ブリッジレポート
(6461:東証1部) 日本ピストンリング 企業HP
山本 彰 社長
山本 彰 社長

【ブリッジレポート vol.4】2017年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「減収とはなったものの実態は決して悪くなく、非日系自動車メーカーへの売上増など、海外生産体制の確立をベースとして事業内容は着実に拡大し・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年12月13日掲載
企業基本情報
企業名
日本ピストンリング株式会社
社長
山本 彰
所在地
さいたま市中央区本町東5−12−10
事業内容
ピストンリングで日系向けシェア約3割、バルブシートで日系自動車向けシェア約4割。トヨタなど日系自動車メーカー中心であるが欧米自動車メーカーなど非日系自動車メーカーにも拡販中。非自動車エンジン分野への展開にも注力。
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年3月 52,199 2,549 2,442 1,605
2015年3月 51,657 1,946 2,172 2,173
2014年3月 50,430 1,759 1,733 1,352
2013年3月 47,018 2,225 2,184 2,013
株式情報(11/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,684円 8,374,157株 14,102百万円 5.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
65.00円 3.9% 218.98円 7.7倍 3,229.49円 0.5倍
※株価は11月15日終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROEは前期末実績。BPSは第2四半期末実績。
 
日本ピストンリングの2016年度上期決算概要、山本社長へのインタビューなどを紹介いたします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
自動車エンジンの重要な構成部品であるピストンリングやバルブシートなどを製造販売。ピストンリングで日系自動車メーカー向けシェア約3割。日系自動車メーカー全社および非日系の有力自動車メーカー多数に製品を納入している。
金属材料・表面改質・精密加工等における高度な技術力が強み。金属粉末射出成形品事業、歯科インプラント事業など非自動車エンジン部品分野への事業拡大や新製品の開発を進めている。
 
【沿革】
1935年8月に「自動車工業確立ニ関スル件」が閣議決定され、豊田自動織機製作所(現トヨタ)、日産などによる国産自動車の量産化がスタートする直前の1931年に鈴木友訓氏が、埼玉県川口町(現川口市)に日本ピストンリング製作所を創業。1934年には日本ピストンリング株式会社として川口工場を開設した。
第2次大戦時下、航空機用クロムめっきリングの量産も開始。1945年の終戦により工場を一時閉鎖したが、1949年の東京証券取引所における株式取引再開とともに、株式を公開した。
経済復興、高度経済成長、日本製自動車の輸出急増に伴い業績は急拡大する。
1970年代からは海外に進出しドイツ、米国の自動車メーカーへの納入を進めると共に、2000年以降は、タイ、インドネシア、中国、インドに海外生産拠点を設立し、グローバルな生産販売体制を整備した。
2014年度には非自動車エンジン部品事業への拡大を目指し、金属粉末射出成形品事業および歯科インプラント事業を譲り受け、2015年度に自社での操業を開始している。
 
 
【市場環境】
◎世界の自動車生産台数
調査会社IHS Automotiveの調べによると、6トン未満Light Vehicleの世界生産台数は、足元2015年の8,900万台から増加を続け、2020年に1億台を突破し、2022年には1億500万台に達するという。
内訳を見ると、欧米、日本など先進国が微増であるのに対し、中国を中心に、ASEAN、南米、インドなどの新興国は増加が続き、シェアは2015年の49.3%から2022年には57%まで上昇する。年平均成長率は全体が2%台であるのに対し、新興国はこれを上回る4%台の成長が見込まれている。
 
 
一方、パワートレイン(駆動方式)別の生産台数予想では、環境意識の高まりから、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンのシェアは若干低下し、ガソリンエンジンと電気両方で駆動するHV(ハイブリッド)またはPHV(プラグインハイブリッド)のシェアが上昇すると見られている。ただ、2022年の1億500万台に占めるガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、エタノール・CNG(圧縮天然ガス)、PHV&HV、EVのシェアはそれぞれ、59%、17%、6%、16%、2%となっており、世界市場全体で見ればガソリンエンジン、ディーゼルエンジンが主流であることには変わりはなく、ピストンリングやバルブシートの需要は今後も堅調に推移すると見られる。
 
 
ピストンリングを製造している国内上場企業は同社を含めて3社であり、各社他事業への展開も行っている。
ピストンリングのトップシェアは5割近い(6462)リケンだが、企業規模、収益性では(6463)TPRが頭一つ抜けている。
今年度増益予想は(6461)日本ピストンリングのみだが、営業利益率、ROEに加え株価指標も一番低い。認知度の向上とともに、収益性の向上が課題となる。
 
【事業内容】
◎主力製品
社名ともなっているピストンリングを中心に、バルブシートをはじめ、様々な自動車部品を製造・販売している。2015年度の自動車関連製品の売上構成比は86.3%である。
一方で、2014年度に金属粉末射出成形品(メタモールド)事業と歯科インプラント事業を譲り受けた。非自動車エンジン部品分野への事業拡大、新製品の開発も進めている。
(新事業、新製品については、<参考1:第六次中期経営計画> に記述)
 
 
 
ピストン外周の溝(みぞ)に装着され、ばねのような張りを持ち、閉じると真円になるピストンリングは、エンジン燃焼室の苛酷な条件の中で爆発ガスをシールし、潤滑油をコントロールする。また、熱を逃がし、摩耗や焼き付けを抑える役割を持ち、気筒あたり1stリング、2ndリング、オイルリングの3本を基本に構成される。
ピストンに装着されたピストンリングの張力が高すぎると、スムーズなピストン運動を阻害することによる燃費への悪影響、逆に低すぎると爆発ガスが抜けることによるエネルギーロスやオイルあがりによるオイル消費の増加につながる。
このためピストンリングの張力は最適設計が必要となる。

また、シリンダ内の高温下で高速運動をすることによる摩耗や焼き付きを防ぐために、シリンダ内壁にはエンジンオイルの油膜が形成されるが、この油膜も厚ければ良いという事ではなく、オイルリングによって適切な厚さを保つ必要がある。
このようにピストンリングには耐摩耗性、強靭性、耐熱性、熱伝導性、オイルの保持性など多くの機能が要求されており、これによってエンジンの性能と耐久性は飛躍的に向上してきた。
近年では、環境問題に対する意識が急速に高まるなか、NOx、HC等の低減を求めた低排出ガス車の認定制度、CO2削減の為の燃費規制などへの対応が急務で、低燃費ニーズに対応した高性能なピストンリングが求められている。

ピストンリングに求められるこれらの課題について、同社では、低フリクション対応のピストンリング構成、更なる薄幅化、新表面処理や高耐久性安価材料の開発、チューニング技術による最適設計などのテクノロジーを開発・提案している。

このように極めて高い技術力を要求されるピストンリングを安定的に製造・供給し、なおかつ常に技術革新を進めることが出来る企業は同社を含めて限られた数社のみとなっている。
 
 
<バルブシート>
シリンダヘッドのバルブ着座部分に圧入される。高温下でバルブに叩かれても摩耗・劣化しない耐久性と、燃焼ガスを確実にシールさせる高い気密性が求められる重要なパーツであり、焼結合金でつくられている。同社では、材料開発力を活かした豊富な材料バリエーションにより、自動車メーカーからのレベルの高い要求に応えたバルブシートを提供している。日系自動車メーカー向けでは約4割とトップシェアを誇り、非日系自動車メーカー向けにも拡販を図っている。
 
 
<カムシャフト>
各気筒のバルブを開閉する役割を担い、軽量、高耐面圧、設計の自由度が高いなど多くの特長を持つ組立式焼結カムシャフトは、国内では同社のみが対応できる独自技術となっている。富士重工業の全内製エンジンに搭載され、高い耐久性が要求されるトラックメーカーにも納入されている。また、ホンダの新型NSXにも納入を開始している。
 
 
◎顧客
日系自動車メーカー全社にピストンリング、バルブシートを納入している。
これら製品は、エンジン性能向上のために極めて高い技術水準が要求される自動車部品であり、近年では環境問題の高まりから低燃費や代替燃料対応として、Audi/VW、Ford、GM等の非日系自動車メーカーへ拡販が進んでいる。また、直近ではHarley Davidsonへのピストンリングの納入も開始している。
 
 
【生産拠点&販売拠点】
<国内>
4か所の製造拠点と7か所の販売拠点(東京[本社:さいたま市]、名古屋、大阪、広島、福岡、仙台、札幌)を有している。
 
 
<海外>
ピストンリング、バルブシートを中心に、米国、中国、アセアン、インドなどで生産、販売を展開している。また、ドイツ、シンガポール、マレーシアにも販売拠点を有している。
 
 
 
【特徴と強み】
常に高い信頼性を要求される自動車の機能部品メーカーとして80年以上にわたり存在感を示し、国内外多数の有力自動車メーカーに採用されてきた理由は、何にもまして同社の高い技術力である。近年では自動車用内燃機関の「熱効率50%」達成・CO2低減・排出ガスクリーン化に貢献すべく主要製品の開発を進めている。

同社の中心技術は大きく以下の3点に分類される。
 
 
製品開発に当たり、これらの技術と同社が得意とするエンジンに対するシミュレーション技術をかけ合わせる能力も同社の大きな強みである。
加えて、同社の高い技術力が不可欠な自動車メーカーは同社の企業価値を構成する重要な「顧客資産」と言えるだろう。
 
 
2015年度のROEは、2014年度よりも2.5%低下したが、特別利益減少による当期純利益の減少が主な要因となる。
第六次中期経営計画の目標に掲げているように、2017年度営業利益率7%以上の達成を期待したい。
 
 
2016年度上期決算概要
 
 
主力製品が堅調に推移し増収、営業増益。売上、利益共に予想を上回る。
2016年度上期の売上高はグローバルな自動車生産台数が増加基調であるものの、為替円高影響などにより前年同期比2.3%減の257億円にとどまった。海外売上高は同1.4%増の148億円。海外売上高比率は57%で2015年度通期の55%から更に伸長した。非日系自動車メーカー向けにピストンリングではFord等、バルブシートではGM等の拡販が進んだ。これにより、非日系自動車メーカー向けの売上高比率は2015年度の10.3%から 11.5%へ上昇。一方、国内売上高は同6.8%減の109億円。損益面では研究開発費等の先行費用や円高の影響があったものの、原価低減の効果や償却負担の減少により、営業利益は同1.5%増の14億73百万円。円高による為替差損の発生により経常利益は同12.9%減の12億60百万円。法人税等調整額の減少により四半期純利益は同7.4%増の9億61百万円となった。
 
 
 
設備投資は戦略的な案件を含め着実に進めたが、為替円高影響等により有形固定資産が12億65百万円減少し、資産合計は同15億28百万円減少の622億18百万円となった。
短期有利子負債の増加等で流動負債が同21億58百万円増加した一方、長期有利子負債が減少し固定負債は同13億64百万円減少の91億96百万円となった。この結果、負債合計は7億94百万円増加の351億84百万円となった。
なお、長短有利子負債合計は同4億19百万円増加の176億25百万円となった。
利益剰余金の増加で株主資本が4億76百円増加した一方、為替が円高に振れ為替換算調整勘定が12億96百万円のマイナスに転じたことにより、純資産は同23億23百万円減少の270億34百万円となった。
この結果、自己資本比率は前期末の45.2%から2.5%低下の42.7%となった。
利益剰余金は100億円の大台に乗り、過去最高の103億27百万円となった。
 
 
 
前年同期に比べ、売上債権が増加した一方、法人税等の支払額が減少し、営業CFのプラス幅は拡大した。
有形固定資産の取得による支出額が増加したため、投資CFのマイナス幅は拡大。この結果、フリーCFはマイナスに転じた。
短期借入金の増加等により、財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。
 
(4)トピックス
◎新製品事業への取り組み(モーターコア)
今後の電動化に潮流に対する取組みとしてモーターコアの開発を行っている。
モーターコアとは、モーター内部に組み込まれ、動力性能に対し大きな影響を及ぼすものである。
一般的には電磁鋼板を積層したものを使用するが、同社のモーターコアは絶縁樹脂被膜鉄粉を3D形状に成形することにより、磁界ロスを減少させ、高効率化を実現することができる。
ソーラーカーレースでは、同社製モーターコアを使用したモーターを搭載したソーラーカーが2位となった。
また、同モーターを搭載したモニター車両を製作し社外でも試乗を開始している。
 
 
◎インドに自社工場建設
インドに自社バルブシート工場を建設する。カルナタカ州にある借り受け工場の生産能力増強のため、既存拠点の近くに自社工場を建設し、生産を移管する。
現在では建屋が完成し、2017年初より稼働を開始する。

現在の借り受け工場では、通常稼働で月200万本程度の生産能力であるが、日系二輪車メーカーからの受注が想定以上に増えており、増産による能力増強が必要となっていた。
自社工場での稼働時には月300万本前後の製造ラインとしているが、将来的には月700万本規模への設備拡張を目指す。
 
 
2016年度業績予想
 
 
 
業績予想に変更無し。為替により減収も、原価低減効果等で増益
業績予想に変更は無い。下期において、想定為替レートの見直し(1USドル110円から100円へ、1ユーロ120円から110円へ)を行ったものの、売上高は当初通りの510億円を予想する(前年度比2.3%減)。
損益面では主要製品における原価低減活動の強化や海外生産拠点の拡充等を推し進め、営業利益は同2.0%増の26億円を予想。経常利益は同2.4%増の25億円。当期純利益は同12.1%増の18億円を見込む。
配当は前年度比5円増の65円/株の予想。予想配当性向は29.7%。
 
 
山本社長へのインタビュー
 
山本社長に、折り返し地点を迎えた第六次中期経営計画のレビュー、今後の取り組みなどを伺った。
 
Q:「折り返し地点を迎えた第六次中期経営計画についてどう自己評価していますか?」
A:「円高、新興国景気減速などの逆風はあるものの、実態は決して悪くは無い。」
円高の進行、新興国景気の減速などから第六次中期経営計画における2016年度の売上高予想を当初の540億円から510億円へ、売上高営業利益率も5.7%から5.1%へと引き下げたが、実態は決して悪くは無い。
自動車メーカーのグローバルな生産台数は米国、中国を中心に堅調に増加している。以前より海外生産体制の整備を進めてきた成果により、当社の海外生産は安定的に稼働し、主力の日系自動車メーカー向けはもとより、非日系自動車メーカー向けの供給も着実に拡大している。
米国の金融政策動向及びその世界経済に及ぼす影響など不透明感は残るものの、これまで同様海外ビジネスの拡大を進め、2017年度売上高550億円以上、営業利益率7%以上達成を目指す。
 
Q:「第六次中期経営計画の重点施策の現況について伺いたいと思います。まず、重点施策のひとつである『人材育成強化』はいかがでしょうか?」
A:「モノづくり力向上のための人材(財)育成に今後も注力していく。」
自動車メーカーのプラットフォーム統合等により、一機種当たりの受注量の増大が進むとともに、コストダウンの要請も強くなっている。そうしたなかで受注を獲得していくためには「モノづくり力」、特に「モノづくりにおけるイノベーション」のアピールが不可欠だ。
「モノづくり力」を進化させていくために取り組まなければならないのが「人材(財)育成」であり、社長としての最大のミッションのひとつであると認識している。
そこで、将来のキーパーソンとして期待する社員を選抜し半年間で実技を中心に教える「ものづくり学校」を2010年から開校している。現在までに約70名の卒業生を輩出した。彼らは現在、主要工場で作業の動作分析を行い、改善活動を行うとともに、創意工夫を凝らした新たなモノづくりのヒント探しにも取り組んでいる。また、数名は海外製造拠点において工程改善策の原動力として活躍中だ。
今後も「ものづくり学校」による人材育成には注力していく考えだ。
また、語学留学制度の導入、社員の意識向上や将来に向けた活動の活性化などを目的とした「若手監督職100年チーム」や「女性監督職ワーキングチーム」の立上げなど、生産現場のみでなく全社レベルでの人材(財)育成に取り組んでいる。
さらに人材(財)の育成には社員一人ひとりの意識を一層高めることも欠かせない。「品質を考える日」、「安全を考える日」、「災害を考える日」など、特定のテーマを設けた「日」を設定している。
これは、社員がそれぞれのテーマを意識し、過去の経験や現状「当社にとって何が不足しているか?」、「何をなすべきか?」を個々に考えるとともに、社員同士で自由に議論することで、より自律的、主体的に仕事に向き合うきっかけとするものだ。行動指針に掲げている「一人一人の工夫と努力を結集し製・販・技の連携プレー強化によって会社の繁栄と私達の生活向上を築きあげよう。」を実践、浸透させるための取り組みでもある。
 
Q:「『革新的モノづくりの推進』の進捗はいかがでしょうか?」
A:「主力製品それぞれにおいて標準化、リードタイム短縮、少人化を実現する取り組みが着実に進展している。」
現在取り組んでいるのが、製品の開発プロセスを構成する複数の工程を同時並行で進め開発期間の短縮やコストの削減を図る「コンカレント・エンジニアリング」と、高い生産性、高品質製品の安定的な生産を担う「スマート・ファクトリー」だが、どちらも実現に向け着実に歩を進めている。
これらの取り組みが評価され、日系主要メーカーのエンジンに当社のピストンリングが採用された。将来的には海外での拡販活動にも繋がるものである。
バルブシートに関しては来春には革新的モノづくりラインを完成させ、組立式焼結カムシャフトについても、第一ステップとして、組立てから最終検査までを一気通貫で行うラインを構築し、最終的には初工程からの縦流れを目指す。
このように、主力製品それぞれにおいて、標準化、リードタイム短縮、少人化・自働化を実現する取り組みが着実に進展している。
 
Q:「次に、非自動車エンジン部品の事業化についてお聞かせください。」
A:「各事業とも早期の事業化に向けて着実に進展している。」
将来のありたい姿として、非自動車エンジン部品の売上高構成比を30%でイメージしている。
まず、金属粉末射出成形品(メタモールド)事業だが、大変面白くなってきた。従来は鍛造(金属,プラスチックなどの固体材料を高温度でハンマー,プレスなどで外力を加えて目的の形状に塑性加工すること。)で成形していたものを、コストや効率化の観点からメタモールドで成形できないかという引き合いも増えている。
当社の技術標準を規定に落とし込み、強みを活かしながら、何ができるのかを明確にする必要があるが、マーケティングとイノベーションを同時併行的に進め、を行いながらイノベーションも進め、早期の事業化を図りたい。
次に歯科インプラント事業だが、可能な限り多くの歯科医と面談することで、「IAT(※)」ブランドのファン作りを進めている。アンケートなどを通じて顧客ニーズを具体的に把握し、より明確な製品戦略を構築中である。
(※ IAT:Intelligent Artificial Teeth(高度機能人工歯))
また、歯科インプラント事業に参入し医薬品医療機器等法の免許を取得したことで、歯科インプラントに限らず、新たな医療分野への参入も模索する。
なお、現在開発を進めている医療用部材「Ti-Ta合金」は生体適合性が高いことに加え、非磁性であるためMRI(核磁気共鳴画像法)検査においても画像が乱れる事が無い。長期間体内に留置されるペースメーカーリード線、電極、塞栓コイル、ステント等への展開を検討している。
M&Aで獲得した技術に、自動車エンジン部品事業で蓄積した金属材料技術や精密加工技術等の当社独自ノウハウを組み合わせることで、当社ならではの競争力のある製品を創出していきたい。
モーターコア開発では、将来の電動化にも対応する製品開発に着手している。
モーター内部の部品は、動力性能に対して大きく影響する。従来の部品は鋼板を積層にしたものだが、当社固有技術により粉末を用いて3D形状化したことにより、磁界ロスを減少させ高効率化を実現させることができた。現在社外モニターとして野木町(栃木県下都賀郡)で、超小型EV用ダイレクトドライブインホイールモーターを搭載した1人乗り原付ミニカー仕様の試験車による公道を使った実用試験を行っている。
 
Q:「非日系自動車メーカーに対する販売戦略はどのように進めていきますか?」
A:「技術力に対する高い評価をアドバンテージに、他の部品メーカーとの共同提案などを進めていく。」
日系自動車メーカーに鍛えられた当社の技術に対する評価は極めて高い。
こうしたアドバンテージを活かして、Ford、GM向けの納入シェアを増やしていく。また、日産との繋がりから、ルノーや三菱自動車とのビジネスも拡大していきたい。
非日系自動車メーカー向けの場合、ピストンリングやバルブシートはピストンメーカーや他の部品メーカーのTier-1を通じてモジュールとしてエンジンメーカーに供給される仕組みとなっているケースが多い。エンジンメーカーに対しこれらTier-1との共同提案を進めて成功体験を積み重ね、WIN-WINの関係を構築していく考えだ。
 
Q:「最後に株主・投資家へのメッセージをお願いします。」
A:「中期経営計画の目標達成に邁進していく。是非中長期の視点で応援していただきたい。」
円高の進行により中期経営計画から2016年度の売上高予想値を引き下げたが、実態は決して悪くない。むしろ海外生産体制の拡充を含めたモノづくり改革は着実に進行しており、更なる利益体質への「改善」を実感している。
2016年度の売上高営業利益率予想5.1%は通過点であり、第六次中期経営計画の最終年度となる2017年度 売上高550億円以上、営業利益率7%以上の目標に対して邁進していく。
株主還元については、当面投資とのバランスのなかで、配当性向は30%を目途とする。
革新的モノづくりの推進による継続的な原価低減に取り組むとともに、日系自動車メーカーとの更なる信頼関係の構築や非日系自動車メーカーへの開拓を進め、持続的な成長を目指す当社を是非中長期の視点で応援していただきたい。
 
 
今後の注目点
減収とはなったものの実態は決して悪くなく、非日系自動車メーカーへの売上増など、海外生産体制の確立をベースとして事業内容は着実に拡大しており、また通期予想に対する進捗率も売上高で50.4%、営業利益で56.7%と順調な推移となっている。
また中期的な取り組みとなる「革新的モノづくり」、「非自動車エンジン部品事業の拡大」もその歩みは進んでいる。
2017年度売上高550億円以上、営業利益率7%以上は今期予想からの増収率、増益率はそれぞれ7.8%、48.1%と決して容易ではないが、まずはベースとなる今期業績の達成度合いに注目したい。
 
 
 
<参考1:第六次中期経営計画>
 
①第六次中期経営計画概要
2014年12月に創立80周年を迎えた同社は、「100年企業への土台作り」を進め、既存製品の拡販と新市場の開拓を目指し、2017年度を最終年度とする第六次中期経営計画に取り組んでいる。
 
 
 
第六次中期経営計画最終年度(2017年度)の営業利益率7%以上を実現するために積極的な投資を実行し、原価低減や技術開発に更に磨きをかける。
海外売上比率は非日系自動車メーカー向けの売上が伸張し、最終年度には59%を計画している。
 
 
2017年度目標売上高は2014年度実績に対し6.6%伸長する。
製品別ではピストンリングが5.5%、バルブシートが35.2%。まだ規模は小さいものの、金属粉末射出成形品事業を含む新製品が20.0%伸長する。
ピストンリングとバルブシートの非日系自動車メーカー向け売上高比率は2014年度の8.1%から2017年度(最終年度)には11.9%まで上昇する。
 
 
2016年度以降高水準の投資を実施する。
国内において海外を上回る投資額を計画しており、利益率アップのための合理化投資のほか、新製品開発のための投資を進める。
最終年度の生産能力はピストンリングにおいては国内外が均衡、バルブシートに関しては海外生産能力が全体の7割を占める予定である。
 
 
◎既存事業への取り組み
<非日系自動車メーカーへの拡販>
日系自動車メーカーには全社に納入している同社だが、非日系自動車メーカーへの参入余地はまだまだ大きい。
非日系自動車メーカー向けピストンリングはTier-1(ピストン供給者)を通じてモジュールとしてエンジンメーカーに供給される仕組みとなっているケースが多く、各Tier-1とはプロジェクト毎に開発支援や個別提案を行ってゆく。特に、エンジンの評価技術を有していないピストンメーカーに対する開発支援型提案は有効な戦略と考えている。
 
<ガソリン用ピストンリング>
自動車メーカーのエンジンに対する「熱効率向上」、「軽量化」ニーズは更に高まっている。
熱効率向上に関しては摩擦低減や燃焼改善、軽量化に関しては気筒間距離の縮小や材質変更に伴った課題があるが、同社では様々な固有技術の組み合わせで対応しており、日系のみならず非日系自動車メーカーによる採用実績が着実に積み上がっている。
 
<バルブシート>
排出ガス規制が強化される中、低排出ガス、低燃費、高出力のエンジン開発がすすみ、これに対し同社では、バルブシート外径の大径化、薄肉化などで対応し、これらが高く評価され採用実績が拡大している。2014年度販売実績は88億円であったが、2015年度販売実績では100億円の大台に乗り、103億円となった。
 
◎新製品事業への取り組み
既存の保有技術にM&Aや新規開発技術を加えた要素技術をベースに、様々な仮説検証により、自社保有技術を活かした非自動車エンジン分野で新製品事業を展開してゆく。
現時点での取り組みの方向性としては、金属粉末射出成形品事業や歯科インプラント事業のほか、医療用部材、モーター動力部品などを挙げている。
 
<金属粉末射出成形品事業>
非自動車エンジン部品の事業拡大を目指す同社は2014年5月、住友金属鉱山株式会社から金属粉末射出成形品(メタモールド)事業を譲り受け、生産・販売を開始した。
同社も同事業を鉄系材料で自動車エンジン向けに量産をしていたが、今回の譲り受けは、製品のラインナップ充実のみならず、材料技術と生産技術の強化および新たな顧客の獲得に繋がるものである。
 
<歯科インプラント事業>
2014年10月、石福金属興業株式会社より歯科インプラント事業を譲り受けた。
このIAT(※)歯科インプラントシステムは、放電加工による表面性状に優れた高い生体親和性が特長で、2014年10月に医療品医療機器等法(旧薬事法)認可を取得し、同年11月より出荷がスタートした。
今後は主力事業である自動車エンジン部品事業で蓄積した金属材料技術や精密加工技術等のノウハウを活用して、歯科インプラントにとどまらない医療用部材への事業展開を進める。
現在開発を進めている医療用部材「Ti-Ta合金」は生体適合性が高いことに加え、非磁性であるためMRI(核磁気共鳴画像法)検査においても画像が乱れる事が無い。長期間体内に留置されるペースメーカーリード線、電極、塞栓コイル、ステント等への展開を検討している。
また、世界最大の米国市場を開拓すべく展示会への出展なども進めている。
なお、歯科インプラント(高度管理医療機器)における厳しい品質要求を満たすためにISO13485を認証取得した。そのうえで、同社栃木工場内にメディカルデバイスセンター(MDC)を設立し、稼働を開始させている。
 
※ IAT:Intelligent Artificial Teeth(高度機能人工歯)
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社はコーポレートガバナンス・コード適用以降のコーポレートガバナンス報告書を2015年12月24日に提出した。また、その更新版を2016年6月29日に提出している。
 
 
同社は、外国人投資家にビジネスモデルなどをより良く理解してもらう必要があると考えており、今後積極的に英語での開示を進めていく考えだ。
 
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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