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(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.42

(9445:東証2部) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.42】2016年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「16/3期上期の決算は、前年同期比11.5%増収、同9.8%営業増益の良好な決算となった。中でも、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年2月2日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田錦町三丁目26番地 一ツ橋SIビル2F
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 12,385 581 567 305
2014年3月 12,145 446 435 272
2013年3月 11,990 436 438 269
2012年3月 13,470 323 302 177
2011年3月 13,560 391 391 155
2010年3月 13,956 347 327 194
2009年3月 15,042 391 388 133
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
株式情報(12/17現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
384円 16,693,200株 6,410百万円 16.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15.00円 3.9 % 25.76円 14.9倍 115.45円 3.3倍
※株価は12/17終値。ROEは前期末実績、PBRは2016年3月期第2四半期実績、EPSは2016年3月期予想。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(15/3期はフォーバルの連結売上高の25.8%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社、持分法適用関連会社1社。
 
【事業内容と企業グループ】
同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「2way Smart」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心にオン・デマンド印刷・印刷物のプランニング・デザイン等を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」、及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」に分かれる。また、持分法適用関連会社(出資比率25%)で、(株)光通信(9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブが「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている。
 
 
 
 
主要なサービスの概要
 
(1)IP&Mobileソリューション
AmaVo
新たに提供を開始したサービスであり、iSmartひかり(同社NTT光コラボ回線)専用の法人向け電話サービス。同社が新たに開始したIP電話の「新しいあたりまえ」。AmazingVoIP(驚くべきVoIPサービス)の頭文字をとってネーミングされた。
 
 
 
i-Smartひかり
NTT東日本・西日本が提供する光コラボレーションモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。①バックボーンはNTTのフレッツ網を利用しているため品質が安定している、②請求の一本化ができるというメリットを持つ。おまか請求やワンビリングサービスで培われた請求一本化のノウハウが武器となっている。
 
 
iSmart接続-Fひかり
iSmart接続-Fひかりは、法人向けに提供している高品質なインターネット接続サービスを、個人でも利用しやすいように、サービス価格・内容を最適化したフレッツ光専用プロバイダサービス。
(サービスプラン)
 
メールアドレス10個、1GBのホームページ、スパムフィルタ、メール転送などがずっと無料なのが特徴。
 
(2)セキュリティコンサルティング
プライバシーマーク(Pマーク)や各種ISOのコンサルティング
認証取得支援から、運用支援、更新支援、規格改訂支援、各種セミナーなど、Pマークや各種ISOに関わるサポートを実施。
 
 
(3)ペーパレスソリューション
おまか請求
請求書・支払通知書・納品書をWeb化でコスト削減するツールを提供。顧客登録・受注登録・料金計算、請求書発行(WEB公開)・収納代行・督促支援業務などを含んだ請求代行サービス。請求に関する業務を代行し、顧客の請求コストの削減と業務負担の軽減を図る。また、おまか請求ではユーザーがクラウドサービスを安全に利用できるよう各種セキュリティ対策を実施している。
 
 
ワンビリングサービス
複数サービスの請求書をひとつにまとめて請求するサービス。請求書が何通も届くことなく、1請求書にまとめて請求される。請求書を一本化することで、各社からの請求書の煩雑さの解消や事務処理の簡素化が図られるなど、業務効率が向上する。
 
 
 
2016年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比11.5%の増収、同23.6%の経常増益
売上高は前年同期比11.5%増の66億49百万円。売上面は、新サービスの提供によりIP&Mobileソリューション事業で増加した他、前期からの堅調な推移が続いたドキュメント・ソリューション事業とコンサルティング事業においても増加した。 営業利益は同9.8%増の3億28百万円。先行投資により人件費や支払販売コミッションの償却負担が増加したことにより、IP&Mobileソリューション事業やコンサルティング事業において減少したものの、大口契約の計上によりドキュメント・ソリューション事業の利益率が大幅に向上した。加えて、IP&Mobileソリューション事業においても収益性の高いネット系のストック収益(「iSmart接続」)の売上が増加したことにより売上総利益率は、30.6%と前年同期比5.9ポイント高まった。一方、先行投資による人件費の増加やISPサービスの獲得に伴う営業費用(支払販売コミッション償却費)の増加などにより、売上高対販管費比率は、25.6%と同6ポイント上昇した。また、営業外収益で違約金収入27百万円(前年同期は10百万円)が発生したことや、営業外費用で前年同期に発生した持分法による投資損失22百万円が今四半期に減少したことなどにより経常利益は同23.6%増の3億51百万円となった。その他、特別損益の大きな計上はなかった。
 
 
連結の売上総利益は5億61百万円増加し、売上総利益率も5.9ポイント上昇。個別ベースの売上総利益は、従前の通話系サービスにかかる課金収入の底打ちに加え、新たなサービスにかかるネット系他のストック収益が増加したことから、全体として2億14百万円増加した。また、子会社の売上総利益は、3億47百万円の大幅な増加。
 
 
販管費は、人件費やIP&Mobileソリューション事業における収益性の高いネット系ストック収益(「iSmart接続」)の獲得に伴う支払販売コミッションの償却費の増加などにより5億32百万円増加した。
 
 
IP&Mobileソリューション事業  売上高44億47百万円(前年同期比7.2%増)、セグメント利益37百万円(同60.3%減)
主にVoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供。新サービスの提供(光コラボ・AmaVo)や収益性の高いISPを主体とするネット系ストック収益(iSmart接続)が増加したことから増収となったものの、支払販売コミッションの償却費の増加など先行してコストが増加したことから減益となった。
 
 
ドキュメント・ソリューション事業  売上高9億48百万円(前年同期比22.3%増)、セグメント利益1億66百万円(同115.7%増)
主にオン・デマンド印刷、印刷物のプランニング・デザイン等を行う。顧客製造業の業績が好調に推移したことなどから引き続き堅調に推移する中、大口契約が計上されたことから収益性が高まった。
 
コンサルティング事業  売上高12億53百万円(前年同期比21.5%増)、セグメント利益1億32百万円(同1.4%減)
主に経営支援コンサルティング、保険サービス及びセキュリティサービス等を行う。(株)保険ステーション、請求代行サービス(おまか請求)、セキュリティコンサルティングサービス(セキュリティ本舗)などが好調に推移し増収となったものの、(株)保険ステーションの体制整備などに伴う人件費の増加などにより減益となった
 
 
 
15/9月末の総資産は、15/3期末比7億12百円増の63億4百万円。資産サイドでは現預金、前払費用、未収入金等が、負債・純資産サイドでは、短期借入金が主な増加要因。15/9月末の自己資本比率(自己資本=株主資本+評価・換算差額等)は30.6%と15/3期末の32.9%から低下した。
CFの面では、未収入金や前払費用の増加などにより営業CFが赤字となったことに加え、有形固定資産の売却による収入が減少したことなどにより投資CFも赤字へ転じ、フリーCFが赤字となった。一方、短期借入金の増加などにより財務CFは黒字となった。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比9.8%の増収、同14.5%の経常増益
売上高は前期比9.8%増の136億円の期初計画から変更なし。売上高は、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット系ストック収益やおまか請求及びコンサルティングなどから生じるストック収益の拡大を図りつつ、新サービスiSmartひかり・AmaVoの提供を通じて通話系のストック収益の底上げを図る計画。
営業利益は、同8.3%増の6億30百万円の計画。利益面は、増収効果によりIP&Mobileソリューション事業、ドキュメント・ソリューション事業、コンサルティング事業の全て分野で増加する見込み。販管費において人件費やISPコールセンター費用の増加が一服するものの、引き続き積極的な支払販売コミッションの増加が見込まれることから、売上高営業利益率は4.6%と前期比0.1ポイント低下する保守的な計画となっている。一方、前期計上した固定資産売却損が減少することから、当期利益の増益率は高くなる。
配当も15/3期と同額(上期末7円、期末8円)の1株当たり年間15円(株式分割考慮後)の期初予想を据え置き。
 
(2)16/3期の戦略
① AmaVo&iSmartひかりの拡大を通じて通話系のストック収益の底上げを図る
NTT光コラボレーションモデルを活用した通信サービスにより料金のさらなる低額化・短納期・早期収益化を既存・新規の販売パートナー群と協業して実現する。
② iSmart接続-Fひかりの拡大
基幹商材として販売チャネルの更なる拡大を図るなどマス市場で攻勢をかける。
③ おまか請求の拡大
顧客登録や受注登録から請求・回収・督促まで請求に係る周辺業務代行とWEB提供により、「選ばれるサービス」を作り続ける。
④ コンサルティングの拡大
保険サービスの契約数の増加を図るとともに、マイナンバー制度導入・個人情報保護法改正に対応し認証維持・更新コンサルの拡大を図る。更に、対応ISO規格の拡充を図る。
 
 
 
今後の注目点
16/3期上期の決算は、前年同期比11.5%増収、同9.8%営業増益の良好な決算となった。中でも、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット系ストック収益の増加と従来型の通話系ストック収益の底打ちにより、フォーバルテレコム単体が増収基調となってきたことが注目される。これは、積極的な販売コミッションの支払により「iSmart接続」を中心にストック収益が増加したことに加え、通話系ストック収益の新サービスiSmartひかり・AmaVoが順調に育っている成果と言えよう。また、今上期は16/3期第1四半期の影響が残り、IP&Mobileソリューション事業とコンサルティング事業のセグメント利益が減益となったものの、今第2四半期は前第1四半期との比較において、IP&Mobileソリューション事業、コンサルティング事業ともに増収増益となった。IP&Mobileソリューション事業においては、上記の通り通話系とネット系のストック収益が積み上っているものであり、コンサルティング事業は(株)保険ステーションにおいて保険業法改正に伴うコストアップ要因を一人当たり営業効率の向上でカバーしたものである。
現在、同社は積極的な販売コミッションの支払いによりネット系ストック収益の拡大を図っている。この戦略は、粗利益を拡大するものの、販管費の増加を伴い、売上高営業利益率の悪化と有利子負債の増加を招くリスクをはらんでいる。粗利益の増加が先行投資負担の増加を上回り始めると、売上高営業利益率の大幅な向上とキャッシュフローの急速な改善をもたらすものと期待される。今後のIP&Mobileソリューション事業における粗利益と先行投資による経費の動向が注目される。また、現在保険業法改正に伴う体制整備の影響で事業の拡大をストップさせている(株)保険ステーションにおいて、いつの段階から再度拡大路線へ転じるのかにも注目していきたい。