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(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.47

(8860:東証1部) フジ住宅 企業HP
宮脇 宣綱 社長
宮脇 宣綱 社長

【ブリッジレポート vol.47】2017年3月期業績レポート
取材概要「同社の18/3期決算は、JR和歌山駅前の一等地における大型マンションプロジェクト(シャルマンフジ和歌山駅前グランピーク)の引渡が集中する下期・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年7月11日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
宮脇 宣綱
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 99,359 5,969 5,721 3,945
2016年3月 90,726 5,441 5,298 3,430
2015年3月 79,594 4,361 4,322 2,756
2014年3月 86,363 5,806 5,660 3,261
2013年3月 66,047 3,809 3,761 2,268
2012年3月 71,594 4,928 4,903 2,767
2011年3月 59,796 3,648 3,680 2,027
2010年3月 48,614 2,137 2,118 1,237
2009年3月 45,300 2,584 2,388 1,361
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
株式情報(5/12現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
741円 35,895,554株 26,559百万円 13.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
27.00円 3.6% 115.61 6.41倍 883.73円 0.84倍
※株価は5/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
※ROE、BPSは29年3月期実績、EPSは30年3月期予想
 
フジ住宅の2017年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
地盤である大阪府を中心に、阪神間と和歌山市内で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。
販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長だ。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。
 
(1)事業内容
分譲住宅事業(17/3期売上構成比33.4%)
戸建とマンションの分譲を展開。特徴は50~200戸規模の新築戸建住宅の「街づくり」と、顧客自身が住まいづくりに参加する 「自由設計」。自由設計住宅では間取りや設備仕様に対する様々なニーズに対応。また、新築分譲マンション販売事業も分譲住宅セグメントに含まれている。マンション分譲は地価上昇とその後の供給過剰・需要低下に伴う事業リスクの高まりを予見し05年春に事業を停止したが、リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえて12年2月に再開。駅近の利便性の高い立地等、物件を厳選した1次取得者向けの価格訴求力のある分譲マンション販売を特徴とする。
 
住宅流通事業(同 33.0%)
中古住宅再生事業『快造くん』と新築戸建住宅(建売住宅)の販売を展開。中古住宅再生事業『快造くん』は、中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業。地域密着型経営やリフォームのマニュアル化による独自のノウハウに強みを持つ。一方、小規模の新築戸建住宅(建売住宅)の販売は、自由設計住宅や大規模プロジェクトではカバーできない顧客ニーズに対応してきたが、今後供給を終了し、自由設計住宅へ切り替える予定。
 
土地有効活用事業(同 19.1%)
賃貸住宅等の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸アパートを展開。建築請負では、賃貸管理のノウハウを生かした提案型の賃貸住宅の建築請負を実施。また、個人投資家向け一棟売賃貸アパートは、同社で土地を仕入れ、 賃貸アパート等を建築し販売する。コスト競争力のある木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。個人投資家向け一棟売賃貸アパートでは、1棟当たり1億円前後の賃貸アパートが中心。資金運用手段として根強い需要がある。
 
賃貸及び管理事業(同 14.0%)
100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が、賃貸アパートの建物管理や入居者募集、賃料回収等の管理業務及び分譲マンションの管理組合からの運営受託を展開。安定収益源となるばかりでなく、良質の賃貸・管理サービスは、賃貸住宅の建築請負や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの他、分譲マンションの販売等との相乗効果も高い事業。
 
注文住宅事業(同 0.5%)
戸建住宅の実績で培ったノウハウを生かし、土地を保有する顧客に対して戸建住宅の新築や、建替えを請負うといった事業を展開。会社の第5の柱として展開中。
 
(2)同社の強み
住まいのトータルクリエイターとして幅広い事業に強みを有していること
土地の仕入れ・許認可の取得・設計・建築・販売の一貫体勢を備えた戸建住宅事業で築き上げたノウハウを基盤に、中古住宅販売、土地有効活用、個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売、賃貸及び管理の幅広い事業を、相乗効果を図りながら展開。地域密着型経営の特長を活かしながら住まいに関する幅広い事業の相乗効果を発揮し、より高い顧客満足を実現する不動産・サービスの提供を実施。
 
 
ノウハウを活かした中古住宅再生事業が展開できること
創業当初の住宅の代理販売事業とリフォーム事業のノウハウの融合から生まれたのが、中古住宅再生事業『快造くん』。中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業となっている。 地域密着型経営による情報収集はもちろん、リフォームのマニュアル化による“売れる中古住宅づくり”が強み。また、中古住宅の仕入にあたっては、相続登記が未了の場合でも、司法書士と連携して買取りを行う『フジホームバンク』を開設。相続登記にかかる費用も、売却代金から支払いできるなど顧客の利便性も高い。
 
 
収益力を高める土地活用の提案力を有すること
同社は、単なる土地活用の事業提案だけではなく、市場調査・企画・設計・建築・賃貸管理はもちろんのこと、総合不動産業(ディベロッパー)として、その力を最大限に発揮している。土地の購入や売却、アパート・マンションの建替え、法務・税務に関することなど、顧客からの様々な相談に専門的な見地から的確に対応している。賃貸住宅経営については、多くの土地情報の中から適した土地を厳選し、専任のマーケティングスタッフによる綿密な市場調査をもとに、長期安定経営が可能なプランニングを実施。また、中古収益物件についても、好立地で優良な物件のみを仕入れて商品化。更に、オーナーの「安心・安全・安定」した賃貸経営を万全にサポートする一括借上システムも提案している。
 
 
ポートフォリオ効果
不動産業界は景気や金利の変動といった外部要因に大きな影響を受ける。そこで、フジ住宅では多様な商品・サービスを提供することにより、収益の安定化を図れる事業ポートフォリオを目指してきた。
過去5年の売上構成比を比較してみると、以前は分譲住宅が4割超を占めていたが、現在では分譲住宅、住宅流通、土地有効活用及び賃貸管理と3つの事業がほぼ3割超となり、バランスのとれた事業ポートフォリオを実現している。
 
 
中期利益計画(16/3期~19/3期)
 
同社は、現在進行中の中期利益計画において、最終年度である19/3期に売上高1,020億円、経常利益60億円の業績目標を掲げている。分譲住宅セグメントでは、戸建住宅の大型プロジェクトの収益化に加え、現在供給を抑制している分譲マンションの販売再開を予定している。また、住宅流通セグメントでは、販売エリアの拡大による中古住宅販売の拡大を、土地有効活用事業セグメントでは、仕入強化による安定的な利益の確保を計画。その他、賃貸及び管理事業セグメントでは、管理物件の継続的な増加による確実な業績の拡大を見込んでいる。
 
 
中期利益計画の前提
16/3期の進捗
16/3期の実績は、売上、利益ともに中期業績目標を大幅に上回る好調なスタートを切った。当初、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの好調な受注により土地有効活用事業の売上高が大幅に増加することに加え、自由設計住宅や賃貸及び管理事業の売上が拡大することを計画していた。これらの事業が会社計画以上の成果をあげることができたことに加え、中古住宅の販売も会社計画を大幅に上回った。
 
17/3期の進捗
17/3期の実績は、売上、利益ともに中期業績目標を大幅に上回った。当初、16/3期に販売及び引渡しが本格化した良質でかつ大型の分譲住宅用地の増加や、エリア拡大による中古住宅の販売戸数の増加や、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しによるサブリースの戸数の増加による賃貸及び管理事業の増加を計画していた。これらの事業が会社計画以上の成果をあげることができたことに加え、中古住宅の販売価格上昇も寄与した。
 
18/3期 計画
当初、分譲住宅は、分譲戸建住宅において大阪府下、阪神間の大型プロジェクトが引渡し時期を迎えるほか、供給を抑制していた分譲マンションもJR和歌山駅前の一等地での再開を、また、賃貸及び管理事業も、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しを反映して、着実に売上・利益が増加すると計画していた。JR和歌山駅前の分譲マンションは、1年前倒しで16年7月より販売開始となった。なお、18/3期の会社計画は、売上高103,000百万円、経常利益6,000百万円、当期純利益、4,150百万円といずれも中期利益計画を上回り、1年前倒しで中期計画を達する前提。
 
19/3期 計画
分譲住宅は、18/3期に再開した一等地の分譲マンションの引渡しが開始され、売上高に計上。中古住宅も兵庫県及び奈良県など営業エリアの広域化が定着し、売上高が増加する見込み。また、賃貸及び管理事業も、中古住宅アセット事業の収益物件の拡大や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しによる管理物件・サブリース物件の取扱増加により売上が拡大。分譲マンションの引渡しが1年前倒しとなり計画が今後変更となるものと予想される。
 
 
 
 
2017年3月期決算
 
 
前期比9.5%の増収、同8.0%の経常増益
売上、各利益とも過去最高を更新し、期初予想も上回る結果となった。
売上高は前期比9.5%増の993億59百万円。売上面では、自由設計住宅の販売金額が増加した分譲住宅セグメントや中古住宅の販売金額が増加した住宅流通セグメントなど全てのセグメントで増加した。また、販売状況を示す受注契約高は分譲マンションや個人投資家向け一棟売賃貸アパートなどの受注増加などが寄与し同11.8%増加。売上高の先行指標となる17年3月末の受注契約残高も前期末比13.9%増加した。
経常利益は前期比8.0%増の57億21百万円。セグメント利益は、ブランドイメージ向上のためのテレビCM投入等の先行投資による広告宣伝費の増加などにより分譲住宅セグメントで減少したものの、中古物件価格の上昇が寄与した住宅流通セグメントや請負物件の増加などが寄与した土地有効活用セグメントなどそれ以外の全てのセグメントで増加した。収益性の高い中古住宅や賃貸住宅等建築請負などの売上増加が寄与し、売上総利益率が同0.4ポイント上昇したものの、先行投資による広告宣伝費や採用コストの増加などにより売上高対販管費比率も0.4ポイント上昇したことから売上高対営業利益率は前期並みの6%にとどまった。これにより、営業利益は59億69百万円と同9.7%増加した。また、営業外費用で改装付中古住宅販売事業における仕入れ資金を目的とするコミットメント型シンジケートローン契約に伴うコミットメントフィー1億77百万円(前期は12百万円)が発生したことから経常利益の増益率は営業利益の増益率を下回った。その他、前期に特別損失で発生した減損損失88百万円が今期はなくなったことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率は営業利益の増益率を上回った。
 
 
分譲住宅セグメントの売上高は前期比7.4%増の331億82百万円、セグメント利益は同19.7%減の24億17百万円。売上は分譲マンションが減少したものの、自由設計住宅の増加が寄与した。利益の減少は、自由設計住宅の売上増加が寄与したものの、ブランドイメージ向上のためのテレビCM投入等の先行投資による広告宣伝費の増加が影響した。一方、受注契約高は、自由設計住宅が733戸(前期は749戸)、分譲マンションが272戸(前期は118戸)となり、394億70百万円と同22.1%増加。受注契約残高も分譲マンションの増加が寄与し、282億76百万円と同28.6%増加した。

住宅流通セグメントの売上高は前期比11.0%増の328億29百万円、セグメント利益は同25.9%増の13億73百万円。売上及び利益の増加は、中古物件価格の上昇を受け中古住宅の販売額が増加したことが寄与した。中古住宅の受注契約戸数は1,526戸(前期は1,539戸)と減少したものの中古物件価格の上昇を受け、住宅流通セグメントの受注契約高は321億45百万円と同6.3%増加した。受注契約残高は建売住宅の減少が影響し、37億11百万円と同15.6%減少した。

土地有効活用セグメントの売上高は前期比6.6%増の189億71百万円、セグメント利益は同51.5%増の22億74百万円。賃貸住宅等建築請負の引渡しが増加し売上及び利益が増加した。また、建築費の高騰を加味した事業計画により、粗利益率が改善されたことも大幅な増益に寄与した。賃貸住宅等建築請負の受注は減少したものの個人投資家向け一棟売賃貸アパート受注が好調に推移し、受注契約高は193億77百万円と同3.9%増加した。受注契約残高も、賃貸住宅等建築請負の減少を個人投資家向け一棟売賃貸アパートの増加がカバーし160億11百万円と同2.6%増加した。

上記の他、賃貸及び管理事業セグメントの売上高は前期比15.7%増の138億72百万円、セグメント利益は同32.7%増の11億81百万円。土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び分譲マンション引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したことや中古住宅アセット事業による中古賃貸物件の増加が寄与した。また、注文住宅セグメントの売上高は前期比7.1%増の5億3百万円、セグメント利益は同46.9%増の38百万円となった。
 
 
 
受注契約高と受注契約残高は拡大傾向。
 
 
当第4四半期(1-3月)の売上高は前年同期比増加したものの、営業利益はブランドイメージ向上のためのテレビCM投入等の先行投資による広告宣伝費の増加などが影響し減少した。
 
 
2017年3月末の総資産は1,148億72百万円と前期末179億71百万円増加した。資産サイドは、たな卸資産と有形固定資産が、負債・純資産サイドは短期借入金及び長期借入金と親会社株主に帰属する四半期純利益の計上が主な増加要因。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産232.8億円(前期末218.9億円)、仕掛販売用不動産210.2億円(同148.6億円)、開発用不動産384.7億円(同362.2億円)。有利子負債は134億72百万の増加。自己資本比率は27.6%と前期末から1.8ポイントの低下。
 
 
CFの面では、たな卸資産の増加幅が拡大したことなどにより営業CFがマイナスに転換。有形固定資産の取得などの増加で投資CFのマイナス幅も拡大したことからフリーCFのマイナス幅も拡大。一方、長期借入金の増加幅が拡大したことなどから財務CFはプラスへ転換した。また、現金及び現金同等物期末残高は前期比40.7%増加した。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
前期比3.7%の増収、同4.9%の経常増益予想
18/3期の会社予想は、売上高が前期比3.7%増の1,030億円、経常利益が同4.9%増の60億円。
売上面では、建売住宅の供給を終了する影響により住宅流通セグメントで減少するものの、分譲マンションが増加する分譲住宅セグメントと個人投資家向け一棟売賃貸アパートが増加する土地有効活用セグメントで増加する他、ストックビジネスの積み上がりにより賃貸及び管理セグメントも安定的に拡大する見込み。また、中古住宅は、仕入価格の上昇により買取りの苦戦を想定し微増の計画となっている。
利益面では、増収効果があるものの収益性の高い賃貸住宅等建築請負の減少や建売住宅の供給中止の影響やテレビCM投入及び採用コストの上昇等の先行投資負担の拡大を考慮している。売上高営業利益率は、6.1%と前期比0.1%上昇の前提。また、下期に大型分譲マンション等の引渡しが集中するため、上期の連結業績見通しは、前年同期を下回る計画となっている。
配当は前期から1円増配の1株当たり年27円の予想(上期末14円、期末13円)。
 
 
分譲住宅セグメントは、自由設計住宅737戸(前期は772戸)、分譲マンション243戸(前期は110戸)の販売を予定。
住宅流通セグメントは、中古住宅の販売戸数1,562戸(前期は1,516戸)を予定。
土地有効活用セグメントは、一棟売り112棟(前期は104棟)、建築請負44棟(前期は51棟)を予定。
※建売住宅は、今後供給を終了し、自由設計に切り替えていく方針。
 
(2)主なトピックス
分譲一戸建住宅販売を和歌山市内で新たに事業展開
同社は、平成28年7月よりJR和歌山駅前にて過去最大規模(総戸数256戸)の分譲マンションの販売活動をスタートした。これを機に、和歌山市内において同社の知名度と信頼度が高まっている模様である。同社では、このチャンスを生かすべく今後和歌山市内において分譲一戸建住宅(自由設計)の積極的な販売活動を展開する。年間200戸の供給を目標に、今期より先行して一戸建分譲用地の積極的な取得を行う予定である。
 
コミットメント型シンジケートローン契約の締結
同社は、平成29年1月31日付で、株式会社三井住友銀行をアレンジャーとする総額75億円のコミットメント型シンジケートローン契約を締結した。主として改装付中古住宅販売事業における仕入れ資金を目的としたもので、中古住宅の仕入れを一層積極化することに対応したものである。コミットメント期間は3年。
 
テレビCMの放送開始
平成29年1月20日(金)より、思いを形にした家づくりとして、当社が販売する分譲住宅「炭の家」をメインテーマにテレビCMを放送開始。家族思いの主人がいる、ある一家とフジ住宅・炭の家との出会い、住み始めてからの住み心地の実感を表現すべく、4編のテレビCMとして展開する。あわせて同日より、期間限定キャンペーンサイトも公開開始。関西圏のテレビ局中心に、年間を通して放映するとともに番組提供及び駅などの大型看板・WEB広告等のさまざまなメディアを並行して、重層的な広告活動を展開する予定。
 
健康経営の受賞
健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味する。同社では、従業員の健康管理・健康づくりの推進は、生産性の向上、従業員の創造性の向上、企業イメージの向上等の効果が得られ、かつ、企業におけるリスクマネジメントとしても重要との認識のもと、経営者の指導力のもと、健康管理を組織戦略に則って展開している。
同社は、 平成28年1月21日経済産業省・東京証券取引所による「健康経営銘柄2016」に選定されていた。今年に入り、平成29年2月21日経済産業省・日本健康会議による「健康経営優良法人2017 大規模法人部門(ホワイト500)」に認定された他、平成29年3月24日株式会社日本政策投資銀行による「DBJ健康経営格付」にて最高ランクの格付を取得した。
 
 
今後の注目点
同社の18/3期決算は、JR和歌山駅前の一等地における大型マンションプロジェクト(シャルマンフジ和歌山駅前グランピーク)の引渡が集中する下期偏重型の計画となっている。そのため、上期は前期比大幅な減益計画となるなど見た目上の決算数字は良くない。しかし、前期に高水準の分譲マンションの受注契約高が確保できたことから通期業績目標が未達成となるリスクは小さそうである。その一方で、19/3期の業績拡大のためには分譲マンションの落ち込みをカバーする自由設計住宅の販売拡大が必要である。同社は、今期もブランドイメージ向上や販売拡大のためのテレビCMの積極的な投入を計画している。テレビCMの効果を生かし、来期の業績拡大の源泉を構築できるのか、今期の自由設計住宅の受注契約高の動向が注目される。加えて、今年1月に締結した総額75億円のコミットメント型シンジケートローン契約により、今後改装付中古住宅販売事業における仕入れの加速が可能となった。積極的な中古住宅の仕入れが今後どれ位の規模で中古住宅の販売拡大に結び付くのか、今期の中古住宅の受注契約高の動向にも注目したい。また、同社は、不動産市況の影響を受けない中長期的な業績拡大を目指している。このため、今後ストック収益の積極的な積み上げを目的とし、サービス付高齢者住宅への投資を拡大する予定である。これらストック収益が同社の利益構成の大きな比率を占めるには数年かかるものの、不況抵抗力の強い収益構造への転換は、不動産業界の業績変動の激しさを嫌う投資家の再評価につながるものと期待される。今後のサービス付高齢者住宅の事業展開にも注目していきたい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
コーポレートガバナンス・コード適用以降のコーポレートガバナンス報告書直近提出日、2016年11月25日。
 
 
 
<その他>
コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方において、「株主の投資価値を高めるため、社長自らが、経営理念、事業目的、行動規範を明示し、「能力」と「熱意」と「考え方」の優れた企業貢献意欲の高い役職員が一致団結して同じ方向を向いて活動することが、業績向上のために必要不可欠な要素と考えております。」と述べている。
コーポレート・ガバナンス・コードが導入された初回提出時と比べ、統治指針が求める原則のうち、実施しないコードは6項目→1項目に変更となっている。実施しない1項目においても現状の説明と今後の改善計画が明記されている。また、一昨年までは1名であった社外取締役を16年6月総会で2名に増員し、各原則に基づく開示においては、「情報開示の充実」の説明に取締役・監査役の選任理由を追加、更新するなど、コーポレートガバナンス機能の改善・強化が進んでいることがわかる生きた報告書が提出されている。