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ブリッジレポート:(6181)パートナーエージェント vol.3

(6181:東証マザーズ) パートナーエージェント 企業HP
佐藤 茂 社長
佐藤 茂 社長

【ブリッジレポート vol.3】2017年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「コネクトシップの新システムの再開がいつ頃になるかは残念ながら現時点では明確ではないが、同社ならではの経営ビジョンに基づくものとして期待され・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年2月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社パートナーエージェント
社長
佐藤 茂
所在地
東京都品川区大崎1-20-3 イマス大崎ビル
決算期
3月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年3月 3,644 445 434 285
2015年3月 2,664 146 132 79
2014年3月 2,164 51 39 17
株式情報(2/6現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
492円 9,823,200株 4,833百万円 63.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 - 14.58円 33.7倍 240.99円 6.3倍
※株価 2/6終値。2017年1月1日付で1:3の株式分割を実施。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
 
株式会社パートナーエージェントの2017年3月期第3四半期決算概要等をお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
多様な婚活支援サービスを提供。登録会員の婚活を支援する主力の「パートナーエージェント事業」のほか、婚活パーティーの企画・運営、及び低価格婚活支援サービスなどを手がける「ファスト婚活事業」、婚活に取り組む企業や地方自治体を対象に、イベント開催の受託からマッチングシステム提供、新規婚活支援事業の立上支援、地域における結婚しやすい環境作りまで幅広くサポートを行う「ソリューション事業」、結婚式場紹介、ブライダルリングの販売、保険契約の見直し、保育施設の運営などの関連サービスを提供する「QOL事業」を展開。「世の中に、もっと笑顔を。もっと幸せを。」という企業理念に基づき、各種サービスを展開している。中でも、専任コンシェルジュによるキメの細かいフォローアップと独自システムによる婚活支援により、高い成婚率実績を出していることが大きな特徴。
 
【1-1 沿革】
2004年6月、ウェディングの企画および施設の運営を手掛ける株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ(4331、東証1部、T&G社)が新規事業として婚活支援事業を始めるにあたり、100%子会社として同社を設立した。そのスタートアップにあたり招聘されたのが大手婚活会社で豊富な経験・実績を積み重ねた現社長の佐藤茂氏。
その後T&G社の業況が低調となり、継続的な投資が難しくなったのを機に、2008年5月、佐藤社長を始めとした経営陣と従業員の共同出資により株式を取得し、T&Gグループから独立した。「顧客成果追求」の結果である成婚率の高さを顧客に評価され、業績は順調に拡大。2015年10月に東証マザーズに上場した。
 
【1-2 企業理念】
佐藤社長が創業時に掲げた想い「顧客成果の追求」をベースに、以下のようなミッション、ビジョンを示している。
 
 
佐藤社長はこれらの理念について、具体的な課題やトラブルへの対応など業務を通じてその度ごとに理念に立ち戻り考えることで、初めて社員各人及び組織に理念が浸透すると考えている。
 
【1-3 市場環境】
<未婚者状況>
*上昇続ける未婚率
総務省の国勢調査によれば、25-34歳の未婚率は男女とも上昇を続けている。
 
 
*未婚者の結婚の意思 ~「結婚する意思」は引き続き高水準~
「2016年社会保障・人口問題基本調査<結婚と出産に関する全国調査> 第15回出生動向基本調査」によれば、結婚する意思を持つ未婚者の割合は18~34歳の男性で85.7%、女性で89.3%となっており、「結婚したい」と考えている未婚者の数は依然高水準である。
 
 
一方、「一生結婚するつもりはない」未婚者の割合が男女とも上昇してはいるが、その中でも今後「いずれ結婚するつもり」に変わる可能性があると回答した割合は、男性44.1%、女性49.8%となっており、今は結婚するつもりの無い層も半数近くは今後結婚に向けて動き出す可能性がある。
 
*独身でいる理由 ~25歳を過ぎると適当な相手にめぐり会わない~
未婚者に独身でいる理由を尋ねたところ、18~24歳の若い年齢層では、「若すぎる」、「必要性を感じない」など積極的な動機が無いことが多く上げられているが、25~34歳では、「適当な相手にまだ巡り会わない」という理由を挙げる割合が増加しており、出会いやその機会に対するニーズが大きいことが窺える。
 
 
<同業他社>
日本全国には約3,000の婚活会社があるが、その9割は個人事業主で、全国規模で事業を展開しているのは同社を含め数社のみである。
以下は同社を含めた婚活関連の上場企業である。
 
 
【1-4 事業内容】
従来から手掛けているパートナーエージェント事業に加え、ファスト婚活事業、ソリューション事業、QOL事業の3事業を2017年3月期より本格的に開始している。2018年3月期からは報告セグメントとして4事業に分ける予定。
 
①パートナーエージェント事業
顧客として入会した会員に対する情報提供、相手の紹介、出会いの機会の提供を行っている。
会員にはそれぞれ専任のコンシェルジュが婚活支援の担当としてつき、活動設計を行い、プロフェッショナルとして顧客をサポートしている。また、出会いの機会を提供するため、会員同士のイベントを企画・運営するなど付随サービスも提供している。
会員構成は男女比で4:6~3:7で女性が多い。
 
 
(サービスの特色)
「1年以内を目途に結婚相手を見つけたい顧客」に対し、高いコーチングスキルを持ったコンシェルジュが担当として付き、プロセスに手間や時間をかけず費用対効果の高いサービスを求める顧客ニーズに応えるべく、PDCAサイクルに基づく活動支援を行っている。
コンシェルジュは、婚活支援を通じて人の役に立ちたい、喜びを共にしたいと考えている、子育てが一段落した年代の女性が中心で、2016年6月末時点で171名のコンシェルジュが在籍している。
また、コンシェルジュの活動については、「顧客成果の追求」を掲げている同社においては、成婚率、中途退会率など主として「顧客満足度」の視点から評価を行っている。
 
<PDCAサイクルに基づく活動支援のイメージ>
①入会前:サービス内容と料金体系の明確化
初めて来店した入会を検討している顧客には、入会勧奨を行うアカウントエグゼクティブが応対し、サービス内容と料金体系について正確に理解してもらうべく丁寧な説明を行う。
しかし、一定の基準に基づき、結婚相手の紹介の継続が難しいと判断した場合には、入会を断る場合もある。
これは、入会後月会費等の費用が発生するにも関わらず、コンタクト(お見合い)に至らない、または交際に発展しないなど、顧客が満足できない状況を招くことを避けるためでもある。
 
②入会後:専任コンシェルジュによる活動サポート
入会すると、はじめにその会員がどのような価値観を持ち、どのような相手を希望しているのかを把握するため会員の婚活支援を担当するコンシェルジュが時間をかけて面談を行う。
この際、コーチングスキルを用いて会員がまだ明確にできていない相手への希望や理想像をより明確化することで、抽象的に相手探しをするのではなく、より具体的なマッチングに結び付けられるようにする。
従来のデータによるマッチングだけでなく、コンシェルジュという人間を通して相手を紹介することで同業他社との差別化を図り、結果的に、回り道をせず手間や時間をかけずに費用対効果の高いサービス提供へとつながっている。
さらに、活動を通して、専任のコンシェルジュがPDCAサイクルを用いて活動の軌道修正を支援するため、失敗があっても前向きに婚活に取り組んでもらうことができる。
加えて、コンタクトの感想や感触の確認、その後の交際期間中の悩みごとの相談、成婚(※)後のフォローまで、コンシェルジュが会員の気持ちに寄り添って、共に成婚実現に進んでいけるようにサポートする。
また、成婚後のフォロー期間も1年間に設定することで、成婚後であっても長期間フォローし、結婚までの道のりをサポートしている。
(※)成婚(退会)
交際中の相手との結婚を視野に入れて交際を継続する意向を双方から受けた上で退会すること。
 
③コンタクト(お見合い)の設定:専任のコンシェルジュ以外の活動サポート
活動が進むと、相手とのコンタクト(お見合い)を迎える。コンタクトの日時調整、場所の申し合わせなど、手間のかかる作業もシステムと専門チームがサポートするため、手間をかけずに効率よく活動することができる。
コンタクト当日に道に迷ったり、相手を見つけられない場合なども、窓口スタッフが電話・メールでサポートを行い、出会いの機会を逃さないように支援している。
また、セカンドオピニオンとしてのアドバイスや助言のニーズに対応するために、サービスデスクを設置し、会員からの相談・要望に第三者からのアドバイスや助言を提供し、活動がより円滑に行えるためのサポート体制を構築している。
 
 
費用内での紹介件数に上限は無い。同社では原則として月2件以上の紹介を行うこととしている。
 
(付随サービス)
①会員向けイベント
コンシェルジュによる相手の紹介だけでなく、会員を対象に出会いの機会を提供するため、婚活パーティーなど各種イベントの企画・運営を行っている。
イベント専門のスタッフが運営を行い、出会いをサポートしている。数多くの会員がイベントをきっかけに交際に発展し、成婚まで至っている。
イベントスペースを自社店舗内に設けることで機動的な開催が可能であり、イベント会場の賃借費用が不要となっている。
 
②オプションサービス
会員向けの写真撮影会を有料で提供している。婚活においては第一印象が重要視されるため、プロのカメラマン、メイクアップアーティストと提携し、自社店舗または提携先スタジオで写真撮影を行っている。婚活に特化しているため、適切な服装、表情など、経験に裏打ちされたアドバイスの提供も可能である。
カラーコーディネート、ファッションアドバイザリー、コミュニケーション力向上など、婚活に関連する予備知識や情報提供を、有料セミナーによって提供している。
 
②ファスト婚活事業
低価格で気軽に始めることができる婚活サービスというコンセプトで展開している事業。3つのサービスで構成されている。
 
 
(1)「OTOCON(オトコン)」婚活パーティー
一般会員向けの婚活パーティーを「OTOCON(オトコン)」として企画・運営している。
一般会員向けではあるが、各種イベントを通じて同社に興味を持ち、会員になるケースも多く、入会の1つのチャネルとして機能している。
また、パートナーエージェント事業の会員向けイベントサービスと同様に、イベント専門のスタッフが自社店舗内のイベントスペースでイベントを企画・運営するため、社内設備の有効活用ができ、かつ入会チャネルとして機能しているため、ファスト婚活事業自体の収益だけでなく、他サービスとのシナジーも発揮している。
 
(2)「OTOCON MEMBERS婚活カウンター」
婚活パーティーだけでなく、結婚相手の紹介も受けて婚活をしたい独身者向けに比較的低価格で利用できる婚活支援サービスで、2016年5月に提供を開始した。
専用店舗として2016年5月の新宿店(東京都)、心斎橋店(大阪府)を皮切りに、名古屋店(愛知県)をオープン。パーティー参加者が2017年3月期の計画値(前期の1.5倍)の1.4倍程度となっていることから、出店をさらに加速・強化し、同年10月に、船橋店(千葉県)、銀座店(東京都)、11月に池袋店(東京都)を開設し、現在6店舗を運営している。
 
(3)Yahoo!婚活コンシェルプラン
ヤフー株式会社が運営する婚活ポータルサイト「Yahoo!婚活コンシェル」内で、同社が提供する結婚情報サービス。
結婚相談所がサポートする質の高い出会いを誰もが使いやすい価格で提供しており、両社の共同事業モデルとなっている。
「専任コンシェルジュのサポート」、「精度の高い紹介システム」、「登録はオンライン」、「安心の会員構成」、「初期費用は結婚相談所の10分の1以下」等が特長。
利用者への告知・集客をインターネット上で行うことで店舗の運営にかかる費用を削減し、サポートにかかる費用のみでサービス提供することで、低価格を実現している。
 
③ソリューション事業
(1)事業会社及び地方自治体向けコンサルティング
婚活業界への参入を検討している事業会社や、住民に対する婚活支援活動を実施しようとしている自治体に対し、事業の立上げ・導入から運用まで、下記の様な幅広いメニューを用意し、支援先のニーズや状況に応じて、これらのメニューの中から最適化したソリューションサービスを提供している。
 
 
対自治体については、各地方自治体が取り組んでいる様々な結婚支援事業の支援を行うべく、連携を強化している。支援事業の内容としては、①出会いの機会の創出や結婚希望者のマッチングを行うなどの直接的な結婚支援事業と、②結婚への前向きな気運の醸成や結婚を促進するための環境整備を行う事業に大別され、2016年度においては、内閣府による地域少子化対策重点推進交付金の交付という形で、国から地方自治体への財政的支援が行われている。

自治体支援においては、「parms」という同社が開発した結婚支援システムを地方自治体に提供しているケースが多い。「parms」は、結婚支援事業に必要な会員登録、会員管理、お相手とのマッチングなどの基本機能だけでなく、利用者(結婚を望む男女)の活動をサポートする機能や、事業運営側のスタッフの業務を効率化する機能等を網羅的に兼ね備えたシステム。運営主体の要望に応じたカスタマイズも可能となっている。
 
 
受託件数は企業向け支援で2016年3月期 1社、2017年3月期 7社(予定)、自治体向け支援で2016年3月期 14自治体、2017年3月期 19自治体(予定)と着実に拡大している。
 
(2)会員相互紹介プラットフォーム「CONNECT-Ship」
婚活支援事業者間で自社会員の相互紹介を可能にするプラットフォーム「CONNECT-ship(コネクトシップ)」の早期稼働を目指して準備を進めている。(※2017年1月25日付でリニューアルを予定していたが安定した稼動が当面見込めないため1月29日21:00を持って新システムを停止した。)
 
 
これら一定規模の事業者間において、最大5万人超の会員(各社の会員数合計)の相互紹介を通じて成婚率を高め、顧客成果、顧客満足度の向上を図る「コネクトシップ」は、婚活支援業界初の試みである。
会員相互紹介を実現するプラットフォーム(システム)としては、パートナーエージェントが開発し、運用保守を行う「コネクトシップ」サービスを使用し、「コネクトシップ」の運営事務局も同社が担う。

当初は5社でスタートするが、今後も顧客成果である成婚の最大化という想いを共有できる婚活支援事業者を利用事業者に加え、規模を拡大していく予定。
利用事業者は、自社のサービス内容や運営について、事務局である同社を含めた他の利用事業者から干渉されることなく、自社の顧客に独自のサービスを提供することができる。

システムを提供・運用する同社は、利用事業者各社から受け取る①登録会員1人当たりの月額利用料、②会員同士のお見合いが成立した場合のお見合い料を収益源とする。
来期2018年3月期より収益が発生する計画。
 
(狙い)
利用事業者が、営業面での競争のみならず、新しい枠組みの中で顧客成果である成婚を追求して切磋琢磨すること により、顧客満足度を高めて業界全体の発展を図るとともに、サービス品質に基づき健全な競争を行うよう業界に変革を促すことも、「コネクトシップ」を主導する同社の狙いである。
 
④QOL(Quality of life)事業
パートナーエージェント事業によって顧客となった会員に対し、成婚退会後もその関係性を維持して人生の節目において各種サービスを提供し顧客満足度の充足・向上を図りつつ、収益機会の拡大を図る。

成婚退会した会員がメンバーとなる「アニバーサリークラブ」が主として以下のようなサービスを提供している。
 
 
2016年7月には、社員の福利厚生も兼ねた、内閣府の主導する企業主導型保育施設「めばえ保育ルーム三鷹台」を開設した。地域と連携し保育環境の改善を目指している。
 
【1-5 特長と強み】
「顧客成果の追求」と結果としての成婚率の高さ
同社を特徴づける最大のポイントは、「成婚率」の高さである。
2016年3月期の成婚率は27.2%。2012年3月期は20%を下回る水準(19.6%)であったが毎期着実に上昇を続けている。
 
 
同業他社は明確な数字を開示していないものの平均10%と言われており、同社の成婚率の高さは断トツである。

在籍会員に対するある期間における成婚退会会員数の割合を示す「成婚率」は、婚活会社の必要性を問われてしまう可能性もある両刃の刃であるという意味で、婚活業界においては指標として明示すべきではないとの認識が主流であった。

これに対し佐藤社長は創業時より事業に対する想い、企業戦略として「顧客成果を高める」を掲げてきた。
顧客が同社に求めるものは「結婚」という成果であり、これを可能な限り高めることこそが自社の社会的な存在価値であるという考え方だ。
この目的を実現するために、採用、教育、育成、研修、ナレッジ共有、マネジメント、評価制度、などあらゆる活動のベースを「顧客成果の追求」においている。

こうした姿勢が業界では群を抜いて高い「成婚率」に結びついている。
 
 
2017年3月期第3四半期決算概要
 
 
増収も経費を吸収しきれず減益。
売上高は前年同期比9.7%増の29億64百万円。主力のパートナーエージェント事業の会員数は前年同期比6.4%の減少となった。成婚率は前期実績27.2%を上回る水準で推移している。
営業利益は同2.9%減の3億13百万円。販促費の効率化、コンシェルジュの生産性向上による採用人員コントロールなどを進めたが、販管費増を吸収しきれなかった。
 
(パートナーエージェント事業)
新規入会会員数は前年同期比6.4%の減少。一方、在籍会員数は、成婚率の向上により成婚退会会員数が増加したが同3.2%増加した。

新規入会会員数の減少の主な原因としては、同社が加盟していた日本結婚相談所連盟(運営事業者:株式会社
IBJ)から除名されたことが主要因。
同社は、顧客満足度を高めるため、入会時に紹介対象会員が何名ぐらいいるかを入会希望者に伝えているが、連盟からの除名により紹介対象会員数が少なくなったことで、特定の地域や年代の見込み会員が入会に至らないケースがあった。

なお、同社では、日本結婚相談所連盟は多くが個人運営の結婚相談所で構成されているのに対し、コネクトシップは大・中規模事業者の相互会員紹介を行うもので競合するものではないと考えていたが、株式会社IBJはこれを競合と認定したため、2016年6月末をもって急遽除名となった。

6社7サービスで2017年1月25日にシステム稼働開始を予定していたコネクトシップだが、安定した稼動が当面見込めないと判断し、1月29日21時に新システムを一旦停止した。
同社及び提携先企業の会員に対するサービス提供を通常通りに早急に行えるようにするため2017年1月31日より従来のシステムを稼働させ、安定的に運用されている。
新システムの再稼動時期については検討中であるが、2017年1月分の月会費の請求を取りやめた。
この影響もあり、通期業績予想を下方修正した。

同社が最も重視している顧客成果である成婚率は前期実績の27.2%を上回って推移しており、4月-12月の成婚率は29.0%前後と見込んでいる。

出店に関しては、2016年11月、高崎店(群馬県)、2017年1月に水戸店(茨城県)を新規出店。また、2017年3月には姫路店(兵庫県)の新規出店を予定している。
 
(ファスト婚活事業)
婚活パーティー「OTOCON」の4月-12月における延べ参加者数は前年同期比110.4%増の95,641名となった。
また、「OTOCON」パーティー参加者数が計画に対して概ね1.4倍で推移していることを受け、2016年10月に船橋店、に加え、計画外で銀座店(10月出店)、池袋店(11月出店)を開設した。
 
(ソリューション事業)
前回のレポートで紹介したように、2016年8月、長野県南佐久郡川上村と「女性活躍推進及び結婚環境向上推進に関する連携協定」を締結し、同年9月に、福島県の結婚支援事業に関する包括的な支援業務を受託した。
 
(QOL事業)
新たな試みとして、社員の福利厚生も兼ねた企業主導型保育施設「めばえ保育ルーム三鷹台」を2016年7月に開園した。
 
 
流動資産は前期末から41百万円減少。新システム構築、新店舗出店に伴う設備投資で固定資産は同1億97百万円増加。資産合計は同1億55百万円増加の21億10百万円となった。
長短借入金の増加等で負債合計は同1億65百円増加の13億30百万円。
利益剰余金が増加したが自己株式の増加で純資産は同9百万円減少の7億79百万円となった。
この結果自己資本比率は前期末の40.4%から36.9%へ3.5%低下した。
 
(3)トピックス
◎歯科医院向け通販サイト会員向けオンライン婚活支援サービス「Ci しあわせエージェント」を開始
ファスト婚活事業のASP型婚活支援サービスの一環として、株式会社歯愛メディカル(TOKYO PRO Market、3540.以下、「Ciメディカル」)と協力し、オンライン婚活支援サービス「Ciしあわせエージェント」を開始することとした。

Ciメディカルは国内の歯科医院を中心とした医療関係者向けの通販サイト「Ciモール」の運営をはじめ、通信販売事業を主要事業としている大手通信販売企業。
「Ciモール」は、全国に約7万軒ある歯科医院のうち、約6万軒の歯科医院に所属する歯科医、歯科助手、医療事務担当者、歯科技工などが利用しており、高シェアを有する医療用品の総合通販サイト。
 
 
◎人材大手エン・ジャパン株式会社のグループ会社が展開する「エン婚活」が「コネクトシップ」の利用を開始
人材総合サービス大手のエン・ジャパン株式会社(JASDAQ、4849)のグループ企業であるエン婚活株式会社が、「コネクトシップ」を利用することとなった。この結果、コネクトシップは6社7サービスによって利用されることとなる。
 
◎株式分割を実施
流動性向上により投資しやすい環境整えることで、投資家層を拡大することを目的とし、2017年1月1日付で1:3の株式分割を実施した。
 
 
2017年3月期業績予想
 
 
業績予想を下方修正。増益も2桁の減益へ。
前述の様に新システムの停止により2017年1月分の月会費を請求しないこととしたことに加え、日本結婚相談所連盟から除名された影響による一時的な新規入会会員数及び在籍会員数の減少により、業績予想を下方修正した。
なお2月以降に月会費は従来システムの提供により通常通り請求できる。
 
 
(2)今後の方針
主力事業であるパートナーエージェント事業における入会会員数及び在籍会員数を増大させるために主に以下2点に注力する。
 
①会員数の増加による顧客満足度の向上
新規入会数及び在籍会員数減少の原因の一つは、日本結婚相談所連盟からの除名により、一部の入会希望者に対し継続的に相手を紹介することが難しくなり、満足のいく婚活サービスを提供できないことを懸念し入会を断ったため。また自ら相手を選びたいという会員のニーズを満たすことができずに、一定数の退会が発生したためであった。
以降はコネクトシップを早期に開始し、婚活支援事業者間で紹介できる会員数増を図るとともに、入会会員に対して紹介できる会員の数をさらに充実させることで顧客満足度を高め、新規入会数と在籍会員数の増加に結び付ける。
 
②広告効率の改善
広告効率の改善に取り組み、入会会員数の増加を図る。既に2017年1月から広告のグランドデザインを変更しているが、その結果、2017年1月単月の入会会員数は過去最高となり、改善傾向が表れている。
 
 
今後の注目点
コネクトシップの新システムの再開がいつ頃になるかは残念ながら現時点では明確ではないが、同社ならではの経営ビジョンに基づくものとして期待されているだけに一日も早い再稼働が望まれる。
一方、下方修正のもう一つの要因であった新規入会数動向については、広告デザインの変更により早くも効果が現れているということで、第4四半期(1-3月)の実績が注目される。
同社の特長である成婚率は4月-12月で29.0%前後と引き続き業界最高水準を維持しており、その継続が投資家の信頼回復に繋がることとなろう。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年7月2日に提出している。

<実施しない主な原則とその理由>
同社はマザーズ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施すると記している。