ブリッジレポート
(4290) 株式会社プレステージ・インターナショナル

プライム

ブリッジレポート:(4290)プレステージ・インターナショナル vol.26

(4290:東証1部) プレステージ・インターナショナル 企業HP
玉上 進一 社長
玉上 進一 社長

【ブリッジレポート vol.26】2018年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「コールセンターでの対応にとどまらず、フィールドワークサービスまでを手掛ける事が同社グループの強みであり、差別化につながっているが・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年11月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社プレステージ・インターナショナル
社長
玉上 進一
所在地
東京都千代田区麹町2-4-1
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 29,477 3,768 4,124 2,789
2016年3月 27,328 3,345 3,717 2,668
2015年3月 24,236 3,151 3,182 1,957
2014年3月 22,223 2,809 2,704 1,981
2013年3月 24,225 2,380 2,158 1,409
2012年3月 23,385 2,621 2,651 1,543
2011年3月 19,210 2,291 2,360 1,145
2010年3月 16,174 2,390 2,434 1,587
2009年3月 14,729 2,316 2,311 1,410
2008年3月 13,438 1,806 1,817 1,074
2007年3月 12,829 1,631 1,634 877
2006年3月 10,040 1,298 1,206 655
2005年3月 8,306 1,052 1,055 566
2004年3月 7,101 458 387 353
株式情報(11/7現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,292円 63,800,880株 82,430百万円 14.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 0.8% 45.59円 28.3倍 332.68円 3.9倍
※株価は11/07終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
プレステージ・インターナショナルの2018年3月期上期決算と通期見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「エンド・ユーザー(消費者)の不便さや困ったことに耳を傾け、解決に導く」と言う経営理念の下、国内外でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を展開している。サービスの主なものは、自動車保険加入者にサービスを提供するロードアシスタンスサービス(電話対応から現場でのサービスまで)、海外旅行損害保険加入者向けの日本語緊急コンタクトセンターサービス、物件の管理会社等と契約しマンションの入居者に提供するホームアシストサービス(水漏れ、鍵開け、ハウスクリーニング等)、駐車場管理会社向けのパークアシストサービス等。いずれのサービスも馴染みはあるが、B2Bの事業形態をとっているため、言い換えると、サービス提供の際はクライアント企業(損害保険会社、自動車関連会社、不動産管理会社等)の社名を名乗って対応するため、“プレステージ・インターナショナル”と言う同社の社名を耳にする事は少ない。
 
【グループ経営理念とグループ事業方針】
グループ経営理念
エンド・ユーザー(消費者)の不便さや困ったことに耳を傾け、解決に導く事業創造を行い、その発展に伴い社会の問題を解決し、貢献できる企業として成長する。
 
グループ事業方針
プレステージ・インターナショナルグループは、社会に必要とされ、クライアント企業から信頼され、エンド・ユーザーから感謝されるソリューションを提供できるグループを標榜し、社会貢献を常に念頭におきながらクライアント企業、株主、社員、地域と共に繁栄できるグローバルカンパニーを目指します。
 
 
【事業セグメントの概要】
17/3期の売上構成比は、ロードアシスト38.5%(16/3期37.8%)、プロパティアシスト12.8%(同11.9%)、インシュアランスBPO12.2%(同12.2%)、ワランティ13.5%(同12.5%)、カスタマーサポート17.5%(同18.2%)、ITソリューション及び派遣・その他5.5%(同7.5%)。
 
 
【特徴】
玉上社長が、7年間にわたる海外生活で言葉や文化の違いにより不便な思いをした経験から、「海外でも日本にいるときのように高品質で心のこもったサービスを受ける事ができればいいのに…。」という思いが会社設立(1986年10月)の動機。その翌年にニューヨークへ進出し、トラブルに遭った日本人からの問い合わせに24時間日本語で対応するサービスを開始した。その後、アジア、ヨーロッパの主要都市にネットワークを広げると共にサービス内容を拡充。国内でのサービスも育成して業容を拡大した。

2001年7月にヘラクレス市場に上場を果たし、2003年10月には、秋田県秋田市に緊急要請を24時間年中無休で受け付けるコンタクトセンターを開設(現「秋田BPOキャンパス」WEST棟650席)。「長期的かつ安定した人材の確保によってはじめて顧客への安定したサービスの提供が可能になる」との考えから開設した同キャンパスは、その後、07年EAST棟(550席)、12年サテライト棟(300席)と規模を拡大。高品質のインフラに対するクライアントからの評価は高く、ショールームとしての役割に加え、秋田での新たな雇用創造の一翼も担っている。2012年12月の東証2部上場を経て、2013年12月に東証1部指定を達成した。
 
【強み】
同社の強みは、安定したストックビジネス、高品質なサービスを支えるサービス拠点、そして、この結果としての高い収益性と経営効率を実現している事。
 
(1)安定したストックビジネス
クライアント企業である損害保険会社等の既存顧客向け付加価値サービス(保険特約)が中心のため、外部環境による収益の振れが比較的小さい。主たる業務委託契約フィーは、サービス対象者数×予想利用率によって算出され、サービス対象者やサービス対象者一人当たりの利用が増えると、翌期の委託契約フィーに反映される。特に自動車のトラブル対応は認知度の向上で導入企業や利用者が増加しており、継続的なサービス対象者数の増加と利用率の向上につながっている。自動車メーカーや販売会社がサービス収入の拡大に力を入れている事も追い風となっている。不動産関連サービスも同様に、フローの物件売り切りビジネスに依存していたマンションデベロッパー等がストックビジネスとして強化している事が追い風になっている。また、海外事業として手掛けているヘルスケア・プログラム(海外赴任での健康トラブル対応)は、業績改善による企業活動の活発化で需要が増えている。
 
(2)高品質なサービスを支えるサービス拠点
同社は、秋田、山形、富山にコンタクトセンターを展開しており、現場対応については、中間持株会社(株)プレミアアシストホールディングス傘下の、(株)プレミアロードアシスト、(株)プレミアホームアシスト、及び(株)プレミアパークアシストの3社が全国の主要都市に展開している(政令指定都市全てをカバーする事を目標としている)。
 
人材の安定化を求め地方都市に展開するコンタクトセンター
高品質なサービスの提供を実現するべく、国内にコンタクトセンターを保有し現場部隊を内製化すると共に、世界14ヶ国17拠点のグローバルネットワークを有する。コンタクトセンターは人材の安定化を念頭に地方都市に開設しており、現在の稼働施設は、秋田BPOメインキャンパス※(秋田県秋田市)、山形BPOガーデン(山形県酒田市)、秋田BPOキャンパスにかほブランチ(秋田県にかほ市)、及び2015年4月にサービスを開始した富山BPOタウン(富山県射水市)、の4施設。
※秋田BPOキャンパスのこと
 
総席数:1,500席
投資額:約40億円
託児所、カフェテリア、社員寮、自動車整備工場、研修施設、自家発電装置等を完備。
 
総席数:500席
投資額:約11.8億円
託児所、カフェテリア、研修施設、自家発電装置、社員寮、駐車場等
 
総席数:1000席
投資額:約30億円
託児所、カフェテリア、社員寮、研修施設、自家発電装置、駐車場(1,010台)
東日本大震災以降のBCP(事業継続計画)に対する意識の高まりに応えるべく、秋田BPOキャンパスや山形BPOガーデンから遠く離れた富山県射水市に開設された。2015年4月に130名(700席)でサービスを開始、同年12月には1,000席体制が整った。3~5年後のフル稼働を目指して継続的にオペレーションのできる人財の増員を図っていく考え。
 
秋田BPOキャンパスはキャパシティ率(従業員数/席数)が100%に達し、稼働率は100%を超えている。2014年8月に開設した秋田BPOキャンパスにかほブランチ(秋田県にかほ市)も120名前後(150席)が常時勤務しフル稼働に近いため、2017年4月に横手市庁舎(秋田県横手市)の一室に仮センターを開設し、秋田BPO横手キャンパス(仮)を立ち上げた。現在の従業員数は約100名(席数116席、キャパシティ率86%)。来秋の竣工・本格稼働(500席)に向け建設工事が進行中だが、12月に2カ所目の仮センターを開設し、本格稼働までに250名体制を確立したい考え。
 
全国主要都市において現場部隊を内製化  -独自ブランドPremierAssist(プレミアアシスト)の展開-
全国主要都市に内製化した現場部隊を展開しており、拠点数は、ロードアシスト26拠点、ホームアシスト11拠点、パークアシスト9拠点の計46拠点。トラブル現場で顧客対応するスタッフは清潔感のあるユニフォームで統一された正社員である。スタッフには定期的にマナー講習等が実施され、サービス品質向上への取り組みには余念がない。同社グループ企業の正社員による現場対応への評価は高く、競争力の源泉となっている。また、世界14ヶ国17拠点のグローバルネットワークを有し、各海外拠点では、海外で病気・ケガをした際の医療費の査定やキャッシュレスで受診可能な病院ネットワークの開拓を行っている。
 
 
2018年3月期上期決算
 
 
前年同期比12.3%増収、同1.9%の営業増益
売上高は前年同期比12.3%増の159億46百万円。新規のクライアントや案件の獲得、或いは既存案件の拡大で、ロードアシスト事業(同12.7%増)、プ口パテイアシスト事業(同12.8%増)、インシュアランスBPO事業(同7.8%増)、ワランティ事業(同14.6%増)、力ス夕マーサポート事業(同23.4%増)、と主要事業の売上が増加した。

利益面では、継続的な人材採用活動に加え、秋田BPO横手キャンパス仮センターの稼働や現場対応を行うグループ会社の拡充、更には新規クライアント向けサービスの開始準備等の先行コストで原価率が78.0%と1.9ポイント上昇。サービス価値向上を目的としたシステム投資等で販管費も増加したが、売上の増加で吸収。営業利益は18億10百万円と同1.9%増加した。経常利益が減少したのは、為替差益が減少したため。為替の影響で、売上高が2億62百万円、営業利益が64百万円、それぞれ押し上げられた一方で、為替差益が前期の3億93百万円から80百万円に減少した。
 
 
ロードアシスト事業
売上高62億47百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益5億48百万円(同6.7%減)。5月にサービスを開始したクライアントの寄与と既存受託業務の拡大で売上が増加したが、秋田BPO横手キャンパス仮センターの稼働、現場対応を行うグループ会社の拡充、更には新規クライアント向けサービスの開始準備等の先行コストが負担となった。
 
プ口パテイアシスト事業
売上高20億52百万円(前年同期比12.8%増)、営業利益86万円(同13.4%減)。マンション占有部の一時修繕を行うホームアシストを中心に売上が増加したが、現場対応を行うグル-プ会社の拡充、新規クライアント向けサービスの開始準備等の先行コストが負担となった。
 
インシュアランスBPO事業
売上高18億27百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益2億66万円(同10.9%減)。海外駐在員向けサービス(ヘルスケア・プ口グラム)の新規クライアントの獲得及び会員数の増加で売上が増加したが、サービス価値向上を目的としたシステム投資による先行コストが負担になった。現在のクライアントは大手グローバル企業約40社だが、この上期に来期サービス開始のクライアント数社を獲得した。クライアントからは拠点拡充の要望が強く、今期はインドが本格稼働し、来期はメキシコが本格稼働する。ベトナム、ミャンマー等での拠点開設の要望も強く、中近東への展開も含めて検討を進めている。
 
ワランティ事業
売上高21億18百万円(前年同期比14.6%増)、営業利益5億08万円(同49.3%増)。家賃保証プログラム及び自動車延長保証をけん引役に売上が増加した。家賃保証プログラムは子会社(株)イントラストが手掛けるが、家賃保証だけでなく、家賃保証関連のソリューションが伸びているため利益率が改善傾向にある。上期は貸倒引当金繰入額など家賃保証関連のコストも減少した。
 
力ス夕マーサポート事業
売上高29億62百万円(前年同期比23.4%増)、営業利益4億22万円(同25.0%増)。新規クライアントの獲得と既存受託業務の拡大で売上が増加し、クレジットカードサービスのコスト増を吸収した。新規クライアントとは、これまで派遣社員を活用して自社でコールセンターを運用していた大手金融機関が採用難から同社への委託に切り替えたもの。

上記の他、ITソリューション事業は新規案件の寄与で前年同期の売上・利益が押し上げられた反動で減収・減益となった。派遣・その他は、持分法適用会社との派遣業務契約が請負契約(委託契約)に変更されたため売上が減少した(契約変更に伴い、ロードアシスト事業で売上・利益を計上)。売上の減少で利益も減少した。
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて18億91百万円増の320億77百万円。自己資本比率69.2%(前期末70.1%)。借方では、現預金、立替金、投資その他(投資有価証券)が増加。貸方では、前受金や純資産が増加した。
 
 
税金費用等が増加したものの、18億15百万円の営業CFを確保した。投資CFのマイナス幅拡大は、投資有価証券の取得による支出の増加(△17百万円→△3億69百万円)と定期預金の預入(△7億25百万円)による。定期預金の預入は、設備投資に備えて還流させた海外子会社の内部留保の一時的な運用である。
 
 
2018年3月期業績予想と中期経営計画(16/3期~18/3期)
 
 
通期業績予想に変更はなく、5期連続の営業最高益更新が見込まれる
セグメント毎に若干の見直しがあったものの、連結ベースの業績予想に変更はなかった。主要事業全てで前期比10%超の増収と、先行投資負担を吸収しての高い利益成長が見込まれる。

設備投資は、現場対応を行うグループ会社拡充に伴う車両投資(2億73百万円)、秋田BPOキャンパス改修費1億円等の他、システム開発や秋田BPO横手キャンパス仮センター等で、9億17百万円(前期は11億59百万円)を予定している。減価償却費は、車両をリースから自社保有(購入)に切り替える事もあり、前期の9億61百万円から12億14百万円に増加する。

1株当たり5円の期末配当を予定しており、上期末配当と合わせて年10円となる。2016年10月の株式分割(1:2)を考えると、創立30周年記念の記念配2円を落とし、普通配当を3円増配。配当性向は21.9%となる見込みで、17/3期(20.4%)に続き、中期経営計画の目標である20%を達成する。
 
 
売上面では、ロードアシスト、プロパティアシスト、ワランティの見通しを引き上げる一方、インシュアランスBPO、カスタマーサポートの見通しを引き下げた。インシュアランスBPOについては、契約見直しに伴う保険料の非計上分を反映させたもので、保険料収入に見合った保険コストも減額されたため利益面での影響はない。カスタマーサポートについては、新規クライアントの獲得見込みを精査した。
利益面では、家賃保証関連ソリューションの好調とコスト抑制による収益性改善が著しいワランティの利益見通しを引き上げる一方、ロードアシスト、プロパティアシスト、インシュアランスBPO、及びカスタマーサポートの見通しを引き下げた。ロードアシストは現場対応子会社の拡充の遅れで利益の取り込みが遅れる。一方、プロパティアシストは現場対応子会社の拡充が計画以上に進んでいるが、新規点検業務(住まいの点検事業)立ち上げのための投資の継続を織り込んだ。インシュアランスBPOはサービス品質向上を目的としたシステム投資を精査。カスタマーサポートは、上期に獲得した新規クライアント向けサービスの人財採用・教育を織り込んだ。
 
(2)課題と取り組み
富山PBOタウンでのキャパシティ率の引上げと秋田でのキャパシティ拡大に取り組むと共に、現場対応人財の採用を強化する。また、住まいの点検事業の拡大に取り組む。
 
富山PBOタウンでのキャパシティ率の引上げ
採用難に苦しむ富山BPOタウンでは、富山の有効求人倍率が上昇する中(2017年3月:1.75倍→同年9月:1.85倍。厚生労働省富山労働局)、充実した福利厚生等、長く安定して働く事ができる職場環境をアピールしつつ地道な採用活動を継続する。3月末で310名だった従業員数が9月末時点で約400名(10月末約420名)に増加しており、期末までに550名に引き上げたい考え。
 
秋田でのキャパシティ拡大
秋田では、既に稼働率が100%を超えている秋田BPOキャンパスの新たな受け皿となる秋田BPO横手キャンパスの本格稼働に向けた準備を進める。2017年4月に開設した秋田BPO横手キャンパス仮センターは、現在、従業員数が約100名(席数116席、キャパシティ率86%)。来秋の竣工・本格稼働(500席)に向け建設工事が進行中だが、12月に2カ所目の仮センターを開設し、本格稼働までに250名体制を確立したい考え。

尚、山形BPOガーデンは総席数500席に対して、現在の従業員数は約430名。キャパシティ率86%で、ほぼフル稼働の状態。
 
現場対応人財の採用
急増する出動需要への対応はもちろん、将来の市場環境変化への対応や対応品質の底上げを念頭に、子会社(株)プレミアアシストホールディングスが現場対応人財の採用を強化する。上期に40名を採用し、上期末の人員は440名。下期も40名の採用を目指している(16/3期末380名、17/3期は20名の採用で期末400名)。

尚、(株)プレミアアシストホールディングスは、ロードサービス事業、住まいの駆け付け事業、及び駐車場管理事業を統括する中間持株会社。傘下に(株)プレミアロードアシスト、(株)プレミアホームアシスト、及び(株)プレミアパークアシストの3社を置いている。
 
住まいの点検事業の拡大
「住まいの駆けつけ」で得たノウハウを活かし、住まいの点検事業を拡大させる。エンド・ユーザーが困る前に早期発見し、リフォーム等の隠れた需要の発掘につなげる(無理にリフォームを進める事はしない)。点検業務は、女性インスペクションチームが行うため、女性一人でも安心して立ち会う事ができる上、女性の視点から、小さな困りごとへの気づき等、より親身な対応が可能。プレミアアシストの認知度向上にもつなげていきたい考え。野村不動産ホールディングス(以下、野村不動産H)の分譲マンションでサービスを開始しており、評価は上々。他の不動産デベロッパーへサービスを広げていく考え。

尚、野村不動産ホールディングス(以下、野村不動産H)とは、「住まいの駆け付け」事業を専門とする合弁会社(株)ファースト・リビング・アシスタンスを設立している(出資比率:野村不動産H51%、同社49%)。
 
(3)TOPICS  自動手配システムの横展開、Chat Center iOの運用開始
自動手配システムの横展開
ロードアシスト事業で活用している「自動手配システム」を、プロパティアシスト事業(ホームアシスト、パークアシスト)に横展開した。従来はオペレーターによる受付を経てフィールド(現場対応)スタッフの端末に出動要請が送られていたが、「自動手配システム」ではユーザーがスマホ(アプリ、Web、チャット)からダイレクトで出動要請できる。現在、15社のクライアントが利用している。
 
Chat Center iOの運用開始
ヘルスケア・プ口グラムのサービス提供に際しての業務効率化の一環として、病院予約をスムーズにするためのエンド・ユーザー(駐在員)向けスマートフォンアプリを開発し導入した。これまで病院予約は電話受付を介して行われていたが、アプリが導入された国や地域ではエンド・ユーザー自身がアプリで予約する事ができる。10月中旬にインド法人で運用を開始した。
 
【中期経営計画(16/3期~18/3期)】
新中期経営計画の骨子と基本戦略
骨子として、「継続的・安定的な成長」、「プレステージ・インターナショナルでしか実現できないサービスの創造」、「地方都市での雇用の創造・継続」、及び「女性の雇用機会の創出」、の4つを掲げており、この4つを効果的に融合させ、バランスのとれた経営を行う事で、成長・収益性・効率性の向上・維持と強固な組織の構築を目指している。
 
進捗状況
最終年度となる18/3期の数値目標として、売上高350億円、営業利益率13%(営業利益45億50百万円)、ROE15%、ROA10%、連結配当性向20%を掲げている。ただ、18/3期の会社発表の業績予想は売上高330億円、営業利益43億円(営業利益率13.0%)。雇用環境の悪化による過去2年間の富山BPOタウンでの採用の遅れが響き、売上高は目標に届かない見込みだが、効率化による収益性の改善は進んでおり、営業利益率目標の13%は達成できる見込み。
 
 
 
今後の注目点
コールセンターでの対応にとどまらず、フィールドワークサービスまでを手掛ける事が同社グループの強みであり、差別化につながっているが、その現場対応を外部に依存せず、東証1部上場の同社グループ自身が責任をもって対応する事を、CSR・ESGを重視する大手のクライアント程、望んでいる。このために、コンタクトセンターの整備・キャパ拡大と共に現場対応を行うグル-プ会社のネットワーク整備に力を入れている。上期はこうした戦略的先行投資が利益圧迫要因となったが、3Q以降、徐々に収益化してくる見込みで18/3期は5期連続の営業最高益更新が見込まれる。ただ、依然として「人財獲得」という課題は残る。採用難に苦しむ富山BPOタウンでは、上期に空きスペースの減価償却費2億円を計上した。富山BPOタウンに限らず、各拠点が地域特性に応じて主体的に取り組める制度を構築する事で課題解決につなげていきたい考え。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書       更新日:2017年07月05日
基本的な考え方
当社におけるコーポレート・ガバナンスとは、エンド・ユーザー、クライアント企業、株主、社員、地域等の各ステークホルダーとの関係における企業経営の基本的な枠組みのあり方と理解しております。当社及び当社グループとして、コーポレート・ガバナンスの充実・強化は株主利益および企業価値向上のための責務と考えており、以下の方針を定めております。

1 株主の権利を尊重し、平等性を確保します。
2 各ステークホルダーとの適切な協働を図ります。
3 会社情報を適切に開示し、透明性の確保を図ります。
4 公正・透明で迅速果断な判断を可能にする取締役会等の体制の構築に取り組みます。
 
<開示している主な原則>
原則1-7(関連当事者取引)
関連当事者取引に関しては、会社関係者や近しい当事者との取引を通じて、会社の実態を意図的に歪めること、特定の対象に対して利益を提供する可能性があることから、有価証券報告書等で開示を行い、その公正性・妥当性について担保する必要のあるものと認識しております。当社における関連当事者取引に関する考えは以下の通りであります。

1 原則として、関連当事者等に該当する対象との取引は行わない。
2 やむを得ず取引を行う場合(一般の取引先が関連当事者に該当した場合も同じ)はその取引を行う合理性・妥当性を確認する。
3 関連当事者取引に関して、第三者と行う同様の取引条件に比較し同水準であることを確認する。
4 以上を確認した上で、必要な決裁を得る。
当社では、取締役が行なう競業取引および利益相反取引に加え、関連当事者取引についても取締役会での審議・決議を要することとしております。取締役会において社外取締役および監査役の意見を求め、当該意見を考慮しつつ決定しております。
 
原則5-1(株主との建設的な対話に関する方針)
当社では、経営統括部を担当部署としております。
株主や投資家に対しては、決算発表後に決算説明会を開催するとともに、逐次、各BPO拠点見学を兼ねた説明会やスモールミーティングを実施しております。また、海外機関投資家向けにスモールミーティングも実施しております。
株主・投資家との建設的な対話を促進するための体制・取組みに関する基本方針は以下のとおりになります。

(1)株主との対話については、建設的な対話が実現するよう、代表取締役又はIR担当執行役員が直接面談に臨むことを基本としております。
(2)IR担当の執行役員は、経営統括部を管掌し、財務経理部等を含めて他部署と十分な連携をとれる横断的な体制を構築しております。
(3)株主構造の把握に努めるとともに、決算説明会および各BPO拠点において個人投資家向け説明会を実施しております。
(4)代表取締役およびIR担当執行役員は、取締役会および執行役員会において対話の状況について定期的にフィードバックを行なっております。
(5)決算説明会および株主のとの面談は、すでに開示されている情報を敷衍して説明することとしており、開示されていない重要事実に該当する事実については開示・説明しない方針であります。かかる措置は、株主間の公平、市場の健全性の確保のほか、株主の自由な株式売買を保障するうえで必要な措置と認識しております。