ブリッジレポート
(3194:東証1部) キリン堂ホールディングス 企業HP
寺西 豊彦 社長
寺西 豊彦 社長

【ブリッジレポート vol.41】2017年2月期業績レポート
取材概要「増収減益とはなったが、年度後半に、既存店売上が購入単価の比較的高いポイントカード会員向け販促推進効果などで持ち直し、修正計画を上回って着地・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年5月16日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キリン堂ホールディングス
会長
寺西 忠幸
社長
寺西 豊彦
所在地
大阪市淀川区宮原4-5-36
事業内容
関西を中心に売場面積150〜300坪型の郊外型ドラッグストアをチェーン展開する(株)キリン堂を中心とした持株会社。
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年2月 112,902 1,699 2,320 826
2015年2月 108,033 952 1,437 619
2014年2月 103,055 1,820 2,282 942
2013年2月 101,761 1,924 2,242 882
2012年2月 102,229 1,684 1,960 184
2011年2月 100,465 1,118 1,537 188
2010年2月 104,964 1,232 1,527 -443
2009年2月 106,695 1,781 2,030 500
2008年2月 106,098 2,321 2,530 804
2007年2月 72,803 1,312 1,651 577
2006年2月 66,690 1,308 1,574 753
2005年2月 58,165 745 985 414
株式情報(4/19現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
821円 11,332,206株 9,304百万円 5.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
25.00円 3.0% 62.17円 13.2倍 1,142.96円 0.7倍
※株価は4/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数。ROE、BPSは前期実績。
 
(株)キリン堂ホールディングスの2017年2月期決算概要などについてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
関西圏を地盤としてドラッグストア・保険調剤薬局を運営する(株)キリン堂を中心とした持株会社。
医薬品等の卸売事業や医療・介護コンサルティング等も手掛ける子会社も有する。ドラッグストア事業では、近畿2府5県(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀、三重)を中心に、香川、徳島、石川、及び関東1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)においてドミナント戦略を進めており(特定地域内に集中出店することで経営効率を高めるとともに、地域内でのシェアを向上させ競争優位に立つ戦略)、グループ店舗数は344店舗(FC1店舗を含む)。
連結子会社は、下記3社。持分法適用関連会社として中国で卸売、小売を展開するBEAUNET CORPORATION LIMITEDがある。
連結の従業員数は1,620名。(いずれも2017年2月28日現在)
 
 
売上高・営業利益の推移 (売上高:左軸、営業利益:右軸、単位:百万円)
 
 
【同業他社比較】
ドラッグストアを中心業態とする上場企業は、以下の14社が挙げられる。(売上規模順)
※売上高、営業利益は今期会社側予想、単位は百万円。ROEは前期実績、単位は%。
時価総額は4月19日終値ベース×4月19日時点直近の短信記載の発行済株式数(自己株式を含む)。サンドラッグは第3四半期決算後に1:2の株式分割を実施しているため調整。単位は百万円。
PER(予)・PBR(実)は4月19日終値ベース。サンドラッグは、株式分割に伴い計算のベースとなるEPS、BPSを調整。単位は倍。サツドラHDはサッポロドラッグストアーの完全親会社として2016年8月に設立されたため、増収率・増益率は記載なし。前期実績BPSも無いためPBRは計算不可。クスリのアオキHDはクスリのアオキの完全親会社として設立されたため同様。
 
前回レポート時から順位に変化はないが、ROE、売上高営業利益率は低位にとどまっており、これが株価評価にも繋がっているようだ。PB商品の拡大等、収益性向上に向けた取り組みがいつ頃から実を結ぶのかに注目したい。
 
 
利益率の悪化によりROEは過去5年で最も低い5.1%に低下した。
第1次中期経営計画の最終年度である2017年2月期は、当初ROE11%以上を目指していたが未達となった。
第2次中期経営計画では、2020年2月期10%以上を目標としており、実現が期待される。
 
 
2017年2月期決算概要
 
 
新店寄与、既存店もプラスで増収となるも、新規出店に伴う経費増を吸収できず減益
売上高は前期比3.1%増の1,164億50百万円。新店が寄与したことに加え、既存店売上高も同0.1%増とプラスで着地した。診療報酬改定の影響、中国越境ECの環境変化で粗利率は同0.2P低下。売上総利益は同2.4%増加したものの、人件費や施設費など新店増による一時的経費増を吸収しきれず、営業利益は同23.6%減の12億98百万円。
下期の既存店売上高が想定を上回って推移したことやコストコントロールにより、修正計画は売上、利益ともに上回った。
 
◎出退店状況
2017年2月期の出店は25店舗、退店は15店舗で、2017年2月末のグループ店舗数はFC1店舗を含む344店舗となった。(計画は27店舗出店、14店舗退店。)
近年注力している都市型店舗開発の実績は、オフィス立地として肥後橋店(2016年6月オープン)、ターミナル立地としてekimoなんば店(2016年12月オープン)の2件だった。
 
◎既存店の状況
2017年2月期の既存店売上高は、前期比0.1%増とプラスで着地した。客数は同1.0%の減少となったものの、客単価は同1.2%上昇した。
前期に引き続きポイントカード会員の拡大(期中平均 既存店118万人、全店129万人)とカードを利用した会員向け販促の推進、集客強化を第一に売場改装(27店舗)を進めたほか、購買頻度の高いハウスホールド商品や食品を軸とした集客対策、ヘルス&ビューティケア(HBC)商品のカウンセリング販売やPB商品の販売強化に取り組んだ。
第1次中期経営計画期間中、15年2月期14店舗、16年2月期24店舗、17年2月期27店舗の合計65店舗の改装を行い、食品やハウスホールド商品の売場面積を拡大し来店動機の創出を図った。
 
 
◎PB商品売上高の動向
全体の粗利率向上につなげるため、相対的に粗利率の高いPB商品の構成比率上昇に取り組んでいる。
2017年2月期は、成分強化や規格増量などリニューアルの推進、スーパーフードや新素材の採用ならびに新規メーカーとのタイアップなど潜在需要を開拓するPB商品へのチャレンジ、セルフ販売を基本とした価格訴求型PB商品の売場展開、教育・売場・販促の連携促進などに取り組んだ。
2017年2月期の新規開発SKU数は205SKUで、うちHBC商品は99SKUとなった。
小売事業の商品売上高全体に占めるPB商品の比率(PB比率)は前期で10.3%と初めて2桁に乗せ、17年2月期も10.2%となりPB商品の構成比率上昇は着実に進捗している。
 
 
 
医薬品や化粧品、雑貨等は新店増が寄与、健康食品はダイエット関連が低調だった。診療報酬改定の影響により、調剤部門も減収となった。また、中国越境ECの環境変化により、「その他」に含まれる海外通販も減収となった。
小売事業の粗利率は前期比0.1P低下した。
 
 
販管費は計画内で着地したが、主に新店の一時的な経費負担増(人件費、施設費)により、前期に比べ増加した。
 
◎調剤事業について
薬剤師の確保は厳しい状況が続いているが、新規開局(併設含む)は期初計画7店舗に対し9店舗開局と順調に進んだ。
2017年2月末の処方せん取扱店舗数は62店舗となった。

処方せん応需枚数は前期比3.5%増の93万枚と増加したが、売上高は同1.2%減収の101億円となった。

基準調剤加算店舗割合(加算ありの店舗構成比)は改定前の85.2%から3.7%へ、ジェネリック医薬品調剤体制加算店舗割合(加算ありの店舗構成比)は50.0%から40.7%へ減少した。ただ、ジェネリック加算に関しては、改定直後である16年4月の27.8%からは回復基調にある。

調剤技術料加算獲得のためには、「かかりつけ薬剤師の育成」、「在宅対応店舗の増加」が課題となる。
在宅対応に関しては、2017年2月末現在、処方せん取扱店舗62店舗中22店舗で対応している。
薬剤師育成に関しては、現在約150名の薬剤師に対しeラーニングを利用して教育研修を実施しているが、結果が出るまでにはもう少し時間がかかると見ている。
 
 
現預金、たな卸資産等の減少により流動資産は前期末比1億58百万円減少。固定資産は有形固定資産の増加等で同9億98百万円増加し、資産合計は同8億40百万円増加の460億54百万円となった。
一方、仕入債務の増加などの結果、負債合計は同7億68百万円増加の333億86百万円となった。
純資産は利益剰余金の増加などにより126億67百万円。この結果、自己資本比率は前期末より0.2P低下の27.4%となった。
 
 
税金等調整前当期純利益の減少等により営業CFのプラス幅は縮小。有形固定資産の取得により投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFはマイナスに転じた。
連結子会社の第三者割当増資による収入などにより財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。
 
(3)トピックス
◎中国事業のグループ内統合を実施
100%出資子会社である忠幸麒麟堂(常州)商貿有限公司(以下、「忠幸麒麟堂」という。)の持分全部を、BEAUNET CORPORATION LIMITED(以下、「BEAUNET」という。)に譲渡することにより中国事業を統合することとした。
中国においてはこれまで、BEAUNETが主として化粧品の卸売りを、忠幸麒麟堂が日用雑貨の小売・卸売を行ってきたが、キリン堂ホールディングスグループの収益力向上のために中国事業はBEAUNETへ統合することとした。
卸売の統合により、中国事業の効率化・市場アクセスの一元化を進めることができる。忠幸麒麟堂はBEAUNETのアンテナショップとしての役割を果たすこととなる。

また、BEAUNETは事業拡大に向け、中国第3位のインターネット販売会社「唯品会(VIP)」と資本業務提携契約を締結。さらに、BEAUNETの第三者割当増資により、議決権比率が減少した結果、キリン堂ホールディングスの連結子会社から持分法適用会社となったため、忠幸麒麟堂は連結子会社(特定子会社)の対象から外れることとなった。
 
 
2018年2月期業績予想
 
 
増収増益
売上高は前期比4.8%増の1,220億円を計画。既存店売上高予想は同0.9%増収で、新規出店20店(上期15店、下期5店)、退店10店(下期10店)を計画。
営業利益は同16.3%増の15億10百万円の計画。出店店舗数増に伴う人件費等の費用増を増収で吸収する。
配当は前期と同じく年間25.00円/株の予定。予想配当性向は40.2%。
 
(2)取り組み
「第2次中期経営計画」(後述)の重点課題対策を推進する。
 
 
第2次中期経営計画について
 
同社は、2018年2月期を初年度とする3か年の第2次中期経営計画を策定した。
 
①第1次中期経営計画の振り返り
「収益力の改善」、「経営効率向上と徹底したコストコントロール」、「新規出店による売上高成長」を基本テーマとし、「2020年2月期 連結売上高1,500億円、500店舗体制」の実現を目指した通過点の位置づけであった第1次中期経営計画では、出店総数はほぼ計画通りで、ポイントカード会員拡大、調剤売上高計画100億円の達成などで、売上高こそ計画を上回ったが、営業利益、営業利益率、ROEは目標を下回った。
収益率改善を優先課題として取り組んできたものの、目に見える成果に結びついていない点を反省し、既存業態における新たな利益成長の原動力の創出が不可欠と考えている。

つまり、ドラッグストア業界は、業種・業態を越えた競争激化など、厳しい経営環境が継続する中、従来型のドラッグストアの展開だけでは、成長率の鈍化が予想され、「1.関西ドミナント推進による市場シェアトップの奪回、優位性の確立」、「2.既存の郊外型ドラッグストアからの脱却」、「3.『社会の変化・お客さまの変化・競合他社の変化』に対するスピーディな意識および行動の変革」が必須である。
 
②第2次中期経営計画
同社は、自社の強みとして①「『未病対策』への取り組み」、②「関西ドミナント展開」の2つをあげている。
①においては、従業員に未病の意識が浸透しているため、HBCを中心としたPB商品の育成と開発が進み、PB比率は着実に上昇している。また単品の粗利高上位20品目のうちHBCのPB商品が15品目を占めている。
②においては、関西におけるドラッグストア売上シェアは9.6%で3位にランクインしている(出典:ドラッグマガジン 最新医薬品産業ランキング2016年)。また、ドミナントにより顧客へのブランド浸透度は高く、カード会員数は2017年2月期で129万人と3年前から約5割増となっており、会員売上比率は前期で78.4%と高い。

こうした強みを一段と発揮して、関西No.1ドラッグストアチェーンの構築を目指す同社が、その基盤構築のために取り組むのが「第2次中期経営計画」である。
 
 
重点課題 ①関西ドミナントの推進
3年間でドラッグストア45店舗、調剤薬局8店舗を出店する。ドラッグストアのうち22店舗は調剤併設店舗。
また、現在取り組んでいる都市型店舗のフォーマットを確立する。
 
重点課題 ②既存店の活性化
食品・雑貨販売強化を目的として3年間で100店舗を改装し、客数増加を図るとともに、HBC商品の販売増につなげ、HBC商品のPB比率を引き上げる。
(第1次中計期間中に行った改装により、改装前後の3か月で主として来店回数増に起因した増収効果が明確に認められている。)
加えて、専属チームによる全面改装により収益構造改革を目的としたドラッグストアの新フォーマットを確立する。
 
重点課題 ③調剤機能の強化
調剤併設型ドラッグストアのフォーマットを確立させる。
また、M&Aを推進するとともに、かかりつけ薬剤師の育成や在宅支援の取り組みを強化する。
前期約9%であった調剤売上構成比を12%まで引き上げる。
 
重点課題 ④アシスタントスタッフの戦力化と作業システム改革
POSシステム及びバックオフィスシステムの改革を行うとともに、効率的な人員配置に取り組む。
 
重点課題 ⑤販売チャネルの拡大
リアル店舗とECサイトの連携による販売機会の拡大を図る。ECは越境ECが中心だったが、今後は国内販売も強化する。
 
重点課題 ⑥不採算店のスクラップ
より積極的なスクラップアンドビルドを進め、3年間で不採算店40店舗を閉店する。
 
 
今後の注目点
増収減益とはなったが、年度後半に、既存店売上が購入単価の比較的高いポイントカード会員向け販促推進効果などで持ち直し、修正計画を上回って着地することができた。
こうした流れを受けて、今期も既存店は前年比プラス、全体でも増収増益を計画しており、投資家からの信頼を強固なものとするためにも確実な達成が期待される。
ただ今期2桁の営業増益でも売上高営業利益率は1.1%と、第2次中計の最終目標である3%までには大きな開きがある。
会社側も最大の課題と認識している収益性向上の実績がどのように現れてくるのかを注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年9月30日に提出している。
 
 
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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