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(2146:JASDAQ) UTグループ 企業HP
若山 陽一 社長
若山 陽一 社長

【ブリッジレポート vol.26】2017年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期は営業と採用が両輪となる好決算となった。エンジニア派遣事業では4月入社の新卒社員が6月末までに全員稼働し、業界でトップ水準の・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年9月13日掲載
企業基本情報
企業名
UTグループ株式会社
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田1-11-15 電波ビル
事業内容
製造・建設・設計開発分野の正社員派遣事業を展開。待遇向上とキャリアアップの諸制度により、業界No.1の従業員定着率を誇る。
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年3月 44,050 2,462 2,421 1,497
2015年3月 36,478 2,232 2,157 1,168
2014年3月 30,779 1,824 1,754 934
2013年3月 27,854 1,473 1,388 922
2012年3月 24,106 1,453 1,379 880
2011年3月 20,227 1,442 1,309 766
2010年3月 18,056 290 182 -1,401
2009年3月 40,694 1,793 603 -10,861
2008年3月 51,787 4,200 3,473 1,203
株式情報(8/18現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
551円 35,232,600株 19,413百万円 39.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 43.64円 12.6倍 111.16円 5.0倍
※株価は8/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
UTグループの2017年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
顧客開拓力と業界No.1の従業員定着率を強みとする製造派遣・請負を事業基盤に、エンジニア(設計及び建設技術者)派遣を育成中。M&Aへの積極的な対応も含めて、既存事業の強化と新規分野への展開で人材業界における日本を代表するリーダー企業となる事を目指している。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービス提供は連結子会社7社が担う。
 
 
【コーポレートブランディングの刷新】
創業21年目を迎えた2015年を新たな創業の年と位置づけて社名変更を行い、新たなビジョンを策定すると共にブランドマークを刷新した。
 
・古くは法隆寺等の建造物から、現代では道具や印刷用紙にも用いられる「白銀比」 により構成
・UTグループの個々とチームワークとその結束を体現し、更に、社員や事業が成長するデザインとして採用
・緑は、成長するキャリア、イキイキとした働き方、社員に安心と安定した職場を提供する姿を表す
・黒は、当社のサービス品質を担保する姿勢を表す
 
新コーポレートメッセージ 「Upward Together」
・「はたらくカで、イキイキをつくる。」をミッションに、お客様と協力しながら共にビジネスを成長させるという、UTグループの社会的使命を表明するメツセージ。
・自分の能力の限界を解き放ち、チームで挑戦する事により更に能力やスキルを高めていくという姿勢を表している。
 
【事業内容】
事業は製造派遣事業とエンジニア派遣事業に分かれ、16/3期の売上構成比は製造派遣事業87.1%(15/3期91.2%)、エンジニア派遣事業12.9%(同8.8%)。製造派遣事業の業種別売上構成比は、半導体・電子部品分野50.6%(同47.3%)、環境・エネルギー分野(太陽電池・2次電池等)20.0%(同21.0%)、自動車関連分野15.7%(同15.7%)、住宅分野5.9%(同7.5%)、その他7.8%(同8.5%)。一方、エンジニア派遣事業は、更に設計開発技術者派遣6.1%(同5.7%)、建設技術者派遣3.8%(同3.1%)、及び2015年3月に子会社化したUTシステム(株)を主体とするソフトウエア開発技術者派遣3.0%に分かれる。
 
製造派遣事業
10/3期には91%を超えていた半導体・電子部品分野の構成比が、近年、大きく低下しているが、この間、同分野向けの売上自体は増えている。パナソニック バッテリーエンジニアリング(現UTパベック)の子会社化や自動車関連分野の開拓により、環境・エネルギー分野と自動車関連分野の売上を大きく伸ばす事で、半導体・電子部品分野は売上を増やしつつ構成比を半減させた。中期的な目標として、電池を中心に環境・エネルギー30%以上、自動車関連20%程度としており、半導体向けについては、現在の売上水準を維持しつつ40%以下への引き下げを目指している。
 
製造派遣分野の主な取引先
半導体・電子分野パナソニックグループ、ソニーグループ、ロームグループ、東芝グループ、浜松ホトニクスグループ
自動車関連分野トヨタ自動車グループ、アイシン精機グループ、オムロングループ、三菱自動車グループ
環境・エネルギー分野  パナソニックグループ、日立製作所グループ、ジーエス・ユアサグループ
住宅関連LIXILグループ、YKKAP
 
エンジニア(設計技術者、建設技術者、ソフトウエア開発技術者)派遣事業
2016年3月末現在のUTグループのエンジニアは904名(2015年3月末702名)。16/3期は「One UT」によるグループ内のキャリアチェンジで、製造派遣事業の社員130名がエンジニア派遣事業へ異動した。また、2016年4月には231名の新卒社員が入社したため、1,100名体制に。下期には新卒社員の稼働が見込まれる。
 
 
 
 
中期経営計画
 
 
「日本全土に仕事をつくる」と言うビジョンの下、規模拡大、機能強化、及び領域拡大に取り組み、最終の21/3期に、在籍者数29,000名、売上高1,450億円、EBITDA 100億円、営業利益82億円、当期純利益55億円の達成を目指している。
 
規模拡大
製造派遣の市場規模は40〜50万人だが、業界トップの日研トータルソーシング(株)が1万2,000人程度、2位の同社が約1万人。3位以下の日総工産(株)、(株)ワールドインテック、(株)アウトソーシングを加えても上位5社のシェアは10%に満たない。しかし、事務派遣が過去20年間で集約されたように、今後、製造派遣も集約が進むと言うのが同社の考え(事務派遣の大手は年商が数千億円規模だが、地方に、営業基盤、採用基盤、及びキャリアカウンセリング基盤が必要な製造派遣への参入には消極的なため、製造派遣業界の集約は製造派遣大手によって進められるだろう)。また、国内全体で、製造部門の派遣社員の構成比は30%程度。長期的には、製造現場での就業者の減少が予想される一方、正規社員から派遣社員へのシフトが進むとみられており、結果として派遣社員の増加が見込まれる。
同社は、強みである営業力と採用力を両輪に製造派遣でのマーケットシェアを徹底的に高める事で、短期間で大量の人員を動員し生産を立ち上げ、需要が減れば速やかに撤退、と言うサイクルを回していく。
 
機能強化
機能強化では、社員に提供する、「安心」、「つながり」、「成長」と言った3つの価値の提供力に磨きをかける。派遣社員の「安心」は安定した雇用によって担保されるもので、そのためには豊富な職場数と高いインハウスシェアが必要となる。リーマン・ショック時には派遣契約の解約が相次いだが、同社においてはインハウスの高さと解約は反比例の関係にあったと言う。また、新卒社員と異なり、横のつながりがない派遣社員は孤立しがち。このため、「つながり」(チーム形成)をキーワードに、SNSを介したチームコミュニケーションや定期的なキャリアカウンセリングに取り組むと共に顧客との連携も進め、社員間のつながり、社員と同社とのつながり、社員と顧客とのつながり、の強化に努めていく。
一方、「成長」(キャリア形成)では、技能研修、マネジメント研修、キャリアチェンジ(One UT)といったプログラムにより、社員のキャリアアップや年収アップ(5年間で年収20%アップが目標)の機会を提供している。

尚、同社は競合企業からの転職者が最も多い製造業派遣会社で、離職率は競合企業(8%)の半分の4%にとどまり、短期間で大規模な動員が可能な採用力と共に低い離職率が顧客から高く評価されている。
 
領域拡大
領域拡大では、外国人技能実習制度を活用して時給1,500円以下の領域を拡大させる。1,500円以下の領域とは、食品工場等を想定しており、外国人の技能実習制度を活用して、この領域の労働力調達機能を強化していく。その上の領域で、収益基盤でもある時給2,000〜3,000円の電子部品・半導体や自動車等への派遣はマーケットシェアを取りながら、社員が安心して働ける環境づくりに取り組んでいく。そして、更に上位の3,000円を超えるエンジニア派遣は、新卒採用、機能強化(キャリアアップ)、及びM&Aや提携によりボリュームを増やし、全社的な単価引き上げにつなげていく。

尚、5月に子会社化したアテックス(株)は日産自動車向けに高度なスキルを持ったエンジニアを派遣しており、既に日産との取引がある製造派遣とのシナジーを追求していく。また、シーメンス社との提携により導入したシーメンスTPPプログラムが社員の教育・育成に成果をあげている事を踏まえ、シーメンス社とシーメンスTPPプログラムの国内初正規トレーニングパートナー契約を締結した。シーメンス社出身のエンジニアを講師とする最高水準の教育研修プログラム構築し、インダストリー4.0時代のPLMエンジニアの採用・育成・教育のアウトソーシングにワンストップで対応していく。
 
 
2017年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比22.8%の増収、同49.8%の営業増益
懸念された熊本地震の影響が限定的なものにとどまる中、旺盛な人材需要に、業界トップ水準の採用力で応えた結果、売上高及び各利益が計画を大きく上回った。4月に新卒社員323名(うち207名はエンジニア派遣事業)が入社し、中途採用も2,231名と前年同期比27.9%増加。第1四半期末の技術職社員数は11,764名と過去最高を更新した。顧客工場数は前年同期末と比べて33工場増の477工場(前期末456工場)。尚、中途採用では月間目標としていた750名の採用を6月に達成した(3か月間の月間平均採用数は636名)。
第1四半期末のバックオーダーは前年同期末(1,346名)を45.2%上回る1,955名。また、同社が重視する経営指標の一つであるEBITDAは前年同期(5億63百万円)比50.1%増の8億45百万円(計画3億05百万円)。
 
熊本地震の影響について
社員400名が2ヵ月待機する事を前提として、2億円の売上減と営業損失を見込んでいたが、ほぼ全ての取引先が早期稼働できた上、停止中の工場に勤務する一部の従業員については、西日本の顧客の協力で他の工場にシフトできた。また、ソニーは稼働が遅れたものの、待機期間(2ヵ月)の従業員給与を補償してくれた。加えて、甚大な被災をした社員に対し災害見舞金を支給した事もあり、社員の不安が一掃され、ほとんど退職者を出す事もなく、事業運営を行う事ができた。また、顧客企業より感謝状を授与される等で更なる信頼関係の構築もできた。
 
 
再就職支援等のその他を除く報告セグメントベースの売上構成比は、製造派遣事業86.6%(前年同期87.8%)、エンジニア派遣事業13.4%(同12.2%)。エンジニア派遣事業は、更に設計技術者派遣事業6.7%(同8.7%)、建設技術者派遣事業4.0%(同3.5%)、及び2015年3月に子会社化したUTシステム(株)が主体のソフトウエア開発技術者派遣事業2.7%(同0%)に分かれる。
 
製造派遣事業
新型プリウス関連、iPhone関連がほぼ計画通りに伸び前年同期比21.2%の増収、同42.5%の営業増益。月間750名採用体制の構築に取り組み、6月には採用者数が750名を超えた。第1四半期末の技術職社員数は10,592名(日研トータルソーシング(株)に次ぐ業界2位)と前年同期末の8,750名との比較で1,842名(21.2%)増加した。
 
 
エンジニア派遣事業
前年同期比34.7%の増収、同66.6%の営業増益。4月に新卒エンジニア社員207名が入社した他(6月末には全員稼働)、製造系社員からエンジニアへの転身(One UT。前期実績130名) の支援も積極的に推進した。また5月には、エンジニアリング分野やファクトリーソリューション分野へのエンジニア派遣を手掛ける(株)アテックスを子会社化して、同社のエンジニア60名を取り込んだ。第1四半期末の技術職社員数は1,172名と前年同期末の796名と比べて376名(47.2%)増加した。
 
 
第1四半期末の総資産は業容拡大に伴う売上債権と未払費用の増加で174億12百万円と前期末に比べて2億72百万円増加した。自己資本比率21.6%(前期末23.9%)。
 
 
2017年3月期業績予想
 
 
第1四半期決算を踏まえて上期予想を上方修正。前年同期比16.2%の増収、同36.0%の営業増益を見込む
第1四半期決算における売上高・利益の計画に対する上振れ分を上乗せする形で上期予想を上方修正した。2億円の減収要因とみていた熊本地震の影響が限定的なものにとどまる中、足元も、製造派遣事業・エンジニア派遣事業共に顧客の人材需要は想定以上旺盛。EBITDAは前年同期比52.7%増の15億44百万円が見込まれる(期初予想10億11百万円)。
 
 
通期予想はひとまず据え置き
一方、通期予想については、「中国を始めとする新興国経済の減速や英国のEU離脱問題、国内製造業の動向等、先行きが不透明である」として、ひとまず期初予想を据え置いた。
もっとも、現状で具体的な不安材料があるわけではなく、主要顧客が引き続き派遣の活用による増産対応を進めている事、メーカー各社が正社員や契約社員から無期雇用派遣需要への置き換えを進めている事、更には同社のキャリア形成支援(派遣法改正で義務付け)力が評価されている事等から、第2四半期以降も、見通しは明るいと言う。
 
(3)株主還元
総還元性向30%を目途に株主還元を実施していく考えで、PEGレシオ(注)による株価水準の判断(PEGレシオ2倍で割高、同1倍で割安)をベースに配当と自己株式取得の割合を総合的に判断して最適な株主還元を実施していく。
2016年5月13日から6月23日にかけて、自社株買いを実施し、1,669,900株(発行済株式数の4.5%)を749,973,300円で取得した。
配当は未定。

(注) PEG レシオ (Price Earnings Growth Ratio) = PER ÷ 年間EPS成長率
 
 
今後の注目点
第1四半期は営業と採用が両輪となる好決算となった。エンジニア派遣事業では4月入社の新卒社員が6月末までに全員稼働し、業界でトップ水準の採用力を誇る製造派遣事業では中途採用が前年同期比27.9%増加したにもかかわらず、第1四半期末のバックオーダーは同45%強増加した(この事から人材需要が極めて強い事もわかる)。
第1四半期末の技術職社員数は10,592名となり、業界トップの日研トータルソーシング(株)に次ぐ業界2位で、その差は約2,000名に過ぎず、需要旺盛な中、採用力の強化が進み、その採用力が営業強化につながっているため、今期中には業界トップが交代しそうだ。

また、好業績の背景にあるのが単純な人手不足でない事も頭に入れておきたい。これまで自動車メーカーは正社員と契約社員で対応してきたが、正社員比率を引き下げつつ、契約社員から派遣社員への切り替えを進めている。一方、電子部品メーカーは従来から派遣社員の利用が多かったが、米アップルなどセットメーカーからの増産要請では短期間対応を迫られ、短期間で大量の人員を確保しなければならない。加えて、EICC(Electric Industry Code of Conduct:電子業界行動規範)等、製造分野におけるCSR(企業の社会的責任)重視の動きが、工場での人材を供給する人材派遣会社にも及んでいる。
人材難の中、短期間での大量の人員確保と生産の立ち上げをコミットでき、CSR等の面からも不安がない人材サービス会社は限られる。月間750名の人材要求に対応でき、教育を含めた労務管理でも顧客企業の要求を満たす事ができる同社のシェアは自ずと高まろう。
 
 
 
参考資料 コーポレートガバナンスについて
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書           2015年6月30日更新
同社はコーポレート・ガバナンス・コードの基本原則を全て実施している。
 
基本的な考え方
当社は、当社グループの業務の健全かつ適切な運営の確保を行うため、グループ全体の管理を一元的に行います。

1.コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「経営環境変化への対応」の観点から意思決定のスピードアップを図り、変化に柔軟に対応していくこと、「経営の透明性」の観点から経営チェック機能の充実を図ること、「経営の健全性」の観点から法令を遵守し、社会倫理に反することがないようにすることをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針としております。

2.当社グループとしてのコーポレート・ガバナンス
当社は、UTグループの純粋持株会社として、各グループ事業会社の独立性を尊重しながら、UTグループ コンプライアンス・リスク管理委員会等を通して、横断的に管理・調整し、グループ経営管理体制の強化に努めます。

3.監査役制度の採用とコンプライアンス・リスク管理会議の設置
当社は、経営の監視機能を重視して、監査役制度を採用しております。また、社外の弁護士も参加するUTグループ コンプライアンス・リスク管理会議を設置し、コンプライアンスの徹底を図ります。
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
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