ブリッジレポート
(6461) 日本ピストンリング株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6461)日本ピストンリング vol.7

(6461:東証1部) 日本ピストンリング 企業HP
山本 彰 社長
山本 彰 社長

【ブリッジレポート vol.7】2018年度業績レポート
取材概要「2017年度第2四半期(7-9月)は売上高が前年同期比4.3%の増収にも拘わらず、営業利益は17.8%の減益となったが、下期はしっかりと売上高・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年7月4日掲載
企業基本情報
企業名
日本ピストンリング株式会社
社長
山本 彰
所在地
さいたま市中央区本町東5−12−10
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 55,932 3,890 4,189 2,286
2017年3月 52,121 3,238 2,898 2,415
2016年3月 52,199 2,549 2,442 1,605
2015年3月 51,657 1,946 2,172 2,173
2014年3月 50,430 1,759 1,733 1,352
2013年3月 47,018 2,225 2,184 2,013
株式情報(6/22現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,325円 8,374,157株 19,469百万円 7.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
75.00円 3.2% 291.80円 8.0倍 3,865.23円 0.6倍
※株価は6月22日終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。
 
日本ピストンリングの2017年度決算概要、山本社長へのインタビューなどを紹介いたします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
自動車エンジンの重要機能部品であるピストンリングやバルブシートなどを製造販売。日系自動車メーカー向けシェアはピストンリングで約3割、バルブシートで約4割。日系自動車メーカー全社のみならず非日系の有力自動車メーカー多数に製品を納入している。
金属材料・表面改質・精密加工等における高度な技術力が強み。メタモールド(金属粉末射出成形品)、医療関連など非自動車エンジン部品分野への事業拡大や新製品開発も強化している。
 
【沿革】
1935年8月に「自動車工業確立ニ関スル件」が閣議決定され、豊田自動織機製作所(現トヨタ)、日産などによる国産自動車の量産化がスタートする直前の1931年に鈴木友訓氏が、埼玉県川口町(現川口市)に日本ピストンリング製作所を創業。1934年には日本ピストンリング株式会社として川口工場を開設した。
第2次大戦時下、航空機用クロムめっきリングの量産も開始。1945年の終戦により工場を一時閉鎖したが、1949年の東京証券取引所における株式取引再開とともに、株式を公開した。
経済復興、高度経済成長、日本製自動車の輸出急増に伴い業績は急拡大する。
1970年代からは海外に進出しドイツ、アメリカの自動車メーカーへの納入をはじめ、2000年以降はタイ、インドネシア、アメリカ、中国、インドに生産拠点を設立し、グローバルな生産販売体制を整備した。
2014年度には非自動車エンジン部品事業の拡大を目指し、金属粉末射出成形品事業および歯科インプラント事業を譲り受け、2015年度に自社での操業を開始している。
 
 
【市場環境】
◎世界の自動車生産台数
6トン未満の車両での世界生産台数は、足元2017年の9,500万台から増加を続け、2030年には1億1,600万台に達するという。
内訳を見ると、欧米、日本など先進国が横ばいであるのに対し、中国を中心に、アセアン、南米、インドなどの新興国はゆるやかに増加し、シェアは2017年の52%から2030年には54%まで上昇する。
 
 
◎パワートレイン(駆動方式)別生産台数
パワートレイン(駆動方式)別の生産台数予想では、環境意識の高まりから、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは減少するものの、ハイブリッドが新興国を中心に大きく増加する。エンジンが不要となるEV(電気自動車)は2030年においても7%にすぎず、ピストンリングやバルブシートの需要は今後も堅調に推移するものと見られる。
 
 
 
ピストンリングを製造している国内上場企業は同社を含めて3社であり、各社他事業への展開も行っている。ピストンリングのトップシェアは5割近い(6462)リケンだが、企業規模、収益性、時価総額では(6463)TPRが頭一つ抜けている。ただし、(6461)日本ピストンリングは、時価総額、PER、PBRが小さく、割安な株価評価となっているが、営業利益の増加が期待され、更なる収益性の向上による株価上昇に期待したい。
 
【事業内容】
◎主力製品
社名ともなっているピストンリングを中心に、バルブシートをはじめ、様々な自動車部品を製造・販売している。2017年度の自動車関連製品の売上高構成比率は86.8%である。
一方で、2014年度に譲り受けた金属粉末射出成形品(メタモールド)と歯科インプラント等の医療関連等、非自動車エンジン部品分野への事業拡大や新製品開発の強化も推し進めている。
 
 
*前回までのレポートから製品区分を変更
「ピストンリング」に含めていた舶用のピストンリングは区分を見直し「その他」に含めている。また、「その他」に含めていた「メタモールド」はその重要性が増したため、個別に表示している。
 
<ピストンリング>
ピストン外周の溝(みぞ)に装着され、ばねのような張りを持ち、閉じると真円になるピストンリングは、エンジン燃焼室の苛酷な条件の中で爆発ガスをシールし、潤滑油をコントロールする。また、熱を逃がし、摩耗や焼き付けを抑える役割を持ち、気筒あたり1stリング、2ndリング、オイルリングの3本を基本に構成される。
ピストンに装着されたピストンリングの張力が高すぎると、スムーズなピストン運動を阻害することによる燃費への悪影響、逆に低すぎると爆発ガスが抜けることによるエネルギーロスやオイルあがりによるオイル消費の増加につながる。
このためピストンリングの張力は最適設計が必要となる。
 
 
また、シリンダ内の高温下で高速運動をすることによる摩耗や焼き付きを防ぐために、シリンダ内壁にはエンジンオイルの油膜が形成されるが、この油膜も厚ければ良いという事ではなく、オイルリングによって適切な厚さを保つ必要がある。
このようにピストンリングには耐摩耗性、強靭性、耐熱性、熱伝導性、オイルの保持性など多くの機能が要求されており、これによってエンジンの性能と耐久性は飛躍的に向上してきた。
近年では、環境問題に対する意識が急速に高まるなか、NOx、HC等の低減を求めた低排出ガス車の認定制度、CO2削減の為の燃費規制などへの対応が急務で、低燃費ニーズに対応した高性能なピストンリングが求められている。
 
ピストンリングに求められるこれらの課題について、同社では、低フリクション対応のピストンリング構成、更なる薄幅化、新表面処理や高耐久性安価材料の開発、チューニング技術による最適設計などのテクノロジーを開発・提案している。

このように極めて高い技術力を要求されるピストンリングを安定的に製造・供給し、なおかつ常に技術革新を進めることが出来る企業は同社を含めて限られた数社のみとなっている。
 
<バルブシート>
シリンダヘッドのバルブ着座部分に圧入される。高温下でバルブに叩かれても摩耗・劣化しない耐久性と、燃焼ガスを確実にシールさせる高い気密性が求められる重要なパーツであり、焼結合金でつくられている。同社では、材料開発力を活かした豊富な材料バリエーションにより、自動車メーカーからのレベルの高い要求に応えたバルブシートを提供している。日系自動車メーカー向けでは約4割とトップシェアを誇り、国内外の自動車メーカー向けに更なる拡販を図っている。


<カムシャフト>
各気筒のバルブを開閉する役割を担い、軽量、高耐面圧、設計の自由度が高いなど多くの特長を持つ組立式焼結カムシャフトは、国内では同社のみが対応できる独自技術となっている。SUBARUの全内製エンジンに搭載され、高い耐久性が要求されるトラックメーカーにも納入されている。

 
<メタモールド(金属粉末射出成形品)>
近年、金属部品の成形には機械加工、精密鋳造(ロストワックス)、ダイキャスト、プレス焼結など、部品に求められる機能やコスト面から、様々な加工技術や方法が選択され採用されている。これらの加工技術に第五世代の全く新しい加工技術として開発した「メタモールド」は、長年培ってきた冶金技術をもとに、省資源、省エネルギー型でありながら、プラスティック製品、ダイキャスト製品と同様の複雑形状部品の製造を可能にした。材料技術、生産技術の強化により製品群のラインナップを充実させ、自動車エンジン部品のみならず、産業機械部品やOA機器部品等、非自動車エンジン部品にまで事業を拡大しており、特にボールねじ用循環駒で需要が増加している。
 
◎顧客
日系自動車メーカー全社にピストンリング、バルブシートを納入している。
これら製品は、エンジン性能向上のために極めて高い技術水準が要求される自動車部品であり、近年では環境問題の高まりから低燃費や代替燃料対応として、欧米自動車メーカーや中国のローカル自動車メーカー等非日系自動車メーカーへ拡販が進んでいる。
 
 
【生産拠点&販売拠点】
<国内>
4か所の製造拠点と7か所の販売拠点(東京[本社:さいたま市]、名古屋、大阪、広島、福岡、仙台、札幌)を有している。
 
<海外>
ピストンリング、バルブシートを中心に、アメリカ、中国、アセアン、インドで生産、販売を展開している。また、ドイツ、シンガポール、マレーシアにも販売拠点を有している。
 
 
 
【特徴と強み】
常に高い信頼性を要求される自動車の機能部品メーカーとして80年以上にわたり存在感を示し、国内外多数の有力自動車メーカーに採用されてきた理由は、何にもまして同社の高い技術力である。近年では自動車用内燃機関の「熱効率50%超」達成・CO2低減・排出ガスクリーン化に貢献すべく主要製品の開発を進めている。

同社の中心技術は大きく以下の3点に分類される。
 
製品開発に当たり、これらの技術とエンジンに対するシミュレーション技術をかけ合わせる能力も同社の大きな強みである。
加えて、同社の高い技術力が不可欠な自動車メーカーは同社の企業価値を構成する重要な「顧客資産」と言えるだろう。
 
 
2017年度のROEは2016年度よりも0.8%低下した。総資産回転率は上昇したものの、売上高当期純利益率およびレバレッジが低下した。引き続き収益性の向上に伴ったROEの上昇を期待したい。
 
 
2017年度決算概要
 
 
増収増益。売上高、経常利益は過去最高を記録。
売上高は前年度比7.3%、38億円増の559億円となり、過去最高を記録した。製品別ではピストンリングが同12.1%、30億円増と増収を牽引した。
国内売上高は同7.2%、16億円増の240億円。海外売上高は同7.4%、22億円増の319億円。海外売上高比率は57.0%となった。
営業利益は同20.2%増の38億90百万円。人件費増、原材料の高騰等があったものの、増産効果、原価低減等で吸収した。
経常利益は同44.5%増の41億89百万円となり、過去最高を記録した。前年度の為替差損が為替差益に転じた。
当期純利益は、一時的な法人税等調整額の増加や特別損失の計上により同5.3%減の22億86百万円。
第2四半期(7-9月)では前年同期に対し、増収・営業減益であったが、その課題を抽出し、対策を講じた結果、下期および、第3、第4四半期とも増収増益を実現した。
 
 
 
ピストンリングの販売が中国やアセアンを中心に好調であったことから、前年度比12.1%増加し、構成比は49%となった。また、バルブシート、組立式焼結カムシャフトも、それぞれ堅調であった。2014年度に他社から事業を譲り受けたメタモールドは、新たな顧客を獲得したことにより、前年度比18.3%の増加となった。
 
(3)財務状態とキャッシュ・フロー
 
売上債権の増加等により流動資産は前年度末比21億円増加。減損損失の計上や退職給付信託の設定により固定資産は同27億円減少し、資産合計は同6億円減少の665億円となった。
有利子負債および退職給付に係る負債の減少などで負債合計は同22億円減少の340億円となった。なお、有利子負債合計は同5億円減少の164億円となった。
利益剰余金の増加で純資産は同16億円増加の324億円となった。
この結果、自己資本比率は前年度末比2.6%上昇し47.8%となった。
有利子負債、ネット有利子負債、ネットDEレシオ共に前年度末を下回った。
 
 
 
為替差損が為替差益となったこと、退職給付信託設定差益の計上などで営業CFのプラス幅は縮小。有形固定資産の取得による支出の減少で投資CFのマイナス幅は縮小。
短期借入金の減少などで財務CFのマイナス幅は拡大。キャッシュポジションは上昇した。
 
(4)トピックス
◎トヨタ自動車(株)「品質管理優秀賞」を受賞
同社は、従業員の品質に対する意識を高めることを目的に、*N-ZD運動(NPR不良ゼロ運動)に取り組んでいるが、そのグローバルでの取り組みの成果が認められ、トヨタ自動車(株)より「品質管理優秀賞」を受賞することができた。

*N-ZD運動(NPR不良ゼロ運動)とは、顧客の満足度を高めるだけでなく、最終ユーザーの安全・安心を保証するためにも、品質改善活動をより体系化すべきと考え、第六次中期経営計画の初年度である2015年度よりスタートした活動。開発から客先納入に至る全てのプロセスでこの運動を実施し、業務品質と製品品質の向上に加えて品質に対する全従業員の意識改革を図っている。
第七次中期経営計画でも引き続き取り組み、「世界最高品質」を追求する。
 
 
 
2018年度業績予想
 
 
増収増益
売上高は前年度比1.9%増の570億円を予想。国内売上高は同1.7%減となるも、海外売上高が同4.6%増と牽引する。海外売上高比率は58.5%へ上昇する。為替レートはドルで105円、ユーロで128円に設定している。
営業利益は同5.4%増の41億円の予想。原燃料費上昇、人件費増、単価変動を原価低減、増産効果で吸収する。
経常利益は、為替差益の減少により同2.1%減の41億円、当期純利益は同5.0%増の24億円を見込む。
なお、株主への利益還元機会の充実を図るため、今年度より中間配当(基準日2018年9月30日)を実施することとした。中間配当30円、期末配当45円の年間合計75円/株、前年度比5円の増配とする予定。予想配当性向は25.7%。
 
 
第六次中期経営計画の総括及び第七次中期経営計画の概要
 
 
目標値として2017年度の売上高 550億円以上、営業利益率 7%以上を掲げていたが、実績は売上高559億円、営業利益率7.0%と目標に到達することが出来た。
 
 
新規増産対応を中心に設備投資を行い、第六次中計の3年間合計で144億円となった。また、革新的生産ラインなどの合理化投資により生産効率を高め、収益力の向上を図った。
 
(2)第七次中期経営計画の概要(2018年度~2020年度)
今年度から3か年の第七次中期経営計画の基本方針、重点施策、数値目標は以下の通り。
 
 
 
為替レートはドルで105円、ユーロで128円に設定しており、最終年度2020年度の売上高目標は580億円以上としている。また、海外売上高比率は61%となり、非日系自動車メーカー向け売上高が増加する。利益面については、革新的モノづくりをはじめとする原価低減活動を推し進めることにより、営業利益率7.5%以上を目標とする。
 
 
主要製品であり、グローバル展開しているピストンリングとバルブシートの非日系自動車メーカー向け売上高比率は引き続き増加基調となる。また、自動車エンジン部品以外のメタモールドの拡販も進む。
 
 
設備投資は新規増産、維持更新・合理化が中心となる予定である。

◎ピストンリング、バルブシートの生産能力
 
 
2020年度のピストンリングの生産能力は2017年度対比で全拠点において更に拡大、バルブシートは日本、インド、タイが増加する。
 
 
山本社長へのインタビュー
 
山本社長に、第六次中期経営計画のレビュー、第七次中期経営計画のポイントなどを伺った。
 
Q:「第六次中期経営計画についてどのような自己評価をされていますか?」
A:「売上高、営業利益率のどちらも目標値に到達できたことは大きな自信に繋がっている。」
 
第六次中期経営計画の目標値である「売上高550億円以上、営業利益率7%以上」に対して、もう少し高いところでの達成ができればよかったという思いがあるが、この3年間で目標値に到達できる水準まで力がついたことは、会社として大きな自信に繋がっている。
売上高については、堅調な自動車市場という事業環境に恵まれたこともあるが、価格競争力を高めることができたこと、製品仕様が高度化するなか「技術提案型営業」を推し進めてきたこと、また、お客様に当社の品質の高さを認めていただいたことにより、非日系自動車メーカーへの拡販を想定以上に進めることができた。
営業利益率については、上期は大きく目標を下回ったものの、下期で挽回することができた。これは、各工場で取り組んできた原価低減活動が収支に結びついたものと評価しているが、一方で課題も残ったため、今中計で取り組んでいく。
また、特別損失として減損損失を計上したが、不採算事業に早急な対応をはかるためであり、今後も引き続き収益力の改善に努めていく。
 
Q:「次に、主な重点施策の進捗はいかがだったでしょうか?」
A:「製品の差別化による戦略機種の獲得、革新的モノづくりの推進については、お客様からの評価も高く、しっかりと成果を残すことが出来た。」
*製品の差別化による戦略機種の獲得
ターゲットとなる戦略機種についてのお客様のニーズやシーズを的確に捉え、営業部門だけでなく開発部門もお客様を訪問し、技術的裏付けに立脚した最適な製品仕様を提言して納得いただいた。さらにモノづくりをお客様に見てもらうことで、安定供給が可能である点を理解してもらう活動ができた。
これにより、仕様の差別化のみでなく、これらの取り組みも含めたトータルでの差別化を評価いただき、まさに製品の差別化を進めることができたといえよう。
主要顧客から品質にかかわる優秀賞を受賞したことは、製品品質だけではなく、こうした当社の活動全体を高く評価して頂いた結果であると認識しており、大変嬉しく思っている。

*革新的モノづくりの推進
ピストンリング、バルブシートにおいて革新的生産ラインの稼働を開始させた。製品品質向上の観点では一定の成果を残すことが出来たが、原価低減の観点からはまだ一部課題が残っている。
第七次中期経営計画では、原価低減に資する革新的モノづくりの追究をメインの課題としている。

*新製品(非自動車エンジン部品)の事業化推進
メタモールドは非自動車エンジン部品分野への拡がりを見せており、新たな顧客の獲得にも繋がっている。
歯科インプラント等の医療分野については、事業化にはある程度時間を要するものであることは認識しているが、継続的なマーケティング活動を行うことにより今後につながる芽を生み出すことはできた。
 
Q:「では第七次中期経営計画の注力点をご説明ください。」
A:「まずは既存事業の事業基盤をいかにしてしっかりと構築するかがポイントとなる。基本方針および5つの重点施策を推進するために最も重要なのは「ヒトづくり」に尽きると考えている。」
既存製品やメタモールドなどの事業基盤をいかにしてしっかりと構築するかがポイントになると考えている。5つの重点施策(国内外での技術提案型営業の強化、革新的モノづくりの追究、新製品開発の強化、人材育成強化による「世界最高品質の追求」、CSR活動の継続的推進)に前中計から敢えて大きく変更せず、更なる成長を図るため、「変化に強いモノづくり」を基本方針のキーワードにおいた。これは、中長期の視点において市場あるいは受注環境の変化にしなやかに対応し、どんな状況でも利益を創出できる体質づくりという意味だ。
先程申し上げたように、前中計で課題とした原価低減施策を今中計で更に追求する。

また、基本方針および5つの重点施策を推進するために最も重要なのは「ヒトづくり」にあると考えている。
「ものづくり学校」を通じた育成や各種教育制度を今後も継続していくほか、当社の収益の柱として今後その重要性がさらに増す海外分野での人材育成にも注力する。

具体的には海外拠点の30歳台の幹部候補生に対し日本の工場でモノづくりを学ぶ機会を設けており、今後も更に人数を増やしていく。 また、日本人社員に関しては、欧米メーカーに対しても技術提案型営業を展開できる英語力を身に着けるために、20から30歳台の営業またはSEを海外語学研修に派遣している。加えて、海外に駐在するSEにおいても顧客との接触の機会を更に増やし、フロントローディングで技術提案を積極的に行える体制を整えていきたい。
 
Q:「では株主や投資家へのメッセージをお願いします。」
A:「安定的、継続的に増配を行っていくためには中長期の視点で企業価値を向上させていくことが我々の使命だと考えている。是非これからも当社を応援していただきたい。」
おかげさまで、第六次中期経営計画の数値目標に最低限のところではあるが、到達することが出来た。これにより株主の皆様には安定的かつ継続的に増配することで利益を還元させていただく。また、今後も中長期の視点で企業価値を向上させていくことが我々の使命だと考えている。
長期的には自動車産業を取り巻く環境が大きく変わる可能性もあるが、そのリスクに対する施策展開も継続していく。
是非これからも当社を応援していただきたい。
 
 
今後の注目点
2017年度第2四半期(7-9月)は売上高が前年同期比4.3%の増収にも拘わらず、営業利益は17.8%の減益となったが、下期はしっかりと売上高、利益ともに積み上げ、前中計を終えることが出来た点は、山本社長もインタビューで触れているように大いに自信となったようだ。
第七次中計の重点施策は第六次中計をおおむね引き継いだものであり、引き続き、海外売上高比率、非日系自動車メーカーとの取引拡大、非自動車分野の伸長をウォッチしていきたい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年6月27日
 
 
同社は、外国人投資家にビジネスモデルなどをより良く理解してもらう必要があると考えており、引き続き積極的に英語での開示を進めていく考えだ。