撤退、設備の減損等を実施しており、今上期は売上総損益が黒字化したものの、売上が減少する中、原料・製品の評価減及び貸倒引当金引当金など3億72百万円を計上した事で営業損失が拡大した。下期以降、前期に実施した施策の成果が本格的に顕在化してくる見込み。
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて75億50百万円増の869 億60百万円。資産については、現預金に加え、業容拡大で売上債権やたな卸資産が増加した他、中国子会社の設備投資と(株)アドマップの子会社化で有形・無形固定資産(のれん2億95百万円を計上。5年償却)も増加した。(株)アドマップの「のれん」については、上期15百万円の償却を実施し、下期は30百万円の償却を予定している。負債については、業容拡大と(株)アドマップの子会社化で仕入債務が増加した他、長期借入金の積み増しで有利子負債も増加した。流動比率148.8%(前期末140.9%)、固定比率87.8%(同90.1%)、自己資本比率46.3%(同48.9%)。
 
 
たな卸資産の増加等で営業CFが減少する中、前期に実施した銀川及び杭州子会社を中心にした設備投資の支払いの増加や(株)アドマップの子会社化で投資CFのマイナス幅も拡大したが、12億80百万円のフリーCFを確保した。短期借入金の返済を進める一方で今後の戦略的投資資金として長期借入金を積み増したため、財務CFは黒字となった。
設備投資はCFベースで19億36百万円(前年同期は13億14百万円)、減価償却費は21億19百万円(同18億99百万円)。
 
(4)(株)アドマップの子会社化
2015年7月1日に(株)アドマップ(岡山県玉野市、代表取締役社長 松田泰明)の株式66%(筆頭株主)を、三井造船(株)(東京都中央区、代表取締役田中孝雄)より譲り受け、連結子会社化した(残り34%は引き続き三井造船(株)が保有)。
(株)アドマップは、独自のCVD-SiC技術を強みに、高品質なCVD-SiCの構造部品を提供している。SiC(Silicon Carbide:炭化ケイ素)とは、シリコンと炭素が1体1で結合した化合物で、その存在は隕石の中にわずかに確認されているだけで、自然界では存在しないに等しい(天然のものはほとんど無い)。CVD-SiCは「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」によって製造されたSiCである
 
 
SiCの特徴の一つとして、化学的な安定性を挙げる事ができる。SiCの表面には二酸化ケイ素(SiO2)の被膜が形成されるため高い対酸化特性を有し、塩酸、硫酸、硝酸、弗酸、沸硝酸等の強い酸にもほとんど腐食されない。また、耐熱性にも優れ、高温での安定性も備えている。具体的には、融点や軟化点等を持たず、約2000度を超える温度で昇華するまで安定している。更に、ダイヤモンド(新モース硬度15)、炭化ホウ素(同14)に次ぐ、地球上で3番目(同13)に硬い化合物である(このため難加工材ではあるが)。
尚、モース硬度は硬度を示す際の代表的な指標である。

また、SiCの製造方法には、粉末原料を焼き固める「焼結法」やシリコンと炭素を含むガスから作る「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」等があり、(株)アドマップは、緻密で高純度のSiCを製造できるCVD法を採用している。(株)アドマップの強みは、緻密で高純度のSiC製品をCVD-SiC(炭化ケイ素の薄膜)だけで製造できる事。CVD-SiC製品は、複雑な形状が可能、厚みを薄くかつ軽くできる、不純物汚染が少ない、パーティクルの発生が少ない、急速可能に適している、クリーニング処理で繰り返し使う事ができる等の特徴を有する。

同社は、航空・宇宙(タービン、ミラー)、自動車(パワー半導体)、エネルギー(原子力関連)、IT(半導体製造装置用部品)等の分野で研究開発を強化していく考え。
 
 
半導体製造の際の酸化雰囲気や成膜工程で使用される縦型熱処理成膜装置の断熱部品としてSiCの断熱版が使われている。断熱効果や耐久性に優れているため、右上の図のように「ポート受け」の上部では発泡石英からSiCへの置き換えが進んでいる。使い捨てではなく、定期的に洗浄して繰り返し使う事ができる事も長所である。
 
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比11.7%の増収、同103.5%の営業増益
上期決算を踏まえて、通期業績予想を上方修正したが、半導体投資先行き不透明感から、下期予想は売上高及び営業・経常利益をわずかに上方修正するにとどめた。もっとも、下期は太陽電池関連事業も前年同期比増収に転じ、全てのセグメントで売上が前年同期を上回る見込み。

通期では、営業利益が倍増する見込みで、為替差益を織り込んでいないものの、経常利益も同47.7%増加する見込み。通期の為替レートの想定(期中平均レート)は、1USドル=120.00(前年同期106.46円)、1人民元=19.50円(同17.26円)。設備投資33億円(15/3期33億75百万円)を計画しており、減価償却費として42億円(同39億64百万円)を織り込んだ。

配当は1株当たり期末8円を予定している。
 
 
 
セグメント別動向と今後の見通し
 
 
真空シールの上期は、大口の受託製造案件の一巡で売上が減少したものの、真空シール単体では堅調に推移した。半導体製造装置向けは微細化・3D投資を背景に緩やかな成長が続き、FPD製造装置向けも日本・中国メーカーの中小型LCDパネル投資が始まった。足元、国内半導体メーカーやファンドリーの投資がピークアウトしているため半導体製造装置向けは第3四半期に減速する見込みだが、年明け以降の微細化投資の再開やDRAM投資の動きがあると言う。一方、FPD製造装置向けは、中小型LCDパネルや有機ELパネルの投資が見込まれ、特に中国メーカーの投資が拡大する見込み。

石英製品の上期は、米国大手及び国内大手へのOEMが拡大した(上期はOEMが石英製品売上全体の64%を占めた)。生産能力を増強したが、短納期要求が強く現在もフル生産の状態。下期も米国大手OEMからの受注は堅調だが、国内OEM大手及びファンドリーの稼働率がピークアウトしており、受注も弱含み。シリコンパーツの次世代製品の営業を強化していく考え。

セラミックス製品の上期は、半導体検査治具用マシナブルセラミックス“ホトベール”がメモリー(NAND Flash)向けに伸びた他、ロジック向けも、スマートフォンの新機種対応で台湾・韓国企業からの受注が増加した。一方、半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスは、特定顧客の微細化・増産投資に伴う新規装置用の需要が特に大きかった。下期は、“ホトベール”の半導体向けに一服感があるものの、ロジック向けは、スマートフォンの新機種対応に伴うファンドリーからの引き合いが増加している。ファインセラミックスは、大手半導体メーカーの微細化・増産投資の延期で、秋以降、受注が減速している。

CVD-SiC製品は輸出比率が高く、上期の売上構成比は、中国38%、北米36%、台湾3%、欧州1%、日本22%。北米大手向けが堅調に推移し、国内大手向けは、第2四半期以降、減速。アジア向けは減少した。下期も、北米大手向けが堅調に推移する見込みで、国内・アジアも第4四半期(10-12月。子会社は12月決算)に入り、復調傾向。親会社の(株)フェローテックとのシナジーを追求し、販売チャネルの拡大や半導体以外の需要の開拓に取り組んでいく。

この他、ウエーハ加工は、中国・台湾で自社ブランドの受注が伸び、OEMでは新たに欧州メーカーを開拓し生産が始まった。ただ、足元の受注が減少傾向にあり、価格も下落しているため下期は慎重な見通し。EBガン・LED蒸着装置では、EBガンがスマートフォンの通信チップ向けで好調に推移。下期も好調が続く見込み。LED蒸着装置も、車載用途で堅調な推移が続いている。
 
 
上期はサーモモジュールが主力の自動車温調シート向けに加え(上期はサーモモジュール売上の54%を占めた)、民生(同10%)、バイオ・医療(同9%)、半導体(同7%)、一般産業、更には中国で光通信機器等、幅広い分野で売上が増加した。また、パワー半導体基板は採用機種が増加し成長路線に入った。下期は、民生で需要に一服感があるものの、自動車温調シート向けを中心に、全般に堅調な推移が見込まれる。パワー半導体基板も、市場全体では弱含みだが、同社においては新規案件が増加している。ソリューション営業により需要の掘り起こしに取り組むと共に、増産投資を継続する。
 
 
上期は、中国と新興国での太陽電池パネル需要の増加で、セル・その他の売上が前期の下期に比べて大幅に増加した。一方、石英坩堝は単結晶用坩堝が緩やかに増加し、多結晶用各槽もアンチダンピング課税の影響が一巡し回復傾向。ただ、いずれも価格は軟調。一方、非太陽電池分野の開拓として取り組んでいる半導体用小口径・中口径向け坩堝の評価が進んでいる。太陽電池用シリコンも、アンチダンピング課税の影響が一巡したが、不採算だった多結晶インゴッドからの撤退の影響や価格低迷で前年同期の売上実績を下回った。下期は、銀川工場への移管効果が期待できるが(2015年5月に移管完了)、セル・その他とシリコン結晶製造装置以外は上期比減収となる見込み。ただ、石英坩堝は中国での堅調な推移が見込まれ、太陽電池用シリコンも中国及び新興国で売上増が見込まれる等、明るい材料も多い。収益性を重視して、優良顧客にフォーカスした営業活動を進めていく考え。
 
 
重点項目  賀 賢漢 代表取締役副社長 兼 執行役員事業統括担当
 
11月26日に開催された16/3期上期決算説明会の最後に、賀 賢漢 代表取締役副社長 兼 執行役員事業統括担当が、「重点項目」として、太陽電池関連事業の回復から拡大への道筋と、電子デバイス事業及び装置関連事業での同社の強みと新たな潮流を見据えた取り組みについて説明された。以下、説明の概要である。
 
太陽電池関連事業
太陽電池関連事業はこの上期に損失が拡大したものの、徐々に展望が開けてきた。2015年5月にコスト競争力の強い銀川工場への生産移管が完了したが、タイミングよく中国での太陽電池関連の投資も回復傾向にある(中国政府は、当初2015年に約15ギガワットだった国内の太陽電池パネル設置量を年内に18ギガワットに拡大させる計画を発表している)。同社は銀川工場のコスト競争力を活かして需要を取り込んでいく考えで、来期以降、石英坩堝、太陽電池用シリコン、セル等を中心に同事業の本格回復が期待できる。(太陽電池用シリコンでは、現在単結晶シリコンウェーハ加工製品を200万枚程度供給しているが、米国大手への供給が始まる事で、2016年中には1,000万枚に拡大する見込みと言う)。子会社各社は12月決算のため既に第4四半期に入っているが、足元、太陽電池関連事業の収益性改善は顕著なようだ。
また、石英坩堝については、半導体向けの育成にも取り組んでいる。現在、小口径・中口径の坩堝の評価が進んでいるが、28インチ、32インチと言った大口径へも進出する考えで、今期中の溶融炉の立ち上げを予定している。半導体向けでは、シリコン結晶製造装置の技術を活かして、8インチインゴッドの引上炉やシリコンパーツ用の引上炉への展開も進めている。
 
電子デバイス事業
電子デバイス事業では、通信、自動車、家電等、様々な用途で使われる汎用サーモモジュールが100億円規模の事業に育ってきたため、今後は、2本目の柱として、発電用サーモモジュールを育成していく。発電用サーモモジュールは、低温、常温、高温の3用途に分かれるが、同社は低温に的を絞って展開していく。戦略的パートナーシップ契約を結んだ中国科学技術研究院と連携して研究開発を進めており、向こう3年間で30〜40億円の事業規模を目指している(低温市場は約100億円の市場規模と推計される)。
また、ユニット化による高付加価値化にも取り組んでいく。具体的には、ファン、ヒートシンク、サーモモジュールが一体となったユニットにコントローラーを組み合わせたユニット製品を開発して提案営業で需要を掘り起こしていく考えで、100億円規模の事業に育成できると考えている。
この他、ハイパワーデバイス基板も拡大させる。ハイパワーデバイス基板は電力制御に使われるIGPT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)チップ等で使われている。この3年間のうちに日本メーカー6社の(工場)監査に合格しており、出荷も増えてきた。韓国でも、6社の監査がほぼ終了しており、欧州では5社のうち大手1社にサンプルを出荷した(1月に監査を受け、2016年5月に出荷が始まる見込み)。また、既に50%のシェアを有する中国では、同社が基板を供給している現地の中国のチップメーカーと提携して販売していく考え。ハイパワーデバイス基板は、少なくとも、50億円規模のビジネスになるとみている(100億円超を目指している)。

上記の売上を合計すると、280〜290億円になり(16/3期の電子デバイス事業の予想売上高は125億円)、いずれの事業も利益率が高い。
 
装置関連事業
装置関連事業では、(株)アドマップが成長のけん引役となる。同社が手掛けるCVD-SiCのポテンシャルは100億円と推計している(16/3期の装置関連事業の予想売上高300億円)。半導体から、原子力発電、航空・宇宙関連等へ展開して行く考えで、日本政府が進めるCVD-SiCの国家プロジェクトにも参画している。
また、シリコンパーツも有望だ。半導体の微細化が進むにつれ、CVD-SiCと共に、シリコンパーツの需要も増えてくる。シリコンパーツの製造に必要な引上炉を、太陽電池関連事業で小口径から大口径まで内製している事も同社の強み。セラミックス製品等を含めた素材製品全体で米国半導体製製造装置との商談が進んでいるようだ。
この他、セラミック製品は非半導体分野を開拓していく。米国には年商200億円企業もあり、事業の拡大余地は大きい。また、現在、5インチ・6インチウエーハを手掛けているディスクリート用ウエーハで8インチの事業化に取り組む。中国では、半導体分野で「2025年 Made in China計画」が進められており、2020年までに半導体及び半導体材料の国内産シェア50%を目指している。5インチ・6インチウエーハは需要が安定しているものの、「2025年 Made in China計画」の下で大きな伸びが見込めるのは、8インチと12インチである。特にコストの安い8インチは通信分野を中心に高い伸びが見込めると言う(中国では、現在、必要なウエーハを100%輸入している)。8インチウエーハを手掛ける事で、ディスクリート用ウエーハ事業を150億円規模に拡大させたい考え(16/3期のディスクリート用ウエーハ事業の予想売上高は47億円強)。
「Made in China計画」の下で半導体工場が増えれば装置洗浄の需要も増えるため、装置洗浄も拡大させる。現在、上海、天津、及び12月に稼働した四川省の3工場で洗浄事業を手掛けているが、更に3工場を新設して、6工場体制を確立する事で中国全土をカバーできるとみている。現在、中国国内の半導体製造装置洗浄で60%程度のシェアを有するが、微細化に対応した装置の洗浄技術を有するのは同社のみ。装置洗浄は、半導体メーカーの動向をいち早くキャッチできると言うメリットもある。

以上の施策により、目指すは、「売上高1,000億円」。利益面では、営業利益率10%を目指しつつ、先ずは8%の達成を目標としている。「この目標を達成するためには、投資家の皆さんのご支援が必要である」として、賀 賢漢 代表取締役副社長 兼 執行役員事業統括担当は説明を締めくくった。
 
 
今後の注目点
中国でのソーラーパワー投資の回復とコスト競争力の強い銀川工場への生産移管により太陽電池関連事業が回復から拡大に向いつつあり、電子デバイス事業と装置関連事業においては、同社の強みと新たな潮流を見据えた取り組みが進められている。取り組みとは、既に説明した通り、電子デバイス事業では、発電用サーモモジュールの育成と、サーモモジュールのユニット化によるソリューション事業及びハイパワーデバイス基板等の拡大であり、装置関連事業では、CVD-SiC事業の育成、シリコンパーツの拡大、セラミック製品の非半導体分野開拓、ディスクリート用8インチウエーハ事業の展開、更には装置洗浄の強化である。両事業共に成長軌道への回帰に向けた材料は事欠かない。
今期は大幅な増益が見込まれる。半導体関連で不透明感がない訳ではないが、下期の見通しが慎重なため下振れリスクは少ない。太陽電池関連事業の回復が見込まれる来期は一段の業績拡大が見込まれる。上記の取り組みの成果と共に期待していきたい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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