ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.34

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
宮本 雅弘 社長
宮本 雅弘 社長

【ブリッジレポート vol.34】2017年2月期第1四半期業績レポート
取材概要「最高益の更新を目指す17/2期のスタートは上々。第1四半期は天候に足を引っ張られる事無く、実力を出し切る事ができたのではないだろうか・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年7月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
宮本 雅弘
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年2月 30,152 931 975 692
2015年2月 26,805 1,056 1,098 503
2014年2月 25,648 852 971 608
2013年2月 24,063 915 974 570
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
株式情報(6/29現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,381円 5,036,486株 6,955百万円 9.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17.00円 1.2% 178.28円 7.7倍 1,579.27円 0.9倍
※株価は6/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピックルスコーポレーションの2017年2月期第1四半期決算と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行なっており、グループは子会社14社(うち連結子会社10社・平成28年4月末現在・(株)フードレーベルホールディングスの子会社含む)、持分法適用関連会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはHACCPの導入やISO9001の認証取得、更には5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。
16/2期の品目別売上構成は、製品売上が66.8%(浅漬・キムチ46.4%、惣菜18.4%、ふる漬2.1%)、商品(漬物)売上が33.2%。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、16/2期は同グループ向けの売上が全体の29.1%を占めた(取引自体は堅調だが、12/2期37.9%、13/2期35.6%、14/2期33.6%、15/2期31.3%と依存度は低下傾向にある)。
 
【経営理念】
経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、品質管理の国際規格であるISO9001認証、HACCP認定や環境管理の国際規格であるISO14001認証を取得している他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたい」としている。
 
HACCP:米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品衛生管理の方法。同社は日本デリカフーズ協同組合(セブン‐イレブン・ジャパンに販売する弁当・惣菜メーカー等が加入)独自のHACCP認定に取り組む。
ISO9001:業務全般にわたった品質マネジメントシステムについての国際規格。取得のためには安定した品質、サービスを供給するために会社としての方針の設定とその方針に沿った仕組みや手順の構築、PDCAサイクルに則った継続的改善を行う事等が要求される。
ISO14001:組織活動、製品及びサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実施する仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)を構築することが要求される。
(同社資料より)
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススム キムチシリーズ」や各種惣菜等、切れ目無く新製品を投入できる製品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。キムチの製法や味付け手法は多種多様だ。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチのラインナップを強化する事で継続的に需要を生み出しており、この商品開発力が、浅漬、キムチに次ぐ柱として育ってきた惣菜事業にも活かされている。また、もう一つの強みである全国ネットワークについて言えば、漬物業界において、全国ネットワークを有するのは同社のみである。
 
製品開発力
製品開発力を強みに16/2期のキムチの売上は50億円を超えた。また、惣菜製品も、既存商品の継続的な改善とラインナップ拡充の成果でスーパーや生協等での売り場開拓が進んでいる他、外食向けも好調で、16/2期の売上は前期の26億円から36億円へと37.8%強増加した。
 
 
 
 
2017年2月期第1四半期決算
 
 
前年同期比21.4%の増収、同85.1%の経常増益
売上高は前年同期比21.4%増の93億30百万円。営業強化と新製品の投入等で、「ご飯がススムキムチ」等のキムチ製品が好調に推移する中、新たに連結した(3月に子会社化し、4月より連結)(株)フードレーベルホールディングスが寄与した(牛角ブランドを使用したキムチ等のチルド製品や醤油だれ等のドライ製品を展開)。

営業利益は同78.8%増の4億81百万円。原料野菜価格が安定して推移した事で(前年同期は原料産地における日照不足等の天候不順で原料野菜の白菜や胡瓜等が高騰した)、売上原価が76.8%と1.1ポイント低下。売上の増加と相まって、売上総利益が21億66百万円と同27.9%増加し、業容拡大や子会社の増加による物流費・人件費の増加やのれん償却費の増加を吸収した。四半期純利益の伸びが大きいのは特別損益の改善と実高税率の低下による。
 
(株)フードレーベルホールディングスの子会社化
2016年3月7日に、(株)フードレーベルホールディングスを100%子会社化した(取得額11億02百万円)。(株)フードレーベルホールディングスは、牛角ブランドのチルド製品(キムチ等)やドライ製品(醤油だれ等)を展開しており、高い企画力を生かして、有名店、有名シェフ等とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。

また、(株)フードレーベルホールディングスは様々な商品コンセプトを実現するために、国内外に多数の協力工場のネットワークを構築しており、コラボ商品の開発では、日本橋たいめいけん、焼肉チャンピオン、焼肉トラジ、田崎真也、CoCo壱番屋等との商品で実績がある。
 
 
 
(2)製品開発
2016年2月に「ご飯がススム本格キムチ」の販売を、5月にご飯がススムトムヤム風キムチの販売を、それぞれ開始した。「ご飯がススム本格キムチ」は今後の重点製品として位置付けており、比較的甘みが強かった「ご飯がススム キムチシリーズ」において、酸味・甘味・辛味のバランスを獲りつつ辛味を強調した。うま味とコク味の強い、飽きのこない味わいを特徴とする本格的なキムチである。一方、「ご飯がススムトムヤム風キムチ」は、甘、辛、酸っぱい味わいのトムヤムクンとキムチのコラボレーション製品。タケノコの食感とコリアンダーの香りでトムヤムクンを食べているような味わいが特徴である。
 
 
また、2016年3月に減塩浅漬シリーズの3製品(「ゆず白菜」、「かぶ胡瓜」、及び「野沢菜」)をリニューアルすると共に、「4種ぬか野菜」及び「ピリ辛白菜」の2製品を発売した。いずれの製品も、美味しさを損なう事無く、更なる減塩を実現した(パッケージに食塩相当量を記載する事で塩分の摂取量もわかりやすくなった)。
この他、にんにく、唐辛子、ブラックペッパーの入った塩だれ風の調味液でキャベツとにらを漬け込んだ、パンチの効いた浅漬「ざく切り塩だれキャベツ」を5月に発売した。別添のごま油を食べる前に和える事で、香ばしいごまの風味が引き立ち、お酒のお供にもピッタリ!もちろん、主原料のキャベツは国産を使用。
 
 
 
(株)フードレーベルホールディングスを子会社化した事等で第1四半期末の総資産は189億83百万円と前期末に比べて21億34百万円増加した。主な増加科目は、売上債権、仕入債務、のれん(23百万円→9億94百万円)、有利子負債等。自己資本比率41.9%(前期末45.1%)。
 
 
2017年2月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、通期で前期比22.1%の増収、同50.6%の営業増益
売上高は前期比22.1%増の368億17百万円。浅漬・キムチや惣菜を中心に製品売上が同11.0%増加する中、(株)フードレーベルホールディングスの子会社化効果で商品売上が同44.6%増と伸びる。営業利益は同50.6%増の14億02百万円。原料野菜価格の正常化を想定して原価率の改善を見込んでおり、業容拡大に伴う物流費・人件費の増加やのれん償却費の増加を吸収。(株)フードレーベルホールディングスの子会社化も利益の押し上げ要因になる。

設備投資は、前期の2億56百万円を大幅に上回る14億61百万円を計画。生産能力増強のための千葉工場の増築、宮城ファクトリーの排水処理設備やその他設備の更新、更には新工場(京都第2工場及び九州新工場)のための土地取得等を計画している。減価償却費は5億88百万円を織り込んだ(前期は5億34百万円)。

配当は1株当たり17円の期末配当を予定している。
 
 
 
 
(2)サマーシーズンに向けた新製品の投入
6月1日に、「鰹だしのきいた酢の物風もずくミックス」と「高リコピントマトマリネ」を発売した。
 
創業元禄12(1699)年、鰹節の老舗(株)にんべんと共同開発した“オリジナルの鰹だし”を使用した、鰹の風味が香る商品である。

夏場の人気者「もずく」を、白菜、胡瓜、人参、生姜と共に浅漬にした。「もずく」は沖縄県産を使用しており、鰹だしの風味をきかせ、甘酸っぱい酢の物風の味付けに仕上げた(夏の小鉢ならではの、さっぱりと召し上がり感が特徴)。主原料の白菜、胡瓜も国産を使用している。
 
リコピン含有量1.5倍(カゴメラウンドトマト対比)の“カゴメ 高リコピントマト”を使用した、トマトのマリネ。

初夏に合う爽やかな酸味と甘みのきいた味付けでさっぱりと頂けます。トマトの他にタマネギやダイコンを使用することで、サラダ感覚で食べられる洋風漬物的な仕上げも特徴。6月から7月の期間限定商品のため、ご購入はお早めに。

尚、リコピンは抗酸化作用(活性酸素を消去する能力)が強く、疾病に対する予防効果がある事が確認されている(「KAGOME トマト大学」より)。
 
 
 
17/2期第2四半期予想は、上期予想から第1四半期実績を控除したもの。夏場の天候次第ではあるが、大きく荒れなければ利益が上振れする可能性は高い。
 
 
今後の注目点
最高益の更新を目指す17/2期のスタートは上々。第1四半期は天候に足を引っ張られる事無く、実力を出し切る事ができたのではないだろうか。
(株)フードレーベルホールディングスの子会社化については、①(株)ピックルスコーポレーションの営業拠点及び開発力の活用によるフードレーベル製品の売上拡大、②フードレーベル製品のグループでの内製化による効率化・収益力の向上、更には③フードレーベルの協力工場の活用による製品ラインナップ拡充等のシナジーが期待できる。また、醤油だれ等のドライ製品は天候要因による収益性の変動がないため、事業を拡大できればグループ収益の安定性も高まる。シナジーの早期顕在化に期待したい。