ブリッジレポート
(2146:JASDAQ) UTグループ 企業HP
若山 陽一 社長
若山 陽一 社長

【ブリッジレポート vol.24】2016年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「愛知製鋼工場の操業停止(2億円程度の減収要因になるとみられている)等で16/3期は着地点が見通し難くなったが、新中期経営計画がスタートする・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年3月15日掲載
企業基本情報
企業名
UTグループ株式会社
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田1-11-15 電波ビル
事業内容
製造・建設・設計開発分野の正社員派遣事業を展開。待遇向上とキャリアアップの諸制度により、業界No.1の従業員定着率を誇る。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 36,478 2,232 2,157 1,168
2014年3月 30,779 1,824 1,754 934
2013年3月 27,854 1,473 1,388 922
2012年3月 24,106 1,453 1,379 880
2011年3月 20,227 1,442 1,309 766
2010年3月 18,056 290 182 -1,401
2009年3月 40,694 1,793 603 -10,861
2008年3月 51,787 4,200 3,473 1,203
株式情報(2/22現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
436円 36,806,000株 16,047百万円 35.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 34.22円 12.7倍 91.20円 4.8倍
※株価は2/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
UTグループの2016年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みとする製造派遣・請負を事業基盤に、エンジニア(設計及び建設技術者)派遣を育成中。M&Aへの積極的な対応も含めて、既存事業の強化と新規分野への展開で人材業界における日本を代表するリーダー企業となる事を目指している。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社7社が担う。
 
 
【コーポレートブランディングの刷新】
創業21年目を迎えた2015年を新たな創業の年と位置づけて社名変更を行い、新たなビジョンを策定すると共にブランドマークを刷新した。
 
・古くは法隆寺等の建造物から、現代では道具や印刷用紙にも用いられる「白銀比」 により構成
・UTグループの個々とチームワークとその結束を体現し、更に、社員や事業が成長するデザインとして採用
・緑は、成長するキャリア、イキイキとした働き方、社員に安心と安定した職場を提供する姿を表す
・黒は、当社のサービス品質を担保する姿勢を表す
 
新コーポレートメッセージ 「Upward Together」
・「はたらくカで、イキイキをつくる。」をミッションに、お客様と協力しながら共にビジネスを成長させるという、UTグループの社会的使命を表明するメツセージ。
・自分の能力の限界を解き放ち、チームで挑戦する事により更に能力やスキルを高めていくという姿勢を表している。
 
【事業内容】
製造派遣・請負を中心に、設計開発技術者派遣及び建設技術者派遣を手掛けており、15/3期の売上構成比は製造派遣・請負91.3%(14/3期94.0%)、設計開発技術者派遣5.6%(同3.7%)、建設技術者派遣3.1%(同2.3%)。15/3期の製造派遣・請負の業種別構成比は、半導体・電子部品分野44.8%(同42.4%)、環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)25.3%(同25.8%)、自動車関連分野16.0%(同14.1%)、住宅分野6.7%(同9.4%)、その他7.2%(同8.3%)。
 
製造派遣事業   半導体No.1を維持しながら、バランスのとれた顧客ポートフォリオへ
10/3期には91%を超えていた半導体・電子部品分野の構成比が、近年、大きく低下しているが、この間、同分野向けの売上自体は増えている。パナソニック バッテリーエンジニアリング(現UTパベック)の子会社化や自動車関連分野の開拓により、環境・エネルギー分野と自動車関連分野の売上を大きく伸ばす事で、半導体・電子部品分野は売上を増やしつつ構成比を半減させた。中期的な目標として、電池を中心に環境・エネルギー30%以上、自動車関連20%程度としており、半導体向けについては、現在の売上水準を維持しつつ40%以下への引き下げを目指している。
 
製造派遣分野の主な取引先
半導体・電子分野パナソニックグループ、ソニーグループ、ロームグループ、東芝グループ、浜松ホトニクスグループ
自動車関連分野トヨタ自動車グループ、アイシン精機グループ、オムロングループ、三菱自動車グループ
環境・エネルギー分野  パナソニックグループ、日立製作所グループ、ジーエス・ユアサグループ
住宅関連LIXIL、YKKAP
 
エンジニア(設計技術者、建設技術者)派遣事業   本格立ち上げ3年で業界トップグループとなる基盤構築
2015年6月末現在のUTグループのエンジニアは796名。16/3期は730名の採用を計画しており、期末には業界トップグループに入る1,400名体制が確立できる見込み。採用の内訳は、中途採用 330名(外国人エンジニア、経験者、未経験者)、社内異動 100名(One UT:UTグループ社員のキャリアチェンジ)、新卒 300名(採用ネットワーク構築による地方理系大学生)。
 
 
 
 
2016年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比19.9%の増収、同12.9%の営業増益。売上高・営業利益ともに3Q計画を上回る着地
売上高は前年同期比19.9%増の322億97百万円。主力の製造派遣事業、育成中のエンジニア派遣事業共に人材需要が堅調に推移する中、採用活動が順調に進み、3Q末の技術社員数が前年同期末比17.4%増の10,343名と1万名を超えた(うちエンジニアが909名)。セグメント別の売上高は製造派遣事業が同14.6%増の281億72百万円、エンジニア派遣事業の売上が同78.1%増の41億10百万円。エンジニア派遣事業の売上構成比が、前年同期の8.8%から12.8%に上昇する等、新規事業の育成も順調。同事業では新卒内定270名を確保し、来期へ向けた体制も整った。
営業利益は同12.9%増の17億14百万円。契約単価の上昇と利益率の高いエンジニア派遣事業の売上構成比の上昇で売上総利益率が19.7%と1.2ポイント改善。売上の増加と相まって売上総利益が同27.3%増と大きく伸び、採用費を中心にした販管費の増加を吸収した。保険解約返戻金76百万円の計上等で営業外損益も改善。固定資産除却損52百万円を特別損失に計上したものの、最終利益は10億94百万円と同17.7%増加した。

期末技術社員は、前年同期末(8,807名)に比べて1,536名(17.4%)増の10,343名(第2四半期末は9,858名)。1月31日現在、1,250名のバックオーダー(3か月以内に採用が必要な人員)を抱えている。引き続き採用活動を強化していく考え。顧客工場数は453工場と前期末に比べて15工場増加した(前年同期末430、第2四半期末447)。
 
 
 
車載及びスマホ部品を中心にした旺盛な人材需要を取り込み、売上高が同14.6%増と伸びた。利益面では、受注ガイドラインの導入による案件毎の採算管理や(契約単価、契約人数、契約期間の3要素を基に受注判定会議で審査)、1工場当たりのシェアアップを念頭に置いた営業活動の成果で収益性も改善し営業利益が同20.1%増加した。尚、顧客業種別では、スマートフォン等の需要拡大で半導体・電子部品分野の売上構成比の上昇が目立ったが、他の分野も売上高が増加しており、全体としてバランスの良い売上高構成となっている。

高い売上の伸びを支えているのが、営業力と共に採用力である。現在、月間500名の採用が軌道に乗り、700名程度採用できる月もあるという。この結果、第3四半期末の技術社員数は9,434名と前年同期末(8,267名)に比べて1,167名増加した。ただ、需要は引き続き旺盛であり、同社は早期に月間1,000名体制を構築し、圧倒的な採用力で成長を加速させていく考え(現在、月間1,000名体制で採用活動を行っている同業者はない)。
もちろん、案件毎の採算性も重視する。幸い、高水準にある有効求人倍率等を背景に、単価交渉の余地がある事に加え、新しい取引先は自動車を中心に単価が高い。契約単価に加え、契約人数や契約期間の長さを加味して案件を選別しつつ受注活動を進め、3要素(契約単価、契約人数、契約期間)の高さを基に採用活動に優先順位を付けていく。また、1案件(工場)当たりの技術者数の増員にも取り組む事で、収益性の改善を図りつつ、事業規模を拡大させていく。
 
エンジニア派遣事業
当事業は設計技術者派遣事業と建設技術者派遣事業に分かれ、第3四半期累計期間の売上は、それぞれ29億円(前年同期15億円)、12億円(同7億円)。設計技術者派遣事業では、ITエンジニア派遣・受託(ソフトウエア・ハードウエアの開発・運用管理)を手掛けるUTシステム(株)の収益寄与が大きかった。

上期に募集広告費を集中投下し採用活動を強化した事に加え、One UTによるグループ内のキャリアチェンジや新卒採用もあり、技術者数が前年同期末の540名から909名に増加した。今期末の技術者数は、中途採用及びOne UTによる増員で1,100〜1,200名に拡大する見込み。第3四半期末までに新卒270名の内定者を確保しており、17/3期は現在よりも5割程度多い1,300〜1,400名体制で臨めそうだ。尚、One UT によりキャリアチェンジした社員は4月から1月までで110名。通期で120〜130名が見込まれる。
 
 
 
財政状態に大きな変化はなく、第3四半期末の総資産は前期末に比べて66百万円増の164億93百万円。流動比率175.4%(前期末159.3%)、固定比率90.1%(同91.3%)、自己資本比率22.2%(同21.4%)。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比9.7%の増収、同3.8%の経常増益
足元の人材需要は強いが、愛知製鋼工場の操業停止(2月8日〜2月13日)やソニー系企業のプロジェクターの減産といった不確定要素が発生しているため、ひとまず業績予想を据え置いた。

具体的な株主還元は未定だが、「利益配分に関する基本方針」に則り、会社の業績及び株式市場の動向を鑑みて配当及び自己株式の取得の組み合わせによる総還元性向50%以上の株主還元を実施する予定。同社は、EPS成長率30%以上(5ヶ年計画の平均成長率)と総還元性向50%以上をコミットメントしている。
 
(2)第4四半期のセグメント別取り組み
製造派遣事業では、ターゲットを絞った新規営業活動と既存顧客のシェアアップに取り組むと共に、採用活動を強化して月間採用人数の底上げを図る(月間1,000名採用体制へ)。また、定着施策や教育研修の充実にも取り組み、期末技術社員数1万名を目指す。
エンジニア派遣事業では、中途採用活動の拡大と新規優良取引先の開拓で、マッチング率、稼働率の向上を図る。また、製造派遣事業との連携により、製造派遣事業の顧客先への営業も強化する。
 
 
新中期経営計画
 
 
17/3期から21/3期にかけての新中期経営計画では、ビジョンとして「日本全土に仕事をつくる」を掲げ、「はたらく力で、イキイキをつくる」と言うミッションを遂行する事で、最終の21/3期に、在籍者数29,000名、売上高1,450億円、EBITDA 100億円、営業利益82億円、当期純利益55億円の達成と、人材業界における日本を代表するリーダー企業を目指す事になる。
 
【規模拡大、機能強化、領域拡大】
目標達成のためのポイントは、規模拡大、機能強化、領域拡大。規模拡大では、ものづくり人材派遣業界No.1を目指して、内部成長と同業者M&Aを加速させると共に、知名度と採用力の向上を図る。機能強化では、職業訓練機関のM&AやIT投資にも取り組む事でキャリア形成力・訓練力といった機能を強化してキャリア形成のための支援力を向上させる。また、「地方」、「人手不足」、「採用難」、「変動対応」をキーワードに強みを活かせる業界へのM&Aによる参入や女性・シニアの活用分野への参入で領域拡大を図り、総合人材業への脱皮を図る他、海外展開も模索していく。
 
規模拡大   モノづくり人材業No.1
無期雇用(正社員)による派遣事業を手掛け、キャリア形成支援にも強みのある同社にとって、労働者派遣法の改正(2015年9月施行)は追い風だ。中小派遣業者の淘汰やメーカー派遣子会社の撤退の増加が予想され、同社は全国動員力・変動対応力・提案力といった競争優位性を活かしシェアアップを図る考え。また、前回の改正(2013年4月に施行)を受けて派遣から有期雇用へシフトさせ有期雇用への依存を高めた自動車や自動車関連企業が、今回の改正で再び有期雇用から派遣へシフトさせるとみられており、この面からもビジネスチャンスの拡大が期待できる。
加えて、ものづくりの日本回帰、IT・建設・インフラ投資拡大、更には第4次産業革命によるキャリア形成機会の拡大等の機運も高まっており、同社が規模拡大を図るに当たって外部環境は良好である。
 
 
機能強化   圧倒的キャリア支援力
社員の選択肢を広げると共に、キャリアカウンセリング、教育訓練力、及び向上心育成の仕組みづくりに力を入れ、業界で最も多様なキャリア形成機会の提供と人材流動化を支援する具体的な施策の強化・拡充に取り組む。
 
領域拡大   総合人材業への脱皮
領域拡大の対象として、同社の強みである「採用力」、「(人材需要の)変動対応」、及び「キャリア形成支援力」を活かせる業界を挙げており、方向性として、既に強みを有する地方の他、これまでに対応してこなかった女性・シニアやサービスの分野を示唆している。具体的には、保育園、ホテル、農業、介護、観光等の業界がターゲットとなる。
 
【M&A】
新中期経営計画期の17/3期から21/3期において、毎期10〜30億円のM&Aを計画している。同社の強みを活かす事ができる事、キャッシュ・フローが見込める事、資産性が低い事、更には同社のビジョン・ミッションに合致し株主価値創造に直結する等の条件を満たす案件を厳選して執行する考えで、専門部署として「事業開発部門」を創設した。尚、買収資金は借り入れで賄い、買収先のキャッシュ・フローで5年以内に返済する事を基本としている。
 
【財務目標と株主還元】
30%以上の高ROEの維持向上、平均年率30%のEPS成長、及び50%以上の総還元性向による株主還元等を掲げており、これらを実現する事で株式価値の向上を追及する。また、効率的な資産活用により、グロスDEレシオ1以下を達成し、成長と共に財務安定性も追及していく。尚、株主還元にあたっては、PEGレシオ(注)による株価水準の判断(PEGレシオ2倍超で割高、同2倍未満で割安)をベースに配当と自己株式取得の割合を総合的に判断して最適な株主還元を実施していく考え。
 
(注)PEG レシオ (Price Earnings Growth Ratio) = PER ÷ 年間EPS成長率
 
 
今後の注目点
愛知製鋼工場の操業停止(2億円程度の減収要因になるとみられている)等で16/3期は着地点が見通し難くなったが、新中期経営計画がスタートする来期の見通しは明るい。製造業派遣では、4月以降、トヨタによるプリウスの増産や半導体・電子部品各社によるiPhone7関連の立ち上げが予定されている。昨秋にオーダーを受けたようだが、増産対応のオーダーは直前に来る事が多く、今回のように半年前からオーダーを受けるケースは珍しいと言う。
既存取引先の増産対応に加え、改正労働契約法への対応に伴う人材需要も期待できる。2013年4月の改正労働契約法(「無期労働契約への転換」)の施行により、有期労働契約が通算で5年を超えた場合、労働者側が希望すれば、企業は労働契約を無期に転換しなければならなくなった。このため、2013年4月の施行から5年が経過する2018年4月以降、「無期労働契約への転換」を迫られるケースが出てくるため、固定費の増加を嫌う企業はそれまでに、有期契約の労働者を派遣社員等に切り替えておく必要がある。
同社は月間1,000名の採用体制を早期に確立する事で、上記の増産需要や新規需要を取り込むと共にシェア(インハウス・シェア)アップを図っていく考え。
一方、エンジニア派遣では、新卒の採用が順調だ。エンジニアの中途採用が難しいため、同社は、新卒採用と教育・研修によるエンジニア育成にも力を入れている。第3四半期末までに来春入社の新卒270名の内定者を確保した事は説明した通りだが、最終的な内定者は350〜400名になる見込み(目標500名)。中途採用と合わせて、17/3期は現在よりも5割程度多い1,300〜1,400名体制で臨めそうだ。エンジニア派遣は、利幅が製造業派遣の2倍と高いため、利益面でのインパクトは大きい。

また、コスト面では、採用費が16/3期でピークアウトする見込み。16/3期は採用を前倒しで進めたため、採用費を中心に販管費が62億円程度と37%弱増加する見込みだが、17/3期は65億円程度にとどまりそうだ。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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そろそろ配当を実施して欲しい。 株価UPの基本条件だと思います。

投稿者 中野内 修 : 2016年03月16日 19:17

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