ブリッジレポート
(6250) 株式会社やまびこ

プライム

ブリッジレポート:(6250)やまびこ vol.3

(6250:東証1部) やまびこ 企業HP
永尾 慶昭 社長
永尾 慶昭 社長

【ブリッジレポート vol.3】2017年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「前回レポートでは、進捗率の高さを指摘したが、第2四半期終了時点でも同様に高い進捗となっている。為替も円安に振れており、通期予想に・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年1月10日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社やまびこ
社長執行役員
永尾 慶昭
所在地
東京都青梅市末広町1-7-2
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年3月 113,348 6,730 6,402 4,700
2015年3月 105,251 5,688 6,447 4,910
2014年3月 103,848 5,020 5,715 4,656
2013年3月 89,045 2,212 2,955 2,423
株式情報(11/17現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,300円 44,108,428株 57,297百万円 10.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.00円 1.9% 96.81円 13.43倍 1,079.21円 1.2倍
※株価11/17終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROEは前期実績。BPSは直近四半期決算短信より。
 
株式会社やまびこの2017年3月期第2四半期決算概要などをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
小型屋外作業機械(刈払機、チェンソーなど)、農業用管理機械(防除機、畦草刈機など)、一般産業用機械(発電機、溶接機など)の3事業における各種製品の開発・製造・販売をグローバルに展開。海外売上比率は約60%。小型屋外作業機械では国内首位、米州上位と高いシェアを有する。独自の生産技術、豊富なラインアップ、充実したテクニカルサポート体制等が強み。
 
【1-1 沿革】
同社は、国内で農業機械、グローバルで小型屋外作業機械を扱っていた株式会社共立(東・名・阪一部上場)と、グローバルで小型屋外作業機械及び一般産業用機械を扱っていた新ダイワ工業株式会社(東証2部上場)の2社が2008年12月に設立した共同持株会社「株式会社やまびこ」が、2009年10月に両社を吸収合併して事業会社化した会社である。

株式会社共立は、1947年、東京で創立された株式会社共立農機を前身とし、農業機械事業において「国産初のスピードスプレーヤ(農薬散布機)」、小型屋外作業機械事業において「国内初の背負動力刈払機」、「世界初の手持ち式パワーブロワ」を開発するなど、両事業におけるリーディング企業であった。また、創業時より小型屋外作業機械のエンジン自社開発に注力し、合併前の2008年のエンジン累計生産台数は4,000万台に上っていた。

一方新ダイワ工業株式会社は1952年、広島で創業した浅本精機製作所が前身。小型屋外作業機械事業において「国産初の電動チェンソー」を開発したほか、一般産業用機械事業においてエンジン発電機、エンジン溶接機などを製造販売。また、世界初の混合燃料使用の4サイクルエンジンを開発するなど、高い技術開発力を特長としていた。
1990年代後半に入り温室効果ガスを要因とする地球温暖化問題への関心が高まるとともに、欧米、特にアメリカでエンジンの排出ガス規制が強化され、新基準をクリアするための研究開発費が増大。これに対応できない中堅・小型企業を対象として小型屋外作業機械市場において2000年代に入りグローバル規模での業界再編が急速に進行した。加えて、新興国企業による安値攻勢や顧客ニーズの多様化などにより、事業環境は一段と不透明なものとなっていた。

そうした中、激化する競争を勝ち抜くためには一段と企業体力を強化する必要があるとの判断から、両社は将来的な経営統合を前提として2007年5月に業務・資本提携契約を締結。
開発、生産、物流、販売、管理を始めとした全ての事業における効率化と拡充を目指して2008年12月共同持株会社、株式会社やまびこを設立し、2009年10月、株式会社やまびこが両社を吸収合併し事業会社化した。

社名「やまびこ」は、山の神「山彦」を由来としており、「人と自然と未来をつなぐ」を経営理念とし、自然と環境の育成・整備への貢献を掲げる同社の姿勢を表している。
 
【1-2 経営理念など】
やまびこグループの理念は「エッセンス」、「存在意義」、「行動指針」という3つの要素で構成されている。
「エッセンス」は、「存在意義」と「行動指針」を凝縮した、やまびこグループとして目指すべき企業の姿・企業活動の本質を表現したもの。
「存在意義」は、やまびこグループが社会の中で担うべき役割と責任を宣言し、約束するもの。
「行動指針」は、やまびこグループの社員一人ひとりが業務に臨むべき姿勢をまとめたもの。
 
 
これに加えて、行動指針を補完し、具体的な対応方法を示した14項目からなる行動指針細目を制定し、企業理念に則った事業活動が行われるように努めている。
永尾社長はこれら「エッセンス」、「存在意義」、「行動指針」を念頭に置いたメッセージを日頃から様々な機会を捉えて発信している。また各部門・部署ごとに実際の行動に結び付けるよう日々取り組んでいる。
 
≪永尾 慶昭社長プロフィール≫
永尾 慶昭社長は1953年2月生まれの63歳。子供の頃からプラモデルなど「モノ作り」が大好きだった永尾社長は、中学に入ると所謂「アメ車」を始めとした自動車に大きな関心を持ち始め、大学院ではエンジンを研究する「燃焼工学」を専攻。1978年4月に(株)共立に入社した。
入社後は研究部に配属。自ら関心のある課題を見つけて自由に取組むという社風もあり、チェンソーを中心に様々なエンジンの研究、開発に携わった。また、研究室内で研究に没頭するのではなく、山へ出かけユーザーである樵(きこり)の方々からの製品評価や要望などをきめ細かく汲み取る事にも力を注いだという。

ほぼ技術畑を一貫して歩んできた後、2006年2月に米国の子会社エコー・インコーポレイテッドの代表取締役に就任。米国における排出ガス規制の状況とその対応、そうした中でユーザーの満足度をどうすれば高められるかに注力。また共立、新ダイワ工業の合併時には現地販売ルートの整理をスピーディーかつドラスティックに進めるなど、ご自身でも「仕事の幅が広がる重要なステップであった。」と振り返る。
やまびこ設立後、取締役兼執行役員産業機械本部長として、新ダイワ工業の本社所在地である広島で統合後のスムーズな一体化にも注力。2011年6月、(株)やまびこの代表取締役社長に就任した。
 
【1-3 市場環境】
小型屋外作業機械市場についての明確な統計は存在していないが、米国を始めとする北米市場が最大市場とされ、ついで欧州地域が続いており、日本は100万台という統計がある。
同社の収益動向に影響を与える関連指標としては、海外市場においては「住宅着工件数」、「穀物価格」、「原油価格」等、国内市場においては「米価」等が挙げられる。

小型屋外作業機械でグローバルに展開するメーカーとしては、欧州(ドイツ・スウェーデン)に2社存在すると会社側では認識している。
 
【1-4 事業内容】
1.セグメント
小型屋外作業機械事業、農業用管理機械事業、一般産業用機械事業の3事業を展開している。また、この3事業で供給している機械のアクセサリー、部品の製造・販売も行っている。
(報告セグメントは、「小型屋外作業機械・農業用管理機械」、「一般産業用機械」、「その他」の3セグメント。但し、売上高については、小型屋外作業機械事業、農業用管理機械事業、一般産業用機械事業、その他の4つを開示している。)
 
 
『小型屋外作業機械事業』
「手で持つ」または「背負って」使用する小型エンジンを搭載した山林・緑地管理用などの機械の製造・販売を行っている。
主要製品は、チェンソー、刈払機、パワーブロワ、ヘッジトリマーなど。

長年をかけて蓄積してきたノウハウや顧客ニーズにきめ細かく対応する高い開発力をベースに、高性能・高耐久・高品質エンジンを産み出し続けている。
 
 
(ガソリンエンジンの仕組み)
小型屋外作業機械のチェンソーや刈払機などの動力には主に2ストロークガソリンエンジンが用いられている。
後述するように、同社のエンジン開発能力の高さは最も重要な特長・強みの1つとなっている。
ガソリンエンジンの仕組みおよびエンジンの種類による特長を知っておくことは同社事業を理解する上でも有用なので以下簡単に解説する。

ガソリンエンジンとは、基本的に以下の4つのステップを経てガソリンが燃焼する力でピストンを押し下げて動力を発生させるもの。
 
 
ピストンの往復運動は、クランクシャフトと呼ばれる部品によって回転運動に変換され、自動車の車軸やチェンソーの回転軸を回転させる。

この4つのステップ「1周期」をピストンの往復運動何回で完結するかによって、ガソリンエンジンは2ストローク・エンジンと4ストローク・エンジンの2つに概ね大別される。
 
「2ストローク・エンジン」
2つのストロークで1周期を完結させる。すなわち、「ピストン1往復、クランクシャフト1回転」ごとに動力を1回発生させる。
1回目のストローク(ピストンの上昇):混合気の「吸入」と「圧縮」を行う。
2回目のストローク(ピストンの下降):混合気の「膨張」によりピストンが下降し、その後半で「排気」を行う。
 
 
「4ストローク・エンジン」
4つのストロークで1周期を完結させる。「ピストン2往復、クランクシャフト2回転」ごとに動力を1回発生させる。
1回目のストローク(ピストンの下降):混合気の「吸入」を行う。
2回目のストローク(ピストンの上昇):混合気の「圧縮」を行う。
3回目のストローク(ピストンの下降):「膨張」によりピストンが急速に押し下げられる。
4回目のストローク(ピストンの上昇):燃焼済のガスが「排気」される。
 
 
4ストローク・エンジンは、吸気と排気をコントロールしやすいといったメリットがある反面、吸・排気バルブをシリンダーヘッド部に設置するため、シリンダーの胴体に設置されるポートから吸・排気を行う2ストロークに比べ構造が複雑になる。また、そのため重量も重くなる。

これに対し、2ストローク・エンジンは、混合気の吹き抜けやピストン運動を円滑にするために用いられるエンジンオイルが燃料と一緒に燃焼する割合が4ストローク・エンジンに比べると多いため、排気ガス中に有害物質が多くなるといった面があるものの、構造がシンプルで部品数も少ないため小型・軽量化が可能で、同じ理由からオーバーホールも容易といったメリットがあり、小型屋外作業機械には2ストローク・エンジンが最適である。
 
『農業用管理機械事業』
国内向けに農薬散布のための機械である防除機械、北米向け農作物収穫機械などの製造・販売を行っている。
主要製品は、防除機(スピードスプレーヤ、乗用管理機、動力噴霧機)、畦草刈機、大豆収穫機など。
2014年11月に、業務用ロボット芝刈機を開発、製造、販売するベルギーのベンチャー企業「ベルロボティクス社」を買収した。

共立が長年にわたって蓄積してきた送風技術、噴霧技術、ポンプ技術、機器の軽量化や小型化等が同事業における技術的な強みである。
 
 
『一般産業用機械事業』
建設・土木・鉄工用機械の製造・販売を行っている。
主要製品は発電機、溶接機、投光機、切断機、高圧洗浄機など。

新ダイワ工業が創業時から蓄積してきたAC(交流)モータ開発技術を進化、発展させた発電体設計技術や、電子制御技術、防音技術などが同事業における技術的な強みである。
 
 
『その他』
各種機械用のアクセサリーやアフターサービス用部品の製造・販売を行っている。
5ページのグラフにあるように収益性は最も高い。
 
 
2.ブランド
2社の統合によって設立された同社だが、両社製品は長年にわたり日本およびグローバルで認知されているため、ブランド名はそのまま、KIORITZ 、Shindaiwa 、ECHO の3ブランドを展開している。
更なるブランド価値の向上を目指し、積極的なマーケティング投資、新しい販売ルートの開拓を進めている。
 
 
3.開発体制
各事業では以下のような重点課題を設定し、開発に取り組んでいる。
 
排出ガス規制は今後もさらに厳しくなることが予想されるため、最重点課題である。
この他、電子制御分野において制御技術の研究を進めている。
 
4.生産体制
国内3事業所(横須賀、盛岡、広島)と4社の生産関連子会社を、海外では、アメリカ、ベルギー、中国、ベトナムに合計7社の生産関連子会社を有している。
 
5.販売ルート&販売方法
世界90か国以上、約2万8千店舗に同社製品は供給されている。
全売上高の6割以上が海外売上となっている。
 
 
<国内市場>
7社の販売子会社が販売代理店、全農(全国農業協同組合連合会)、ホームセンター、建設機械レンタル会社等に販売し、エンドユーザーである農林業家、建設・土木・鉄工業者、緑地管理業者などに供給される。

販売店や代理店と協力しながら展示会を各地で実施し、実演や試乗などを通じて販売に繋げている。
また、販売店と同行してエンドユーザーを訪問。ユーザーのニーズを汲み取ったうえで製品開発に活かしている。
 
<北米市場>
子会社エコー・インコーポレイテッドグループがホームデポ(※)や代理店に販売し、エンドユーザーである緑地管理業者、ホームオーナー、農林業家、建設・土木業者などに供給される。
 
※ホームデポ(The Home Depot)
世界最大の住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン。1978年設立。2015年の売上高885億ドル(約9.7兆円)、純利益70億ドル(約7,700億円)。米国、カナダ、メキシコに2,274店舗を有する。NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場。(同社WEBSITEより抜粋)
 
ホームデポでは、GOOD、BETTER、BESTの区分で品質ごとに分類されており、高品質なBESTとして製品を供給しているのは同社のみである。これが、同社製品が北米市場で高く評価されている証左の一つとなっている。

中南米市場においては子会社エコー・インコーポレイテッドが各国代理店に販売し、その後販売店を通じてエンドユーザーに供給される。
欧州・アジア・その他地域では、やまびこが各国代理店に販売している。

海外の販売店では、ブランド別に製品を展示しており、エンドユーザーのニーズを聞きながら販売員が対面販売を行っている。
またホームセンターでは、各機種群別・価格別に製品が展示されており、エンドユーザーはニーズや予算、CM等で得たイメージを基に購入する。
 
【1-5 特長と強み】
①独自の生産技術力・一貫生産能力
同社最大の特長・強みは「独自の生産技術力・一貫生産能力」である。
中心事業である小型屋外作業機械に搭載される2ストローク・エンジンに関しては、開発、材料となるアルミの調達、鋳造、部品製造、加工、組立てまで全て自社で一貫して生産する体制をとっているが、世界的に見ても他に例がないという。なお、農業用管理機械事業と一般産業用機械事業の製品も動力源はエンジンであるが、主に外部調達をしている。

また、様々な課題を鉄めっき、放電加工などの自社独自技術で解決し、製品の品質向上や生産能力向上に結び付けている。
具体的には下記のような技術を確立している。
 
<具体例①:鉄めっき>
めっきとは金属などの材料の表面に金属の薄膜を被覆した表面処理のこと。エンジン製造においては、ピストンとの摩擦による摩耗防止のためシリンダー内部にめっきを施す必要がある。
従来は耐久性やコストからクロムめっきが一般的であったが、環境への悪影響、生産効率の低さといった問題点から、他の材料によるめっき加工が求められてきた。

同社では、環境負荷低減の観点などから1978年より「鉄めっき」に取り組んでいる。
当初日産能力は数百個であったが生産性向上、めっき精度の向上、環境負荷削減などを進めた結果、現在では仕上げ加工が不要で環境負荷を大幅に削減した鉄めっき技術を確立することが出来、日産能力も数千個と大幅に拡大させることができた。
現在鉄めっき関連特許を保有している。
 
<具体例②:放電加工>
前述の様に、2ストローク・エンジンは、部品数が少なく構造も4ストローク・エンジンに比べシンプルであるため、「手で持つ」、「背負う」小型屋外作業機械には最適であるが、混合ガスの一部が排気されるという側面があり、世界的に強化が進む排出ガス規制に対応するためには、混合ガスの流れをコントロールして効率よく燃焼させることが課題であった。
そのためには、シリンダー内面形状を変更(混合ガス通路とシリンダー内面の間に壁を設ける)する必要があり、生産方法の検討が必要となった。

ダイカスト鋳造(※)により「壁」を形成する事は可能だったが、その壁に混合ガスを燃焼室に導くための横穴を開ける必要があり、ダイカスト鋳造では横穴を開ける事は出来ず、また狭い箇所であるため切削加工も困難であった。

そこで同社では、ダイカスト鋳造の特長を活かしながら切削加工できない形状を加工するために「放電加工(※)」を採用することとした。
放電加工は複雑な形状も加工が可能である一方、加工時間が長く電極消耗が多いなどコスト面での課題があった。
同社は量産化に向け加工条件の研究、特殊電極形状の設計などに取り組み、加工時間の短縮、省人化、電極の低コスト化、能率向上など量産化に成功した。
放電加工関連特許保有件数は3件であり、他社には真似のできない同社独自技術を確立した。
 
(※)ダイカスト鋳造
金型鋳造法のひとつで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量に生産する鋳造方式のことで、薄肉化、低コストを可能にする。

(※)放電加工
電極と非加工物との間に短い周期で繰り返される放電によって、非加工物表面の一部を除去する機械加工の方法。極めて硬い鋼鉄などに複雑な輪郭を切り出すことができる。
 
同社はこれらの技術を始めとした「高度なモノ作り力」によって、排出ガス規制対応以外にも、軽量化、高耐久性、更なるコスト削減など様々なニーズに対応し、「排出ガス規制対応・軽量化・高耐久性2ストローク・エンジン」の開発・量産に成功している。
これらの課題に対応できず市場から退出を余儀なくされた企業も世界的に多数ある中で、同社はトップクラスのメーカーとして更なる成長を続けている。
 
②各事業固有の研究・開発力
環境問題の対応力は高く、同社エンジンに対する米国EPA(Environmental Protection Agency、環境保護庁)によるエンジン認証数は世界でもトップクラスとなっている。
また、小型屋外作業機械に限らず、農業用管理機械、一般産業用機械においても固有の研究開発力を有している。
共立、新ダイワ工業それぞれが長い年月を経て培った技術力をベースに、更に磨きをかけている。
 
③豊富なラインアップ・販売ネットワークの拡大
様々な顧客ニーズに対応し、3事業それぞれにおいて豊富なラインアップを有している。
また、現在世界90カ国以上、約2万8千店舗に同社製品が供給されている。
2社の合併によって、ラインアップおよび販売ネットワークは更に拡充された。
 
④充実したテクニカルサポート体制
製品に対する信頼性を高め、代理店や販売店との関係をより強固なものとするためにテクニカルサポート体制の充実にも注力している。
2013年4月から2016年3月の3年間に、17か国で128回に及ぶサービススクールを実施した。
 
⑤高い製品シェア
上記①から④の特長・強みを総合的に発揮してグローバルで高い競争力を実現しており、小型屋外作業機械事業では最大市場の北米で上位、日本においては30%以上のシェアを持つNo.1企業である。
 
 
売上高当期純利益率およびレバレッジの低下によりROEは低下傾向にあるが、2桁を超えている。
来期以降にかけてチャレンジ目標である「営業利益率7%」を達成できればROEの更なる上昇が見込まれる。
 
 
2017年3月期第2四半期決算概要
 
 
増収・営業増益
売上高は前年同期比1.5%増の613億円。円高で米州が前期並みとなったが、国内、欧州は堅調。中国市場も販路開拓が進んだ。第2四半期の過去最高を更新した。
営業利益は同44.6%増の56億円。増収効果、利益率改善、販管費コントロールに加え、在庫に係る未実現利益の減少が寄与した。営業利益も第2四半期の過去最高となった。
一方、経常利益は同6.7%増の43億円。前年同期の為替差益1.6億円が為替差損13億円に転じた。
リコール発生により製品保証引当金繰入額5億円を特別損失に計上したことなどから、四半期純利益は同14.8%減の27億円となった。
 
 
◎小型屋外作業機械
売上高は前年同期比2.1%増の360億円。
国内は、主力の刈払機が一部で天候不順の影響を受けたものの、ホームセンタールートを中心に好調を維持し増収となった。
米州は、最大市場の北米が新製品投入や期間限定の価格政策などにより刈払機やパワーブロワの販売数量が伸長したが、為替の影響により円換算後の売上高は前年並みとなった。
米州以外の海外は、西欧は新型チェンソーなどの販売が堅調だったことに加え、中国での販路開拓が奏功したことなどから、円高にもかかわらず増収となった。
 
 
◎農業用管理機械
売上高は前年同期比1.5%減の101億円。
国内は、排出ガス規制前の駆け込み需要の反動によりスピードスプレーヤが減少したが、乗用管理機や大型スプレーヤなど、その他の防除機が伸長したほか、省力化・効率化に寄与する畦草刈機やモアは引き続き好調だった。
海外は、穀物価格低迷の影響により引き続き主力の大型収穫機の販売が減少したことに加え、円高により大幅な減収となった。
 
 
◎一般産業用機械
売上高は前年同期比6.5%増の46億円。
国内は、溶接機が建築工事の遅れなどから低調だったが、インフラ整備事業を中心に大型のディーゼル発電機が好調に推移したこと、前期低迷した投光機の回復などにより増収となった。
海外は、発電機の販売が堅調に推移し増収となった。
 
 
◎その他
売上高は前年同期比0.6%増の106億円。
国内は、部品・アクセサリーの販売は堅調だったが、その他の商品が低調で微減収となった。
海外は、順調な天候を背景に部品・アクセサリーの販売は伸長したが、円高により売上高は微増にとどまった。
 
 
 
 
たな卸資産の減少等で流動資産は前期末比22億5百万円減少。投資その他の資産の増加で、固定資産は同4億35百万円増加し、資産合計は同17億70百万円減少の896億70百万円となった。
仕入債務の増加で流動負債は同8億10百万円増加。長期借入金の減少で固定負債は同10億98百万円減少し、負債合計は同2億88百万円減少の450億69百万円となった。
利益剰余金が増加した一方、円高に伴い為替換算調整勘定がマイナスに転じ純資産は同14億82百万円減少し446億円となった。この結果自己資本比率は前期末より0.6%低下し49.7%となった。
長短借入金残高は同 24億17百万円減少し189億97百万円となった。
 
 
利益は減少したが、仕入債務の増加などで営業CFのプラス幅は拡大。有形および無形固定資産の取得による支出が減少し、投資CFのマイナス幅は縮小し、フリーCFはプラスに転じた。
短期借入金の減少、長期借入による収入の減少などで財務CFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。
 
(4)トピックス
◎決算期変更へ
海外連結子会社と決算期を統一することで予算編成や業務管理など経営および事業運営の効率化を図るため、決算期を3月31日から12月31日に変更することとした。
来期は2017年4月1日から2017年12月31日の9カ月変則決算となる。
2017年12月期の業績見通しは2017年5月に開示予定の2017年3月期決算短信で公表する予定。
 
◎販売子会社を合併
全国の販売子会社7社を2017年4月1日付で合併し、「やまびこジャパン株式会社」とすることとした。
経営資源を集約させることで国内営業体制の効率化を図るとともに、販売力強化と顧客サービスの一層の向上を図る。
 
◎欧州子会社の機能強化
欧州市場における販売機能を強化するために、これまで技術・サービス支援および市場調査機能に留まっていた欧州事務所に新たに営業員を駐在させるなど、販売・マーケティング機能を持たせるとともに、連結子会社であるBelrobotics SAにその機能を移管。
2017年1月1日付で、商号を「Yamabiko Europe SA」に変更することとした。
ロボット芝刈機販売との相乗効果もあわせた小型屋外作業機械の更なる販売拡大に加え、ブランド力の向上も目指している。
 
 
2017年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。減収・営業増益。
売上、利益予想は8月10日発表分を据え置いているが、今後の為替レートの前提を、「1ドル=105円、1ユーロ=115円」から「1ドル=100円、1ユーロ=115円」に変更した。
売上高は前期比3.0%減の1,100億円、営業利益は同8.5%増の73億円。

(主な売上高増減要因)
国内は新製品投入効果などで堅調(+5億円)
米州はOPEが堅調だが、為替の影響、農機や中南米市場の不調が響く(-41億円)
欧州は新製品効果で西欧は堅調だがロシアの低迷、為替の影響で前年並み(+1億円)
 
(主な営業利益増減要因)
実質の増収効果(+17億円)
為替によるマイナス(-42億円)
円高による未実現利益の減少(+24億円)
内部取引価格変更の影響と生産量の増加に伴う生産性の向上(+17億円)
販促費用の増加など(-9億円)
 
 
主力市場における取り組み
 
【海外市場】
『「ストラテジック・マーケティングの強化」によるシェア拡大』をテーマとして掲げ、各市場で具体的な取り組みを進めている。
 
<北米市場>
新規需要層の発掘と創出、販売チャネルの開拓と深耕に力を入れている。
小型屋外作業機械は伸長しているが、農業機械は低迷が続く。
販売チャネルとしては代理店、ホームデポの主力ルートが引き続き伸びている。
利益率の高いアクセサリーの新投入による販売強化に取り組んでいる。
ホームオーナー向けにMLB(Major League Baseball)の野球場やNBA(National Basket Association)のCATV放送で広告を打っている。
 
<欧州市場>
欧州はこれまで日本のマーケティング部門が独自で活動に取り組んでいたが、イギリスのマーケティングエージェンシーとタイアップし、プロユース仕様のブランドイメージを強化している。
小型屋外作業機械は着実に販売台数を伸ばしており、今後も日本より大きな欧州市場でのシェアアップを図っていく。
ディスプレイ、屋外広告、ビデオ制作、WEBツールなど様々な手法を用いて「ECHO」ブランドのイメージアップを図っている。
前述の様に、欧州市場における販売機能を強化するために、欧州事務所に新たに営業員を駐在させるなど、販売・マーケティング機能を持たせるとともに、連結子会社であるBelrobotics SAにその機能を移管。2017年1月1日付で、商号を「Yamabiko Europe SA」に変更することとした。
欧州市場にマッチした製品の開発を進める。また代理店との関係もより強固なものとする。
 
【国内市場】
新製品導入やOEM取引の拡大等による売上伸長を図るとともにシェアの向上を目指している。
プロ向けチェンソーに加え、2017年には最軽量のプロ向け刈払機、600リットルクラスキャビン型スプレーヤなどの新製品を開発投入するほか、三相と単相3線の同時出力を実現したマルチ発電機のラインアップを拡充するなど、市場をリードする新製品の開発・投入を進めている。
経営資源を集約させることで国内営業体制の効率化を図るとともに、販売力強化と顧客サービスの一層の向上を図るため、全国の販売子会社7社を2017年4月1日付で合併し、「やまびこジャパン株式会社」とすることとした。
 
【設備投資、研究開発、減価償却】
設備投資は15年3月期、16年3月期で2期連続合計5億円計画未達であったが、2017年3月期の設備投資は当初計画35億円を上回る予定。
今期の研究開発費は計画通り51億円の予定。
減価償却費は計画の37億円を下回る見込み。
 
[収益性の向上]
生産ラインの効率改善、生産量の増加に対応するために生産設備の自動化を進めている。
また、物流業務の効率化、外部倉庫料の削減、生産効率の向上のために物流倉庫である西日本センターの稼働を開始した。
 
 
今後の注目点
前回レポートでは、進捗率の高さを指摘したが、第2四半期終了時点でも同様に高い進捗となっている。
為替も円安に振れており、通期予想に対する達成確度が上がっている点を前回レポート発表時よりも大幅に居所を変えている株価も評価しているようだ。
ただ、今後投資家の注目は今期の着地ではなく、来期以降の業績に移っていくことになるだろう。
少し早いが、次期中期経営計画における「ありたい姿、そのための具体的な施策」に注目したい。
 
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年6月30日に提出している。