ブリッジレポート
(3134) Hamee株式会社

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ブリッジレポート:(3134)Hamee vol.5

(3134:東証1部) Hamee 企業HP
樋口 敦士 社長
樋口 敦士 社長

【ブリッジレポート vol.5】2018年4月期第2四半期業績レポート
取材概要「プラットフォーム事業は、いずれコマース事業に代わって成長ドライバーとしての役割を担う事になるが、コマース事業が好調な間は積極的に先行・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年1月16日掲載
企業基本情報
企業名
Hamee株式会社
社長
樋口 敦士
所在地
神奈川県小田原市栄町2-12-10 Square O2
決算期
4月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年4月 8,502 1,106 1,048 695
2016年4月 6,501 450 427 257
2015年4月 5,657 336 329 192
2014年4月 4,681 226 222 121
株式情報(12/28現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,857円 15,939,714株 29,600百万円 29.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.00円 0.3% 47.44円 39.1倍 181.88円 10.2倍
※株価は12/28終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
Hameeの2018年4月期上期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
happy mobile, easy e-commerce」(社名の由来でもある)を事業Domainと定め、「happy mobile」を実現するためのモバイルアクセサリーの企画・デザイン、インターネット販売及び卸販売事業(コマース事業)と「easy e-commerce」を実現するためのEC事業者向けクラウド型業務マネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」の開発・提供事業(プラットフォーム事業)の2事業を展開している。モバイルアクセサリーECではトップクラス。プラットフォーム事業も業界トップのユーザーを有する。グループは、同社の他、Hamee Korea Co., Ltd.(韓国)、Hamee US ,Corp.(米国)、Hamee Taiwan ,Corp.(台湾)の連結子会社3社(いずれも100%出資)、及び持分法適用会社シッピーノ(株)。この他今期より、Hamee India Pvt. Ltd.(インド)、Hamee Shanghai Trade Co., Ltd.(中国)が連結子会社となった。
 
 
【事業概要】
事業は、コマース事業、プラットフォーム事業、及び18/4期から区分したその他(コマース事業、プラットフォーム事業のいずれにも明確に分類できない新たなサービスに係るもの)に分かれる。17/4期の売上構成比は、コマース事業88.0%、プラットフォーム事業12.0%だが、営業利益の構成比は、それぞれ81.7%、18.3%。
 
コマース事業    商品企画力を活かし流通の川上から川下までカバー、ネクストエンジンで自社ECを効率運営
モバイルアクセサリーを中心とした雑貨等の商品企画・製造(ファブレスメーカー)及び仕入を行い、一般消費者へのインターネット通信販売(小売)や大手雑貨量販店・大手家電量販店等への卸販売を行っている。インターネット通信販売は、国内に加え、海外子会社を通して、一般消費者向けの現地ECサイト運営や海外ECショッピングモール等への出店(越境EC)も行っている。
 
国内インターネット通信販売(小売)    自社ドメインサイトの運営や有力ECサイトへの出店を通して消費者に販売
自社ドメインサイトに加え、同じタイプの店舗を、楽天やYahoo!等、複数のECサイトに出店している他、コンセプトやターゲットの異なる店舗を同一のモールに出店する等、多店舗展開を進めている。例えば、総合店舗と位置付けられている「楽天店」は、老若男女を問わず、わかりやすい店舗づくりが特徴で、男性向けの「Hamee TV」、女性向けの「Ketchup!」、店舗関係者が“可愛い”と思ったものを集めた「Kawaii館」等がある。商品開発部(商品開発)、CRマネジメント部(接客)、WEBマーケティング部(店舗づくり)が一体となった事業展開が強みとなっている。

卸販売(卸売)    量販店及びEC業者に販売
大手雑貨量販店や大手家電量販店を中心にモバイルアクセサリーの卸売を行っている他、EC事業者向けにインターネット卸販売サイトの運営を行っている。小田原本社(神奈川県)の他、東京、大阪に拠点を設け、ラウンダーと呼ばれる実店舗の売場構築を支援する人材を配置している。

海外向け販売    韓国、米国、台湾、中国の子会社が一般消費者向けインターネット販売を展開
韓国、中国、米国、台湾、インドの連結子会社5社を通じてインターネット通信販売及び小売り事業者向けの卸販売を行っており、韓国子会社は商品企画・デザイン・選定等の業務も手掛けている。インドは米国ECのバックオフィス業務の機能も担っている。中国では自社ドメインサイト1店舗を含む3店舗を展開している。
 
 
尚、商品仕入については、500社を超える仕入先のネットワークを有し、モバイルアクセサリー関連の情報網としても機能している。また、社内に商品デザイナーを中心とした商品企画・デザイン専門チームを有し、海外を含む外部メーカーの協力を得て、利益率の高い自社企画商品の製作も手掛けている。この他、玩具や実用品等も取り扱っており、10,000種類を超える商品の卸販売を含めた販売状況を分析する事で、売れ筋商品をリアルタイムに把握し、商品仕入・企画に活用している。
 
 
プラットフォーム事業    自社ECの運営ノウハウ注入による差別化・優位性、アプリ充実でプラットフォームとしての魅力向上
自社サイトやインターネットショッピングモール等でインターネット通販を展開するEC事業者向けに、ネットショップ運営に必要なバックオフィス業務(受注、発注、仕入、在庫~分析等、ネットショップ運営に必要な業務)を一元管理できるマネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」を開発・提供している。「ネクストエンジン」は同社グループがECを展開する中で開発されたECのバックオフィスシステムであり、現在も同社グループのコマース事業において使用されている基幹システムである。
海外展開も視野に入れており、「海外現地法人で実際にECを運営し、各国のECショッピングモールとの連携等、ノウハウを蓄積したうえで現地(海外)版ネクストエンジンを開発、リリースする」事を基本戦略としている。

インターネット通信販売事業者向け業務マネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」をクラウドで提供
「ネクストエンジン」は、メール自動対応、受注伝票一括管理、在庫自動連携、商品ページ一括アップロード等の機能を有し、ネットショップ運営の業務プロセスの自動化を進め、EC事業者の経営効率向上を支援するクラウド型のシステム。ネットショップのルーティーン業務を可能な限り自動化すると共に、自社ネットショップや大手ネットモール等、異なるインターネットショッピングモールに出店した複数のネットショップの一元管理や複数のネットショップの在庫数表示の同期が可能。業務効率アップにより残業削減はもちろん、販売戦略や商品開発のための時間創出にも寄与する。
 
メイン機能(標準仕様)とアプリケーション(拡張機能、以下「アプリ」)でユーザーニーズに柔軟に対応
「ネクストエンジン」には、メイン機能(標準仕様)とアプリケーション(拡張機能、以下「アプリ」)があり、ユーザーはニーズに合わせて機能を使い分ける事が可能。メイン機能はEC事業者の利便性に資する標準的な機能がワンパッケージで搭載されており、アプリはそれ以上の特殊なニーズに対応するためのオプションと位置付けられている。また、「ネクストエンジン」のOEM提供も手掛けており、GMOソリューションパートナー(株)が「ストックマネージャー」と言うサービス名で、GMOコマース(株)が「すごい!ネットショップ管理」と言うサービス名で、それぞれの顧客にサービス提供している。
「ネクストエンジン」の基本料金は、ユーザーであるEC事業者の受注件数に応じた従量課金制(ユーザーの事業規模に応じた料金体系)。また、専用サーバープランやカスタマイズ(ネクストエンジンオーダーメイド)等のサービスもあり、この場合は顧客毎に個別料金を適用している。ネクストエンジン上の各種アプリについては、アプリによって異なる(無料、定額料金制、従量課金制)。
 
 
プラットフォーム化(システムからプラットフォームへ)
2013年12月に「ネクストエンジン」のAPI(※)を公開した事で、「ネクストエンジン」上で自社及び外部ディベロッパーが開発した各種アプリの展開が可能となる等、いわゆるプラットフォーム化が実現した。プラットフォーム化により、アプリとネクストエンジンを連携させる事によるユーザー企業の環境に応じたシステムの構築・運用が可能になった。

※API(Application Programming Interface)
あるコンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータ等を、外部の他のプログラムから簡単に呼び出して利用できるようにするインターフェイスのこと。ここで言うインターフェイスとは、機能の呼び出し手順や記述方法等を定めた仕様を指す。APIが提供されている機能は独自にゼロから開発する必要がないため、プログラムの開発を効率的に行うことが可能になる。
 
 
2018年4月期上期決算
 
 
前年同期比17.6%の増収、同42.0%の営業増益
売上高は前年同期比17.6%増の42億10百万円。このうちコマース事業は同15.8%(4億93百万円)増の36億08百万円。大手量販店向けを中心にした卸販売の好調に加え(2億26百万円増)、小売もAmazon等の主要モールで売上が増加(1億48百万円増)。米国での新たな卸販売ルートの開拓や中国でのECビジネスの活発化で海外での売上も増加した(1億17百万円増)。プラットフォーム事業も同27.3%(1億28百万円)増の5億93百万円と伸長。メイン機能契約社数・アプリ契約社数共に順調に増加した。

利益面では、卸販売比率の低下と自社企画商品効果でコマース事業の売上総利益率が50.3%と5.4ポイント改善した事で連結ベースの売上総利益率も50.5%と2.9ポイント改善。人件費や支払手数料を中心にした販管費の増加を吸収して営業利益が5億50百万円と同42.0%増加した。関係会社株式の減損処理に伴う持分法投資損失(70百万円)を営業外費用に計上したものの、経常利益も同32.1%増の4億70百万円と伸びた。
尚、プラットフォーム事業は、成長加速に向けた「ネクストエンジン」の機能開発、契約社数5,000社達成に向けたサポート人員の増員及びサーバー投資の影響で売上総利益率が54.1%と11.3ポイント低下したが、契約数の増加による売上増で吸収して営業利益が同10.5%増加した。
 
 
 
 
iPhone等の新機種発表時期や年末のクリスマス需要等の影響で第3四半期の売上が他の四半期に比べて最も大きく、第2四半期と第4四半期は同水準、第1四半期が最も小さくなる傾向があるが、18/4期は「iPhoneX」の発売が第3四半期になる等の影響もあり、第1四半期と第2四半期の売上高の差が例年よりも小さくなっている。
 
 
上期末の総資産は前期末と同水準の42億47百万円。借入金の約定返済や法人税等の納付、更には本社移転で現預金が減少する一方、本社移転で有形固定資産が増加した。自己資本比率68.2%(前期末63.6%)。
 
 
利益の増加と運転資金の減少で3億29百万円の営業CFを確保し、本社移転等の投資をほぼ賄った。
 
 
2018年4月期業績予想
 
 
通期予想は前期比9.6%の増収、同5.0%の営業増益。足下順調ながら、通期予想を保守的に据え置いた。
売上高は前期比9.6%増の93億20百万円。売り場の広がりによる卸売の増加と商品の充足(前期は需要が急増した卸販売への供給を優先した)による小売の増加でコマース事業の売上が同9.4%増加し、ネクストエンジンメイン機能の契約社数の増加でプラットフォーム事業が同11.1%増加するとみている。契約数については、17/4期実績(前期末契約社数比18.6%増)を踏まえ、18/4期の伸び率を保守的に16.0%増と想定。一方、専用アプリ(カスタマイズ対応)等の上振れ要因は織り込まれていない。

営業利益は同5.0%増の11億61百万円。サポート人員の増員とインフラ投資の積極化でプラットフォーム事業の利益が前期並みにとどまるものの、コマース事業は支払手数料の増加や物流費の増加等を吸収して同6.2%の増益。為替差損を見込んでいないため、経常利益は11億57百万円と同10.4%増加し、本社移転に伴う特別損失を吸収して最終利益は同8.5%増の7億55百万円が見込まれる。

配当は1株当たり50銭増配の期末配当5円を予定している。当面は配当性向10%を目処に配当を実施していく考えだが、将来的には20%~30%の安定配当を目指している。
 
 
 
 
成長戦略  -コマース事業とプラットフォーム事業の相乗効果で“クリエイティブ魂に火をつける”-
 
相乗効果によるコマース事業とプラットフォーム事業の国内外での拡大に加え、コマース事業で培った製造・流通のノウハウとシステム、プラットフォーム事業が有する顧客資産と「ネクストエンジン」を通して得られるビッグデータ、更には研究開発を進めているIoTガジェット等のIoT・AI関連の技術を融合した新たなソリューションの提供により成長力を高めていく考え。
 
(1)事業別の取り組み
コマース事業
コマース事業の成長戦略のポイントは、商品起点のブランディング、IT強化、新たな販売チャネルの開拓、の3点。また、売上拡大よりも利益重視で臨むと共に、コマース事業のノウハウをプラットフォーム事業に注入していく。
 
商品起点のブランディング
携帯アクセサリーの流通からスタートし、ロングテールの品揃えにより卸販売・小売を拡大させた同社だが、その後、ファブレスメーカとして製造機能を備える事で売上拡大と共に収益性を高めてきた。しかし、スマートフォンアクセサリ市場の競争は激しく、ネット通販自体、商品があふれ、商品を探すのが難しいほど。このため、しっかりした商品のつくり込みはもちろんだが、何よりもブランディングが重要になってくる。こうした観点から同社が重視しているのが、「商品起点のブランディング(ユニークな商品の強化)」である。実際、大ヒットしている「iFaceシリーズ」は言うまでもなく、高い人気を誇るディズニーのキャラクターを使ったBluetooth Speaker等、ユニークな自社企画商品を積極的にリリースする事でブランドの向上と粗利率の改善に成功している。
 
IT強化
IT強化(自動化の徹底と生産力向上のためのシステム開発投資)にも力を入れている。コマース事業の収益性改善は、現状では小売比率や自社企画商品比率の上昇によるところが大きいが、後述する「アパレル全自動アプリ」のようにIT強化の成果が出始めているものもある(本格的に現れてくるのは、これから)。
 
新たな販売チャネルの開拓
小売(BtoCのネット販売)については店舗が出そろった感があるため、今後はターゲットを明確にした店舗(サイト)づくりに力を入れていく。一方、卸販売については、これまでの家電量販店や雑貨店に加え、アパレルやカバン・バッグ等のファッション関係等の新たな販売チャネルの開拓を進めていく。
 
プラットフォーム事業
プラットフォーム事業では、当面の目標であるユーザー数5,000社の早期達成に向け、システム連携によるプラットフォームの付加価値向上に取り組んでいく。また、中期的には、「ネクストエンジン」上で管理する膨大な受発注や在庫等のデータを活用したAI・ビッグデータ・ソリューションによる販売支援を展開していく(「ネクストエンジン」がバックオフィスのプラットフォームだけでなく、販売のプラットフォームにもなる)。
 
プラットフォームの付加価値向上
8月にアパレル通販サイトとのデータ連携や API を介して在庫連携を自動化する「アパレル全自動アプリ」をリリースした他、10月には「ネクストエンジン」のユーザー(EC事業者)限定の融資サービスアプリ「GMO-PGトランザクションレンディング連携アプリ」の提供を開始した。

「アパレル全自動アプリ」
データ連携を済ませているアパレル通販サイトであれば、「アパレル全自動アプリ」を利用する事で出店した際の業務を自動化できる。既に「ZOZOTOWN」と連携しており、「SHOPLIST」及び「ロコンド」とはシステム連携に向けて話し合いを進めている。

2016年8月に同社のスマホアクセサリー販売部門がZOZOTOWNに出店したが、ZOZOTOWNでは指定された倉庫へ在庫を預託して販売する “委託販売”方式がとられているため、これを機に「ネクストエンジン」による“委託販売” の業務自動化の検討を開始した(同じくアパレル通販サイトに出店を決めたネクストエンジンのユーザーからも対応要望が寄せられていた)。

「GMO-PGトランザクションレンディング連携アプリ」
「GMO-PGトランザクションレンディング連携アプリ」は、GMOペイメントゲートウェイ株式会社(東証一部3769、以下、GMO-PG)が提供する決済データ等を活用したEC事業者向け融資サービス「GMO-PGトランザクションレンディング」と「ネクストエンジン」のデータを連携させる。これにより、「ネクストエンジン」とGMO-PGの決済サービスを利用しているEC事業者(以下、GMO-PG加盟店)であれば、「GMO-PGトランザクションレンディング連携アプリ」を導入する事で担保・連帯保証不要のスピード融資審査を利用できる(「ネクストエンジン」上で管理する受発注・在庫等データとGMO-PGの決済サービスで把握できる日々の売上実績等を基に融資を行う)。

同社も、かつて売上急増に伴う仕入資金や在庫資金調達等で借入が必要となる局面があり、必要書類の煩雑さ等、日常業務を行いつつ融資審査に備える事の難しさを経験していたため、IT技術による融資審査の簡略化についてGMO-PGと協議を重ねてきた。「GMO-PGトランザクションレンディング融資アプリ」は、受発注・在庫等データと日々の売上実績等をデータ連携させる事でスピード融資を実現する新たなフィンテック・サービスであり、今後、金融機関やノンバンク等との連携を模索していく。

尚、GMO-PGと同じGMOグループのGMOソリューションパートナー(株)とGMOコマース(株)に対して「ネクストエンジン」のOEM提供を行っている(GMOソリューションパートナー(株)が「ストックマネージャー」と言うサービス名で、GMOコマース(株)が「すごい!ネットショップ管理」と言うサービス名で、それぞれの顧客にサービス提供している)。
 
 
 
グローバル展開
韓国(hamee.co.kr)、中国(taobao:strapya.world.taobao.com)、米国(hamee.cm)、台湾(Yahoo!:tw.mall.yahoo.com/store/hamee_taiwan)でEC事業を展開しており、戦略商品として位置付けている「iFace」シリーズの世界出荷累計は1,000万個を超えている。中国では、現地での中国市場向け商品の開発や韓国子会社からの仕入体制の整備による商品の拡充効果で活況が続いており、11月11日の独身の日には売上を大きく伸ばし、その後も高水準の売上を維持していると言う。また、現地版のシステムも軌道化しており、日本の「ネクストエンジン」ユーザーに中国でのEC向けアプリ(受注・在庫管理)として提供する準備も進めている。また、米国では大手量販店2社の開拓に成功した。現在はテスト販売の段階で一部の商品が入り始めたばかりだが、販売は順調なようだ。

グローバル展開では、①Eコマースの現地化を進めながら必要なシステムを自社開発し、その後、②システムを現地版の「ネクストエンジン」に進化させプラットフォーム事業を開始する。中長期的には、③各国のプラットフォームをネットワーク化する事で、「ネクストエンジン」をECに不可欠なグローバルプラットフォームに育てていく考え。現在は、いずれの国も①の投資フェーズにあるが、18/4期については収益貢献が一段と高まる見込み。
 
(2)成長イメージ
先ず、自社企画商品の強化によるブランド力向上と自動化の徹底による生産性の向上でコマース事業を安定成長させる。そして、これをベースに、プラットフォーム事業を成長ドライバーとして利益成長を加速させる。プラットフォーム事業では、アプリの充実と外部システムとの連携強化、新たな顧客層の獲得、及び、中期的にはAI・ビッグデータ・ソリューションの展開がポイントになる。更に、海外におけるコマース事業の深耕、ネクストエンジンのリリース、そして各国のプラットフォームのネットワーク化に取り組む事で、コマース&プラットフォームによるグローバル展開で利益の上積みを図る考え。
 
 
 
今後の注目点
プラットフォーム事業は、いずれコマース事業に代わって成長ドライバーとしての役割を担う事になるが、コマース事業が好調な間は積極的に先行投資を続ける考え。この一環として、現在、機能開発、サポート人員の増員及びインフラ投資(サーバー投資)が続いている。機能開発は、「ネクストエンジン」のプラットフォーム化を通してトランザクションの拡大につながる。一方、サポート人員の増員及びインフラ投資は契約者数5,000社の達成へ向けたもの。毎月200件程度の無料体験の申し込みがあり、このユーザーを本契約に誘導する事がポイントになるため、15年12月から、契約締結や初期設定等をサポートするスタッフの増員に取り組んでおり、月40~50件程度だった本契約への移行件数が同50~60件に増加していると言う。インフラ投資については、前期から来期にかけての3カ年計画で実施しており、来期で一巡するが、機能追加等の投資は再来期以降も継続する。また、開発面では、導入の容易さ、初心者でも簡単に使えるインターフェイスの開発等に力を入れている。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書      更新日:2017年7月27日
<基本的な考え方>
当社グループは、「We Create the Best“e”for the Better“e”World.(より“e”世界につながるもっと“e”を創造する。)」をPhilosophy(経営理念)に掲げ、企業の継続的な発展と株主価値向上のため、コーポレート・ガバナンスに関する体制の強化と経営理念の推進を経営の最重要課題としております。また、当社では、社外取締役(2名)及び社外監査役(3名)により取締役会の監督機能を高め、経営の健全性・透明性の確保に努めております。今後も、取締役及び全従業員が法令・定款を遵守し、健全な社会規範のもとにその職務を遂行し、リスク管理、監督機能の強化を図り、経営の健全性・透明性を高めていく所存であります。
 
<実施しない主な原則とその理由>
【原則5-2】
当社の属するEC市場は、技術革新や業界の変遷が激しい分野であり、将来収益を見通すことが著しく困難なため、定量的な中長期業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないと考えており、中期経営計画における数値目標を公表しておりません。
 
<開示している主な原則>
【原則1-4】
当社では、原則としていわゆる政策保有株式を保有しないことを基本方針といたします。現状において政策保有株式を保有しておりません。

【原則1-7】
当社は、関連当事者取引について、取引を行うこと自体に対する合理性があり、取引条件の妥当性があることが担保され、グループの利益が損なわれる状況にないもの以外は、これを行わないことを基本方針としております。関連当事者との取引を開始する際には、上記内容が担保されているかを慎重に判断し、会社法並びに当社稟議規程、職務権限規程に則り、取締役会決議等の決裁を受けることとしております。また、役員に対し定期的に関連当事者間の取引の有無を確認しており、有価証券報告書で開示しております。

【原則5-1】
当社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主等との建設的な対話を重視しており、代表取締役社長及びIR担当取締役ならびにIR&コミュニケーション室を中心に様々な機会を通じて株主や投資家との対話を持つように努めております。なお、IR&コミュニケーション室は、経理部門及び総務部門と一週間に一度の定例ミーティングを実施し、有機的な連携につとめております。現在のところ、社長が出席する決算説明会を年に2回開催しているほか、随時国内外の機関投資家とのミーティングを実施しており、電話取材、年に複数回の個人投資家説明会等も実施しています。それらの結果は、適宜、取締役会に報告しています。なお、株主との対話に際してはインサイダー情報の漏洩防止を徹底しています。