ブリッジレポート
(3778:東証1部) さくらインターネット 企業HP
田中 邦裕 社長
田中 邦裕 社長

【ブリッジレポート vol.12】2018年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「サーバの処理能力向上や小型化の進展に加え、クラウド等の仮想化によるラック内のサーバ集約度の高まりもあり、サーバラック1本当たりの必要・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年1月9日掲載
企業基本情報
企業名
さくらインターネット株式会社
社長
田中 邦裕
所在地
大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 タワーA 35階
事業内容
東京、大阪、北海道の3エリアでデータセンターを運営。
業界大手。自社所有の郊外型大規模データセンターを活かし、
AIインフラ提供やIoTプラットフォーム(データ収集)事業に参入。
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 13,961 1,018 804 548
2016年3月 12,086 976 822 553
2015年3月 10,576 964 857 516
2014年3月 10,045 736 633 353
2013年3月 9,482 867 812 479
2012年3月 9,164 873 808 556
2011年3月 8,584 1,225 1,194 572
2010年3月 7,812 748 723 567
2009年3月 7,106 392 349 374
2008年3月 6,478 85 -25 -632
2007年3月 4,703 -271 -346 -493
2006年3月 2,758 210 197 105
2005年3月 1,930 133 132 70
株式情報(10/26現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
850円 37,620,256株 31,977百万円 9.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2.50円 0.3% 14.09円 60.3倍 202.26円 4.2倍
※株価は10/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
さくらインターネットの2018年3月期上期決算と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
東京(西新宿、東新宿、代官山:いずれもフロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアでデータセンターを運営し、サーバの設置スペースと電源やネットワーク回線等を提供するハウジングサービスとサーバ環境(コンピュータリソース)をインターネット上で提供するホスティングサービスを手掛けている。多くのホスティングサービス事業者がインフラ(データセンター施設)を外部に依存するのに対して、同社はインフラを自社で保有する事で高収益を追求し(価格競争力の源泉となる)、このインフラをハウジングサービスの提供にも活用する事で稼働率を上げ固定費リスク(インフラ保有リスク)を軽減している。
 
【企業理念】
同社は、下記のミッション、ビジョン、バリューを企業理念として定め、これを実現することによって、全てのステークホルダーから価値ある企業として支持される事を目指している。
 
コーポレート・ミッション 使命
私たちは、人々とビジネスの可能性を広げるデータセンターサービスの提供を通じ、インターネットによってひらかれる創造性と驚きに満ちた未来の実現に貢献します。
コーポレート・ビジョン  目指す姿
サービス 高品質で低価格なITプラットフォームと革新的で面白いインターネットサービスの提供
インフラストラクチャー スケールメリットと柔軟性を兼ね備えたコスト競争力の高いITインフラの実現
テクノロジー 価値あるサービスの実現とインターネットの発展に寄与する先進的な技術の探究
コーポレート・バリュー  重視する価値観
・質の高いサービスを生みだす絶えざるイノベーション
・コストパフォーマンスを支える卓越したオペレーション
・すべての活動のベースとなる良質なコミュニケーション
 
【沿革】
1996年12月23日、京都府舞鶴市にある、国立舞鶴工業高等専門学校でさくらインターネット創業。1999年8月、レンタルサーバサービスと専用サーバサービスの提供を目的とした、さくらインターネット(株)として設立。同年10月に大阪(大阪市中央区)と東京(京都豊島区)にデータセンターを開設し、ハウジングサービスを開始した。2005年10月に東証マザーズに株式を上場した。2008年2月に双日(株)と資本提携し(持分法適用会社となる)、2011年2月には双日(株)のTOBに賛同し資本関係を強化すると共に(連結子会社となる)、改めて業務提携契約を締結。同年11月にはクラウドコンピューティングに最適化した日本最大級の郊外型大規模データセンターを北海道石狩市に建設。2015年4月に(株)Joe'sクラウドコンピューティングを子会社とし連結決算に移行。その後もインターネットインフラサービスの周辺事業を営む会社を子会社化。2017年3月に公募増資と(株)双日の株式一部売出し等により持分法適用会社となる。
 
【事業内容】
事業は、ハウジングサービス、ホスティングサービス、及びドメイン取得サービスやSSL取得サービス(独自ドメインによるサーバ証明書の取得代行)等のその他サービスに分かれ、17/3期の売上構成比は、それぞれ18%、69%(専用サーバ22%、レンタルサーバ21%、VPS・クラウド26%)、13%。
 
ハウジングサービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するサービス。ラック単位で設置スペースを貸し出す「ラック貸し(回線、電源等も提供)」が中心だったが、自社で土地建物を保有する石狩データセンターの稼働に伴い「スペース貸し」(大規模ハウジング)を開始した。
 
ホスティングサービス
専用サーバサービス、レンタルサーバサービスの物理ホスティングと、VPSサービス、クラウドサービスの仮想ホスティングに分かれる。
 
専用サーバサービス
同社が所有する物理サーバを専用で利用できるサービス(「さくらの専用サーバ」)。専門知識を要するサーバのメンテナンス等の負担があるものの、独自にサーバの設定が可能である事や、ソフトウェアのインストールに制約が無い事等、レンタルサーバサービスと比べて自由度の高い点が特徴。専用サーバは、クラウド・VPS等の仮想サーバの普及により売上が減少していたが、新サービスの導入以降、パフォーマンスの安定性や高性能なDB・ストレージの活用といった機能面でのメリットやクラウドに比べ規模拡大に伴い料金が増加しにくいコスト面での優位性から、特に高速処理が要求されるAI分野での利用等で見直されつつあり、クラウド(仮想サーバ)と専用サーバ(物理サーバ)を併用する顧客も増えている。
尚、新サービスはクラウドサービスの対抗商品として2012年2月にサービスを開始した。物理サーバをクラウドのように利用できる一方、仮想化技術を用いた通常のクラウドに比べて性能やセキュリティが各段に優れる(最少プランは従来価格のままでサービススペックを2倍以上に引き上げた)。台数制限がなく、複数台構成も可能で、申し込みから最速10分で利用できる。
 
レンタルサーバサービス
同社が所有する物理サーバと豊富な機能をメンテナンス不要で利用できるサービス。1台の物理サーバを専用で利用できるサービス(「さくらのマネージドサーバ」)と1台の物理サーバを複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)を提供。サーバの設定やソフトウェアのインストールに一定の制約があるものの、専門知識を要するサーバのメンテナンス等は同社が代行するため、利用者は作業負担を大幅に軽減する事ができる。
 
VPS・クラウドサービス
仮想化技術により、物理サーバ上に複数の仮想サーバを構築し、そのひとつひとつが専用サーバのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバ1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)を提供。物理サーバ(専用サーバサービスやレンタルサーバサービス)よりも自由度が高く、かつコストパフォーマンスに優れる。
 
 
 
2018年3月期上期決算
 
 
前年同期比24.5%の増収、同48.4%の営業減益
売上高は前年同期比24.5%増の81億20百万円。VPS・クラウドが同23.8%の増収と高い成長を続ける中、高火力コンピューティングの一環としてのスーパーコンピュータ案件の寄与で専用サーバの売上が同39.2%増と伸びた。また、アイティーエム社(2017年1月に連結子会社化したエヌシーアイ社が社名変更)の寄与等でその他の売上も同76.8%増加した。売上高が期初予想を下回ったのは、IoTサービスにおいて、顧客ニーズに応じてモジュール販売をライセンス販売に切り替えた事等が要因(後述)。

営業利益は同48.4%減の3億03百万円。設備や人材への先行投資が負担となり減益となったが、サーバの入替え(更新)による効率化効果やデータセンターの集約に伴う賃料削減効果が想定よりも早く表れ期初予想を上回った。石狩データセンターの増床やサーバ・ネットワーク機器投資の増加、及びエンジニアの増員等で売上原価が同28.3%増加し売上総利益率が低下。社内システムの開発エンジニアやアイティーエム(株)の子会社化に伴う営業人員の増加、及び大阪新本社の地代家賃等の増加等で販管費は同42.6%増加した。

尚、スーパーコンピュータ案件とは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と先端素材高速開発技術研究組合(Hi-Mat)が共同運営する「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」で使用するスーパーコンピューターシステム向けの高火力コンピューティング。スーパーコンピューターシステムにおいても、「所有からサービス利用へ」と意識やニーズが変化している事に加え、石狩DCのエネルギー効率の高さが評価された。2017年4月に1,024台のサーバ(合計32,768コア、総理論演算性能は約1.153ペタフロップス)の提供を開始し、売上規模は5年総額で約21億円。
 
 
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて1億13百万円減の258億91百万円。給与支給時期変更や借入金の返済等で現預金が減少する一方、サーバ・ネットワーク機器や大阪新本社関連設備等で固定資産が増加した。自己資本比率29.4%(前期末29.3%)。
尚、9月にビットスター(株)を子会社化したが、上期決算では貸借対照表のみを連結(損益計算書の連結は下期から)。ビットスター(株)は北海道札幌市を拠点に、情報システム部門を持たない中小規模の企業を中心にシステム開発・運用保守やウェブデザイン等のサービスを提供している。
 
 
第2四半期(7-9月)は税前利益の増加や設備投資に伴う消費税の還付(約3億円)等で10億99百万円の営業CFを確保し、ビットスター(株)の買収費用(取得価額1億05百万円。直接42%、間接82%の議決権を取得)等を賄った(フリーCF :7億08百万円)。
 
 
上期はデータセンターの最適化(集約)やサーバ・ネットワーク機器で23億円の設備投資を実施した。
 
 
売上高は前四半期比2.3%増の41億05百万円。VPS・クラウドが好調を持続し、高火力コンピューティングの寄与やフィンテック・アプリ等を手掛ける成長企業の利用増で専用サーバも増加。IoTサービスのライセンス販売や子会社のスポット売上でその他の売上も増加した。
営業利益は同64.8%増の1億89百万円。減価償却費・リース料や電力費(夏季)の増加を吸収して売上総利益が改善する一方、広告宣伝費を中心に販管費が減少した。
尚、第2四半期末の人員は前期末(495名)に比べて58名増の553名。同社の採用は一段落しているため、エンジニア2名増、営業・販促7名増、管理2名増と合計11名の増加にとどまった。一方、子会社は、Joe’s社0名、ゲヒルン社2名増、ITM社1名増、及びビットスター社の子会社化に伴う44名増の合計47名増。
 
 
 
 
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
通期予想に変更はなく、前期比38.2%の増収、同3.1%の営業増益
VPS・クラウドや専用サーバが伸び、レンタルサーバも堅調な推移が見込まれる。M&A効果も加わり、売上高が193億円と前期比38.2%増加する見込み。設備や人材への投資で売上原価・販管費共に高い伸びが見込まれるものの、売上の増加と売上総利益率の向上で吸収して営業利益が10億50百万円と同3.1%増加する見込み。

尚、下期は、高火力コンピューターと「さくらの IoT Platform(sakura.io)」で複数の案件がスタートする他、アイティーエム(株)(前期第4四半期より連結)やビットスター(株)の寄与もあり、売上高が前年同期比50%強増加する。利益面では、11月に石狩DC3号棟が稼働する事もあり、減価償却費・リース料が17億円と上期よりも2億円増加するものの、サーバ入替え・ラック集約と大阪でのDC拠点集約(10月末に)による運用コスト圧縮効果が現れ営業増益に転じる見込み。

配当は1株当たり2.5円の期末配当を予定している。
 
ビットスター(株)の子会社化   M&Aによる周辺領域での付加価値向上
さくらインターネット(株)は本質的価値(速い・安い・落ちない・すぐ手に入る)に注力したインターネットインフラサービスを提供しているが、グループ全体で付加価値を高めるべく、周辺事業の強化に取り組んでいる。この一環として、2015年4月にレンタルサーバやSSLに強みを持つ(株)Joe’sクラウドコンピューティングを子会社化し、2016年5月にはセキュリティを強化するべくゲヒルン(株)を子会社化した。更に2017年1月には大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバやネットワークの監視運用保守を請負う)に強みを持つアイティーエム(株)(当時はエヌシーアイ(株))を子会社化し、この9月には小中規模法人向けMSPに強みを持つビットスター(株)を子会社化した。
ビットスター(株)は、デザイン、システム開発、運用をワンストップ提供しており、デザインの自社提供を入口とした顧客獲得に強みを持ち、MSP技術における中小規模案件のノウハウも豊富。16/12期の業績は、売上高4億37百万円、営業利益・経常利益22百万円、当期純利益15百万円。
 
データセンター集約化による運用コストの最適化
石狩DCの拡大投資と並行して、大阪エリアでサーバの入替えとDC集約に取り組んできた。サーバの入替えは、旧型のサーバをコストパフォーマンスが高く故障し難い最新のサーバにリニューアルするもので上期に完了。これによりサーバの集約(台数の減少)が進み、大阪エリア合計でラック数を約20%削減できたと言う。また、フロアを賃借していたDC拠点を10月に集約できたことにより、大阪エリアにおいて30%の家賃削減効果が見込めると言う。
 
(2)IoT分野と高火力コンピューティングの取り組み
新たなビジネスの創出による中長期の市場拡大に備えるべくIoT分野での事業化に取り組むと共に、成長分野で高まる計算資源ニーズを取り込むべく高火力コンピューティングに力を入れている。
 
IoT分野での取り組み
調査会社によると、IoTの活用(導入・運用)をIT領域で支援するIoT向けITサービスの市場規模は、2016年から2021年にかけて548億円から6,670億円に年率64.8%の成長率で拡大する。現在は製造業の支出が中心の黎明期だが、数年後には、基幹系システムとの連携等による本格的なSI案件化の増加や全ての産業分野での新ビジネス創出等で非連続の成長が見込まれると言う。

同社が提供するIoTサービス「さくらのIoT Platform(sakura.io)」は、データを送受信するための通信環境(通信モジュール、通信インフラ)とデータの保存及び処理に必要なシステムをOne Stopで提供しているが、通信モジュールについては、形状の変更や自社ソフトウェアへの組み込みを希望するユーザが多いため、上期からライセンス販売を開始した。ユーザが用意したハードウェアやソフトウェアに自由に組み込む事ができる。また、通信モジュールと同社DCとの通信のための規格は、現在、携帯電話で使われるLTEのみだが、LPWAの規格の一つで、低消費電力ながら長距離通信が可能なLoRa(920MHz帯)規格に対応するモジュールの開発を進めている。
尚、同社の資料によると、LPWAとはLow Power Wide Areaの略で、低消費電力で広いエリアをカバーできる無線ネットワーク(低コストで遠くまでデータを飛ばす事が可能)。代表的な規格に、「LoRa」、「SIGFOX」、「NB-IoT」等がある。

ライセンス販売については、(株)tsumug(東京都千代田区:代表取締役社長 牧田恵里)に対して、賃貸物件向けスマートロックの開発に必要なプロトコルライセンスの提供を開始した。(株)tsumugは、さくらインターネット(株)の合弁会社(株)S2iと賃貸物件向けスマートロックを共同開発しており、貸物件向けスマートロックのソフトウェアに「さくらのIoT Platform(sakura.io)」への接続機能を組込む考え。
LoRa(920MHz帯)対応については、(株)かもめや(香川県高松市:代表取締役CEO小野正人)とLoRa(920MHz)帯通信モジュール(テスト版)の実証実験を開始した。(株)かもめやは、無人物資輸送機を使った無人物流サービスの開発に取り組んでおり、実証実験では、ドローンなど無人機の運行管理における通信システムの有効性を確認する(通信モジュールは無人機とオペレーションセンタ間の通信を担う)。
 
高火力コンピューティングの取り組み
ターゲットとするのは、AI・機械学習、計測分析、映像制作、仮想通貨といった膨大なデータを大量の計算資源を使って処理する分野。AI・機械学習では将棋・囲碁ソフト向けでNo.1の実績があり、今後、ジャンルを広げていく。計測分析では新材料の研究、映像制作ではCG映画、仮想通貨ではCOMSA等、各分野で既に実績がある。
ちなみに、AI分野のビジネスレイヤーは、アプリケーションデータ(活用)、データ・アナリシス(分析)、アルゴリズム(ソリューション提供)、及びハードウェア(システム基盤)に分かれるが、アプリケーションデータはユーザの領域であり、データ・アナリシスは高度な分析力やノウハウが必要。アルゴリズムは新興企業等の参入が多く今後の競争激化が予想される。同社はコストパフォーマンスに優れたインターネットインフラサービスの強みも活かしてハードウェアに注力していく考えで、ハードウェアはAIビジネスに必須だが参入が少ないと言う。
 
働きやすさの向上
「働きやすさ、働き甲斐の向上」に向けた取り組みは、「石狩DCへの集中投資とその他のDC集約及びサーバの入替え」、「成長市場・成長分野(AI・IoT)への投資」と並ぶ成長投資の一つ。給与の増加、現場社員の増加、オフィス環境の向上、及び勤務時間短縮の4 項目を課題として掲げ、取り組みを進めてきた。この一環として、在宅勤務制度、勤務時間のスライド、更には業務完了後であれば定時の30分前に退社可能等の施策を盛り込んだ社内制度「さぶりこ」を導入した他、育児や介護のための短縮勤務や2 日以上の連続休暇で1 日につき5,000円支給といった取り組みを実施した。また、2017年1月には副業を含む社外活動をパラレルキャリアとして奨励する事も発表している。この他、事務負担の軽減効果も期待できるため、社員が従来よりも早く給料を受け取る事ができるように支払期日を変更した他、人員増による収容面積不足解消と社員のモチベーション向上を念頭に大阪本社の移転を行った。
こうした取り組みの結果、現在の離職率はIT企業としては極めて低い2%程度。「今後、人材面での制約から事業の拡大が難しい企業が出てくる可能性があるが、当社においては、人的リソースがボトルネックになる事はなく、DCというリソース面での充実もあり、AI・IoT分野で成長が可能な素地ができた」と田中社長は自信を示す。
 
【成長イメージ − 既存の分野と新たな分野の両輪で成長 −】
既存分野と新たな成長分野を両輪として成長を実現していく考え。既存分野とは、レンタルサーバや専用サーバ等の安定成長分野であり、これをベースに今後の成長分野と位置付けているVPS・クラウドで上積みを図る。中長期では新たな取り組み分野であるIoT・AI等を伸ばし、更にその先には、データ取引所等、データへのアクセスに不可欠なプラットフォーマーをイメージしている。

具体的には、レンタルサーバ、専用サーバといった安定成長分野は、M&Aやオペレーションの効率化で利益を創出し、VPS・クラウドは、販促による新規顧客獲得と利用単価の引き上げで成長を加速させる。一方、AI・IoTといった新たな取り組み分野は、長期的には大きな成長が期待できるものの、目先の動向は不透明。このため、先ずはパートナーとのアライアンスで顧客の実用化を支援しシェア拡大に取り組んでいく。
 
 
今後の注目点
サーバの処理能力向上や小型化の進展に加え、クラウド等の仮想化によるラック内のサーバ集約度の高まりもあり、サーバラック1本当たりの必要電力量が増加している。いわゆるハイパースケールデータセンターには、サーバラック1本当たり約6kVA以上の電力が必要と言われているが、国内事業者の2015年末時点のラック電力キャパシティ別比率は、同3kVA未満が49%、3〜6kVAが40%、6kVA以上は11%に過ぎないと言う。同社においては、都内や大阪で運営している都市型DCが3kVA以上で(3kVA未満はない)、石狩DCは平均6kVA以上。このため同社は、石狩DCで事業拡大を図る一方、都市型DCで拠点集約とサーバの最適化(入替え)を行ってきた。上期はサーバの入替えに伴うコストが負担になったが、入替えによって、スペックアップはもちろん、故障率低減や遠隔運用環境構築等によるメンテナンス性の向上、ネットワーク環境の強化、更にはサービスの安定性・信頼性向上等の効果が期待できる。このため、同社では、長期的には運用コストの圧縮効果が入替えに伴うコストを大きく上回ると考えている。下期以降、拠点集約効果も含めた運用コストの圧縮効果が徐々に顕在化してくる見込みだ。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2017年07月07日
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社が企業規模を拡大していくのに並行して、経営管理組織の整備を推進し、各部門の効率的・組織的な運営及び内部統制の充実を図ることであり、その基本姿勢を基に現在まで努力してまいりました。特に、インターネット業界は、目に見えない多数の利用者に対して通信施設を開放しており、世界中のインターネット利用者を市場として成立している事業でありますので、他業界以上の大きな社会的責任を背負っております。当社におけるコーポレート・ガバナンスの確立は、このような社会的責任を果たしていくことを可能にする経営基盤であると考えております。
 
<実施しない主な原則とその理由>
補充原則4-2-1 【経営陣の報酬】
取締役の報酬は、代表取締役が業務分掌の内容や業績への貢献度等を総合的に勘案し、取締役会に提案のうえ、取締役会で個別に決定しております。なお、今後は中長期的な業績と連動する報酬や自社株での報酬についても引き続き議論し、設定すべきことを検討いたします。

原則4-9 【独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
株主総会招集通知、有価証券報告書及びコーポレート・ガバナンス報告書に記載しております。今後選任基準を策定することを検討いたします。

補充原則4-11-3 【取締役会全体の実効性について】
取締役会全体の実効性に関しては、適切な意思決定を行うため取締役会上程議案についての事前審議等が実施され、取締役会に担当責任者が出席し案件の説明と質問への回答を行う等、議論が十分になされていると考えております。今後については、概要についての開示を検討いたします。
 
<開示している主な原則>
原則1-4 【政策保有株式】
現在当社は上場会社株式を保有しておりません。

原則1-7 【関連当事者間の取引】
関連当事者との取引については、少数株主の利益保護のため、関連当事者以外と取引を行う場合と同様、当社の社内諸規程に基づいて取引の可否を決定しております。なお、関連当事者との取引については、より慎重に判断を行うためにその取引金額の多寡に関わらず、取引内容についてその取引の合理性や取引条件の妥当性等の検証を行い、その結果を取締役会に報告し、取締役会において十分に審議しており、少数株主の利益を害することとならないよう体制を整えております。

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、取締役(CFO)をIR担当取締役とするとともに、経理財務部にIR担当者を配置しております。株主や投資家に対しては、四半期毎に決算説明会を開催しております。決算説明会の資料及び説明会の動画を弊社ホームページに掲載することにより、個人投資家に向け当社に対する理解度向上に向けた取り組みを行っております。株主との対話(面談)の対応は、経理財務部のIR担当者が行っております。また、株主の希望や面談を行う株主の株式数に応じて、社長や取締役(CFO)が面談に対応しております。なお、対話を通じた株主からの意見については、適時開示担当部署が集約し、経営陣に共有する仕組みを構築しております。投資家との対話の際は、当社の持続的成長、中長期における企業価値向上に関わる事項を対話のテーマとすることにより、インサイダーの情報の管理に留意しております。
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
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