ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.31

(2157:東証1部) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.31】2018年8月期上期業績レポート
取材概要「グローバル・フランチャイザーであるCurves International Holdings, Inc.他の株式を184億円で取得した。「カーブス」は米国発の・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年5月23日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年8月 55,283 6,146 6,354 3,255
2016年8月 51,170 4,810 4,699 1,900
2015年8月 44,257 4,394 4,492 2,098
2014年8月 37,720 4,276 4,370 2,423
2013年8月 34,515 4,151 4,237 3,072
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(4/24現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
6,600円 20,329,591株 134,175百万円 18.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.00円 - 49.63円 - 1,065.46円 6.2倍
※株価は04/24終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2018年8月期上期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略を推進している。現在、カラオケ事業とフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として取り組んでいる温浴事業も基盤固めが進んでいる。
尚、「既存業種新業態」とは、既に世の中にある業種や業態において、「余暇」を切り口とした発想で、今までになかった付加価値を生み出すビジネス。
 
【企業理念 -豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献-
企業理念は、「進化させた有意なサービス・商品を常に考案し、そして全世界の人々に提供し続けることによって、豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献すること」。この企業理念の下、①安近短の身近な余暇の分野において既存業種新業態を追求する、②各国地域並びに各業種の実情に即した最適な業態、仕組みを開発する、③顧客のニーズを探求し、驚きと感動を与える質の高いサービス・商品を常に提供する、④強い志と企業家精神を持って活躍する人材を育成する、及び⑤業態間のシナジーを図り、グループ力を最大限に発揮する、の5つをビジョンとして掲げている。
 
 
【事業セグメント】
事業は、「まねきねこ」やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、温浴事業(各種温浴設備を備えた施設の運営)、及び不動産管理事業に分かれる。
17/8期の売上構成比は、それぞれ53.6%、42.9%、3.0%、0.6%。連結調整前営業利益の構成比は、それぞれ29.4%、67.0%、1.8%、1.8%。
 
 
【コシダカ・グループ】
グループは、持株会社である(株)コシダカホールディングス、及びその傘下で各事業を展開する連結子会社10社と非連結子会社3社。
 
 
【成長戦略】
72.3兆円の国内余暇市場(公益財団法人 日本生産性本部「レジャー白書2016」)は同社にとって無限とも言える広さだ。特にシニア市場は、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの間、高い成長が見込まれている。こうした中、同社は「総合余暇サービス提供企業」をコンセプトに、「アミューズメント(カラオケ)」、「スポーツ・フィットネス(カーブス)」、「観光・行楽(温浴)」、「趣味・教養」の4分野において、事業間シナジーを追求すると共に「既存業種新業態」戦略を推進する事でグループ売上高1,000億円の早期達成を目指している。
 
 
2018年8月期上期決算
 
 
前年同期比13.2%の増収、同17.1%の営業増益
売上高は前年同期比13.2%増の303億94百万円。新プロテインの投入と販売強化によるショッピング売上の増加でカーブス事業の売上が同22.5%増と伸びた他、カラオケ事業の売上も新規出店効果で同6.9%増加した。

営業利益は同17.1%増の36億87百万円。カーブス世界総本部の買収に伴う一時的な費用の発生でカーブス事業が同2.6%の増益にとどまったものの、首都圏(1都3県)店舗の好調と店舗効率の改善でカラオケ事業の利益が同45.4%増と伸長。税負担率の低下(38.5%→34.0%)で四半期純利益は23億20百万円と同28.5%増加した。
 
 
 
(2)セグメント別動向
 
既存店売上高は前年同期比99.7%。地方店舗の苦戦で計画(100%)を下回ったものの、首都圏店舗は増収。新規出店効果(11億66百万円の増収要因)で売上が増加した。引き続き首都圏の店舗ネットワーク拡充に取り組んでおり、上期の新規出店15店舗のうち9店舗を首都圏店舗が占めた。上期末の店舗数は、まねきねこ497店舗(前年同期末467店舗、前期末488店舗)、ワンカラ9店舗(同10店舗、同10店舗)の506店舗(同477店舗、同499店舗)。
利益面では、営業の軌道化と営業時間や人員配置の適正化による店舗運営の効率化で、2014年から集中出店してきた首都圏店舗の利益貢献が本格化してきた。店舗の増加で人件費や地代家賃が増加したものの、減価償却費、広告宣伝費、開店諸費用等が減少した。
 
 
海外は、韓国、シンガポール共に売上が増加。飲食が提供可能な店舗を出店した効果もあり韓国の売上が伸び、1店舗減少したシンガポールも増収となった。損益面では、売上の増加と償却負担の一巡で韓国の営業損失が53百万円から30百万円に減少。一方、シンガポールは利益がわずかに減少したものの、利益体質は定着している。
 
 
前年同期と同数の38店舗の新規出店を行った結果(1店舗閉店)、上期末の国内カーブス店舗数は前年同期末(1,760店舗)と比べて100店舗(5.7%)増の1,860店舗(前期末1,823店舗)。総会員数は前年同期末(784千人)と比べて22千人(2.8%)増の806千人(同821千人)。会員の年齢構成比は、40代8.0%、50代22.5%、60代39.9%、70代以上26.1%と、50代以上が88.5%を占めている。
10年目を迎え機器入れ替えが増加した前年同期の反動でスポット売上が2億24百万円減少したものの、新プロテインの投入により定期購入の会員契約率が30%から40%に上昇する等でショッピング売上が24億89百万円増と伸び増収をけん引した。
利益面では、第2四半期にカーブス世界総本部の買収に伴う一時的な費用3億28百万円が発生したため、セグメント利益は前年同期比2.6%の増加にとどまった。

尚、3月31日付けで、連結子会社(株)カーブスホールディングス(以下、「CVH」)が特別目的会社(「SPC」)を通して、カーブス事業のグローバル・フランチャイザーであるCurves International,Inc.(以下、「CVI」)、同社の100%親会社Curves International Holdings, Inc. (以下、「CVIH」)、同事業のフィットネスクラブの機器をフランチャイジーに販売するCurves For Women II, L.C.(以下、「CFW」)、及び「CVI」の子会社であるCurves International Japan, LLC(以下、「CVIJ」)、香港子会社、中国子会社の計6社の発行済み全株式を184億円で取得。株式取得後に、「CVI」が、「SPC」、「CVIH」、「CFW」、「CVIJ」を吸収合併した。
 
 
売上の減少(8百万円)に加え、施設リニューアル等で予算外の費用発生(15百万円)もあり、セグメント利益が減少したものの黒字基調を維持した。水道光熱費(11百万円増)、人件費(5百万円増)、部品消耗品費(12百万円増)等が増加した。
 
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
 
上期末の総資産は前期末とほぼ同水準の436億64百万円。借方では、有利子負債の削減、運転資金の増加、及び新規出店により、現預金が減少する一方、固定資産が増加。貸方では、純資産が増加する一方、有利子負債が減少した。この結果、自己資本比率は54.1%と前期末と比べて4.5ポイント改善した。
 
 
 
2018年8月期業績予想
 
 
前期比7.8%の増収、同19.0%の営業増益を見込む
通期予想に対する進捗率は、売上高51.0%、営業利益50.4%、経常利益52.8%、純利益57.5%、と順調。3事業そろって増収・増益となり、いずれも売上・利益が過去最高を更新する見込み。カラオケ事業は売上の増加と収益性の改善が続き、営業利益が前期比32.9%増と伸びる。新規出店は1都3県の駅前繁華街に45店舗(建築25店舗、居抜き20店舗)を計画している。黒字体質が定着してきた温浴事業は既存店のみのため売上は微増だが、営業利益率が当面の目標としてきた10%を超える。カーブス事業は85店舗の新規出店を計画しており、会員数100万人に向け、サービスの充実と店舗網の構築に力を入れる。
 
 
(2)カーブス世界総本部買収の影響
3月31日付けでカーブス事業のグローバル・フランチャイザー(世界本部)であるCurves International Holdings, Inc.他の株式を取得し、5月31日をみなし取得日として、第3四半期末から貸借対照表に、第4四半期から損益計算書に、それぞれ反映させる。
貸借対照表には、借方に、のれん及び商標権等の無形固定資産184億円を計上する一方、貸方に長期借入金184億円を計上する。のれんの償却期間については15年程度になりそうだ。現在、商標権の価値(評価額)を精査中であり、のれんの評価額は商標権の評価額によって変わる。このため、通期ののれん償却費も確定していないが、毎期、売上原価として計上していた支払いロイヤルティ約15億円及びマシン購入金額約4億円の合計約20億円を下回る見込み(年間12~13億円程度と試算されている)。
 
 
(3)今後の戦略
カラオケ事業では、出店継続により店舗網の一段の強化を図る。18/8期は1都3県、駅前繁華街に45店舗(建築25店舗、居抜き20店舗)の新規出店を計画している。また、業務の自動化・効率化にも取り組み、タブレット端末「まねきPad」の活用や自動精算機の導入等を進める。他チェーンとの差別化を図るべく、AI(人工知能)やIoTの導入等、開発を伴う新しいサービスの創造に取り組む。
海外では、シンガポールや韓国で収益体質の強化が進んでいる事を踏まえ、東南アジア(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン)で事業機会を模索しており、今期中にタイとマレーシアでの拠点開設を計画している。

カーブス事業では、グローバル・フランチャイザーを子会社化した事で、支払いロイヤルティ約15億円等をグループ内に取り込める上、知的財産の永続的な保持が可能になる他、国内事業における戦略的自由度も高まる。また、長期的には、グローバル展開の可能性も出てくる。通期で85店舗の新規出店計画に変更はなく、会員数100万人に向けたサービス充実と店舗網の構築に取り組んでいく。また、フィットネスの範疇で、強みであるコミュニティづくりを念頭に新業態の開発に着手する。

温浴事業では、収益力の強化に向け、引き続き施設とコンテンツ拡充に取り組む。具体的には、小学生入館無料等の各種キャンペーンを継続する他、まねきタウン等、ゆったりと滞在できる施設の構築や飲食部門の強化に取り組む。また、熱交換器の導入拡大やその他の新たな施策等、省エネルギー設備の進化に力を入れる。後継者難等による事業承継問題を抱える施設等他を対象に新規出店も検討する。
 
(4)株主還元
期末配当は1株当たり5円を予定しており、株式分割を考慮すると、実質20円。上期末配当20円と合わせて実質年40円となり、4円の増配である。増配は、上場以来、11期連続となる。
株主優待については、6月に予定している株式分割を踏まえて、下記の通り変更する。継続保有する株主が厚遇されるよう配慮もされている。
 
 
 
今後の注目点
グローバル・フランチャイザーであるCurves International Holdings, Inc.他の株式を184億円で取得した。「カーブス」は米国発の女性専用サーキットトレーニング・ジムで、「女性のための30分フィットネス」をコンセプトに最盛期には世界60ヶ国で約1万店舗を展開したが、現状、海外では苦戦しており、コシダカ・グループが、フランチャイジーとして日本国内で独自に進化をさせ、発展させた。フィットネス版のセブン-イレブン的展開であり、コシダカ・グループがカラオケ事業で培ったコミュニティづくりの強さを武器に、あくまで企業的発想で事業展開したのに対して、海外では、フランチャイジーである各店舗の個人事業的な発想から抜け出せなかったと言う。日本においても、2008年10月に日本国内での独占的事業展開権利(マスターフランチャイズ権)を有する(株)カーブスジャパンを子会社化した当時、その後、カーブス事業がカラオケ事業と並ぶ同社の屋台骨を支える事業になると想像できた投資家はいないだろう。
のれん及び商標権等の無形固定資産に対する184億円の支払いであり、全額借入金で賄うため、上期末54%強の自己資本比率が、一時的に38%程度に下がる。しかし、のれん償却費がロイヤルティの支払い額を下回る見込みで、わずかではあろうが、マシン販売に伴う利益も取り込む事ができるため損益への影響は若干のプラス。CFの面では、年間約15億円のロイヤルティの支払いがなくなり、マシン販売に伴うキャッシュも取り込む事ができる。これだけでも、12年程度で投資回収できる計算だが、カーブス事業の新たな展開を踏まえると8~9年での投資回収が可能、というのが同社の試算。海外展開については、組織的な作り直しが必要なため長期的な視点での対応になる。先ずは国内でグローバル・フランチャイザー買収のメリットを最大限有効活用していく考えだ。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書       更新日:2017年12月04日
基本的な考え方
当社グループは、株主に対する企業価値の最大化を図るために、経営の透明性と健全性を維持しつつ、変化の激しい経営環境の中における企業競争力の強化のために、迅速な意思決定と機動的な組織運営を実現することをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針とし、体制を整備し諸施策を実施しております。当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を経営の重要課題としています。この課題を実現するために、当社グループは、株主やお客様をはじめ、当社に係るすべてのステークホルダーの立場を尊重し良好な関係を構築するとともに、以下の当社グループ「経営理念」及び、それを具体化した「行動基準」を定めております。

「経営理念」
私達の使命は、進化させた有意なサービス・商品を常に考案し、そして全世界の人々に提供し続けることによって、豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献することである。
 
<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則1-2-4 株主総会における権利行使】
当社は、決算短信の英訳を実施しておりますが、業務・効率面から議決権行使の電子化や招集通知の英訳については実施しておりません。今後、株主構成比率の変化に留意し、必要に応じた環境整備を継続的に検討してまいります。

【補充原則4-1-3 取締役会の役割・責務(1)】
最高経営責任者等の後継者の計画について、取締役会として特段の監督は実施しておりませんが、取締役会等で経営方針や具体的な経営戦略についての議論を重ねつつ、総合的な観点から最高経営責任者等の後継者を選任していくことといたします。
 
<開示している主な原則>
【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社は、政策保有株式について、保有しないことを基本方針とします。

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、役員や主要株主との重要な取引(関連当事者間の取引)については、取締役会の決議事項と定めております。また、決算期ごとに、取締役及び主要株主に対して、関連当事者間の取引の有無につき確認書の提出を義務づけております。

【原則5-1 株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針】
(基本的な考え方)
 当社は、株主との建設的な対話を通じて、当社への理解を促進し、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に繋げてまいります。
(担当部門)
 当社は、株主からの対話(面談)の申込みに対しては、IR担当部門が対応することとしております。また、株主の対話(面談)の目的等を確認したうえで、必要に応じて、IR部門を担当する役員等の経営陣幹部が面談に臨むことといたします。
(個別面談以外の対話の手段)
 当社は、決算説明会等を通じて、取締役による定期的な情報発信を行ってまいります。
(インサイダー情報の漏えい防止)
 当社は、インサイダー情報の管理については、社内規程である「内部情報管理及び内部者取引防止規程」に基づき、情報管理の徹底を図り、インサイダー情報の漏えい防止に努めてまいります。