ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.48

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 会長
泉澤 豊 会長

【ブリッジレポート vol.48】2017年2月期業績レポート
取材概要「コンビニ事業では既存店売上を1.3%減と見込んでいる。しかし、足元3月は0.4%減にとどまっていることに加えて、夏場には天候不順の反動や秋には・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年6月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
会長
泉澤 豊
所在地
千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1 CVSベイエリアビル
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年2月 29,452 -33 213 94
2016年2月 29,193 151 145 198
2015年2月 28,726 230 278 225
2014年2月 30,193 50 167 -878
2013年2月 27,190 -426 -354 -880
2012年2月 26,882 338 342 -369
2011年2月 28,635 601 650 233
2010年2月 26,322 416 610 235
2009年2月 25,271 571 334 -78
2008年2月 24,277 623 446 216
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
株式情報(4/25現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
691円 4,936,330株 3,411百万円 4.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 1.4% 4.05円 170.6倍 444.37円 1.5倍
※株価は4/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは2017年2月期実績。
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2017年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
1981年2月設立。「日常生活の便利さを提供できる会社になりたい」を企業理念とし、直営店主体のコンビニ事業を中心に、ホテル事業、子会社を介したクリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業を手掛けている。主力のコンビ二事業では、89年より「サンクス」店舗を運営。現在は、12年3月より(株)ローソン(2651)とフランチャイズ(FC)契約を結び、千葉県及び東京都のベイエリア地域を中心に直営店舗主体に展開。また、単体ではビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」の運営も行っている。16/2期よりユニット型ホテル事業を立ち上げた。グループは、同社の他、マンションフロントサービスを手掛ける(株)アスクとその地域運営子会社3社、及びクリーニングとリネンサプライを事業ドメインとする(株)エフ・エイ・二四(以下、FA24)の連結子会社5社。多様で高品質なサービスによって、日常生活の便利さを求める消費者ニーズに即応、「コンビニを営む会社」から「コンビニも営む会社」への進化中である。
 
【事業概要】
(1)京葉地区の湾岸エリア(港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市等)中心に展開するコンビニ事業
主力のコンビ二事業では、東京都区内(千代田区、中央区、港区、江東区、江戸川区、大田区、渋谷区、新宿区、台東区、足立区、葛飾区)及び千葉県北西部において店舗展開。特に港区、中央区、江東区、江戸川区、浦安市、市川市に集中出店する。また、13/2期には神奈川県(横浜市)に初出店している。再開発が進むベイエリア地域を中心としたドミナント展開を行う。創業来、「便利さの提供」を理念に事業展開してきた。カウンターフーズの品揃え強化、「宝くじ」の販売や、独自展開する「クリーニング取次ぎサービス」を通じて顧客の利便性向上を図ると共に店舗競争力を高めていく考え。14/2期の当期損失は店舗閉鎖損失引当金計上によるもの。15/2期に不採算店舗の閉鎖を進めて以降、利益重視の施策へと舵を切っている。
 
 
 
(2)非コンビニ事業の育成 -「便利さの提供」を追求-
「便利さの提供」を企業理念として、ビジネスホテルやユニット型ホテルの施設運営、マンションフロントサービス、及びクリーニング・リネンサプライといった非コンビニ事業にも注力している。
 
ビジネスホテル「CVS・BAY HOTEL」 (株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア
09年11月オープン。市川市が保有するJR京葉線市川塩浜駅前の遊休地を定期借地で借受け、コンビニ併設の108室規模(シングル54室、ダブル12室、ツイン41室、バリアフリー1室)のビジネスホテルを運営している。JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から快速で19分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅5分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。開業から満7年が経過しており、随時小規模修繕(壁紙、エアコン等)を実施している。
 
 
近隣テーマパークの入園者や、都心部でのインバウンド顧客の需要増加を背景に近年は稼働率が高まっている。こういったことから、15年12月17日には隣接地にシングル11室、ツイン38室、ファミリー2室、ユニット区画20室(女性専用)、3階建ての新館を開業した。本館よりもやや広いゆとりのある客室空間を提供し、やや高めの客室料金を設定することで本館と差別化している。営業開始から1年が経過したことで認知が進み、稼働率も上昇している。
 
 
ユニット型ホテル  (株)シー・ヴイ・エス・ベイエリア
都心部を中心に増加を続ける「宿泊需要」は量だけでなく、質にも大きな変化が生じている。国内では成田空港へのLCC各社の就航と成田への格安バス(高速バス)の拡充、海外からはアジア各国の成長による観光需要の増加とLCC各社の日本路線の新規開設。これらを背景に宿泊需要は、国内では都心部の宿泊料金高騰に伴う低価格な、海外からは低価格化した交通費と見合う宿泊施設に対する需要が拡大している。こうした中、同社は賃借した既存建物をコンバージョンし、ユニット型ホテルの事業展開を開始した。第1号物件として15年7月に「東京銀座BAY HOTEL」を開業、その後相次いでユニット型ホテルを開業している。17/2期は5月に「秋葉原BAY HOTEL」(130ユニット)が、11月には山手線田町駅2分の好立地「田町BAY HOTEL」(135ユニット)を開業した。
 
 
同社では、施設数の拡大が先行した結果、外国人観光客向けのPR活動が不足していた反省を踏まえ、「外国人向けの観光サイト」や「動画共有サービス」を通じたマーケティング施策を16年冬より積極的に採用開始している。「韓国」「台湾」「欧米」で人気のある「ユーチューバー」に試泊してもらい、『施設の特徴や利用方法』を配信する手法を実施。また秋葉原ではTVや雑誌などの取材を通じた露出度向上に努め、『アニメジャパン2017』イベント会場内でのカプセルの展示なども実施している。尚、ユニット型ホテル割引の株主優待制度を17/2期より新たに設けた。
 
マンションフロントサービス  連結子会社 (株)アスク
宅急便やクリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営、更にはカーシェアリング等を手掛ける。豊富な経験と確かな実績によるフロントサービスを提供している。(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を目指す。業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に863件(2月末現在)を受託している。マンション内居住者同士のコミュニティ構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などのサービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。
【サービスの提供内容】
・コンシェルジュサービス
 ⇒宅配便、クリーニング取次ぎ
・レジデンスサポート
 ⇒メンテナンスのサポート、ハウスクリーニング業者紹介
・共同施設の鍵の授受
・ミニショップ、売店の運営など
・カーシェアリングサービスの提供

マンション販売マーケットでは住宅ローン金利低下の影響を受けて、都心部のマンション販売は堅調だが、建設費の上昇などにより、首都圏全体では新規販売戸数の減少傾向が続いており、「マンションフロント」以外の企業や公共施設などでの、「コンシェルジュ業務」の受託拡大に向けた営業活動も強化している。また、少子高齢化に伴う人材不足がサービス分野などで顕在化してきており、各企業にとっても人材確保が大きな課題となっていることから、同社では新たな事業領域として、スタッフ研修や人材育成力を活かし、〈おもてなし〉〈ホスピタリティ〉豊かな人材の「一般派遣事業」、「職業紹介事業」を開始した。「求人用自社サイト」の運用を行っており、派遣対象者の教育を実施中。
 
クリーニング・リネンサプライ  連結子会社 (株)FA24
フロント受付やコンビ二受付によるクリーニングサービス、リネンサプライサービス、ユニフォームレンタル&クリーニングサービス、及びハウスクリーニングサービス等を、BtoC、BtoBで提供。13/2期には自社クリーニング工場が稼働した他、ローソンの加盟店舗の一部で、同社がCL-BOX型の「クリーニング取次ぎサービス」の実験を行っている。ハウスクリーニングサービスでは関西圏にも進出。ヘアカット事業も行っている。
 
 
2017年2月期決算
 
 
前期比0.9%の増収、47.2%の経常増益
営業総収入は前期比0.9%増の294億52百万円。スマートホテル開業を進めるホテル事業が大幅増収となった。コンビニ事業は減収となったが、マンションフロントサービス事業、クリーニング事業は増収。営業総利益率は1.4ポイント上昇したものの、販管費率も2.0ポイント上昇し、営業損失は33百万円(前期は1億51百万円の利益)となった。営業外では投資事業組合運用益が前期42百万円から97百万円に増加したほか、有価証券運用益を68百万円計上(前期は55百万円の運用損)、不動産賃貸費用の減少もあり、経常利益は同47.2%増の2億13百万円。特別利益では店舗閉鎖損失引当金戻入額が82百万円から15百万円に減少、特別損失では固定資産解体費用引当金繰入37百万円や損害賠償引当金繰入額41万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は同52.4%減の94百万円となった。10月発表の会社予想に対しては売上高や営業利益、純利益は下回ったものの、経常利益は上回った。
 
 
コンビニエンス・ストア事業
事業収入214億35百万円(前期比2.1%減)、セグメント利益3億10百万円(同16.9%減)。
コンビニ事業においては、大手チェーン間の経営統合や、大手と中堅との業務提携による店舗網の再編が進んでいるほか、店舗ブランド間での商品供給が行われるなど、大手3社による寡占化がより進行しており、出店による店舗網拡大のペースは弱まりつつある。しかし、集客が見込める都市部では各社の出店意欲は依然として強く、店舗数が増加している。競合環境に変化が見られ、昨年秋以降大手各チェーンの既存店客数が前年を下回る状況が続くなど、個店の集客力向上への取り組みが課題となりつつある。 こういった中、品揃えの強化及び販売機会損失の削減が、顧客満足度向上の最優先課題と認識、前期より継続して改善に取り組んできた。商品棚の増設改装投資をより有効に活かすため、個店の立地特性に合わせた品揃えの見直しや拡充を進めた。
また、本社で毎週開催する店長会議の場では、売り場作りや店舗マネジメントにおいて優れた店舗の取り組み事例の共有を図っていくことで、直営店のメリットを活かした迅速な執行体制の構築に取り組んだ。
出店1店舗、閉店3店舗となったことで、期末店舗数は前期末比2店舗減の109店舗。夏の天候不順の影響や、大型花火大会中止により繁忙期に苦戦、隔年開催の東京モーターショーが前年に行われた反動もあり、既存店売上が期初見通しの横ばいに対して前期比0.8%減となった。オフィスビルのテナントが臨海副都心エリアから都心に引っ越すケースが多くなっていることや、開業2~3年目の伸長率が高い店舗がないことも苦戦要因。客数が1.9%減となったが、客単価は1.2%上昇した。地域ごとのニーズに柔軟に対応するため、品揃えの見直しや拡充を行うとともに、独自に展開しているPB商品、宝くじ、生花、クリーニングの取次ぎサービスなどを通じた、差別化されたサービスによる店舗競争力の強化を進めた成果が現れた。
利益面では通期の粗利率は前期30.36%から30.30%と概ね横ばい。上期に「ソフトドリンク」などの利益率の高い商品類が天候不順等により苦戦したものの、下期は小幅に上昇して盛り返した。

商品別には、来店客数の減少が影響し、「米飯」や「デザート」などが苦戦した一方で、チルド惣菜の品揃え拡大などにより、生鮮食品の売上高は実質的に増加傾向にある。「ソフトドリンク」などの夏物商材は減少したが、陳列棚増設による売場拡大により「菓子」、「カップ麺」などが伸長した加工食品の好調が続いた。新聞、雑誌の減少に歯止めがかからない一方、「たばこ」販売は下期には横ばいとなった。
 
 
マンションフロントサービス事業
事業収入56億40百万円(前年同期比0.6%増)、セグメント利益1億90百万円(同25.1%減)。
首都圏のマンション業界では引き続き、新規販売戸数の弱含みが懸念されている。こういった中、マンションの資産価値向上への貢献を目指し、フロントサービスの向上と新たな付加価値の提供に取り組んだ。エリアマネージャーによる受託物件の巡回を強化し、入居者や関係者からの細かなニーズへ迅速に対応することに努めた。あわせて、夏祭り、ハロウィーンイベントなどの季節に応じた住居者向けイベントの開催支援のほか、おせち料理の予約獲得にも積極的に取り組んだ。また、パートを含めた全従業員に対して各種教育を継続して定期的に実施している。
新規受託マンション件数は33件となる一方、解約物件が36件となったことで総受託件数は863件となった。前期より開始した人材派遣サービスでは、派遣先企業の増加とともに売上も増加している。
利益面では付帯売上が苦戦したことで売上総利益が減少したことに加えて、人材派遣サービスの研修・教育費用が増加した。また、より地域に密着したサービスの強化や業務効率の改善を目的として、昨年9月にマンションフロント業務を担う地域運営会社3社を設立(簡易新設分割)したことによる諸経費のほか、6月に本社を東京都中央区に移転したことに伴う諸経費負担が生じている。
子会社アスクは営業総収入56億40百万円(前期比0.6%増)、経常利益81百万円(同49.1%減)。主力のフロント業務売上は計画通りであったが、ショップ・カフェ事業などで苦戦した。
 
 
クリーニング事業
事業収入11億90百万円(前期比4.1%増)、セグメント利益53百万円(同14.0%増)。
クリーニング業界においては、ワイシャツ類の機能性向上や自宅で洗濯が可能なスーツの普及が進んでいるほか、服装のカジュアル化や低価格化の影響を受け、1世帯当たりのクリーニング支出額が年々減少している。また、需要の減少だけでなく、洗濯や配送コストの上昇が続いている影響から、クリーニング所・取次店の閉鎖が進むなど、近年のクリーニング業界を取り巻く環境は厳しさを増している。
こういった中、マンションフロントやコンビニ店舗での便利、かつ、高品質なクリーニング取次ぎサービスを提供しているほか、法人向けクリーニングでは、社員寮のほか、施設内における宿泊関連やホテル施設などの案件を獲得している。また、自社工場と商品管理センターによる、制服のクリーニングからメンテナンス、在庫管理までを一元管理するメリットを活かしたトータルサービスの拡大を進めている。さらに、都心部を中心に需要の拡大が期待されるハウスクリーニングサービスでは、上期はエアコン清掃、下期においてはキッチンの水回りなどを中心に掃除代行サービスの引き合いも多い。なお、自社工場のクリーニング工程の一部に自動化設備を導入するなど、業務効率化を進めている。
子会社FA24は営業総収入12億54百万円(前期比3.1%増)、経常利益23百万円(同53.3%増)。春先の天候が安定しなかった影響から、冬物需要が想定を下回るも、宿泊施設関係の新規顧客開拓が進んだほか、自社クリーニング工場の取扱量拡大により増収。自社工場の一部工程を、自動化設備により効率化したことで、生産性が向上中。
 
 
ホテル事業
事業収入11億30百万円(前期比141.0%増)、セグメント損失1億40百万円(前期は65百万円の損失)。
ホテル業界においては、政府の掲げる「観光立国」に向けた施策や、格安航空会社の就航便数の拡大などにより、外国人観光客数の増加が続いており、国内の宿泊需要は継続して拡大している。しかし、東京都心部を中心にホテルの新規開業が相次いでいることによる供給客室数の増加や、訪日目的や宿泊ニーズの多様化などの影響もあり、都心部の各ホテルの稼働率は客単価が弱含む傾向を見せている。
ビジネスホテルにおいては、「CVS・BAY HOTEL」が東京ディズニーリゾートの来園者数が高水準を維持していることもあり、稼働率は前期比1.8ポイント上昇し91.5%と好調に推移した。また、15年12月に開業した新館についても、家族連れや女性顧客から好評を得ており、稼働率は75.9%、特に女性専用ユニット区画は78.4%と順調に推移している。
ユニット型ホテルにおいては、低価格志向の個人旅行やビジネス利用の顧客からの支持を得ているほか、各ホテルともに女性専用フロアを設置することで、安全・安心に宿泊したい女性顧客の支持も得ている。しかしながら、一部の曜日の単価、稼働率が苦戦しており、同社の開業時の計画と比較し、売上の上昇が緩やかに留まっている。
利益面ではユニット型ホテルで「秋葉原(5月)、田町(11月)」開業に伴う、開業前賃料負担や各種諸経費が重荷になった。
 
その他事業
事業収入2億50百万円(前期比0.1%増)、セグメント利益29百万円(同1.3%増)。
保有もしくはコンビニ事業に関連した不動産賃貸管理のほか、ヘアカットサービス店舗やネットカフェ店舗の運営など、各種サービスの提供を行っている。
 
 
17/2期末の総資産は前期末比1億70百万円増の128億17百万円となった。現預金が31百万円、商品(棚卸資産)が31百万円増加した一方、未収還付消費税等が48百万円、有価証券が35百万円減少したことなどにより流動資産が56百万円減少した。また、保有する店舗の売却により土地が1億20百万円減少した一方、ホテル事業の拡大により建物が2億91百万円、工具器具備品が76百万円それぞれ増加したことなどにより、固定資産が2億26百万円増加した。
負債合計は前期末比1億49百万円増加し、106億23百万円となった。未払消費税等が1億91百万円増加した一方、短期借入金が3億円減少したことなどにより流動負債が32百万円減少した。また、資産除去債務が1億36百万円、長期借入金が35百万円増加したことなどにより、固定負債が1億81百万円増加した。
純資産は前期末比20百万円増加し、21億93百万円となった。剰余金の配当を行ったほか、当期純利益を94百万円計上したことによるもの。
自己資本比率は同0.1ポイント減少し、17.1%となった。
 
 
17/2期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比66百万円増加し、20億39百万円となった。
営業CFは5億55百万円の収入超過(前期は1億85百万円の支出超過)となった。その主な内訳は、投資不動産により3億41百万円の収入があった一方、投資不動産管理費により2億11百万円、店舗閉鎖損失により58百万円の支出があったことによるもの。
投資CFは2億20百万円の支出超過(前期は18億17百万円の支出超過)となった。その主な内訳は、有形固定資産の売却により1億78百万円の収入があった一方、ホテル事業拡大に伴った有形固定資産の取得などにより5億46百万円、投資有価証券の取得により1億円をそれぞれ支出したことによるもの。これらにより、フリーCFは3億34百万円の収入超過(前期は20億2百万円の支出超過)となった。
財務CFは2億68百万円の支出超過(前期は18億91百万円の収入超過)となった。その主な内訳は、長期借入金の収入により5億円の収入があった一方、長期借入金の返済により4億19百万円、短期借入金の返済により3億円をそれぞれ支出したことによるもの。
 
 
2018年2月期業績予想
 
 
18/2期は0.8%の減収、54.9%の経常減益予想
18/2期は、売上高292億30百万円(前期比0.8%減)、経常利益は96百万円(同54.9%減)を計画する。
コンビニエンス・ストア事業では、個人消費に力強さは見られないものの、景気が緩やかながらも回復基調で進んでいるほか、東京都心部を中心に再開発事業が相次ぎ着工及び竣工することで、コンビニに対する需要は今後も増加していくものと見込む。既存店では商品陳列棚の増強を行い、地域のニーズに合わせた品揃えの強化を進めており、18/2期は商品棚の増強をより活かすため、生活スタイルの多様化や変化に対応した品揃えの見直しを行い客単価の上昇を図る。東京都心部における競合環境は厳しさが増してきていることで、各チェーン共に既存店客数の減少傾向が続いており、既存店売上は前年比1.3%減(上期1.5%減、下期1.0%減)を想定している。
また、従来の社員研修制度に加え、次世代を担う店長への育成研修を新たに開始し、売場作り、労務を含めた店舗マネジメ ント全般に関する教育を行っており、中長期的な視点からの人材教育の強化に取り組んでいる。
若年層の人口減少や最低賃金の上昇により、労働力の確保やそれに係る様々なコストが経営課題として顕在化している。直営店舗主体の運営体制を活かした人材確保、教育体制の構築、さらには子会社が手掛けている人材派遣サービスとの連携を深めていくことで、事業の課題に対応した店舗運営オペレーションの確立を進める考え。
マンションフロントサービス事業では、マンションの新規竣工件数が弱含んでおり、新規契約件数の大幅な増加を見込めない。このため前期に設立した地域運営会社3社による、居住者ニーズへのより細やかな対応を進め、利便性と快適性を向上させていくことだけでなく、イベントやカルチャー教室の開催や各種サービスなどの付加価値の創造に取り組むことで収益性の向上を図る。 また、マンション以外のフロントサービス需要の獲得に向けた営業を引き続き強化するほか、人材派遣サービスにおいて、引き続き派遣先の新規開拓に努めるとともに、教育強化による派遣登録者の戦力化やより優秀な人材の確保に注力、早期の収益化に向けた取り組みを強化する考え。
クリーニング事業では、日本全国でサービス提供が可能なネットワークを活用しホテル施設や、独身寮などの法人需要の新規開拓を進める。また、グループ間でのシナジー効果を活かし、都心部の高層マンションを中心に需要の拡大が見込まれるハウスクリーニングサービスの拡大にも努める。
ホテル事業では、都心部においてホテルの開業が相次いでいるものの、訪日外国人観光客数の増加トレンドは継続していることから、国内宿泊需要は堅調に推移する一方、宿泊形態の多様化がより進むものと見込んでいる。こういった中、同社は現在ユニット型ホテルの認知度向上に向けた取り組みを強化しており、年明け以降、稼働率、客室 単価ともに上昇傾向にあることから、売上高が増加するとともに、収益についても改善が進む見込み。
利益面では、ホテル2施設開業経費一巡による費用減や、既存ユニット型ホテルの業績改善を見込むことを主因に営業黒字へ転換する見通し。有価証券関係の利益、損失は見込まず、幕張オフィスビルの修繕費が例年水準に戻ることから、営業外収益は見込んでいない。また、店舗の閉鎖、区画整理事業に伴う既存ビルの解体等の各種費用は既に引当済みのため、特別損失なども見込んでいない。
尚、子会社ではアスクは営業総収入が前期比2.8%増の58億円、経常利益は同60.5%増の1億30百万円、FA24は営業総収入が同1.6%増の12億74百万円、経常利益は同13.0%減の20百万円を計画する。
配当については10円の期末配当を見込む。
 
 
今後の注目点
コンビニ事業では既存店売上を1.3%減と見込んでいる。しかし、足元3月は0.4%減にとどまっていることに加えて、夏場には天候不順の反動や秋には隔年開催の東京モーターショーが開催される。これらを考慮すると既存店前提はとかなり保守的印象がある。
出店を着実に進めてきたホテル事業についても、ユニット型ホテルにおいて顧客への訴求の遅れがみられるが、立地条件や価格競争力は申し分ない。年初の広告効果もあり、稼働率は着実に伸びると思われる。
利益面では、ユニット型ホテルの新規開業を予定していないことから、費用の縮小が見込まれる。コンビニ事業が想定を上回ることやユニット型ホテルの稼働率向上で各利益には上乗せ余地がありそうだ。営業外収益の減少に伴い経常減益予想だが、増益となる可能性もある。
前期が営業損失、下方修正だったこともあり株価は低迷しているが、18/2期業績予想は保守的である点や長期的視点で見たホテル事業における貢献を考慮すると見直し余地は大きいと考える。