ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.35

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
宮本 雅弘 社長
宮本 雅弘 社長

【ブリッジレポート vol.35】2017年2月期第2四半期業績レポート
取材概要「上期は売上・利益が半期ベースの過去最高を更新した。売上面では、関西以西で顧客の開拓が進み浅漬・キムチの販売が伸びた事とフードレーベルHD・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年11月8日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
宮本 雅弘
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年2月 30,152 931 975 692
2015年2月 26,805 1,056 1,098 503
2014年2月 25,648 852 971 608
2013年2月 24,063 915 974 570
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
株式情報(10/14現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,503円 5,036,486株 7,569百万円 9.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17.00円 1.1% 178.28円 8.43倍 1,640.82円 1.1倍
※株価は10/14終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ピックルスコーポレーションの2017年2月期上期決算と通期見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行っており、グループは子会社14社、持分法適用関連会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはHACCPの導入やISO9001の認証取得、加えて5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。
16/2期の品目別売上構成は、製品売上が66.8%(浅漬・キムチ46.4%、惣菜18.4%、ふる漬2.1%)、商品(漬物)売上が33.2%。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、16/2期は同グループ向けの売上が全体の29.1%を占めた(取引自体は堅調だが、12/2期37.9%、13/2期35.6%、14/2期33.6%、15/2期31.3%と依存度は低下傾向にある)。
 
【経営理念】
経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、品質管理の国際規格であるISO9001認証、HACCP認定や環境管理の国際規格であるISO14001認証を取得している他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたい」としている。
 
HACCP:米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品衛生管理の方法。同社は日本デリカフーズ協同組合(セブン‐イレブン・ジャパンに販売する弁当・惣菜メーカー等が加入)独自のHACCP認定に取り組む。
ISO9001:業務全般にわたった品質マネジメントシステムについての国際規格。取得のためには安定した品質、サービスを供給するために会社としての方針の設定とその方針に沿った仕組みや手順の構築、PDCAサイクルに則った継続的改善を行う事等が要求される。
ISO14001:組織活動、製品及びサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実施する仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)を構築することが要求される。
(同社資料より)
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススム キムチ」シリーズや各種惣菜等、切れ目無く新製品を投入できる製品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。
 
製品開発力
キムチの製法や味付け手法は多種多様。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチ製品のラインナップを強化する事で増収を続けており、16/2期にはキムチ製品の売上は50億円を超えた。また、この商品開発力が、浅漬、キムチに次ぐ柱として育ってきた惣菜事業にも活かされており、ラインナップ拡充と既存商品の継続的な改善と相まって、スーパーや生協等での売り場開拓が進んでいる。
 
 
同社グループは、漬物業界で唯一、全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬製品等を提供する事が可能であり、営業上の大きな訴求ポイントになっている。ただ、北海道、北陸、中・四国地区、九州地区での本格的な市場開拓はこれから(地域別売上構成:北海道 4%、東北 11%、関東 64%、中部 5%、関西 11%、中国・四国・九州 5%)。このため、今後の伸びしろは大きく、九州では供給力の強化に向け新工場の建設を予定している。
 
 
 
市場動向と商品開発
 
【漬物市場の動向と製品開発】
漬物市場の動向
同社は漬物市場を約3,200億円と推定している。コメ消費の減少、食の多様化、少子高齢化等の影響を受けて市場は縮小傾向にあったが、その要因は、沢庵等のふる漬の縮小であり、キムチは堅調に推移しており、浅漬も安定している。
 
 
漬物メーカーは全国で900社程度あると言われているが、家族経営的な中小零細企業が大半を占め、直近の決算で年商が100億円を超えるのはトップの同社を含めた3社に過ぎない(漬物市場の規模を900社で割った1社平均の年商は3~4億円)。業界トップである同社にしても、シェアは9.1%(推定、以下同じ)にとどまり、同社を含めた上位10社でも、シェアは35.1%に過ぎない。しかし、同社のシェアは前年の8.1%(一昨年7.3%)から上昇しており、10社合計のシェアも32.9%(同30.8%)から上昇している。
 
 
つまり、上位企業による寡占化が着実に進んでおり、特に、健康志向、惣菜化、機能性訴求等をキーワードにした製品開発力を有するメーカーのビジネスチャンスは拡大している。今後、業界の淘汰・再編、そして大手メーカーによる寡占化が一段と進むものと思われる。
こうした中、同社は国産原料にこだわる(100%国産原料)事で消費者の安心・安全志向に応えると共に、強みである製品開発力・販売力を活かしてシェアアップを図っていく考え。当面の目標はシェア15%だが、これを早期に達成して、20%、30%と、更なる高みを目指していく。
 
製品開発
キムチ製品では、主力製品の「ご飯がススム」シリーズは、積極的な広告宣伝活動に加え、2015年4月に味の見直しを行いリニューアルした効果もあり、10%前後の成長が続いている。引き続き積極的に広告宣伝活動を展開し、売上の拡大に取り組んでいく考え。
 
 
尚、ご飯がススムのコンセプトは、りんごの甘味、魚介のうま味、ご飯に合うしっかり味、の3点。2015年4月に実施した味の見直しをおこなった際に、当社独自の植物性乳酸菌で生きて腸まで届く「Pne-12(ピーネ12)」も添加した。「Pne-12」はぬか漬由来の植物性乳酸菌で、耐酸性に優れ胃酸に強い。このため、生きて腸まで届く(空腹時胃内環境を想定した人工胃液内での3時間後の生残率が100%)。

一方、浅漬製品では、他社とのコラボレーションによるラインナップの拡充に加え、減塩製品等で健康に配慮した製品の開発にも力を入れている。このため商品力で競合他社に後れを取る事はなかったが、浅漬商品の包材にグループ全体で統一したイメージがなかったため(商品シリーズ毎の統一感はあったが)、”ピックルス”という全社的なイメージを伝える力が弱かった。この反省を踏まえ、今後は、下記の通り、ブランドマーク・デザインの統一を図っていく考え(10月スタート)。
 
 
ブランドマークやデザインの検討にあたっては、①商品の「品質がよい」こと、②「日本文化を継承している」こと、そして③「挑戦し元気な企業」であること、が表現できる事をポイントとした。新製品の包装には既に採用されており、順次、既存製品の包装も統一していく考え。
 
【惣菜市場の動向と製品開発】
惣菜市場の動向
一般社団法人日本惣菜協会「2016年版惣菜白書」によると、2014年の惣菜市場(米飯類、調理麺、調理パン、一般惣菜、袋物惣菜)の市場規模は9兆2,605億円。業態別の内訳は、専門店・他2兆8,788億円(構成比31.1%)、コンビニ2兆7,928億円(同30.2%)、食料品スーパー2兆2,987億円(同24.8%)、総合スーパー9,203億円(同9.9%)、百貨店3,699億円(同4.0%)。コンビニの存在感が年々増していると言う。また、カテゴリー別では、米飯類53.2%、調理麺4.9%、調理パン4.6%、一般惣菜32.3%、袋物惣菜5.1%。
 
 
中食の増加や高齢者・単身者世帯の増加に加え、主婦層の「作らない化」(流通ジャーナリスト森山真二氏)もあり、惣菜市場が拡大している。このため、食品スーパーも対応を進めており、同社が惣菜市場に参入した2004年頃は、食品スーパーの惣菜売りの場面は全体の5%程度に過ぎなかったが、現在は15%程度に拡大していると言う。
この分野では、フジッコ、ケンコーマヨネーズ、エバラ食品、デリア食品、大堀、イニシオフーズ等が大手で、いずれも400~600億円規模の年商を誇るが、最大のライバルは小売りの内製。食料品スーパー等では、惣菜の80~90%を店舗のバックヤードや自社工場で内製していると言われているが、近年、人材難のためメーカーからの仕入を増やすケースが増えている。また、食品を扱うドラッグストアが増えている事も追い風で、惣菜各社のビジネスチャンスは拡大している。
こうした中、同社は惣菜事業では後発企業であるが、製品開発力、全国をカバーする製造拠点、更には直販ならではのきめ細かい営業を強みに、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で売上を伸ばしている。
 
 
製品開発
同社は惣菜を浅漬、キムチに続く事業の柱とするべく、後発ながら、直販ならではのきめ細かい営業を強みに、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で着実に売上を伸ばしている。
 
 
現在、生野菜サラダ系の惣菜が好調で、ナムルも人気が高い。年間を通しての売り場シェアの確保とシェアアップを図るためには季節に応じた商品の投入が不可欠なため、ラインナップの拡充と既存製品の継続的な改善に取り組むと共に、提案力に磨きをかける。
 
【(株)フードレーベルホールディングスを子会社化し商品ラインナップを拡充】
2016年3月に牛角ブランドのチルド製品(キムチ等)やドライ製品(醤油だれ等)を扱う(株)フードレーベルホールディングス(以下、フードレーベルHD)を子会社化した。(株)ピックルスコーポレーションの製品は、デイリー(日配品)・デリカ(惣菜)の売り場に置かれるが、フードレーベルHDのドライ製品(醤油だれ等)を取り込む事でグロッサリー(食品雑貨)の売り場への展開が可能になり、(株)フードレーベルHDは(株)ピックルスコーポレーションのチルド配送を活用する事でチルド製品のデリバリーを効率化できる。また、牛角ブランドのチルド製品等は販売できないエリアがあったが、今後、こうしたエリアは(株)ピックルスコーポレーションの製品でカバーしていく考え。

フードレーベルHDは17/2期上期に下記3製品を投入した。
 
 
チョレギサラダドレッシング
 ピリ辛でコク深く、しっかりとした味わい。
「いきなり!ステーキ いきなり!ソース」
 「いきなり!ステーキ」の店舗で人気がある、オリジナルソースの味を再現。
伝説のすた丼屋 すたみな焼のたれ
 「伝説のすた丼屋」の“秘伝のニンニク醤油ダレ”のおいしさを家庭で。
 
尚、(株)フードレーベルHDの製品は、(株)ピックルスコーポレーションの連結決算において、「商品」に区分されている。
 
 
2017年2月期上期決算
 
 
前年同期比20.4%の増収、同41.1%の経常増益。売上高及び全ての利益段階で半期ベースの過去最高を更新
売上高は前年同期比20.4%増の189億42百万円。牛角ブランドのチルド製品(キムチ等)やドライ製品(醤油だれ等)を扱うフードレーベルHDの寄与に加え(3月に子会社化)、販売エリア拡大による販売先の増加で主力の浅漬・キムチが伸びた。

販路別では、浅漬・キムチの好調やスーパー向けが中心にフードレーベルHDの寄与もあり、量販店・問屋等が同22.9%増と伸長。2015年6月末に子会社化した青果市場の運営を行う県西中央青果(株)の寄与で外食・その他も同38.6増と伸びたが、商品戦略と顧客ニーズのズレでコンビニ向けが同1.7%減少した。この影響で惣菜の売上が同2.0%増と小幅伸びにとどまったが、既に修正されており下期は回復が見込まれる。

製・商品別では、製品が同6.9%増の114億57百万円、フードレーベルHD及び県西中央青果(株)の寄与で商品が同49.2%増の74億85百万円。

利益面では、主要原料野菜である白菜の価格安定やフードレーベルHDの子会社化効果で原価率が0.7ポイント改善し、売上の増加と相まって、人件費(M&Aによる人員増)や売上増に伴う物流費の増加による販管費の増加を吸収。持ち分法投資損益の改善(△13百万円→8百万円)もあり、経常利益は9億27百万円と同41.1%増加した。

尚、フードレーベルHDの連結決算への寄与は、売上高19億円、営業利益1億円。
 
 
 
 
 
 
フードレーベルHDの子会社化に伴う売上債権・仕入債務・のれん等の増加や中京工場の隣地買収に伴う有家固定資産の増加で、上期末の総資産は191億39百万円と前期末に比べて22億90百万円増加した。自己資本比率43.2%(前期末45.1%)。
尚、グループ経営の効率化と管理体制強化を念頭に、(株)フードレーベルが親会社で持ち株会社のフードレーベルHDを、2016年12月1日付けで吸収合併する予定。
 
 
運転資金が増加したものの、利益の増加等で、営業CFは前年同期をわずかに上回る10億80百万円を確保した。一方、前年同期は1億51百万円の黒字だった投資CFは子会社株式の取得(フードレーベルHDを子会社化)で11億80百万円のマイナス。長期借入金の返済(△4億15百万円)で財務CFも3億75百万円のマイナスとなった。
 
 
2017年2月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、通期で前期比22.1%の増収、同50.6%の営業増益
売上高は前期比22.1%増の368億17百万円。浅漬・キムチや惣菜を中心に製品売上が同11.0%増加する中、フードレーベルHDの子会社化効果で商品売上が同44.6%増と伸びる。
営業利益は同50.6%増の14億02百万円。原料野菜価格の安定を前提に原価率の改善を見込んでおり、業容拡大に伴う物流費・人件費の増加やのれん償却費の増加を吸収。県西中央青果(株)の通期寄与やフードレーベルHDの子会社化も利益の押し上げ要因になる。
設備投資は、前期の2億56百万円を大幅に上回る14億61百万円を計画。生産能力増強のための千葉工場の増築、宮城ファクトリーの排水処理設備やその他設備の更新、更には新工場(京都第2工場及び九州新工場)のための土地取得等を計画している。減価償却費は5億88百万円を織り込んだ(前期は5億34百万円)。

配当は1株当たり5円の会社設立40周年記念配を含めた22円を予定している(同社は2017年2月に会社設立40周年を迎える)。
 
 
広告宣伝活動は、上期は抑えていたが、下期は11月、12月にキムチ製品の広告宣伝活動を強化する予定。具体的には、ご飯がススムのラッピングバスの運行や渋谷の109フォーマルビジョンでのコマーシャルフィルムの放映等を実施しており、ラッピングバスについては既に一部路線で運行されている。
 
 
(株)ピックルスコーポレーション関西は、関西地区及び中・四国地区を事業エリアとして、生産拠点は京都府と広島県。スーパー、生協、外食産業等を顧客として、浅漬、キムチ、惣菜の製造・販売、及び漬物の仕入・販売を行っており、地元の量販店を中心に営業を強化し、売上高拡大と収益性の改善に取り組んでいる。
17/2期上期は、売上高30億28百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益1億34百万円(同111%増)と、利益面では通期計画を上回っている。ただ、13年6月に稼働した広島工場が既にフル稼働状態にある等、関西以西では供給が追い付いていない。また、九州地区も生産は合弁会社(株)デイリー開発福岡1社に依存しており、供給力が弱い。このため、現在、18/2期の稼働を目指して関西及び九州で新工場の建設計画を進めている(18/2期は新工場の立ち上げで営業損失となる見込み)。
 
 
北海道地区を事業エリアとする(株)ピックルスコーポレーション札幌は、浅漬、キムチ、惣菜の製造・販売、漬物の仕入・販売を行っており、主な販売先は、コンビニ、スーパー、外食産業等。
15/2期は新工場への移転に伴う一時的な生産と販売の連携の乱れで1億25百万円の営業損失となったが、収益の改善が進んでおり、16/2期は損失が大幅に減少。17/2期は9百万円の営業利益を確保できる見込み。17/2期上期は売上高7億24百万円(前年同期比4.7%増)、営業損失9百万円。
 
 
今年3月に子会社したフードレーベルHDは本社を東京(台東区)に置き、国内外(韓国、中国)の協力工場に製造委託したキムチ等のチルド製品やたれやドレッシング等のドライ製品を全国のスーパーに販売している。
16/12期はのれん償却費が負担となり営業利益が76百万円にとどまったが、17/2期以降は、(株)ピックルスコーポレーションの連結決算でのれんが償却されるため個別決算では営業利益が大幅に増加する((株)ピックルスコーポレーションは10億1百万円を10年で償却。年間1億10百万円)。また、物流費等を含めたトータルコストを念頭に商品の絞り込みも行うため(来春を目処に不採算となっている冷凍食品から撤退)、17/2期は実質減収が見込まれるものの、採算が改善する。18/2期以降は、生産や物流の整備を進めつつ、売上を伸ばしていく考え。
尚、フードレーベルHDとのシナジーとして、フードレーベルHDの製品を(株)ピックルスコーポレーションの営業拠点を活用して拡販を図る事での売上拡大、フードレーベルHDの企画・開発力に(株)ピックルスコーポレーションの企画・開発力が加わる事による開発力の強化・充実、フードレーベルHDの製品をピックルスコーポレーション・グループの工場で製造する事による効率及び収益力の向上、更には、(株)ピックルスコーポレーションによるフードレーベルHDの協力工場の活用による(生産能力の補完)等が期待されている。
 
 
中期経営目標
 
 
数値目標として、19/2期に売上高404億円、営業利益14.5億円を掲げている。目標の達成に向け、同社の強みであり特徴である、開発力、全国を網羅した生産・物流体制、及びベンダー機能を生かすと共に、食の安全・安心や環境保全活動への取り組みを進める事で、販売先、販売エリア、及び取扱製品を拡大させていく。尚、18/2期は惣菜製品を中心に売上の増加が見込まれるものの、関西及び九州地区での新工場立ち上げの影響で営業利益が前期比減少するとみている。
 
 
浅漬、キムチ、惣菜に次ぐ商材の開発を進め、スーパー等で、漬物売場から、総菜売場、佃煮売場、肉売場、魚売場等へと売場を広げていく他、食品の取り扱いを強化しているドラッグストアを取り込んでいく。
販売エリアでは、市場開拓余地が大きい、関西、中国・四国地区、九州地区において、営業の強化と供給体制の強化・整備に取り組んでいく。
 
 
設備投資計画
設備投資については、17/2期は生産能力増強のための千葉工場の増築、宮城ファクトリーの排水処理設備やその他設備の更新、及び新工場のための土地取得等で14億61百万円を予定している。続く18/2期は関西地区及び九州地区でのピックルス関西・新工場建設や設備更新等で19億78百万円を計画。19/2期は、大型投資の一巡で5億42百万円に減少する見込み。
 
 
 
今後の注目点
上期は売上・利益が半期ベースの過去最高を更新した。売上面では、関西以西で顧客の開拓が進み浅漬・キムチの販売が伸びた事とフードレーベルHDの子会社化がポイントだ。関西以西での順調な顧客開拓は同社の伸びしろの大きさを示すもので、フードレーベルHDの子会社化については、当面の業績寄与もさることながら、遠からず顕在化するであろうシナジーに注目したい(グロッサリー分野の取り込みやチルド配送の効率化等に加え、販売拠点や製造拠点の活用に踏み込んでいく事で更なるシナジーも期待できる)。(株)ピックルスコーポレーションは、野菜をキーワードにした製品ラインナップの拡充や販売先の補完、或いは同社の強みであるチルド配送の活用等でのシナジーをポイントに、積極的、かつ、慎重にM&Aに対応していく考えだ。
通期業績については、売上面で特段の不安はないものの、利益面で若干の不安が残る。原料野菜の調達が、夏から秋にかけての、長雨、台風、関東での日照不足の影響を受ける可能性があるからだ。冬場に向け野菜の生産地が南下してくるが、収穫の下振れや発育遅れで産地の切り替えがうまく進まなければ、わずかな不足でも野菜価格は高騰してしまう。一過性のもので、同社の中期的な成長力に影響を及ぼすものではないが、一応、頭に入れておきたい。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書       更新日:2016年5月31日
基本的な考え方
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えています。

尚、同社は、JASDAQ上場会社として、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施している。