ブリッジレポート
(3407:東証1部) 旭化成 企業HP
小堀 秀毅 社長
小堀 秀毅 社長

【ブリッジレポート vol.2】2017年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「上期末時点では期初の想定(110円/ドル)よりも円高が進行し、減益要因は拡大しているが営業利益見通しは据え置いた。実質的には増益と会社・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年1月10日掲載
企業基本情報
企業名
旭化成株式会社
社長
小堀 秀毅
所在地
東京都千代田区神田神保町1-105 神保町三井ビルディング
事業内容
「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3領域で展開し、世界をリードする優れた製品・事業を多数有する総合化学メーカー。1922年創業。
決算期
3月末日
業種
化学(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年3月 1,940,914 165,203 161,370 91,754
2015年3月 1,986,405 157,933 166,543 105,652
2014年3月 1,897,766 143,347 142,865 101,296
2013年3月 1,666,640 91,960 95,125 53,712
株式情報(11/24現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
970.1円 1,396,722,069株 1,354,960百万円 8.6% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 2.1% 70.88円 13.7倍 731.05円 1.3倍
※株価は2016年11月24日終値。発行済株式数は2017年3月期第2四半期決算短信より。DPS、EPSは2017年3月期会社側予想(2016年11月発表)。ROEは2016年3月期末実績。BPSは2017年3月期第2四半期末実績。
 
旭化成株式会社の2017年3月期第2四半期決算概要等をご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「マテリアル」、「住宅」、「ヘルスケア」の3領域で事業を展開する総合化学メーカー。時代の変化に応じて様々な製品群を生み出し成長を継続。多様なコア技術をベースに、数多くの世界シェアNo.1製品を有する。
2016年3月末現在、持株会社である旭化成株式会社を中心に、251の関係会社でグループを形成している。
 
【沿革】
同社の創業は1922年の旭絹織株式会社設立に遡る。創業者である野口遵氏は、日本の「電気化学工業の父」とも称され、水力発電事業に関わると同時に、その電力を利用し、当時著しい発展を遂げていた電気化学工業の世界最先端技術を日本に取り入れて事業化に着手した。1923年には、イタリアから導入した技術をもとに、宮崎県延岡市で日本初のアンモニア化学合成に成功。アンモニアを利用し、同社の代名詞の一つとも言えるキュプラ繊維「ベンベルグ」(1931年生産開始)をはじめ、化学肥料やレーヨン繊維、火薬など様々な製品を生産し、業容を急速に拡大していった。なお、同社の会社としての設立は、1931年の延岡アンモニア絹絲株式会社設立とされている。
第二次世界大戦で大きな打撃を受けたものの、高度経済成長の下、1957年にはポリスチレン樹脂の生産開始により合成樹脂事業へ、1959年にはアクリル繊維「カシミロン」の生産開始により合成繊維事業へ進出した。1960年には食品包装材「サランラップ」を発売し、その後、ナイロン繊維、合成ゴム、建材という新規事業を手掛ける一方で、自社で基礎原料から石化製品を生産するために、1968年に岡山県倉敷市で石油化学コンビナート(水島コンビナート)の建設に着手した。
1970年代の石油ショックにより石油化学工業は深刻な打撃を受け、同社も影響を避ける事は出来なかったが、この時点で次世代の事業分野である住宅、医薬・医療、エレクトロニクスなどの多角化に向けた基盤構築は着実に進んでいた。ALC(軽量気泡コンクリート)「へーベル」を使用した「へーベルハウス」を1972年に発売し住宅事業に本格進出したほか、中空糸型人工腎臓や抗生物質原料の生産を開始するなど医薬・医療事業の育成も積極的に進めた。1980年代には磁気センサのホール素子や、LSIの生産開始などによりエレクトロニクス事業に進出した。
しかしこうした多角化の拡大は、1990年代のバブル経済崩壊に伴う日本経済の低迷により転換期を迎える。経済停滞が続く中、同社は経営の強化のため思い切った「選択と集中」へと舵を切り、食品事業の譲渡や繊維事業の一部撤退などを実行する一方で、強い事業をより強化し「選び抜かれた多角化」の実現を進めた。また、2000年以降はアジアを中心に多くの海外拠点を設立し、グローバル経営の基盤を築いた。
事業の選択と集中に一定の目途がつくと、同社は再び経営戦略方針を成長の追求へと転換した。注目すべきは、成長領域における大型M&Aを含む積極的な投資姿勢である。2012年に救命救急医療機器メーカーの米国ゾール・メディカル社を買収しクリティカルケア(救命救急医療事業)に本格参入すると、さらに2015年には、バッテリーセパレータの世界的企業である米国ポリポア社を買収した。このように同社は、高い成長を志向しながら、新たな時代のニーズに対応し現在も変化を続けている。
 
 
沿革にあるように、同社の歴史は時代の変遷を先取り、的確に対応してきた成長の歴史とも言える。
創業以来一貫して、世界の人びとに貢献すべく、チャレンジを続け独創的な製品の開発を続けてきた。

多角化によって成長してきた背景には、「グループバリュー」に掲げられている「誠実」、「挑戦」、「創造」という価値観が、同社の多岐にわたる様々な事業において共有され、浸透していることが大きな要因として挙げられよう。
携わる事業は異なっていても、従業員が「誠実に挑戦して創造する」という同じ思いを持って目標の達成に向かっているからこそ、一体感が保たれ企業全体としての成長に繋がっていると同社では考えている。
 
 
【事業内容】
2016年4月期より、従来の4セグメントを「マテリアル」、「住宅」、「ヘルスケア」の3セグメントに変更するとともに、旭化成せんい株式会社、旭化成ケミカルズ株式会社、旭化成イーマテリアルズ株式会社の3事業会社を旭化成株式会社が吸収合併し、事業持株会社制へと移行。3セグメントで合計7つの事業を展開している。
 
 
 
前期実績を新セグメントで組み替えた売上高、営業利益の構成比は以下の通り。
 
 
*2017年3月期は、2016年11月発表の予想。尚、2016年3月期第2四半期より、2015年8月26日付(米国東部時間)で買収を完了したポリポア社の業績をマテリアルセグメントに含めて開示している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
日本企業が一般的に目指すべき水準と言われている8%を上回っている。
決算短信の経営方針「2.目標とする経営指標」において、資本効率指標として「ROE」を挙げている。
 
【特徴と強み】
①時代のニーズを取り込む創造力
沿革で触れたように、日本の工業の近代化が進展する中で日本で初めてアンモニア合成を手掛け、そこから様々な製品を世の中に送り出した同社は、1950〜1960年代には合成繊維・石油化学事業を、1970年〜1980年代には住宅、ヘルスケア、エレクトロニクスなどの事業を拡大し、時代の変遷に的確に対応し、新たなニーズに応えながら事業内容、売上構成を変化させてきた。

一貫して顧客あるいは人々の要求・需要は何かという大きなトレンドを捉えて、それに果敢に挑戦し、「昨日までなかった」製品を生み出してきた創造力は、同社を同社たるものとする最も大きな強み・特長である。
 
②世界をリードする独創的な製品群
グループ・スローガン「昨日まで世界になかったものを。」に代表されるように、同社は常に今までには無かった新たな価値を世の中に提供する事で高い評価を受けてきた。
下記を例とする世界No.1製品を多数有している。
 
 
また、下記のような主力製品の更なる拡大にも注力している。
 
③多様な「コア技術」と多様な人財
多岐にわたるフィールドで様々な独創的な製品を生み出し続ける事を可能にしているのが、同社が保有する多様な「コア技術」と多様な人財である。
 
 
例えば、膜・ろ過技術は水処理用ろ過膜、中空糸型透析器(ダイアライザー)、リチウムイオン二次電池用セパレータなどの製品化に繋がっている。

また、多角化された事業を展開する同社には様々なバックグラウンドを持つ人財が多数在籍している。
こうした人財が積極的に交流することで、各分野における知見・知識・技術の融合が進み、高付加価値の新規事業が創出されている。
 
④強固な財務内容
ポリポア社買収のために有利子負債を増加させたため、2016年3月期末のD/Eレシオは0.43と2015年3月期末の0.25から上昇したが、比較的低位で安定している。こうした財務状態を反映し、株式会社日本格付研究所による格付けでは「AA」という高い評価を受けている。
 
 
2017年3月期第2四半期決算概要
 
 
減収減益
2017年3月期上期の売上高は前年同期比7.0%減少の8,907億円。円高、2015年8月末に買収したPolyporeの連結化、退職給付費用の増加等で営業利益は同16.2%減少の708億円。セグメントでは、円高の影響が大きいマテリアル、薬価改定・償還価格改定の影響でヘルスケアが前年同期を下回った。持分法投資損益は改善したが為替差損が悪化し、経常利益は同14.2%減少の699億円となった。投資有価証券売却益39億円を計上したことなどから四半期純利益は同12.2%増の529億円となった。

グループ全体の海外売上高比率は、2016年3月期上期35.8%から約2ポイント下がり、2017年3月期上期は34.1%となった。円高およびケミカル事業で石油化学事業の基盤強化の結果スチレンモノマーの販売数量が減少したこと等が主な要因。
 
 
 
<繊維事業>
減収・減益。
(再生セルロース繊維)「ベンベルグ」やカーインテリア向け等に使用される(人工皮革)「ラムース」、エアバッグ向けに使用される(ナイロン66繊維)「レオナ」等の販売数量は伸張したが、競合に伴う販売価格の下落や、各製品において円高の影響があった。原燃料価格下落に伴う販売価格の下落も影響した。
 
<ケミカル事業>
減収・減益。
石油化学事業は減収・減益。アクリロニトリルやポリエチレン、ポリスチレン等で交易条件が改善したが、石油化学事業の基盤強化の結果、スチレンモノマーの販売数量が減少した。
高機能ポリマー事業も減収・減益。低燃費タイヤ向け合成ゴムを中心に販売数量が増加したが、各製品において円高の影響を受けた。
高機能マテリアルズ事業・消費財事業は減収・増益。イオン交換膜等で円高の影響を受けたが、塗料原料や添加剤等の機能製品、「サランラップ」等の販売が順調に推移し、コストダウンにも努めた。
 
<エレクトロニクス事業>
増収・減益。
セパレータ事業は、増収・減益。(リチウムイオン二次電池用セパレータ)「ハイポア」の販売数量が増加し、前年同期より連結したPolyporeの業績を取り込んだが、買収に伴うのれん償却費等を計上し、円高の影響も受けた。
電子部品事業は、減収・減益。スマートフォン向けでオーディオデバイス等の販売数量が増加したが、円高の影響に加え、電子コンパス等の販売数量が減少した。
 
<住宅事業>
増収、営業利益は前年並み。
建築請負部門は、売上高は前年並み、営業利益は減益となった。(戸建住宅)「へーベルハウス」や(集合住宅)「へーベルメゾン」の引渡しが順調に推移ししたが、広告宣伝費等の販管費が増加した。引渡棟数は、前年同期の3,967棟から69棟減少し、3,898棟となったが、単価の高い集合住宅の比率が増加したこと等で売上高は前年並みとなった。
不動産部門およびリフォーム部門は、リフォーム部門で労務費等の販管費が増加したが、不動産部門で賃貸管理事業が順調に推移した。
建材事業は、減収・減益。(フェノールフォーム断熱材)「ネオマフォーム」の販売が堅調に推移したが、ALC事業や基礎事業で販売数量が減少した。
 
<医薬・医療事業>
減収・減益。
医薬事業は、減収・減益。(骨粗鬆症治療剤)「テリボン」や(血液凝固阻止剤)「リコモジュリン」等の販売数量が増加したが、薬価改定や、(排尿障害改善剤)「フリバス」が後発医薬品の影響を受けた。
医療事業は、減収・減益。(ウイルス除去フィルター)「プラノバ」の販売数量が増加したが、円高の影響や、国内の透析関連製品が償還価格改定の影響を受けた。
 
<クリティカルケア事業>
円ベースでは円高に伴う影響を受けて、売上高は33億円の減収となったが、USドルベースでは増収となった。規模を拡大しつつ引き続き順調な成長を示している。(着用型自動除細動器)「LifeVest」の業績が引き続き順調に拡大し、その他の除細動器の販売も堅調に推移している。
営業活動強化に伴う販管費が引き続き増加したが、円高の影響があるにも関わらず、円ベースでも増益となった。のれん等償却後の連結営業利益は引き続き拡大し68億円となった。
 
 
為替が円高に振れたことにより、為替換算調整勘定が前期末比で652億円減少したことなどから総資産が同946億円減少し、2兆1,171億円となった。
Polypore買収に伴って借り入れた借入金のリファイナンスを第1四半期に行ったことにより、流動負債は同1,291億円減少、固定負債は同556億円増加した。
 
 
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益707億円や減価償却費437億円の収入があったことから、904億円のキャッシュ・インとなった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出431億円等で505億円のキャッシュ・アウトとなった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少などで434億円のキャッシュ・アウトとなった。
 
 
2017年3月期業績見通し
 
 
売上高を下方修正、営業利益は据え置き
2017年3月期上期を実績に置き換え、下期および通期の見直しを行った。今回の通期予想と5月に発表した当初予想を比較すると、売上高は800億円下方修正したが、営業利益は当初予想のまま据え置いた。また、特別損益で政策保有株式の売却益を計上したこと、および税率の見直しにより、経常利益は10億円の上方修正。当期純利益は70億円上方修正した。
配当は前期と同額の20円/株の予定。予想配当性向は28.2%。
 
 
 
<繊維事業>
営業利益は15億円の下方修正。カーシート向け等で「ラムース」の販売が堅調に推移する見込みだが、円高と競争に伴う価格下落の影響が大きい。
 
<ケミカル事業>
営業利益は30億円上方修正。
石油化学事業で、上期にエチレンセンターのトラブルによる減益要因があったが、アクリロニトリルやポリエチレン、ポリスチレン等の市況・スプレッドの改善を取り込んでいる。
高機能ポリマー事業では、エンジニアリング樹脂、合成ゴムともに需要は堅調だが、円高の影響等を織り込んでいる。高機能マテリアルズ事業・消費財事業では、「サランラップ」を中心に各事業堅調に推移すると見込んでいる。
 
<エレクトロニクス事業>
営業利益は5億円の上方修正。ほぼ当初予想どおりの進捗。
セパレータ事業では、円高の影響を受けたが、「ハイポア」の販売数量が当初予想を上回ることやPolyporeの本社費削減等で吸収できる見込み。
電子部品事業は、円高の影響が大きいものの、スマートフォン向け需要が順調に推移しており、ほぼ当初予想並みに据え置いた。

<住宅事業>
営業利益は当初予想どおり。
リフォーム部門が当初予想比ではやや苦戦しているが、建築請負部門が計画どおりに進捗し、不動産部門が賃貸管理事業を中心に好調に推移している。
建材事業は、当初予想どおりとした。主力のALC事業、断熱材事業が堅調に推移している。
 
<医薬・医療事業>
営業利益は当初予想どおりの進捗。
医薬事業は、ほぼ当初予想どおりを見込んでいる。消費税増税が延期となり期末の駆け込み需要が無くなることから「テリボン」や「リコモジュリン」の売上高を見直したが、円高により海外臨床費用等が円ベースで縮小する。
医療事業も、当初予想どおり。各製品で円高の影響を受けるが、「プラノバ」が順調に数量を伸ばしている。
 
<クリティカルケア事業>
営業利益は10億円の上方修正。
マーケティング要員の採用遅れにより売上高は対当初予想で下方修正したが、「LifeVest」を中心に引き続き順調な拡大を見込む。
 
 
今後の注目点
上期末時点では期初の想定(110円/ドル)よりも円高が進行し、減益要因は拡大しているが営業利益見通しは据え置いた。実質的には増益と会社側は考えている。
その背景には、石油化学事業の基盤強化に加え、同社が強みとする高機能ポリマー事業、高機能マテリアルズ事業、クリティカルケア事業等の各高付加価値事業が、製品機能やマーケティング力の差別性を活かし、数量を伸ばしている事が大きく、直近の株価はその点を評価していると言えよう。
足下で円安に転じていることから短期的には通期業績がどれだけ上積みされるかを、中長期的には新中計「Cs For Tomorrow 2018」で掲げる「収益性の高い付加価値型事業の集合体」に向けたM&Aを含めた具体的な動きを注目したい。
 
 
 
 
<参考1:新中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」>
 
同社は今期をスタートとする3年間の新中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」を策定した。
◎「Cs for Tomorrow 2018」の意味
「Cs」は、将来に向けて多様な「C」で飛躍の基盤を固めていくという意味。
1つ目の「C」は、グループスローガン「Creating for Tomorrow」のC。「昨日まで世界になかったもの」をつくり上げていく。
2つ目は、結合(Connect)の「C」。4月に組織変更を行い、グループを横断して人財と事業を結合していく体制とした。また、そういった内部の結合のみならず、外部、地域、技術など様々な結合により、新たな成長へのステージに向かう。
3つ目は、従業員が信頼回復に向けて実践していく、コンプライアンス(Compliance)、コミュニケーション(Communication)、チャレンジ(Challenge)の「C」。
 
◎基本的な考え方
「クリーンな環境エネルギー社会」「健康・快適で安心な長寿社会」の実現に貢献していくことをコンセプトに、「成長・収益性の追求」「新事業の創出」「グローバル展開の加速」を基本戦略としている。2025年度に「収益性の高い付加価値型事業の集合体」となることを目指し、本中計期間は飛躍の基盤づくりを行う3年間と位置付け。
 
◎事業・人財の結束(Connect)に向けた体制再編
事業・人財の結束を目指し、2016年4月に「マテリアル」、「住宅」、「ヘルスケア」の3事業領域制・事業持株会社制へ移行した。
旭化成株式会社は純粋持株会社だったが、マテリアル領域の一部の事業会社(旭化成せんい株式会社、旭化成ケミカルズ株式会社、旭化成イーマテリアルズ株式会社)を取り込み、事業持株会社となった。純粋持株会社制を採用した2003年度以降の13年間は、「遠心力」を働かせて各事業会社の自主自立経営を推進してきたが、これからの3年間は「求心力」を高めて、グループでの団結・総合力を強くしていく。
 
 
2019年3月期には1株当たりの当期純利益は80円近くまで高め、還元性向は現行の30%を35%に向上させることを目標としている。また、ROEは9%を目指す。
 
◎基本戦略
1.成長・収益性の追求
新たな経営体制の下、各領域の役割を追求し、グループとして価値を提供し、社会に貢献していく。
マテリアル領域の役割は「収益力の向上」、住宅領域は「安定継続成長」、ヘルスケア領域は「高成長」を掲げている。
 
2.新事業の創出
多様性を活かした自社の技術・事業の組合せで価値を創出していく。同社の強みは、多彩な技術と多角的な事業を持っていること。多様なビジネスモデルとコア技術、様々な知見を持つ人財を結合することで価値を創出する。
また、グループの総合力を発揮して、同社ならではの新事業の創出を目指す。
 
3.グローバル展開の加速
日本は、研究開発、新事業の創出のベースとなる地域であり、マザー工場としての技術向上を図る。
北米は、先進国で突出して人口の増えている成長市場であり、自動車・ヘルスケア関連事業の拡大と、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を活用した先端技術の獲得を図る。
成熟市場の欧州は、環境関連等の規格・規制が先行して発信されるマーケットでもある。自動車・ヘルスケア関連事業におけるマーケティング機能を強化していく。
前中計で製造拠点の設立・増強を推進したアジアについては、製造拠点としての競争力を一層強化すると同時に、新興国の成長市場における需要拡大を取り込んでいく。
 
 
1.マテリアル領域
<2026年3月期に向けた事業展開方針>
①高機能製品分野を拡大し収益力向上を目指す。
②バッテリーセパレータ事業でNo.1のポジションを強固にする。
③総合力で素材新市場を開拓する。
 
<本中計期間における事業方針>
この3年間では、既存事業の強化による収益力の向上とともに、領域内の横断的な取組みを進め、将来に向けた施策を実行していく。10年後に向けては、国内市場に焦点を絞った石油化学事業・消費財事業、安定的に成長している繊維事業で収益基盤をしっかり固めながら、自動車、電池関連、ヘルスケア関連の新素材で事業拡大を図り、膜関連事業も強化していく。
 
2.住宅領域
<2026年3月期に向けた事業展開方針>
①既存事業のシェア拡大による安定収益確保
②新機軸となる「中層」、「シニア」、「海外」への展開の推進
③他領域との連携による同社ならではの付加価値創出
 
<本中計期間における事業方針>
新中計では主要事業の安定収益確保と、不動産、リフォーム、高性能断熱材等の事業を伸ばして、安定成長を図る。2016年3月期の売上高6,324億円を、2026年3月期には1兆円に伸ばす。その原動力となるのが不動産、リフォーム、そして新たな事業展開として海外、シニアと考えている。
 
3.ヘルスケア領域
<2026年3月期に向けた事業展開方針>
①海外売上高を拡大させ、グループ営業利益の3分の1を創出
②医薬事業:「リコモジュリン(血液凝固阻止剤)」を成長ドライバーとするグローバル展開の推進
③医療事業:ゾール・メディカル社を中心にしたグローバル・プラットフォームの更なる活用・強化を通じた成長
 
<本中計期間における事業方針>
新中計では国内事業の収益強化を進めながら、マテリアル、住宅に続く第3の柱にするためのグローバルな事業基盤強化を図る。
売上高は、2016年3月期3,000億円弱から、2026年3月期には6,000億円まで倍増させ、特に海外売上高比率を高めていく。ヘルスケア領域は、米国を中心にした海外マーケットの成長可能性が高く、そこでの拡大を目指す。
 
◎財務・資本戦略
新中計における財務・資本戦略については、将来の成長を見据えた戦略を実行し、企業価値を向上させながら、株主還元を行う。
 
営業キャッシュ・フローは、3年間累計で約6,000〜7,000億円の計画。既存事業の優位性を強化し、各領域で新たな付加価値を創出していく。
総投資額は、3年間累計で約7,000億円の計画。既存事業の拡大・維持に加え、M&A等も積極的に進める。
2019年3月期に還元性向35%を目標とする。安定配当且つ継続的な増配に加えて、自己株取得も機動的に行う計画。
資金調達は、D/Eレシオ0.5程度の維持を目安に、借入による調達を原則とする。
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年9月30日に提出している。
また、同社はコーポレートガバナンス・コードの各原則について全て実施している。
 
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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