ブリッジレポート
(8130:東証1部,名証1部) サンゲツ 企業HP
安田 正介 社長
安田 正介 社長

【ブリッジレポート vol.6】2016年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「過去5年間の第3四半期までの進捗率を比較すると、売上高はほぼ例年並みである一方、営業利益は8割を超えており、足元の業績推移は順調だ。現在の・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年2月16日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社サンゲツ
社長
安田 正介
所在地
名古屋市西区幅下1-4-1
事業内容
インテリア専門商社最大手。壁紙、床材、カーテン、イス生地などトータルインテリア商品の開発・販売を行う。壁紙は首位、カーテン、塩ビ・繊維系床材でも上位。創業は1849年。
決算期
3月末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 132,050 8,031 8,506 4,402
2014年3月 131,978 8,952 9,475 5,459
2013年3月 123,150 8,020 8,393 4,806
2012年3月 118,518 7,095 7,180 4,151
株式情報(2/5現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,004円 69,168,079株 138,612百万円 3.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
45.00円 2.2% 75.27円 26.6倍 1,625.21円 1.2倍
※株価は2/5終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。
 
株式会社サンゲツの2016年3月期第3四半期決算概要などをご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
壁紙、床材、カーテンなどインテリア商品の専門商社最大手。商社ではあるがデザインや機能など製品の企画・開発から手掛ける「ファブレス企業」。安定した業績を生み出すビジネスモデル、主要商品の高いシェア等が強み。中期経営計画において資本コストを上回るROEの早期実現を掲げる。
グループ企業に、エクステリア商品の専門卸「株式会社サングリーン」、照明器具の企画、設計、製造、販売を行う「山田照明株式会社」の2社を有する。
 
【沿革】
1849年(嘉永2年)、表具(布や紙などを張って仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など)を商う「山月堂」創業。1953年、創業家により株式会社山月堂商店として株式会社化。1970年代後半以降、東京、福岡、大阪を始め全国で事業展開。1980年、名古屋証券取引所市場第2部に上場。1996年、東京証券取引所市場第1部上場。海外にも進出し、トータルインテリアを供給するブランドメーカーとしての地位を確立する。
2014年4月、安田正介氏が初めて創業家メンバー以外から代表取締役社長に就任。第1期(創業)、第2期(株式会社化)に次ぐ、第3期(第3の創業)として位置づけ、新たなステージに臨む。
 
【会社理念など】
社是「誠実」を掲げ、以下の「サンゲツ三則」をモットーに、インテリアを通じて社会に貢献し、豊かな生活文化の創造に寄与する事を理念としている。
 
 
【市場環境】
◎概観
同社の主力商品である壁紙や床材の出荷状況は国内建設市場の動向に影響される。人口減少や家族構成の変化による新設住宅着工戸数の減少やデフレ経済における販売の低下で国内インテリア市場は下のグラフの様に、縮小傾向にある。
 
 
一方、下のグラフは、同社売上高、国内インテリア市場、新設住宅着工戸数(国土交通省発表)の推移を比較したもの。
同社の売上高及び国内インテリア市場の動向は、新設住宅着工戸数にほぼリンクしてきたが、リーマンショック後の動きを見ると、市場全体及び新設住宅着工件数はリーマンショック前の水準にまで達していないのに対し、同社売上高は2000年頃の水準にまで回復している。
 
 
これは、民間住宅以外に、非住宅市場の開拓に注力してきたことによるものである。
 
 
国土交通省発表の建設投資の推移によれば、民間住宅投資に比べ、民間非住宅建築投資は、金額は民間住宅投資よりも低いものの、2000年レベル近辺まで上昇している。また、新設の事務所および店舗の床面積も15,000千屬剖瓩鼎ところまで回復している。
また、一般財団法人 建設経済研究所が発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2014年10月22日発表)によれば、民間非住宅建築投資の対前年度伸び率は2013年度の11.1%増(見込み)に次ぎ、2014年度(見通し)7.6%増、2015年度(見通し)2.4%増と、緩やかな回復傾向が続くと予想されている。
少子高齢化・人口減少の進行で住宅着工戸数は長期的には減少傾向にあり厳しい状況であろうが、2020年の東京オリンピックを控え、民間非住宅市場の開拓に関しては良好な市場環境が当面は続くものと考えられる。
 
◎同業他社
インテリア、内装材を扱う主な同業他社としては以下の3社が上げられる。
 
同業他社に比較して収益性および株価評価の高さが際立っている。
 
【事業内容】
壁紙、床材、カーテン、椅子生地などインテリア商品の企画開発及び販売が中心事業。生産設備を持たない「ファブレス経営」が特色だが、単なる商社ではなく、扱う商品はすべて自社で企画・デザイン・開発を行っている。子会社を通じてエクステリア事業、照明事業も展開している。
 
 
①「インテリア事業」
(2015年3月期 売上高 113,364百万円、営業利益 7,550百万円)
◎主な取扱商品
 
商品数は約13,000点と他に類を見ない多彩なラインアップを誇っている。
主力の壁紙で商品数は約5,000点。2年毎に見本帳の更新を行っているが(カーテンは3年毎)、旧い商品を見本帳から外し、新しい商品に入れ替える所謂「改廃率」は壁紙で50〜55%程度だが、同業他社では35〜40%以下という事だ。商品を入れ替えるのは、容易ではない。廃止されたデザインの商品は破棄しなければならないため無駄が発生してしまうが、見本帳の鮮度もユーザー満足度を高める重要な要素であり、効率と鮮度のバランスを取ることができるのは、同社の体力や長年に亘るノウハウの蓄積によるものだろう。
 
◎営業体制
名古屋の本社の他、全国に8か所の支社、55か所の支店・営業所・事務所を持ち、重要な営業拠点として6か所のショールームを有している。
 
 
最終的に商品を納入し、売上を立て、代金が入金されるのは上図右の川下の内装仕上げ段階で、主な相手先は代理店を通じた内装工事業者やインテリアショップ、建材店となるが、その前工程での商品PRも重要だ。
住宅やビルが竣工するまでには、発注者(施主)、設計事務所、デザイン事務所、ゼネコン、サブコン、ハウスメーカーなど、数多くのプレーヤーがかかわっており、インテリアをデザインや機能から最終的に選択する意思決定は川上から始まっているケースも多数ある。

そのため、同社では見本帳、TVCM、ショールームなど様々な機会を通じて商品のPRを行っている。もちろん「待ち」のみでなく、法人営業部(全国的に法人顧客をカバー)をはじめとした全国の営業員約400名が、各担当先に足を運び情報提供・収集、提案を行っている。

主として代理店を経由した販売スタイルをとっているが(名古屋を中心とした中部地域の一部では直接販売)、顧客数は中部地域だけで約6,000社。代理店を通しているので正確な数字は把握できていないが、全国の顧客数は数万社にのぼる。
 
◎物流体制
全国13か所に物流センターを含めた物流施設を保有している。
東・名・阪・福はほぼ全商品が常に在庫されており、出荷点数は一日6万点に上るが、欠品率は1日平均で約0.13%(約70点程度)となっている。
内装の工期に合わせた「Just in Time」を全国物流ネットワークによって実現している。
仕入先は約100社と広範囲に亘っている。
 
②「エクステリア事業」
(2015年3月期 売上高 14,698百万円、営業利益 455百万円)
2005年に子会社化した株式会社サングリーンが門扉、フェンス、テラスなどのエクステリア商品を国内で販売している。
 
③「照明事業」
(2015年3月期 売上高 3,988百万円、営業利益 30百万円)
2008年に子会社化した山田照明株式会社がダウンライト、Zライトなどの一般照明器具を国内外で販売している。
 
 
中期経営計画に基づく資本政策を発表し、「資本コストを上回るROEの早期実現と、中長期的にはより高いROE水準(8〜10%)の達成を目指す。」と述べている。
具体的には、「2014年度下期より最短3年間、最長5年間で自己資本の金額を2014年3月末比で100億円〜200億円の圧縮を目指す。」ということであるが、2017〜2019年度の目標としているROE 8〜10%を達成するためには、資本政策の実施と同時に、売上高当期純利益率の一段の向上も必要となるだろう。
 
【特徴と強み】
 
①安定した収益を生み出すビジネスモデル
同社は製造部門を持たない「ファブレス経営」の先駆けとも言うべき存在で、製造部門を持たないため固定費負担が小さい。また、商品数13,000点、仕入先100社以上、顧客数万件と、多くの面で分散が効いており、建設市場動向に連動する景気敏感型企業でありながら業績変動は決して大きくなく、設立以来赤字決算を行ったことが無い。
 
②「創る」・「提案する」・「届ける」
「創る」
同社は商品の製造を行ってはいないが企画・デザイン・開発は自社で行っている。昭和40年に初のオリジナル壁紙を発売。
先々代の社長時代の昭和48年に制定以降、現在も守り続けられているサンゲツ三則にある「創造的デザイン」に力を入れており、積極的な投資を行っている。
同社で様々なデザインをベースに約20名の企画担当者が、デザインを練り上げ、同社オリジナルデザインを開発している。担当者育成は海外の展示会への参加、営業の意見のヒアリング、デザイン顧問とのディスカッションなど、OJTで行っている。若い感覚をより積極的に採用していく方針だ。
商品ラインアップは他社には例を見ない約13,000点。また2〜3年ごとに定期的に改訂する28種類の見本帳も他社にはない同社の大きな特徴。
 
 
「届ける」
先述の様に、商品の全点常備在庫を行い、内装工期に合わせて「Just in Time」を実現する全国の物流ネットワークを有するのは同社の強みである。
ただ、全点在庫は一方で過剰在庫や低効率につながりかねず、同社の様な注文に応じて正確に加工して出荷する加工物流において、ロス率を上げない正確な加工技術とスピードが重要な要素となる。
1ロール50mの壁紙があり、30mの注文があった場合、同社の場合は正確に30mでカットして出荷し、加工後残った素材は次の注文に合わせ効率的にカットし、なるべく無駄が出ないように加工する。こうした加工技術は同社が長年蓄積してきた貴重なノウハウによるものである。
 
 
「提案する」
同社の営業スタッフ数は全従業員数のおよそ3分の1に当たる約400名で、業界最大である。
全国63拠点で前述のような、提案営業を展開している。6か所のショールームには64名のショールームスタッフが在籍。また、各商品を組み合わせた室内空間を顧客にイメージしてもらうためのデザインボードを作成するインテリアデザインスタッフが51名おり、その提案力も業界最高水準となっている。
 
 
 
2016年3月期第3四半期決算概要
 
 
増収増益
売上高は前年同期比1.5%増の982億円。カーテンが減収だったが、壁装材、床材は堅調だった。前期後半からの販売価格の改定も寄与した。昨年6月から原油価格安に伴うコスト見直しを仕入先と行ったため、粗利率は1.1ポイント改善し、粗利も同5.6%増加した。路線便発送個数の増加や東京ショールーム移転に伴い物流費が増加したが、販管費全体ではコストコントロールが奏功し、営業利益は同10.7%増の67億円となった。
前年同期にあった減損損失が大きく減少し、四半期純利益は同45.2%増加の48億円となった。
 
 
①インテリア事業
<壁装材>
住宅市場の緩やかな回復と共に、非住宅市場ではデザインや機能に高い付加価値を持つ商品の販売強化を行い、商業施設や宿泊施設などでの採用が拡大した。

<床材>
フロアタイルは商業施設で採用が増加し、加えて新たに賃貸住宅物件も取り込み伸長した。また、カーペットタイルにおいては、首都圏を中心とした大型再開発物件への営業を強化するとともに、全国6ヶ所で新作発表会開催するなど、市場への浸透に努めた。

<カーテン>
1月に従来のイメージを一新したカーテン見本帳「ACカーテンファブリックス」を発刊、市場動向やニーズに合わせた商品展開と販促活動を強化し、売上増に努めた。11月以降は前年を上回る水準まで回復したが、前年同期比では減収となった。
 
②エクステリア事業
各種販促キャンペーンや関東圏を重点戦略地域とした営業活動に注力した。2014年に開設した横浜支店では、前年同期比30%の伸長となった。新設住宅着工戸数の回復もあり、10月からの3ヶ月間では前年を上回る売上となったが、上期の落ち込みをカバーできず、微減収・減益となった。
 
③照明事業
医療・ホテル・オフィス等の非住宅分野に注力し、高付加価値商品の営業強化を図った。
その一環として本社ショールーム(東京都千代田区)の全面リニューアルを実施し、高い機能とデザイン性を持つ照明の展示スペースとして2015年10月にグランドオープンした。
また、非住宅施設案件の受注納入が順調に進んだ。
増収となったが中期経営計画に基づく成長投資によりコストが増加し、営業損失に転じた。
 
 
有価証券の減少により流動資産は前期末に比べ132億円減少。有形固定資産(土地)の取得などにより固定資産は同44億円増加した結果、資産合計は同87億円減少して1,343億円となった。
仕入債務、賞与引当金等の減少等で、流動負債が同16億円減少して、負債合計も同18億円減少し、224億円となった。
純資産は利益剰余金の減少等で同69億円減少し、1,118億円となった。
自己資本比率は前期末に比べ0.2%上昇し、83.2%となった。
 
 
2016年3月期業績見通し
 
 
業績予想に変更無し。小幅の増収・増益
業績予想に変更は無い。売上高は前期比2.6%増の1,355億円を予想。通年では新設住宅は微増を想定しているが、リフォームは微増、非住宅は前年並みを想定している。販売価格是正と評価損の発生している商品の圧縮で粗利率は0.2ポイント改善。引き続き昇給・昇格、人事制度改訂による人材関連コスト増やデザイン力強化、事業基盤整備のための費用など販管費は上昇するが、増収効果で吸収し営業利益は同2.7%増の82億円を予想。前期にあった減損損失や除却損がなくなるため当期純利益は2桁の増加を見込む。配当は45.00円/株を予定。予想配当性向は59.8%。
 
 
 
今後の注目点
下のグラフにあるように、過去5年間の第3四半期までの進捗率を比較すると、売上高はほぼ例年並みである一方、営業利益は8割を超えており、足元の業績推移は順調だ。
現在の投資家の関心は、今通期の着地はもちろんだが、それ以上に「中期経営計画 Next Stage Plan G」における2016年度の「売上高 1,400億円、当期純利益 63億円」の実現可能性に移るだろう。
課題として取り組んでいる「非価格競争力の強化」の具体的な成果についても注目したい。
 
 
 
 
<参考:中期経営計画 Next Stage Plan G>
 
2014年を「第3の創業」と位置付け、新しいステージに立つ同社の今後のビジョンや方向性を示すため、「中期経営計画(2014-2016) Next Stage Plan G」を策定した。
同計画の目標を、「事業体制の再整備と強化を進め、将来の成長のための仕込みを行い、サンゲツの次のステージを切り拓く3年間」としている。
 
 
 
これに加え、「4)創業以来の理念・社是・考えの継承」の4つを具体的な施策として掲げ進めて行く。
 
将来の成長のための基盤整備に先行投資を行いつつ、史上最高益の更新を目指す。
 
インテリアは、既存事業においてリニューアルや大規模改修、病院や介護関連施設への注力を進めると共に、高付加価値商品へのシフトやカーテン事業の売上回復を見込んでいる。
新規事業や海外事業は仕込みの時期であるため、販管費のみを見込んでいる。
エクステリア事業は限定的な拡大を前提としており、照明事業は安定的な事業基盤の確立を優先するステージであり、収益の拡大は見込んでいない。

◎2017〜2019年度 目標
この中期経営計画をベースに、次の中期経営計画の最終2020年3月期には、「新規事業・海外事業・連結会社での本格的な収益の実現」、「インテリア事業収益の着実な拡大」、「新たな資本政策の導入」により、「ROE 8〜10%の達成」を目標としている。
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2018 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.32 | ブリッジレポート:(6826)本多通信工業 vol.9»

ブリッジレポート(バックナンバー)
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE