ブリッジレポート
(6044) 株式会社三機サービス

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ブリッジレポート:(6044)三機サービス vol.1

(6044:東証2部) 三機サービス 企業HP
中島 義兼 社長
中島 義兼 社長

【ブリッジレポート vol.1】2016年5月期業績レポート
取材概要「先日取材で訪問した際、完成間近の研修センターを見学させて頂いた。まだ、全ての機器が搬入されている訳ではなかったものの、様々な空調・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年8月30日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社三機サービス
社長
中島 義兼
所在地
兵庫県姫路市阿保甲576-1
決算期
5月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年5月 5,897 366 359 213
2014年5月 5,481 295 289 164
2013年5月 5,419 144 149 166
株式情報(8/23現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
607円 5,589,285株 3,392百万円 19.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
16.00円 2.6% 53.32円 11.4倍 254.49円 2.4倍
※株価は8/23終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
 
株式会社三機サービスの会社概要、2016年5月期決算概要、中島社長へのインタビューなどをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
メーカーサービス指定店としてパナソニックグループ製大型空調機器のメンテナンスや設備更新、改修工事などを手掛ける「空調機器メンテナンス事業」と、パナソニックグループ製製品に限らず、店舗や各種施設を対象に空調設備、厨房機器、冷凍・冷蔵設備等のメンテナンスを一括して行う「トータルメンテナンス事業」を展開。高い技術力、安定したストックビジネスなどが大きな強み。空調機器メンテナンス事業の安定した成長をベースに、トータルメンテナンスサービス事業の拡大と収益性向上を目指している。
 
【1-1 沿革】
大型空調機販売の全国展開を目指していた三洋空調システムサービス株式会社(現パナソニック産機システムズ株式会社)が、各地域における据付・組立・試運転及び保守管理業務を委託するメーカーサービス指定店を探していた中、1976年10月、株式会社兵庫機工が機械事業部の事業の一環として業務を受託する事となった。
1977年7月には、株式会社三機サービスを設立し、「空調機器メンテナンス事業」を本格的にスタートさせた。
三洋空調システムサービスの大阪センター事務所内に三機サービスの大阪センターを開設するなど、当初から両社の関係は強固なものであったことに加え、事業展開をスピーディーに進めたい三洋空調システムサービスのニーズに的確に対応し、社員の積極採用や技術訓練を含めた教育の充実など体制作りに注力したこと等を高く評価され、大阪地域以外での受託も行う事となり、1977年10月東京センター、1978年4月名古屋センターを相次いで開設し、東名阪での事業展開が加速した。
その後、神戸、札幌にも事業所を開設し、全国展開を進めていく。1998年9月には中国上海市に空調機器の保守・メンテナンス業務を目的とした上海三機大楼設備維修有限公司を設立した。
一方、2000年9月には24時間365日対応のコールセンターを開設。現在のもう一つの事業である「トータルメンテナンス事業」の全国展開を開始した。2012年2月には中国でのトータルメンテナンス事業を加速させるため上海市に24時間365日対応のコールセンターを開設。
2015年4月に東証JASDAQ市場に上場し、1年後の翌2016年4月に東証2部へ市場変更となった。
 
【1-2 企業理念など】
 
この他、顧客からの「信頼を築く5つの行動」として、「約束」、「挨拶」、「対話」、「若さ」、「技能」を掲げている。
 
【1-3 市場環境など】
後述するように、空調、冷暖房、厨房などの各種機器を用いる飲食店、小売店においてはデフレ環境下、売上の大幅増が期待しがたい中で、競争を勝ち抜くためにはコスト管理が最重要ポイントとなる。
特にチェーン店化を進めている場合、各機器を全国規模・同一基準で管理することによるトータルコストの削減へのニーズが強い。
同社ではトータルメンテナンス事業の市場規模を約3兆円(※)と推定しており、この巨大市場の開拓を積極的に推進していく考えだ。
※主要顧客3業態(飲食、流通、娯楽関連)の全国チェーン売上高の3%をメンテナンスコストと仮定
 
主な同業他社としては、上場企業では日本空調サービス株式会社(4658、東証1部)、シンプロメンテ株式会社(6086、東証マザーズ)などがあり、非上場企業も数社が競合となっている。トータルメンテナンス事業においては機器メーカーのサービス部門等も競合となる。
これら競合に対し同社は、「24時間365日対応のコールセンターの充実」、「全国緊急対応が可能」、「WEBを含めたシステム化が先行」、「メーカーの機種を問わず対応が可能」といった点が強みであると自己分析を行っている。
 
 
【1-4 事業内容】
1.セグメント
同社の事業は「空調機器メンテナンス事業」、「トータルメンテナンス事業」の2セグメントで構成されている。
グラフでもわかるように、売上高ではトータルメンテナンス事業が6割を占めるが、営業利益では空調機器メンテナンス事業が6割を超しており、収益性は空調機器メンテナンス事業が上回っている。
 
 
①空調機器メンテナンス事業
パナソニックグループにおいて業務用設備機器およびシステムの販売・施工・サービスを担っているパナソニック産機システムズ株式会社のメーカーサービス指定店として、同グループが製造・販売した納入先において業務用大型空調機器等の定期点検、修理対応を行っている。
近年では大型空調機器に付随した省エネインバータ化工事(※)、大型空調機器以外の電気設備や給排水衛生設備などのメンテナンスも手掛けるほか、大型機器のリニューアルなど事業領域を拡大している。
 
 
※インバータ化工事
空調機器に使われるポンプはモーターの回転で水を循環させている。モーターは電気が流れると常にフル回転しているが、循環する水量が多すぎる場合もある。そこでモーターの回転速度を制御する装置「インバータ」でモーターの回転数を減らして水量を調整すると、モーターの消費電力が下がり節電となる。インバータを空調機器に取り付ける工事をインバータ化工事という。
 
こうした事業の性格上、同事業の顧客は基本的に、パナソニック産機システムズの1社となる。
空調機器管理は、メーカーグループ内の機器管理会社が複数のメンテナンス業者にメンテナンスを委託する形となっており、各メーカー間には技術と機器の壁があるため新規参入がほぼないニッチな業界である。
 
 
同社の全国シェア(パナソニック産機システムズの社内シェア)は約20%でNo.1。東名阪に限れば約4割となっている。沿革でも触れたように早い時期からパナソニックグループ製の空調機器メンテナンスを手掛けたことでパナソニックグループとの関係が強固であることに加え、パナソニック系空調機器メンテナンス会社の中で従業員250名以上の規模は同社のみであり、全国規模でメンテナンスを手掛けることができるのは実質的に同社のみであること等がシェアNo.1の背景である。
メーカーは技術力の高さや効率性などの観点から実績のある大企業に管理を集中する傾向があるため、同社ではメンテナンス技術を更に磨き上げて、断トツのトップシェア確保を目指している。

トップシェアであることは事業の安定性のみでなく、新たなビジネス展開にも繋がっている。
空調機器管理の現場では提案の機会を同社がほぼ独占しているため、例えば前述の省エネインバータ化工事においては、現場の調査、効果の試算と導入提案、工事、アフターケアまでワンストップでサービスを提供することができる。大手リース会社との提携により初期投資負担無く最新のインバータ機器を導入することができるため、エンドユーザーは大きな節電効果を得る事が可能である。また同社も電力節減量に応じた成果報酬という新たな収益を得る事となる。さらに、この省エネ提案をもう一つの事業、「トータルメンテナンス事業」において展開することで、より大きな事業機会を獲得することができると考えている。

メンテナンスに携わるスタッフはほぼ全員が同社社員であり、徹底した社員教育により技術力の更なる高度化およびノウハウの蓄積を進めている。
 
②トータルメンテナンス事業
空調機器メンテナンス事業で培った技術を活かして更に大きな市場での事業展開を目指していくのがトータルメンテナンス事業である。
 
 
主な顧客である飲食業、小売業のチェーン店等を対象に、空調機器・厨房機器・冷凍冷蔵設備・電気設備・給排水衛生設備・消防設備等の保守・管理業務をメーカーや機器品種問わず一括してメンテナンスを請け負っている。

飲食・小売業界では長引くデフレ環境の下、資金力やスケールメリットで優位に立つチェーンストアがそのシェアを拡大している。しかしチェーンストアにおいても売上の急拡大は難しく、競争を勝ち抜くためにはコスト管理が最重要課題となっている。
通常チェーン本部は、各チェーン店舗ごとおよび、各機器ごとに店舗のある地域の業者に修理や点検、トラブル対応を依頼している。

これに対し同社ではチェーン本部と一括契約をすることにより各機器の全国規模での同一基準による管理を提供している。
 
 
これに加え、24時間365日対応のコールセンターによる即応体制、Webサイトを活用した修理報告のほか、機器の使用状況・経年劣化の状況等のデータから導き出したリスク予測フォーマットのリアルタイムでの提供なども行っており、トラブルで営業を止めるわけにはいかない飲食・小売業のニーズに的確に対応している。
単純な修理や故障対応にとどまらず、こうした対策予防メンテナンスまで含めた、アウトソーシングの活用による費用低減のみではない「トータルコストの最適管理」を提供できる点が同社の強みであり、経営資源を重点分野に集中させたい顧客企業から高い評価を得ている。

全国9拠点に在籍する同社メンテナンスエンジニアに加え、メンテナンス業務委託先であるパートナーが顧客店舗へ赴き作業にあたる。売上高に占める内製化比率(自社社員による対応)は約2割。
内製化比率の向上が課題であると会社側は認識している。
 
≪トータルメンテナンス事業における提案例≫
【事例1.日本最大級の大手中食(お弁当)チェーン様へコールセンター修理受付提案
  対象店舗数:約3,000店舗
  対象エリア:日本全国
  受付体制:24時間365日
 
(ヒアリングを通じた顧客の現状および課題)
本部の管理負担が大きくなり、間接コスト(人件費)が増加している。
メンテナンス業者が複数あり、一括で管理できていないため修理総額が大きい。(スケールメリットを活かせていない)
店舗数の増減による人件費のコントロールが難しい。
十分な手配体制が無く、休日、夜間の機器修理に対応できておらず、機会損失の不安がある。
店舗や機器ごとに、修理業者が違うため、情報の集約や情報活用ができない。
 
こうした状況に対し、同社では以下の提案を行った。
メンテナンス業務を一括で代行することにより、機器の修理履歴を収集できるため、消耗品や他店舗で同機種の機器故障傾向などを予測することができる。
メンテナンス業務を、全て同社にアウトソーシングすることで、店舗数の増減による管理人員の変更が不要となる。
報告書や請求書の管理をWEBシステムにより容易に行うことができる。
24時間365日対応可能なため、緊急トラブルも即対応が可能で、機会損失を防ぐことができる。
 
 
(解決後の状況)
WEBシステムの履歴管理機能により、消耗品交換の計画をたてることができ、予算の把握が可能になった。
各店舗のメンテナンス進捗の状況を専用ページからWEBシステムでいつでも見ることができるため、顧客企業の部署内において各店舗状況を効率良く共有できるようになった。
メンテナンス管理業務の効率が改善され、人材を開発等のコア部門に集中、専念させることが可能になった。
消耗品劣化によるトラブルを未然に防ぐことができ、緊急トラブルが少なくなった。
 
【事例2.店舗数20店舗以上の菓子メーカーへの省エネ提案】
 
(ヒアリングを通じた顧客の現状および課題)
もともと、コスト意識が高く、削減する箇所と機会をさがしていた。
年間冷房で24時間稼働しているため、その稼働コストの削減が見込めた。
 
そこで同社は、「24時間稼働している空調機器(吸収冷温水機)にインバータ制御システムを組み込むことで電力調整が可能となるため、大幅なコスト削減ができ、3年で設置費用の回収が実現できる。」との提案を行った。
 
 
(解決後の状況)
1年目の計画数値が試算通りの数値となり、3年での投資回収が見込めたため、2台目の取り付けを行った。
※24時間稼働させる場合の回収期間。
 
【1-5 特長と強み】
◎安定したストックビジネス
空調機器メンテナンス事業は、顧客が基本的にはパナソニック産機システムズ1社のみであるため急速な成長を望むことはできないが、定期点検や修理等、安定した売上の拡大を見込むことができる。また新規参入による価格競争が起こる可能性も低く、安定した利益率を維持している。
 
◎高い技術力
前述の様に空調機器メンテナンス事業においてはメンテナンスに対応するスタッフはほぼ100%が同社社員であるため、実地研修やOJTによる社員教育を徹底して実施することができる。
これにより技術力のブラッシュアップ、ノウハウの蓄積が進んでおり、空調メンテナンス事業のみならず、今後の更なる拡大を目指しているトータルメンテナンス事業においても同業他社に対する大きな競争優位性となっている。
 
【1-6 ROE分析】
 
16年5月期のROEは前期よりも低下したが、これは2015年4月24日の株式上場時に新株発行による資金調達を行いレバレッジが低下したことが主要因であり、売上高当期純利益率は上昇している。今期の予想売上高当期純利益率も前期と同程度であり、高水準のROEを維持すると見られる。
 
 
2016年5月期決算概要
 
 
両事業とも2桁増収も利益は計画には達せず
売上高は前期比12.2%増の66億17百万円。両事業とも2桁の増収。空調機器メンテナンス事業では、省エネインバータ工事や設備の保全メンテナンスの増加のほか、省エネ設備導入に伴う補助金を利用した工事案件が増加した。トータルメンテナンス事業では大型案件の受注が進んだ。売上高は計画に対しても上回った。
営業利益は同7.5%増の3億94百万円。トータルメンテナンス事業における大型案件受注に対応するため、姫路に2つ目のコールセンター「西日本コールセンター」を2016年4月に開設したことや、営業力強化のための人員配置の入替、新入社員研修を積極的に行ったことによるほか、生産性向上を目的としたIT強化のためのコンサルタント費用の発生などで販管費も同18.2%増加したが増収効果で吸収した。
2016年4月の上場市場変更に伴う費用、為替差損、退職率低下に伴う退職給付費用の発生などで経常利益は同0.4%減の3億57百万円となった。営業利益、経常利益は計画を下回った。
 
 
◎空調機器メンテナンス事業
増収・減益
大型空調機器を中心としたメンテナンスを行う一方、パナソニック産機システムズ株式会社から年間保守契約に基づき受託する定期点検、修理対応を主軸とし各種トラブルを未然に防止する保全メンテナンスにも注力した。
また、メンテナンスを行うサービスエンジニアを専属営業として提案営業に取り組んだ結果、大型空調機器に付随する設備メンテナンスや既存空調機器更新工事、ポンプのインバータ化による省エネ提案等の受注が増加した。
ただ、新入社員早期育成研修やIT強化のためのコンサルタント費用、上場維持関連費用等の本社経費が増加したため減益となった。
 
◎トータルメンテナンス事業
増収・増益
24時間365日稼働のコールセンターを核としたサービスを、多店舗・多棟展開企業である飲食業、小売業、イベント施設、医療・介護・福祉施設等の幅広い業界をターゲットとして日本全国で展開した。また、メーカーサービス指定店としての空調機器メンテナンス事業と連携し、既存顧客にインバータ化等の省エネ提案を行うなど、設備更新やメンテナンスを通じた顧客の環境改善に注力し、空調設備を含めた設備全般のメンテナンス管理を行うトータルメンテナンスの提案を行った。また、メンテナンスの対象範囲を拡大するため警備業の認定を取得した。
中国上海市でトータルメンテナンス事業を展開している上海三機大楼設備維修有限公司では空調機器更新工事等の提案営業に注力した。
 
 
現預金、売掛金の増加で流動資産は前期末に比べ76百万円の増加。コールセンター開設により有形固定資産が増加し、固定資産は同2億93百万円増加し、資産合計は同3億70百万円増加の30億96百万円となった。
短期借入金は減少したが工事未払金の増加で流動負債は同27百万円の増加。長期借入金が増加し、負債合計は同1億55百万円増加の16億74百万円となった。
利益剰余金の増加などで純資産は同2億14百万円増加の14億22百万円となり、自己資本比率は前期末より1.7%上昇し45.9%となった。
 
 
税金等調整前当期純利益は減少したが、仕入債務の増加などで営業CFのプラス幅は大きく拡大した。
有形固定資産の取得による支出が拡大し、投資CF、フリーCFはマイナスに転じた。
前期にあった株式の発行による収入がなかったため財務CFもマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。
 
(4)トピックス
①研修センターが完成
2016年3月、姫路市の本社内に延べ床面積約1,200㎡の研修センターが完成し、4月より稼働を開始した。
投資額は約3億円。

従来、新入社員は基礎的な研修終了後は現場でのOJTにより技術を取得する流れであったが、今後は基礎研修の後、現場投入前に実地研修を行う事が出来るため、現場における戦力化のスピードアップを図ることができる。
これまで新入社員が技術者として1人前になるには2~3年かかっていたが、今後は1年程度で十分な技術が取得できるという。
また、現場においてもOJTと研修センターにおける実地研修を繰り返すことにより、一人が複数の機器を取り扱うことができる多能工化の育成及びレベルアップの加速も見込んでいる。
研修センターの稼働により同社企業価値の源泉である「高い技術力」はさらに磨きがかかることとなろう。
 
②トータルメンテナンス事業における大型案件の受託
2016年3月、トータルメンテナンス事業において、食品スーパー大手の株式会社ライフコーポレーション(8194、東証1部)から、従来の定期的な業務(清掃・設備保守等)や、臨時業務(修繕業務等)に加え、新たに警備業務を加えたファシリティマネジメント業務を受託した。
対象店舗数は関西エリアの64店舗で、同事業における有数の大型案件となる。

警備業への着手に加え、2016年3月には、西日本コールセンターを姫路本社内に増設。同事業の更なる拡大のための体制作りを着実に進めている。
 
③東証2部へ市場変更
2016年4月、東証JASDAQ市場への上場から1年で東証2部に市場変更となった。
会社側は株主を含めたすべてのステークホルダーへの感謝の意を表すとともに、更なる業容の拡大と企業価値の向上に努めると述べている。
 
④株主優待制度を導入
株主の支援に感謝するとともに、同社株式への投資魅力を高め、中長期株主の増加を図ることを目的として株主優待制度を導入した。
毎年5月末日現在の株主名簿に記載・記録された同社株式1単元(100株)以上を保有する株主を対象とし、100株以上につき1,000円分のクオカードを贈呈する。贈呈時期は毎年8月頃を予定している。
 
 
2017年5月期業績予想
 
 
2桁の増収増益
売上高は前期比17.9%上昇の78億円を予想。トータルメンテナンス事業が大型案件受託により大きく伸びる。
営業利益は同19.8%増の4億72百万円の予想。西日本コールセンターの受注拡大に伴う人件費増はあるが、吸収し2桁の増益へ。
配当は前期より1円/株増配の16.00円/株を予定。予想配当性向は30.0%
 
 
◎空調機器メンテナンス事業
主要な取引先であるパナソニック産機システムズ株式会社から受託するメンテナンスは、前期から継続している既存取引先からの受注を確保し、新規取引先でのメンテナンスも増加する見込み。
 
◎トータルメンテナンス事業
主要な既存取引先から受託するメンテナンスは引き続き安定した受注を確保し、前期に受注した大型案件の寄与や西日本コールセンターを開設したことによる新規のメンテナンス受託の増加を見込んでいる。また、機器設備更新工事も安定した推移を予想している。パートナー企業の見直しを進め、利益率の改善を図る。
 
 
今後の取り組み
 
全体的な取り組みとしては、主に以下の3点に注力する。
政府が主導する改正フロン法、省エネ補助金等を活用した環境ビジネスの拡大
研修センターを活用したエンジニアの短期育成・多能工化の推進
ITシステムの強化を継続(コールセンターWeb機能、分析機能、効率改善)
 
◎空調機器メンテナンス事業
引き続きパナソニックグループ内シェアの向上を図り、提案力・技術力で圧倒的No.1を目指すとともに、パナソニック商品の販売を強化し、同社との関係強化を図る。
 
◎トータルメンテナンス事業
パートナーとの関係強化による効率性及び利益率の向上、中・大型店舗・施設のトータルメンテナンス受託の拡大、東京および大阪における内製化率の向上を目指す。
 
◎海外事業
中国においても省エネを目的とした大型空調機器のリプレース工事を受注した。今後も省エネ需要の拡大を見込み、工事・リプレース案件の獲得を目指す
また、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムの4カ国を対象に、進出可能なビジネスモデルを現在検討中。今期中には進出先とビジネス内容を選定し、中期経営計画においてロードマップを開示する予定だ。
 
 
中島社長に聞く
 
中島 義兼(なかしま よしかね)社長に、自社の強み、今後の取り組み、投資家へのメッセージなどを伺った。
 
「研修センターにより当社の優位性は更に強化される。」
当社最大の強みはメンテナンス全般における「高い技術力」と「豊富なノウハウ」だ。
これらを自社の技術スタッフが身に付け、空調メンテナンス事業ではほぼ100%内製化することができている。また、内製化率が高いためにOJTを始めとした社員教育を徹底して行うことで社員の技術力を更に向上させることが可能となっている。
この4月から研修センターが稼働を開始したが、メーカー以外に自社でこうした研修施設を保有している会社は無いだろう。
また、メーカーの場合は自社製品のみの研修となってしまうが当社の場合は、多くのメーカー製品を取り扱えるような体制となっており、これは大きな競争優位性となっている。
通常一人前の技術者になるには最低3~5年かかるのだが、研修センターの稼働によりこれを1年程度に短縮できると見ている。多能工の育成と合わせ、当社の優位性は更に強固なものとなるだろう。
その意味でも上場に伴う資金調達で、研修センターやコールセンターを開設することができたのは大きなアドバンテージだと考えている。
 
「空調メンテナンスはダントツのNo.1を、トータルメンテナンスは売上拡大とともに利益率向上に取り組む。」
空調メンテナンス事業においてはパナソニックグループ内での社内シェアを更に高めダントツのトップを目指す。加えて、省エネ提案やリニューアル提案などエンドユーザーとの直接取引の拡大も進めていく。機器のレンタルやリース、補助金の活用など、顧客の立場に立った有用な提案で受注を拡大する。
市場規模が大きいトータルメンテナンス事業ではトップラインの拡大はもちろんだが、同時に利益率の向上にも取組んでいく。現在4%に満たない営業利益率を3~4年で10%程度まで上昇させたい。その実現のためには大きく3つのポイントがある。
1つは顧客数の拡大だ。全国規模で、かつ24時間365日体制で展開していくので、各地域内での顧客密度を高めることが効率性の向上につながる。
2つ目が優良なパートナー企業との関係強化だ。当社に対する理解が深く、ビジネスを同じベクトルで進めていけるパートナー企業には当社の専属となっていただく考えだ。その結果機動性が増して顧客満足度も向上し、効率性もアップする。
3つ目はメンテナンスの内製化だ。優良パートナーの専属化とともに現在約20%の内製化率を50%には引き上げていきたい。空調メンテナンス事業の技術者をトータルメンテナンス事業の技術者として活用するほか、複数の機器が扱えるようになる「技術者の多能工化」が不可欠だ。その点でも社員教育の拡充が重要で研修センター稼動の意義は大きい。
 
「お客様からの信頼を得るための5つの行動を徹底している。」
私が日頃社員に言っているのは「お客様にどうしたら喜んでもらえるかを常に考え、行動せよ。」ということだ。
お客様と接する社員は当社の代表であり、当社の顔。自分の行動がお客様の当社に対する評価を決める極めて重要なポジションであるという事を意識するように指導している。
その上で、「約束」、「挨拶」、「対話」、「若さ」、「技能」から成る「信頼を築く5つの行動」の徹底にも力を入れ、お客様の信頼を獲得するように努めている。
こうした意識、行動が全ての社員に浸透しているため、当社に対するお客様の評価や信頼は大変高いものであると自負している。
 
「安定性と成長性を備え持つ当社の今後を長い目で応援していだきたいと思います。」
空調機器メンテナンス事業における抜群の安定性とトータルメンテナンス事業における大きな市場開拓余地、成長余地を備え持つのが当社の魅力の一つです。
空調機器メンテナンス事業における安定した収益基盤をベースに、トータルメンテナンス事業の成長性と利益率向上によって、全体の売上、利益共に着実に拡大させていく考えです。また、中国を足掛かりにサービスの輸出によってグローバルにも活躍して参ります。
配当に関しては配当性向30%を目標に、安定配当を継続する方針です。
是非、当社の事を長い目で応援していただきたいと思っています。
 
 
 
今後の注目点
先日取材で訪問した際、完成間近の研修センターを見学させて頂いた。まだ、全ての機器が搬入されている訳ではなかったものの、様々な空調機器、厨房機器などが配置され、現場に行かなくても日常的に機器に触れることができることは、同社の技術力向上に大きく寄与するであろうことが容易に想像できるものであった。
本文中にもあるように、これだけの研修・教育施設を保有している同業者は無いとのことであり、両事業の拡大にとって大きなインフラが完成したといえよう。
注目点としては、トータルメンテナンス事業の収益性向上が、どの程度のスピードで進むかという点になろう。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
*同社は2016年4月に東証2部市場へ市場変更したため、8月末開催予定の定時株主総会後遅滞なく、コーポレートガバナンス報告書の更新を行う予定。