ブリッジレポート
(2428:東証1部) ウェルネット 企業HP
宮澤 一洋 社長
宮澤 一洋 社長

【ブリッジレポート vol.10】2018年6月期第2四半期業績レポート
取材概要「既存事業はいくつかの案件で足を引っ張られたものの、それを除くと非対面決済市場の拡大を受けほぼ同じペースで拡大しているということであり・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年3月27日掲載
企業基本情報
企業名
ウェルネット株式会社
社長
宮澤 一洋
所在地
東京都千代田区内幸町1-1-7
事業内容
コンビニ等での決済代行大手。プリペイド型電子マネーや電子チケット/電子認証サービスも併営。バスIT化ソリューションをリリース。
決算期
6月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年6月 10,260 1,099 1,239 869
2016年6月 10,529 2,054 2,007 1,350
2015年6月 8,888 1,637 1,520 938
2014年6月 7,600 1,473 1,488 913
2013年6月 6,866 1,393 1,420 759
2012年6月 6,254 1,198 1,278 728
株式情報(3/2現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,148円 18,,930,444株 21,732百万円 10.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
50.00円 4.4% -円 -倍 423.89円 2.7倍
※株価は3/2終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。
ROEは前期実績。BPS は第2四半期末実績。18年6月期の業績予想は不確定な要素が多いため現時点では予想EPSは未公表。
 
ウェルネット株式会社の2018年6月期第2四半期決算概要等についてご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
消費者が商品やサービスを購入した際の電子決済スキームを販売事業者に提供。
「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、商品やサービスを購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする「快適な直売プラットフォーム」を提供することを基本コンセプトに事業を展開。
主力サービスであるマルチペイメントサービスは、国内大手航空会社、大手高速バス会社、大手通販会社等豊富な導入実績を誇る。創業以来、常にチャレンジを続ける企業DNAも大きな特徴。
 
【沿革】
北海道のガス、燃料販売会社の(株)一高たかはしの、新規事業開発をミッションとした子会社として誕生。
当時すでにコンビニエンスストアの店頭での公共料金の支払い取り扱いは始まっていたが、これが通信販売に拡大するとの動きを捉えて事業化に着手した。
請求書の印刷・発送から収納情報の処理まで一貫運用する「請求書発行代行サービス」、コンビニエンスストアの店頭で24時間365日支払が可能な「コンビニ収納代行サービス」を開発。販売事業者にとって多額の開発コストが不要なパッケージソフトを無償で配布したことにより、同社システムは急速に普及した。
続いて、紙の請求書を使用せずリアルタイムで電子請求・電子決済を同社1社との接続で実現できる、現在の中心システムを開発。利便性及び様々な収納機関と接続するための開発や契約が不要な点が評価され、航空会社、バス会社等による導入が進み、業績は順調に拡大。2004年JASDAQに上場した。
その後も、amazon、ヤフーショッピング、ヤフオク!、LCC(格安航空会社)、JR西日本、九州といった大手企業への「マルチペイメントサービス」提供が進んでいる他、数多くの実績を誇る電子チケットサービスの提供等にも注力している。
 
 
【市場環境】
経済産業省の「平成28年度我が国情報経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2017年4月24日発表)によれば、日本の消費者向け電子商取引市場(BtoC)の市場規模は2016年で15.1兆円と前年に比べ9.9%の増加となった。2010年から2016年までのCAGR(年平均成長率)は11.7%となっている。
 
 
また、EC化率(商取引のうちどの程度がインターネットを通じて行われているか)は物販系分野5.43%とまだまだ小さいものの、着実に上昇している。
 
 
【事業内容】
「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、サービスや商品を購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、同社の直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする快適な「直売プラットフォーム」を提供している。

報告セグメントは「決済・認証事業」の単一セグメント。以下では同社が手掛けている主要サービスを紹介する。
 
≪決済サービス≫
①マルチペイメントサービス
紙の請求書を使わず、リアルタイムの電子請求・電子決済を同社1社との接続で行うことができる。
事業者は、コンビニ、銀行、郵便局、クレジットカードなど様々な収納機関と接続するための開発や契約を個別に行う必要が無い。
 
(特長)
事業者は、購入者・利用者の決済物件確定後にウェルネットにデータを提供するだけ。購入者・利用者への支払方法の案内はウェルネットが担当する。
請求のペーパーレス化、収納情報のリアルタイム取得が可能なため、間際でも利用可能。
購入内容(金額)に変更があった場合でも、最新の金額による決済が可能。
情報授受用モジュールはウェルネットが無償提供するため、システム接続が容易。
最新の決済システムの開発、対応はウェルネットが行うので、都度のシステム開発が不要。
2000年7月から稼動開始し、国内主要航空会社の全て、主要高速バス会社、その他大手通信販売などが利用。
運用センターは24時間有人監視体制を敷いており、365日・24時間の決済サービスを提供。
ペーパーレス決済では国内最大級のインフラ網を構築している。
 
②ペーパーレス決済サービス
紙の請求書とペーパーレスの電子請求・電子決済(リアルタイム)の両方を1つのサービスで実現できる。
 
(特長)
お客様に送っている払込票(請求書)データを、ウェルネットフォーマットで管理画面にアップロードするのみ。ウェルネットが事業者に代わり払込票(請求書)を郵送する。
払込票には電子決済の申込サイトへの案内があり、お客様自身がPC・スマホでウェルネット提供の手続サイトで簡単手続。
次回からペーパーレス決済の対象のお客様として郵送の必要がなくなる。
 
③支払秘書
スマートフォンアプリ「支払秘書」を活用することで、コンビニや銀行ATMへ行く必要がなく、その場で各種支払いを完了させることができるサーバー型電子マネーサービス。
 
 
(特長)
お客様に送っている払込票のバーコードをカメラで読み取るだけで、即時に支払いが可能。
クレジットカードを持っていない層に即時性のある決済方法を提供。
提携先の銀行口座から随時引落も可能。
プリペイド式の電子マネーであることから、金銭の管理が容易。
毎月の公共料金などの支払を登録しておくと、支払期限までにアプリが通知するため、支払い忘れを防止が期待できる。
 
≪送金サービス≫
①ネットDE受取(送金)サービス
キャンセルに伴う返金など、販売事業者から消費者への振込を、インターネットを利用して、より効率的に行うサービス。
消費者は販売事業者から受け取ったIDを利用して専用サイトにアクセスし、振込みを受けるための口座情報を入力する。
 
(特長)
消費者が入力した情報をもとに口座確認が行われ、自動的に振込処理が行われるため、販売事業者自らが口座確認を行う必要が無く、事務負担が軽減される。
返金処理の当日対応が可能なため、販売事業者にとっては顧客満足度向上につながる。
販売事業者は返金システムの開発が不要。
口座情報を保持する必要もないため、個人情報保護に関するリスクを低減できる。
 
②コンビニ現金受取(送金)サービス
「ネットDE受取サービス」同様、販売事業者から消費者へキャンセルに伴う返金などを行うサービスだが、「ネットDE受取サービス」と異なり、銀行口座が不要。
ローソンの店頭KIOSK端末「Loppi」に消費者が販売事業者から交付された現金受取番号とIDを入力し、発行された引換券を店頭レジへ持参すると現金を受け取ることができる。
 
(特長)
販売事業者は消費者の口座情報を持つリスクを回避できる。
郵便振替や銀行振込の手数料が発生しないことから、コスト削減が可能。
口座情報の誤りによる差し戻しなども発生せず、スムーズに返金を受け取ることができる。
 
≪Billingサービス≫
①コンビニ収納代行サービス
同社のバーコード付払込取扱票付請求書を発行するシステムと同社が契約するコンビニなどの請求代金回収経路を通じて、売掛金の回収業務を代行するサービス。
コンビニ・郵便局で支払可能なバーコード付払込取扱票付請求書は、同社が開発した払込取扱票発行・収納情報受信ソフト「コンペイ君」を使用することで、販売事業者自身が自ら簡単に印刷することができ、かつ入金情報受信及び入金消込も「コンペイ君」で行うことができる。
収納情報は、支払いがあった翌営業日(郵便局からの振込は2営業日後)に配信され、入金消込処理が自動化される。
現在、通信販売をはじめ燃料代金・各種会費等の主として後払い代金収納に利用されている。
 
(特長)
全国のコンビニエンスストア14チェーン、約58,000店舗(2017年6月時点)で24時間365日支払可能なので、郵便局・銀行の営業時間を気にする必要が無い。
パッケージソフトウェア「コンペイ君」を無償で提供するため、販売事業者はわずかな期間で運用開始可能。
自社で払込取扱票を印字でき、収納データもバーコードの数字だけなので顧客情報漏洩の心配が無い。
 
②請求書発行代行サービス
同社がバーコード付払込取扱票付請求書(銀行振込の場合は払込依頼書付請求書)の印刷・封入・封緘・郵送までを代行し、かつ入金確認及び入金消込まで、トータルに請求書発行・収納業務をサポートする。
特に物流を伴わないサービス等(ガス料金、各種会費)の代金収納に利用されている。
また、情報授受と収納情報授受を自動的に行うサービス(請求書発行・収納代行パッケージ「ところくん」)も提供している。
 
≪バスIT化ソリューション「バスもり!®」≫
同社は2001年3月、都市間高速バスの予約済みチケットを24時間コンビニで購入できるサービスを日本で初めて実用化し、以降100社を超えるバス事業者と契約、数百路線のバスチケット発券を行っている。また、電子チケット領域においては航空券用ケータイチケットを皮切りに、たとえば札幌ドームなどでチケット発券・認証の実績とノウハウを積み重ねてきた。
これらノウハウの集大成ともいえるのが「バスIT化プロジェクト」である。

バス事業者・利用者双方の利便性を飛躍的に高めることができる革新的なサービスで、バス利用者は、安心・確実に目的地までのバス便を検索・予約できる一方、バス事業者も、効率的な在庫管理をリアルタイムで行い、販売機会の増大と確実な決済を行う事が出来る。

バスユーザー向け「地図上でバス路線を表示、チケットを買うことができるスマートフォンアプリ(商品名:バスもり!ナビ)を大幅に進化させたスマートフォンアプリ(商品名:バスもり!)と、タブレット端末を利用したバス会社向けの「高速バス予約情報のリアルタイム管理サービス(商品名:バスもり!MONTA)」の2つのシステムで構成されている。

2017年12月現在、「バスもり!」アプリのダウンロード数は約8万、スマホチケット路線は186路線に上る。
新機能「スマホ定期」をリリースしたほか、「電子もぎり」、「電子回数券」の提供を開始するなど、バス会社およびユーザー双方にメリットの大きい「バスIT化プロジェクト」の推進に注力している。
 
【バスユーザー向け「都市間高速バスを便利にする高速バス検索・予約・購入・乗車スマートフォンアプリ(商品名:バスもり!)】
高速乗車券において従来は各バス会社が運営するWebサイト上にて予約購入、または電話予約での申込みが一般的だったが、サービスを利用することで、乗車したいルートの高速バス乗車券を簡単な操作だけで、乗車直前まで予約・購入(一部路線では座席指定可能)・変更・払戻ができるようになった。
チケットもコンビニ発券に加え、スマホ画面に表示される電子チケットが加わり、24時間いつでもどこでも手元のスマホでチケット購入できるため、ユーザーの利便性は飛躍的に向上した。
最新の高速バスに関するニュースや支払期限が近い予約はプッシュ通知を受け取ることができるほか、バス乗り場までの経路案内が可能である。
電子チケットの認証方法については、既に提供を開始している車載用タブレット端末「バスもり!MONTA」に加え、「認証端末」がない場合には「電子もぎり」で認証できる機能を「バスもり!」に加えることで(2017年12月予定)ほとんどのバス路線に対応できるようになるため「電子チケット」の対象路線も拡大する。
 
 
【バス会社向けの「高速バス予約情報のリアルタイム管理サービス:バスもり!MONTA】
モバイルデータ通信によるリアルタイム在庫管理を実現した「バスもり!MONTA」は以下のような機能が特長で、乗務員の負荷を軽減し、販売機会の極大化をもたらす。
 
① 電子座席表:現在運行しているバスの予約状況、空席状況が把握できる。
② 乗車券販売:決済が済んでないユーザーが乗車した場合 乗車区間の料金を表示できる。
③ 乗車券確認・認証:ユーザーの乗車券を認証し オンライン処理を行い、予約情報を更新する。
 
 
「バスもり!®」導入によりユーザー、バス会社はそれぞれ以下のようなメリットを受けることができる。
 
2016年10月2日から東京FMをキーステーションとするJFN38局でバスもり!のプロモーションを目的としたFM番組「BUSTALGIA(バスタルジア)」の放送を開始した。この番組は観光地というよりは、余り知られていない場所にスポットを当てて、バスで行く街とポエムで紹介、聴取者に「バスに乗ってその場所に行ってみたい」と思ってもらうことを目指す。
1年が経過した2017年10月からは、番組名を「バス旅スト」とし、更に強力なプロモーション番組を放送している。
 
≪「SUPER SUB」サービス≫
チケット発行・決済・認証をワンストップで提供するオンラインチケットソリューション。
個別開発やサーバーのつなぎ込みといった複雑なステップが不要なため、企業のみならず一般個人も主催者登録が可能。
航空会社、バス会社といった既存の大口事業者に加え、低コストで効率的に利用事業者数を増大させることを狙い、2012年6月に提供を開始した。
 
(特長)
イベント等の主催者は、開催期間、会場、チケット単価など基本的情報を同社が提供する登録画面に入力するだけで、簡単にイベント受付、チケット受付・販売ページを作成することができる。(現在はPCサイトのみ)
同画面のリンクを自分のイベントページに設置するだけでチケット販売を開始できる。
参加申込者はPC、スマートフォン、携帯電話からチケットを購入できる。
チケット種類は電子チケット、コンビニで発券する紙チケット双方が利用でき、発券されたチケットにはQRコードが付き、専用のアプリで入場認証を行う。確実に認証でき、スムーズなイベント運営をサポートする。紙チケットだけを利用することもでき、その場合認証アプリは不要。
マルチペイメントサービス同様、豊富な決済手段を提供している。
申込から導入、チケット発売までおおよそ3週間程度と短期間で稼動させることができる。
初期費用、月額基本料は無料。コストはチケット発行手数料の5%のみで、運用コストは格安。
常設施設の入場券のみならず、期間限定イベント、ライブ、講演会・セミナー、地域イベント、有料パーティー、同窓会など、10〜5,000人規模のイベントに適している。
 
 
同社のROEは一般的に日本企業が目標とすべきと言われている8%を上回っている。レバレッジが2倍を上回っており(自己資本比率は前期38.7%)、これが要因と見られるかもしれないが、同社の場合、収納代行預り金が現預金と流動負債に両建で計上されているためであり、これを考慮すると財務は極めて安定しており、高ROEの主要因はその高い売上高純利益率である。
 
【特徴と強み】
①豊富な導入実績&強固な顧客基盤
同社のマルチペイメントサービスは、導入時の開発費および収納機関との個別契約が不要というハードルの低さが評価され、下記の様に業界を代表するリーディングカンパニーに導入されている。
特にリアルタイム性が求められる航空会社、バス会社からの評価の高さは同社にとって大きな財産となっている。
この強固な顧客基盤は同社を支える重要な「見えざる資産」と評価できるだろう。
 
 
②常にチャレンジを続ける企業DNA
E-Billingサービス、Billingサービス、各種送金サービス、ケータイチケットサービスなど、同社の開発した様々なシステムはほぼ全てが日本で初めて実用化されたものとなっており、加えて同システムの優秀さは、上記実績が証明している。
同社は大企業の系列であるわけではなく、ヒト・モノ・カネといった経営資源が決して豊富な状態でスタートした訳ではない。
にもかかわらず電子決済の分野で「デファクトスタンダード」とも言える地位を確立することができた大きな要因の一つには、同社が創業時から生まれ持つ、「常にチャレンジを続ける」という企業DNAがあるのだろう。

宮澤社長は、ビジネスの意味、醍醐味を「自分の可能性を信じ続け、自分があったら便利だなと思う仕組みを自らリスクをとって開発し、すぐに提供できる具体的な形として提供する事」と考えている。
また、インタビューの中でも、「自社でなければできないものを世の中に送り出す事こそが同社の存在意義であり、それが無ければ企業として存在する意味が無い」と述べていた。

社員数は100名程度と小さな所帯ではあるが、「ウェルネットアレテー」に代表される理念、心得をしっかりと掲げていることも企業DNA継承のカギとなっていると思われる。
 
 
2018年6月期第2四半期決算概要および2018年6月期の業績見通し
 
 
減収・減益
売上高は前年同期比7.3%減収の49億11百万円。コンビニチェーンの統合に伴う売上の収斂、大口取引先の取引条件見直しに加え、OEMが縮小したため減収となったが、非対面決済市場は引き続き拡大しており、その他の既存事業者向け売上は堅調に伸張している。
営業利益は同56.3%減少の3億49百万円。大手事業者への価格対応などで粗利率は低下し粗利額も減少した一方、人材増強、アプリの新機能追加、コンシューマ向けプロモーションなど積極的な政策投資に加え、金融機関が顧客となる支払秘書の拡大に向けてより厳格な不正対策の実施が必要であるため生体認証への対応をスタートさせるなど研究開発投資も拡大した。
 
 
現預金、有価証券の減少で、流動資産は前期末に比べ42億円の減少。現預金には流動負債に計上されている回収代行業務に係る収納代行預り金(翌月には事業者へ送金される。)79億円が含まれている。資産合計は同40億円減少の184億51百万円となった。
一方負債面では、収納代行預り金の減少などで流動負債が同33億円減少。負債合計は同33億円減少の103億37百万円となった。
利益剰余金の減少で純資産は同6億円減少し81億13百万円となった。
この結果、自己資本比率は前期末の38.7%から4.8%上昇し43.5%となった。
(ただし、上記収納代行預り金を資産、負債から控除して計算すると、76.4%となる。)
 
 
税引前当期純利益の減少などで営業CFはマイナスに転じた。有価証券の取得による支出増などで投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFもマイナスに転じた。配当支払い額の増加、新株予約権の発行による収入の減少等で財務CFのマイナス幅は拡大した。
キャッシュポジションは低下した。
 
(3)2018年6月期業績見通しについて
17年6月期決算発表(2017年8月7日)時点では、「バスもり!」や「支払秘書」の認知度向上、アプリダウンロード数増大のために積極的なプロモーション活動を展開する中で、業績に影響を与える未確定な要素が多く18年6月期の業績予想を数値で示すことが困難であるため公表していない。
今後、合理的に予測可能となった時点で公表する予定。
配当は前期と同じく50円/株の予定。
 
(4)トピックス
◎バスIT化プロジェクトの進捗
*アプリのダウンロードは80,000DL、対応路線数は186路線となった。

*24時間「いつでも」、「どこでも」、「スマートに」スマホ上の簡単な操作だけで定期券を購入できる日本初の「スマホ定期」導入実績は3社となった。
また、2018年4月1日からはバスに加えて、JR北海道の石北線・釧網線の一部エリアで「スマホ定期」の提供を開始することとなった。

*2017年12月、学割利用時の学生の在籍確認に、全国の大学等と国立情報学研究所(NII)が連携して構築する認証連携基盤「学術認証フェデレーション(学認)」を活用した高速バスチケットの予約・購入を開始した。
これにより、「バスもり!」上で学生証明を行うことが可能となり、乗車時に学生証を確認する必要なしに、学生への割引販売が可能となる。

従来の確認は、購入または乗車時に、学生証を提示し在籍証明を行う対面確認であり、必ず人手を介さなければ適用が行えないというネックがあった。
これに対し、在籍確認に「学術認証フェデレーション」を活用すれば、スマートフォン上で学生証明を行うことができ、また「バスもり!」上で在籍確認行うため学生はスマホを使っていつでも、どこでも、高速バスチケットの予約・購入を行うことができる。
実用化にあたり、「学認割」を提供するバス会社は11社、「バスもり!」と連携する教育機関は7大学、3高等専門学校の計10校での開始を予定している。

*2017年10月より、バスの需要喚起およびバスのイメージ向上や、「バスもり!」のプロモーションを目的としたラジオ番組「バス旅(タビ)スト」がスタートした。TOKYO FMをはじめとするジャパンエフエムネットワーク系列全国38局ネットで、毎週日曜日12時00分〜12時25分に放送される。

*2018年1月より日本で初めて、「バスもり!」で非予約制路線の乗車券販売および電子もぎりの提供を開始した。利用者はいつでもどこでも手元のスマホでバスチケット購入が可能。キャッシュレスなのでバス乗車・降車時の現金収受が不要となる。
また、一回購入したバス路線を登録しておくだけで、次からはごく簡単な操作だけで購入できる機能「MY即買い」も導入した。
第一弾は、北海道中央バス株式会社の新千歳空港線だが、今後全国の空港バス、都市間高速バスへの展開を予定している。
加えて、急増する訪日外国人に対応する乗務員負荷の軽減を目的とした外国語対応も行い、英語・中国語・韓国語バージョンも導入している。

◎支払秘書の進捗
2017年8月より関西電力株式会社の電気料金の支払いを「振込用紙のバーコード読取り・決済機能」で行うことができるようになった。支払秘書の実用化第一号となる。

電力、LPG、都市ガス、水道などの公共料金の請求は、トータルの請求件数約2億3,000万件(年間)のうち約15%にあたる3,500万件が払込票の郵送によって行われている。
事業者にとってはこの郵送コストの削減は大きなメリットをもたらす。
同社では他の電力会社のほか、上記の事業者へのアプローチに力を入れている。

また、支払秘書への電子マネーチャージを行う提携金融機関についても、既に提携済の三井住友銀行、広島銀行に加え、20行を目標に複数の銀行との交渉を進めている。
 
 
宮澤社長に聞く
 
宮澤社長に事業の進捗やその他の取り組みなどを伺った。

(バスIT化プロジェクト)
九州、北海道での展開が遅れていたが両地域とも西鉄バス、北海道中央バスという地域の核となるバス会社が「バスもり!」を導入した。これで日本全地域での足掛かりを築くことができ、「種まき」は終わったので、今後は利用者をいかにして増やすかがカギとなる。

当社の調査によると「スマホアプリで高速バスチケットを購入でき、乗車券がスマホ画面上に表示出来たら便利だと思いますか?」という質問には、男女全ての年齢層で約9割が「はい」と答えている。
ただ、「『バスもり!』を知っていますか?」との問いには、男女全ての年齢層でほぼ9割以上が「いいえ」との回答だった。
認知度をいかにして上げるかが課題であり、FM番組「バス旅スト」によるプロモーションやインセンティブの提供に取り組んでいく。
また、個人旅行が増加しているインバウンド対応も重要な施策であり、17年12月には英語・中国語・韓国語バージョンも導入した。
従来の紙のチケットからスマホへの移行にはユーザーの心理的な抵抗もあり、容易ではないことは確かだが、どこかで急激なブレークスルーがやってくるはずだ。

(支払秘書)
電力・ガス・LPGなど郵送コストの削減ニーズのある企業へは当社が直接アプローチを行っているが、感触は大変良好だ。
支払秘書もバスもり!同様、利用者をいかに増やすか、つまりアプリのダウンロード数増大が課題であるため様々な取り組みを進めていく。
電力会社によるユーザーへのクーポン発行(クーポン利用にはアプリのダウンロードが必要)に加え、4月からは当社がプロモーションを実施する。
また、テストマーケティングとして大学と協賛し、ユーザー層の大きなターゲットである大学生向けのイベントを実施する。
こちらも少し時間はかかるかもしれないが、企業、金融機関、個人ユーザーへのアプローチを積極的に進めていく。

(コーポレートガバナンスについて)
当社は新中期経営5か年計画で重点取り組みテーマの一つとして「筋肉質の企業体質維持・向上」を掲げている。
具体的には、スリムで実効性のある経営体制を目指し、経営と執行の分離を進めているほか、経営の透明性、客観性を担保するために監査等委員会設置会社に移行すると同時に、5名の取締役の過半数3名を社外取締役(監査等委員)とした。役員の任期も1年とし、緊張感を持たせている。
こうした透明性に対しては外国人投資家から高い評価を頂いている。

また、目標達成に向けた体制整備に向け、執行役員を3名増加させ、支払秘書およびバスもり!の拡大に向けて営業スタッフを増強している。加えて外注費を抑制・削減し内製化を進めるため正社員の採用も進めている。奨学金制度「道新みらい君・ウェルネット奨学金」の活用や高等専門学校(高専)との関係構築により優秀な人材の確保が可能となっている。
 
 
今後の注目点
既存事業はいくつかの案件で足を引っ張られたものの、それを除くと非対面決済市場の拡大を受けほぼ同じペースで拡大しているということであり、その底堅さは同社の大きな強みとなっている。
ただ、同社の今後の成長を牽引する「バスもり!」、「支払秘書」はともに着実な進捗をみせているものの、収益貢献の時期は残念ながらまだ見通すことが出来ない。中長期の姿勢で両サービスの本格的な離陸時期を注目したい。
 
 
 
 
<参考1:新中期経営5か年計画の概要>
 
【概要】
非対面決済およびその周辺を事業ドメインとし、その中で確立したノウハウと実績により業績を伸ばしてきたが、非対面決済市場は今後も一定の伸長を見込んでおり、引き続き現状のビジネススキームの維持発展を目指す。
この新中期経営5か年計画期間中においては、フィンテックの急速な進展、実用化が見込まれ、またIoTの利活用が始まるなど、同社を取り巻く事業環境は今後も大きな変化が見込まれる。同社ではこの変化を新たなビジネスチャンスに変えるための投資を積極的に行い、最終年度2021年6月期経常利益50億円の達成を目指している。
 
【各種プロジェクト】
A.フィンテックサービス「支払秘書」
現在の同社の収益の柱は「リアルタイムの現金決済」だが、今後は電子マネー・キャッシュレス決済がさらに伸長する可能性が高いとみて、2011年に構想し、その後要件定義・開発を進めてきた電子マネーサービス「支払秘書」が2017年8月リリースされた。
 
スマートフォンアプリの「支払秘書」はサーバー管理型電子マネーで以下の機能を持っている。
① 提携銀行からリアルタイムに電子マネーをチャージできる。他の収納機関からもチャージ可能。
② 督促自動化機能で、事業者は郵便による督促が不要になる。
③ 「秘書」のリマインド機能により支払の「うっかり忘れ」を防止でき、回収率向上にもつながる。
 
サービスや商品を提供する事業者サイドから見ると購入と同時に即時決済されるようになるため、販売機会を逃さない。
また今までコスト的に見合わなかったデジタルコンテンツ等の多頻度少額決済にも対応できるようになるとともに、最近ニーズが高まっているワンクリック決済への対応も可能。
更に、後払い決済領域事業者は、従来の紙の請求書から電子請求に替わることにより請求書発行コストを低減する事が可能である。
 
「支払秘書」の普及については、以下のようなプロモーションを進め、アプリの普及拡大を強力に推進する。
① 既に同社決済を導入している事業者への訴求
② 提携銀行と共同で営業
③ 月間数百万回に及ぶ決済時に消費者が利用する「(同社提供の)支払い方法案内画面」に新たな決済手段として表示
④ 消費者向けの積極的なプロモーション
 
B.バスIT化プロジェクト
バスIT化プロジェクトの基幹を担う「バスもり!シリーズ」の開発・投入・プロモーションを積極的に展開する。
前期までに都市間高速バス向け認証用車載端末「バスもり!MONTA」、地図から探してそのままチケット購入できるスマホアプリ「バスもり!ナビ」をリリースしたが、2016年8月には「バスもり!ナビ」を大幅に進化させたスマートフォンアプリ「バスもり!」を投入した。

いかに多くの消費者にこのアプリを認知・ダウンロード・利用してもらえるかが収益化に向けた重要な要素となるため、「バスもり!」のプロモーションを積極的に展開する。
 
C.オープンイノベーション
「IoT」、「フィンテック」等、同社の事業領域周辺では大きな変革が起きており、同時に大きなビジネスチャンスが広がっている。
同社ではこのチャンスを取り込むための積極的な施策を行っていく。
具体的には様々な知見・技術を持つ大学・事業体・企業などとの連携を強化し、ビジネスチャンスに的確に対応する他決済周辺プラットホームビジネスの開発、提携及び、金融サービス研究開発投資を目的としたCVC「ウェルネットベンチャーキャピタル」設立準備を完了している。
 
D.収益構造可視化、業務自動化システムを構築
投資対効果を高めるため、各サービス毎の生産性、収益性によってPDCAを的確に実施する基礎情報を可視化する。会社規模の拡大によって間接部門の肥大化を招かないようにするため、業務処理のリレーショナル化を推進する。
 
E.正しい企業活動を行う「ガバナンス」
同社は会社の存在意義と社員の行動指針を以下の「ウェルネットアレテー」として定め、実効性のあるガバナンスを目指している。商材が変わっても同社の根幹をなす行動哲学として引き続き社員へ浸透させていく。
(アレテーとはギリシャ語で、「徳」、「優れた者」、「卓越したもの」を意味する。)
 
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2017年9月28日

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
同社ウェブサイトの会社概要「コーポレートガバナンス」で「コーポレートガバナンス・コード当社取組方針」として開示を行っている。
 
 
 
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