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ブリッジレポート:(6181)パートナーエージェント vol.4

(6181:東証マザーズ) パートナーエージェント 企業HP
佐藤 茂 社長
佐藤 茂 社長

【ブリッジレポート vol.4】2017年3月期業績レポート
取材概要「2017年6月15日、コネクトシップの新システムは予定通り稼働を始めた。まずは利用率向上を最優先させるため収益への寄与はまだ先となろうが、同社・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年8月1日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社パートナーエージェント
社長
佐藤 茂
所在地
東京都品川区大崎1-20-3 イマス大崎ビル
決算期
3月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 3,812 204 212 107
2016年3月 3,644 445 434 285
2015年3月 2,664 146 132 79
2014年3月 2,164 51 39 17
株式情報(7/27現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
624円 9,823,200株 6,129百万円 14.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 - 37.80円 16.5倍 70.05円 8.9倍
※株価 7/27終値。2017年1月1日付で1:3の株式分割を実施。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
 
株式会社パートナーエージェントの2017年3月期決算概要等をお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
多様な婚活支援サービスを提供。登録会員の婚活を支援する主力の「パートナーエージェント事業」のほか、婚活パーティーの企画・運営、及び低価格婚活支援サービスなどを手がける「ファスト婚活事業」、婚活に取り組む企業や地方自治体を対象に、イベント開催の受託からマッチングシステム提供、新規婚活支援事業の立上支援、地域における結婚しやすい環境作りまで幅広くサポートを行う「ソリューション事業」、結婚式場紹介、ブライダルリングの販売、保険契約の見直し、保育施設の運営などの関連サービスを提供する「QOL事業」を展開。「世の中に、もっと笑顔を。もっと幸せを。」という企業理念に基づき、各種サービスを展開している。中でも、専任コンシェルジュによるキメの細かいフォローアップと独自システムによる婚活支援により、高い成婚率実績を出していることが大きな特徴。
 
【1-1 沿革】
2004年6月、ウェディングの企画および施設の運営を手掛ける株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ(4331、東証1部、T&G社)が新規事業として婚活支援事業を始めるにあたり、100%子会社として同社を設立した。そのスタートアップにあたり招聘されたのが大手婚活会社で豊富な経験・実績を積み重ねた現社長の佐藤茂氏。
その後T&G社の業況が低調となり、継続的な投資が難しくなったのを機に、2008年5月、佐藤社長を始めとした経営陣と従業員の共同出資により株式を取得し、T&Gグループから独立した。
「顧客成果追求」の結果である成婚率の高さを顧客に評価され、業績は順調に拡大。2015年10月に東証マザーズに上場した。
 
【1-2 企業理念】
佐藤社長が創業時に掲げた想い「顧客成果の追求」をベースに、以下のようなミッション、ビジョンを示している。
 
 
佐藤社長はこれらの理念について、具体的な課題やトラブルへの対応など業務を通じてその度ごとに理念に立ち戻り考えることで、初めて社員各人及び組織に理念が浸透すると考えている。
 
【1-3 市場環境】
<未婚者状況>
*上昇続ける未婚率
総務省の国勢調査によれば、25-34歳の未婚率は男女とも上昇を続けている。
 
 
*未婚者の結婚の意思 ~「結婚する意思」は引き続き高水準~
「2016年社会保障・人口問題基本調査<結婚と出産に関する全国調査> 第15回出生動向基本調査」によれば、結婚する意思を持つ未婚者の割合は18~34歳の男性で85.7%、女性で89.3%となっており、「結婚したい」と考えている未婚者の数は依然高水準である。
 
 
一方、「一生結婚するつもりはない」未婚者の割合が男女とも上昇してはいるが、その中でも今後「いずれ結婚するつもり」に変わる可能性があると回答した割合は、男性44.1%、女性49.8%となっており、今は結婚するつもりの無い層も半数近くは今後結婚に向けて動き出す可能性がある。
 
*独身でいる理由 ~25歳を過ぎると適当な相手にめぐり会わない~
未婚者に独身でいる理由を尋ねたところ、18~24歳の若い年齢層では、「若すぎる」、「必要性を感じない」など積極的な動機が無いことが多く上げられているが、25~34歳では、「適当な相手にまだ巡り会わない」という理由を挙げる割合が増加しており、出会いやその機会に対するニーズが大きいことが窺える。
 
 
<同業他社>
日本全国には約3,000の婚活会社があるが、その9割は個人事業主で、全国規模で事業を展開しているのは同社を含め数社のみである。
 
 
【1-4 事業内容】
従来から手掛けているパートナーエージェント事業に加え、ファスト婚活事業、ソリューション事業、QOL事業の3事業を2017年3月期より本格的に開始している。2018年3月期からは報告セグメントとして4事業で開示を行う。
 
①パートナーエージェント事業
顧客として入会した会員に対する情報提供、相手の紹介、出会いの機会の提供を行っている。
会員にはそれぞれ専任のコンシェルジュが婚活支援の担当としてつき、活動設計を行い、プロフェッショナルとして顧客をサポートしている。また、出会いの機会を提供するため、会員同士のイベントを企画・運営するなど付随サービスも提供している。
会員構成は男女比で4:6~3:7で女性が多い。
 
 
(サービスの特色)
「1年以内を目途に結婚相手を見つけたい顧客」に対し、高いコーチングスキルを持ったコンシェルジュが担当として付き、プロセスに手間や時間をかけず費用対効果の高いサービスを求める顧客ニーズに応えるべく、PDCAサイクルに基づく活動支援を行っている。
コンシェルジュは、婚活支援を通じて人の役に立ちたい、喜びを共にしたいと考えている、子育てが一段落した年代の女性が中心で、2017年3月末時点で153名のコンシェルジュが在籍している。
また、コンシェルジュの活動については、「顧客成果の追求」を掲げている同社においては、成婚率、中途退会率など主として「顧客満足度」の視点から評価を行っている。
 
<PDCAサイクルに基づく活動支援のイメージ>
①入会前:サービス内容と料金体系の明確化
初めて来店した入会を検討している顧客には、入会勧奨を行うアカウントエグゼクティブが応対し、サービス内容と料金体系について正確に理解してもらうべく丁寧な説明を行う。
しかし、一定の基準に基づき、結婚相手の紹介の継続が難しいと判断した場合には、入会を断る場合もある。
これは、入会後月会費等の費用が発生するにも関わらず、コンタクト(お見合い)に至らない、または交際に発展しないなど、顧客が満足できない状況を招くことを避けるためでもある。
 
②入会後:専任コンシェルジュによる活動サポート
入会すると、はじめにその会員がどのような価値観を持ち、どのような相手を希望しているのかを把握するため会員の婚活支援を担当するコンシェルジュが時間をかけて面談を行う。
この際、コーチングスキルを用いて会員がまだ明確にできていない相手への希望や理想像をより明確化することで、抽象的に相手探しをするのではなく、より具体的なマッチングに結び付けられるようにする。
従来のデータによるマッチングだけでなく、コンシェルジュという人間を通して相手を紹介することで同業他社との差別化を図り、結果的に、回り道をせず手間や時間をかけずに費用対効果の高いサービス提供へとつながっている。
さらに、活動を通して、専任のコンシェルジュがPDCAサイクルを用いて活動の軌道修正を支援するため、失敗があっても前向きに婚活に取り組んでもらうことができる。
加えて、コンタクトの感想や感触の確認、その後の交際期間中の悩みごとの相談、成婚(※)後のフォローまで、コンシェルジュが会員の気持ちに寄り添って、共に成婚実現に進んでいけるようにサポートする。
また、成婚後のフォロー期間も1年間に設定することで、成婚後であっても長期間フォローし、結婚までの道のりをサポートしている。
(※)成婚(退会)
交際中の相手との結婚を視野に入れて交際を継続する意向を双方から受けた上で退会すること。
 
③コンタクト(お見合い)の設定:専任のコンシェルジュ以外の活動サポート
活動が進むと、相手とのコンタクト(お見合い)を迎える。コンタクトの日時調整、場所の申し合わせなど、手間のかかる作業もシステムと専門チームがサポートするため、手間をかけずに効率よく活動することができる。
コンタクト当日に道に迷ったり、相手を見つけられなかったりした場合なども、窓口スタッフが電話・メールでサポートを行い、出会いの機会を逃さないように支援している。
また、セカンドオピニオンとしてのアドバイスや助言のニーズに対応するために、サービスデスクを設置し、会員からの相談・要望に第三者からのアドバイスや助言を提供し、活動がより円滑に行えるためのサポート体制を構築している。
 
 
費用内での紹介件数に上限は無い。同社では原則として月2件以上の紹介を行うこととしている。
 
(付随サービス)
①会員向けイベント
コンシェルジュによる相手の紹介だけでなく、会員を対象に出会いの機会を提供するため、婚活パーティーなど各種イベントの企画・運営を行っている。
イベント専門のスタッフが運営を行い、出会いをサポートしている。数多くの会員がイベントをきっかけに交際に発展し、成婚まで至っている。イベントスペースを自社店舗内に設けることで機動的な開催が可能であり、イベント会場の賃借費用が不要となっている。
 
②オプションサービス
会員向けの写真撮影会を有料で提供している。婚活においては第一印象が重要視されるため、プロのカメラマン、メイクアップアーティストと提携し、自社店舗または提携先スタジオで写真撮影を行っている。婚活に特化しているため、適切な服装、表情など、経験に裏打ちされたアドバイスの提供も可能である。
カラーコーディネート、ファッションアドバイザリー、コミュニケーション力向上など、婚活に関連する予備知識や情報提供を、有料セミナーによって提供している。
 
②ファスト婚活事業
低価格で気軽に始めることができる婚活サービスというコンセプトで展開している事業。3つのサービスで構成されている。
 
 
(1)「OTOCON(オトコン)」婚活パーティー
一般会員向けの婚活パーティーを「OTOCON(オトコン)」として企画・運営している。
一般会員向けではあるが、各種イベントを通じて同社に興味を持ち、会員になるケースも多く、入会の1つのチャネルとして機能している。
また、パートナーエージェント事業の会員向けイベントサービスと同様に、イベント専門のスタッフが自社店舗内のイベントスペースでイベントを企画・運営するため、社内設備の有効活用ができ、かつ入会チャネルとして機能しているため、ファスト婚活事業自体の収益だけでなく、他サービスとのシナジーも発揮している。
 
(2)「OTOCON MEMBERS婚活カウンター」
婚活パーティーだけでなく、結婚相手の紹介も受けて婚活をしたい独身者向けに比較的低価格で利用できる婚活支援サービスで、2016年5月に提供を開始した。
専用店舗として2016年5月の新宿店(東京都)、心斎橋店(大阪府)を皮切りに、名古屋店(愛知県)をオープン。パーティー参加者が計画を上回り順調に増加していることから、出店を加速・強化している。2017年3月末で20店舗を運営している。
 
(3)Yahoo!婚活コンシェルプラン
ヤフー株式会社が運営する婚活ポータルサイト「Yahoo!婚活コンシェル」内で、同社が提供する結婚情報サービス。
結婚相談所がサポートする質の高い出会いを誰もが使いやすい価格で提供しており、両社の共同事業モデルとなっている。
「専任コンシェルジュのサポート」、「精度の高い紹介システム」、「登録はオンライン」、「安心の会員構成」、「初期費用は結婚相談所の10分の1以下」等が特長。
利用者への告知・集客をインターネット上で行うことで店舗の運営にかかる費用を削減し、サポートにかかる費用のみでサービス提供することで、低価格を実現している。
 
③ソリューション事業
(1)事業会社及び地方自治体向けコンサルティング
婚活業界への参入を検討している事業会社や、住民に対する婚活支援活動を実施しようとしている自治体に対し、「parms」という同社が開発した結婚支援システムをASPで提供している。
「parms」は、結婚支援事業に必要な会員登録、会員管理、お相手とのマッチングなどの基本機能だけでなく、利用者(結婚を望む男女)の活動をサポートする機能や、事業運営側のスタッフの業務を効率化する機能等を網羅的に兼ね備えたシステム。運営主体の要望に応じたカスタマイズも可能となっている。
 
 
(2)会員相互紹介プラットフォーム「CONNECT-Ship」
婚活支援事業者間で自社会員の相互紹介を可能にするプラットフォーム「CONNECT-ship(コネクトシップ)」が2017年6月稼働を開始した。
 
 
これら一定規模の事業者間において、最大5万人超の会員(各社の会員数合計)の相互紹介を通じて成婚率を高め、顧客成果、顧客満足度の向上を図る「コネクトシップ」は、婚活支援業界初の試みである。
会員相互紹介を実現するプラットフォーム(システム)としては、パートナーエージェントが開発し、運用保守を行う「コネクトシップ」サービスを使用し、「コネクトシップ」の運営事務局も同社が担う。

今後も顧客成果である成婚の最大化という想いを共有できる婚活支援事業者を利用事業者に加え、規模を拡大していく予定。
利用事業者は、自社のサービス内容や運営について、事務局である同社を含めた他の利用事業者から干渉されることなく、自社の顧客に独自のサービスを提供することができる。

システムを提供・運用する同社は、利用事業者各社から受け取る①登録会員1人当たりの月額利用料、②会員同士のお見合いが成立した場合のお見合い料を収益源とする。
 
(狙い)
利用事業者が、営業面での競争のみならず、新しい枠組みの中で顧客成果である成婚を追求して切磋琢磨すること により、顧客満足度を高めて業界全体の発展を図るとともに、サービス品質に基づき健全な競争を行うよう業界に変革を促すことも、「コネクトシップ」を主導する同社の狙いである。
 
④QOL(Quality of life)事業
パートナーエージェント事業によって顧客となった会員に対し、成婚退会後もその関係性を維持して人生の節目において各種サービスを提供し顧客満足度の充足・向上を図りつつ、収益機会の拡大を図る。

成婚退会した会員がメンバーとなる「アニバーサリークラブ」が主として以下のようなサービスを提供している。
 
結婚式場紹介に関しては、これまでは式場と直接提携し関東エリアの成婚会員への紹介が中心だったが、(株)リクルートゼクシィナビが運営する「ゼクシィ婚活カウンター」への紹介を開始した。これにより全国の成婚会員に式場紹介サービスの提供が可能となった。
また住宅に関してもこれまでは賃貸住宅の仲介サービスへの送客のみだったが、注文住宅の購入を検討している成婚会員向けに(株)リクルート住まいカンパニーが運営する「ゼクシィ婚活カウンター」への紹介を開始した。

このほか、内閣府の主導する企業主導型保育施設の運営事業は、2016年6月の「めばえ保育ルーム三鷹台」を皮切りに、2018年3月期は7園オープンの予定。今後も地域の保育ニーズを踏まえ開園を検討している。地域と連携し保育環境の改善を目指している。
 
【1-5 特長と強み】
「顧客成果の追求」と結果としての成婚率の高さ
同社を特徴づける最大のポイントは、「成婚率」の高さである。
2017年3月期の成婚率は28.6%。毎期着実に上昇を続けている。
 
 
同業他社は明確な数字を開示していないものの平均10%と言われており、同社の成婚率の高さは断トツである。

在籍会員に対するある期間における成婚退会会員数の割合を示す「成婚率」は、婚活会社の必要性を問われてしまう可能性もある両刃の刃であるという意味で、婚活業界においては指標として明示すべきではないとの認識が主流であった。
これに対し佐藤社長は創業時より事業に対する想い、企業戦略として「顧客成果を高める」を掲げてきた。
顧客が同社に求めるものは「結婚」という成果であり、これを可能な限り高めることこそが自社の社会的な存在価値であるという考え方だ。
この目的を実現するために、採用、教育、育成、研修、ナレッジ共有、マネジメント、評価制度、などあらゆる活動のベースを「顧客成果の追求」においている。こうした姿勢が業界では群を抜いて高い「成婚率」に結びついている。
 
 
2017年3月期決算概要
 
 
増収も経費を吸収しきれず減益。
売上高は前期比4.6%増の38億12百万円。主力のパートナーエージェント事業の会員数は12,193名で前期比1.7%の増加となった。成婚率は前期実績27.2%を上回る28.6%で、過去最高を更新した。新システム停止に伴う月会費請求取り止めによる影響は184百万円の減収。
営業利益は同54.1%減の2億4百万円。販促費の効率化、コンシェルジュの生産性向上による採用人員コントロールなども進めたが、売上減に加え前期大型のコンサルティング案件があった反動で利益率も大きく低下した。 修正予想に対し、売上、利益とも未達となった。
 
 
(パートナーエージェント事業)
新規入会会員数は前期比4.6%の減少となったが、第4四半期(1-3月)は同0.4%増と盛り返した。
一方、在籍会員数は、成婚率の向上により成婚退会会員数が増加したが同1.7%増加した。
同社が最も重視している顧客成果である成婚率は前期実績の27.2%を上回り、28.6%となった。
出店に関しては、2016年11月 高崎店(群馬県)、2017年1月 水戸店(茨城県)、2017年3月 姫路店(兵庫県)の3店舗を出店し、期末店舗数は25店舗となった。
 
(ファスト婚活事業)
婚活パーティー「OTOCON」の延べ参加者数は前期比111.7%増の136,491名となった。
「OTOCON」パーティー参加者数も同43.2%増の2,386名となった。
こうした婚活パーティーに対する需要増を踏まえ、2016年10月 船橋店(千葉県)および銀座店(東京都)、2016年11月 池袋店(東京都)の3店舗を出店し、期末店舗数は20店舗となった。
 
(ソリューション事業)
2016年8月、長野県南佐久郡川上村と「女性活躍推進及び結婚環境向上推進に関する連携協定」を締結し、同年9月に、福島県の結婚支援事業に関する包括的な支援業務を受託した。
「コネクトシップ」は新システムのリリースの際不具合が生じ稼働を一時停止していたが、2017年6月に稼働を開始した。
 
(QOL事業)
【1-4 事業内容】の項で触れているように、提携によるアイテム増と提供エリア拡大によるサービス拡充を図った。
また、新たな試みとして、社企業主導型保育施設「めばえ保育ルーム三鷹台」を2016年7月に開園した。
 
 
流動資産は前期末から32百万円増加。新システム構築、新店舗出店に伴う設備投資で固定資産は同2億76百万円増加。資産合計は同3億8百万円増加の22億63百万円となった。
長短借入金の増加等で負債合計は同4億36百円増加の16億2百万円。
利益剰余金が増加したが自己株式の増加で純資産は同1億28百万円減少の6億60百万円となった。
この結果自己資本比率は前期末の40.4%から29.1%へ11.3%低下した。
 
 
利益の減少などで営業CFはマイナスに転じた。
店舗増など有形固定資産の取得による支出が増加し投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFはマイナスに転じた。長短借入金の増加などで財務CFのプラス幅は拡大した。キャッシュポジションはほぼ変わらず。
 
(4)トピックス
◎意思決定のスピードアップ、事業成長実現のための組織変更を実施
2017年4月1日付で、組織を4つの本部に分けて再編成した。
各本部長に権限を委譲・集約して、各事業毎に生じる課題について各本部で機動的に対応できるようにし、各事業の成長に必要な意思決定のスピードを速め、更なる事業成長を実現することを目的としている。

(変更の概要)
①PA(パートナーエージェント)事業本部、事業企画推進本部、QOL事業本部、事業サポート本部の4本部制とし、本部内の意思決定権限を本部長に付与する。

②パートナーエージェント事業はPA事業本部、ファスト婚活事業・ソリューション事業は事業企画推進本部、QOL事業はQOL事業本部にそれぞれ属する。また、全社の管理系機能を含む、全事業の支援機能組織を事業サポート本部に集約する。

佐藤社長は、PA事業本部長を兼務し、中心事業のパートナーエージェント事業の更なる拡大・成長の陣頭指揮をとる。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
大幅増収増益へ
売上高は前期比22%増の46億49百万円の予想。主力のパートナーエージェント事業は新規入会会員数の獲得が軟調だが、ファスト婚活事業は引き続き高い伸びを見込んでいる。コネクトシップはまず利用率の向上に取り組む。
営業利益は同98.1%増の4億5百万円。
 
(2)今後の取り組み
①パートナーエージェント事業
今期売上高は約10%の伸びを見込んでいる。
認知度の向上が急務と考えている。
相談所利用意向者における同社の認知度は28%で同業大手の半分以下となっている。
一方、同社のことを知っている利用意向者に「利用するならどの会社のサービスを利用するか?」を聞いてみると、成婚率の高さから同社を選ぶとの回答数は他社を上回っている。
こうしたことから、認知度の向上こそが同事業成長の大きなカギを握ると考えており、CI戦略を含めた取り組みに注力する。

新規出店は八重洲、渋谷など決定分も含め8店舗の出店を計画している。
40~60店舗を展開している同業他社に比べ同社は2倍以上の出店余地があると考えており、年間6-8店舗前後の出店を続けていく。
 
②ファスト婚活事業
今期売上高は前期同様に1.6倍増と大幅な増収を計画している。
婚活パーティーの集客数を増加させ、会員型サービスへの入会増を図る。
そのために、今期は10店舗の新規出店を予定しており、来期以降も同程度の出店を図る。
「OTOCON」延べ参加者数は前期比55.8%増の212,779名、ファスト婚活期末会員数は同43.2%増の2,386名の計画。

また同社のシステムを使用し、外部企業にサービス提供・お見合い調整、課金・回収、インフラ提供を行うアライアンスモデル婚活サービスでは、順次提携先を増やしていく。
 
③ソリューション事業
今期売上高はほぼ前年並みを計画。
収益性を重視し、地方自治体にマッチングシステムをASP提供することに注力することとした。

2017年6月に稼働を開始した「コネクトシップ」は、まずは各社会員、婚活支援事業者における利用率を引き上げることを最優先課題と位置づけ、利用状況を踏まえた利用価格の設定、変更を含めて機動的な対応を行う考えだ。
そのため今期予想には「コネクトシップ」の収益は織り込んでいない。

コネクトシップのシステムはユーザーインターフェースについて工夫を重ね使い易いものとなっているが、他社は現在使用しているシステムに慣れていることから、使いこなすのに時間がかかることも考えられるため、とにかく使ってもらうことを優先していく。
1回利用すればステムの良さを理解してもらえるのは、エン婚活(エン・ジャパン)、ゼクシィ縁結びカウンター(リクルート)、三重県などで実証済みということだ。
 
④QOL事業
成婚会員向けサービスの質・量を拡充させるとともに、企業主導型保育施設については、今期7園の開園を予定している。
 
 
佐藤社長に聞く
 
佐藤社長に今後の取り組み、投資家へのメッセージなどを伺った。
 
Q:「認知度向上のための取り組みをお教えください。」
A:「CI導入を現在検討中だ。」
認知度向上のための取り組みの一つがCI戦略だ。
当社は2つの課題を認識し、CI導入を検討している。

一つは、会社としての事業とブランドの名称を明確に分ける必要があるということだ。
事業としての「パートナーエージェント」は、ある程度の料金を頂戴し、成婚率の高さという顧客成果を提供するサービス。これに対し、「OTOCON」婚活パーティーなどファスト婚活事業は安い料金で、ややハードルの高さを感じている婚活サービスをまずは利用してもらおうという、場の拡大を目指したサービスだ。
サービスのドメインは異なるが同じ「(株)パートナーエージェント」が手掛けるということで、サービスとしての「パートナーエージェント」のブランドが毀損してしまう懸念がある。

二つ目は、認知度広告を打つには「(株)パートナーエージェント」という社名について、社名が長い、英語で読みにくい、ロゴの線が細いといった様々な課題があることがわかったことだ。
これまでのように、サービス利用を促す広告であれば問題ないが、とにかく当社の事を知ってもらうためには社名についても検討する必要がある。
私としては創業以来の想い入れのある社名ではあるが、創業2年目から大きな向上の見られない認知度を引き上げるにはそんなことも言っていられない。
現在コンサルも入れて検討中で、実施することとなった場合は一定規模の投資が必要となる。

このほか、今後は中国地方、東北など地方での店舗展開を進めていくにあたっては、インターネットは効果が限られるので、ローカルのTVやラジオCMの放映、タレントの起用など、認知度向上のために様々な取り組みを進めていく。
 
Q:「以前のインタビューで、『労働集約型産業である業界において人材についての戦略的な強化が不可欠なので、HR(ヒューマンリソース)プロジェクトを立ち上げた。』とのお話でしたが、その進捗はいかがですか?」
A:「採用、育成、制度、福利厚生、労務といった各フェーズでの戦略を構築中だ。」
専門部署として人材開発部を立ち上げた。
現在は、採用、育成、制度、福利厚生、労務といった各フェーズでの戦略を構築中だ。
当社が持続的な成長を遂げるためには極めて重要な部分なので、時間をかけじっくりと取り組んでいる。
 
Q:「保育施設運営事業は当初の想定よりもスピードが上がっているようですね。」
A:「組織作り、風土作り、評価制度などマネジメントのノウハウ、知見、経験が豊富でこれが大きな強み、優位性となっている。社会的意義の大きな事業と感じているので、今後も力を注いでいく。」
まずは一つを仕上げてから次へと考えて取り組んでいきたが、需要も大きくまたオペレーションも円滑に進めることができているので、今期は7つ開園する計画だ。

保育園運営に当たっての課題として保育士の人材不足が言われるが、あれは離職補填が容易でないという意味で、潜在的に保育士は十分な数がおり、募集をかければ人は集まる。

離職の理由としては、保育士の組織風土に対する不満が最も大きいのだが、当社の場合は、創業以来、コンシェルジュの採用、育成の過程で培ってきた組織作り、風土作り、評価制度などマネジメントのノウハウ、知見、経験が豊富でこれが大きな強み、優位性となっており、保育士の採用・確保がボトルネックになることはない。
女性が働きやすい環境作りという点で非常に社会的意義の大きな事業と感じているので、今後も力を注いでいく。
 
Q:「最後に投資家へのメッセージをお願いします。」
A:「パートナーエージェント事業はいよいよ勝負の時だ。何といっても当社の屋台骨なので、しっかりやっていかなければならないが、責任感と同時に勝負に臨むワクワク感で心躍っている。」
数年前まではパートナーエージェント事業のみの一本足だったが、現在では新規事業の売上構成が約2割まで上昇してきた。今後もM&Aなども含めて、着実に拡大していく。

一方、主力のパートナーエージェント事業は競争も激しい中で、いよいよ勝負の時が来た。
成婚率の高さという当社の強みを認知度向上を通じてさらに磨き上げ、都市圏のみでなく出店余地の大きい地方でも大手並みの会員数を獲得していく。
何といっても当社の屋台骨なので、しっかりやっていかなければならないが、責任感と同時に勝負に臨むワクワク感で心躍っている。

当社のこれからに期待するとともに、是非応援していただきたい。
 
 
今後の注目点
2017年6月15日、コネクトシップの新システムは予定通り稼働を始めた。まずは利用率向上を最優先させるため収益への寄与はまだ先となろうが、同社ならではの経営ビジョンに基づく画期的なサービスであり、今後の成長に期待したい。
一方、社長インタビューにもあるように、本業のパートナーエージェント事業は、勝負の時を迎える。
認知度向上がどれだけのスピードで進むかは不透明な部分もあろうが、PA事業本部長も兼務し勝負に臨む佐藤社長及び同社の戦いぶりに注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年7月2日に提出している。

<実施しない主な原則とその理由>
同社はマザーズ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施すると記している。