ブリッジレポート
(4319:東証1部) TAC 企業HP
斎藤 博明 社長
斎藤 博明 社長

【ブリッジレポート vol.27】2018年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「今期第2四半期累計売上高(現金ベース)の進捗率は53.1%、過去数年と比較しても高水準であり、売上は順調に推移しているようだ。ただ、同・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年12月05日掲載
企業基本情報
企業名
TAC株式会社
社長
斎藤 博明
所在地
東京都千代田区三崎町3-2-18
事業内容
「プロフェッションの養成」を基本理念として、社会人、大学生を対象に資格教育、実務教育を核とした人材育成事業を展開
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 20,440 713 692 490
2016年3月 20,007 605 635 213
2015年3月 19,537 140 404 208
2014年3月 20,526 1,034 1,299 816
2013年3月 20,999 136 377 977
2012年3月 22,578 -606 -530 -799
2011年3月 24,575 465 283 -244
2010年3月 23,991 623 442 40
2009年3月 21,092 1,330 1,352 669
2008年3月 20,741 1,069 1,230 443
2007年3月 20,553 1,173 1,333 742
2006年3月 19,828 421 631 249
2005年3月 19,669 459 558 81
2004年3月 19,542 988 943 470
株式情報(11/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
256円 18,503,932株 4,737百万円 10.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.00円 1.9% 23.78円 10.8倍 267.76円 1.0倍
※株価は 11/15 終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期実績。
 
TACの2018年3月期第2四半期決算概要等についてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。
 
 
【沿革】
1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員擬錙Τ位垣賁膺εの資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。2013年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。2014年6月には医療事務分野への進出を狙いM&Aを実施。
 
【強み】
(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み高い生産性を実現していることも強みとなっている)。
 
(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員講座は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。
 
(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。
 
 
ROEは、前期から大きく上昇したが、これは特別損失の減少によるものである。引き続き売上高当期純利益率の改善が求められる。
 
 
2018年3月期第2四半期決算概要
 
売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大きく異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。
 
季節的特徴について
同社が扱う主な資格講座の本試験は、第2四半期(7月〜9月)及び第3四半期(10月〜12月)に集中しており、特に公認会計士・税理士講座等の主力講座においては、第2・第3四半期は試験が終了した直後で、翌年受験のための新規申し込みの時期となり、一方、第4四半期(1月〜3月)及び第1四半期(4月〜6月)は全コースが出揃う時期にあたる。
第2・第3四半期は、現金売上及び売掛金売上は多いものの受講期間に応じて前受金に振り替えられる一方、経費は毎月一定額計上されるため売上総利益率は減少する傾向がある。これに対して第4・第1四半期はこれらの前受金が各月に売上高に振り替えられる期になるため売上総利益率は増加する傾向がある。
 
 
増収増益
現金ベース売上高は前年同期比3.3%増の111億44百万円。発生ベース売上高は同2.7%増の111億15百万円。全セグメント増収だった。分野別では財務・会計分野、金融・不動産分野が好調だった。
営業利益は同6.2%増の10億39百万円。ゼグメント別では個人教育事業のみが増益。売上原価は売上高の増加に伴って増加した一方、棚卸資産の廃棄に備えた引当金の純繰入額が減少したことでほぼ前年並みとなり、結果、売上総利益は増加した。営業・販促活動の拡充に向けた人件費、広告宣伝費等も増加したが吸収することができた。
前年同期にあった受取和解金1億20百万円がなくなったため、四半期純利益は同4.2%減の6億62百万円となった。
 
 
 
【個人教育事業】
増収・増益
 
講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用は前年同期比1.1%増の62億95百万円となったが、増収効果により増益となった。
 
【法人研修事業】
増収・減益
 
人件費中心にコストが5.8%増加した。
 
【出版事業】
増収・減益
(TAC出版)
宅建士、社労士、中小企業診断士、FP、行政書士、簿記は増収
公務員は減収
前年同期は旅行本「おとな旅プレミアム」の刊行により売上の底上げがあった

(W出版)
司法書士好調で前年をやや上回る。

旅行本の制作代金などが減少したが版権仕入代金、翻訳コストなどが増加し減益。
 
【人材事業】
増収・減益
人材事業は監査法人・税理士法人をはじめとする会計業界の人材ニーズが旺盛で、人材紹介、人材派遣を中心に好調。
医療系人材サービスでは、求人は前年同期を上回るものの、求職者の新規登録者数は前年同期並みで推移しており、求職者数の更なる確保が必要となっている。
 
 
 
【マーケット概要】
同社が取り扱う各種資格試験の2016年の本試験申込者は260万9千人と、前年の251万3千人を約9万6千人上回り、2年連続の増加となった。

(財務・会計分野)
公認会計士の平成29年度試験の出願者数は前年度比776人増の11,032人と2年連続で増加し、公認会計士講座への申し込み状況も初学者を中心に好調に推移。ただ、受験経験者向けコースは、良好な就職状況を背景に受験を継続せずに就職する受講者も多く低調。
6月に行われた日商簿記検定試験の受験者数は3級が前年並み、2級が前年を4%強下回っており講座申し込みも前年割れ。
TAC出版が刊行している「すっきり分かる日商簿記」、「みんなが欲しかった簿記の教科書」などの受験対策書籍は前年同期比増収。

(税務・経営分野)
税理士の平成29年度試験の受験申込者数が前年度比6.4%減の41,242人と依然として減少傾向が続いており、夏に行われた本試験後の同社講座への申し込みも厳しい状況。

(金融・不動産分野)
不動産鑑定士講座、宅建士講座、建築士講座、証券アナリスト講座等が引き続き好調。

(法律分野)
司法試験講座が低調に推移し減収。

(公務員・労務分野)
公務員講座において、良好な民間就職状況のもとで公務員試験受験者数の減少が続く中でもサービスの一層の充実や販促等に
より公務員を志望する受講生を着実に集客し、前年比増収。
社会保険労務士は、近時の労働問題に対する関心の高まりにより社会人を中心に申し込みが増加している。

(その他分野)
子会社のTACプロフェッションバンクが手掛ける会計系人材を中心とした人材事業が、会計業界の全体的な人材不足を背景に好調に推移しているが、旅行本売上の減少の影響もあり減収となった。
 
 
講座別(個人・法人合算)動向
<増加>
公認会計士講座(同6.8%増)、宅地建物取引士(同10.4%増)、建築士(同50.1%増)、FP講座(同11.2%増)

<減少>
税理士講座(同3.7%減)、司法書士講座(同3.0%減)、USCPA講座(同11.2%減)

法人受講者は、大口案件のあった通信型研修が同37.0%増、大学内セミナーが同9.0%増、提携校が同11.5%減、委託訓練は13.0%減。
 
 
売上債権の増加等で流動資産は前期末比9億31百万円増加した。投資有価証券の増加等で固定資産は同2億38百万円増加し、資産合計は同11億70百万円増加の232億39百万円となった。
長短借入金の増加等で、負債合計は同5億58百万円増加の176億68百万円となった。純資産は利益剰余金の増加等で同6億11百万円増加の55億70百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より1.5%上昇し24.0%となった。
 
 
賞与引当金の増加で営業CFのプラス幅は拡大。投資有価証券の取得による支出増加で投資CFはマイナスに転じた。
フリーCFはほぼ変わらず。
長期借入による収入減などで財務CFのプラス幅は縮小。
キャッシュポジションは低下した。
 
(6)トピックス
◎一般社団法人「日本金融人材育成協会」を設立
2017年9月1日付で、一般社団法人 日本金融人材育成協会を設立した。

(一般社団法人設立の理由)
同社は、日本が抱えている課題の一つである地域経済の活性化を促進していくためには融資先の事業性評価を適切に行うことが出来る専門的能力に長けた人材の育成が必要であると考え、新しい検定試験の創設と検定試験対策講座を実施することとし、対策講座については既に今年5月に開講している。
その後、検定試験の実施主体としての一般社団法人 日本金融人材育成協会を新たに設立する準備が整った。

(一般社団法人の概要)
名称は一般社団法人 日本金融人材育成協会で、代表者は同社取締役副社長の多田 敏男氏が務める。
日本における金融や企業経営に関心を有する者に対して、広く金融及び企業経営に関する学術的、専門的知見に基づいた情報の発信・普及・啓蒙・調査研究の促進を担う。

具体的な事業内容は以下の通り。
金融及び企業経営に関する知識の啓蒙・普及
金融及び企業経営に関する学術調査・研究・研修の実施
金融及び企業経営に関する講演会、学術大会・研究発表会、交流会の開催等
金融及び企業経営に関する教育講座の開催、検定試験の実施、能力認定及び金融人材の養成など
 
基金は2,000万円で全額を同社が拠出した。

(検定試験の概要)
試験名は「金融人材・企業経営アドバイザー検定」で、東京、名古屋、大阪で実施。知識科目と実践科目で構成。
 
 
※「金融人材・企業経営アドバイザー」の認定を受けるためには、知識科目及び実践科目への合格と、実技講習である「対話力向上講習」を修了する必要がある。
同講習は質問力・提案力向上のための研修及び事例に基づくロールプレイング
 
◎「CompTIA Outstanding Leader Award」を受賞
CompTIA認定資格は、米国国防総省での情報保証の役割を担う人材に必須とされるなど非常に信頼度が高く、近年日本でも大手企業が人材育成の指標に採用するなど注目を集めているワールドワイドな認定試験。
同社では「IT教育分野で欧米との格差を埋めること」を基本方針の一つに据えており、2001年より世界標準のIT資格としてCompTIA認定資格の導入と普及を積極的に進めてきた。
こうした日本における最初のトレーニングパートナーである同社の積極的な活動が主催者団体であるCompTIAに評価され、「CompTIA Outstanding Leader Award」を受賞した。
 
◎「みんなが欲しかった! はじめの一歩シリーズ」を発刊
同社の資格試験対策書籍は、主に、既に取得したい資格が定まっている層を対象とし、効果的に勉強を進め、最終的な合格を目指す内容となっている。

これに対し、「みんなが欲しかった! はじめの一歩シリーズ」は、取得したい資格が定まっている層ではなく、資格を見つけたい、仕事に役立つ知識を知りたい、といった気軽で緩やかに勉強を開始したい、知識を身につけたい層を対象とし、書籍を読むことで広く学習や資格取得に対する意欲を明確にしてもらうことを目指している。

今後、毎年20タイトル前後を創刊し最終的に全300タイトルのシリーズを目指し、あらゆる動機に対する価値ある「一歩」を後押しできるようなラインナップとする。
潜在的に資格試験を目指す層の掘り起こしによって顧客層の拡大を図る考えだ。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更なし。増収増益を予想。
業績予想に変更は無い。現金ベース売上高は前期比3億62百万円増、1.8%増の209億90百万円を予想。
粗利率は0.2ポイント上昇し、販管費率は0.2ポイント低下。営業利益は同13.6%増の8億10百万円を予想。
配当は前期より1円増配の5.00円/株を予定。予想配当性向は21.0%。

中長期の取り組みとしては、「新規事業の開発・コストコントロール」、「新規開講講座の収益化」、「M&A・業務提携の推進」、「コーポレートブランド価値の向上」の4点を掲げている。

新規開講講座の収益化に関しては、2012年に新規開講した「建築士講座」が代表例。
同講座は低価格で高品質な講座を提供したことが好評で合格実績を積み上げ受講生が増加した。

これに次いで2013年秋に新規開講した「教員採用試験対策講座」が着実に実績を上げている。
多様な学習メディア、充実したフォロー体制、県別対策の充実、大学ネットワークを活かした学内講座の拡大などの施策により売上高は開講初年度の約5倍まで急成長している。
 
 
今後の注目点
今期第2四半期累計売上高(現金ベース)の進捗率は53.1%、過去数年と比較しても高水準であり、売上は順調に推移しているようだ。ただ、同期間の期初予想と通期実績を比較してみると、実績が上回ったのは現金ベース売上高で14年3月期と17年3月期の2回、営業利益でも13年3月期、14年3月期の2回にとどまっている。
「新規事業の開発」、「新規開講講座の収益化」、「M&A・業務提携の推進」といった中期的な取り組みの実績と共に、短期的には確実な進捗を達成できるのかが注目される。
 
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2017年6月28日
 
 
 
 
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