ブリッジレポート
(3031:東証1部) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

【ブリッジレポート vol.38】2017年4月期第2四半期業績レポート
取材概要「第2四半期の進捗率は売上で45.8%、営業利益で47.4%となっている。スーパーデリバリーの伸びが低いため、過去数年と比べると売上はややスロー・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年1月10日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目 14 番 14 号
事業内容
「企業活動を効率化し便利にする」を企業理念に、インターネット上でB to B(企業間電子商取引)市場「スーパーデリバリー」を運営。「売掛債権保証事業」も手掛ける。
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年4月 2,229 393 367 239
2015年4月 2,056 336 327 201
2014年4月 1,932 247 248 123
2013年4月 1,806 181 176 133
2012年4月 1,613 140 133 109
2011年4月 1,381 125 116 160
株式情報(12/16現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
456円 17,547,162株 8,001百万円 14.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 14.25円 32.0倍 102.60円 4.4倍
※株価は12/16終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROEは前期末実績。BPSは直近期末実績。
 
株式会社ラクーンの2017年4月期第2四半期決算概要などについて、ご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小企業間の取引を便利でスムーズに行うためのサービスを提供する企業として、インターネット上でB to B(企業間電子商取引)市場である「スーパーデリバリー」というWebサイトを運営している。
「スーパーデリバリー」は、アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等の出展企業の取扱う商品を、全国の中小規模小売店に販売している。
2010年11月に売掛債権保証事業を行っている(株)トラスト&グロースを子会社化。これによって中小企業間決済事業を新たな事業ドメインと位置づけし、本格的に取組を開始し、更に2011年10月から、企業間取引を安心かつスムーズにする後払い決済サービス「Paid(ペイド)」の提供を開始している。2014年3月からは、第4番目のサービスとして、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」の提供を開始した。
また、「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」を2015年8月よりスタートした。
 
【経営理念】
経営理念を「企業活動を効率化し便利にする」に刷新した。企業間取引に関し、これまで培ってきた情報と決済に関するノウハウを活かし、企業活動を効率化し便利にする仕組みを今後も提案していくというビジョンを表している。

小方社長は創業後、企業としての方向性をしっかり定め、経営者としてやっていく決意を固めるまでは安易に人を増やすべきではないという考えから従業員を一人も雇用せず、自分一人で同社を運営してきたが、方向性と決意が定まった2000年に初めて正社員30名を採用した。
当時の日本のEC業界は、米国に先例がある訳でもなく、自らがゼロから作り上げていかなければならない黎明期であったが、この最初のメンバーが中心となって、日本のB to B ECを作り上げてきた。
同社においては、EC専門家の彼らが最大の経営資源であると小方社長は考えている。
今後、新しいビジネスモデルを創造していくにあたり、企業領域を明確にしていく必要性があると考え、経営理念を刷新することとした。
重要なポイントは以下の2点。
 
①事業領域の明確化の必要性
既存事業とのシナジーは特に意識しないが、同社のコア・コンピタンスであるノウハウを活用しながら、「中小企業向けB to Bインフラ」であること、「ECと決済の専門知識」を活かすものであること、に事業領域を絞りこむ。
 
②企業間取引のインフラサービス企業としての総合サービス化への転換
存在して当たり前のインフラとなるべく、今回の新サービス「COREC」に続き、第5、第6、第7と制限を設けず、新サービスを提供し続け、これまで以上に、よりインフラサービス業へと進化していく。
 
【事業内容】
「EC事業」、「Paid事業」、「保証事業」の3セグメントで構成されている。
 
(1)「EC事業」
「スーパーデリバリー」はファッション・雑貨業界のメーカーと小売店が出会い、継続して取引を行うことができるB to B(企業間取引)サイトである。サイトを利用することで、これまで取引のできなかったメーカーと小売店に新たな取引機会が生まれ、さらに新商品の紹介や受発注のやりとりも効率化される。また、代金はスーパーデリバリーが小売店から回収し、メーカーへまとめて支払うことから、未回収リスクのない取引の実現が可能となる。

スーパーデリバリーに参加するためには、同社の審査をパスする必要がある。
この点、同業他社の中には「数=取引量の拡大」を最優先とし、ネット小売店を中心に緩い審査基準で加盟店を数多く集める事に注力しているところもあるが、同社の場合は、「質」と「数」のバランスを重視するため小売店に関しては、ネット小売店ではなく、実際に店舗を運営している小売店であるか?などを中心に審査を行っている。
また、サプライヤーに関しても、質の高さを重視している。スーパーデリバリーの立ち上げ当初は質の高い、ブランドを確立したサプライヤーは、他のそうでないサプライヤーと共に並べられるのを嫌がり、参加を拒むケースもあったが、現在では他のサプライヤーの質も高い事が理解され、そうしたことは無くなっている。小売店にとっても、質の高いサプライヤーと取引出来る点が大きなメリットとなっている。
B to C取引と異なり、B to B取引は、取引量を拡大させるためには、リピート取引を如何にして拡大させるかがカギとなるため、マーケットのクオリティ向上が最も重要であると同社は考えており、この点が同業他社との大きな違いの一つとなっている。

また、同社はEC企業ではあるが、他社が、ECのマーケットプレイスを開設・運営するシステム会社という側面が極めて強いのに対し、同社はただ単にそれにとどまらず、アパレル・雑貨を中心とした商品知識、業界知識がきわめて豊富な点も、他社との違いとなっている。
「スーパーデリバリー」の収益は、出展企業から得る出展基本料(月額4万円)、会員小売店から得る小売店月会費(月額2千円)、出展企業からのシステム利用料(会員小売店に卸した商品代金の10%)の3つから成っている。

商品は出展企業が会員小売店に直接配送するが、代金に関しては同社が出展企業の代わりに会員小売店から代金を回収し、出展企業に支払うため、売上高として商品代金を計上し、システム利用料を控除した額を売上原価として計上する総額計上を行っていたが、2015年4月期第1四半期より、売上表示を従来の総額表示から純額表示に変更した。純額表示における売上高は、出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。
サービスの種類も増加しておりインフラサービス提供企業としてのポジショニングを明確にすることが目的。またマーケットプレイス事業を手掛ける同業他社との比較も容易になり投資家のメリットも大きいと判断した。

2016年10月末での各種経営指標は、会員小売店数 61,098店舗(前期末比8,726店舗増)、出展企業数1,174社(同36社増)、商材掲載数598,846点(同39,574点増)となっている。

2014年3月には、受注・発注を一元管理できるクラウド受発注ツールサービス「COREC(コレック)」を同事業内でスタートさせた。2016年10月末のユーザー数は8,215社となっている。
また、2015年8月には「スーパーデリバリー」の越境EC版となる輸出販売サービス「SD export」をスタートさせた。
 
(2)Paid事業
「Paid」は企業間取引の非効率な管理プロセスや内在する信用リスクを解消する決済サービス。
Paidを利用することで、バイヤーはすべての加盟企業と締め支払いで取引が可能となり、効率的にかつ運転資金にゆとりを持った取引が実現できる。サプライヤーは登録するバイヤーと代金未回収のリスクや請求督促の手間なく決済ができ、効率的かつ安全で顧客に喜ばれる取引が可能となる。
加盟企業数は2016年11月末には2,000社を超えた。今第2四半期(累計)の取扱高は、前年同期比22.5%増加の7,636百万円(うち、グループ内取引高 3,325百万円)となった。
 
(3)「保証事業」
11年4月期第3四半期から子会社化した(株)トラスト&グロースにおいて行っている事業である。「T&G売掛保証サービス」は、取引先が倒産した場合に、あらかじめ保証を掛けておけば、保証の枠の中で同社が損害分を代わって支払いするサービス。審査に際して、取引先に対する直接的なヒアリングや取引先からの申し込みなどは一切必要がない。独自の与信判断により90%以上の高い承認率を実現し、審査依頼から2営業日程度で回答も得られる。更に、顧客の商習慣に合わせた保証内容のカスタマイズが可能と利便性も高い。
加えて、2016年8月からは、中小企業向けネット完結型の売掛保証サービス「URIHO」をスタートした。
売掛債権保証以外に事業用家賃保証も手掛けており、事業も順調に拡大していることからこの第2四半期より「売掛債権保証事業」から「保証事業」にセグメントの名称を変更した。
2016年10月末の保証残高は9,615百万円(前期末比11.4%増)となっている。
 
 
「目標とする経営指標」にROEを掲げてはいないものの、ROEを意識した経営を行っている。
Paidの収益化、「COREC」の立ち上がり、またその後の新サービスなど、ITを駆使したサービス拡大の過程でROEはさらに上昇する余地が大きいと会社側は考えている。
 
 
2017年4月期第2四半期決算概要
 
 
3事業とも増収。販管費増を吸収し増益。
売上高は前年同期比6.3%増加の11億45百万円。3事業共に増収だった。
営業利益は同8.9%増の1億99百万円。SD export、Paid、URIHO(中小企業向けネット完結型の売掛保証サービス)への広告投資、システム開発が少なかったことにより人件費からソフトウエア仮勘定への振替が減少したことによる人件費の増加、事業税の税率引き上げ、これまで年度末に一括計上していた控除対象外消費税を各四半期に按分計上する方法に変更したことによる租税公課の増加等により、販管費が増加したが増収で吸収した。
EC事業のソフトウエア減損損失32百万円を特別損失の計上したため当期純利益は同11.0%の減少となった。
 
 
◎EC事業
売上高は前年同期比1.6%増の7億85百万円。営業利益は同10.5%減の1億1百万円。
引き続き質の高い会員小売店及び出展企業を獲得した上で、客単価や稼働率の向上を図り、両者の継続した取引拡大による流通額増加に取り組んでいる。
また、2016年7月よりこれまで対象外としていた飲食業や理美容業、宿泊業、教育関連など小売業以外の事業者も利用できるように制度変更した。ターゲットの拡大により、購入客数と流通額の拡大を図っている。
越境ECサービス「SD export」は、従来、アジア圏が中心だった会員小売店の新規登録が変化し、北米・オセアニア・ヨーロッパ地域の登録も増加しており、流通額も同様に北米・オセアニア・ヨーロッパ地域が増加している。

流通額は国内流通額が暖冬の影響を受け前年同期比0.2%の減となったが、海外流通額(SD exportと日本語版サイトでの海外向け流通額の合算)が同61.2%増となった結果、「スーパーデリバリー」全体の流通額は前年同期比2.4%増の47億37百万円となった。

「COREC(コレック)」のユーザー数(サプライヤーとバイヤーの合計)は8,215社となり、受発注件数も順調に増加している。引き続き知名度の向上及びユーザーの獲得に注力している。

システム開発が少なかったことにより人件費からソフトウエア仮勘定への振替が減少したことによる人件費の増加、「スーパーデリバリー」におけるSD exportの集客を加速するための広告費増加、事業税の税率引き上げ、控除対象外消費税の処理変更による租税公課の増加等により、販管費が増加したため、セグメント利益は減益となった。
 
◎Paid事業
売上高は前年同期比20.3%増の1億97百万円。営業利益は同441.5%増の7百万円。
引き続き、加盟企業の獲得増加と獲得した加盟企業の稼働率の向上に取り組んでいる。
今期は今後の成長をより加速するための投資期間と位置づけており、Paidの認知度・知名度の向上および加盟企業数増加のため積極的な広告投資や人員の増加を図っている。
また、サービスの利便性、信頼性の向上を図り、獲得した企業の稼働率の向上のためのシステム投資を行っている。
2016年11月末の加盟企業数は2,000社を超え、取扱高は同20.3%増の76億36百万円となった。外部取扱高、外部売上高はそれぞれ同48.9%増、43.4%増と順調に増加している。
 
◎保証事業
売上高は前年同期比11.4%増加の3億55百万円。営業利益は同81.8%増の91百万円。
保証残高の拡大を図り、積極的な営業活動を展開している。

2016年8月より、中小企業向けネット完結型の売掛保証サービス「URIHO」をスタートした。
「URIHO」は、年商5億円以下の中小企業を対象とした売掛保証サービスで、サービス申し込みから履行の依頼ま
でをインターネットで完結し、利用料金は月額定額制、保証をかける取引社数の制限はなく、保証かけ放題の新しいサービス。2017年4月期第2四半期では、サービススタートキャンペーンとして実施した「2か月間の利用料無料」の影響により、売上高は軽微であるが保証残高は、リスティング広告等による積極的なクライアントの獲得活動の効果もあって徐々に積み上がっている。
この結果、保証残高は、売掛保証サービスの保証残高が減少したが、事業用家賃保証サービスは、引き続き順調に増加したことにより、前期末比5.4%増の96億15百万円となった。
保証履行額の減少により原価率が改善し大幅な増益となった。
 
 
現預金の増加などで流動資産は前期末に比べ1億27百万円増加。固定資産はほぼ変わらず、資産合計も同1億10百万円増加の50億79百万円となった。
買掛金の増加、長期借入金の減少などで負債合計は同84百万円増加の32億76百万円となった。
利益剰余金の増加等で純資産は同25百万円増加の18億円。
この結果自己資本比率は前期末の35.7%から0.3ポイント低下し35.4%となった。
 
 
税金等調整前四半期純利益は減少したが、減損損失の計上などで営業CFのプラス幅は拡大。投資有価証券の取得による支出により投資CFのマイナス幅は拡大。フリーCFのプラス幅は拡大した。
配当金支払額の増加で財務CFのマイナス幅は拡大した。
キャッシュポジションは上昇した。
 
 
2017年4月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。増収増益も成長分野への集中投資で利益成長率は一時的に低下
業績予想に変更は無い。売上高は前期比12.1%増の25億円の予想。営業利益は同6.7%増の4億20百万円。
成長分野と位置づけているPaid事業とEC事業「スーパーデリバリー」における越境EC「SD export」に対し、広告宣伝費やシステム開発費等を集中的に投下する方針。そのため販管費の増加で利益成長率は一時的に低下するが、事業成長を加速するために必要な先行投資と考えている。配当は現時点では未定。
 
◎Paid事業
知名度向上(プロモーション強化)、組織力強化(人員増)、商品力強化(新ニーズに対応した商品開発)、信頼性の獲得(ISMS取得)など戦略的投資により、加盟企業数増加と稼働率向上を通じた取扱高の増加を図る。
加盟企業数は2016年11月初旬には2,000社を突破した。
 
◎SD export
広告やプロモーションによる知名度向上を図ると共に、仕組みの改善や商品拡大にも注力する。
足元で会員登録数増加に伴い売上構成が拡大し、取引単価も上昇している北米・オセアニア・ヨーロッパ向けの広告を強化する。
また、英語以外の言語への対応も今後は検討していく。
 
◎スーパーデリバリー
小売以外への事業者へのサービス提供を開始した。
例えば、カフェで使用するソファ、ホテルの宿泊客用ハンガー、美容室で顧客に提供するお菓子や本などは、数量をまとめ卸値で買うことができる機会は少なく、実際には通常の小売店で小売価格で購入しているケースが多いことがわかった。
そこで同社では、スーパーデリバリーのターゲットを拡大し、購入客数増加、取扱高拡大につなげる考えだ。
 
◎URIHO
年商5億円以下の中小企業を対象にネット完結型の売掛保証サービスを提供する「UROHO」は、今迄営業コストと収益のバランスからターゲットに出来なかった企業層にアプローチするもの。月額定額で保証はかけ放題となる。
年商5億円以下は日本の全企業全体の8割以上に相当する。
 
 
今後の注目点
第2四半期の進捗率は売上で45.8%、営業利益で47.4%となっている。
スーパーデリバリーの伸びが低いため、過去数年と比べると売上はややスローになっているが、利益率の高い保証事業の伸びが高いため、営業利益は過去数年で最も進捗しているようだ。
PaidとSD exportという成長分野へ集中的に投資するため利益の成長率、利益率は一時的に低下する見込みであるものの、大きな下振れリスクはなさそうだ。黒字が定着してきたPaid事業の成長スピードに引き続き注目したい。
新サービス「URIHO」も社員の提案から生まれた新サービス。この他にも常に多くの提案が上がっているという事であり、同社の「草の根イノベーション」から誕生する今後の新サービスについても期待したい。
 
 
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年7月25日に提出している。
 
 
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2017 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(3254)プレサンスコーポレーション vol.3 | ブリッジレポート:(2183)リニカル vol.29»

ブリッジレポート(バックナンバー)
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE