ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.41

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
江草 康二 社長兼CEO
江草 康二 社長兼CEO

【ブリッジレポート vol.41】2016年6月期上期業績レポート
取材概要「この上期は、東京モーターショー等の大規模なイベントや企業のプライベートプロモーション等、幅広い業種でイベントやプロモーションのニーズを取り・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年4月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
社長兼CEO
江草 康二
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年6月 13,442 1,335 1,349 818
2014年6月 12,188 1,026 1,035 638
2013年6月 12,346 850 864 428
2012年6月 13,935 973 987 508
2011年6月 10,570 378 377 131
2010年6月 12,575 671 670 357
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
株式情報(2/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
518円 22,408,452株 11,608百万円 13.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.75円 4.0% 41.54円 12.5倍 308.16円 1.7倍
※株価は2/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
テー・オー・ダブリューの2016年6月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベント・プロモーション業界で独立系No.1の東証1部上場会社。同業他社が約8000社あり、その大半が中小・零細企業といわれる中、同社は頭一つ抜け出た存在だ。
現在は、昨今のインターネットの影響力の拡大を踏まえ、長年培ってきたイベントの制作力とアイディア力にデジタルテクノロジーを加えた、インタラクティブプロモーション(IP)の強化に注力し、多くの実績を上げている。
インタラクティブプロモーション(IP)の企画・制作・運営を通して、「心揺さぶるブランド体験」を提供し、クライアントの課題を鮮やかに解決。経営理念は「世界一の“感動体験”をクリエイトし、笑顔を増やす」
グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(T2C)。
「世界一の“感動体験”をクリエイトし、笑顔を増やす」を経営理念とし、社名のテー・オー・ダブリューは、「Top Of The World」の頭文字に由来する。
 
【事業の概要】
15/6期の売上構成比は、イベント30.9%、セールスプロモーション59.2%、その他(企画売上高)0.7%、子会社売上高9.3%。
イベントでは、企画からイベント本番まで(「企画」、「制作」、「運営」、「演出」)を受注する。実際の業務は、照明、音響、映像、舞台制作、モデル・コンパニオン・警備員の派遣、整理、撤収、清掃など種々雑多。専門業者である外注先(連結子会社のT2Cを含む)に業務毎に発注し、イベント全体をトータルにディレクション、プロデュースする事で主催者の意図を来場者に伝える。一方、セールスプロモーションでは、「企画」、「デザイン」、「制作」を主な業務とし、Web制作、印刷、プレミアム、事務局運営、OOH(Out Of Home:交通広告や屋外広告等)等を手掛ける。
もっとも、イベントとセールスプロモーションは独立したものではなく、そのシナジーを追求する事がポイントで、広告業界で主流となりつつある「インタラクティブプロモーション(IP)」のクオリティを左右する需要な要素となっている。尚、「インタラクティブプロモーション」とは、デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共感させるプロモーションである。
 
 
業種別では(企画売上高を除く個別ベース、15/6期)、情報・通信の構成比が24.2%と最も高く、次いで自動車17.4%、食品・飲料・嗜好品17.2%、化粧品・トイレタリー・日用品10.0%、官公庁・団体6.5%、精密機器その他製造6.2%、流通・小売5.8%、金融3.8%、その他8.9%。
 
 
近年、企業の販売促進を目的としたキャンペーンイベントやそれに付随する印刷物・販促グッズの制作、新商品の発表会等の比率が高くなっている。
 
【強み】
国内外の大手広告代理店10社以上と取引、大型会場でのイベントに1社単独での対応が可能
日本では大半のイベントが、イベント主催者(クライアント)からの発注を受けた大手広告代理店によって開催されている。このため、同社を含めた実際にイベントの企画・制作・運営を行う会社は、イベント主催者から直接受注するのではなく、大手広告代理店を介して受注するケースが多い。ただ、競合他社が限られた大手広告代理店との取引にとどまっているのに対して、同社は国内外の大手広告代理店10社以上と取引しており、顧客基盤で競合他社を圧倒している。加えて、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイト等、大型会場でのイベントに1社単独で対応できる事も大きなアドバンテージである。
 
ワンストップソリューションを提供する総合プロモーションカンパニー
「企業のコミュニケーションの中でのプロモーション展開を考える際に、様々な知識と経験を持ったプロモーションの専門家によるトータルプランニングこそが、プロモーション効果を高めるために最も重要である」との考えの下、イベント制作における実績を生かしたライブコミュニケーションに加えて、WEB、プレミアム、ツール等のセールスプロモーションメニューを取り揃え、プロデューサー・プランナー・ディレクターが一元的にクライアントのプロモーションニーズに応える事ができる。言い換えると、「プロモーション・パートナー」という新しい業態として、ワンストップソリューションの提供が可能な統合プロモーションカンパニーとして機能している。
 
 
 
1976年7月の会社設立以来、リーダーとして業界をけん引
同社は、1976年7月に有限会社テー・オー・ダブリューとして設立され、以来、一貫してイベントに関する企画・制作・運営・演出・管理等を手掛けてきた。イベントが広告ツールとして社会的に認知され始めたのは、大阪万博以降であると言われており、それから40年間、同社は常に業界のリーダーシップを取り続けてきた。

同社がこれまで手掛けてきたイベントには、「ウォークマン(第1号モデル)発売キャンペーン」、「東京湾横断道路(アクアライン)開通記念式典」、「FIFA 2002ワールドカップ抽選会」等、話題性に富んだ案件が多く、「そういえば、あの時こんなことがあったっけ…」というふうに、今でも多くの方の記憶に残っているものと思われる。

同社のこうした取り組みは、大手広告代理店をはじめとする多くの優良得意先との信頼関係を年を重ねる毎に堅固なものとなったが、更なる飛躍を遂げるべく、1989年3月に有限会社から株式会社へ改組。98年6月に年商が40億円を超え、2000年7月にJASDAQに株式を上場。2007年6月の東証2部上場を経て、2008年6月に東証1部指定となった。
 
デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共有させる「インタラクティブ・プロモーション(IP)」に注力
創業以来、多くのリアルイベントで実績を残してきた同社だが、2009年~2010年にデジタル分野に進出(11/6期にデジタルプロモーション室を開設)し、各種キャンペーンサイト等のWebサイト制作、Facebook等のソーシャルメディアの運用支援、更にはアプリ開発等、制作面で実績を残した。

しかし、デジタル(テクノロジー)は進化と共にコミュニケーションとの融合が進み、コミュニケーションはテクノロジーとの融合で「一方的に」メッセージを伝えるものから、「インタラクティブ(双方向)」な人を動かすものに進化していった(そして今もなお進化を続けている)。このため、同社は、2014年7月に「デジタルプロモーション室」を「インタラクティブプロモーション室」に名称変更し、制作面でのデジタルの活用からリアルイベントでのデジタルの活用に軸足を移し、デジタルとリアルイベントを統合した新しいプロモーションプロデュースを本格化した。

デジタルに留まっていると広がりが限定的になるため(感動体験が拡散しない)、リアルの領域を絡ませないと広告主の期待に応える事ができない。「インタラクティブなコミュニケーションとは“体験装置”と“導線設計”によって成り立つものであり、テクノロジーを利用したリアルコミュニケーションを深く突き詰め、デジタルメディアを活用して情報拡散させる事で人を動かす事ができる」と言うのが、同社の考え。リアルイベントを中心としたプロモーションプロデュースが生業であり、強みでもある同社だからこそ、デジタルのメリットを最大限引き出す事ができる。

デジタルとリアルを統合させた深い体験や感動を空間軸や時間軸を超えて人々に伝える取り組みが成果をあげ、15/6期は売上・利益を大きく伸ばす事ができた。
 
 
2016年6月期の方針
 
【事業環境】
(株)電通「日本の広告費」によると(2016年2月発表)、2015年(1月~12月)の国内総広告費は前年比0.3%増の6兆1,710億円と4年連続で前年実績を上回った。特に非マス広告費(TV・ラジオ・新聞・雑誌以外)の伸びが大きいようで、広告経済研究所の「広告と経済」(2015年8月1日発行)によると、広告における非マス広告(大手代理店3社合計)のシェアの上昇が顕著であると言う。実際、スマートフォンで情報を受発信する人が増えており、博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所調査によると、日本人一人当たりのメディア接触度は、10年前との比較で(2006年と2015年の比較)、4マスメディアが267分から215分へ50分減少したのに対して、スマートフォン・PC・タブレットは67分から169分へ拡大している。
 
 
【TOWのプロモーション設計  -キーワードは「インタラクティブ・プロモーション(IP)」-】
非マス広告に注目が集まる広告業界にあって、今、広告主が強く求めているプロモーション効果は、実際の「売り」につながる「共感とシェア」である。この効果を得るためには、デジタルとリアルを統合させた深い感動体験をデジタルメディアの活用により情報拡散させる(バズらせる)必要があり、これを可能にするのがインタラクティブプロモーション(IP)である。

同社は受注競争力強化のためのポイントとて、①“IP力の標準装備化の加速”とさらなる“異業種コラボ”の推進、②IP含む“統合プロモーション力”強化、及び③“グループ力”の更なる強化という3つの付加価値を上げている。
 
“IP力の標準装備化の加速”と更なる“異業種コラボの推進”
IP力の標準装備化を加速するべく、社内でIP推進の中核を担うIP室の人員を、本部員移動や外部クリエイターの採用により10名から18名に増員すると共に、本部から切り離して独立したルームを設置し、スペースも広げた。一方、異業種コラボは、外部の技術やスキルを取り込む事によるリアルイベントの価値向上とターゲットとする市場の拡大につながるもの。従来からの同社の事業ドメインであるリアル(イベント)に、異業種コラボで取り込んだ、デジタル、映像、PRを加えた4分野を、新プロモーションポートフォリオ(異業種ドメインポートフォリオ)として事業を展開している。異業種コラボを推進する事で、ポートフォリオの充実と共に、5分野、6分野へとポートフォリオの幅を広げていく考え。リアルの市場規模は1兆円だが、上記のポートフォリオの下では、デジタル2,300億円、映像(CM制作)2,000億円、PR4,300億円を加えた1兆8,300億円に市場が広がると言う。
 
IP含む“統合プロモーション力”強化
カンヌ国際広告賞等、数々の受賞歴を持つクリエイティブ・ディレクターの阿部晶人氏が、2015年7月、同社初のクリエイティブ・ディレクター(インタラクティブプロモーション室)に就任した。デジタルを起点としたコミュニケーション構築を得意とする阿部晶人氏は数々のキャンペーンを成功に導き、TIA金賞、カンヌ銅賞など多数の受賞実績を有する。また、クリオ賞日本代表審査員、OneShow日本代表審査員等を歴任した。今後、阿部晶人氏を中心にクリエイティブ力を強化していく考えだ(リアル×デジタル×クリエイティブの時代への対応)。
 
“グループ力”の更なる強化
同社は、「“グループ力”の更なる強化には、イベントの「制作」・「運営」を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(T2C)の外部売上げ拡大が不可欠」と考えている。15/6期は同社からディレクター3名・兼務プランナー6名の受け入れると共に新卒採用と中途で計6名を増員。人員の質的向上と増員で15/6期の売上は14/6期の約5億円から約11億円に拡大。16/6期はインバウンド・アウトバウンド需要への対応を強化するべく、バイリンガル人材を持つ子会社(株)ソイルをT2Cが吸収合併した。また、代理店の内製化に対応して同社とT2Cの役割も明確化した。この他、“グループ力”の更なる強化の一環として、TOWグループの全社員を対象に、四半期毎の予算達成に対し権利を付与する“マイレージ型ストックオプション”を導入した。
 
 
2016年6月期上期決算
 
 
前年同期比20.3%の増収、同45.8%の経常増益となり、売上・利益共に上期の過去最高を更新
東京ゲームショウ、東京モーターショー(グループで10社)等のプロモーションを手掛け、連結売上高が83億95百万円と同20.3%増加。IP案件の売上が同27%増加した事に加え、グループ力強化の一環として取り組んでいる子会社(株)ティー・ツー・クリエイティブ(T2C)の外部売上も同1.5倍に拡大した。

利益面では、増収効果に加え、収益管理の強化による低収益案件の減少で売上総利益率が17.4%と1.9ポイント改善。人件費を中心にした販管費の増加を吸収して、営業利益が10億66百万円と同47.6%増加した。

予想との比較では、規模の大きな新規銘柄の獲得や1件当たり5,000万円を超える中大型案件の受注数が増加し、期初予想はもちろん、昨年12月に上方修正した予想値も上回った。期初予想は、売上高75億65百万円、営業利益8億33百万円、経常利益8億36百万円、四半期純利益5億49百万円。
 
 
 
第2四半期(10-12月)の売上拡大による売上債権・仕入債務の増加等で、上期末の総資産は116億48百万円と前期末に比べて15億05百万円増加した。流動比率246.7%(前期末257.4%)、固定比率20.7%(同20.8%)、自己資本比率59.3%(同62.2%)、と高い流動性と長期的な安定性を有する優れた財政状態は維持されている。
 
 
CFの面では、第2四半期(10-12月)の売上拡大による運転資金の増加で、一時的に営業CFが悪化した。投資CFがマイナスになったのは、余資運用の一環として、リスクの少ない有価証券に投資したため(10億円)。財務CFは配当金の支払い(1株当たり5円の増配)でマイナスになった。
 
 
連結業績の大半を占める(株)テー・オー・ダブリュー個別の業績は、前年同期比19.6%の増収、同48.0%の経常増益。
売上を業種別にみると、東京モーターショー等の大型イベントやプライベートプロモーション等、多様な案件を手掛けた自動車が15億19億円(売上構成比20.3%)と同54.2%増加した他、既存顧客との取引拡大で流通・小売が8億26百万円(同11.0%)と同2.2倍に拡大。食品・飲料・嗜好品、化粧品・トイレタリー・日用品、精密機器その他製造、官公庁・団体、金融向けの売上も、同16~36%増と高い伸びを示した。

一方、情報・通信は低収益案件の見直し(関西クライアントの自前プロモーション)に伴い、13億98百万円(同18.7%)と同22.0%減少した。この影響により、東京での売上が同26.9%増の66億16百万円(売上構成比88.2%)及び名古屋での売上が同91.4%増の4億25百万円(同5.7%)と伸びる中、関西での売上が4億55百万円(同6.1%)と同44.3%減少した。

価格帯別では、規模にかかわらず、全ての価格帯で5割前後、受注件数が増加。前年同期は890万円だった平均単価が1,000万円を超えた。案件の形態別では、競合、提案、指定の全ての形態が金額ベースで高い伸びを示し、件数ベースでは、重要顧客にフォーカスした成果で指定案件の増加が件数の増加をけん引した。この他、勝率(制作移行件数/全体企画本数)が改善している事に加え、既に説明した通り、IP案件の売上が同27%増加した。
 
 
 
 
 
 
2016年6月期業績予想
 
 
上期決算を踏まえて通期業績予想を上方修正。前期比12.5%の増収、同17.3%の経常増益を見込む
上期の上振れ分を上乗せする一方、上期の好決算を反映した業績連動報酬増等を販管費に反映させた。3期連続の増収・増益となり、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の全てが過去最高を更新する見込み。

期末配当は、1株当たり10.5円を予定しており、上期末配当と合わせて年20.75円。2015年7月の株式分割(1:2)を考慮した実質ベースでは、年8.5円増配の41.5円。同社は、連結配当性向50%を上限に、連結配当性向40%もしくは株価配当利回り4.5%、のいずれか高い方を最低配当金としている。
 
 
前期は下期に23億93百万円の期中受注・期中制作高を計上したが、今期は下期に19億36百万円の期中受注・期中制作高を計上できれば予想売上高を達成できる。一方、その源泉となる「企画・提案中の案件及び提案案件のうち受注確度の高い案件(50%以上の確度)」が、予想売上高を達成するために必要な期中受注・期中制作高のほぼ倍の38億41百万円に達している。
 
(2)下期の方針
同社は競争力強化のための“3つの付加価値”として、①“IP力の標準装備化の加速”とさらなる“異業種コラボの推進“、②IP含む“統合プロモーション力”強化、及び③“グループ力”の更なる強化、の3点を挙げている。下期は、“3つの付加価値”向上に向けた取り組みを継続・強化する方針。
 
① “IP力の標準装備化の加速”とさらなる“異業種コラボの推進
“IP力の標準装備化の加速”については、「インタラクティブプロモーション室」の下、デジタルとリアルを統合した新しいプロモーションプロデュースを本格化させた。一方、“異業種コラボの推進”では、異業種企業との提携による「新プロモーションポートフォリオ」を構築中である(⇒TOWのハイスペック化)。

現在の異業種ドメインポートフォリオは、リアルイベント、デジタル、映像、PRの4分野で構成されている。従来から同社の事業ドメインであるリアル(プロモーション)の市場規模は1兆円だが、上記のポートフォリオの下では、デジタル2,300億円、映像(CM制作)2,000億円、PR4,300億円を加えた1兆8,300億円に市場が広がる。資本提携も視野に入れ、既存分野の拡充と共に、新たな分野を取り込んでいく考え。
新プロモーションポートフォリオ
リアル TOW 1兆円市場
デジタル
1→TOW、TOW AC、PARTY 2,300億円市場
映像 T×T(太陽企画) 2,000億円市場(CM制作)
PR PRプロモーションズ(マテリアル) 4,300億円市場
新たなコラボ
太陽企画(株)とのコラボ「T×T」  リアルと映像の力で新たなブランド体験の可能性を追求
2015年10月、TVCM制作を中心に事業展開する映像会社 太陽企画(株)とプランニング&プロデュースユニット「T×T」を発足させた。太陽企画(株)の社内ユニットの一つ「Tokyo」とのコラボであり、(株)テー・オー・ダブリューが企画したイベントを「Tokyo」が映像化する事で、リアルと映像の力で新たなブランド体験の可能性を追求していく。「Tokyo」は話題性のある作品を手掛け、TVCM制作を中心としつつも、マス広告にこだわらない。(株)テー・オー・ダブリューとの協業の実績がある。
尚、このプロジェクトの特徴は、これまで分業関係にあったリアルと映像を融合させた事。双方の視点・発想・ノウハウをフルに活用して、今までにないブランド体験(単なるCMや、単なるイベントでは体験できないブランド体験)を世に送り出し、かつ広告主の課題解決に貢献する事を目指している。

太陽企画(株)
所在地     東京都港区新橋5-21-1
設立      1968年2月
従業員数    270名(2015年7月末現在)
事業内容    CMを中核とした広告宣伝全般の構成・企画から制作まで


(株)マテリアルとのコラボ「PRモーションズ」  PRデータ×アイディアでPR&プロモーション双方の効果を最大化
2016年2月、PR会社(株)マテリアルとの提携の下、ビジネスユニット「PRモーションズ」を発足させた。(株)マテリアルは、データ分析と分析結果に基づくPR(感性に頼らないPR)が特徴。「PRモーションズ」は、データ分析の結果をリアル・プロモーションに活かしていく。この2月に(株)マテリアルのデータアナリストを(株)テー・オー・ダブリューに招き、業務をスタートさせる。
(株)マテリアル
所在地 東京都港区赤坂2-17-7 赤坂溜池タワー 9階
設立 2005年2月
従業員数 34名(2015年12月末現在)
事業内容 PR業務全般、キャスティング、イベント制作、Web/モバイルコンテンツ開発
前期までの異業種コラボの実績
Creative Studio(株)ワン・トゥー・
テン・デザイン
:  リアル×デジタルのハイブリットユニット「1→TOW」を結成
クリエイティブ・ラボ(株)パーティー :  日本屈指のクリエイティブ・ディレクター4名とのタッグ
バズるコンテンツ作成を得意とする
(株)カヤック
:  インタラクティブ・プロモーション プロジェクト「TOWAC(トワック)」の展開
② IP含む“統合プロモーション力”強化
デジタルを起点としたコミュニケーション構築に強みを持ち、カンヌ国際広告賞等、数々の受賞歴を持つクリエイティブ・ディレクターの阿部晶人氏が、2015年7月、同社初のクリエイティブ・ディレクター(インタラクティブプロモーション室)に就任した。今後、阿部晶人氏を中心にクリエイティブ力の強化に取り組んでいる。
 
③ “グループ力”の更なる強化
引き続き(株)ティー・ツー・クリエイティブ(T2C)の外部売上げの拡大に取り組む。この一環として、増加しつつあるインバウンド・アウトバウンド需要に対する制作対応力を強化するべく、バイリンガル人材を持つ子会社(株)ソイルをT2Cが吸収合併した。代理店の内製化に対応して、T2CとTOWの役割を明確化した。また、“グループ力”の更なる強化の一環として、TOWグループの全社員を対象に、“マイレージ型ストックオプション”を導入した。同オプションは、四半期毎の予算達成に対し権利を付与する。
 
 
今後の注目点
この上期は、東京モーターショー等の大規模なイベントや企業のプライベートプロモーション等、幅広い業種でイベントやプロモーションのニーズを取り込む事ができた。提案案件と指定案件が件数・金額の両面で増加し、勝率も前年同期を上回る等、質的にも向上している事から、IPの推進によるリアルの価値向上が取引先に認知されつつあるようだ。成果をあげている異業種コラボについては、業務提携にとどまる現在の関係を資本提携にまで昇華させる事ができれば、ポートフォリオがより強固なものになるだろう。
尚、上方修正された通期業績だが、直近の商談状況(企画・提案中の案件及び提案案件のうち受注確度の高い案件)を考えると、更なる上振れ余地がありそうだ。