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(3031:東証マザーズ) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

【ブリッジレポート vol.35】2016年4月期第3四半期業績レポート
取材概要「国内スーパーデリバリーはやや低調だが、第2四半期に黒字化したPaidが順調に収益寄与を始めている。「SD export」についても会員小売店数、流通額・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年3月22日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目 14 番 14 号
事業内容
「企業活動を効率化し便利にする」を企業理念に、インターネット上でB to B(企業間電子商取引)市場「スーパーデリバリー」を運営。「売掛債権保証事業」も手掛ける。
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年4月 2,056 336 327 201
2014年4月 1,932 247 248 123
2013年4月 1,806 181 176 133
2012年4月 1,613 140 133 109
2011年4月 1,381 125 116 160
株式情報(3/16現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
575円 17,341,962株 9,971百万円 13.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
4.50円 0.8% 15.04円 39.2倍 97.99円 5.9倍
※株価は3/16終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROEは前期末実績。
2015年8月1日付で1:3の株式分割を実施。
 
株式会社ラクーンの2016年4月期第3四半期決算概要などについて、ご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でB to B(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というWebサイトを運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等の出展企業の取扱う商品を、全国の中小規模小売店に販売している。
2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化。これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組を開始し、更に2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。2014年3月からは、第4番目のサービスとして、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始した。
また、「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」を2015年8 月よりスタートした。
 
【経営理念】
経営理念を「企業活動を効率化し便利にする」に刷新した。企業間取引に関し、これまで培ってきた情報と決済に関するノウハウを活かし、企業活動を効率化し便利にする仕組みを今後も提案していくというビジョンを表している。

小方社長は創業後、企業としての方向性をしっかり定め、経営者としてやっていく決意を固めるまでは安易に人を増やすべきではないという考えから従業員を一人も雇用せず、自分一人で同社を運営してきたが、方向性と決意が定まった2000年に初めて正社員30名を採用した。
当時の日本のEC業界は、米国に先例がある訳でもなく、自らがゼロから作り上げていかなければならない黎明期であったが、この最初のメンバーが中心となって、日本のBtoB ECを作り上げてきた。
同社においては、EC専門家の彼らが最大の経営資源であると小方社長は考えている。
今後、新しいビジネスモデルを創造していくにあたり、企業領域を明確にしていく必要性があると考え、経営理念を刷新することとした。
重要なポイントは以下の2点。
 
①事業領域の明確化の必要性
既存事業とのシナジーは特に意識しないが、同社のコア・コンピタンスであるノウハウを活用しながら、「中小企業向けBtoBインフラ」であること、「ECと決済の専門知識」を活かすものであること、に事業領域を絞りこむ。
 
②企業間取引のインフラサービス企業としての総合サービス化への転換
存在して当たり前のインフラとなるべく、今回の新サービス「COREC」に続き、第5、第6、第7と制限を設けず、新サービスを提供し続け、これまで以上に、よりインフラサービス業へと進化していく。
 
【事業内容】
「EC事業」、「Paid事業」、「売掛債権保証事業」の3セグメントで構成されている。
 
(1)「EC事業」
「スーパーデリバリー」はファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が出会い、継続して取引を行うことができるBtoB(企業間取引)サイトである。サイトを利用することで、これまで取引のできなかったメーカーと小売店に新たな取引機会が生まれ、さらに新商品の紹介や受発注のやりとりも効率化される。また、代金はスーパーデリバリーが小売店から回収し、メーカーへまとめて支払うことから、未回収リスクのない取引の実現が可能となる。

スーパーデリバリーに参加するためには、同社の審査をパスする必要がある。
この点、同業他社の中には「数=取引量の拡大」を最優先とし、ネット小売店を中心に緩い審査基準で加盟店を数多く集める事に注力しているところもあるが、同社の場合は、「質」と「数」のバランスを重視するため小売店に関しては、ネット小売店ではなく、実際に店舗を運営している小売店であるか?などを中心に審査を行っている。
また、サプライヤーに関しても、質の高さを重視している。スーパーデリバリーの立ち上げ当初は質の高い、ブランドを確立したサプライヤーは、他のそうでないサプライヤーと共に並べられるのを嫌がり、参加を拒むケースもあったが、現在では他のサプライヤーの質も高い事が理解され、そうしたことは無くなっている。小売店にとっても、質の高いサプライヤーと取引出来る点が大きなメリットとなっている。
BtoC取引と異なり、BtoB取引は、取引量を拡大させるためには、リピート取引を如何にして拡大させるかがカギとなるため、マーケットのクオリティ向上が最も重要であると同社は考えており、この点が同業他社との大きな違いの一つとなっている。

また、同社はEC企業ではあるが、他社が、ECのマーケットプレイスを開設・運営するシステム会社という側面が極めて強いのに対し、同社はただ単にそれにとどまらず、アパレル・雑貨を中心とした商品知識、業界知識がきわめて豊富な点も、他社との違いとなっている。
「スーパーデリバリー」の収益は、出展企業から得る出展基本料(月額4万円)、会員小売店から得る小売店月会費(月額2千円)、出展企業からのシステム利用料(会員小売店に卸した商品代金の10%)の3つから成っている。

商品は出展企業が会員小売店に直接配送するが、代金に関しては同社が出展企業の代わりに会員小売店から代金を回収し、出展企業に支払うため、売上高として商品代金を計上し、システム利用料を控除した額を売上原価として計上する総額計上を行っていたが、2015年4月期第1四半期より、売上表示を従来の総額表示から純額表示に変更した。純額表示における売上高は、出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。
サービスの種類も増加しておりインフラサービス提供企業としてのポジショニングを明確にすることが目的。またマーケットプレイス事業を手掛ける同業他社との比較も容易になり投資家のメリットも大きいと判断した。

2016年1月末での各種経営指標は、会員小売店数 49,633店舗(前期末比5,263店舗増)、出展企業数1,104社(同39社増)、商材掲載数543,108点(同86,759点増)となっている。

2014年3月には、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツールサービス「COREC(コレック)」を同事業内でスタートさせた。2016年1月末のユーザー数は4,736社となっている。
また、2015年8月には日本製品を海外会員小売店が扱う越境ECサービス「SD export」をスタートさせた。
 
(2)Paid事業
「Paid」は企業間取引の非効率な管理プロセスや内在する信用リスクを解消する決済サービス。
Paidを利用することで、バイヤーはすべての加盟企業と締め支払いで取引が可能となり、効率的にかつ運転資金にゆとりを持った取引が実現できる。サプライヤーは登録するバイヤーと代金未回収のリスクや請求督促の手間なく決済ができ、効率的かつ安全で顧客に喜ばれる取引が可能となる。
2016年4月期第3四半期の取引高は、前年同期比27.1%増加の9,646百万円(うち、グループ内取引高 5,070百万円)となった。
 
(3)「売掛債権保証事業」
「売掛債権保証事業」は、11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「T&G売掛保証サービス」は、取引先が倒産した場合に、あらかじめ保証を掛けておけば、保証の枠の中で同社が損害分を代わって支払いするサービス。審査に際して、取引先に対する直接的なヒアリングや取引先からの申し込みなどは一切必要がない。独自の与信判断により90%以上の高い承認率を実現し、審査依頼から2営業日程度で回答も得られる。更に、顧客の商習慣に合わせた保証内容のカスタマイズが可能と利便性も高い。
2015年10月末の保証残高は8,005百万円(前期末比23.7%増)となっている。
 
 
「目標とする経営指標」にROEを掲げてはいないものの、ROEを意識した経営を行っている。
Paidの収益化、「COREC」の立ち上がり、またその後の新サービスなど、ITを駆使したサービス拡大の過程でROEはさらに上昇する余地が大きいと会社側は考えている。
 
 
2016年4月期第3四半期決算概要
 
 
Paid事業が順調に拡大。増収増益。
売上高は前年同期比8.1%増加の16億41百万円。3事業共に増収だった。「スーパーデリバリー」が暖冬の影響で伸び悩んだが、Paid事業、売掛債権保証事業は好調だった。新サービス「SD export」の開始に伴う立ち上げ費用やプロモーション費用が先行的に発生しているが、その他の費用をコントロールしたことに加え、Paid事業が第3四半期も順調に拡大し寄与。営業利益は同10.4%増の2億80百万円となった。
 
 
◎EC事業
売上高は前年同期比1.7%増の11億71百万円。営業利益は同3.4%増の1億66百万円。
暖冬の影響もあり購入小売店数、客単価ともに低下した結果、スーパーデリバリーの流通額は同1.0%減の70億27百万円と、第1四半期、第2四半期に続き減少した。
越境ECサービス「SD export」については、海外小売店・企業から寄せられたニーズを基に、細かな仕組みの変更を引き続き行っている。会員小売店数、流通額ともに順調に増加している。
国内販売向け「スーパーデリバリー」についても、海外の会員小売店による海外発送代行サービスを通じた海外流通額が増加しており、「SD export」と合わせた海外流通額は前年同期比50%以上増加した。

「COREC(コレック)」のユーザー数(サプライヤーとバイヤーの合計)は4,736社となり、受発注件数も順調に増加している。
引き続き知名度の向上及びユーザーの獲得に注力するほか、ユーザーから寄せられる声をもとにユーザビリティの高いシステムを構築していくための機能の追加に加え、提携先との相互送客の強化にも取り組んでいる。
 
◎Paid事業
売上高は前年同期比30.6%増の2億54百万円。営業利益は9百万円となった。第3四半期(11-1月)の利益は8百万円と着実に積み上がっている。

引き続き、加盟企業の獲得増加と獲得した加盟企業の稼働率の向上に取り組んでいる。
第3四半期(11-1月)においては、LINE株式会社が運営するコミュニケーションアプリ「LINE」の公開型アカウント「LINE@」への対応を開始した。
こうした取り組み等により、加盟企業数は2016年1月末には1,600社を超え、取引高は、前年同期比27.2%増の96億46百万円となった。
 
◎売掛債権保証事業
売上高は前年同期比18.0%増加の4億92百万円。営業利益は同3.3%増の79百万円。
保証残高は前期末比23.7%増加の80億5百万円となった。
引き続き営業力強化に取り組むことで保証残高の拡大を図っている。事業用家賃保証サービスや提携案件による保証残高増も寄与している。
 
 
現預金の増加などで流動資産は前期末に比べ67百万円増加。資産合計も同53百万円増加し43億80百万円となった。
買掛金、長短借入金の減少などで負債合計は同1億5百万円減少の26億78百万円となった。
資本金、利益剰余金の増加等で純資産は同1億58百万円増加の17億2百万円。
この結果自己資本比率は前期末の35.6%から3.2%上昇し38.8%となった。
 
(4)トピックス
◎配当予想を修正
2016年2月25日、株主還元の充実を図るため2016年4月期の期末配当予想を前回予想(2015年10月発表)に比べ1.50円/株増額の4.50円/株に修正すると発表した。
予想配当性向は29.9%となる。
 
◎「FinTech」ファンドへ出資
SBIホールディングス株式会社の子会社であるSBIインベストメント株式会社が設立・運営する「FinTech ファンド」に1億円出資することとした。
 
 
<出資の理由>
ITを活用した金融・決済・財務等に関わる新たなテクノロジー・サービスである「FinTech」は、顧客利便性の向上や金融機関としての独自性・差別化を実現するソリューションとして大きな注目を浴びており、金融を取り巻く環境は急速に変化している

同社は、企業間取引向けの決済サービス「Paid」を運営しているが、今後、サービスを向上させていくには、FinTechの最新の技術・サービスに関する情報収集をし、環境の変化に戦略的に対応していくことが不可欠と考えている。
このファンドは、FinTechの領域においてイノベーション創出が期待できる独自性の高い技術・サービスを保有し、今後成長が見込まれる日本国内外の未公開企業を投資対象としており、出資者である金融機関や事業会社と投資先企業とのオープンイノベーションを推進し、企業価値の向上を目指すファンド。
同社は、このファンドへの出資を通じて、FinTech業界の情報収集を強化するとともにFinTechベンチャー企業との協業・連携を進め、「Paid」の利便性向上や革新的なサービスの提供に取り組んでいく。
 
 
2016年4月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。2ケタの増収増益を見込む
業績予想に変更は無い。売上高は前期比10.4%増の22億70百万円の予想。前期やや伸び悩んだスーパーデリバリーの梃入れなどにより、3事業とも拡大を目指す。営業利益は同23.5%増の4億15百万円の予想。売掛債権保証事業の成長で利益率は更に向上する。ただ、「SD export」に関しては、売上は一部織り込みつつプロモーション費用は余裕を見て予算を作成しており、やや堅めの計画となっているという。
 
 
今後の注目点
国内スーパーデリバリーはやや低調だが、第2四半期に黒字化したPaidが順調に収益寄与を始めている。「SD export」についても会員小売店数、流通額ともに順調に増加しており、事業ポートフォリオの構築が着実に進んでいるようだ。以前のレポートで紹介したように、小方社長は今後も新たな事業を立ち上げていく考えで、事業規模の拡大と収益の安定化は投資家にとっては大変魅力的だ。Fintechへの取り組みも含め、中長期的な成長性に注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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