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(3189:JASDAQ) ANAP 企業HP
家 利康 社長
家 利康 社長

【ブリッジレポート vol.9】2016年8月期第2四半期業績レポート
取材概要「インターネット事業の売上構成比率が引き続き上昇する一方で、在庫削減、不採算店舗の閉店、減損の計上と、事業構造改革は着実に進んでいる・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年5月10日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ANAP
社長
家 利康
所在地
東京都渋谷区神宮前2-31-16
事業内容
主に10代−20代をターゲットとしたレディースファッション企業。基幹ブランド「ANAP」を中心に全国展開。EC比率が40%超であり、ANAPオンラインショッピングサイトの販売力が強み。
決算期
8月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年8月 8,115 -485 -459 -884
2014年8月 8,844 -480 -459 -386
2013年8月 8,590 402 621 261
株式情報(4/8現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
502円 2,114,266株 1,061百万円 -51.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00 - 9.35円 53.7倍 575.57円 0.9倍
※株価は4/8終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。
ROEは前期末実績。BPSは、第二四半期末実績。
 
株式会社ANAPの2016年8月期第2四半期決算概要などについてご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
10〜20代の女性を主要顧客層とし、「ANAP」ブランドを中心としたリーズナブルなカジュアルファッションを提供。顧客が「ファッション」を「オンタイム」で楽しめることが何より重要との企業理念を掲げる。「ANAP」を始め20の主要ブランドで1万を超える豊富なアイテムを少ロットで供給。これにより年間を通して安定した売上を確保できるビジネスモデルが大きな特徴。「ブランド認知度の高さ」、「オンラインショッピングサイトの販売力」も大きな強み。大手ショッピングモールを中心とした店舗販売と、自社サイト「ANAPオンラインショップ」を通じたインターネット販売が収益の柱。
 
 
1992年、現 取締役会長の中島 篤三氏が「株式会社エイ・エヌアートプランニング」を設立し、小売業をベースとしたマーケット・イン型企業として店舗を展開。個性的でリーズナブルな普段使いの衣料品を展開する「ANAP」は、ファッションに敏感な10代〜20代の女性から高い支持を得る。
一方、当初より同社専務取締役であった現 代表取締役社長の家 利康氏が運営する「株式会社ヤタカ・インコーポレーテッド」は、製造・卸によるプロダクト・アウト型企業として自社ブランドを展開していたが、フランチャイズとして「ANAP」ブランドの販売にも参画し、フランチャイズ11店舗を出店。両社は緊密な協力関係を構築していった。
両氏ともにファッション業界を取り巻く時代の変化を感じる中、お互いの強みを融合させることにより強力なシナジー効果を追求することができ、それが今まで以上に顧客目線を重視した経営に繋がると判断し、2006年8月、両社は合併。翌2007年、社名を現在の「株式会社ANAP」に変更した。

「ANAP」をメインブランドとしながら、コンセプトの異なる多種多彩なサブブランドを展開して、幅広い顧客ニーズをとらえると共に、原宿、渋谷など首都圏を起点としつつ、イオンモールなど大型ショッピングモールへの出店も進めて全国へ店舗を展開。
2002年1月には独自の自社ブランド販売サイト「ANAPオンラインショップ」を開設するなど、業界の中でもインターネット販売にいち早く着手し、2013年9月には、(株)スタートトゥデイ(東証1部、3092)が運営するアパレル専門ネット通販「ZOZOTOWN」への出店も開始。2013年11月、東京証券取引所JASDAQ市場に上場した。
 
【企業理念など】
企業理念として以下のコンセプトを掲げている。
『「ファッション」とは、その時楽しいことが何より重要』
『お客様が「ファッション」を「オンタイム」で楽しめることが何より大事』
『現在(いま)であることにこだわり、欲しいものが手頃な価格でいつでも手に入る「リアルクロージング」のお店』
 
この企業理念に基づき、「たくさんある品物の中から自分の好きなものを探したい」、「同じ洋服を着た人に会いたくない」という消費者の気持ちに対応するべく、「多品種・少ロット」販売にこだわりを持っている。
 
【市場環境】
同社の主要顧客層は10代〜20代の女性。同社の調べによれば、アパレル業界においては市場全体の約6割強を占める婦人服市場に属している。
また、婦人服の販売チャネルでは、百貨店が下降傾向にあるのに対し、専門店、ネット販売等が上昇傾向にあり、今後もインターネットを通じた販売の比率(EC化率)も上昇が予想されている。

こうしたことから、同社では後述するように、インターネット販売の売上構成比の拡大を目指して様々な取り組みを進めている。
 
【事業内容】
メインブランド「ANAP」を中心に、リーズナブルにおしゃれを楽しみたいという、多様なニーズをとらえるため、幅広い年齢層から支持されている全国ブランド、定番もの、流行もの、個性的アイテムまでコンセプトの異なるサブブランドを数多く展開している。豊富なアイテム数とリーズナブルな価格設定が特長となっている。
近年は新しい年齢層のKIDSやGIRLに注力しながら、アクセサリーやバック、小物類についてもブランドとして扱っている。2015年11月末現在、ANAPを始めとした20の主要ブランドを展開。これを店舗、インターネット、卸の3形態で販売している。
 
 
(1)店舗販売事業
「2015年8月期 売上高 4,186百万円(売上構成比 51.6%)、セグメント利益 −7百万円」
「ANAP」とそのサブブランド等からなるANAPブランドの主要な販売チャネルとして原宿や渋谷等に位置する路面の旗艦店舗、各地のファッションビルおよび郊外に位置する大型ショッピングモールへの出店など、全国に56店舗を展開している。(路面店 11、ファッションビル 8、ショッピングモール 37。2016年2月末現在)

「顧客にANAPブランドの魅力を実感してもらうためのチャネル」として重視すると同時に、「市場動向、流行、顧客ニーズを掴むためのアンテナ」、「インターネット販売への導線」として位置づけている。
 
 
(2)インターネット販売事業
「2015年8月期 売上高 3,495百万円(売上構成比 43.1%)、セグメント利益 670百万円」
業界に先駆けて2002年1月より「ANAPオンラインショップ」としてANAPブランドのショッピングサイトの運営を開始した。2016年2月末の会員数は78.6万人。うち、過去1年以内に購入実績のあるアクティブ会員数は12.7万人となっている。

常時1万アイテム以上の自社商品を品揃えしながら、ANAPカラーを全面に押し出したPOPなデザインのサイトで、ターゲットとする年代層が興味を持つ音楽や映画等の海外エンターテイメント情報を提供している。
ファッション雑誌を見ているかのような感覚や、ウィンドウショッピングを楽しんでいるかのような感覚になれることを意識して、掲載商品をコーディネートし、顧客が自ら着用した姿をイメージしやすくするといったサイト作りに力を入れている。
 
 
同サイトはいわゆるセレクト型のインターネットショッピングサイトとは異なり、システムに詳しい家蘯卍梗らが深く関わり自社開発したシステムによって構築されたサイトである点が大きな特徴となっている。
受注管理、売上管理、在庫管理、購入分析などを自社で一元的に管理している他、自社開発であるため、新たな機能の追加や従来機能の改善が容易であるというメリットがある。例えば、オンラインショップ担当スタッフが発案した顧客に楽しんでもらうためのアイディアや、顧客からのリクエスト等を即座にサイト上に反映して表現することができる。同社の商品戦略を機動的に実現する重要な仕組みとなっている。

同サイトにアクセスしてみると、例えば、「期間限定の950円均一セール」、「会員限定の送料無料キャンペーン」といったイベントが行われていることが分かるが、その内容は随時、極論すればアクセスの度に異なっており、その動的コンテンツのためにユーザーにとって魅力的なWebsiteとなっている。
こうした仕組みも自社開発したシステムによる自動プログラミングで実行されているため、極めて効率的にキャンペーンを展開することが出来るようになっている。

また、消費者のユーザビリティーを常に考慮し、使用デバイスとしてもPC、携帯を経ていち早くスマートフォン、タブレットへの対応も進めてきた。スマートフォンではデータ量の大きい画像への対応が必須だが、クラウドの利用などでこの課題をクリア。この結果、スマホ・タブレット受注割合は2015年8月期で83.6%と極めて高い。

同社では中期的な経営目標として「インターネット販売事業の売上構成比50%超」を掲げてきたが、想定以上のスピードで構成比は上昇しており、今期より「60%以上」を目標としている。

そのためには自社サイトのみでなく様々なサイトに多くのアイテムを出品する必要があるとの考えから、2013年9月には、(株)スタートトゥデイが運営するアパレル専門ネット通販「ZOZOTOWN」への出店も開始した。同様な理由で、卸売販売としてネット通販大手「Amazon」にも出店している。
加えて、2014年5月28日からは、クルーズ株式会社が運営するファストファッションサイト「SHOPLIST.com by CROOZ」における販売を開始している。
 
(3)卸売販売事業
「2015年8月期 売上高 414百万円(売上構成比 5.1%)、セグメント利益12百万円」
全国のセレクトショップ向けに卸売販売を行っている。「ANAP」の各ブランドは他社バイヤーに対しセレクト商品を納品し、「Factor =」、「AULI」のブランドについては展示会受注によって商品を納品している。
 
【特長と強み】
安定性を生み出すビジネスモデル
同社では、専属バイヤーがアジアを中心とした現地に出向いて日本のユーザーのニーズを捉えると判断した衣料品等のサンプル品を仕入れ、同社独自のデザインを施し、中国や香港の専門業者に生産を依頼というスタイルが中心となっている。(一部、為替リスク回避のため商社仕入も実施。)
このため、大きなコストを掛けることなく多品種・少ロットでの生産および商品展開が可能になっており、一つの商品の好不調が売り上げ全体に大きく影響しにくい構造となっている。

また、前述のように多彩な独自ブランドを並行して展開しているため、各ブランドのシーズン毎の好不調を全体としてカバーすることができる。

このように、「多彩なブランド展開」と「多品種・少ロットでの豊富な品揃え」により年間を通して安定した売上を確保できる点が同社のビジネスモデルの大きな特長・強みとなっている。
 
①ブランド力・ブランド認知度
創業時から変わらない「個性的でリーズナブルな普段使いの衣料品」というコンセプトやブランドカラーを継続している一方、商品の入れ替わりが早く、消費者にとっては常に新鮮な品揃えとなっている。また、テレビや雑誌などメディアへの露出度も高い。
こうしたことからブランドの魅力が向上し、直営店舗における販売力の向上と、オンラインショップにおける集客力の向上に結び付いている。
イオンモール、ZOZOTOWNに出店が可能なのは、同社商品が低価格ではあるが「ブランド」として認知されているためといえるだろう。
 
②魅力ある店舗づくり
同社の店舗では、「幅広いターゲット層」を対象に、「個性的な商品」を「ポップなオリジナルカラー」で取り揃えている。加えて、スタッフはそれぞれがANAP商品を着こなしており、店舗内でANAPブランドの世界観を構築している。
こうした演出により顧客に対し楽しいショッピングの機会と商品を選ぶ楽しみを提供している。
 
③オンラインショッピングサイトの販売力
業界に先駆けてインターネット販売に取り組んできた同社だが、業界紙「繊研新聞社」の調査によれば、2014年度のアパレル通販専業を除くアパレル専門店を対象としたネット通販売上高ランキングにおいて、同社はまだ小規模な企業ながらも、第16位にランキングされている。
同社の有するブランド力と、前述したように自社開発システムによる高い機動性を活かした独自のインターネット販売への取り組みが、こうした実績に結び付いていると言えるだろう。
 
 
 
2016年8月期第2四半期決算概要
 
 
店舗リストラで減収。経費削減、固定資産売却で損失幅は縮小
売上高は前年同期比11.4%減の34億87百万円。インターネット販売は引き続き好調だったが、店舗販売事業における店舗リストラクチャリングによる退店のおよび暖冬の影響で減収となった。
店舗減に加え、在庫圧縮に伴い物流管理コストも削減することができたため、販管費は同19.1%減少した結果、営業損失幅は大きく縮小した。不採算店舗の収益性低下に伴う減損損失72百万円を特別損失に計上した一方、特別利益に保険解約返戻金38百万円、固定資産売却益(渋谷区神宮前の倉庫)137百万円を計上したため、四半期純損失も大きく改善した。
 
 
 
◎店舗販売事業
厳格な採算管理に基づき第2四半期累計で13店舗退店し、2016年2月末の店舗数は56舗となった。退店により減収となったが、固定費圧縮により前年同期の営業損失から営業利益に転換した。
 
◎インターネット販売事業
他社サイト「ZOZOTOWN」、「SHOPLIST.com by CROOZ」が順調に推移し増収となったが、他社サイト売上増に伴う販売手数料増により減益となった。
 
 
2015年8月期第4四半期に四半期ベースで店舗販売事業売上高を上回った同事業は、今第1四半期、第2四半期と引き続き店舗販売を上回り、構成比も前年同期を大きく上回った。
 
 
◎卸売販売事業
カジュアルファッション市場の低迷による既存取引先への販売が減少し減収となった。
 
 
固定資産売却などにより現預金が増加、在庫整理でたな卸資産が減少し、流動資産は同1億35百万円増加した。建物など有形固定資産の売却、敷金及び保証金の減少等で固定資産は同5億72百万円減少し、資産合計は同4億37百万円減少した。
長短期借入金の減少等で、負債合計は同3億60百万円減少した。
損失計上による利益剰余金の減少、自己株式の増加等で純資産は同76百万円減少。この結果、自己資本比率は38.4%と、前期末より2.6%上昇した。
 
 
たな卸資産の減少及び売上債権の減少により、営業CFはプラスに転じた。有形固定資産の売却により投資CFもプラスとなった。
財務CFは短期借入金の減少等によりマイナスに転じた。
キャッシュポジションは上昇した。
 
(4)トピックス
◎組織変更の実施
これまで店舗リストラクチャリングおよび経費削減などを推し進めて業績の回復に取り組んできたが、一定の目途がついてきたことから今後は「攻め」の姿勢に転じ、更なる企業価値向上に向けて商品の企画から販売までの機能を集約し、業務効率を上げるとともに抜本的な経営改革を進めることを目的として2016年4月8日付で組織変更を実施する。

<変更の内容>
・「商品企画部」、「店舗販売部」、「インターネット営業部」、「チャネル戦略営業部」、「卸売営業部」を統合し、「営業統括部」へ改称する。
・「商品管理部」を新設する。
・「営業本部」を新設し、「営業統括部」、「商品管理部」をもって編成する。営業本部長には家蘯卍垢就任し、強力なリーダーシップの下、営業を展開する。
・「管理本部」を新設し、「総務人事部」、「財務経理部」、「サポート室」をもって編成する。
 
また、今回の組織変更に合わせて新たに外部からMD(マーチャンダイザー:ブランドコンセプトに基づき、数量・コストを考慮して計画的に商品化し、商品コントロールを含めた一連の業務を手掛ける担当者)等を招聘し、組織変更の目的達成を確実なものとする考えだ。
 
 
2016年8月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。減収も黒字転換へ。
業績予想に変更はない。売上高は前期比5.0%減少の77億12百万円の予想。インターネット販売事業は増収が続くが、今期も不採算店舗の退店を進めるため減収。ただ、利益率の高いインターネット販売が伸びることに加え、物流業務の一部内製化を進めたことにより過剰在庫の抑止、経費削減が進み、黒字化を予想。
配当は無配を継続。
 
(2)主な取組み
期初に会社側が述べている今期の取り組みは以下の通り。
 
<セグメント別取組み>
①店舗販売事業
前期退店31店舗に続き、収益改善が見込めない店舗を15店舗以上の退店を予定している。退店を決めても実際の退店までの時間は契約状況などから様々で、全てのケースで今期中に退店効果が現れる訳ではないものの、不採算店舗のリストラクチャリングを加速する。
ただ、家蘯卍垢砲茲譴弌ANAPブランドの魅力を実感してもらうための店舗の重要性は不変」ということであり、今後は、厳密な採算管理に基づき、収益力の高い店舗のみを運営する。
また、売上向上を目指し、販売体制及び地域特性に合ったブランド構成の見直しを、本社でサポートし、店舗販売事業の立て直しを進める。
 
②インターネット販売事業
同社のEC化率は同業他社を上回り、大きな特徴となっている。
このストロングポイントを更に強化し、自社サイトの集客力を高めるために、更なるシステム強化や効果的な広告宣伝を行い、他社サイトでの新規出店を進める等、経営資源を集中させる。
当初の目標であった「売上構成比率50%実現」は、まだ単月ベースであるが、想定以上のスピードで達成できたため、今期より目標を引上げ「60%以上」を目指す。
 
③卸売販売事業
競争力のある商品を開発し、退店したエリアをカバーする。
 
<商品開発>
比較的若年層を中心顧客としてきたANAPブランドだが、中心顧客層の年齢が上昇しており、デザイナーや担当者の構成を見直す必要もある。
 
 
今後の注目点
インターネット事業の売上構成比率が引き続き上昇する一方で、在庫削減、不採算店舗の閉店、減損の計上と、事業構造改革は着実に進んでいる。
そうした中での今回の組織変更は「守りから攻めへの転換」を告げる同社からのメッセージと捉えることができる。
ただ上場来下落が続いてきた株価が底入れ反転するにはまずは下期の大幅増益を達成し、投資家の信頼を回復することが欠かせない。まずは第3四半期決算の動向を注目したい。
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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