ブリッジレポート
(6890:JASDAQ) フェローテックホールディングス 企業HP
山村 章 社長
山村 章 社長

【ブリッジレポート vol.55】2018年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「需給ひっ迫の3D-NAND型フラッシュメモリの増産投資に伴うマテリアル製品の需要増や、半導体の微細化投資や有機ELパネルの増産投資に伴う真空・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年12月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フェローテックホールディングス
社長
山村 章
所在地
東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル
事業内容
半導体・FPD製造装置部品、太陽電池関連製品等の製造・販売及び各種技術サービス
決算期
3月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 73,847 5,678 5,675 3,256
2016年3月 69,463 4,024 3,822 2,162
2015年3月 59,078 1,671 2,030 -2,132
2014年3月 44,745 798 1,262 1,391
2013年3月 38,424 -3,608 -3,465 -6,532
2012年3月 60,088 4,124 3,287 1,715
2011年3月 57,880 6,931 6,290 4,483
2010年3月 31,541 703 524 156
2009年3月 36,653 2,790 2,097 743
2008年3月 36,625 3,057 2,414 1,903
2007年3月 32,517 2,288 2,081 1,703
2006年3月 23,946 1,210 1,040 708
2005年3月 21,105 1,762 1,456 633
2004年3月 15,000 615 -177 -645
2003年3月 12,845 111 -626 -899
株式情報(12/6現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,106円 36,906,706株 77,726百万円 8.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
22.00円 1.0% 126.67円 16.6倍 1,334.67円 1.6倍
※株価は12/06終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
フェローテックホールディングスの2018年3月期上期決算と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
消耗品を含めた半導体やFPD製造装置等の部品、冷熱素子「サーモモジュール」を核とする電子デバイス、太陽電池関連製品等の製造・販売、及び関連する各種技術サービスを手掛けている。傘下に子会社等41社を擁する(連結子会社32社、持分法適用非連結子会社1社、持分法適用関連会社5社、持分法非適用関連会社1社、非連結子会社2社)。
1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生。創業から30年余りにわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営も同社の特徴。2017年4月、持株会社体制へ移行した。
 
【経営理念と行動規範】
 経営理念
  顧客に満足を
  地球にやさしさを
  社会に夢と活力を
 
行動規範
私たちは、グローバルな視点のもと、常に国際社会と調和を図り、地域社会その他私たちに関係する世界の人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として、各国の法令を遵守することはもちろん、確固とした企業倫理と社会的良識を持って、誠実に行動します。

フェローテックグループは、新エネルギー産業およびエレクトロニクス産業を中心に高品質な製品やサービスを提案し、コスト競争力のある製品やサービスを提供することにより、お客様から信頼されて、満足を頂くことを掲げます。

フェローテックグループは、地球環境に配慮した活動を積極的に推進することを経営上の重要課題の一つとしており、最新の環境規制要求への適応を順次進めます。また、新エネルギー産業で活用できる素材・製品などを開発し、地球環境問題の解決に貢献することを掲げます。

フェローテックグループは、コア技術を活用したものづくりを通して社会に貢献し、顧客、株主、社員、取引先、地球社会などステークホルダーの方々が成長する楽しみを持てる企業であり続けます。また、企業活動に当たり法令遵守、社会秩序、国際ルールなど社会的良識をもって行動することを掲げます。
 
【事業セグメント】
事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の半導体等装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及びシリコン結晶やPVウェーハ、結晶製造装置に使われる坩堝等の太陽電池関連事業に分かれ、17/3期の売上構成比は、それぞれ43.7%(16/3期45.2%)、17.1%(同19.2%)、25.4%(同26.6%)、及びソーブレード、装置部品洗浄、工作機械等の報告セグメントに含まれないその他13.8%(同9.0%)。
 
 
半導体等装置関連事業
半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置部品である真空シール、デバイスの製造工程に使われる消耗品である石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、この他、シリコンウェーハ加工や製造装置洗浄(中国でシェア50%)等も手掛け、エンジニアリング・サービスをトータルに提供している。

主力製品で世界シェアNo.1の真空シールは、製造装置内部へのガスやチリ等の侵入を防ぎつつ回転運動を装置内部に伝える機能部品で、上記の製造装置に不可欠。真空シールの内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただ、いずれの分野も設備投資の波が大きいため、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野での営業を強化しており、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。

一方、石英製品、セラミックス製品、及びCVD-SiC製品は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品。石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品。太陽電池の製造プロセスで使われる石英製品である石英坩堝(太陽電池関連事業に区分)でも高いシェアを有し、この技術を活かして半導体向け高純度坩堝を育成中である。材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを主な顧客とし、半導体検査治具用マシナブルセラッミックスと半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスが二本柱。

CVD-SiC(※)製品は「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」(シリコンと炭素を含むガスから作る)で製造されたSiC製品の事。現在、半導体製造装置の構造部品として供給しているが、航空・宇宙(タービン、ミラー)、自動車(パワー半導体)、エネルギー(原子力関連)、IT(半導体製造装置用部品)等への展開に向け研究開発を進めている。

この他、6インチのディスクリート半導体向けが中心の小口径ウェーハ加工(インゴットのスライス)も月産36万枚規模に達しており、小口径ウェーハの加工分野で一定の存在感を有する。
 
電子デバイス事業
事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、遺伝子検査装置、光通信、家電製品等、利用範囲は広い。高性能材料を使用した新製品の開発や自動化ラインの導入によるコスト削減と品質向上により新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。この他、釣り具のリール(リール内部の防水用途)や4Kテレビのスピーカー向け等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体の収益も含まれている。
 
太陽電池関連事業
2005年に太陽電池関連事業に参入し、シリコン結晶製造装置、石英坩堝等の消耗品、及び太陽電池用シリコン製品等の製造販売を手掛けてきた。現在は市場ニーズを踏まえて、太陽電池用シリコン製品(シリコンインゴットとウェーハ)の受託生産や、インゴットの製造時に使用される単結晶シリコン用坩堝や多結晶シリコン用角層坩堝(共に石英の加工技術がベースになっている)の製造・販売が中心。消耗品である坩堝については、多様なラインナップを揃えると共にカスタマイズにも対応し、高い市場シェアを有する。
 
 
【第4の成長期へ】
 
同社は1980年9月に設立され、磁性流体・応用製品(CPシール・真空シール)の製造・販売を開始した。ハードディスクドライブのシールとして使われたCPシールや真空装置のシールとして使われる真空シールをけん引役に事業基盤を固めた。1990年以降は、海外展開を積極化し、91年に米国マサチューセッツ州に法人を設立、その後、92年中国杭州、95年中国上海、97年シンガポール、と相次いで海外現地法人を設立。この間、中国でサーモモジュール・モジュールの製造・販売を開始(92年)した他、半導体関連事業向け石英製品の製造・販売を開始(98年)。99年には元親会社の米フェローフルイディクス社を買収して北米・欧州へ展開した。
2000年以降は、02年に部品加工から組立までの一貫した生産技術を活かしてシリコンウェーハ加工や工作機械等の受託事業を開始(上海工場)。05年には太陽電池関連事業を開始し、インゴット、結晶製造装置、坩堝の製造・販売を本格化。更に08年にはセラミックス製品の製造・開発も開始する等で、新たな収益基盤を確立した。
そして、今、中国、アジア、北米、ロシアを含む欧州、と世界4極での事業体制の整備も進み、売上高1,000億円企業を目指す第4の成長期を迎えている。
 
 
2018年3月期上期決算
 
 
前年同期比14.2%の増収、同33.2%の営業増益
売上高は前年同期比14.2%増の429億83百万円。石英坩堝やシリコン結晶製造装置の減少で太陽電池関連事業の売上が同6.3%減少した他、自動車温調シートの減少で電子デバイス事業の売上も同2.8%の増加にとどまったものの、半導体・FPD等の製造装置向け真空シールや製造プロセスで使用される治具・消耗品(マテリアル製品:石英製品、シリコンパーツ、セラミックス製品、CVD-SiC)の好調で半導体等装置関連事業の売上が同28.5%増と伸びた。
営業利益は同33.2%増の44億98百万円。売上の増加と販売価格の見直しやコストダウンによる原価率の改善で売上総利益が同21.8%増加し、変動費や人件費を中心にした販管費の増加を吸収した。為替差損の減少(11億22百万円⇒3億12百万円)や固定資産処分損の減少(2億88百万円⇒35百万円)等で四半期純利益は22億99百万円と同122.5%増加した。

為替レート(期中平均)は、 米ドル112.14円(前年同期111.80円)、人民元16.37円(同17.03円)。設備投資は前年同期比49.3%増の47億02百万円(同31億49百万円)、減価償却費は同0.7%減の19億16百万円(同19億30百万円)。
 
 
 
真空シールは、日本・韓国メーカーによる3D-NAND投資や韓国・中国の有機EL投資で同41.8%の増収。販売先別シェアは、半導体28%(前年同期29%)、LED7%(同6%)、FPD23%(同25%)、太陽電池22%(同18%)、受託加工等のその他20%(同22%)。

石英製品は前期比25.5%の増収。日本のOEM供給先2社、米国の同2社向けのエッチャー(化学薬品等の腐食作用を利用した塑形・表面加工)用需要が急増した他、台湾の半導体メーカー等エンドユーザー向けも増加した。販売先別シェアは、OEM67%(前年同期69%)、エンドユーザー23%(同24%)、LED1%(同1%)、PV1%(同1%)、LCD1%(同1%)、その他4%(同4%)。中国杭州工場で増産投資を実施したが、米国OEM供給先等での需要が想定以上に強く、一段の増産投資を継続している。

セラミックス製品は前期比36.6%の増収。国内自動車メーカー向け(ロジック用検査用冶具)や海外医療関係部品向けを中心にマシナブルセラミックス(MC)“ ホトベール”の売上が増加した他、ファインセラミックス(FC)も、国内半導体製造装置・FPD装置部品向けや海外エッチング装置向け部品を中心に売上が増加した。販売先別シェアは、MC半導体検査18%(前年同期20%)、MC国内一般4%(同8%)、MC輸出13%(同14%)、FC半導体製製造装置用23%(同22%)、FC輸出25%(32%)、その他17%(同4%)。2017年11月には生産拠点である(株)フェローテックセラミックス石川工場(石川県)内に研究開発センターを開設した。次世代型の新製品開発に向けR&Dを強化していく考え。

CVD-SiC製品は前期比35.6%の増収。CVD-SiCは高耐熱性を特長とし、同社製品は半導体の製造プロセスで使用される消耗品が中心。主な販売先は、海外の半導体製造装置メーカーやデバイスメーカーで、約70%が輸出。上期は国内外で好調に推移し、新装置向け試作品の量産ラインも立ち上がった。地域別販売シェアは、中国38%(前年同期38%)、北米21%(同22%)、日本33%(同32%)、台湾6%(同8%)、欧州2%(同1%)。生産を担う子会社(株)アドマップは、これまでの岡山工場に加え、韓国に新工場を建設した(現在認定待ち)。大型の部品製造が可能な新工場で旺盛な需要に対応していく。

ウェーハ加工は前年同期比27.9%の増収。主力の6インチのディスクリート用ウェーハがセンサ類やパワー半導体向け中心に増加。数量増に加え、値戻しも進み、2度にわたる値上げが浸透。現在、月産36万枚体制から40万枚体制に向けた増産投資を行っている。7月には、8インチウェーハの銀川工場(インゴット)及び上海工場(ウェーハ)が竣工し、現在、量産認定が進行中(両工場で来期月産15万枚体制を目指している)。加えて、9月に設立した杭州子会社が、来秋の竣工を目指して年内に新工場の建設に着手する。早期の月産30万枚体制確立を目指しており、銀川・上海工場と合わせて同45万枚、5インチ・6インチと合わせて85万枚体制となる。

レンズの成膜装置の熱源に使われるEBガン及び化合物半導体の金属膜の蒸着に使われるLED蒸着装置は合計で同10.4%の減収。次世代携帯電話化合物半導体向け蒸着装置の引合いがある等、需要は底堅いが、この上期は現行スマホの販売低迷で主要顧客である通信チップメーカーが設備投資を延期した事が響いた。
 
 
石英坩堝は前年同期比39.1%の減収。単結晶用途について半導体向けへのシフトを進めている事が減収要因で計画に沿った着地。多結晶用角槽も需要が減少傾向にあり、構造改革を進めている。太陽電池用シリコンは単結晶の新規顧客向けOEM開始で同10.9%の増収。多結晶も、前年同期と同様に中国での電力固定価格買取制度に関連した需要で堅調に推移した(下期はこの反動で上期比減収が見込まれる)。セルその他は同9.9%の減収。高い変換効率が期待できるPERC技術を導入して高変換効率単結晶セルに力を入れており、中国やインドでの販売を強化している。

損益面では、たな卸資産評価損や貸倒引当金の処理(合計約4.9憶円)を実施し、上期は営業赤字となったが、来期の黒字化に向け引き続き構造改革に取り組んで行く考え。
 
 
サーモモジュールの売上が同2.0%増加した。半導体向けが大きく伸び、バイオや中国の通信機器向け、民生(家電)、パワー基板向けも増加したが、北米自動車販売(9カ月連続で前年同月割れ)の減少により、自動車温調シート向けが減少した。業種別販売先シェアは、自動車37%(前年同期48%)、自動車その他1%(同4%)、半導体12%(同6%)、光学4%(同5%)、バイオ11%(同10%)、通信機器7%(同7%)、理化学3%(同4%)、民生9%(同5%)、パワー基板9%(同8%)、その他7%(同2%)。
 
 
総資産は前期末との比較で183億87百万円増の1,104億87百万円。流動資産では、第三者割当増資(87億円)や私募債(33億円)発行もあり、現預金が増加した他、受注・売上の増加で売上債権やたな卸資産も増加。固定資産では、8インチウェーハ用設備や石英製品・セラミクス製品の増産対応等で有形固定資産が増加した。一方、のれん償却(1億14百万円)で無形固定が減少した。自己資本比率44.6%(前期末42.6%)。
 
 
税引前四半期純利益の増加等で前年同期を大きく上回る47億94百万円の営業CFを確保した。有形固定資産の取得等で投資CFは46億40百万円のマイナス。有形固定資産取得は、上海子会社15億76百万円、杭州子会社15億22百万円、銀川子会社5億95百万円。社債発行(32億45百万円)及び株式発行(86億59百万円)による資金調達で財務CFは123億11百万円の黒字となった。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
前期比15.1%の増収、同49.7%の営業増益
真空シールや太陽電池用シリコン・セル等を中心に上方修正した売上高は前期比15.1%増の850億円。前期との比較では半導体等装置関連事業が同29.3%増と伸びる。利益面では、半導体等装置関連事業の収益性改善と太陽電池関連事業の損益改善で営業利益率が10%と2.3ポイント改善する見込み。

為替レート(期中平均)の前提は、米ドル110円(前期109.44円)、人民元16.00円(同16.41円)。設備投資は前期比36.5%増の100億円を計画しており、減価償却費は同11.3%増の40億円を織り込んだ。設備投資は前期末設備未払金を考慮したCFベースの数値であり、当面、大規模設備投資の計画はない。

期末配当は1株当たり10円を予定しており、上期末配当12円と合わせて年4円増配の22円となる。
 
 
真空シールは下期も日本・韓国メーカーの3D-NAND投資が続く他、中国メーカー中心に有機EL投資も続き、通期で前期比34.0%の増収が見込まれる。石英製品は同29.8%の増収が見込まれる。足元、ピーク感はなく、米国OEM先を中心にした旺盛な需要に対応するべく増産投資を継続する。セラミックス製品は同28.9%の増収見込み。MCは海外医療関係部品向けの好調が続く他、国内半導体メモリー用検査治具の回復も見込まれる。FCは国内半導体製造装置・FPD装置部品や海外エッチング装置部品で更なる需要増が見込まれる。9月に稼働した中国新工場が既にフル稼働の状態にある。CVD-SiC製品も需要旺盛。前期の決算期を変更した影響もあり通期で同73.4%の増収と高い伸びが見込まれる。EBガン・LED蒸着装置は同1.2%の減収。上期の減収をカバーできないものの、下期は車載やIoT関連向けで前年同期比増収に転じる。
 
 
石英坩堝は前期比19.4%の減収。下期は太陽電池向けを長期契約分及び自社使用分に絞り込み、半導体用の小口径・中口径坩堝に力を入れる。太陽電池用シリコンは同10.9%の増収。下期は前年同期と同様に販売先の在庫調整が予想されるものの、前年同期のような大幅な価格下落は回避できるとみている。セルその他は同5.9%の増収。高変換効率単結晶セルの需要は強く、高付加価値化で価格が維持されるため、数量増が売上高に反映される。
 
 
サーモモジュールは前期比2.3%の減収。下期は通信機器向けや半導体向けの好調が続く他、パワー半導体向け基板の欧州企業向け出荷も始まったが、自動車温調シート向けは軟調な推移が見込まれる。受注が増加しているパワー半導体向け基板の増産投資を計画している。
 
(3)中期成長戦略の進捗状況
同社の資料によると、中国では「中国製造2025年」の国策の下、半導体製造装置の国産化施策が進められており、2015年に49億ドルだった中国の半導体製造装置市場は2016年に64.6億ドルに拡大した。更に2017年68.4億円、2018年110.4億円と高い成長が見込まれている。半導体製造装置に必要な様々な要素技術を有する同社は、この成長機会をとらえるべく、半導体製造装置のOEMを開始すると共に、半導体マテリアル製品等の増産体制や8インチウェーハの量産体制を整備する。また、EV化に伴う半導体需要や産業用パワー半導体の需要取り込みにも力を入れる。

また、サーモモジュール応用製品を中心に自動車関連分野を強化する。2018年には自動車をターゲットとするプロジェクトチームを立ち上げ、EV用電流用センサ関連、EV用電池冷却システム、ヘッドアップディスプレイ、磁性流体サスペンション、EV用サブエアコン、ライダー通信チップ等でマーケティングを開始する。事業規模300億円を念頭に3年間で200億円規模の事業に育てたい考え。

上記取り組みにより、19/3期に売上高1,000億円、営業利益率10%超の達成を目指している。売上の内訳は、半導体等製造装置事業430〜460億円、電子デバイス事業190〜220億円、太陽電池関連事業180〜200億円、その他(一般産業機器)140〜160億円。
 
半導体製造装置のOEM生産体制の確立(得意分野での受託生産)
現在、日米の大手半導体製造装置メーカーとOEM供給について話し合いを進めているが、半導体製造装置に使われる、蒸着機、ロボット関係、ユニット関係での需要を確認していると言う。また、LED製造に使われるMO-CVD(有機金属気相成長)装置が世界的に更新期を迎えており、OEM生産の打診が複数のメーカーから寄せられていると言う。MO-CVD装置は、世界で約3,600台が稼働しているが、生産効率の面から、その半分程度は更新の必要があるとみられている。
杭州の真空技術事業部と上海の受託事業子会社を統合して半導体製造装置の各種部品製造から装置の組み立てまで手掛ける考えで、8インチウェーハ製造に必要なインゴットの引上装置の内製も行う。19/3期には150億円規模の事業になると考えている。
 
半導体マテリアル製品等の増産体制
半導体マテリアル製品等の増産に向けては、生産拠点の新設を計画している。石英製品は世界の主要半導体製造装置メーカーに供給しているが、このうちの1社からは3年以内に100億円規模の供給能力の整備を要求されていると言う。このため、杭州工場内に機械加工及び火加工のラインをそれぞれ3ライン新設する計画で、今期中にそれぞれ2ラインが稼働する予定。また、セラミックス製品も、取引先1社から来期1.5倍の供給を要求される等、需要は旺盛。1月に稼働した新工場が9月にはフル生産の状態。現在、増産投資を進めている。また、これまでは、半導体向けに特化してきたが、今後はLCD向け、一般産業向けにも領域を広げていく考えで、2〜3年内に300億円体制を構築したい考え。

この他、CVD-SIC装置は半導体向けに加え、一般製造業向けにも展開し110億円規模の事業に拡大し、中国で6割程度のシェアを有する製造装置部品洗浄も、半導体、FPD、有機ELの3分野で2020年には110億円規模の事業になると言う。洗浄工場は、現在稼働している上海、天津、内江(四川省)、大連(遼寧省)に加え、福建省(2018年9月から10月にかけて稼働予定)、安徽省(2018年7月稼働予定)での工場の建設を予定している。
 
8インチウェーハの量産体制確立  銀川・上海で月産15万枚、杭州で同30万枚。小口径と合わせて同85万枚体制へ
2001年から量産しているディスクリート向け5・6インチウェーハは月産36万枚の生産能力だが、注文は同50万枚規模。一時期低迷した価格も値戻しが進んでいる。向こう3〜4年はこの状態が続く見込みと言う。口頭で来期の契約も確認されており、年内に40万枚体制に引き上げて対応する。
一方、8インチウェーハについては、台湾でウェーハ製造3位のグローバル・ウェーハズ (GWC)社との業務提携の下、銀川工場(前工程のインゴット製造)、上海工場(後工程)が7月に竣工・稼働した。10月5万枚、11月8万枚、12月10万枚と生産が順調に拡大しており、年明け15万枚を目指している。中国は8インチウェーハの全量を輸入に頼っているため、8インチウェーハの国産は「中国製造2025年」においても最優先課題。9月には8インチウェーハ製造を目的に杭州市をパートナーとする新会社を設立した。12月に着工し、竣工は2018年10月を予定。GWC社の技術者が常駐の下、2019年明けに試作を開始し、第2四半期以降、量産に入る予定で、年内に月産30万枚体制の確立を目指している。300億円程度の投資を予定しているが、このうち150億円は杭州市からの補助金で賄い、残りは借入で賄う予定。引上装置、坩堝共に内製する事による価格競争力が強みだ。
 
EV・産業用パワー半導体市場の取り込み
EV・産業用パワー半導体市場は2025年にかけて30%超の成長が見込まれており、同社はパワー半導体向け基板の生産能力を1.8倍に拡大する。
 
 
 
今後の注目点
需給ひっ迫の3D-NAND型フラッシュメモリの増産投資に伴うマテリアル製品の需要増や、半導体の微細化投資や有機ELパネルの増産投資に伴う真空シール需要で半導体等装置関連事業の好調が続いている。今後、IoT、AI、ディープラーニング、EV等での半導体需要や「中国製造2025年」効果が本格化してくるため、半導体業界は、一時的な減速はあるかも知れないが、本格的な調整は予想し難い。加えて、同社においては、半導体製造装置メーカーや半導体メーカーと一体となり、かつ中国の国策を取り込んだ事業展開、と言う強みもある。半導体等装置関連事業をけん引役とする売上高1,000億円達成のカウントダウンが始まっているが、中期成長戦略が順調に進捗すれば、売上高1,000億円は目標と言うよりも通過点に過ぎなくなる。懸念材料と言ったら、懸念材料がない事くらいだろうか。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2017年07月14日
基本的な考え方
当社は、企業価値を高め、株主、顧客、取引先、地域社会などステークホルダーに信頼され支持される企業となるべく、経営の健全性を重視し、併せて、経営環境の急激な変化にも迅速かつ的確に対応できる経営体制を確立することが重要であると考えております。
当社グループの主な事業内容は、半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)の製造装置等に使用される真空シール、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、太陽電池向けシリコン結晶製造装置、太陽電池向けシリコン製品、坩堝・角槽、温調機器等に使用されるサーモモジュールの他、シリコン製品、磁性流体およびその応用製品などの開発、製造、販売であります。
現在の取締役7名の内、社外取締役2名を選任しており、また、経営環境の変化に迅速に対応できるよう取締役の任期は1年としております。月一回の定例取締役会開催に加え、重要案件が生じたときは、機動的にその都度、臨時取締役会を開催しております。
業務執行につきましては、現在、執行役員9名[内、男性8名、女性1名 / 内、取締役4名(内、男性4名)]をそれぞれ担当職務・部門責任者として配置し、業務執行上の役割分担を明確にしております。
当社は、監査役会設置会社であります。監査役会は、現在、監査役3名(内、常勤監査役1名)全員が社外監査役で構成され、企業統治の強化を図っております。
当社は、後藤法律事務所とは法務顧問契約に基づき、業務上必要に応じて法務に関わる助言を受けております。
また、会計監査人である新日本有限責任監査法人とは、監査契約に基づき会計監査を受けており、東京証券取引所JASDAQスタンダードに上場する企業として、開示規定に定める事象がおきた場合は、遅滞なく情報の開示に努めております。
 
<実施しない主な原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。
 
<開示している主な原則>
【原則1−4 いわゆる政策保有株式】
当社は、事業協力関係の維持・強化、取引関係の維持・強化、業界情報の収集・交換、安定的な資金調達の維持を目的として、政策保有株式を保有しております。

【原則1−7 関連当事者間の取引】
関連当事者との取引を行う場合には、取締役会での審議・決議を要することとしており、利害関係を有する取締役は当該議案に対し、決議に参加できないこととしております。関連当事者間の取引につきましては、他の資本関係のない会社と取引する場合と同様の条件による取引を基本とし、取引内容の妥当性について少数株主利益を害することのないよう対応しております。

【原則5−1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、会社の持続的成長及び企業価値の向上を目指し、株主の皆さまとの建設的な対話を促進し、当社の経営方針や経営状況を分かりやすく説明し、株主の皆さまの理解が得られるよう努めてまいります。
株主との建設的な対話に関する方針
(1)株主の皆さまとの対話の統括
IR担当である経営企画担当取締役を株主の皆さまとの対話を統括する経営陣として指定しております。
(2)株主の皆さまとの対話を補助する社内各部門の連携体制
経営企画室及び経理部が連携して、株主の皆さまとの対話を補助しています。
(3)個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
決算説明会、スモールミーティング、個人投資家説明会、株主総会後に開催する事業説明会、各種印刷物をはじめとする様々な情報伝達手段を活用しております。決算説明会及び事業説明会では、代表取締役が自ら説明を行っております。
(4)対話に際してのインサイダー情報の管理
内部情報管理規程に基づき情報管理を徹底しております。
 
 
 
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投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
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