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(3031:東証マザーズ) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

【ブリッジレポート vol.34】2016年4月期第2四半期業績レポート
取材概要「第2四半期の進捗率は売上高で47.5%、営業利益で44.2%とやや低く見えるが、前回レポートで示したように、過去5年とも売上、利益はどちらも・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年12月22日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目 14 番 14 号
事業内容
「企業活動を効率化し便利にする」を企業理念に、インターネット上でB to B(企業間電子商取引)市場「スーパーデリバリー」を運営。「売掛債権保証事業も手掛ける。
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年4月 2,056 336 327 201
2014年4月 1,932 247 248 123
2013年4月 1,806 181 176 133
2012年4月 1,613 140 133 109
2011年4月 1,381 125 116 160
株式情報(12/7現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
392円 17,314,962株 6,787百万円 13.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3.00円 0.8% 15.05円 26.0倍 94.51円 4.1倍
※株価は12/7終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROEは前期末実績。
2015年8月1日付で1:3の株式分割を実施。
 
株式会社ラクーンの2016年4月期第2四半期決算概要などについて、ご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でBtoB(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というWebサイトを運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等の出展企業の取扱う商品を、全国の中小規模小売店に販売している。
2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化。これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組を開始し、更に2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。2014年3月からは、第4番目のサービスとして、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始した。
また、「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」を2015年8月よりスタートした。
 
【経営理念】
経営理念を「企業活動を効率化し便利にする」に刷新した。企業間取引に関し、これまで培ってきた情報と決済に関するノウハウを活かし、企業活動を効率化し便利にする仕組みを今後も提案していくというビジョンを表している。

小方社長は創業後、企業としての方向性をしっかり定め、経営者としてやっていく決意を固めるまでは安易に人を増やすべきではないという考えから従業員を一人も雇用せず、自分一人で同社を運営してきたが、方向性と決意が定まった2000年に初めて正社員30名を採用した。
当時の日本のEC業界は、米国に先例がある訳でもなく、自らがゼロから作り上げていかなければならない黎明期であったが、この最初のメンバーが中心となって、日本のBtoB ECを作り上げてきた。
同社においては、EC専門家の彼らが最大の経営資源であると小方社長は考えている。
今後、新しいビジネスモデルを創造していくにあたり、企業領域を明確にしていく必要性があると考え、経営理念を刷新することとした。
重要なポイントは以下の2点。
 
①事業領域の明確化の必要性
既存事業とのシナジーは特に意識しないが、同社のコア・コンピタンスであるノウハウを活用しながら、「中小企業向けBtoBインフラ」であること、「ECと決済の専門知識」を活かすものであること、に事業領域を絞りこむ。
 
②企業間取引のインフラサービス企業としての総合サービス化への転換
存在して当たり前のインフラとなるべく、今回の新サービス「COREC」に続き、第5、第6、第7と制限を設けず、新サービスを提供し続け、これまで以上に、よりインフラサービス業へと進化していく。
 
【事業内容】
「EC事業」、「Paid事業」、「売掛債権保証事業」の3セグメントで構成されている。
 
(1)「EC事業」
「スーパーデリバリー」はファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が出会い、継続して取引を行うことができるBtoB(企業間取引)サイトである。サイトを利用することで、これまで取引のできなかったメーカーと小売店に新たな取引機会が生まれ、さらに新商品の紹介や受発注のやりとりも効率化される。また、代金はスーパーデリバリーが小売店から回収し、メーカーへまとめて支払うことから、未回収リスクのない取引の実現が可能となる。

スーパーデリバリーに参加するためには、同社の審査をパスする必要がある。
この点、同業他社の中には「数=取引量の拡大」を最優先とし、ネット小売店を中心に緩い審査基準で加盟店を数多く集める事に注力しているところもあるが、同社の場合は、「質」と「数」のバランスを重視するため小売店に関しては、ネット小売店ではなく、実際に店舗を運営している小売店であるか? などを中心に審査を行っている。
また、サプライヤーに関しても、質の高さを重視している。スーパーデリバリーの立ち上げ当初は質の高い、ブランドを確立したサプライヤーは、他のそうでないサプライヤーと共に並べられるのを嫌がり、参加を拒むケースもあったが、現在では他のサプライヤーの質も高い事が理解され、そうしたことは無くなっている。小売店にとっても、質の高いサプライヤーと取引出来る点が大きなメリットとなっている。
BtoC取引と異なり、BtoB取引は、取引量を拡大させるためには、リピート取引を如何にして拡大させるかがカギとなるため、マーケットのクオリティ向上が最も重要であると同社は考えており、この点が同業他社との大きな違いの一つとなっている。

また、同社はEC企業ではあるが、他社が、ECのマーケットプレイスを開設・運営するシステム会社という側面が極めて強いのに対し、同社はただ単にそれにとどまらず、アパレル・雑貨を中心とした商品知識、業界知識がきわめて豊富な点も、他社との違いとなっている。
「スーパーデリバリー」の収益は、出展企業から得る出展基本料(月額4万円)、会員小売店から得る小売店月会費(月額2千円)、出展企業からのシステム利用料(会員小売店に卸した商品代金の10%)の3つから成っている。

商品は出展企業が会員小売店に直接配送するが、代金に関しては同社が出展企業の代わりに会員小売店から代金を回収し、出展企業に支払うため、売上高として商品代金を計上し、システム利用料を控除した額を売上原価として計上する総額計上を行っていたが、2015年4月期第1四半期より、売上表示を従来の総額表示から純額表示に変更した。純額表示における売上高は、出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。
サービスの種類も増加しておりインフラサービス提供企業としてのポジショニングを明確にすることが目的。またマーケットプレイス事業を手掛ける同業他社との比較も容易になり投資家のメリットも大きいと判断した。

2015年10月末での各種経営指標は、会員小売店数 47,634店舗(前期末比3,264店舗増)、出展企業数1,085社(同20社増)、商材掲載数509,334点(同52,985点増)となっている。

2014年3月には、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツールサービス「COREC(コレック)」を同事業内でスタートさせた。2015年10月末のユーザー数は3,815社となっている。
 
(2)Paid事業
「Paid」は企業間取引の非効率な管理プロセスや内在する信用リスクを解消する決済サービス。
Paidを利用することで、バイヤーはすべての加盟企業と締め支払いで取引が可能となり、効率的にかつ運転資金にゆとりを持った取引が実現できる。サプライヤーは登録するバイヤーと代金未回収のリスクや請求督促の手間なく決済ができ、効率的かつ安全で顧客に喜ばれる取引が可能となる。
2016年4月期第2四半期の取引高は、前年同期比27.1%増加の6,232百万円(うち、グループ内取引高 3,336百万円)となった。
 
(3)「売掛債権保証事業」
「売掛債権保証事業」は、11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「T&G売掛保証サービス」は、取引先が倒産した場合に、あらかじめ保証を掛けておけば、保証の枠の中で同社が損害分を代わって支払いするサービス。審査に際して、取引先に対する直接的なヒアリングや取引先からの申し込みなどは一切必要がない。独自の与信判断により90%以上の高い承認率を実現し、審査依頼から2営業日程度で回答も得られる。更に、顧客の商習慣に合わせた保証内容のカスタマイズが可能と利便性も高い。
2015年10月末の保証残高は75億31百万円(前期末比16.4%増)となっている。
 
 
「目標とする経営指標」にROEを掲げてはいないものの、ROEを意識した経営を行っている。
Paidの収益化、「COREC」の立ち上がり、またその後の新サービスなど、ITを駆使したサービス拡大の過程でROEはさらに上昇する余地が大きいと会社側は考えている。
 
 
2016年4月期第2四半期決算概要
 
 
3事業とも増収。Paid事業が黒字化し2桁増益。
売上高は前年同期比8.1%増加の10億77百万円。3事業共に増収だった。新サービス「SD export」の開始に伴う立ち上げ費用やプロモーション費用が先行的に発生しているが、その他の費用をコントロールしたことに加え、Paid事業が黒字転換し利益増に寄与した。営業利益は同22.2%増の1億83百万円となった。
 
 
◎EC事業
売上高は前年同期比1.8%増の7億73百万円。営業利益は同27.6%増の1億13百万円。
スーパーデリバリーの流通額は同1.5%減少の46億26百万円。
第1四半期(5-7月)に続き第2四半期(8-10月)も購入小売店数は増加したが、個人消費の落ち込みを受け客単価は減少した。
一方、会員小売店数、出展企業数の増加により小売店月会費、出展基本料が増加し増収に貢献した。
また、前期に見直しを行ったポイント制度にかかるコストや送料などの削減効果により変動費が減少し、増益に寄与した。

2015年8月から新サービス越境デリバリー「SD export」をスタートさせた。(詳細はトピックスにて後述)
「COREC(コレック)」のユーザー数(サプライヤーとバイヤーの合計)は3,815社となった。
(株)リクルートライフスタイルと提携し、「Airマーケット」を通じた効果的なメンバー誘致に取り組んでいる。
 
◎Paid事業
売上高は前年同期比31.0%増の1億64百万円。営業利益は1百万円と黒字転換した。第2四半期(8-10月)は2百万円の利益だった。
加盟企業の獲得増加と獲得した加盟企業の稼働率の向上をテーマとしているが、マーケティング業務強化による「Paid」の認知度および知名度の向上に取り組んだ結果、取引高は62億32百万円と前年同期に比べ27.1%増加した。

引き続き積極的に業務提携を推進している。
2015年6月から株式会社ロックオン(3690、東証マザーズ)が提供するECサイト構築支援サービス「EC-CUBE」にPaidが標準装備されたことに加え、2015年9月からは株式会社イーシー・ライダーの提供するBtoB向けECサイト構築ASP「EC-Rider B2B」を用いてBtoB向けECサイトを運営する企業に対し追加開発することなく「Paid」を提供する事が可能になった。
また2015年11月からは、夢の街創造委員会株式会社(2484、JASDAQ)が運営する仕入れ・販促・運営支援サイト「仕入館」への提供を開始した。
「仕入館」は、日本最大級の宅配ポータルサイト「出前館」を運営する夢の街創造委員会が、2014年6月にオープンした飲食店向けの仕入れ・販促・運営支援サイト。これまでは代引きと前払いにしか対応していなかったが、サイト利用者から掛売り決済に対応してほしいという要望が出ていたことから、11月のサイトリニューアルに合わせてPaidが導入された。自社で掛売りを導入するには煩雑な請求作業や未回収リスクが課題となるが、Paidの導入により対応が可能となる。
 
◎売掛債権保証事業
売上高は前年同期比18.7%増加の3億18百万円。営業利益は同3.7%増の50百万円。
保証残高は前期末比16.4%増加の75億31百万円となった。

効率的な顧客獲得策として同事業でも積極的なにアライアンスを推進している。
2015年7月には株式会社信用交換所大阪本社に対し、同社会員向け売掛保証サービス「シンコー保証」を共同開発して提供を開始した。
信用交換所大阪本社は大阪市中央区に本社を置く信用調査会社で、同社が提供する「シンコーDBサービス」は繊維業界を中心とした企業の信用情報データサービスで、企業間取引における与信判断の指標として利用されている。
既にトラスト&グロースと信用交換所大阪本社は販売代理店契約を結んでいるが、今回さらなる販売強化のため、同社会員向けに売掛保証サービスを共同開発し、信用交換所大阪本社との共同運営サービスとして提供することとした。言わば、「T&G売掛保証」のOEM供給となる。
また、2014年4月に開始した事業用家賃保証サービスも伸長しており、2015年10月末の保証残高は10億円を突破した。
 
 
現預金、売掛金の増加などで流動資産は前期末に比べ2億36百万円増加。資産合計も同2億28百万円増加し45億55百万円となった。
買掛金が増加し、流動負債は同1億57百万円増加した。負債合計は同1億32百万円増加の29億16百万円となった。
資本金、利益剰余金の増加等で純資産は同95百万円増加の16億39百万円。
この結果自己資本比率は前期末の35.6%から0.3%上昇し35.9%となった。
 
 
利益は増加したが、売上債権が前年同期の減少から増加に転じたため営業CFのプラス幅は縮小した。
投資CFはほぼ変わらず。財務CFは配当金支払額の増加などでマイナス幅は拡大した。
キャッシュポジションは上昇した。
 
(4)トピックス
◎越境ECサービス「SD export」の立ち上がり状況
2015年8月25日、「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」がスタートした。
現時点では71カ国の小売店が会員登録を行い、最も多いのは香港となっている。
一方流通額で見ると、アメリカ、香港、インド、台湾で過半数を占めている。
ジャンル別では、バッグ・財布、レディースアパレル、服飾雑貨等のファッション系が多く、次いで生活雑貨が上位に位置している。

会員登録数は想定以上とのことだが、実際の購入に結び付けるには決済手段の工夫などの改善が必要と考えている。
会員、メーカー双方のニーズの洗い出しやプロモーション活動の推進により早期の規模拡大を図る。
 
 
 
2016年4月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。2ケタの増収増益を見込む
業績予想に変更は無い。売上高は前期比10.4%増の22億70百万円の予想。前期やや伸び悩んだスーパーデリバリーの梃入れなどにより、3事業とも拡大を目指す。営業利益は同23.5%増の4億15百万円の予想。売掛債権保証事業の成長で利益率は更に向上する。ただ、「SD export」に関しては、売上は一部織り込みつつプロモーション費用は余裕を見て予算を作成しており、やや堅めの計画となっているという。
配当予想については当初未定としていたが、足元の業績を勘案し、3.00円/株とした。株式分割を考慮すると前期比0.73円/株の増配となる。予想配当性向は19.9%。
 
(2)各事業の取組み
◎EC事業
「スーパーデリバリー」に関しては、国内流通額の伸び悩み改善のため、小売店数増加に向けた施策を検討している。
「COREC」に関しては、引き続き知名度の向上とユーザーの獲得に注力する。

◎Paid事業
成長ペースを維持しながらも事業規模の拡大を推進する。ニーズに合わせた商品設計の提案やターゲットの拡大等商品基礎力の向上とともに、引き続き業務提携を積極的に推進して効率的な加盟企業の獲得を進める。

◎売掛債権保証事業
提携チャネルの拡大、Webの活用、システム化の推進などにより、引き続き積極的に保証残高拡大に取り組む。
また、事業用家賃保証サービスの保証残高が開始1年半で10億円を突破したことは、同サービスが家賃以外の企業間取引にも広がる可能性を示唆していると考えている。
 
 
今後の注目点
第2四半期の進捗率は売上高で47.5%、営業利益で44.2%とやや低く見えるが、前回レポートで示したように、過去5年とも売上、利益はどちらも下期に50%を超しており、計画通りの進捗といえるだろう。
ただ、Paidの黒字化、引き続き好調な売掛債権保証事業、増配と足元は堅調だが、株価は高値より3割ほど低い水準での揉み合いとなっている。やはり、やや元気のない国内スーパーデリバリーの復調およびそのための施策がカギとなるだろう。
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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