ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.46

(4767:東証1部) テー・オー・ダブリュー 企業HP
江草 康二 社長兼CEO
江草 康二 社長兼CEO

【ブリッジレポート vol.46】2018年6月期第2四半期業績レポート
取材概要「営業強化と効率化を目的に、期初に同社(TOW)の関西・中部の業務を子会社T2Cに移管した。この上期は、移管効果による関西・中部の活性・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年3月13日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
社長兼CEO
江草 康二
所在地
東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年6月 16,251 1,811 1,823 1,206
2016年6月 15,230 1,678 1,682 1,083
2015年6月 13,442 1,335 1,349 818
2014年6月 12,188 1,026 1,035 638
2013年6月 12,346 850 864 428
2012年6月 13,935 973 987 508
2011年6月 10,570 378 377 131
2010年6月 12,575 671 670 357
2009年6月 14,210 1,401 1,392 876
2008年6月 14,397 1,362 1,343 729
2007年6月 13,070 1,051 1,041 551
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
株式情報(2/19現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
921円 22,468,452株 20,693百万円 15.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
27.00円 2.9% 52.30円 17.6倍 394.39円 2.3倍
※株価は02/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
テー・オー・ダブリューの2018年6月期上期決算と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
イベント・プロモーション業界で独立系No.1の東証一部上場会社。イベント及びプロモーションの企画・制作・運営や、セールスプロモーションに関するグッズ・印刷物の制作等を手掛ける。インターネットの影響力の拡大を踏まえ、長年培ってきたイベントの制作力とアイディア力にデジタルテクノロジーを加えたインタラクティブプロモーション(IP)に力を入れ、多くの実績を上げている。「世界一の“感動体験”をクリエイトし、笑顔を増やす」を経営理念とし、社名のテー・オー・ダブリューは、「Top Of The World」の頭文字に由来する。

グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(以下、T2C)、及び「スポーツ」の持つ様々な力を引き出し、「スポーツ」に関わる全ての領域で新しいビジネスの可能性を追求する(株)スポーツイズグッドの連結子会社2社。

尚、「インタラクティブ・プロモーション(IP)」とは、デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共感させるプロモーションである。
 
【事業内容】
イベントの企画から本番実施までの流れ
イベントは、主催者が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。同社は、主催者よりその目的についての説明を受け、企画の作成に入る。その後、幾度かのミーティングを繰り返す事で、企画書 → 基本計画書 → 実施計画書 → 詳細計画書へと段階的に移行し、最終的には進行台本、施工図面、タイムスケジュール表となり、各種資料に従い舞台作りやリハーサルが行われ、イベント当日を迎える。
 
同社の業務範囲
イベントの場合、同社は、上記の企画からイベント本番までを受注し、「企画」・「制作」・「運営」・「演出」を行うが、実際のイベント現場では多くの業務がある。具体的には、照明、音響、映像、舞台制作、モデル・コンパニオン・警備員の派遣、整理、撤収、清掃等種々雑多の業務があり、これらの専門業者を外注先として業務毎に発注し、イベント全体をトータルにディレクション、プロデュースする事で主催者の意図を来場者に伝える事が同社の業務である。連結子会社については、(株)ティー・ツー・クリエイティブがイベントの「制作」・「運営」を、(株)スポーツイズグッドがスポーツ体験のプランニング及びプロデュース業務を、それぞれ専業として行っている。
一方、プロモーションの場合は、「企画」、「デザイン」、「制作」が主な業務だが、印刷、プレミアム、グラフィックデザイン、事務局運営、OOH(Out of Home:交通広告や屋外広告等)、Web制作等の業務もあり、同社は、イベント同様、トータルにディレクション・プロデュースし納品する。
 
 
中期的方針
 
中期的方針日本初の「体験デザイン・プロダクション」
「体験デザイン」とは、買い方、作り方、売り方も含めたトータルなブランド体験を設計(デザイン)する事。同社は日本初の「体験デザイン・プロダクション」を目指すと共に、2020年案件の取込みと更に踏み込んだアライアンス戦略を推進していく。また、規模拡大(=高い収益力維持×戦力増)も図る。
 
「体験デザイン・プロダクション」
強みである「リアルプロモーション(イベント)」を軸に、IPアライアンス・ユニットの活用とデータ活用&成果追及により、IPの次のフェイズを目指す。具体的には、「ネット(SNS)プロモーション」、「AR、VR、アプリ等のデジタル技術を活用した体験イベント」、及び「動画制作・プロモーション」による統合プロモーションに「データに基づくPRプロモーション」等を組み合わせる事でIP力を強化していく。
 
更に踏み込んだアライアンス戦略の推進
「リアル」、「デジタル」、「動画」、「PR」、「データ」等で強みを持つ企業と更に踏み込んだアライアンス関係を構築するべく、出資及びM&Aに積極的に取り組んでいく。「デジタル」ではCRブティック(株)ワン・トゥー・テン・デザイン及びコンテンツ制作会社(株)カヤックの2社と、「映像」では太陽企画(株)及び(株)ギークピクチュアズの映像制作会社2社と、「PR」ではPR会社(株)マテリアルと、それぞれアライアンス関係にある。「データ」では、ソーシャルメディア上でのトレンド分析が可能なブームリサーチを全社で導入した。全社員のパソコンからアクセスが可能で企画や効果検証に活用できる。
 
規模拡大
5年前から新卒を定期採用しており、若手(14年4月11人、15年4月15人、16年4月17人、17年4月20人)の増員と戦力化に取り組んでいる。17/6期末のグループ社員は16/6期末の169人(TOW:133人、T2C:36人)から188人(TOW138人、T2C50人)に増加した。18/6期以降も、高い収益力の維持を前提に戦力増を図っていく。
 
 
 
2018年6月期上期決算
 
 
前年同期比6.1%の増収、同1.7%の営業増益
売上高は前年同期比6.1%増の90億36百万円。前年同期はコンビニの大型キャンペーンで押し上げられた制作物の売上が大きく減少したものの、注力している販促が同22.4%増と増収をけん引した。業種別では、食品・飲料・嗜好品及び化粧品・トイレタリー・日用品が同30%を超える減収となったものの、主力の自動車が同25.4%増加した他、大手携帯メーカーが全国で展開した新端末のタッチ&トライイベントの寄与で情報・通信が同53.3%増と伸長。この他、2020年に向けた大型イベント案件等、5,000万円超から数億円の大型案件を多数受注。連結子会社(株)ティー・ツー・クリエイティブも大手自動車メーカーの大型試乗会を複数案件受注した。

利益面では、大型案件にいくつかの低収益案件があった事等で売上総利益率が低下したものの、増収効果で4月入社の新卒社員の人件費を中心にした販管費の増加を吸収した。
 
 
 
 
 
強みである「リアルプロモーション(イベント)」を軸として「ネット(SNS)プロモーション」、「AR・VR・アプリ等のデジタル技術を活用した体験イベント」、「動画制作・プロモーション」、「データに基づくPRプロモーション」等の新たな領域を組み合わせた提案営業が成果をあげ、大手携帯メーカーの全国イベントや公営総合レジャーのネットとリアルを融合した統合プロモーション、更には2020年案件等、5,000万円超から数億円の大型案件を多数受注した。
 
 
 
 
上期末の総資産は前期末と比べて19億36百万円増の137億44百万円。自己資本比率64.5%(前期末68.2%)。
 
 
 
2018年6月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、前期比2.6%の増収、同2.2%の営業増益予想
リアルとデジタルによる体験型プロモーションの受注拡大を見込んでおり、2020年案件の貢献も始まる見込み。当期純利益が減少するのは、TOWよりも法定実効税率の高いT2Cの連結に占める利益比率が高まり、連結ベースの税負担率が上昇するため。T2C(資本金1億円)は外形標準課税の適用対象外の法人である事等の理由から、TOWに比べ法定実効税率が高い。
 
 
上期末時点の受注残相当額(※)は41億37百万円。この受注残高相当額に上期売上高69億28百万円を加えると110億65百万円となり、通期の予想売上高との差額は17億58百万円(A)。これに対して、企画・提案中の案件及び提案案件のうち受注確度の高い案件(50%以上の確度)は20億38百万円(B)。BはAの1.16倍。一方、前期実績ベースでは、上期売上高と受注残相当額の合計額103億53百万円と通期売上高実績(122億51百万円)との差額18億98百万円(A)。一方、前上期末時点での、企画・提案中の案件及び提案案件のうち受注確度の高い案件(50%以上の確度)は23億86百万円だった。
前期実績ベースでBがAの1.26倍だったのに対して、今期は1.16倍にとどまる。下期は企画・提案中の案件及び提案案件のうち受注確度の高い案件(50%以上の確度)の獲得ペースを上げていく必要がある。

(※)受注残相当額
①イベントの規模・金額・実施時期等が決定している受注決定案件、②受注決定だが金額・実施時期等に不確定要素のある案件、及び③同社がほぼ受注する見込みの案件(80%以上の確度)の合計額。同社の場合、この金額は受注残高と言い換える事ができる。
 
 
個別と同様にA、Bを比較すると(外部売上ベース)、前期実績ベースの0.94に対して今期は0.65。個別同様に企画・提案中の案件及び提案案件のうち受注確度の高い案件(50%以上の確度)の獲得ペースを上げていく必要がある。
 
(2)配当
同社は、利益配分の指標として、連結ベースの配当性向及び株価配当利回りの二つを用いている。具体的には、連結ベースの配当性向40%で算出された1株当たりの予想配当金と、同決算発表日の前日(2017年8月7日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された1株当たりの配当金のいずれか高い方を最低配当金として配当金を決定している(内部留保を確保するため、連結配当性向換算で50%を上限としている)。

上記計算に基づき算出された18/6期の1株当たり配当金は26.15円。これを踏まえて、通期の予想配当金を前期に比べて1円増配の27円としており、期末配当は14円を予定している。
 
 
今後の注目点
営業強化と効率化を目的に、期初に同社(TOW)の関西・中部の業務を子会社T2Cに移管した。この上期は、移管効果による関西・中部の活性化もあり、T2Cは外部売上・利益を順調に伸ばした。一方、TOWは大型案件の受注で業務移管に伴う売上減少分をカバーしたが、大型案件の一部に利益率の引き案件があった事と人材投資に伴う負担増で減益となった。ただ、提案案件は、件数ベースで前年同期比6%、金額ベースで同35%、それぞれ増加した。強みである「リアルプロモーション(イベント)」を軸に、「ネット(SNS)プロモーション」、「AR/VR/アプリ等のデジタル技術を活用した体験イベント」、「動画制作・プロモーション」、「データに基づくPRプロモーション」等を組み合わせて、ブランド体験をトータル(買い方、作り方、売り方)に設計(デザイン)する「体験デザイン」が評価されているようだ。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書        更新日:2017年10月11日
基本的な考え方
当社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えております。株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現してまいります。
 
1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。
 
<実施しない主な原則とその理由>
2016年10月7日の開示において未実施として開示していた補充原則3-1-5【取締役会が経営陣幹部の選任と取締役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明】は以下のとおり対応いたしました。

補充原則3-1-5【取締役会が経営陣幹部の選任と取締役候補の指名を行う際の、個々の選任・指名についての説明】
各取締役候補者の指名の理由については、当該取締役の選任議案に係る株主総会参考書類に記載しております。
 
<開示している主な原則>
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、当社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けます。
このような考えに基づき、当社は以下のような施策を実施します。
 
1.株主との対話に関する担当取締役の指定
当社は、経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括します。
2.社内部署の有機的な連携のための方策
当社は、IR担当部署でもある総務チームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っております。
3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
当社は、株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、当社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめます。また、当社は、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめます。
4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
当社は、株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備します。
5.インサイダー情報の管理に関する方策
当社は、株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とします。当該方針に基づき、当社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめます。