ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.49

(9445:東証2部) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.49】2018年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「同社の18/3期第1四半期決算は、前年同期比31.2%の営業減益と厳しいスタートとなった。これまで高い収益性を維持してきたドキュメント・ソリ・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年9月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田錦町三丁目26番地 一ツ橋SIビル2F
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 15,049 695 700 462
2016年3月 13,842 644 672 441
2015年3月 12,385 581 567 305
2014年3月 12,145 446 435 272
2013年3月 11,990 436 438 269
2012年3月 13,470 323 302 177
2011年3月 13,560 391 391 155
2010年3月 13,956 347 327 194
2009年3月 15,042 391 388 133
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
株式情報(8/30現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
402円 16,693,200株 6,710百万円 21.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15.00円 3.7% 28.45円 14.1倍 134.16円 3.0倍
※株価は8/30終値。ROEとBPSは2017年3月期実績、EPSは2018年3月期予想。
 
フォーバルテレコムの2018年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(17/3期はフォーバルの連結売上高の28.7%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社、持分法適用関連会社1社。
 
【事業内容と企業グループ】
同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「2way Smart」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心にオン・デマンド印刷・印刷物のプランニング・デザイン等を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」に分かれる。また、持分法適用関連会社(出資比率25%)で、(株)光通信(9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブが「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている。
 
 
 
 
主要なサービスの概要
 
(1)IP&Mobileソリューション
AmaVo
新たに提供を開始したサービスであり、iSmartひかり(同社NTT光コラボ回線)専用の法人向け電話サービス。同社が新たに開始したIP電話の「新しいあたりまえ」。AmazingVoIP(驚くべきVoIPサービス)の頭文字をとってネーミングされた。
 
 
 
iSmartひかり
NTT東日本・西日本が提供する光コラボレーションモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。①バックボーンはNTTのフレッツ網を利用しているため品質が安定している、②請求の一本化ができるというメリットを持つ。おまか請求やワンビリングサービスで培われた請求一本化のノウハウが武器となっている。
 
 
iSmart接続-Fひかり
iSmart接続-Fひかりは、法人向けに提供している高品質なインターネット接続サービスを、個人でも利用しやすいように、サービス価格・内容を最適化したフレッツ光専用プロバイダサービス。
(サービスプラン)
 
メールアドレス10個、1GBのホームページ、スパムフィルタ、メール転送などがずっと無料なのが特徴。
 
(2)セキュリティコンサルティング
プライバシーマーク(Pマーク)や各種ISOのコンサルティング
認証取得支援から、運用支援、更新支援、規格改訂支援、各種セミナーなど、Pマークや各種ISOに関わるサポートを実施。
 
 
(3)ペーパレスソリューション
おまか請求
請求書・支払通知書・納品書をWeb化でコスト削減するツールを提供。顧客登録・受注登録・料金計算、請求書発行(WEB公開)・収納代行・督促支援業務などを含んだ請求代行サービス。請求に関する業務を代行し、顧客の請求コストの削減と業務負担の軽減を図る。また、おまか請求ではユーザーがクラウドサービスを安全に利用できるよう各種セキュリティ対策を実施している。
 
 
ワンビリングサービス
複数サービスの請求書をひとつにまとめて請求するサービス。請求書が何通も届くことなく、1請求書にまとめて請求される。請求書を一本化することで、各社からの請求書の煩雑さの解消や事務処理の簡素化が図られるなど、業務効率が向上する。
 
 
 
2018年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比1.9%の増収、同25.6%の経常減益
売上高は前年同期比1.9%増の37億48百万円。売上面は、「iSmartひかり」の契約獲得が順調に伸びたこと等によりIP&Mobileソリューション事業で増加した他、(株)保険ステーションにおいて保険業法の改正の影響を受けつつも一人当たりの営業効率が向上したこと等によりコンサルティング事業で増加した。一方、大型案件が終了した影響を受けたドキュメント・ソリューション事業で減少した。
営業利益は同31.2%減の1億32百万円。収益性の高いストック収益が増加したIP&Mobileソリューション事業や売上が増加したコンサルティング事業で増加したものの、売上減少の影響を受けたドキュメント・ソリューション事業で減少した。売上総利益率は、30.1%と前年比1.2ポイント低下した。また、ISPサービスの獲得に伴う営業費用(前払販売奨励金の償却費)の増加や正社員化に伴う人件費の増加などにより、売上高対販管費比率は、26.6%と同0.5ポイント上昇した。また、経常利益は同25.6%減の1億38百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同25.7%の減益となった。
 
 
 
 
連結の売上総利益は21百万円減少。売上総利益率は1.2ポイントの低下となった。個別ベースの売上総利益は、ネット系他のストック収益の拡大に加え、新サービスの契約獲得により通話系サービスにかかる課金収入も増加したことが寄与し、全体として54百万円増加した。一方、大型案件の終了した影響を受けたドキュメント・ソリューション事業において減少したことから子会社の売上総利益は、75百万円の減少となった。
 
 
販管費は、IP&Mobileソリューション事業における収益性の高いネット系ストック収益(「iSmart接続」)の獲得に伴う前払販売奨励金の償却費の増加やコンサルティング事業における人員の増加に伴うコスト増などにより前年同期比38百万円増加した。
 
 
IP&Mobileソリューション事業   売上高27億49百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益69百万円(同39.3%増)
主にVoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供。「iSmartひかり」の契約獲得が順調に伸びたこと等により前年同期比で増収、増益となった。
 
ドキュメント・ソリューション事業   売上高4億24百万円(前年同期比17.0%減)、セグメント利益26百万円(同76.2%減)
主に普通印刷、印刷物のプランニング・デザイン等を行う。大型案件が終了した影響を受け前年同期比で減収、減益となった。
 
コンサルティング事業   売上高5億74百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益38百万円(同4.7%増)
主に経営支援コンサルティング、保険サービス及びセキュリティサービス等を行う。(株)保険ステーションにおいて、保険業法の改正の影響を受けつつも一人当たりの営業効率が向上したこと等により前年同期比で増収、増益となった。
 
 
17/6月末の総資産は、17/3期末比3億69百円減の68億49百万円。資産サイドでは現預金と売上債権等が、負債・純資産サイドでは、仕入債務と未払法人税等が主な減少要因。17/6月末の自己資本比率は32.1%と17/3期末の31.0%から1.1ポイント上昇した。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
前期比3.1%の増収、同2.8%の経常増益
18/3期の会社計画は、売上高が前期比3.1%増の155億20百万円、経常利益が同2.8%増の7億20百万円の期初予想から修正なし。売上高は、ISPサービス(「iSmart接続」)を中心とするネット関連やおまか請求などから生じるストック収益の拡大を図りつつ、iSmartひかり(光コラボレーションモデル)・AmaVoの提供を通じて通話系のストック収益の拡大を図る計画。ドキュメント・ソリューション事業とコンサルティング事業の回復は想定していない。
営業利益は、同3.5%増の7億20百万円の計画。利益面も、増収効果によりIP&Mobileソリューション事業で増加を予想。ドキュメント・ソリューション事業とコンサルティング事業においては、売上同様概ね横ばいを予想している。収益性の高い各種ストック収益の拡大が見込まれるものの、前払販売奨励金の増加などを織り込み、売上高営業利益率は4.6%と前期並みの計画となっている。
配当も、17/3期と同額(上期末7円、期末8円)の1株当たり年間15円の予定を据え置き。
 
 
 
同社は、顧客ニーズに合わせ、一次事業者として、或いは一次事業者の業務委託先として、光コラボ事業を営む。業務受託の範囲としては、受注受付、案件ステータス管理、料金計算、請求など多岐にわたる。
 
 
iSmartでんきは、同社が小売電力事業者と媒介契約(電力の代理販売契約)を締結する。顧客への販売は親会社であるフォーバルやFISソリューションズなどの代理店が担当し、同社は電気料金の請求・回収をメインに行う事業スキーム。使用量の多い少ないに関わらず毎月一定率で基本料金と使用料金を確実に割引する点で差別化している。当面はプロモーションコストがかからない法人に限定したサービスであるものの、フォーバルやFISソリューションズの豊富な顧客基盤が武器となろう。同社は好評につき、今後順次提供エリアを拡大していく他、同社が小売電力事業者となり本格的に事業を拡大することも検討している。
 
 
 
今後の注目点
同社の18/3期第1四半期決算は、前年同期比31.2%の営業減益と厳しいスタートとなった。これまで高い収益性を維持してきたドキュメント・ソリューション事業において、大型案件が終了した影響を受けた。一方で、IP&Mobileソリューション事業は、「iSmartひかり」の契約獲得などが寄与し増収・増益基調が継続していることが確認された。加えて、保険業法の改正の影響を受け減少基調にあったコンサルティング事業が、一人当たりの営業効率が向上し前年同期比で増収、増益へ転じてきた点は明るい兆しと言えよう。
今後通期の会社計画の達成に向けて、いかに利益を積み上げていけるのか今第2四半期の業績動向が注目される。そのためには、ドキュメント・ソリューション事業の底入れとIP&Mobileソリューション事業の成長加速が鍵を握るものと思われる。いかにドキュメント・ソリューション事業を成長軌道へ回帰させるのか、今後の取組策が注目される。加えて、今第1四半期は、IP&Mobileソリューション事業において、通話系とネット系のストック収益の伸びが若干マイルであった点が気になるところである。販売奨励金の実施などにより、第2四半期以降、同社最大の成長ドライバーであるこれらストック収益事業の成長性が再度高まるのか注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
コーポレート・ガバナンス・コード適用以降直近のコーポレート・ガバナンス報告書提出日、2017年6月21日。

<基本的な考え方>
当社では、取締役会を唯一の経営意思決定機関として位置付けております。
定例取締役会を毎月開催するほか、重要案件が生じる都度臨時取締役会を機動的に開催し、迅速かつ的確な経営判断を行っております。
また、企業経営情報の積極的な開示を目的として、適時に当社のホームページにおいて財務情報に限定されないディスクロージャーを行っております。
当社は、監査等委員設置会社形態を採用しており、同形態により十分にガバナンスが機能していると認識しております。

<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
実施をしないコード:7項目、そのおもな原則と理由
 
<開示している主な原則>
 
<その他>
同社は、社是(*1)を基本とし、中期経営計画の策定(未公表)や取締役の選定を行っている。
株主総会は集中日を避けて6月21日に開催。
議決権の電子行使や英文による情報開示、信託銀行名義の実質株主の総会参加は今後の検討項目としている。
今年からは補充原則4-11-3 取締役会実効性の分析評価がエクスプレインからコンプライに変更されており、コーポレート・ガバナンス・コードの各原則について実施する・しないを会社の状況に応じて適宜検討・更新をしている。

*1 社是 補充原則4-1-2 中期計画達成状況の株主説明を実施しない理由を参照。