ブリッジレポート
(6465:東証1部,名証1部) ホシザキ 企業HP
坂本 精志 会長
坂本 精志 会長

【ブリッジレポート vol.21】2016年12月期業績レポート
取材概要「国内、特に首都圏マーケットは大手顧客の設備投資抑制、価格競争の激化と、決して良好とは言い難い事業環境であり、同社もその影響は避けられ・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年4月18日掲載
企業基本情報
企業名
ホシザキ株式会社
会長
坂本 精志
所在地
愛知県豊明市栄町南館3-16
事業内容
フードサービス機器大手。全自動製氷機、業務用冷蔵庫など主力製品で国内首位。製氷機は世界シェア3割でトップ。M&Aに積極的
決算期
12月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年12月 265,548 34,575 34,140 21,430
2015年12月 260,174 31,719 30,864 16,971
2014年12月 233,252 26,984 31,235 15,011
2013年12月 205,513 20,052 26,349 15,769
2012年12月 178,863 16,483 19,768 11,276
2011年12月 169,297 13,808 13,750 7,220
2010年12月 169,379 13,842 13,058 8,884
2009年12月 160,291 8,738 9,455 4,896
2008年12月 170,281 9,364 7,144 4,209
2007年12月 178,379 9,770 9,768 3,546
2006年12月 86,793 3,861 4,586 1,939
2006年6月 34,106 2,971 3,521 1,629
2005年11月 51,231 4,463 4,854 3,204
株式情報(4/13現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
8,950円 72,414,451株 648,109百万円 11.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
70.00円 0.8 332.81円 26.9倍 2,562.66円 3.5倍
※株価4/13 終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
BPSは直近四半期末実績。
 
ホシザキの2016年12月期決算概要、2017年12月期業績見通しについてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
飲食店、病院・介護老人保健施設(以下、病院老健)、学校・保育園、スーパー、コンビニエンスストア(以下、コンビニ)、オフィスなどを顧客とし、製氷機、冷蔵庫を始めとしたフードサービス機器の研究開発・製造・販売及び保守サービスを行っている。

製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサ等の主力製品では国内トップシェア。製氷機、冷蔵庫に関してはグローバル市場でもトップシェアである。独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス&サポート体制等が強みであり、同業他社に対する大きな優位性となっている。

海外売上高比率は33.7%(2016年12月期)。ホシザキを含む連結グループ会社は、2016年12月末時点で、国内18社、米州14社、欧州・アジア等25社の合計57社。工場は国内5、米州7、欧州・アジア6とグローバルでの生産体制を構築している。国内営業体制は、北海道から沖縄までの15販売会社及びその447営業所(2016年12月末時点)によって日本全国をカバーしている。また海外では米州、ヨーロッパ、アジア・オセアニアに、販売会社を配置し、全世界を幅広くカバーできる体制を整備している。
 
 
【事業内容】
製品別売上は、製氷機17.5%、冷蔵庫25.8%、食器洗浄機6.7%、ディスペンサ11.3%、他社仕入商品12.0%、保守・修理16.9%、その他9.8%となっている(2016年12月期)。
 
 
【特徴・強み】
1.独自の技術に基づく製品開発&高い品質基準
独自技術に基づいた製品企画から製品化までの一貫した研究体制を持つことにより、最終顧客の多様なニーズへ迅速に対応している。また、新製品開発、既存製品の改良や改善、シリーズ展開及び原価低減活動に加え、販売及び保守サービス活動から得られる情報や市場品質情報を製品開発に活用する体制を確立している。また、独自の品質基準を設定し、業務用という厳しい使用環境に耐えられる構造設計を行っており、過酷な条件で繰り返し行われるテストに合格した部品や技術のみが採用されている。
 
2.主要製品でトップシェア
高品質、サービス&サポート体制、省エネ・低環境負荷、耐久性、使いやすさ、デザイン性等といった様々なポイントが顧客に評価され、製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサ等の主力製品では国内トップシェアとなっている。また、製氷機、冷蔵庫に関しては、グローバル市場においても、トップシェアである(同社推計)。
 
 
3.きめ細かいサービス&サポート体制
同社では国内を15販売会社及びその447営業所でカバーし、約2,500名のサービススタッフによる地域密着型のきめ細かいサービス&サポート体制をとっており、ユーザーから故障やトラブルの問い合わせがあった際は、短時間で駆けつける「即日対応」を掲げて、スピーディーな対応を行っている(いずれも2016年12月末現在)。
 
4.営業力の強さと強固な顧客基盤
約3,100名の営業スタッフが日本全国をカバーする直販体制による営業力の強さも同社の大きな特徴である。高い直販比率のため顧客との密着度は高く、現在の強固な顧客基盤の構築に繋がっている。また、サービススタッフとの緊密な連携により、顧客の状況に即応した提案を行う事が出来る機動性の高さも顧客から高く評価されている(2016年12月末現在)。
 
 
2016年12月期決算概要
 
 
国内外市場ともに順調で増収・営業増益
売上高は前期比2.1%増の2,655億円。国内売上高は、同3.6%増の1,761億円。主力製品、戦略商品共に堅調。保守・修理も好調だった。
海外売上高は、同0.9%減の893億円。米国、欧州、アジアとも現地通貨ベースでは増収だったが、円高の影響により、減収となった。
営業利益は同9.0%増の345億円。国内の増収効果に加え、海外グループ会社ののれん償却額の減少、全社的な原価・販管費管理が寄与した。営業利益率は前期に比べ0.8ポイント上昇した。
経常利益は同10.6%増加の341億円となった。
当期純利益は同26.3%増加の214億円。前期は特別損失にMacomののれん償却額等17.9億円を計上していたことに加え、今期は国内法人実効税率が低下し法人税等についても減少した。
2016年7月発表の修正予想を売上、利益共に上回った。
配当予想については2016年11月7日公表の配当予想の通り、前期の60円/株から70円/株に増配となっている。
 
 
(国内)
売上高は前期比3.6%増収の1,761億円。営業利益は同5.7%増の229億円。
一般社団法人の日本フードサービス協会が公表している外食産業市場動向調査によると、大手チェーン店の全店店舗数は第4四半期を除いて前期比マイナスで、通期でも2010年以来6年ぶりに前期比マイナスであった。全店売上高はプラスで推移したが、業態によってバラツキが見られる。
同社の業種別売上高構成を見ると、飲食店、飲食店以外共にバランスよく拡大した。
業種を個別に見ると、飲食店以外では、病院老健は消費増税前の駆け込み需要の反動減の影響等が続き、今期も減収となったが、一方で加工販売等、宿泊施設、オフィス工場等が堅調だった。
製品群別では、ディスペンサが減収だったが、冷蔵庫が引き続き好調だったことに加え、スチームコンベクションオーブン等戦略商品の販売も堅調だった。
 
<海外>
(米州)
売上高は前期比2.4%減収の608億円。営業利益は同2.9%減の100億円。
現地通貨ベースでは堅調だったが、円高の影響により減収減益となった。
 
(欧州・アジア)
売上高は前期比2.6%増収の285億円。営業利益は同4.0%増の28億円。
主力製品の拡販に努めた。円高の影響を受けたが、増収増益となった。
 
 
前期末と比べ、現預金、たな卸資産が増加し流動資産は149億円増加。建設仮勘定、のれんの増加等で固定資産は同13億円の増加。資産合計は同163億円増加の2,899億円だった。
一方、前受金の増加等で負債合計は同56億円増加し、1,027億円となった。円高により為替換算調整勘定がマイナスに転じたが、利益剰余金の増加で株主資本が増加したため純資産は同106億円増加の1,871億円となった。
この結果、自己資本比率は前期末より0.5ポイント上昇の64.0%となった。
 
(4)トピックス
◎代表取締役の異動
2017年3月29日、現・代表取締役会長兼社長の坂本精志氏が代表取締役会長に、現・取締役の小林靖浩氏が代表取締役社長に就任した。

同社は今年創業70周年を迎え、若いリーダーを中心とした新たな経営体制の下で経営基盤を強化し、企業価値の更なる向上と持続的成長を図ることを目的とした異動である。坂本精志氏は代表権のある会長となり、引き続き会社の長期的な経営戦略の指揮を執る。

新社長の小林靖浩氏は1966年生まれの50歳。
大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了後、コンサルティング会社、事業会社経営企画部長等を経て2008年同社入社。2012年3月に取締役に就任した。
同社ではこれまで主に管理部門を担当し、経営企画、経営計画策定、グループ会社管理、IR等で中心的な役割を果たしてきた。
 
◎ホシザキ研修センターを竣工
2017年3月17日(金)、販売した製品及び厨房機器全般の修理と、機器の診断等を行う保守業務に関するサービススタッフの教育・育成を目的としたホシザキ研修センターを愛知県豊明市の本社工場敷地内に竣工した。

一般的に厨房内は、高温・高湿度といった過酷な環境となりやすく、このような環境下で使用されている機器の品質を長期にわたり維持していくためには、様々な機器の修理が可能な高度な技術と、その技術を備えた十分な人材の確保及び継続的な育成が必要となる。
「サービス力」を競争優位性の源泉と位置づけている同社は、人口減少による市場規模の縮小が懸念される中、新たな市場を開拓すべく、国内をはじめ海外でも通用するサービス人材の確保・育成を目指してこの研修センターを開設した。
 
 
2017年12月期通期業績見通し
 
 
増収増益を予想。
売上高は前期比3.9%増の2,758億円の予想。
国内売上高は同4.9%増の1,848億円。一部の大手顧客で設備投資抑制継続が見込まれるが、主力・戦略商品の既存・新規顧客への拡販が継続する。
海外売上高は同1.8%増の910億円の予想。主要な為替レートを円高方向に見込んだことによる、円換算後のマイナス影響に加え、ブラジルMacom社の決算期変更による影響、インド市場における炭酸飲料メーカーの設備投資抑制継続などを見込んでいる。
 
 
営業利益は同2.4%増の354億円。
国内では大手顧客向けの価格競争激化を想定している。海外では主に北米での材料費高騰、先行投資及び新興国を中心とした価格競争激化による利益率低下を見込んでいる。
経常利益は、同6.0%増の362億円の予想。外貨預金等による為替差損益は見込んでいない。
配当は前期同額の70円/株を予想。予想配当性向は21.0%。
 
 
 
今後の取り組み
 
<国内>
2017年度の重点施策と懸念事項として以下の様な点を認識している。
 
*営業所をベースとした活動量及び質の向上
国内市場は、一部の大手顧客が設備投資抑制を継続する可能性があり、依然として価格競争も激しくなることが予想され、事業環境下は決して良好とは言えない。そうした中、同社の強みである全国447ヶ所の営業所に属するエリア営業部の営業・サービスの連携による活動をより効率的に推進し、収益基盤の更なる強化を図る。

具体的にはPDSサイクル(Plan(活動計画の精緻化:DBに基づく訪問先選定など) → Do(活動の効率化:タブレットの活用など) → See(活動結果の分析と計画への反映:営業・サービスを含めた活動結果の共有など)を回し、収益基盤の更なる強化を図る。
 
*衛生管理提案をベースとした販売強化
集団食中毒、異物混入、使用期限切れ食材の使用、食品偽装などが大きな社会問題となる中、同社の販売会社ではコンサル室を中心に約170名がHACCP(※)資格を取得し、電解水を始めとした衛生管理機器を武器にHACCPに基づいた提案を行い、導入実績が積み上がっている。
(※)HACCP:食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の危害をあらかじめ分析し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという重要管理点を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理の手法です。この手法は 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです(厚生労働省HPより)。
 
*温度管理システム(IoT)を活用したソフト提案
他社機を含めた各種厨房機器をインターネットで接続し、機器および中の食材の状況を一元管理する「ホシザキスマートバンドシステム」を構築。製品販売だけでなく、温度管理、衛生管理を含めたトータル提案を行い顧客の囲い込みを図っている。
管理作業の効率化を顧客から高く評価されている。
 
*物件対応力の強化
物件情報の収集力に加え、営業・設計等との連携プレーが奏功し、東急プラザ銀座(東京都)、KITTE博多・博多マルイ(福岡県)などの大型プロジェクトの複数受注に結び付いている。
 
<海外>
2017年度の重点施策と懸念事項として以下の様な点を認識している。
 
*北米の製氷機市場のシェアアップ(ホシザキアメリカ)
フレークアイス・メーカー、キューブアイス・メーカーを合わせた製氷機の市場シェアはトップとなり、更なる拡大を図る。
 
*冷蔵庫品揃えの強化(ホシザキアメリカ)
2016年5月、アメリカの冷蔵庫生産工場(グリフィン工場)の拡張工事を実施し、生産体制を強化した。
集中購買グループ等の販売チャネル強化、戦略的なプライシング、積極的な販促活動に加え、商品ラインアップを着実に増やし、北米での更なる冷蔵庫の拡販を目指している。
 
*欧州販売機能統合(ホシザキヨーロッパ、グラム)
2017年1月、欧州ビジネス加速のためにホシザキヨーロッパとグラムの欧州販売機能をホシザキヨーロッパに集約した。統合に合わせ営業人員配置と担当エリアの適正化を実施する。
これまで各社で行っていた欧州での製氷機、冷蔵庫の営業を一本化することによる営業機会の増加を見込んでいる。
また、ボリュームゾーン攻略のためOEM冷蔵庫を年内に販売開始する予定だ。
 
*ノンフロン&省エネ製氷機の拡販強化(ホシザキヨーロッパ)
環境規制が厳しい欧州ではノンフロンかつ省エネ性能が高い製氷機を拡販していく。
同社では2009年に業界に先駆けて自然冷媒を用いた製氷機の製造販売を開始しており、競合他社にはない品揃えを実現している。同社製氷機は地球温暖化への影響を軽減するだけでなく、従来機に比べ消費電力を約3割削減する。こうした優位性を活かして市場の囲い込みを図る。
 
 
今後の注目点
国内、特に首都圏マーケットは大手顧客の設備投資抑制、価格競争の激化と、決して良好とは言い難い事業環境であり、同社もその影響は避けられないようだ。ただ、そうした環境下でも、競合優位である営業・サービス体制を有し、447の営業所で全国をカバーする同社は、既存マーケットの深掘り及び新規マーケットの開拓によって売上の拡大を図ることが可能である。今期の国内増収率計画4.9%増達成に向けた進捗を注目したい。
 
 
 
<参考1:2020年経営ビジョン(2016-2020)の概要>
 
同社は2016年2月16日に2016年から2020年までの5年間の経営ビジョンを発表している。
以下は当時の発表内容の再掲となる。
 
<2015年経営ビジョンの総括>
2015年経営ビジョン(2011-2015年)の目標及び実績は以下の通りであった。
 
 
上記の内、①と③は前倒しで達成。②についても、2015年12月期でほぼ達成している。
 
<2020年経営ビジョンの位置付け>
今後の5年間について同社は、国内景気については2018年以降大きく潮目が変わるリスクがあると見ている。
一方海外についても冷蔵庫の拡大やM&Aの実施で海外売上高比率50%を目指していくが、先行投資負担増、エリア拡大によるガバナンスに関するリスク増も想定している。
こうした環境変化を想定する中、確実な成長及び収益性の改善を図りつつも環境変化に巧みに対応できる経営基盤の強化に積極的に取組み、一段上の成長と収益改善を目指す。
 
 
 
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2017年4月5日に提出している。
 
 
 
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
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