ブリッジレポート
(2714) プラマテルズ株式会社

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ブリッジレポート:(2714)プラマテルズ vol.24

(2714:JASDAQ) プラマテルズ 企業HP
井上 正博 社長
井上 正博 社長

【ブリッジレポート vol.24】2017年3月期業績レポート
取材概要「ナフサ価格と連動する原油価格(ドバイ原油)の年平均価格(月平均価格の単純平均)は、14年が96.7ドルだったが、15年は51.2ドルに急落し、16年・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年5月30日掲載
企業基本情報
企業名
プラマテルズ株式会社
社長
井上 正博
所在地
東京都品川区北品川4-7-35 御殿山トラストタワー
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 51,752 791 783 526
2016年3月 57,795 883 845 537
2015年3月 57,037 798 780 490
2014年3月 59,568 833 803 279
2013年3月 55,610 817 783 420
2012年3月 57,790 883 840 531
2011年3月 55,762 899 842 500
2010年3月 47,145 663 621 388
2009年3月 52,550 893 809 489
2008年3月 56,861 1,089 943 704
2007年3月 52,022 1,219 1,115 652
2006年3月 50,673 1,054 1,005 569
2005年3月 46,804 790 746 403
2004年3月 43,720 659 566 309
2003年3月 42,614 685 642 240
株式情報(5/1現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
469円 8,548,310株 4,009百万円 5.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17.00円 3.6% 62.00円 7.6倍 1,082.40円 0.4倍
※株価は05/01終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
プラマテルズの2017年3月期決算と2018年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
合成樹脂(プラスチック)の専門商社。原料メーカーから仕入れた樹脂原料やコンパウンド(樹脂原料に添加剤を加え機能を強化した成形材料)をセットメーカーや成形メーカー及び樹脂の二次加工メーカーに販売している。最終用途は、電子・電機・OA事務機器、医療機器、玩具、住宅建材、自動車等。連結子会社11社、持分法適用関連会社1社(コンパウンド工場への出資)等と共にグループを形成し、子会社が合成樹脂製品の製造・販売も手掛ける。また、総合商社の双日(株)グループにおいて合成樹脂部門を担う双日プラネット(株)が株式の46.6%を保有している。尚、同社は化学品卸業界に属し、プラスチック専門商社として唯一の上場企業である。
 
【経営理念】
合成樹脂の専門商社として、次の4項目を経営理念として掲げている。
 
①合成樹脂市場におけるメーカーとユーザーのベストマッチングを推進する役割を果たす
②顧客の立場に立った発想で合成樹脂の戦略的パートナーとしての機能を発揮する
③商いは人なりの精神を重視し、組織の人々との協調を重視する
④よき企業市民として、地球環境と地域社会に配慮しつつ、適正な利潤を出し、以って社会貢献を果たす
 
そして、これら企業理念実現のため、会社の経営方針として以下の項目を掲げている。
 
・中長期的な企業価値の最大化を目指す経営
・ステークホルダーから信頼される経営
・環境問題に積極的に取り組む経営
・常にQCD(QUALITY,COST,DELIVERY)の改善を図り、CS(顧客満足)を高める努力を継続する経営
 
 
【国内外に広がるネットワーク】
国内営業拠点 東京本社、大阪支社、中部支社(名古屋支店、静岡支店)、九州支店(大分)、東北支店
国内子会社
 
 
【プラスチックと同社事業の特性】
石油精製の過程で得られるナフサ(粗製ガソリン)を高温熱分解すると、「エチレン・プロピレン(気体)」、「ベンゼン(液体)」等、プラスチックのもとになる粗原料がつくられる。これらは水素と炭素が結びついた分子であり、この分子をつなぎ合わせて「ポリエチレンやポリプロピレン」等のプラスチック原料がつくられる。これらのプラスチック原料に、耐熱性を向上したり、壊れにくくしたり、着色するための添加剤を加え、加工しやすいように3~5mm程度の粒子状にしたものを「ペレット」と言う。同社は500社の仕入先と1,300社(国内800社、海外500社)の顧客を有し、原料メーカーから仕入れて、OA機器、家電、医療機器、自動車部品メーカー等の顧客に販売している。
 
 
相対的に単価が高く高付加価値商材であるエンジニアリング系樹脂原料の取扱が40%超
売上高の81.9%がプラスチック原料で(この他、製品15.7%、関連機器・シート2.4%。17/3期)、相対的に単価が高く高付加価値商材であるエンジニアリング系(41.0%)やスチレン系(18.3%)の樹脂原料が中心。エンジニアリング系樹脂原料とはポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート等で、用途はOA・事務機器、光学機器(カメラ等)、精密部品(ギア等の機構部品)等。一方、スチレン系樹脂原料とは、ポリスチレンやABS樹脂等で、エアコン、冷蔵庫等の白物家電、パソコン・同周辺機器、FAX、及び玩具等で使われている(この他、家電・医療機器向け等のオレフィン系樹脂10.9%、建材向け等の塩化ビニール系材料4.7%、その他樹脂3.3%、PET樹脂3.7%)。
 
 
販売先業界別の構成比は、日本メーカーが圧倒的な強みを持つ事務機器・OA・光学機器向けが39.3%、スチレン系・オレフィン系が中心の家電(白物家電)・電子(PC・周辺機器)向けが14.5%、オレフィン系のポリプロピレン等の医療機器向け9.3%、塩化ビニール系材料が中心の建材7.5%、自動車4.2%、ホビー3.8%、パッケージング2.8%、衛材2.7%、その他15.9%。
 
 
重点仕入先と仕入商品及び用途
旭化成グループ    スチレン系樹脂原料  : 冷蔵庫、エアコン等
東洋インキグループ  コンパウンド     : OA・事務機器
帝人グループ     エンジニア系樹脂原料 : カメラ・プリンター外装

この他、双日グループ、JNCグループ、三井化学グループ、出光興産グループ等からの仕入も多い。
 
【コアコンピタンス】
高付加価値商材の拡販の原動力となっているのが、(1)合成樹脂原料に関する高い専門性、(2)商社としてのネットワークを駆使した、メーカーを巻き込んでの提案力、及び(3)顧客との質の高いコミュニケーションが可能とする少量多品種即納体制、の3点。いずれも合成樹脂専門商社に不可欠な要素であり、最もQCDに厳しい日本の優良企業との継続的取引の中で同社が磨き上げてきたコアコンピタンスである。高い専門性を背景にメーカーと一体となって提案営業を進める事でビジネスを広げ、少量多品種の即納対応及び顧客密着型の営業展開で顧客満足度を高めている。
 
 
【成長戦略】
国内は、顧客密着型の営業を徹底する事で顧客と共に成長を図る。一方、海外は、アジア全体に生産拠点を拡大する顧客の動向に合わせて、同社も海外拠点整備の重点エリアを中国からアジアに広げ、顧客ニーズに応えていく(アジアの拠点整備は14/3期で一巡しており、現在は拠点強化に軸足が移っている)。
 
海外
インド・東南アジアを中心とした世界的な人口の増加及び生活水準の向上による消費の拡大で、消費材・耐久消費材の素材である合成樹脂の市場も拡大傾向にあり、実際、同社の重要顧客企業も生産拠点をアジア全体に拡大している。こうした需要顧客企業の動きに対応して、同社は海外拠点整備の重点エリアを中国だけなく、アジアに広げ、変化する顧客ニーズを確実に捉える体制の構築と各拠点の強化に努めている。
 
国内
強みである顧客密着型の営業を徹底する事で国内でのシェアアップを図ると共に、海外拠点を有機的に活用する事で海外進出日系企業との取り組み拡大にもつなげていく考え。
尚、同社の顧客は、精密機器、医療機器、家電・電子等の勝ち組企業が多く、いずれの顧客も国内外での生産バランスに配慮した経営を行っている。このため、国内でも取引の拡大余地を残している。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
 
2017年3月期決算
 
 
前期比10.5%の減収、同7.4%の経常減益
売上高は前期比10.5%減の517億52百万円。国産ナフサ価格の下落による汎用樹脂原料価格の低迷と円高による海外子会社の外貨建て売上の円換算額減少の影響を受けた。このため、国内売上が同6.2%の減少にとどまったのに対して、海外売上が同18.3%と落ち込んだ。

商材別では、衛材(紙おむつ材料)向けの軌道化でPET樹脂が同55.9%増と伸びたものの、カメラ等の精密機器、自動車部品、OA機器の機構部品、或いは各種のギヤ等に使われるエンジニアリング系樹脂が同16.8%、家電・OA機器・玩具等に使われるスチレン系樹脂が同13.0%、建材向け等が中心の塩化ビニール系材料が同14.5%、それぞれ減少した。

販売先業界別では、取り組みの成果で衛材向けが同27.2%増と伸びた他、医療機器向け(同2.8%増)や家電・電子向け(同0.6%増)が堅調に推移したものの、精密機器向けが同23.3%減と落ち込んだ他、ホビー向け(同12.8%減)、建材向け(同5.4%減)、自動車向け(同3.6%減)も減少した。尚、衛材向けは、国内販売の軌道化を受けて中国及びアジア展開に乗り出した。

利益面では、経費節減に努め販管費が同5.6%減少したものの、売上の減少による売上総利益の減少をカバーできず営業利益が7億91百万円と同10.4%減少した。ただ、支払利息の減少(62百万円→50百万円)や為替差損益(△7百万円→10百万円)の改善に加え、投資有価証券売却益92百万円の計上もあり、最終利益は5億26百万円と同2.0%の減少にとどまった。
 
 
 
 
 
 
期末総資産は前期末に比べて4億78百万円増の241億85百万円。借方では、キャッシュ・フローの改善に加え、第1四半期を底に四半期売上高が回復した事で流動資産が増加。貸方では、有利子負債が減少する一方、純資産が増加した。流動比率156.3%(前期末156.9%)、固定比率29.8%(同31.3%)、自己資本比率38.3%(同37.2%)、と財務体質は良好。
 
 
資金効率の改善や税金費用の減少で営業CFが増加する中、投資有価証券の売却で投資CFも増加した。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
前期比6.3%の増収、同3.4%の経常増益予想
汎用樹脂原料価格については、原油相場の回復基調及び原油生産国の生産調整の流れを受けて一定の価格帯で安定的に推移するとみている。顧客密着型の営業を徹底する事で国内でのシェアアップを図りつつ、海外拠点顧客の海外展開への迅速な対応と海外拠点の有機的な活用により海外売上高の拡大を図る考え。
 
 
今後の注目点
ナフサ価格と連動する原油価格(ドバイ原油)の年平均価格(月平均価格の単純平均)は、14年が96.7ドルだったが、15年は51.2ドルに急落し、16年は41.2ドルと更に低下した。一方、ドル円レートは、14年が105.9円だったが、15年は円安が進み121.0円に、16年は一転して108.8円と円高が進んだ。つまり、14年は原油高(業績にプラス)・円高(マイナス)、15年は原油安(マイナス)・円安(プラス)、と影響を相殺する動きとなったが、16年は原油安(マイナス)・円高(マイナス)。言い換えると、17/3期は外部環境にいいところがなかった。しかし、最終利益は2%の減少にとどまった。今期に限った事ではなく、業績は安定している。財務面では流動性に富んだ良好な財務体質が維持されており、営業CFも特殊要因があった14/3期を除き黒字が続いている(14/3期は厚生年金基金脱退特別掛金の支払いでマイナス)。この結果、17/3期は2期連続の増配予定である。
17年1-3月の平均価格は原油価格が52.9ドル、為替が113.6円と外部環境は改善傾向にある。このため、前期比増収・増益を見込む18/3期の業績予想に違和感はない。配当は前期と同額の17円を予定しており、配当利回りは3.6%と魅力的な水準にある。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2016年7月7日
基本的な考え方
当社グループでは、事業活動を通じて利益を上げ、中長期的に株主価値を増大させるという株主の期待に応えることが、企業経営の基本使命であると考えています。また、株主を含むすべてのステークホルダーに対する責任を果たし、社会規範に沿った事業活動を行うとともに、社会に貢献するという考えに立ち、コーポレートガバナンスの向上を目指しております。
当社では、コーポレートガバナンスの要件の一つである「透明性と説明責任」の確保のために、6名の取締役の内3名は社外取締役とするとともに、その独立性を確保しております。
監査役会は常勤監査役1名、非常勤監査役2名の合計3名で構成され、3名全員が社外監査役であります。これにより経営に対する透明性を確保し、監視・監査機能を果たすとともに、社外監査役は、独立性を確保しております。また、社外監査役3名のうち2名は株式会社東京証券取引所に対し、独立役員として届け出ております。このほか社長直属の内部監査チームを設け、業務が適切に運営されているか内部監査を実施するとともにグループ会社の監査も実施しております。
コンプライアンスの徹底とリスクマネージメントはコーポレートガバナンスの強化の重要な要素と捉え、当社グループの全役職員が法令の遵守と規範に基づき行動することを徹底しております。そのために「行動規範」、「コンプライアンスマニュアル」を制定しグループ全体で徹底を図っております。