ブリッジレポート
(2593、25935:東証1部) 伊藤園 企業HP
 
 

【ブリッジレポート vol.3】2018年4月期業績レポート
取材概要「18/4期は売上が前期比4%増加したものの、製品構成による売上総利益率の低下と販管費の増加で営業利益は同1.2%増の220億円にとどまり・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年7月4日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社伊藤園
社長
本庄 大介
所在地
東京都渋谷区本町3-47-10
事業内容
茶葉製品・緑茶飲料最大手。ルートセールス方式。傘下にタリーズコーヒー、チチヤス等。優先株式発行。
決算期
4月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年4月 494,793 22,043 21,441 12,553
2017年4月 475,866 21,774 21,524 13,693
2016年4月 465,579 17,243 15,074 8,615
2015年4月 430,541 11,393 11,229 7,292
2014年4月 437,755 21,100 20,518 12,096
株式情報(4/27現在データ)
<普通株式>
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
4,370円 88,712,778株 387,674百万円 9.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(実) EPS(実) PER(実) BPS(実) PBR(実)
40.00円 0.9% 99.79円 43.8倍 1,165.80円 3.7倍
<優先株式>
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,309円 33,409,309株 77,142百万円 9.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(実) EPS(実) PER(実) BPS(実) PBR(実)
50.00円 2.2% 109.75円 21.0倍 1,170.80円 2.0倍
※株価は04/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
伊藤園の2018年4月期決算の概要と2019年4月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
緑茶飲料、コーヒー飲料、野菜飲料等の飲料(ドリンク)や茶葉(リーフ)の製造・販売を中心に、子会社を通してタリーズコーヒー等の飲食店経営及びフランチャイズ(FC)展開やサプリメントの製造・販売等も手掛ける。国内では、「お〜いお茶」等の緑茶飲料市場で33%(2017年12月時点)のトップ・シェアを有する。この他にも、ノンカフェイン茶系飲料No.1の「健康ミネラルむぎ茶」、野菜100%飲料No.1の「1日分の野菜」、及びタリーズコーヒージャパン(株)との連携によるボトル缶コーヒーNo.1の「TULLY'S COFFEE」といった人気ブランドを有し、いずれも年間販売数量が1,000万ケースを超える(「お〜いお茶」は8,000万ケース超)。
タリーズコーヒージャパン(株)やチチヤス(株)等の連結子会社31社、持分法適用関連会社3社等とグループを形成。「世界のティーカンパニー」を目指し、ニューヨークを中心に米国、オーストラリア、中国、東南アジア地域で、「」ブランドの確立と新しい緑茶市場の開拓に取り組んでいる。
 
【経営理念 「お客様第一主義」】
“すべてのお客様を大切にすることが経営の基本である”とする「お客様第一主義」を経営理念として掲げている。

お客様とは、同社とかかわる、消費者、株主、販売先、仕入先、金融機関、更には地域社会等のステークホルダー。ステークホルダー全てをお客様と位置付け、それぞれの意見や要望に真摯に向き合い、常にお客様の立場に立った対応を図る事を経営の根幹としている。
同社資料より
 
【創業以来変わらない五つの製品開発コンセプト】
製品開発のコンセプトは、「自然」、「健康」、「安全」へのこだわりと、マーケティング施策の徹底、そしておいしさの追求。主力製品の「お〜いお茶」では、前身の「缶入り煎茶」(1985年発売)から、原料と製法にこだわり、無香料・無調味の自然のままのおいしさを引き出している。

自然    :自然の素材を活かした製品
健康    :健康的な生活をサポートする製品
安全    :安全で安心して楽しめる製品
良いデザイン:美味しさをストレートに伝える
       デザイン
おいしい  :幸せを感じるおいしさ
 
【事業概要】
事業は、リーフ(茶葉)やドリンク(飲料)の製造販売を行うリーフ・ドリンク関連事業、タリーズコーヒージャパン(株)によるスペシャルティコーヒーの飲食店経営とFC展開の飲食関連事業、及びMason Distributors,Inc.(米国フロリダ州)が手掛けるサプリメントの製造・販売等のその他の事業に分かれる。
18/4期は同社の単独売上高がリーフ・ドリンク関連事業売上高の84.1%(連結売上高の77.4%)を占めた。単独売上高の構成比は、茶葉9.3%、飲料89.7%、その他1.0%。
 
 
【独自のビジネスモデル   −ESGに対応するバリューチェーン−】
調達 ⇒ 製造・物流 ⇒ 商品企画・開発 ⇒ 営業・販売、といった事業の流れが、ESGに対応している事が同社ビジネスの特徴である。「調達」では、高品質な茶葉の安定調達を目的に茶産地育成事業を手掛けており、この活動が、持続可能な農業(S)や雇用創出(S)、更には環境保全型農業(E)の実現につながっている。「製造・物流」では、茶殻リサイクルシステムによって、持続可能な資源利用(E)を実現している(製造後に排出される茶殻を、肥料・飼料、茶配合ボード、茶配合樹脂、茶入り紙製品、茶殻配合建材にリサイクル)。「商品企画・開発」では、製品の70%を無糖製品が占める等、健康配慮商品(健康に資する商品)の供給(S)で貢献している。「営業・販売」では、気候変動対応・温暖化防止(E)及び地域社会や環境と調和したサステナビリティ(S)に配慮した環境配慮型営業車の導入、お茶の入れ方セミナーによるお客様への知識(茶文化)の提供(S)や「お〜いお茶新俳句大賞」による日本の伝統文化の伝承・教育での活用(S)、更には「お茶で日本を美しく。」キャンペーンでの、文化保存(S)、環境保全・水循環・生物多様性の保全(E)、「お〜いお茶とおにぎりアクション(TABLE FOR TWOとの取り組み)」(S)等の取り組みを進めている。
 
 
【茶産地育成事業   −茶葉の安定調達と社会貢献−】
国内では就農者の高齢化と後継者不足のため就農人口が減少し、耕作放棄地が広がる一方で茶園面積の減少が進んでいる。また、茶園の3割が樹齢30年以上と高齢化していると言う。このため同社は、耕作放棄地の活用及び生産農家の後継者育成や雇用の創出等による地域への貢献と、より高品質な原料茶の安定調達を目的に茶産地育成事業を行っている。
 
 
18/4期は佐賀県(大分、長崎、宮崎、鹿児島に次ぐ5県目)で「新産地事業」を開始した。運送・倉庫業を営む企業が設立した農業法人による茶園及び荒茶工場の運営をサポートしている。
 
 
また、京都府や鹿児島県等で抹茶原料(てん茶)の契約栽培も本格展開している。独自の加工技術による良質な抹茶は、鮮度(鮮やかな緑色)と豊かな風味を特長としており、幅広い用途で使用されている。海外市場での緑茶の啓蒙活動にも一役買っており、海外向けの販売数量は3年で3倍に拡大している。
 
 
 
2018年4月期決算
 
 
前期比4.0%の増収、同1.2%の営業増益
同社の資料によると、2017年の飲料市場(数量)は、台風や長雨による8月以降の天候不順により、3兆7,700億円と前年比横ばいにとどまり、特に止渇性飲料が軟調に推移した。日本茶飲料市場は各社のリニューアルにより3%増、コーヒー飲料市場は、500ミリリットルPETボトルやボトル缶の販売が好調に推移したものの、ショート缶の落ち込みが響き1%減、野菜飲料市場はトマト飲料を中心に16%増と伸びた。
 
 
海外も含めた同社グループの連結売上高は前期比4.0%増の4,947億93百万円。このうち伊藤園(単独)の売上高は同3.1%増の3,832億12百万円。スーパー等のハンガーフック売場の確保やティーテイスター保有社員による「伊藤園 大茶会」の開催効果等による簡便市場の開拓で茶葉(リーフ)が同6.0%増加した他、「毎日1杯の青汁」等の青汁粉末をけん引役にその他が同10.5%増加。主力の飲料では、「お〜いお茶」が同2.6%増、ノンカフェイン茶系飲料No.1の「健康ミネラルむぎ茶」が同2.5%増、ボトル缶コーヒーNo.1の「TULLY'S COFFEE」が同3.7%増、野菜100%飲料No.1の「1日分の野菜」(同2.0%増)や「豆乳でまろやか 毎日1杯の青汁」等の野菜系飲料が同6.4%増、と主力商品が堅調に推移した。一方、自動販売機向けのショート缶コーヒーや機能性飲料も落ち込んだ。
一方、子会社は、米国事業の好調(前期比15.3%の増収:円ベース)等で海外が403億62百万円と同15.8%の増収、タリーズコーヒー(同7.7%増)を中心に国内が1,047億22百万円と同1.2%の増収。
営業利益は同1.2%増の220億43百万円。製品構成の変化等で売上総利益率が0.2ポイント低下する中、天候不順による夏から秋にかけて販売が伸び悩む中、新商品投入に伴う販促強化等による販売手数料の増加や(同3.3%増)、販売数量等の増加等による運送費の増加(前期比9.6%増)、更には減価償却費の増加(同5.4%増)もあり、販管費が同3.7%増加したが、売上の増加で吸収した。経常利益の減少は為替の影響による(17/4期:差益2億05百万円→18/4期:差損3億47百万円)。
当期純利益の減益率が大きいのは、米国の税制改革に伴う「繰り延べ税金資産」の取り崩しによる(米国税効果△8億29百万円)。
 
 
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
 
有利子負債やリース債務の減少で期末総資産は3,011億80百万円と前期末に比べて12億25百万円減少した。自己資本比率47.3%(前期末44.8%)。
 
 
期末が休日だったため売上債権の決済が5月にずれ込んだ事で営業CFが減少する一方、自動販売機のリースから自社保有への切り替えに伴う設備投資の増加で投資CFの支出が増加したものの、139億63百万円のフリーCFを確保した。
 
 
2019年4月期業績予想
 
 
売上高が5,000億円を突破!前期比2.6%の増収、同4.3%の営業増益を見込む
売上高は前期比2.6%増の5,078億円。2018年の飲料市場(数量)を前年比1%増の3兆8,000億円と想定している。同社においては、過去最高の売上を見込む茶葉(リーフ)が同7.5%増と伸びる他、飲料(ドリンク)も、新製品の寄与も期待でき、2019年2月に発売30周年を迎える「お〜いお茶」を中心に、「1日分の野菜」や「毎日1杯の青汁」等の野菜飲料、ショート缶の減少をボトル缶や500ミリリットルのPETボトルの「TULLY’S COFFEE」で吸収するコーヒー飲料等、バランスよく売上が増加する見込み。

営業利益は同4.3%増の230億円。原料・資材高等による売上総利益率の低下(0.1ポイント)を織り込んだ事に加え、新製品投入に伴う広告宣伝費の増加や販売数量の増加による運送費の増加も見込んでいるが、売上の増加で吸収する。一過性の要因がなくなり、経常利益及び当期純利益も増益に転じる見込み。
 
 
 
 
ブランド戦略
 
 
お〜いお茶
同社の資料によると、2017年の緑茶飲料市場は4,400億円(2016年:4,350億円)。同社は緑茶飲料No.1ブランドの「お〜いお茶」を中心に、同市場で33%のシェアを維持した。また、夏場の更なる飲用強化として取り組んでいる「お〜いお茶 ほうじ茶」が二桁の伸張と好調であった。
ただ、「お〜いお茶」、「濃い茶 お〜いお茶」、「お〜いお茶 ほうじ茶」は、40代以降で根強い人気を有する一方、10代〜30代への訴求力が必ずしも強くなかった。上記3製品は、お茶の葉本来の旨みと香りのつまった味わいを特長とするが、若い世代、特に女性は、緑茶の持つ甘みやまろやかな味わいを緑茶飲料に求めていたためだ。このため、2017年春に「氷水出しの抹茶入り緑茶」を投入した。「氷水出しの抹茶入り緑茶」は京都宇治抹茶を100%使用した抹茶入り緑茶飲料。“氷水出し抽出”で丁寧に引き出した緑茶のあまみと鮮やかな水色(すいしょく)を特長とし、10代〜20代から一定の評価を得る事ができた。

2019年2月に「お〜いお茶」ブランド発売30周年を迎える事もあり、更なるユーザー層の拡大を図るべく、2018年5月1日に「お〜いお茶 新緑」を発売した。「お〜いお茶 新緑」は、旨み豊かな国産一番茶を100%使用した、爽やかなやわらかい香りと甘くすっきりとした後味を特長とする。消費者購買調査(5月1日〜15日)では、購入者の50.4%を女性が占め、20%が20代〜30代の女性。「まろやかな味わい」や「甘み」が評価されており、特に女性からは、パッケージデザインやサイズ感も高い評価を得たようだ。
 
 
健康ミネラル麦茶
市場規模が1,000億円に迫り、成長が続くむぎ茶ドリンク市場で同社は47%のシェアを有し、「健康ミネラルむぎ茶」はノンカフェイン茶系飲料(数量ベース)でシェアNo.1。一方、むぎ茶リーフ市場は160億円前後での推移が続いているが、同社はミネラル入り製品の開発(むぎ茶ドリンクでは、他社もミネラル入りを販売している)等で先行し、ティーバッグやインスタントの簡便性製品を中心に43%のシェアを有する。同社は、春夏の暑さ対策に加え、スポーツ時のミネラル補給や秋冬の水分補給を念頭に、麦茶による通年でのミネラル補給を提案している。
 
タリーズ・野菜飲料
コーヒー飲料は、従来からのショート缶(126〜200ミリリットル)市場が縮小する一方、同社が「TULLY’S COFFEE」で市場を開拓した201〜599ミリリットルのボトル缶市場が伸びている。また、500ミリリットルのPETボトル市場も拡大しており、同社は2018年3月にボトルを一新して、ブラックとラテの新製品を発売した。
また、「1日分の野菜」を中心に39%のトップ・シェアを有する野菜100%飲料市場は、血糖値を下げる効果が報道されているトマト飲料をけん引役に、2015年の716億円から2017年には870億円に拡大し、2018年は920億円に拡大する見込み。18/4期より管理栄養士との取り組み等で「1日分の野菜」等の販売を強化している。「毎日1杯の青汁」も好調だ。有糖・無糖製品をラインナップして、“健康”だけでなく、“美味しさ”も訴求ポイントとする「毎日1杯の青汁」は、ドリンクとパウダーの両カテゴリーで売上を伸ばしている。
 
 
茶葉(リーフ)・抹茶
2017年の緑茶リーフ(包装茶+バラ茶+簡便性)市場は2,343億円。緩やかながら市場縮小が続いているものの、市場が縮小しているのは包装茶及びバラ茶で、同社が圧倒的なシェアを有するティーバッグやインスタント等の簡便性製品の市場(2017年:284億円)は伸びている。また、同社においては、アイテムの拡充によるスーパー等のハンガーフック売場の確保で包装茶の売上も増加している。「伊藤園ティーテイスター社内検定」(厚生労働省社内検定認定制度、認定第1号)に基づくティーテイスター保有社員(2,160名が資格を保有)による「伊藤園 大茶会」の開催等で緑茶リーフ市場の活性化や啓蒙活動に力を入れている事も緑茶リーフ事業の特徴。
この他、産地育成と独自のクリーン加工設備を強みに伊藤園抹茶が国内はもちろん、海外でも伸びており、海外向けの販売数量は、過去3年で3倍に拡大している。
 
コーヒーバリューチェーンの構築に向けて
タリーズコーヒー及びDistant Lands Trading Co.(米国ワシントン州シアトル近郊。以下、DLTC社)との連携を強化して、緑茶同様、農園から製品に至るサプライチェーンの構築による国内外での品質とブランドの向上に取り組んでいく。DLTC社は自社管理の農園で収穫されたコーヒー豆を使いGMS等のPBや外食向け卸しを手掛けており、自社所有の農園と精選工場が「レインフォレスト・アライアンス認証」の認定を受けている。尚、タリーズコーヒーの19/4期は40店舗の新規出店と15店舗の退店を予定しており、期末店舗数は731店舗と25店舗増加する見込み。未だ出店余地は大きく、厳選しつつではあるが、店舗ネットワークを広げていく考え。
 
 
尚、レインフォレスト・アライアンス(Rainforest Alliance 本部:米国ニューヨーク)は、1987年に地球環境保全のために熱帯雨林を維持する事を目的に設立された国際的な非営利団体。森林や生態系の保護、土壌や水資源の保全、労働環境の向上や生活保障等、厳しい基準を満たした農園にのみ「レインフォレスト・アライアンス認証」を付与している(認証を取得した農園はサステナビリティを義務付けた基準に準拠していると判断された事を意味する)。
 
グルーバル戦略
「お〜いお茶」はグローバル市場でも着実に浸透しており、18/4期の海外での販売は前期比21.7%増加し、19/4期も20%程度の増加を見込んでいる。また、2015年に販売を開始したグローバルブランドのティーバッグ「MATCHA GREEN TEA」の販売も、18/4期30%増、19/4期20%増と伸びる見込み。前期末の販売店舗は48,000店舗だが、今期中に70,000店舗に拡大させる計画。“お茶屋”としての伊藤園の認知度をグローバルに高めていく考え。
 
マネジメント
“持続的な成長”を第一義として、国内事業の更なる強化を図りつつ、海外展開を加速していく。国内事業については、年間販売数量が1,000万ケースを超える4ブランドを中心に既存ブランドを強化すると共に、更に2ブランド程度、年間販売数量1,000万ケース超のブランドを育成する。また、利益率の向上を図りながら、各カテゴリーで確実にトップ・シェアを確保していく。海外展開では、北米を中心に二桁成長を実現すると共に、中国・アジアを強化する(この他のエリアへの展開準備も進めている)。グループシナジーも追求していく。また、ROEの向上にも取り組み、18/4期の9.0%から19/4期は9.5%に向上する見込み。サステナビリティ経営の推進にも力を入れ、ガバナンスやCSR/CSVの取り組みを強化する。

当面の目標は、現在進行中の中長期経営計画(18/4期〜22/4期)で掲げる、「22/4期に、上高6,000億円、ROE10%以上、総還元性向40%以上」の達成。総合飲料メーカーとしてのポジション確立と新規事業の育成により国内の事業基盤を固めつつ、「世界のティーカンパニー」を目指していく。また、世界に通用するティーテイスターを育成し、無糖緑茶の啓蒙活動にも力を入れる。
 
ESGに対応するバリューチェーン
同社は、経営基盤として、ESGに対応するバリューチェーンを構築しており、調達 ⇒ 製造・物流 ⇒ 商品企画・開発 ⇒ 営業・販売、といった事業の流れが、ESGに対応している。
独自の「茶殻リサイクルシステム」もこの一環であり、製造過程で排出される茶殻を利用して、畳・建材、樹脂製品、「お〜いお茶」のペットボトル用段ボール等、約100種類の茶殻リサイクル製品の開発実績を有する。今回、ミズノ(証券コード:8022)との共同で、茶殻を利用したField Chip「Greentea」(フィールド チップ「グリーンティー」)を開発した。Field Chip「Greentea」は人工芝の充填材として利用され、既存の充填材と比較して表面温度の上昇を約7℃抑える事ができる。既に、ミズノスポーツプラザ千住内「あそりーと AFTER SCHOOL」屋外広場の人工芝で使用されており、7月2日からミズノが全国で販売を開始する予定。
 
 
 
今後の注目点
18/4期は売上が前期比4%増加したものの、製品構成による売上総利益率の低下と販管費の増加で営業利益は同1.2%増の220億円にとどまり(17/4期:217億円)、期初予想226億円を下回った。販管費は76億円増加し、主な増加要因は、人件費等14億円の他、販売手数料26億円弱、運送費12.5億円。期初予想との比較では、販管費は20億円上振れし、主な上振れ要因は、販売手数料15億円、運送費10億円。販売手数料と運送費が、前期比での営業利益の伸びを抑え、期初予想比での下振れ要因になった事が分かる。ただ、運送費は販売促進費的な要素を含んでいる部分もあり、販売手数料や広告宣伝費と合わせたトータルで考える必要がある。3費目の合計は、前期との比較で34億円弱、期初予想との比較で18億円弱、それぞれ増加した。

既に説明した通り、2017年の飲料市場(数量)は、天候不順による8月以降の需要減少で、3兆7,700億円と前年比横ばいにとどまり、特に止渇性飲料が軟調に推移した。こうした中、日本茶飲料市場は大手各社のリニューアルにより3%増加したが、販売競争が激化する中での数量増だった。天候不順による需要の伸び悩みと大手各社の販売競争の激化にさらされては、同社も販促を強化せざるを得ない。翌期の新製品投入等の製品戦略を考えると在庫水準を高いままに放置する訳にはいかないし、また、販売競争が激化する中で棚割りを確保しトップ・シェアを維持するためには、そのための投資も必要になる。同じ売上高でも、需要が旺盛で売れた場合と需要低迷下で売った場合とでは、利益に差が出る。しかし、この投資の結果、19/4期(2018年)は、緑茶飲料市場が4,450億円と06/4期(2005年)の過去最高に迫る中で、同社のシェアが34%と06/4期(29%)との比較で5ポイント、前18/4期(2017年:33%)との比較で1ポイント、それぞれ上昇する見込み。決算期毎に結果を出す事は大切だが、“持続的な成長”を第一義とするマネジメントに振れはなかった。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書     更新日:2017年12月01日
基本的な考え方
当社グループの経営理念は、「お客様第一主義」であります。伊藤園グループ基本綱領の中で、伊藤園グループは企業の永続的な成長・発展と企業価値を高めるため、国・地域社会・消費者・株主・販売先・仕入先・金融機関等の利害関係者と協調し、企業の社会的責任を果たすことを経営の根幹としております。この経営理念が、当社グループの企業倫理の基本的な考え方であり、コーポレート・ガバナンスを支える不変の真理であります。当社グループはこの理念に基づき、全ての利害関係者の信頼に応え、持続可能な社会の実現に向けた経営を全役員及び全従業員一丸となって積極的に推し進めます。適切なコーポレート・ガバナンスを実現するために、監査役会設置会社である当社は、監査役が当社グループ会社の代表取締役あるいは担当取締役または従業員に対し、営業の状況、意思決定のプロセス等の確認を行い、監査を実施しております。監査役は、取締役会に毎回出席し、監査の状況につき会社全般または、個別案件ごとに客観的、且つ公平に意見を述べると共に監査役会での監査方針に従い取締役の業務執行を監査しております。
 
<開示している主な原則>
【原則1−4】株式の政策保有および政策保有株式に係る議決権行使に関する基本方針
当社は、取引先との関係強化等の観点から、当社グループの中長期的な企業価値向上に資することを目的として、取引先の株式等を取得し保有することができるものとし、保有意義や合理性の認められないものは原則として保有しないこととしております。
上記に基づき保有する上場株式等(以下「政策保有株式」)のうち、主要なものについて、保有するうえでの中長期的な経済合理性や、取引先との総合的な関係の維持・強化の観点からの保有効果等について検証し、取締役会において報告を行います。 政策保有株式にかかる議決権の行使については、各議案の内容を精査し、当社及び保有先の企業価値の向上に資するものか否かを総合的に判断した上で適切に行います。(当社ガイドライン第13条(株式等の政策保有に関する方針))

【原則1−7】関連当事者間の取引
当社がその役員や主要株主等との取引を行う場合には、当該取引が当社及び株主共同の利益等を害することが無いよう、取引条件が一般の取引と同様であることが明白な場合を除き、当該取引についてあらかじめ取締役会に付議し、その承認を得るものとしております。(当社ガイドライン第12条(関連当事者間取引の管理体制)

【原則5−1】株主との建設的な対話に関する方針
当社は、経営陣幹部等による株主との建設的な対話を通じて、株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行います。(当社ガイドライン第15条(株主との建設的な対話に関する方針)
 
 
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2018 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(3537)昭栄薬品 vol.3 | ブリッジレポート:(3183)ウイン・パートナーズ vol.1»

ブリッジレポート(バックナンバー)
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE