ブリッジレポート
(6826:東証1部) 本多通信工業 企業HP
佐谷 紳一郎 社長
佐谷 紳一郎 社長

【ブリッジレポート vol.12】2017年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「同社の収益の柱へと成長した車載分野だが、佐谷社長へのインタビューを通じて、完全自動運転へのロードマップの中で、同社製品の成長余地が・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年12月20日掲載
企業基本情報
企業名
本多通信工業株式会社
社長
佐谷 紳一郎
所在地
東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル
事業内容
コネクタ中心。通信やFAなどの産業機器向けで長年培ったコア技術を自動車や医療機器向けなどに展開。パナソニックと提携、生産の半分は中国
決算期
3月末日
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年3月 17,119 1,301 1,237 1,364
2015年3月 16,639 1,415 1,565 1,440
2014年3月 14,824 932 975 1,479
株式情報(12/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,303円 12,052,406株 15,704百万円 14.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.00円 2.0% 82.96円 15.7倍 791.62円 1.6倍
※株価は12/9終値。発行済株式数、BPSは直近期決算短信より。ROEは前期実績。
 
本多通信工業の2017年3月期第2四半期決算概要などをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
通信インフラ、FA機器、民生機器、車載用途向けの電気コネクタおよび光コネクタの製造販売を行う。「Segments No.1」を掲げ、特定分野での高い競争力を追求している。長い歴史の中で培われた幅広い設計技術力、産業用機器向けで培った長期信頼性と堅牢性に関するノウハウ、多品種少量生産体制などが特長。子会社ではソフトウエア開発なども手掛けている。グループ認知度の向上に向けて、複数存在していたブランドを「HTK」に統一。グループは同社と連結子会社7社(国内2社、海外6社)の計9社で構成されている。(2016年9月末現在)
 
【沿革】
1932年5月に精密ねじ加工業として現在の東京都目黒区で創業。第二次大戦後は、日本電信電話公社(現NTT)の電話交換機用プラグ・ジャック、防衛庁向けプラグ・ジャックを始め、その発展形となるコネクタの製造販売を手掛け、業容を拡大。2001年に東証2部に上場した。だが、ITバブル崩壊で売上が急減。数度のリストラクチャリングを経て、成長路線への復帰と拡大発展をめざし、2008年に松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)と資本業務提携契約を締結。2014年2月、約80年に亘って本社を置いていた目黒から品川区へ本社を移転した。
2016年3月、東証1部に上場した。
 
【経営理念など】
特定分野で特徴あるソリューションを提供することで顧客に「この分野なら本多通信グループに限る」と高く評価される事をめざし、「Segments No.1」を掲げている。
また、新中期経営計画「GC20」策定に際し、グループの企業理念として「Value by Connecting」を新たに掲げた。
豊かな未来のために「人」、「もの」、「情報」をつなぎ、価値を創造し続ける事を目指すというビジョンを示したもの。
 
【佐谷 紳一郎社長プロフィール】
佐谷紳一郎社長は1957年11月生まれの現在59才。松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)では事業戦略企画部門に在籍し、M&Aや他社とのアライアンス締結等に長年に亘り携わってきた。そうした中、コネクタ事業のアライアンス先として幅広い技術力・製品ラインアップを有する企業を調査している中、本多通信工業の実力に着目し、アライアンスを推進、2008年資本業務提携を実現させた。同年、取締役就任。2009年にはパナソニック電工を退社し、同社副社長に就任。2010年4月に同社社長に就任した。社長就任後は中期経営計画「Plan 80」を策定・実行。基本戦略として「Segments No.1」を設定し、複数のニッチ分野でNo.1となることを目指すと共に、様々な構造改革を断行し、黒字体質の確立、財務基盤の安定化を実現した。中期経営計画「DD15」で事業拡大と体質強化を進めた現在は、良い会社(Good Company)かつ過去最高業績更新をターゲットとする新中期経営計画「GC20」を推進中で、ワンランク上の企業作りに取り組んでいる。
 
【事業内容】
事業セグメントはコネクタ事業と情報システム事業の2つ。
 
◎コネクタ事業
「2016年3月期 売上高 14,668百万円、営業利益 1,169百万円、営業利益率 8.0%、売上構成比 86%」
 
<コネクタとは?>
電子回路や光通信において配線基板同士を接続し、電気や信号を繋ぐために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。
 
<利用分野>
長年の経験で培われた高い技術力により、以下の6分野を中心に付加価値の高く、顧客志向のコネクタを始めとした製品をラインアップしている。
 
 
 
2016年3月期の分野別売上構成比率(全売上高に対する構成比)は、車載分野34%、FA分野19%、通信分野18%、民生分野12%となっている。
最も構成比の高いで車載分野において、安全性や運転性能向上の観点から車載カメラやセンサの搭載台数が増加しているカーエレクトロニクスの成長に対応して投資や製品開発を進めている。
 
◎情報システム事業
「2016年3月期 売上高 2,450百万円、営業利益 131百万円、営業利益率 5.3%、売上構成比 14%」
 
通信分野でのソフトウエアの重要性が高まる中、1983年に事業をスタート。
システム開発から保守運用まで幅広いソリューションを展開している。なかでも仮想化(*)サーバの構築では業界屈指の技術を有し、クラウドコンピューティングの広がりに貢献している。
世界的ベンダーとの連携により、上流工程からの受注に力を入れている。
 
*仮想化とは?:1台のサーバ(物理サーバ)を複数台の仮想的なサーバ(仮想化サーバ)に分割して利用する仕組み。それぞれの仮想化サーバではOSやアプリケーションを実行させることができ、あたかも独立したコンピュータのように使用することが可能となる。
サーバ台数の適正化や消費電力を含めた運用管理コストの低減など、企業のITコスト見直しニーズに対応し、注目が集まっている。
また、仮想化環境下ではハードウェア等を新たに購入しなくても新サーバを容易に追加することができるため、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応するというITシステムニーズに対する有効なソリューションの一つとなっている。
 
【特徴と強み】
① 幅広い設計技術力
前述のように、同社のコネクタは、様々な分野で用いられている。
同社は、日本電信電話公社(現NTT)を始めとした多くの顧客からの様々なニーズに対応したカスタマイズによる製品作りに長年取り組んできた。この「顧客密着度の高さ」が、同社の幅広い設計技術力の源泉である。
 
② 長期信頼性と堅牢性
制御装置に用いられる「1.27mmピッチコネクタ」、FTTH(Fiber To The Home:光通信のための光ファイバーを家屋内に引き込むこと)に用いられる「シャッター付きSC形プラグ」、プロジェクタに用いられる「高耐圧電源用コネクタ」などで強みを持っている。
これらは、顧客から長期信頼性や堅牢性が求められる分野であり、長年に亘って培ってきた同社の技術力や製造能力が顧客に高く評価されている証となっている。こうした強みを活かし、安全性という面でハードルの高い車載分野での売上を大きく伸ばしている。
 
③ 多品種少量生産
同社は現在約4,000品目のコネクタを生産しているが、このうちの月間生産個数が1万個未満の品目数は92%を占め、多品種少量生産が同社の特長となっている。
こうした状況に対応し、国内工場、海外工場の2つの車輪で最適なものづくりを行っている。
国内工場(安曇野工場:旧松本工場)は1万個未満の多品種少量生産の拠点。今後も同社の得意技を磨き、迅速な納入を行うため国内で稼動を続ける。
海外工場(深圳工場)は1万個以上の中量品の一気通貫生産を行い、機動力を高め世界で戦うための拠点とする。

一方、多品種少量生産ながらも短納期を実現させ、顧客から発注を受けたら1週間以内での製品配送を確約する「1weekデリバリーサービス」に2013年から積極的に取組んでいる。
現在の取扱品目数はシステム化を進めた安曇野物流ハブの完成によりそれまでの倍にあたる約1,000品目に拡大している。
 
 
2016年3月期のROEは前期を下回ったが14.8%と引き続き高水準にある。
2020年に向けた目標とする経営指標に「ROE13%以上」を掲げている。
新製品の開発によるマージンの向上に加え、在庫水準のコントロールによる総資産回転率の向上にも取組んでいく考えだ。
 
 
2017年3月期第2四半期決算概要
 
 
商流変更と円高により減収減益
売上高は前年同期比7.2%減の81億3百万円。営業利益は同23.8%減の5億63百万円。
期初より想定していた車載分野の商流変更(タイに販社を設立したため代理店が保有していた在庫が同社の在庫に計上)に加え、円高も影響し減収減益となった。経常利益は為替差損が拡大し同35.9%減の4億68百万円となった。

ただ、四半期(3か月)の推移でみると第2四半期の売上高及び営業利益は第1四半期比でそれぞれ8.7%増、40.6%増となり営業利益率も4期ぶりに7%を回復した。
また、半期ベースでも為替の影響を除けば今上期(4−9月)は対前下期比増収で、固定費減、合理化などで体質強化が進み実質的には2割の増益となり、業績は巡航速度に回復してきたと会社側は考えている。
 
 
 
*FA
中国におけるスマートフォン設備投資がピークアウトしたことに加え工作機械の受注減でマイナスとなった。

*通信
国内FTTH向け在庫調整が終了し反転に向かっている。

*民生
リオ五輪向け大型モニタの納入が第1四半期で完了し、またCMOSセンサー調達難でデジタルスチルカメラが減産となり低調に終始した。

*車載
商流変更(マイナス2.5億円の影響)が完了した。車載カメラが対前年同期比2割の数量増と拡大が続いている。

*情報システム
堅調な市場に加え大口案件が寄与し半期で過去最高売上となった
 
 
現預金、売上債権の減少、たな卸資産の増加で流動資産は前期末ほぼ変わらず。有形固定資産の減少で固定資産は同1億37百万円減少し、資産合計は同2億36百万円減少の130億72百万円となった。
仕入債の増加、長期借入金の減少等で負債合計は同ほぼ変わらず。
円高により為替換算調整勘定がマイナスに転じたことなどから純資産は同1億53百万円減少し、95億42百万円となった。
自己資本比率は前期末比0.2%上昇し、73.0%となった。
 
 
たな卸資産の増加等で営業CFのプラス幅は若干縮小。定期預金の預入による支出の増加で投資CFのマイナス幅は拡大。フリーCFのプラス幅は縮小した。
配当金の支払額増加により、財務CFのマイナス幅は拡大した。
キャッシュポジションは上昇した。
 
 
2017年3月期業績予想
 
 
為替見通し変更に伴い業績を下方修正。
為替の見通しを110円/USDから100円/USDに変更したことを受け、通期の業績予想を下方修正した。
売上高は前期比変わらずの170億円。営業利益は同11.7%減の11億50百万円。
1円/USDの円高で売上0.5億円の減収、営業利益15百万円の減益となる。
一株当たり予想配当金は26円で変更はない。前期は東証1部上場の記念配5円を含む30円だったため、実質的には1円の増配となる。予想配当性向は31.3%。
 
(4)下期の分野別売り上げ動向
全体では海外における大口案件が低調な一方、国内では新規顧客及び新規用途が立ち上がる。
分野別の対上期見通しは以下の通り。
 
 
車載分野は、国内のモデルチェンジ車が好調で、中国カーナビ向けも伸長する。
通信分野は、FTTH(光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス)関連の生産調整・在庫調整が完了し巡航速度に戻る。
FA分野は工作機械が低調な一方、ロボティクスやIoT関連は拡大を見込んでいる。
民生分野は第2四半期でマイナス要素が出尽くし、中国の監視カメラ向けが伸びる。
情報通信分野は、マーケットは依然好調なものの大口案件が終了するため中小口の積み上げで対応するが伸びは緩やかとなる。
 
 
佐谷社長に聞く 〜車載コネクタの中長期戦略〜
 
同社の収益を牽引する車載コネクタについて、今後の目標、取り組みなど中長期戦略を佐谷社長に伺った。
 
「車載分野の急成長を可能にしたのは通信、FAで培ったノウハウ。」
私が社長に就任した2010年度当時の分野別ポートフォリオは、通信、FAが合わせて7割弱。車載分野は1%にも満たない末端分野だった。
しかし、前2016年3月期において車載分野は売上高構成比34%でトップとなり、通信市場が成熟・飽和する中、当社を支える収益の柱に育て上げることができた。
車載用カメラコネクタの生産数量は毎期急拡大しており、今期中に1,000万個を突破する見込みだ。
この急成長を可能にしたのは、長年にわたって通信やFA分野で培ってきた長期信頼性や堅牢性といったノウハウであり、当社のモノづくりにおける実力が、要求水準の極めて高い自動車産業に認められたことは大変誇らしい。
 
「自動運転に向けた動きはコネクタ業界にとっては大きな追い風」
現在、自動車メーカー各社は、環境対応と共に「自動運転技術の高度化」に全力を挙げて取組んでおり、完全自動運転をゴールとする運転支援システムは日々進化を続けている。
例えば、車載カメラに求められる機能は、これまでは対象物や外部の様子を「見る(View)」ことで充分であったが、これからは、対象物までの正確な距離を「測る(Sensing)」ことが欠かせない。また、搭載されるカメラの数自体も増えていく。
このように、自動車を安全に「走らせる、曲げる、止める」ためには、搭載されたカメラ、レーダー、センサが外部の状況を取り込み、その情報を運転者に伝達する事が必要だが、このため車内通信の伝送量は飛躍的に増加している。
その増加に対応し、機器と機器、機器とケーブルをつなぐコネクタは使用される個数が増加するとともに、機能の高度化(デジタル化)も求められている。
このように、自動運転技術の進化は当社を含めたコネクタ業界にとっては大きな追い風だ。
 
 
 
「車載分野でもSegments No.1を目指す。」
当社は事業コンセプトとして「Segments No.1」を掲げているが、車載分野でもSegments No.1を目指す。
車載カメラ用コネクタに加えて新部位としてワイヤハーネス用コネクタへの展開を進める。また、顧客の広がりを図ると共に、次世代製品の開発も進める。
そのために必要な戦略を、「技術」、「営業」、「製造」の各分野に分けてご説明する。
 
①技術:デジタル化をアナログで支える
車載カメラの機能の高度化および情報伝送の高速化・高容量化には各部品のデジタル化が不可欠だ。一方で、車載用コネクタには小型化・軽量化とともに、防水性、ノイズ対策、耐振動性、放熱性といった自動車ならではの課題を解決することが求められている。
話をやや単純化するが、例えば、防水性を高めるには水が入らないよう完全に遮蔽してしまえばいいが、そうすると半導体の機能を維持する上での大きな障害となる熱の問題(放熱)を解決する事ができなくなる。
また、電子部品が発するノイズが他の部品や機能に障害を及ぼさないように最適なシールドを施す必要もある。
こうした高度なデジタル化によって生じる様々な難題を解決するのが実は、最適な素材開発や機構設計といったアナログ技術だ。
当社は、通信分野で培ってきた高度な設計力という強みを活かすことに加え、樹脂メーカーとの素材の共同開発等にも取組みながら課題の解決を進めている。
自動車および車載カメラの進化に伴い、車載カメラ用コネクタでは、2020年ごろの完全自動運転車の登場に合わせたデジタル製品の開発を進めており、加えてケーブルとケーブルをつなぐワイヤハーネス用コネクタに関しても同じく完全自動運転に向けた製品を開発中だ。
加えて、車内LAN用として、車載Ethernet(※)用コネクタを開発中である。また、以前より取組んでいるPOF(プラスチック・オプティカル・ファイバー)コネクタに関しても、コスト面の課題を解決し2025年ごろを目途として市場に投入したいと考えている。
 
※Ethernet:コンピュータネットワークの規格のひとつで、世界中のオフィスや家庭で一般的に使用されているLAN(ローカルエリア・ネットワーク)で最も使用されている技術規格。LANで接続された多数のコンピュータが、効率よく通信回線を利用できるように考えられた通信方法で、大量の機器が導入している圧倒的なコスト・パフォーマンスの良さや、相互接続性、拡張性の高さなどから車内LANでも主流になると言われている。
 
②営業戦略:強みを活かして顧客層を拡大
ここ数年、重要顧客の深耕を進めながら、国内外での新規顧客開拓に取組んできたが、積み上げてきた実績をご評価いただき、認知度も向上し、顧客層も広がり始めてきた。
これからは、完全運転に向けた自動車の進化に合わせて、車載カメラ用コネクタメーカーから、POFを中心とした車内ネットワーク・サプライヤとして取扱製品及び顧客層を拡大させていきたい。
 
③ものづくり戦略:投資効率を重視しつつ、量・質・供給力を強化、最適化する。
コネクタ生産個数に関しては、現在の年間1,000万個を、2020年2,000万個、2025年5,000万個を生産する事が必要となるが、そのためには以下のようなアクションを取っていく。
まず、供給面では適地での生産体制構築を進める。コストやリスク管理の面から現在の中国以外にベトナムやフィリピンでの生産拠点設置を検討している。
また、生産性を一層向上させ価格対応力を引上げ、競争力を強化する。国内外とも自動化や省人化に取り組み、2018年には生産性を現在の倍に引き上げる。全ての機能を自社で賄うつもりは無い。適切なパートナーとWIN-WINの関係を築き、リスクを分担しつつ効率的な生産体制を目指したい。
加えて、自動車部品を手掛けるには品質力が極めて重要だ。自動運転に係わる部品として重要保安部品(※)に指定される可能性も考慮し、国際的な自動車産業の品質マネジメントシステム規格である「IATF16949」の認証を2017年中に取得する予定だ。
研究開発には十分なキャッシュを投入するが、生産・製造においてはパートナーを十分活用するなど、投資効率を重視していく。
 
※重要保安部品:自動車の基本性能である、走る、曲がる、止まるに支障をきたす装置および火災など、重大な事故に至る装置を構成する部品
 
「車載事業の成長と共に収益性の向上を目指す。車載に次ぐ分野への展開も見据えていく。」
以上の様な技術・営業・製造における各戦略を遂行し、「GC20」で掲げた2020年度車載売上高100億円、全社売上高250億円に続き、2025年度はそれぞれ200億円、500億円の達成を目指す。
2025年度の車載分野売上構成比は敢えて40%にとどめた。成長著しい車載分野の構成比はもっと上昇するかも知れないが、依存度をある程度にとどめ、IoT、インダストリー4.0など、その先の成長分野への展開も見据えていくことが必要と考えている。
 
 
 
今後の注目点
同社の収益の柱へと成長した車載分野だが、佐谷社長へのインタビューを通じて、完全自動運転へのロードマップの中で、同社製品の成長余地がまだまだ極めて大きいことが確認できた。2020年2,000万個、2025年5,000万個に向けた生産体制構築の進捗を見守りたい。
一方で、やや長期の視座となるがUbrizationがタクシー業界だけでなく自動車業界そのものを大きく変える可能性を見据えて、車載に次ぐ分野の開拓にも取組んでいく姿勢も注目される。

*今年完全リニューアルを行った同社WEBSITEは、閲覧しやすさ、豊富なコンテンツで大変好評だが、11月より新たに社長Blog 佐谷紳一郎の「日々新た」』の掲載が始まった。
https://htk.amebaownd.com/pages/710481/posts
 
 
投資家をはじめとした関係者に、佐谷社長自身の気付きや考えなどを月1回程度で発信するものということであり、同社に関心をお持ちの方は是非ご覧いただきたい。
題名は佐谷社長の座右の銘だそうだ。
 
 
 
<参考1:中期経営計画「GC20」(前回レポートより)>
 
全てのステークホルダーから信頼と期待をされる「よい会社」であるとともに、過去最高の売上、利益を更新し持続的成長企業へのスケールアップを目指すのが2021年3月期を最終年度とする新中期経営計画「GC20」。
 
(1)基本コンセプト
GC20の基本コンセプトは、『事業戦略として「Segments No.1戦略の深耕」、プラットフォーム戦略として「コンパクト経営の追求」により価値を創造し続けるGood Companyを目指す。』というもの。
また、Good Companyを持続的なものにするのが、グループ企業理念とコーポレートガバナンス基本方針である。
 
(2)グループ企業理念
今回のGC20策定に際し、同社ではグループの企業理念として「Value by Connecting」を新たに掲げた。
豊かな未来のために「人」、「もの」、「情報」をつなぎ、価値を創造し続ける事を目指すというビジョンを示したもの。
 
 
(3)コーポレートガバナンス基本方針
金融庁と東京証券取引所により策定された「コーポレートガバナンス・コード」が2015年6月1日から適用されるのに先立ち、2015年5月22日、「コーポレートガバナンス基本方針」を公表した。
株主を始めとした全てのステークホルダーとの信頼関係構築のためのコーポレートガバナンスの重要性を深く認識したうえで、最良のコーポレートガバナンスを実現することが自社の責務であると宣言している。
 
(4)事業戦略
特定分野で特徴あるソリューションを提供することで顧客に「この分野なら本多通信グループに限る」と高く評価される事を目指すのが「Segments No.1戦略」。
これまでも同社では、様々なNo.1商品を生み出してきたが、現在の形ではそれぞれの商品の持続性・継続性は不十分と考えている。

そこで、それぞれのNo.1商品を核に水平展開と次世代化で「Segments No.1 領域」を創り出し、特長のある価値を提供する事で持続的成長を目指していく。




その展開モデルは、現在のSegments No.1商品/サービスを核に、次世代商品やサービスを創出し、顧客の具体的な欲求である「ウォンツ」を解決するというもの。
同社の強みである、スピード、カスタム対応、少量短納期、周辺技術を差異化要因とし、新たな顧客、新たな市場への展開を図る。
 
分野別のSegments No.1 戦略は以下の通りである。
 
①業務用コネクタ Segments No.1 戦略:サービスとの融合戦略で顧客価値を倍化
長年培ってきた堅牢性や長期信頼性というハードの強みに、少量短納期、カスタマイズに加え、コネクタに付随する適切なハーネスもあらかじめ接続するワンストップ受注といった「サービス」を融合させ、顧客満足度を引上げる。
世界的にIoT、4Kや8Kの高画質化ニーズが高まる中、通信分野(海外における光通信化)、FA分野(グローバルな生産性向上ニーズ)、業務分野(セキュリティニーズ)において、堅牢性や長期信頼性といったノウハウの展開や高速POFによる市場創出により、通信分野やFA分野で規模と収益性を堅持する。
 
 
②車載用コネクタ Segments No.1 戦略:ADASコネクタへ進化させ、将来価値を倍化
自動車の安全系機能の進化スピードは目を見張るものがある。
自動車の目となる車載カメラも、パーキングアシストなど「撮る」機能から、ADAS(Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム)というコンセプトの下、車線検知、歩行者認識、衝突防止といった「測る」機能がより重要になると同時に、各自動車メーカーに限らずGoogleなど大手IT企業も含め、自動運転システムの開発が加速している。

ADASを構成するものは、車載カメラに加え、センサ、ミリ波レーダー(ミリ波帯の電波を用いて100m程度の範囲の状況を探知可能なレーダーシステム)、レーザー、ECU(エンジンコントロールユニット:エンジンの運転制御を電気的な補助装置を用いて行う際に、それらを総合的に制御するマイクロコントローラ)、電子ミラー、カーナビ、HUD(Head Up Display:フロントガラスに運転者向けの基本的な情報の画像を提供する)など、多岐にわたり、その全てがデジタル高速伝送により情報のやり取りが行われ、コネクタの活躍するシーンはますます拡大する。

こうした流れの中、車載カメラ数量は2014年度から2020年度で約3.5倍の14,000万個に、ADAS市場も同期間に2.5倍の7,700億円に急成長すると見られており、同社では高速伝送、小型化などコネクタメーカーならではのノウハウを注入したADAS用コネクタを開発し、急成長市場に投入する。

販売は、北米のTier1(自動車部品メーカーのうち、自動車メーカーに直接納入する一次サプライヤー)メーカーへの参入を狙う。また、製造においては中国、東アジアに次ぐ拠点づくりの検討を開始している。
 
 
③情報システム Segments No.1 戦略:インテグレーションで事業価値を倍化
サーバ効率化のための仮想化において業界屈指の技術を有しており、現在はクラウドコンピューティングの広がりの中、世界的ベンダーとの連携により、上流工程からの受注に力を入れ高付加価値の一括案件の獲得を進めている。今後は、データの収集から分析までを一括して請け負うビッグデータ基盤ソリューションを提供し、特徴あるSegments No.1の獲得を目指す。
成長市場において、企画から運用までフルサポートする総合提案で収益性の向上にも取り組む。
 
 
(4)プラットフォーム戦略:コンパクト経営の追求
以上の様な事業戦略の下で営業利益率の向上を目指す同社だが、繰越欠損が無くなること等から今後の実効法人税率の上昇は避けられず、市場の期待に応える水準のROE、ROAを実現するためには「資産の軽量化/高回転化」、具体的には総資産回転率の引き上げが重要な課題となる。
前期の同回転率は1.39回だったが、以下のような取り組みによって1.4〜1.5の達成を目指す。
 
ROICを意識した事業投資。設備は小型、省スペースおよび転用が可能なものとする。またEMSの活用など、社外リソースとの共創を進める。
ロスや無駄をなくしての生産性向上。製造や業務品質の向上。遊休資産や過剰在庫の極小化に取り組む。
CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮
機動的な資本政策
 
(5)目標とする経営指標
2016年3月期から2018年3月期までの「貯めのSeason1」と、2019年3月期から2021年3月期までの「収穫のSeason2」の2つの期間から構成される「GC20」において、以下のような経営指標の達成を目指している。
 
 
(6)よい会社に向けて
全てのステークホルダーからの信頼と期待の下、組織力と人材力の強化に最注力し、持続的成長を遂げる「よい会社」を目指す。
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年7月28日に提出している。
 
 
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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