ブリッジレポート
(3134:東証1部) Hamee 企業HP
樋口 敦士 社長
樋口 敦士 社長

【ブリッジレポート vol.1】2017年4月期第2四半期業績レポート
取材概要「更なる成長が見込まれるEC市場だが、「表」のプラットフォームは、Amazon、eBay、アリババ、楽天、Yahoo!ショッピング等、既に大手の寡占状態・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年1月17日掲載
企業基本情報
企業名
Hamee株式会社
社長
樋口 敦士
所在地
神奈川県小田原市栄町2-9-39小田原EPO
事業内容
モバイルアクセサリーの企画・EC・卸販売(=コマース事業)及び、EC事業者向けクラウド型業務マネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」の開発・提供(=プラットフォーム事業)
決算期
4月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年4月 6,501 450 427 257
2015年4月 5,657 336 329 192
2014年4月 4,681 226 222 121
株式情報(12/22現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
937円 15,744,657株 14,753百万円 13.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2.00円 0.2% 29.06円 32.2倍 139.52円 6.7倍
※株価は12/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。BPSは株式分割を反映。
 
東証1部に株式を上場するHameeの会社概要と成長戦略について、2017年4月期上期決算の概要と共にブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
Philosophyである「We Create the Best “e”for the Better “e” World.」の下、「happy mobile, easy e-commerce」(社名の由来でもある)をDomainに定め、「happy mobile」を実現するためのモバイルアクセサリーの企画・デザイン、インターネット販売及び卸販売事業(コマース事業)と「easy e-commerce」を実現するためのEC事業者向けクラウド型業務マネジメントプラットフォームの開発・提供事業(プラットフォーム事業)の2事業を展開している。
グループは、同社の他、Hamee Korea Co., Ltd.(韓国)、Hamee US ,Corp.(米国)、Hamee Taiwan ,Corp.(台湾)の連結子会社3社(いずれも100%出資)、及びHamee India Pvt. Ltd.(インド)、Hamee Shanghai Trade Co., Ltd.(中国)、ROOT(株)、(株)Webの匠の関連会社4社。
 
 
事業は、コマース事業とプラットフォーム事業に分かれ、売上だけを見るとコマース事業(売上構成比87.6%)の会社だが、利益面では後者の貢献も大きく(利益構成比40.5%)、両事業でバランスが取れている。
 
コマース事業  国内インターネット通信販売、卸販売、海外向け販売を展開
モバイルアクセサリーを中心とした雑貨等の商品企画・製造(ファブレスメーカー)及び仕入を行い、一般消費者へのインターネット通信販売(小売)や大手雑貨量販店・大手家電量販店等への卸販売を行っている。インターネット通信販売は、国内に加え、海外子会社を通して、一般消費者向けの現地ECサイト運営や海外ECショッピングモール等への出店(越境EC)も行っている。

国内インターネット通信販売(小売)  日本国内で17店舗のEC店舗を運営
自社ドメインサイト1店舗、楽天市場5店舗、Yahoo!ショッピングモール4店舗、Amazon.co.jp1店舗、DeNAショッピングモール1店舗、その他小規模店舗等、国内で17店舗のEC店舗を運営し、一般消費者にモバイルアクセサリー等を販売している。店舗運営に当たってはUX(User Experience:ある製品やサービスを利用したり、消費したりした時に得られる体験の総体)を重視し、専門チームがUXの向上に向けた様々な施策を行っており、コールセンター業務についても外部に依存する事なく、自社で対応している。
卸販売(卸売)  量販店及びEC業者に販売
大手雑貨量販店や大手家電量販店を中心にモバイルアクセサリーの卸売を行っている他、EC事業者向けにインターネット卸販売サイトの運営を行っている。小田原本社(神奈川県)の他、東京、大阪に拠点を設け、ラウンダーと呼ばれる実店舗の売場構築を支援する人材を配置している。

海外向け販売  韓国、米国、台湾、中国の子会社が一般消費者向けインターネット販売を展開
16/4期末現在、韓国子会社が、自社ドメインサイト1店舗、韓国国内のECショッピングモールに10店舗の合計11店舗を、米国子会社が、自社ドメインサイト2店舗、北米及び欧州向けのAmazonとeBayに11店舗の合計13店舗を、そして台湾子会社が、Yahoo! Shopping Mall等台湾のECショッピングモールに5店舗を、それぞれ出店している。17/4期上期には、中国に自社ドメインサイト1店舗を含む3店舗を出店した。
 
 
尚、商品仕入については、500社を超える仕入先のネットワークを有し、モバイルアクセサリー関連の情報網としても機能している。また、社内に商品デザイナーを中心とした商品企画・デザイン専門チームを有し、海外を含む外部メーカーの協力を得て、利益率の高い自社企画商品の製作も手掛けている。この他、玩具や実用品等も取り扱っており、10,000種類を超える商品の卸販売を含めた国内外45のEC店舗における販売状況を分析する事で、売れ筋商品をリアルタイムに把握し、商品仕入・企画に活用している。
 
 
プラットフォーム事業 コマース事業で開発・改良したシステムを社外に提供
自社サイトやインターネットショッピングモール等でインターネット通販を展開するEC事業者向けに、ネットショップ運営に必要なバックオフィス業務を一元管理できるマネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」を開発・提供している。「ネクストエンジン」は同社グループがECを展開する中で開発されたECのバックオフィスシステムであり、現在も同社グループのコマース事業において使用されている基幹システムである。

インターネット通信販売事業者向け業務マネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」をクラウドで提供
「ネクストエンジン」は、メール自動対応、受注伝票一括管理、在庫自動連携、商品ページ一括アップロード等の機能を有し、ネットショップ運営の業務プロセスの自動化を進め、EC事業者の経営効率向上を支援するクラウド型のシステム。異なるインターネットショッピングモールに出店した複数のネットショップの一元管理や複数のネットショップの在庫数表示の同期が可能なため、複数のネットショップを運営するEC事業者が利用するメリットは大きい。

「ネクストエンジン」には、メイン機能(標準仕様)とアプリケーション(拡張機能、以下「アプリ」)があり、ユーザーはニーズに合わせて機能を使い分ける事が可能。メイン機能はEC事業者の利便性に資する標準的な機能がワンパッケージで搭載されており、アプリはそれ以上の特殊なニーズに対応するためのオプションと位置付けられている。また、「ネクストエンジン」のOEM提供もしており、GMOソリューションパートナー(株)が「ストックマネージャー」と言うサービス名で、GMOコマース(株)が「すごい!ネットショップ管理」と言うサービス名で、それぞれの顧客にサービス提供している。

「ネクストエンジン」の基本料金は、ユーザーであるEC事業者の受注件数に応じた従量課金制(ユーザーの事業規模に応じた料金体系)。また、専用サーバープランやカスタマイズ(ネクストエンジンオーダーメイド)等のサービスもあり、この場合は顧客毎に個別料金を適用している。ネクストエンジン上の各種アプリについては、アプリによって異なる(無料、定額料金制、従量課金制)。
 
自動化により、ネットショップのルーティーン業務を「ネクストエンジン」が可能な限り自動化。

自社ネットショップや大手ネットモール等、複数店舗の一元管理を実現。

業務効率アップにより残業削減はもちろん、販売戦略や商品開発のための時間も創出。
 
営業活動及びサポート  サポートは外部に依存せず自社で内製
EC事業者向けのイベント・セミナー等へ出展して見込み客を発掘し、営業担当者とサポート業務担当者が一体となったチームがコンサルを中心にした営業活動を展開する事で契約の獲得につなげている。また、協力事業者が代理で営業活動を行う、「パートナー制度」も設けている。一方、「ネクストエンジン」のユーザーサポートは内製化しており、外部に依存しない体制をとっている。ユーザー毎に担当チームを割当て、導入時の負荷や運用上の悩み、トラブル等に専門スタッフが対応する事で顧客満足度の向上を図っている。

開発  自らが「ネクストエンジン」のユーザーである事が強み
「ネクストエンジン」の開発は自社の開発部で行い、ECショッピングモール側のシステム変更等にも迅速に対応できる体制を構築している(一部アプリの開発・提供でパートナーを活用している)。ユーザーと同じ目線で、ユーザーの利便性を重視したシステムにしていくため、同社が運営するインターネット店舗において「ネクストエンジン」を業務ツールとして使用しており、コマース事業と密に連携している事が強みとなっている。

プラットフォーム化
また、2013年12月に「ネクストエンジン」のAPI(※)を公開した事で、「ネクストエンジン」上で自社及び外部ディベロッパーが開発した各種アプリの展開が可能となる等、いわゆるプラットフォーム化が実現した。プラットフォーム化により、アプリとネクストエンジンを連携させる事によるユーザー企業の環境に応じたシステムの構築・運用が可能になった。
 
※API(Application Programming Interface)
あるコンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータ等を、外部の他のプログラムから簡単に呼び出して利用できるようにするインターフェイスのこと。ここで言うインターフェイスとは、機能の呼び出し手順や記述方法等を定めた仕様を指す。APIが提供されている機能は独自にゼロから開発する必要がないため、プログラムの開発を効率的に行うことが可能になる。
 
総契約数
17/4期上期現在の「ネクストエンジン」の総契約社数は2,457社(16/4期末比229社増)で、利用店舗数は18,541店(同1,748店増)、17/4期上期の利用店舗の取引総額は1,722億円(16/4期通期3,150億円)。
 
 
海外展開
「海外現地法人で実際にECを運営し、各国のECショッピングモールとの連携等、ノウハウを蓄積したうえで現地(海外)版ネクストエンジンを開発、リリースする」ということを基本戦略としている。
 
 
樋口社長が慶応大学在学中に起業。携帯ストラップメーカーとして事業が本格化し、大学4年時の1998年5月に同社の前身であるマクロウィル有限会社を設立した。1999年8月にモバイル周辺アクセサリーのECサイト「携帯アクセ市場」を開設すると共に、実店舗向け販売を開始。2001年3月にはグローバル対応を意識したECサイト「StrapyaWorld」も開設し、同年12月に(株)ストラップヤ .comに商号を変更した。その後、市場の変化に対応して携帯電話からスマートフォンへ軸足を移し、2006年6月には携帯ストラップに特化していたECサイト「ストラップヤ本店」でモバイル周辺アクセサリーの取り扱いを開始。同年5月に(株)StrapyaNextに商号を変更した。

2007年11月、EC事業者向けクラウド型バックエンドソリューションシステム「ネクストエンジン」が稼働。2008年5月には「ネクストエンジン」の外部向けサービスも開始した。2011年6月にはグローバル対応ECサイト「StrapyaWorld」を米国「Amazon US」に出店し越境ECを開始。同年10月に韓国法人を設立した。2013年5月にHamee(株)へ商号変更すると共に、米国法人を設立。同年12月に「ネクストエンジン」のAPIを公開しプラットフォーム化した。

2015年4月、東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場。同年7月に台湾と中国に現地法人を設立し、9月にインドに現地法人を設立。2016年2月には人工知能・機械学習を研究する「ネクストエンジンAIラボ」を新設。同年6月に経済産業省・東京証券取引所の選ぶ「攻めのIT経営銘柄2016」に選定され、同年7月には東京証券取引所マザーズ市場から市場第一部へ市場変更。同年8月、アウトドアスマートフォングッズ子会社「ROOT(株)」を設立した。
 
 
2017年4月期上期決算
 
 
自社企画商品比率の上昇による収益力の向上で営業利益率が5.7ポイント改善し10.8%に
売上高は前年同期比26.1%増の35億81百万円。iFaceシリーズの好調等で卸売を中心にコマース事業の売上が同26.5%増加した他、「ネクストエンジン」のメイン機能契約社数・アプリ契約社数が共に増加しプラットフォーム事業の売上も同23.7%増加した。
利益面では、増収効果やコマース事業における売上構成比の良化(自社企画商品の売上構成比の上昇)で売上総利益率が47.6%と5.2ポイント改善。変動費や、人件費(56百万円増)、支払手数料(33百万円増)、広告宣伝費(19百万円増)、商標権償却(15百万円増)等の増加による販管費の増加を吸収して営業利益が3億87百万円と同166.6%増加。東証1部への市場変更費用22百万円の計上等で営業外費用が増加した他、特別損失も増加したが、税効果会計の影響で最終利益は2億37百万円と同304.6%増加した。
 
 
コマース事業
売上高31億15百万円(前年同期比26.5%増)、セグメント利益2億92百万円(同4.5倍)。iFaceシリーズの好調等で大手量販店向け中心に卸売が同48.2%増加した他、自社サイト及びAmazonを中心に小売も同3.9%増加。卸売を手掛ける韓国子会社の売上も増加した。小売の売上の伸びが低いのは、iFaceシリーズの自社生産への切り替えに伴い一時的に生産が落ち込んだ事による。事前に予約が入っていた卸販売に優先的に商品を振り向けたため、小売では一部商機を逃した。また、小売はiPhone 7発売前の買い控えの影響も比較的大きかった。
利益面では、卸売の売上構成比が上昇したものの、自社企画商品の売上構成比の上昇でセグメント利益率は前年同期の2.6%から9.4%に6.8ポイント改善した。小売と卸売では売上総利益率に大きな差があるものの、販売効率の違いから営業利益率に大きな差はないようだ。
 
プラットフォーム事業
売上高4億66百万円(前年同期比23.7%増)、セグメント利益95百万円(17.7%増)。「ネクストエンジン」のメイン機能契約社数とアプリ契約社数が順調に増加した。売上の増加で利益も増加したが、前下期から今期初めにかけてのアプリ強化のための人材投資負担で、セグメント利益率が前年同期の21.4%から20.4%に1.0ポイント低下した(利益率は計画通り)。
上期末の「ネクストエンジン」のメイン機能契約数は前年同期末(2,065社)比19.0%増の2,457社(前期末2,228社)、アプリ契約社数は同(385社)比105.5%増の791社。店舗数は1,748店増の18,541店(同16,793社)。
尚、アプリ契約社数とは、有料の自社アプリまたは他社アプリを、それぞれ1件以上契約しているユーザー数である。
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて3億88百万円増の34億04百万円。借方では、卸売を中心にした販売の好調等で売上債権が増加した他、年末商戦に向けた自社企画商品の積み増しで、たな卸資産も増加。投資その他では、関係会社株式(非連結子会社)が増加した。貸方では、利益剰余金を中心に純資産が増加した他、事業の拡大で未払金も増加した。上期末の自己資本比率は64.5%(前期末66.1%)。
 
 
売上の増加やたな卸資産の積み増しで運転資金が増加したものの、利益の増加で営業CFのマイナス幅が大幅に縮小した。一方、有形・無形固定資産投資や関係会社株式の取得等、積極的な先行投資で投資CFはマイナス幅が拡大した。財務CFがマイナスになったのは、長期借入金の返済と配当の支払いによる。
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
自己資本の充実で財務体質の強化が進む一方で、総資産回転率とレバレッジが低下しROEの推移に反映されているが、ROE自体は高水準。自社企画商品の強化策が成果を上げ利益率の改善が進んでいる。17/4期はROEが上昇に転じる見込み。
 
 
2017年4月期業績予想
 
 
利益予想を上方修正した通期予想は前期比15.0%の増収、同70.8%の営業増益
想定を上回る自社企画商品の好調でコマース事業の収益性改善が進んでいる事を踏まえて、通期の利益予想を上方修正した。同事業は、成長戦略として「自社企画商品強化によるブランド力向上」を掲げ、新商品の開発・投入に取り組んできた成果が顕在化しつつある。

利益の上方修正要因は、コマース事業において自社企画商品の販売比率が期初計画を上回って推移した事による売上総利益の上振れ、及び商品の販売単価が上昇傾向にあった事による相対的な物流コストの低下、の2点。通期の営業利益率は前期の6.9%から10.3%へ大幅な改善が見込まれる。
一方、売上高については、利益の上方修正要因であるコマース事業において、「売上がほぼ期初見込み通りで推移している」として期初予想を据え置いた。
 
 
コマース事業については、自社企画商品の好調を踏まえて利益予想を上方修正したが、最大の書き入れ時である年末商戦について不確定要素が多い事や、年末商戦ほどではないが、年度末商戦の影響も大きいため、売上予想については据え置いた。小売の下期の売上予想は上期の実績を踏まえたものだが、卸売も含めて下期の売上は全般に保守的なものとなった。通期のセグメント利益率は前期の4.7%から8.5%に上昇する見込み。
一方、プラットフォーム事業については、開発要員の増強は上期に一巡しているため、下期は利益率の改善が見込まれる(上期20.4%→下期24.9%)。この結果、通期のセグメント利益率は前期の22.6%から22.7%に上昇する見込み。
 
(3)配当政策
「業績が順調に推移しており、安定的な収益基盤と、成長に向けた利益の再投資サイクルが確立されたと判断できる」として、16/4期に初の配当を1株あたり3円で実施した。
17/4期は1株当たり2円の期末配当を予定している(2016年11月の株式分割を考慮した実質ベースで1円増配の4円)。当面は配当性向10%を目処に配当を実施していく考えだが、将来的には20%〜30%の安定配当を目指している。
 
 
強みと成長戦略  −樋口社長に聞く−
 
コマース事業とプラットフォーム事業を両輪に、EC市場の成長を上回る利益成長を目指しているHamee 株式会社。神奈川県小田原市の本社にお邪魔して、樋口社長に同社の強みと成長戦略について、お話をうかがった。
 
【コマース事業の特徴と強みついて】
モバイル周りのビジネスは、メーカーであれば、パソコン周辺機器メーカーであるエレコムやバッファロー等の大手に加え、規模を問わなければ多くのメーカーが存在する。また、小売では、ロフト、東急ハンズ、ヨドバシカメラ、ビックカメラ等、大手雑貨量販店や大手家電量販店等、誰もが知る企業の販売力が強い。しかし、当社は、製造から、リアル店舗への卸し、自社での小売(ネット通販)まで、上流から下流までをカバーして、卸しで30億円、ネットでも30億円近くの実績を上げている。このような会社は他にない。ビジネスモデルではOnly Oneと考えている。
 
製造から、卸売、小売までを手掛けるメリットについて、ご説明頂けますでしょうか?
小売と卸売で得た情報を製品開発に活かせる事。両方のトレンドを捉えてモノづくりができ、それをネット(小売)とリアル(卸売)で流通させている。20年近くモバイル周りのビジネスを続けており、今はスマートフォンのアクセサリーが中心だが、スタートは携帯ストラップだった。携帯ストラップが伸びなくなっても、新たな商品を開発する事で事業を拡大させてきた。ネットとリアルでトレンドをつかみ、商品開発につなげる流れができている。このため、今後、スマートフォンアクセサリーの市場が伸びなくなったとしても、それに業績が連動するとは思わないし、そのための取り組みも進めている。
市場が大きく成長している時は新規参入が多く、競争が激しい。スマートフォン関連商品でも、一時期、アパレルメーカー等が参入してきたが、こうした企業は撤退も早く、今は競争相手が少なくなってきている。このため、事業環境は悪くない。
 
上期のコマース事業の利益率は9.4%でした。製造から一貫して手掛けているため利益率も高いですね。
ファブレスメーカーとしての機能を活かして自社企画商品(自社で開発・製造)比率の引き上げに取り組んでおり、その成果が出てきた。スマーフォンケースの「iFaceシリーズ」やディズニーのキャラクターを使ったグッズ等、自社企画商品が伸びている。商品の仕入・販売が中心だったが、今では自社企画商品が全体の6割程度を占めるようになっている。自分で作って、自分で卸しや小売で売る、と言う体制が整ってきた。
 
コマース事業の成長戦略について、ご説明頂けますでしょうか?
自社企画商品強化によるブランド力向上に取り組んでいく。自社企画商品については、既に説明した通り、全体の6割程度を占めるようになっている。
卸売は既に有力な小売店と取引があるため、販売先を増やすよりも、既存の販売先との関係強化に力を入れていく。そのためには、自社企画商品を強化してブランド力を向上させる必要がある。大手雑貨量販店の関西の店舗で、1階に「Hameeコーナー」を設けて頂いた。こうした動きを他の店舗や他の量販店にも広げる事ができるよう努力していきたい。一方、小売は、サイトの作り方や見せ方によって、ターゲットへの訴求力が大きく変わってくる。多ブランド化によるターゲットをより明確にしたサイト作りで深堀していく。既に、アウトドアに適したモバイルギアのブランド「ROOT CO.」、かわいいものグッズ専門店「Kawaii館」(キャラクター商品を扱う)、女子のためのスマホアクセサリー「Ketchup!」等で取り組みを始めている。「ネクストエンジン」があるため、多ブランド化や多店舗化(モバイルアクセサリーグッズ「Hamee」の、Amazon、楽天、Yahooショッピング等への出店がこれにあたる)しても大きなコスト増要因にはならない。
 
また、自社企画商品の比率が高まっているため、どのような商品を作るか、と言う商品開発と共に、商品毎の管理をより強化していく必要がある。仕入販売では、幅広い品ぞろえを強みとしつつも、トレンドを踏まえた機動的な対応ができたが、メーカー機能を強化すると難易度が高まる。品揃えは必要だが、必ずしも品ぞろえに頼らない販売も必要であり、そのためにもブランド力を高めていく必要がある。
 
【プラットフォーム事業の特徴と強みについて】
「ネクストエンジン」と競合する製品は沢山あるが、ユーザー数(契約社数)で比較すると2位との差は倍以上あるのではないか。受注の処理や在庫管理等の機能は競争が激しいが、「ネクストエンジン」はプラットフォームになっており、アプリを開発する事で「ネクストエンジン」に様々な機能を加える事ができる。この点でOnly Oneのシステムであろう。アプリは、当社が開発したものとサードパーティが開発したものがあるが、「ネクストエンジン」のユーザー自身が開発してもいいし、希望すれば外販もできる。料金体系は、無料のアプリもあれば、固定料金のアプリもあるし、従量課金のアプリもあり、様々だ。
 
どのような経緯で、EC事業者だった御社がプラットフォーム事業に参入したのでしょうか?
当初は自社の業務効率化が目的だったが、途中から外販を意識して開発を進めるようになった。「ネット通販は単価が5,000円以上ないと成立しない」と言われていた頃、1個1,000円程度の携帯ストラップがヒットした。パート従業員までもが夜中まで帰れないと言う程、忙しかったため、早い段階からIT化に取り組んだ。既存のシステムを使ったり、外注先に開発を依頼したりしたが、うまくいかず、「それでは自分たちで作ろう」と言う事になった。このため、エンジニア(現CTO・CCOの鈴木淳也氏)を採用して独自のシステムを作り始めた。
 
ここまで完成度が高まれば、外販に耐えうるのではないかと考えるようになり、更に外販を意識して開発を進めた。2008年に外販を開始したが、当社は最後発。しかし、受注・発注と仕入・在庫管理が一元化されたクラウド型システムが当時はなく、「ネクストエンジン」が業界初でOnly Oneだった。しかも、後発だけにいち早くクラウド型でのサービスを開始できた。大企業であれば、同様のシステムを自社開発しているだろうが、未だ手作業で行っている会社が圧倒的に多く、「ネクストエンジン」の潜在顧客である。また、自社開発のシステムを持っている企業も、APIを活用すれば、「ネクストエンジン」をつなぐ事ができるので、更に機能を向上させる事ができる。
 
 
「ネクストエンジン」はコマース事業のノウハウが注入されている訳ですね。プラットフォーム事業の成長戦略について、お聞かせ下さい。
究極は、当社はより速いデータベースとAPIの開発に専念し、他社がアプリ開発を担うような体制にしたい。速いデータベースとAPIの開発によってメイン機能の魅力を高める事でユーザー(契約企業数)が増えれば、アプリも増える。アプリが増えれば、「ネクストエンジン」の付加価値が高まるので更にユーザーが増える。当社とアプリ開発会社の収益につながり、ユーザーの満足度も高まるだろう。

当面の目標として、ユーザー数5,000社を掲げている。この規模になれば、プラットフォームとしての存在感も高まり、アプリの開発・利用も、より活発になると考えている。また、処理するデータ量が増えるので、ビッグデータ解析等によるソリューションも可能になるのではないか。2月に人工知能・機械学習を研究する「ネクストエンジンAIラボ(現探求室)」を新設し、研究を本格化した。
コマース事業は「ネクストエンジン」のサンプルとしてやっている訳ではなく、コマース事業を本気でやっているからプラットフォーム事業との相乗効果が出ているのだと思う。プラットフォーム事業を伸ばすために、これからもコマース事業を本気でやっていく。
 
 
 
【グローバル展開について】
韓国、中国、台湾、アメリカ、インドに現地法人があり、自社で越境ECや現地でのECを行っており、並行して、越境EC用のアプリや現地版の「ネクストエンジン」の開発を進めている。アプリを使って「ネクストエンジン」を海外のモールと連携させる事ができるようになれば、在庫連携と受注の自動取り込みが可能になり、受注を取り込む事ができれば国内の業務フローに乗せる事ができる(国内での販売と同じように処理できる)。自社での越境ECや海外ECを軌道に乗せ、越境ECや海外ECの支援事業につなげていきたい。
 
進出先での取り組みについて、お聞かせ下さい。
アメリカでは、現地法人が自社ドメインサイト「hamee.com」等でECを行っている。EC最大手のAmazon、2位のeBay、独自ドメインのEC最大手との自動連携アプリも開発済みで、越境ECの支援体制も整っている。
 
中国では、現地法人が中国EC最大手「阿里巴巴集団(アリババグループ)」のtaobaoに出店している(「strapya.world.taobao.com」を運営)。本気で現地でのECに取り組み、必要なIT化を進め、中国版「ネクストエンジン」を作る。中国版「ネクストエンジン」が完成すれば、中国でECを行う日本企業はもちろん、中国の企業にも使ってもらう。中国版「ネクストエンジン」と日本版「ネクストエンジン」をつなげば、日本企業、中国企業の双方でECがやりやすくなる。また、10月には、「アリババグループ」の越境ECプラットフォーム「天猫国際(TMALL GLOBAL)」と中国EC2位の「京東集団(ジンドン)」の越境ECプラットフォーム「京東全球購(JD Worldwide)」で越境ECも開始した。越境ECを行いながら、連携アプリの開発を進めていく。アプリによって、「ネクストエンジン」の画面上で「天猫国際」や「京東全球購」での業務を処理できるようになる。
 
韓国では、現地法人が「hamee.co.kr」を運営している他、卸売を行っており、コマース事業が黒字化している。また、韓国版「ネクストエンジン」のベータ版を無料で提供している。更に完成度を高め、認知度も高めた上で有料化したい。台湾では、現地法人が「台湾Yahoo!」に出店している(「tw.mall.yahoo.com/store/hamee_taiwan」を運営)。この他、インドにも現地法人を設立した。マーケットの将来性に加え、英語圏なのでアメリカのバックオフィス関連の業務支援や開発もできると考えた。現在、自社企画商品の製造、現地企業のモールに出店してのEC、卸売、アメリカ向け通販サイト運営、アメリカでのECのバックオフィス業務、グループ外企業の一部業務の請負等を行っている。インドのネット通販はAmazonから派生したような販売プラットフォームが中心のため、在庫の一元化や業務の統合・自動化等、日本版「ネクストエンジン」のノウハウや技術を活かしやすい事も特徴。インドは、英語ベースで、かつAmazonベースなので、インドで作ったシステムはアメリカでも利用できると考えている。夢が大きい事は確かだ。
 
各国のEC状況を把握しコマース事業を深耕した上で、プラットフォーム事業に進出し、各国のプラットフォームをネットワーク化していく。「ネクストエンジン」をECに不可欠なプラットフォームにすると共に、ユーザーがクロスボーダーでECをできるようにしたい。
 
【投資家へのメッセージ】
コマース事業とプラットフォーム事業のシナジーに加え、国内事業と海外事業のシナジーも期待できる訳ですね。詳細なご説明を頂き有難うございました。
最後に投資家の皆様にメッセージをお願いします。
 
おかげさまで東証1部上場企業となりましたが、まだまだベンチャーだ、と言う意識を持っています。これからも積極的に新しい分野に挑戦ながら、社会に、より大きな価値を提供していきたいと考えています。そして、事業をしっかりと成長させて株主の皆様にも利益を還元していきたいと考えています。引き続きご支援を宜しくお願い致します。
 
【取材を終えて】
キーワードは「本気」と「つながり」。コマース事業とプラットフォーム事業を通して、全ての取り組みがつながっている(連動している)。コマース事業を「本気」でやり、プラットフォーム事業も、収益の補完と言う訳ではなく、コマース事業との「つながり」を意識して「本気」でやっている。グローバル展開も同様で、日本での事業と海外での事業の「つながり」、海外でのコマース事業とプラットフォーム事業との「つながり」、更には地域間での「つながり」、といった具合。「つながり」は「シナジー」と言い換える事ができる。「シナジー」を引き出す事は難しく、期待したほどの「シナジー」を感じる事ができないケースが多いのだが、同社は事業間「シナジー」をうまく引き出している。緒に就いたばかりの海外展開もビジョンが明確で論理的だ。今後の展開に期待したい。
 
 
今後の注目点
更なる成長が見込まれるEC市場だが、「表」のプラットフォームは、Amazon、eBay、アリババ、楽天、Yahoo!ショッピング等、既に大手の寡占状態にある。そして、それぞれがライバル関係にあるため、お互い近づこうとはしない。しかし、プラットフォームを利用する小売業者は業務を効率化するためにバックオフィス業務を統合したい。「ネクストエンジン」はこうしたニーズに応えたシステムであり、業務のIT化と共に、大手各社の「表」のプラットフォームの裏側で、お互い近づこうとはしない大手各社のプラットフォームをつないでいる。この領域にシステム開発の専業企業が参入できない訳ではないが、本気でコマース事業に取り組んでいる同社にはかなわない。機動力や開発コストの面での同社の優位性に加え、廉価なクラウドサービスで投資を回収するとなると参入の魅力が薄れてしまうだろう。一方、「ネクストエンジン」を利用すれば効率化できる業務を未だ手作業で処理している企業が少なくない。競合に対する脅威よりも、どれだけ潜在需要を顕在化できるかがポイントになる。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書      更新日:2016年11月01日
<基本的な考え方>
 
当社グループは、「We Create the Best“e”for the Better“e”World.(より“e”世界につながるもっと“e”を創造する。)」をPhilosophy(経営理念)に掲げ、企業の継続的な発展と株主価値向上のため、コーポレート・ガバナンスに関する体制の強化と経営理念の推進を経営の最重要課題としております。また、当社では、社外取締役(1名)及び社外監査役(3名)により取締役会の監督機能を高め、経営の健全性・透明性の確保に努めております。今後も、取締役及び全従業員が法令・定款を遵守し、健全な社会規範のもとにその職務を遂行し、リスク管理、監督機能の強化を図り、経営の健全性・透明性を高めていく所存であります。
 
<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-1-2】
当社の属するEC市場は、技術革新や業界の変遷が激しい分野であり、将来収益を見通すことが著しく困難なため、定量的な中長期業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないと考えており、中期経営計画における数値目標を公表しておりません。なお、単年度予想と実績との乖離に関する原因分析は定期的に行っており、決算発表等を通じ株主を含むステークホルダーに対し開示・説明を行っています。
 
<開示している主な原則>
【原則1-4】
当社では、原則としていわゆる政策保有株式を保有しないことを基本方針といたします。現状において政策保有株式を保有しておりません。

【原則1-7】
当社は、関連当事者取引について、取引を行うこと自体に対する合理性があり、取引条件の妥当性があることが担保され、グループの利益が損なわれる状況にないもの以外は、これを行わないことを基本方針としております。関連当事者との取引を開始する際には、上記内容が担保されているかを慎重に判断し、会社法並びに当社稟議規程、職務権限規程に則り、取締役会決議等の決裁を受けることとしております。また、役員に対し定期的に関連当事者間の取引の有無を確認しており、有価証券報告書で開示しております。

【原則5-1】
当社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主等との建設的な対話を重視しており、代表取締役社長及びIR担当取締役ならびに企画・IR室を中心に様々な機会を通じて株主や投資家との対話を持つように努めております。なお、企画・IR室は、経理部門及び総務部門と一週間に一度の定例ミーティングを実施し、有機的な連携につとめております。現在のところ、社長が出席する決算説明会を年に2回開催しているほか、随時国内外の機関投資家とのミーティングを実施しており、電話取材、年に複数回の個人投資家説明会等も実施しています。それらの結果は、適宜、取締役会に報告しています。なお、株主との対話に際してはインサイダー情報の漏洩防止を徹底しています。
 
 
 
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